2024-09-02

ループ量子重力理論幾何学的基礎

1. 微分多様体接続

ループ量子重力理論は、4次元ローレンツ多様体 M 上で定義される。この多様体上に、SU(2)主束 P(M,SU(2)) を考え、その上の接続 A を基本変数とする。

A ∈ Ω^1(M) ⊗ su(2)

ここで、Ω^1(M) は M 上の1-形式空間su(2) は SU(2)のリー代数である

2. ホロノミーと量子化

接続 A のホロノミーを用いて、シリンダー関数定義する:

Ψ_γ[A] = f(hol_γ[A])

ここで、γ は M 上の閉曲線、hol_γ[A] は γ に沿った A のホロノミー、f は SU(2)上の滑らかな関数である。これらのシリンダー関数の完備化により、運動学的ヒルベルト空間 H_kin が構成される。

3. スピンネットワークと量子幾何学

H_kin の正規直交基底は、スピンネットワーク状態 |Γ,j,i⟩ で与えられる。ここで、Γ は M 上のグラフ、j はエッジに付随するスピン、i は頂点に付随する内部量子数である

面積演算子 Â と体積演算子 V̂ は、これらの状態上で離散スペクトルを持つ:

Â|Γ,j,i⟩ = l_P^2 Σ_e √j_e(j_e+1) |Γ,j,i⟩

V̂|Γ,j,i⟩ = l_P^3 Σ_v f(j_v,i_v) |Γ,j,i⟩

ここで、l_P はプランク長さ、f は頂点での量子数関数である

4. 時空の発展と因果構造

時空の発展は、スピンフォーム σ: Δ → SU(2) で記述される。ここで、Δ は2-複体である物理的遷移振幅は、

Z(σ) = Σ_j Π_f A_f(j_f) Π_v A_v(j_v)

で与えられる。A_f と A_v はそれぞれ面と頂点の振幅である

5. 不変量と位相性質

理論位相性質は、ウィルソンループ不変量

W_γ[A] = Tr P exp(∮_γ A)

を通じて特徴づけられる。ここで、P は経路順序付け演算子である

6. 対称性と変換群

理論微分同相不変性を持ち、変換群 Diff(M) の作用の下で不変であるさらに、ゲージ変換 g: M → SU(2) の下での不変性も持つ:

A → gAg^-1 + gdg^-1

7. コホモロジー理論との関連

理論数学構造は、BF理論を通じてトポロジカル場の理論と関連付けられる。これにより、4次元多様体ドナルドソン不変量との関連が示唆される。

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