はてなキーワード: カシスとは
彼がそう言ったのはちょうど今日みたいな蒸し暑い雨の夜のことだった。
営業部の人との合同の飲み会。暑さとアルコールに当てられ、一息つこうと外に出たところ、彼がいた。
同期だった彼とは、部署異動ですぐに別々になり、話したのは久しぶりの事だった。
背の高い彼、爽やかな彼、笑うとえくぼのできる彼、密かに憧れていながらもなかなか話しかけられなかった彼。何度か話せたのは彼と私の好きな洋楽バンドがたまたま一緒だったから。思えばいつも彼から話しかけてくれていた。自分から話しかけられたことは一度だったなかった。
だって彼はいつも素敵で、彼の周りには沢山の人がいつもいたから。
思い切って話しかけられたのはきっとさっき飲んだカシオレのせいだった。
かき集めた勇気と勢い。けれど彼の気さくな笑顔と「大好きな洋楽の話」という共通項のお陰で、あの時解けなかったぎこちなさは舌の上のかき氷のようにすんなりと溶けた。
「あのバンドのアレ、もう聞いた?」そんな焦れったいやりとりの末に言った「連絡先、聞いてもいいかな?」は営業部の爽やかな笑顔でばっさりと却下された。
あーあ、やっぱり彼みたいな素敵な人にはもう彼女、いるよね……。そう思ってすぐに彼が言った。
ここ、使おうよ
そうして彼が見せたのがこのページ
青を基調としたすっきりとしたページだった。
「なあに?これ、フェイスブック……じゃないよね?」
「ノンノン」彼はそう言って細長く優美な人差し指で私の唇をそっと塞いだ。
「名前を隠して楽しく日記……それがこのはてな匿名ダイアリーだよ」
唇がかぁっと熱くなった。お気に入りの赤リップの色が彼の指に移って煌めく。
「でも……匿名なんでしょ?これじゃ誰が私のエントリかわからな……ん」
今度私の唇を塞いだのは彼の唇だった。柔らかくて優しくて暑いkiss。唇についた私の赤を拭いながら彼は言った。
「大丈夫。増田ちゃんのエントリのことなら僕が必ず見つけるよ。」
「それに」低くて甘い声。こんなに綺麗な声だったっけ……。さっきkissした唇が今度は声で私を惑わす。
「そこ、人気エントリにね」
ーーーー
約束通り、彼のエントリはそこに並び続けた。政治、ライフハック、大喜利……、その度に形は変わったけれど、私には誰が彼のエントリだかすぐにわかった。
だって彼の魅力は匿名の青い仮面でも隠し通せるものでは無かったから。
「2人だけの秘密……だね」
彼との約束通り、私は誰にもバレないように彼にトラバを送った。ある時はうんち、ある時は低脳、ある時はお気持ち長文……それでも彼は私のことをいつも見つけてくれた。
それももう、4年も前の話だ。もう何度リロードしても、彼のエントリは見つからない。
彼がいた頃、世界は輝いていた。雨に濡れた安居酒屋前の歩道も銀に輝く川だった。仄暗い街灯下に並ぶ街路樹も、枝葉に光を満たしていた。
彼がいない今は何もかもがすっかり色あせたガラクタだ。チープで薄汚れたつまらない街。
彼がいた頃、増田たちの語らいは七色の絵の具で描き出される夢だった。愛、理想、正義に溢れていた。
彼がいない今は何もかもが、酒の席の御託だ。使い古されたくだらない正論。
それでも私は日記を書く。届かないとわかっていながら。
「ここは市長がお忍びで利用する、行きつけの店だ」
そう言ってウサクは店内に入っていくので、俺も後ろをついていく。
店内を見渡すと、隅っこの席に本当にいた。
酒を舐めるように飲んでいたが、“舐める”と表現するべきか分からないほどペースが早い。
「あ、誰かと思えば市長じゃん」
「相席、失礼する」
俺たちはおもむろに市長に話しかけつつ、近くの席に座りこんだ。
未成年だけでわざわざ居酒屋に来る時点で不自然だし、セリフも些か白々しかったが、市長は酒が入っているようで気にも留めない。
「この店の接客サービスが好きでしてね。素っ気ない……と言えば聞こえは悪いですが、ほっといてくれるのは時に心地よいものです」
そう呟く市長の態度が何より素っ気ない。
遠回しに「話したい気分ではない」と言いたげだった。
まあ、プライベートでの過干渉なんて俺も嫌だが、そうもいかない。
まずはこちらに関心を持ってもらうため、何気ない雑談から始めよう。
「……この酒を知らないのですか?」
「生憎、酒は飲めないんで」
「なら知らないのも無理はないかもしれませんね」
コミニケーションのとっかかりは疑問をぶつけることだ。
「この『ドカシス月光』は作っている場所こそ違いますが、原材料は全てこの市が生産しているんです。カクテルや料理に使われることの方が多い酒ですが、そのまま飲んでも美味しい。自慢の名産と言ってもいいでしょう」
「作ってるのは別の場所なんだ」
「本当は酒の製造も市でやりたいんです。でも原材料にすら税金がかかっているのに、酒そのものにも高い税金が発生するから地元じゃ誰も作りたがらないんですよ。だから酒税のない地域で作ってもらって、それを個人で取り引きしたほうが安上がりなんです」
「なんだか脱法の密造酒みたいだな」
酒飲みの語りは老人の長話くらい聞くに堪えないものだが、今この状況においては都合がいい。
そうして十数分後、市長も酒が大分回ってきたようで、顔は明らかに紅潮していた。
「私にだって子供らしい夢はありましたよ。大統領になって、世界を愛と平和に満ちたものにするっていう……」
「この国、大統領制じゃないぞ」
深酒が過ぎたかもしれないな。
日を改めるべきか。
「……まあ、仮にそうだったとしても結果は同じでしょう。この町の市長であることが、私のこなせる精一杯の役割だった。だけど今はその役割すら失おうとしている」
本題に入るなら今だ。
「おいおい、市長。期日にはまだ時間がある。結果が決まるまで、やれることはやったほうがいいんじゃないか?」
「だけどこちらの不利は明らかです。やれることもやりました」
「いや、俺たちから言わせれば、まだやれることはたくさんある」
「市長、貴様が若造の意見を取り入れる意欲があるのならば、我々の言葉に耳を傾けろ」
ヒプノシスマイクがジェンダーの観点で少し問題になっている。このことについて思うことはたくさんあるが、それには私より言語化の上手い素敵な人が言及してくれているので、それをきっかけに思ったことを垂れ流すだけにする。
私はオタクだ。小学生の頃にルッキズムと体育至上主義の社会に淘汰され、中学で立派な陰キャになった。学力だけはそこそこ程度あったけれど努力ができず第一志望の大学には落ちた。国語が得意で数学と物理が大の苦手だった。卑屈でコンプレックスがキツくて、大学に入る前に埋没手術をした。可愛くて美しいコスメや服が好きだ。コスメ垢や美容垢のベスコスを頼りに顔面と格闘している。今は無理にアパレルのバイトをしているけれど、体育会系のノリについていけず半年でやめようとしている。身長は平均身長ジャスト。BMIは18で19に載るとダイエットを始める。ソシャゲのイベントに課金する。至って「普通」の今どきのオタク女と言っても過言ではないなと思う。
でも私は「最近よくいるオタク女」にカテゴライズされる気はない。
私は女の子が好きだ。今好きな人も女の子だ。彼女の全てに敬愛と愛しさを感じる。この気持ちは他の女の子にはぶつけられないくらい大きいから苦しい。けど恋とか友情とか分類しないで「愛」という概念に括ってみたらちょっと軽くなったよ。自身の肉体が弱っちいことに腹が立つのに、スナイデルのワンピースを着るときこの身体で良かったと思ってしまう。不謹慎なジョークで笑う。ウナギ絶滅キャンペーンでも笑った。誰かに食われて絶滅するのを見守るより、この舌で味わい胃液で溶かして絶滅させたくない?でもTwitterでは「高度な皮肉」として褒められてるのを見てなんか違うっぽい、ってなった。こういうとこがオタクの悪いとこなんだろうな。カシスオレンジよりも作を飲みたい。コスパがいいからGUの服を買うのに結局似合わない気がして着ないから本末転倒。部屋の整理ができないしタスクを先送りし続けるし指差しが理解できない方向音痴なので、今年中に発達障害の検査を受けに行くつもり。社会の理不尽が憎い。馬鹿みたいに全ての人が幸せであればいいと願ってしまう。だから社会学を専攻することにした。力強い歌が好きだ。ラップもハロプロも椎名林檎も大好き。こんな乱文じゃなくて人を少しでも元気づけられる切実で丁寧な文章を書けるようになりたい。昨日行ったカラオケMAXで藍原ことみさんの歌声に惚れた。美しかった。渚のバルコニーで待っていたい。
これは全部全部私だけのものだ。痛みも悩みも楽しみも、全く同じものを他者と共有することはできない。似たものをシェアすることはできるし楽しいけれど、私達は皮膚一枚を隔てているから本当の本当に触れ合うことはできないのだ。私はとても子どもっぽいので、ときおりそれがひどくつらい。
話を冒頭に戻す。私はこの件を受けて、「ヒプノシスマイク ジェンダー」「ヒプノシスマイク 女尊男卑」などでパブサした。すると、たくさんのヒプノシスマイクのオタクがツイートしていた。私は、最近ジェンダー論が盛んだからきっとオタクコンテンツにおける政治性への言及が見られると思っていた。自己と他者の境界を線引きできないのが私の最悪な癖だ。そこで見たツイート群は、想像をはるかに超えて地獄だった。フェミ(笑)ジェンダー(笑)と言われているのを見るたび、自分の学ぼうとしている学問自体が馬鹿にされているようで、涙が溢れた。私は後期の授業にジェンダー論を取るつもりだった。コンテンツに政治性はないと断言するものや、こうしたコレクトネスを求める人々に関して、生きづらさを嘲笑うツイートもあった。苦しかった。中には私と同じように痛みを感じている人もいて、さんざん迷った道でようやく見知った景色を見つけたときみたいにホッとした。皮一枚隔てているからとかなんとか言いながら人一倍誰かと分かり合いたい自分が馬鹿みたいだった。
こうして書いていると、自分が色んな感情に四方八方へ引きずられていて笑ってしまう。世界史か日本史で出てくる、手足を馬とか牛に引かせて八つ裂きにする処刑方法を思い出した。①オタクとして、ラップ好きとして、ヒプノシスマイクを好きになりたい気持ち・②フェミニストや社会学を学ぼうとしている立場から許せないと思う気持ち・③その気持ちを誰かと分かり合いたい気持ち、という子どもっぽさだが、③はきちんと制御しなきゃな。③の気持ちが昂ったとき、ほんのときどき、「あの『分かってない』オタクにこの問題性を『分からせたい』」と思ってしまうのだ。自分でも自分の感情のグロテスクさに吐き気がする。まるでナロードニキじゃないか。その行く先が暴力であったことを思うと、私は心底自分を嫌悪する。大好きなあの子に王子様性を見出してしまうときと同じくらい自分が気持ち悪い。ちなみに「こんな匿名ダイアリーでグダグダと自慰みたいな日記書いているのも気持ち悪い」というのも誰より私が思ってる。
人と人が分かり合えないけど理解を示そうと努力できる社会になってくれ。今年のクリスマスのプレゼントはそれがいいな。中身がマジで子どもなのでお願いサンタクロース。
いい話に仕立ててさっさと昇華したいのと、反省を兼ねて、記憶が鮮明なうちにこんなエントリを書こうと思った。
さて、事の始まりは5月末。ちょうど大学のテスト期間で暇してるところにこんなLINEが飛んできた。
なんとも唐突なお誘いであるが、これは中学時代、科学部で仲良くしていた同期からであった。
暇なときに、旧友から連絡が来た。こりゃあもう行くしかない。ということで、その日に池袋で飲むことになったのである。
その後池袋で彼と合流して、何処に飲みに行こうかという話になったが、僕は
「特に決めてないわ」
彼はすかさず、
と言うので、僕はノコノコと、彼の歩いてゆく先へ着いていった。
ここだよ、と言われた目の前にはめちゃくちゃ無機質なドア。
それでも、この状況で(穴場スポットなのかな…)とか考えた自分は今考えたら完全に阿呆だ。
入ってみれば、店内は飲み屋というわりにはかなり狭いし、暗いし、人がやけに少なかった。冷蔵庫もない。セキュリティ関係の装置(カメラとかSECOMのシールとか)もない。
さすがに僕の勘もここで警鈴を鳴らしたらしく、なんだかすごくすごく嫌な予感がした。けれど。
「何頼む〜?」とか言ってる彼に気を取られて、そんなことは脳ミソの端っこに追いやられてしまったのだ。本当にド阿呆である。
彼はおまかせで頼んだ。
そしてこの「おまかせ」がヤバいことに、このときの僕はまだ気づいていない。
結局友人はツマミ1品と「おまかせ」4杯、確か、あともうちょっと何か頼んでいたけどよく覚えていない。
30分くらい経って、次のお店へいこうと言われた。まだ早い気がしたけど、とりあえず会計を頼む僕。彼はその間トイレへ消えた。
あぁ、と思った。
「は?」ではなく「あぁ」だった。
今の今まで感じてきた違和感や嫌な予感はこれだったんだと。
迫真の演技でそんなどうでも良い気を使うんじゃない。出せやゴルァと恐喝されたほうが清々しいわ、馬鹿野郎。
しかし、手持ちでこんなに用意していないので、クレジットカードを渡し、すかさず領収書と店内をスマホで撮影。会話の録音を開始。
店員が戻ってくる。
クレジットだと手数料が20%かかるらしい。ふざけるんじゃない。
コンビニの良いところは、死ぬほど防犯カメラが設置され、常に人間がいる事である。
これで、身の安全は確保。
飲み屋店員は外で待ってるらしいので、コンビニに入りすかさず110番。
警察が来るまでに、何度も外で話しましょうと店内に言われたが断固拒否した。
で、警察を挟んでどうなったかと言うと、全額支払うことになった。
メニューには法外としか思えないサービス料や、一杯3500円の「おまかせ」が小さく載っていたのである。
まったく見ていなかった。てか見るかこんなもん。
要するに、法に触れる部分はない。おかしいのは僕のほう。
もう、3万程度くれてやるよと思って、黙って店員に諭吉を3枚押し付けた。そのときの店員のセリフが面白いので聞いてほしい。
「困るんですよね、いちいちこういうことされると」
さて、池袋東口コンビニ前。飲み屋店員は去り、そこには警察官3人と僕。
池袋の駅まで、一人のおまわりさんが一緒についてくれた。
「3万あったら、美味い飯たらふく食えたよな」
友人と金を失った僕はもうおかしくなっていて、こうやっておまわりさんと笑いながら駅へ向かっていた。
敬愛すべき警察官に礼を言い、帰りの電車に乗って、ぼーっとしてたらいつのまにか自宅に着いていた。
テーブルの上には、母親が作り置きしてくれた、信用と安心の塊みたいなカレーライス。
とりあえず1杯目がビールなのも辛いし
ビール以外を頼むと和を乱した扱いを受けるのも辛いし
カシスなんとかなんて頼もうものなら最後「最近の若いのは云々〜〜」とマウント取られるのも辛いし
まだ飲み切ってもないのに勝手に酒注がれるのも辛いし
「まだ飲めるよ」だなんて相手の体質を完全に無視した無責任なこと言われるのも辛いし
こちらが辛いだなんてことは完全に想定外であるかのように酒を注いでくるのも辛いし
(あるいはそれらは礼儀ではなく日本特有の陰湿な嫌がらせ目的なのかもしれないがとにかく辛いものは辛い)
あと「若いから飲める」などという 猿でも20秒考えれば筋が通っていないことに気がつく謎の理屈を、違うヒトの口から何百回も聞かされるのも辛い
自分は一滴も飲めないわけではないが、パッチテストで言うと最弱の部類で、アルコールの分解が絶望的に苦手なのだと思う
ジョッキ二杯でも飲もうものなら激しい頭痛に見舞われ翌朝起きれず仕事どころではなくなる
いっそ一滴飲んだら倒れるレベルまで振り切ってしまった方が周りの理解を得られていいのではないかと思うこともある
今の環境は無理に飲まされるわけではないからマシな方なんだろうなとは思うが、
ゆとりの甘えた泣き言に映るだけかもしれないが、
ブラック企業の働き方やジェンダー問題が糾弾されまくってる今のご時世なので、アルハラ問題ももうちょい声高に叫ばれてアルコール弱者に優しい社会になってくれたらいいなと思う
あたしおやじだから~とか、男っぽさとかガサツさを気取るタイプの人の言うことで嫌いなパターンが
「ちまちま野菜とか体にいいおかずがワンプレートになってるカフェのランチって全然足りないよねw」みたいなやつ
それだけならまだいい、ってかたぶん世間ではむしろ、カフェ飯にそう感じてる人が多いから、好感もたれる類の発言
(ということも本人は自覚してると思うけど)
そこに「私なんかリーマンのじさんと一緒に並んでからあげ定食ガッツリ食べちゃうわ」的、結局そういう自分について言いたいってのが入ってくるのが嫌い
「カシスなんとかとか女子が好む甘いドリンク飲めなくてー、あたしなんて焼酎ロックとかですんませんw」みたいな感じも嫌い
そこの自意識のありかたっていうか
1年ほど前、新しく会社に来た派遣さんは、社会人歴が同じ年数の、年下の男の子だった。
歓迎会の最初の一杯、ほぼ全員がビールで乾杯の準備をする中、主賓の彼が頼んだのはカシスオレンジだった。
女子力高いね〜なんて、隣に座った彼に茶化すように話しかけると、まだ甘いお酒しか飲めないのだと照れくさそうに笑った。
どのお酒が好きですかと聞かれ、日本酒だと答えた。お酒を飲み慣れていないらしい彼は興味を持ってくれたようで、すこしだけ飲んでみたいと言った。
そうして、届いたお猪口に、日本酒をがばがば注いだ。
おいしそうに飲んでくれるのが嬉しくて、お猪口の中身が少しでも減っているのを見つけるたびに酒を注いだ。
きついきついと言いながらも飲んでくれた。嬉しかったので自分も同じ分だけ飲んだ。
相手のお猪口が乾いたのを目ざとく見つけ、互いに注ぎあうゲームだった。
揃ってべろべろに酔っ払って、上司に呆れられた。
ハズレの派遣さんが続いており長続きする人の少ない中で、彼は仕事のできる人だった。
できるふりをしていただけの自分はすぐに追い抜かされた。
少し悔しかった。
そんな彼は去年の暮れに転職先を見つけ、会社を辞めた。勝ち逃げされたような気分でちょっと複雑だった。
送別会の二次会で、隣りに座って、彼が頼んだ日本酒を分け合いながらふたりで飲んだ。
ふと、そんなに日本酒好きだったっけ?と尋ねると「誰のせいだと思ってるんですか。あの飲み会が、ここに来てからの飲み会で一番楽しかったですよ」なんて言って、笑った。
ぐいと飲み干して空になったお猪口を机に戻すと、彼はすぐに気づいて日本酒を注いでくれた。
春にとれたフナッシーの口から鈎をつっこんで芯と種を出す。たまごは出さないようにする。
取り出した芯と種は捨てる。
フナッシーをよく洗い塩蔵する。
口の中にもたっぷり塩を入れる。
夏になったらフナッシーを出して塩抜きをする。
塩抜きしたフナッシーを流水でよくあらい、表面はたわしでみがく。
炊きたての飯を用意し、フナッシーの口の中に詰め込む。
タルにあつめのビニール袋をいれてご飯をしく。
その上にフナッシーをおき、隙間をご飯で埋め、表面にもご飯をかける。
その上に50キロ程度の重しをのせ、1週間経ったら重しを10キロ程度追加する。
冬に樽から出して、洗って輪切りにする。
シナモンシュガー、カシス、サワークリームなどをかけサンドイッチにしたり、ミント入りのホイップクリームにあわせると紅茶に合う。