はてなキーワード: 主権とは
先日、スペインのサンチェス首相に対する数万人規模のデモがマドリードで開かれ、前与党・人民党のカサード党首や右派政党市民党のリベラ党首、極右政党ボックスのアバスカル党首、さらにノーベル文学賞受賞者バルガス・リョサ(ペルー出身だがスペイン国籍も保有)やバルス元フランス首相(バルセロナ出身)が参加しました。デモ隊はスペインの統一を支持し、サンチェス首相がカタルーニャ州政府に妥協の姿勢を見せていることに反対しています。日本で喩えるなら、民主党政権時代に国会前で数万人規模の「沖縄に妥協するな」デモが開かれて自民党総裁や維新の会代表やカズオ・イシグロや李登輝が参加してるような状態です。
さて、どうしてこういう状況になったのでしょうか。住民投票に至る経緯は「5分でわかるカタルーニャの住民投票と独立問題」(anond:20170910082231)とその補足(anond:20170912060013)で説明したので、今回はそれらを踏まえて住民投票後のカタルーニャ情勢について簡単に説明してみたいと思います。なお一昨年の増田ではPartido Popularを「国民党」と書いていましたが、今回は「人民党」と表記します。
2017年10月1日、カタルーニャ自治州政府は独立の可否を問う国民投票を強行します。中央政府は警官隊を派遣し、投票箱の押収や投票所の封鎖、投票者の鎮圧などの手段によって阻止を試みました。
この投票で独立賛成は9割を超えましたが、独立反対派はボイコットしたため投票率は5割を切っており、州民の過半数が独立に賛成したとは必ずしも言えません。ただし州議会が制定した州法によれば、たとえ1票でも独立派が勝てば独立宣言するとしています(中央政府はその州法は違憲無効であると主張)。翌日には中央政府のカタラ法相(1961年生まれ)が憲法155条に基づく自治権停止措置を示唆し、3日には国王フェリペ6世(1968年生まれ)が独立派を「法律と民主主義の外に出てしまった」と非難しました。
18日にプッチダモン州首相が自治権を停止するなら独立宣言を強行すると表明、翌日には自治権の部分的停止が決定されます。国王と最大野党の社会労働党はラホイ首相を支持しましたが、カタルーニャ州側ではプッチダモン州首相だけでなく独立反対派のクラウ・バルセロナ市長(1974年生まれ)も自治権停止を非難しました。
27日にカタルーニャ州議会はカタルーニャ共和国の独立を宣言します。同日、スペイン上院は155条適用を承認しました。翌日、スペイン政府は州議会の解散総選挙と州首相解任、州政府幹部の更迭、カタルーニャの在外公館閉鎖などの措置を発表しますが、この日は土曜日のため、週明けの30日にカタルーニャ政府の建物を制圧し、同国検察はプッチダモン首相ら当時の州政府幹部を国家反逆罪や公金横領罪の容疑で捜査すると発表します。スペイン政府のサエンス・デ・サンタマリーア副首相(1971年生まれ)が自治州首相の職務を代行することとされました。
(公金横領罪といっても、賄賂を取っていたとかそういうことではなく、違法な住民投票に公金を支出した容疑です)
11月3日、スペイン当局はジュンケラス副首相(1969年生まれ)を含む当時の州政府幹部8人の身柄を拘束し、ブリュッセルに逃亡したプッチダモン首相に欧州逮捕状を発行します。プッチダモン首相はブリュッセルで「これがあなたがたが作りたい欧州か」とEUを批判しました(EUは明白にスペイン側を支持)。スペイン憲法裁は独立宣言が無効であることを宣言し、州議会は解散され、選挙が行われることになります。
なぜスペイン側が自治権停止にこだわったか。それは州議会における独立派と反対派の勢力が拮抗しており、自治権を停止して解散総選挙に持ち込めば反対派が勝つだろうと踏んでいたからのようです(135議席中、独立宣言に賛成したのは70議席)。ところが12月21日に投開票された選挙では、独立派がギリギリで過半数(70議席)を維持してしまいました。ただし70人の当選者のうち7人が当局に拘束されているか国外滞在中であり、彼らが議会に出席できない限り過半数にはなりません。プッチダモン首相はSkypeを通して執務することを模索していましたが、ラホイ首相はプッチダモン首相が州首相に再任されるなら自治権停止を継続し再選挙も有り得ると警告します。州議会は独立派のトゥレン州議(1979年生まれ)を議長に選出し、プッチダモン首相の信任投票を試みますが、スペイン政府はカタルーニャ州議会を憲法裁に提訴し、結果として投票差し止め命令が出ました。
ちなみにこのとき、与党・人民党の政治家は「トゥレンには2人の子供がいる。(信任投票が行われると)どうなるか分かるだろう」と公言していました。州政府要人を何人も逮捕・拘禁している側がこれ言ってるんですよ。しかも同じ口で「カタルーニャの民主主義を守れ」とか言ってますからね。EUは流石に何か言うべきだったと思うんですが特に何も言いませんでした。まあ、人民党が加盟している欧州人民党はEUの与党ですからね、仕方ありませんね(EUの執行機関である欧州委員会の委員長は欧州議会選挙で勝利した会派から選ばれ、現在は欧州人民党のユンケル委員長[1954年生まれ]。ところで欧州理事会常任議長をEU大統領と呼ぶなら欧州委員会委員長もEU首相と呼べばスッキリすると思うんですがその辺どうでしょうかマスコミの皆様)。
最終的にプッチダモン首相は州首相就任を諦め、何人もの候補が模索されては消えていった結果、2018年5月14日に独立派のトーラ州首相(1962年生まれ)が選出されることになりました。スペイン語圏出身のカタルーニャ人に対してヘイトスピーチまがいの発言してた過去があり、また「本当の州首相はプッチダモンで自分は暫定的な州首相」と述べるなど物議を醸しましたが、ともかくも6月2日に新しい州政府が発足します。
これにより中央政府の直轄統治は終了したわけですが、今度は中央政府の方を危機が襲います。人民党幹部の汚職事件によりラホイ内閣に不信任案が提出されたのです。最大野党の社会労働党(84議席)は、極左政党ポデモス(67議席)だけでなくカタルーニャ独立派を含む各地の地域政党からも支持をかき集めました。2018年6月に350議席中180議席の賛成でラホイ首相は不信任、社労党のサンチェス書記長(1972年生まれ)が新首相に選出されます。
就任直後のサンチェス首相は自治権を拡大するための住民投票をやろうとトーラ州首相に持ちかけます。ところがトーラ州首相はあくまで独立を目指す姿勢を捨てず、提案を拒否しました。カタルーニャとの和解のためにバルセロナで閣議をやろう! と言い出して実際にバルセロナで閣議を開いたりもしたのですが、独立派による大規模な抗議デモで迎えられたりもしていました。まあそりゃ独立派にしてみれば彼らは占領者なわけですから、ケンカ売ってるようなもんですよね……。
社労党内部にもカタルーニャとの対話推進派とカタルーニャ絶許派がおり(http://shingokatoo.blogspot.com/2018/06/1811.html)、サンチェス首相自身は以前はカタルーニャを「ネーション」として認める案を支持していたようなのですが、現在は護憲派としてカタルーニャ自治州と対峙しています(http://shingokatoo.blogspot.com/2018/06/2017.html)。カタルーニャとの対話を訴えたポデモスがそのせいで支持を落としているようなので、あんまりカタルーニャに妥協することもできなさそうです。
スペインの主要政党がカタルーニャ独立問題に対して採っている態度は、概ね次のように分類できます(議席数は下院)。
- | 独立は憲法違反だしカタルーニャはネーションではないよ派 | 住民の意思を尊重すべきだしカタルーニャはネーションだよ派 |
---|---|---|
独立反対 | 人民党(134議席)、社労党(84議席)、市民党(32議席) | ポデモス(67議席) |
独立賛成 | - | カタルーニャ共和左派(9議席)、カタルーニャ欧州民主党(8議席) |
ちなみにスコットランドの独立を問う住民投票ではこんな感じでした。
独立には反対だけど住民の意思を尊重するよ派 | 独立賛成派 |
---|---|
保守党、労働党、自由民主党 | スコットランド国民党 |
スコットランド情勢が落ち着いててカタルーニャ情勢が荒れてる理由はだいたい上の表を見ればご理解いただけるのではないかと(こんな諷刺画もあるくらいです→https://www.eldiario.es/vinetas/mala-suerte_10_304919512.html)。
さて、人民党は下野後に党首選挙を行い、2018年7月、右派のカサード副事務局長(1981年生まれ)が新党首に選ばれました。カサード党首は、スペインの主権への攻撃に断固とした対処を取る、国民党は分離主義者と交渉しない、と主張し、分離主義に対抗して刑法改正を目指すとまで公言しています。中国共産党かな?
ところで、スペインの右派政党で最も国会での議席が多いのは人民党(134議席)ですが、右派政党である市民党(32議席)の人気も上昇しています。人民党は伝統的な保守政党ですが、市民党は経済的自由主義に立脚したスペイン・ナショナリズムを掲げる政党です(日本で言うところのみんなの党みたいな路線)。彼らは保守的価値観にはあまり興味を示しませんが、スペイン国家の一体性には強くこだわり、カタルーニャ独立に対する反対を表明しています。
もともと市民党はカタルーニャ・ナショナリズムに反対するカタルーニャ自治州の地域政党として2006年に誕生し、州内の行政や学校教育でのカタルーニャ語優先政策に反対、スペイン語使用の権利を訴えてきました。2006年のカタルーニャ州議会選挙で3議席を獲得後、2013年から他州にも拠点を築き、2014年には欧州議会、2015年にはスペイン下院に進出します。独立宣言後の州議会選挙ではアリマーダス州議(1981年生まれ)のもとで36議席を得て第一党になりました(選挙前は25議席で第二党)。ちなみにこの選挙では人民党が11議席から4議席に転落して惨敗しています。
そして2018年12月、アンダルシア州議会選挙で極右政党ボックスが議席を獲得します。ボックスは2013年の暮れに人民党右派が離党して結党された政党で、スペインの中央集権化とバスク・カタルーニャ独立への反対、反移民を唱えています。同選挙では
政党 | 議席 | 選挙前議席 |
---|---|---|
社会労働党 | 33議席 | 47議席 |
人民党 | 26議席 | 33議席 |
市民党 | 21議席 | 9議席 |
ポデモス・緑の党などの左派連合 | 17議席 | 20議席 |
ボックス | 12議席 | 0議席 |
このような議席分布となりました。過半数は55議席なので、右派連合は過半数を得るためにはボックスと手を結ぶ必要があります。2019年1月18日、人民党と市民党はボックスの支持を得て連立政権を発足させました。
このように、現在スペインではカタルーニャへの強硬姿勢を支持する3党の勢力が増しています。これが2019年2月10日にマドリードで開かれた大規模デモの背景です。もし今選挙が行われればこの3党が過半数を得る、と世論調査は予測しています。彼らはカタルーニャという共通の敵の存在と、それに対する政府の「弱腰」っぷりをアピールすることで政権交代を狙っているのです。
12日にはマドリードのスペイン最高裁でジュンケラス副首相らカタルーニャ政府要人の裁判が開廷されました。検察側はジュンケラス副首相に禁錮25年を求刑しています(弁護側は無罪を主張)。そして昨日、スペイン下院は2019年度予算案を否決しました。サンチェス首相が独立を問う住民投票の再実施を撥ねつけたため、カタルーニャ独立派が反対にまわり、過半数を確保できなかったのです。これによってサンチェス政権は解散総選挙の瀬戸際に立たされています。仮に総選挙になれば市民党やボックスが躍進し、きわめて反カタルーニャ的な政権が誕生する公算が高いでしょう。
ここまで来るとカタルーニャをネーションと認める方向で憲法改正した上で自治権を拡充するくらいしかカタルーニャの動きを鎮める方法はないだろうと思うのですが、人民党・市民党・社労党の一部は「カタルーニャはネーションじゃない!」で凝り固まっていて、カタルーニャもカタルーニャで急進的な独立派は「今更自治権拡充程度じゃ生ぬるい」となってるんで、なかなか難しいものがありますね……
国を作ってみよう、と思った。
いまの仕組みがいろいろ歪があるとして、いちから作り直すシミュレーションをやってみたら分かることもあるんじゃないか。
領土、主権、国民が必要だとして、領土を持つことは想定しないバーチャルな国家(A国としよう)。
単にバーチャルなコミュニティなんだけど、(領土以外の)国家制度を作るシミュレーションを行うことが目的。
で、通貨をどうするかと考えた。日本円や米ドルを使う選択肢はあるが独立国らしくない。
ビットコインのような仮想通貨を使う手もあるが、使えるシーンが限られすぎているし価値変動が大きい。
A国民の誰かが別のA国民からサービスを受けたとして、その対価を支払うとか、あるいは外国(例えば日本国)と取引したときに使いやすいものがいい。
うまく流通に乗せるには日本円との交換のしやすさが大切なので、今のところAmazonギフト券を使うのはどうかと思っている。
メールタイプなら個人間送金もしやすいし、いまのところ日本円とは固定相場で安定性がある。
Amazonで購入できないものも限られているので、通貨としての性質は優秀だと思うんだが、どうだろう。
A国内企業の給与はAmazonギフト券で。納税もAmazonギフト券で。問題は日本円→Amazonの両替は簡単だが、逆は難しいところか。
全く同感なんだが、ネトウヨが北方領土についてなぜか乗り気じゃないばかりか「パヨクが元気だな」「今更いらないよあんな島」とよくコメントしているのが理解不能
政権憎しを拗らせて、ついに市民まで批判しはじめたぞ。市民、国民は選ぶ側。雑多な価値観を併せ持つ人達の存在を認めた方がいい。ご自身にも独善→独裁の悪臭が立ち込めているのに気づいてね。— maskin (@maskinlogy) January 30, 2019
市民はどこの市民だ!
国民だろうが!馬鹿じゃない?
お前ら立憲民主でも無理だよ!
アメリカも絡んでいるから。
だいたい、日本に主権なんかあるものか!
サンフランシスコ平和条約で国後島、択捉島はアメリカに破棄された事をあなた知らないの?
安倍総理を批判する資格なし!
目糞が鼻糞を笑う!— 菜の花蝶々Ⅱ (@0mZ5R7aZEQg5Moa) January 30, 2019
アカウントを取ったのは昨日で、それ以前にハテラボに書き込みをしたことはありません。
たまたま、離婚相談について回答した折りにこちらが関連に上がってきたので見たまでです。
>生物云々言ったら、母系社会で狩りも育児もメスがやるのが多数派だぞ?
生物についてほとんど何もご存じないのに適当なことを言うのはやめませんか?
まず先に申し上げた通り、「他の生き物がこうしているから人間もこうするべき」と、発言者に都合の良い部分だけつまむのは「自然主義の誤謬」といいまして論理上の誤りです。
そもそも「狩り」をするのは捕食動物に限られ辞典で生き物の多数派ではありえませんし…。
「狩りをするのがメスだけ」なのは、
「プライドを持っているライオンのオスだけ」です。プライドを持たない場合はオスは自分で狩りをしています。メスより成功率が低いので死亡率も高いんですけどね。
>なお人間も女性主権の母系社会を貫いてる部族もあるけどマジョリティーかな?
部族という言葉からわかる通り、現代社会では極めて少数派です。
人間の場合、狩猟採集生活から農耕牧畜生活へ移行したことで富の蓄積が可能になったため、
闘争に適応した男性が台頭し男系社会へ移行していったとみられます。
日本だって跡取りといえば通常は男子ですし、結婚は男性が嫁をとるものでしょう。天皇家だって女性天皇を認めるかどうかで今揺れているではありませんか。
だってぶっちゃけ日本政府が遺憾の意のラインを越えて韓国軍と軍事衝突の危険性が生じるようなアクションをするのは有権者も反対でしょ
でもたぶん竹島ってもう日本が取り戻すには軍事行動しかないんでしょ
じゃあ竹島って本質的には日本国民も要らないって民意を示してる様なもんじゃね
竹島って要らなくね?
「有権者」「民意」ってばっちり言ってますやん。言い逃れもいい加減にしろ。
何より「民意が整わなくても竹島を放棄してもいい」というのはなお悪い。お前の一存で国家の主権をくれてやる?いい加減にしろ。
ギロチンの例えはそもそも俺の発言を誤読した人がそう誤解したわけでそこに対して俺が突っ込んだ文脈があるんだから俺はすり替えてないでしょ
てか、しれっと「献上」を「放棄」に書き換えてるし。
今更そんな風に取り繕ってもお前の薄汚い魂胆はミエミエ。
例えそういう意味であったとしても「国家の主権は国民にあり」という民主主義国家の建前は崩れてない。
しかし、領土を国民およびその利益ごと他国に献上するのはそれ以上の悪。
考えることすら万死に値する
>そもそも竹島を日本国民の民意は必要としてるのって疑念も含まれてるわけ
必要としているか必要としていないかの問題ではなくてね、領土をはじめとする主権は、基本的に失ってはいけないものなんだよね。
国家が領土を失う時は、戦争で負けた時のみであり、これは歴史の法則レベルの話。
中国だって、経済成長のお荷物となっている内陸部を手放そうとしていない理由を考えてみればいい。
安倍ちゃんとプーチン大統領の首脳会談で、北方領土の返還問題が挙がっているみたいだけどさ。
まあ予想の通り、両者の前提条件や目指すべき青写真の段階で食い違っていて、話が進んでいない。
1956年の日ソ共同宣言の2島返還の中には主権が含まれているとかいないとか、屁理屈言ってんじゃねーよと思うよね。
もうめんどくさいから、自衛隊の上陸部隊を組織して北方四島に上陸して占領しちゃえば?
当然ロシアは激怒するだろうし、そもそも日本はロシアと平和条約自体を結んでいないわけだから、こちらから友好的に振る舞う理由もないじゃん。
ロシアから日本に核ミサイルが飛んでくるかもしれないけど、それが在日米軍基地に着弾したら、それはそれで面白いよね。
話し合い・交渉で二国間の諸問題を解決できないから、外交の延長として交戦権を行使して武力解決する。
「ロシアが交渉に応じてくれずに不誠実だから」という大義名分もある。
話し合いが通じないなら、どうしようもないよね。