はてなキーワード: かんかんとは
私は梅雨のない地域で生まれ育ったので、この季節特有の空気感に慣れるのにはまだまだ時間がかかりそうです。夏の間はいつも冷たい素麺や饂飩ばかり食べているのでどんどん痩せていきます。軽くなった体で往来を歩いていると、蜃気楼の中に自分が溶け込んでいくようです。
目的地まではまだ距離があります。あまりに暑いので、途中で見つけたスーパーで冷たいお茶を買いました。あとは、お土産に西瓜も一玉買いました。
お茶を飲んだせいか、片手にぶら下げた西瓜が重いせいか、一歩足を進めるごとに全身から汗が噴き出てきます。もう夕暮れ時だというのに、気温はまだ高いままのようでした。
ふいに私の後ろからなまぬるい風が吹いて、石けんと汗が混じった自分の匂いがしました。私は夕焼けを背にして歩いていたので、目の前には自分の影が長く伸びていました。私はもうこれ以上歩けない気持ちになって、シャッターが閉まった八百屋さんの前にあるベンチに座り込みました。
しばらくじっとしていると、もう何年も前のことになりますが、初めて一人暮らしをした年の夏の出来事が頭の中に蘇ってきました。
****
私が初めて一人暮らしをしたのはとても大きな街でした。
人々の歩く速度や、次の電車が来るまでのスピードは信じられないほど早く、私はよくそれらに圧倒されて駅のホームにあるベンチにただ座り込み、地下鉄を何本もやり過ごしたものです。そういうとき、街全体がそこで暮らしている人々をも取り込んだ一つの巨大なシステムであるかのように感じられました。そうかと思えば、人気のない道端は吐しゃ物やごみで汚れていたり、ぼろぼろの格好をした人々が呻きながら寝転がっていたりしていたし、私が駅のホームでぼんやりしていても変に思われませんでした。同じようにぼんやりしている人をあちこちで見かけました。そういった意味では暮らしやすい街だったなと思います。
この街に来たばかりの頃はとにかくお金がなかったので、いつも働き口を探していました。私は学がなく、またひどい吃音と緘黙症をもっていたために仕事探しは難航するかと思われましたが、幸運なことにこの大きな街においては仕事にあぶれることはありませんでした。
私はその年の夏、街の端の方に位置する治安の悪いXという地域にある建設会社で働いていました。
上司の指示を受けて色々な住宅展示場に出かけていって、モデルハウスの前のパラソルの下でお客さんが来るのを待ちます。お客さんが来たらパンフレットを渡して、モデルハウスについての簡単な説明と質問応対をスケッチブックやパソコンを使って行います。お客さんが来ても来なくてもお給料は変わりません。そんな仕事でした。当時はほとんど話すことができなかったので、なぜ採用されたのかはよくわからないのですが。
お客さんはあまり来なかったので、週末に図書館で上限まで本を借りて、それらを読んで時間をつぶしました。仕事が終わる時間は十八時頃まででしたが、土地勘がないのと、ときどきバスでしか行けないような場所の展示場に行くことがあったために(それまでバスに乗ったことがなかったので)帰り道を間違えてしまい、ようやく家に辿りつく頃にはもうとっぷりと日が暮れているというのが常でした。
お客さんが来ない日は、モデルハウスの中に立ち入ることは禁じられていました。一日に二回、私が勝手なことをしていないか上司が見張りにきました。とはいえそれはいつも同じ時刻だったので、その時間だけ本をかばんに隠してパラソルの下で神妙にしていればよく、それ以外の時間はのんびりと過ごしていました。
夏至を過ぎると一気に気温が高くなって、私はそれまで体験したことのない暑さに驚きました。外の気温が体温を超えたときなどは、時間を見計らってこっそりとモデルハウスの玄関で涼んだものです。窓と玄関のドアを細く開けると気持ちのよい風が通りました。髪をほどくと、風に吹かれて私の汗と石けんが混じった匂いがしました。
その日の最高気温は三十八度で、朝から晩までかんかん照りという有様でした。
お客さんは一組も来なかったのですが、あまりに暑くて読書に集中することができませんでした。仕事の時間が終わって戸締りをしようとしたとき、雲のない空からまっすぐに差す夕日が、太陽を背にして玄関に立つ私の影を家の中まで長く伸ばしました。
それを見た瞬間、真新しい家の二階の窓から夕焼けを見てみたいという強い気持ちが私を襲いました。それまで、お客さんが来ないときに家の二階まで入り込んだことはなかったのに。
ここで働くようになって初めて、新築の家の匂いを知りました。それは、少し化学的な匂いと、新品の布や畳の匂いとが混ざった匂いです。
階段を静かに上りながら、この家に自分が住んでいる空想をしました。ベランダが付いている部屋を見つけて、ここを私の部屋にしようと思いました。その部屋の窓は南西に向いていて、西日が差し込んでいました。この場所には学習机を置いて、ベッドの向きはどうしようか?壁の一面には大きな本棚を置きたいけど、背表紙が日焼けをしないように扉が付いたものでなくてはいけないかもしれない。友達が遊びに来たときのために小さいテーブルも必要かもしれないな。そんなことをつらつら考えているとなんだか少し悲しくなってきて、その気持ちを振り切るように窓を開けてベランダに出ました。
辺りはすっかりオレンジ色に染まっていて、建物や木々や道を歩く人々の輪郭を曖昧にしていました。
それらを見つめながらかすかな風の中に佇んでいると、少しずつ気持ちが落ち着いてきて、これからまた何だってできるような気がしてきました。何しろ私はこんなに大きな遠くの街にいるのだから。
部屋を後にしようとしたとき、クローゼットの扉が少しだけ開いているのがふと気にかかりました。窓を開けたせいで風にあおられて開いてしまったかもしれません。二階に上がったことを上司に知られてはいけないので、扉を閉めるために私はそこに近づきました。
扉の隙間からは妙な匂いがしました。新築の家には似つかわしくない匂いです。手垢で小口が汚れた古い辞典をめくったときや、寂れた地下鉄の駅のホームに列車が来たときにこんな匂いをかいだような気がしました。大工さんが中に何か忘れていったのかもしれないなと思って、私はクローゼットの扉を両手で開きました。
****
初めに「それ」を見たとき、私は大きな置物や等身大の人形の類かと思いました。しかし「それ」は紛れもなく本物であるようでした。
「それ」を目にするのは初めてではありませんでしたが、こんなに乾いていてさびしげな「それ」を見たことはありませんでした。ほとんどミイラのようになっていたので、いわゆる腐乱臭のようなものは感じられませんでした。ひどく痩せていて、夕日が肉の落ちた腕やあばら骨の浮いた胸に濃く影をつくっていました。眼窩は落ちくぼんで暗くなっていましたが、色々な方向からのぞき込むと、小さな白い虫が奥の方でひっそりと蠢いているのが見えました。
夕暮れどきの時が止まったような不思議な雰囲気のためか、私の心は奇妙なほど落ち着いていました。あるいは、日中の暑さで頭がうまく働かなかったのかもしれません。
ここでの私の仕事は、パラソルの下でお客さんを待ち、お客さんが来たら簡単な説明と質問応対を行い、時間が来たら戸締りをすることです。もし家の中に「それ」があったときには上司に報告したり警察に通報したりするように、などという指示は受けていません。私はクローゼットの扉を静かにぴったりと閉めました。
部屋を出て階段の方に向かったとき、奥の部屋から何かの気配と殺気のようなものをふと感じました。私は子供の頃に大きな野良犬と対峙したときのことを思い出しました。その犬からはまっすぐな殺意が感じられましたが、奥の部屋から漂う殺意には迷いがあるようでした。そこにいる何かが心を決める前に、私は階段を下りて玄関のドアを開けて戸締りをして、人通りの多い道を選んで駅まで歩きました。
****
ふと気が付くともう太陽が沈むところでした。私の目の前には誰かが立っていましたが、暗くて顔がよく見えませんでした。大丈夫ですかと尋ねられて初めて、私はその人が恋人であるとわかりました。
約束した時間を過ぎても私が家に来ないので迎えに来てくれたようでした。夏でもいつも平気そうにしているはずの恋人の額には汗が浮かんで、髪が少し乱れていました。
ぎゅっと心臓をつかまれたような気持ちになって、迷惑をかけてしまったことを謝りました。彼は私の頭のところにそっと手をやって、あまりにそこが熱くなっていたらしくびっくりしていました。こんなに暑い日なのだから自分がそちらの家を訪ねればよかった、すみませんと恋人は言いました。そうやってベンチにすわってお互いに何度も謝り合っているうちに少し涼しくなってきたので、家に向かうことにしました。
手を繋ぐと、恋人の腕の内側の皮膚が私の腕に触れました。少し汗ばんだあたたかいその皮膚は、その下に肉や血の通った血管があることを教えてくれて、私はそれで少し安心することができたのでした。
今日の晩御飯は一緒にピリ辛茄子素麺を作る約束をしています。西瓜はすっかりぬるくなってしまったけど、水とたくさんの氷を浮かべたお風呂に沈めておけば、夕食の支度をして食べ終わった頃にはちょうど冷えているかもしれない。そんなことを話しながら、蒸し暑い夏の夜道を二人で歩きました。
昔々、あるところに働き者の若者がおりました。
ある日、若者は馬を買いに行きました。
しかし、若者は意地悪な男たちに騙されて死にかけのみすぼらしい馬を買わされてしまったのです。
でも、若者は必死に馬の世話をし、愛情を込めて馬を育てました。
すると、なんと馬は美しく国で一番足のの速い馬になりました。
その立派な馬はたちまち世間の評判になり、やがてお殿様も知るところとなりました。お殿様は馬と一緒に若者を召し抱えたい言い、家来に馬と若者を連れてくるように言いました。
〜〜
ところが、その話を聞きつけた元の馬の持ち主と意地悪な男たちが若者の所にやってきて言いました。
「これは俺たちの馬だ。すごいのはお前じゃない!」
意地悪な男たちは馬を連れて、お殿様の所に行き、馬とともに召し抱えられました。
〜〜
馬を取り上げられた若者は大変がっかりしていましたが、やがて新しい馬を飼い始めました。
〜〜
馬を手に入れたお殿様は、国中の足自慢の馬を集めて、馬のかけ足比べレースを開催しました。
「勝ったものには褒美を与えるぞ!」
一番足の速い馬持っているお殿様は自信満々に言いました。
そして、レースが開催されました。
勝ったのは……
あの働き者の若者の新しい馬でした!
馬と若者は大勢の喝采をうけ、抱えきれないほどの褒美を手にしました!
〜〜
ところで、お殿様の馬はどうなったのでしょう?なんと、意地悪な男たちはお殿様の馬を上手く走らせる事が出来ず、馬を怪我させてしまったのでした。怪我をしたお殿様の馬はゴールまで走るのが精一杯でした。
それもそのはず。
意地悪な男たちは事あるごとに
「すごいのはこの馬だ。あの働き者の若者じゃないぞ!」
といい若者の悪口を言い、わざと若者のすることと反対の馬の世話をしていたのです。
それで馬はすっかり元気がなくなっていたのでした。
その後、全ての顛末を知ったお殿様はかんかんに怒り、意地悪な男たち打ち首にしたのでした。
🐎🏇🐴🐎🏇🐴🐎🏇🐴🐎🏇🐴
(この話はフィクションです)
これをやらなけれならない→別に今日じゃなくてもいいしまた今度
これやるの億劫だな。でもやらないとな。でも今日やらなくてもいいや→やばいそろそろやらないと→ギリギリもしくは少し遅れて提出(遅くなって申し訳ありませんと付け加える)
これやらないとな。でもテレビでちょうどみたい番組やるしその後だな→面白かったな。やらないと…→でももう遅いから明日でいいや→あの時何でやらなかったのだろう・・・
しまった。自分の過失でクレーム出しちゃった。相手絶対怒ってるだろうな。上司もかんかんだし。バレたくないな→やらないと…でも怖い…→現実逃避(楽しいな~)→結局逃げ切れるわけもなく怒られる。上司もキレるし顧客も怒りマックス。あの時すぐ対処していたら傷口が深くなることはなかった(けどその時はそんな余裕なんてない)
(出来もしないことを)やります!!(1ヶ月も余裕あるからなんとかなるやろ)→残り1週間じゃん。全然やってねー。まあなんとかなるやろ→締切明日じゃん!どうしよう…→結局ごまかし適当なものを提出し、更に言い訳をして逃げ切ろうとする(上司に評価されることはなくひたすら怒られる模様)
上司「お前は使えないしゴミだ」→落ち込む→俺なんかダメな奴だな(畜生!今度は絶対失敗しないぞ。ギャフンと言わせてやる!とはならない)→どうせまた失敗だ→やってもしょうがないし…→俺はだめな人間だ死にたい(やけ酒)
なお相手(部下、お店)の過失に対して
お前ふざけてんの?なぜこんな簡単なこともできないわけ?(自分ができるとは言っていない)
お前の失敗のせいで俺はどんなけ酷い目に合ったか(ブーメランじゃね?)
遅いわ!期日くらい守ろうよ社会人として常識だろ(自分は守っていると言っていない)
自分のメンタルこんな感じ。本当自分ってどうしようもないクソ人間だな・・・
どうすれば自信を持てるようになるのか。本当生きてて辛く感じるときがあります。
どうすれば心が強くなったり余裕を持つことができるでしょうか?誰か教えてください。
http://kyoko-np.net/2018082701.html
腮
ttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%85%AE
漢字
腮
日本語
発音
墲
ttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%A2%B2
漢字
墲
字源
- 会意形声。「土」+音符「無」、「無」は舞い踊る姿で、「蕪」等に見られるように物が隠れる・物を隠すの意を有する、音も「莫」「暮」「墓」等に近い。
字義
日本語
発音
悚
ttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%82%9A
漢字
悚
日本語
発音
凬
ttps://zh.wiktionary.org/wiki/%E5%87%AC
(※『風』の古字。日本語版ウィクショナリーに記事が存在しないため中国語版)
漢字
凬
- 总笔画:7画
- 部首:几 + 5 畫
- 異體字:風|𠙊|凬|凮|凨|𠙈|飌|檒|瘋
罧
ttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%BD%A7
漢字
罧
- 部首: 网 + 8 画
- 総画: 13画
日本語
発音
愆
ttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%84%86
漢字
愆
- 部首: 心 + 9 画
- 総画: 13画
日本語
発音
雎
ttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E9%9B%8E
漢字
雎
- 部首: 隹 + 5 画
- 総画: 13画
日本語
発音
熟語
- 関関雎鳩
- 暴戻恣雎
竭
ttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%AB%AD
漢字
竭
- 部首: 立 + 9 画
- 総画: 14画
日本語
発音
竇
ttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%AB%87
漢字
竇
日本語
発音
櫢
ttps://zh.wiktionary.org/wiki/%E6%AB%A2
(※日本語版ウィクショナリーに記事が存在しないため中国語版)
漢字
櫢
- 总笔画:19画
- 部首:木 + 15 畫
かんかんどうりつぐらいで物を言わないで?
水がある。
この水はどこから来たのか。
ずっとずっと昔、地球を形作った隕石の水蒸気が…なんて話は私は理系じゃないのでよくわからない。
しかし、そういった脈々と受け継がれてきた水が今、目の前にあるのだ。
アスファルトの上に点在しているそれは水溜りだし、それがかんかん照りで水蒸気になる。
雨は川になり、湖になり、ひいては水道局が徹底管理した水道水になる。
蛇口をひねった時に、勢いよく流れたそれは私にとって水である。
人類がまだ、洞穴でひっそりと暮らしてる時、岩場の裂け目からにじみ出る雫も水であったし、土色をしたら泥水も水であった。
私は、この瞬間からはい、水ですよ、雨ですよ、いやいや水蒸気ですよ。といったことを延々と考えてしまう。そんな瞬間なんて存在しない。
砂つぶ1つはただの砂つぶだが、いくつ集まったら砂山になるのか?なんて問いがあるけど、そう、瞬間なんてないのだ。
言葉とはその人が感じたことを発声し、明文化したものであって、受け取る人によって全く違う。
クオリアという言葉があるが、私は見る人によって色や味、感じ方は全く違うと思っている。
なんじゃこの服の色のセンス。ダサすぎやろ、って居るけど、その人が感じた最高の色使いであって、自分の目には最低に写っているだけだ。
自分が嫌いな食べ物を、パクパクと食べる人がいるように、そういった感覚というものは全く違ってしまうのだ。
もしかしたら、明日、いや1時間後いや、1秒後でも今生きている瞬間の自分と違うのかもしれない。
これはもう、瞬間恐怖症とでも名付けようか。
なんでもいいからはやくいきなよ。悪友のおんなにげしげしと足蹴にされながら非常階段へでた。かんかんと高いおとが靴のしたで鳴る。ぎらぎらした夜だ。それでもなかにいるよりはおちつく。
電波がわるいから屋上がいいよともうひとりの悪友のおんながいった。こちらはがみがみとしかりつけるような声色ではない。ありがとうとこたえる。
ひとまえで何かをするのはとてつもなくエネルギーを要する。みずからのぞんでここにたっているとしても。どだい、なにかを発するためにはどこかを消耗しているのだから、そのぶんの欠落がないかのように壇上でも舞台うらでもぎらぎらとふるまう人のむれの中にいるのは、いつまでたってもぶきみだし慣れない。
はらへったな。おどり場に腰をおろすとそんなことばが口をついてでた。腹がへったら喰わねばならない。
きみどり色のアイコンをおや指のはらでたたく。受話器のマークは近ごろのメインユーザーにつたわるものなのか。4コールほど待ってやわらかい声が耳朶をくすぐる。はい、──です、どうしたん、しごとじゃないのん。
どうもしないし元気だけどかけてはだめですか。息をすって、ききかえすのにすこし勇気がいった。いつのまにか、なにかがかなしくて、苦しくて、やりきれなくて、どうにもならなくなったときにこのひとにたすけをもとめるのがならいのようになっていた。
ほろほろと耳元で声がわらった。元気か、そうかそうかとってもよろしい。ほっとしてしまって、べらべらとくだらないことをしゃべった。これはいいものだとはなしながら思った。なんでもないことをずらずらとならべて、それであなたがわらうならいい。
そんなわけですごく元気なんだけどまたあってくれますか。ひとしきりはなしたあとまじめくさってたずねると、また、やわらかい笑声がほおをなでた。もちろんですお客さま。
おどけた声だった。ふかい意味もないようだった。それでも手指の骨がいたむような思いがあった。たしかにこちらがクライアントの立場にたち、おおやけの場で音やことばを発するおぜんだてをたのむこともあった。その点において、この人はまるで機械のように精確にひとののぞみをかなえるのだった。電波のかたすみでよくみる、時計や宝石の技師のようだった。
業務として、手もとにめぐってきた製品をよく識るために、かの女はそれらをやはり精確にきっかりの分量で愛した。甘すぎも重すぎもしない。ぬれそぼってもかわいてもおらず、自分のようになにかを発信したい、けれどもいちいち返信はうけとりたくないと思っているいいかげんなこの世のすべての日蔭のものかきどもにとって、のどから手がでるほどほしいものだった。
この人にあまえている、どうしようもなく。おぼれるようにだれかを乞いたい、適度に愛されもしたいけれど背おいたくない。そういうやからにとって自分はいかにも手ごろなのだと、かの女自身よくわかっている。だからなのか、よんでくれれば会いにいくといって笑う。こちらから会いにいくことはあまり歓迎されていない。この人には夫がいる。
日どりのはっきりしない約束もどきをかわして通話をおえた。唇がからからになっていた。あーあ。自分のどこがそんな音をたてるのかふしぎなくらいひしゃげた声がそのすき間からこぼれた。あーあ。とうとうやってしまった。とうとう録ってしまった。この世にはおそろしい技術がある。ふきっさらしの非常階段のまんなかで、せいぜい風にふかれてろくに録れていないことをねがう。
前座:
http://anond.hatelabo.jp/20140602200934
さぁ、前座のウンコーダ選手の活躍を振り返ってどうでしたか?ギコさん。
「ルーク直伝の『俺はわるくねぇ』戦法が光りましたね。
将来が楽しみな選手ですが、デスマーチにするには、彼一人では力不足でした。
テストコードによる自動テストと定期ビルドが効きましたね。マイナスの作業をしても,すぐに検知されてしまいます」
さて、前座では、ウンコーダ選手の封じ込めが成功したようです。
多少の遅延を出すのに成功しましたが、プロジェクトを倒すにはいたりませんでした。
では、続いての選手の入場です。
百戦錬磨の俺の経験が生み出した最強のマネージメントをみせてやる。
最凶の管理職、バカンリー選手の入場だぁああああああああ!!!
「いい感じでアップしてますね。
入手した情報によると、退職した部下がたたきつけたピープルウェアを俺様の経験にはかなわないと、投げ返したそうです。
慢心と無謀の精霊に取り付かれている、いい状態です」
さぁ、バカンリー選手、PCを操作します。どんな技をくりだすか・・・
ああああっっと!!!
スケジュール管理を、バグ管理を、仕様書を次々とExcelで管理していく!!!!!
でたあああああ!!!
Excelを方眼紙にするスクエアーExcelがきまったあああああああ!!!!
「検索やバージョン管理をさせてなるものかという、バカンリー選手の強い意志が感じられますね。当然、同時に修正もできないので、順調にプロジェクトを遅延させていきます」
おっと、リーダ。
おっと!!!
拒否ったああああああ!!!むしろ、誰が作ったか分からない怪しげなソフトを使っているリーダーを攻める!攻める!!!
でたあああああ!!!私が若い頃はちゃんとドキュメントを書いたぞバスター!!!!!!!
「いやー。いいですね。Wikiに記述してある資産を一切みずにExcelファイルのみを成果物とみなす。これは、メンバーの士気に良いダメージを与えますよ」
どうやら、進捗の遅れを気にしているようです。
おっと!
『遊んでないでさっさとプロダクトコードを記述しろ』がきまったあああああ!!!
これは、いけません!
ウンコーダ選手のマイナスの成果物を封じ込めていたテストコードの戒めをとくつもりです!
『君たちも、こんな無駄なことをしていないで、ウンコーダ君のようにさっさと実装したまえ』
か、解説のギコさん。どういうことなんでしょうか?
遅延の要因がウンコーダ選手でなく、周りの人間のせいになっていますが。
「やりますね。ウンコーダ選手。動きを封じられて余った時間と、その無駄なコミュ能力、そして、ルーク直伝の『俺はわるくねぇ』戦法により、すべての責任を周りに押し付けたようです」
おや!?
どういうことですか!ギコさん!
次々と普通のメンバーがウンコーダ選手に変化していきますよ!!
「これはいくつか要因があります。成果物と士気には密接な関係があります。簡単にいうとやる気のない状態での成果物の質は低くなります」
「ええ。
そして、ウンコーダ選手の得意とした『俺はわるくねぇ』戦法は、感染力があります。
その戦法を使う人間が一人でもいると、周りの人間もそれを使いだしてしまいます。
当然、俺が悪くないということにリソースを費やすので問題解決は遅れます
これは、バカンリー選手とウンコーダ選手のいいコンビプレーですね」
プロジェクトを地獄へ送る直角ブレンバスタぁぁぁぁがきまったあああああああ!!
おっと、リーダ。
状況の回復につとめるようです。
代わりに、人を投入することに決まったようですが・・・どうですかギコさん。
「いけませんね。遅れているプロジェクトに人を投入すると、ますます遅れる傾向があります」
なんだ!!!
まさに、三本の矢。
一人でダメなら、二人、二人でだめなら三人。
プロジェクト、おまえが倒れるまで、何人でもウンコーダを投入し続ける!
一人一人は弱くても、何人もあつまれば必ずプロジェクトは倒せると!
すごい!凄い猛攻だ!!
これは、きまったのか!!!?
おおお!
たっている!
残ったメンバーの家族の時間と、プライベートを墓地に捨て特殊カード「現場の努力」を召還!!!!
常人ならざる使命感と、労働法にふれる労働時間で、残ったタスクを次々と消化していく!!!!!
<かんかんかんかーーーーーーーん>
おっとおおお!!!!
ここで、ラウンド終了のゴングです。
メインイベント
今週もやってまいりました。
日本中の兵どもが、プロジェクトを破壊するために死闘を尽くします。
「いやー面接じゃなにもわかりませんからねぇ。どんな荒業が飛び出すか想像もできません」
では、注目してみてまいりましょう。
でたーーーー!!開幕早々の大技だ!
「これはすごいですね。難しそうな作業は全部拒否するATフィールドを展開して、リーダを牽制しています」
おっと、リーダ、食い下がる。
「面接でみせた、一見、口が上手くてコミュニケーションが得意そうにみえるという罠にはまりましたね。現場を離れた人が面接官だとよくひっかかりますよ」
おっと、リーダあきらめた。ある意味凄い交渉力だ。
実装を始めているようですが、どうですか?ギコさん。
「いえ、よく見てください」
おおっ!実装しているふりしてYahooニュースを見ているぞ!
人が後ろを通るたびに切り替える!!まさに変幻自在のフットワークだ!!!
さぁ、さすがに仕事をはじめたようです。
ここまで、始まったばかりですが、序盤戦をみていかがでしょうか?
「一応ありますが、見ていないようです。まぁ、命名程度じゃプロジェクトを倒すまでにはいきませんねぇ・・・ああ、これはあぶないですよ!」
「みてください。全部グローバルです。変数も関数も全部グローバルスコープです!」
かって古のプログラマーを苦しめ、プロジェクトを地獄においやった伝説の必殺技グローバル変数の乱用が21世紀の現代によみがえったああああ!!!
鬼の目にも涙。せめてもの慈悲がウンコーダ選手にも残っていたようです。
「いえ甘いです!コメントが日本語として意味が通じない文章になっています!」
まさか、英語のスペルミスならともかく、母国語で意味の通じない文章を記述するとは、嫌らしい責めをします。
さて、アルゴリズムとかはどうですか?
「いけませんね、この処理はライブラリでサポートされているのですが、車輪の再開発をしてますね」
「メモリと処理時間に順調にダメージを与えていますね。100倍程度の差はあるんじゃないですか?」
赤い仮面の男を遥かに超えた100倍の速度差がきた!!
おおお!!!
まさに分身の術!
ああ!?subversionを操作しているぞ・・・ま、まさか、まさかあああああ!!!
プロジェクトにダメージを与える必殺の一撃がはいったああああああ!!!!!!!
「いえ、定期ビルドでエラーが発生しました。この程度でプロジェクトは倒せませんよ」
リーダがつめよります。
すごい!蝶のように責任を回避しつづけるその姿はまさにモハメドアリです!
でたあああああ!必殺技!『私の環境では動いていたので別の人のせいじゃないっすか?』
テストしてないのにすごい自信だあああああ!
「人によって動いたっていう定義が違いますからねぇ。テストが合格したら動いたという人もいますし、コンパイル通ったら動いたっていう人もいますからね」
<かんかんかんかーーーん!>