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はてなキーワード: びっことは

2022-12-06

平和堂

「かけっこ とびっこ 元気っこ」 ってなんかエロくないか

2022-08-24

anond:20220823170431

エビの卵。なごやか亭にあった。

見た目は青いとびっこ。味はそんなに印象にのこらない……。

2022-06-19

足の裏虫刺されでめちゃ痒い、びっこひいて歩いてるみたいになる

ムヒとか塗ってもどうやっても安静にできない箇所だから痒みおさまらない

蚊に刺されて痒みが長続きする体質なんとかしてほしい

2022-04-02

ワシ痛風おじさん、ウラジロガシ茶の効果を実感する。

ワシ痛風おじさん、週末の夜はカッパ寿司で一人呑み。

1200円くらい使って、100円寿司ビールで豪遊する生活を、5年くらい続けている。

イクラやとびっこのような魚卵系が好きなせいか、ついに尿路結石検査結果に。

医者にすすめられたウラジロガシ茶。

3か月飲んだところ、心なしか改善している気がする。

このまま石が出てくれるといいな。

2021-12-24

[]

わくわくして行きつけのスーパーいったけどクリスマス関連の惣菜全然安くなかった

がっかりして精肉コーナーいったけどそこも安くなかった

しゃーないいつものギョニソかってかえるかと思ってソーセージコーナーいったら、まさかのこうくん600g、定価800円のが半額400円!!!

うおおお!とおもってかった!

次にチルドのわりびっこーなーったら

ふくろいりのごぼうサラ400gダが定価400円のはんがくいかの130円!

3ぱっくかってみあた!!

tくわもはんがく40えn!2rふくろかた!でもれいぞうこないんだよな

まあベランダが天然冷蔵庫なんだけどね

ガスだいもないからせっかくのこうくんだけどレンチンかそのまま食うくらいしかできない

まあ明日実家いくからそこで焼くかなあ

下手な惣菜コーナーで割引のチキンかうよりもまんぞくどたかかったきがする!

そのあとドラッグストアいったらおにぎり半額だったけどそれは我慢したんこぶ!

さーてごぼうさらだとれんちんソーセージくうぞくうぞ~

あはは

追記

トマト缶とレンチンしてくったらやっぱりうめええええええええええええええ

レンチンでもぱきっとかんある!!!

ジューシー!!!!!!

ギョニソ食べられなくなっちゃ!!!!これ以上あだめよおれ!!!!!!

2021-09-14

ワクチン打ってないけど日曜夕方の混雑したバイキング行ってきた

ボックス席で上から空気が吹いてくるので多分大丈夫だろうとバイキング行ってきた

デザートオレンジを食ってた

ボックスに四歳ぐらいのちびっこ連れた父親が座ってきた

ちびっこ、とにかく注文が多い

「分けるな。一人前で食べたい。注文しろ(意訳)」

俺が食ってるオレンジを見て「オレンジ食べたい」

ジュース持ってこい」

「遊びたい」

等々が聞こえてくる

喋りが達者だから保育園には行ってそう

ずっと喋ってるので、もし感染するならこの子が原因になるだろう

それはさておき元気良くて可愛いのでこれが原因で死んでもいいかなと思ってしまった

帰るときバイバイされて手を振り返した

こんなんで篭絡されたのだから我ながらチョロい

2021-08-24

anond:20210824191653

当時、日本出版されていた11社38種のピノキオ本の回収を要求した。

12月図書館問題研究会検討を行い「図書館自由」を基に

回収措置言論に対する封殺行為であり許せない。

本作は、弱点を克服し成長する子供可能性を描いた作品であり、

めくら」「びっこ」という言葉障害者差別に結びつけるのは拡大解釈作品意味を汲んでない。

回収を行えば障害者差別が無くなる道理も無く、「言葉だけで何かを変えよう」という幻想に繋がりかねない。

個々の企業に対する脅しが差別撤廃にはならないし、体制も変わらない。

とする「反論声明」を提出した。強引な告発に対して批判があったが、小学館側の回収についても「安易」だとの批判があった。この騒動に対し「ピノキオ退治は世界の笑いもの」と揶揄する声もあった。

2021-07-02

anond:20210702225710

しろ外がメインのやつだよ

薄着だったりめくってくれたりとびっこ入れたりどこかのお店(風の撮影所)で致したりするやつ

2021-05-05

本日こどもの日!スーパーでパック寿司!

パックの中で飛び交うお寿司

はためくマグロ!きらめくとびっこ!はじけるいくら

本日こどもの日スーパーでパック寿司

2021-03-22

シグナ

「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  さそりの赤眼あかめが 見えたころ、

  四時から今朝けさも やって来た。

  遠野とおのの盆地ぼんちは まっくらで、

  つめたい水の 声ばかり。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  凍こごえた砂利じゃりに 湯ゆげを吐はき、

  火花を闇やみに まきながら、

  蛇紋岩サアペンテインの 崖がけに来て、

  やっと東が 燃もえだした。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  鳥がなきだし 木は光り、

  青々川は ながれたが、

  丘おかもはざまも いちめんに、

  まぶしい霜しもを 載のせていた。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  やっぱりかけると あったかだ、

  僕ぼくはほうほう 汗あせが出る。

  もう七、八里り はせたいな、

  今日も一日 霜ぐもり。

 ガタンタン、ギー、シュウシュウ

 軽便鉄道けいべんてつどうの東からの一番列車れっしゃが少しあわてたように、こう歌いながらやって来てとまりました。機関車きかんしゃの下からは、力のない湯ゆげが逃にげ出して行き、ほそ長いおかしな形の煙突えんとつからは青いけむりが、ほんの少うし立ちました。

 そこで軽便鉄道づきの電信柱でんしんばしらどもは、やっと安心あんしんしたように、ぶんぶんとうなり、シグナルの柱はかたんと白い腕木うできを上げました。このまっすぐなシグナルの柱は、シグナレスでした。

 シグナレスはほっと小さなため息いきをついて空を見上げました。空にはうすい雲が縞しまになっていっぱいに充みち、それはつめたい白光しろびかりを凍こおった地面じめんに降ふらせながら、しずかに東に流ながれていたのです。

 シグナレスはじっとその雲の行ゆく方えをながめました。それからやさしい腕木を思い切りそっちの方へ延のばしながら、ほんのかすかにひとりごとを言いいました。

「今朝けさは伯母おばさんたちもきっとこっちの方を見ていらっしゃるわ」

 シグナレスはいつまでもいつまでも、そっちに気をとられておりました。

カタン

 うしろの方のしずかな空で、いきなり音がしましたのでシグナレスは急いそいでそっちをふり向むきました。ずうっと積つまれた黒い枕木まくらぎの向こうに、あの立派りっぱな本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、今はるかの南から、かがやく白けむりをあげてやって来る列車れっしゃを迎むかえるために、その上の硬かたい腕うでを下げたところでした。

お早う今朝は暖あたたかですね」本線のシグナル柱は、キチンと兵隊へいたいのように立ちながら、いやにまじめくさってあいさつしました。

お早うございますシグナレスはふし目になって、声を落おとして答こたえました。

「若わかさま、いけません。これからあんものにやたらに声を、おかけなさらないようにねがいます」本線のシグナルに夜電気を送おくる太ふとい電信柱でんしんばしらがさももったいぶって申もうしました。

 本線のシグナルはきまり悪わるそうに、もじもじしてだまってしまいました。気の弱いシグナレスはまるでもう消きえてしまうか飛とんでしまうかしたいと思いました。けれどもどうにもしかたがありませんでしたから、やっぱりじっと立っていたのです。

 雲の縞しまは薄うすい琥珀こはくの板いたのようにうるみ、かすかなかすかな日光が降ふって来ましたので、本線シグナルつきの電信柱はうれしがって、向こうの野原のはらを行く小さな荷馬車にばしゃを見ながら低ひくい調子ちょうしはずれの歌をやりました。

「ゴゴン、ゴーゴー、

 うすいから

 酒さけが降ふりだす、

 酒の中から

 霜しもがながれる。

 ゴゴン、ゴーゴー、

 ゴゴン、ゴーゴー、

 霜がとければ、

 つちはまっくろ。

 馬はふんごみ

 人もぺちゃぺちゃ。

 ゴゴン、ゴーゴー」

 それからもっともっとつづけざまに、わけのわからないことを歌いました。

 その間に本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、そっと西風にたのんでこう言いいました。

「どうか気にかけないでください。こいつはもうまるで野蛮やばんなんです。礼式れいしきも何も知らないのです。実際じっさい私はいつでも困こまってるんですよ」

 軽便鉄道けいべんてつどうのシグナレスは、まるでどぎまぎしてうつむきながら低ひくく、

「あら、そんなことございませんわ」と言いいましたがなにぶん風下かざしもでしたから本線ほんせんのシグナルまで聞こえませんでした。

「許ゆるしてくださるんですか。本当を言ったら、僕ぼくなんかあなたに怒おこられたら生きているかいもないんですからね」

あらあら、そんなこと」軽便鉄道の木でつくったシグナレスは、まるで困こまったというように肩かたをすぼめましたが、実じつはその少しうつむいた顔は、うれしさにぽっと白光しろびかりを出していました。

シグナレスさん、どうかまじめで聞いてください。僕あなたのためなら、次つぎの十時の汽車が来る時腕うでを下げないで、じっとがんばり通してでも見せますよ」わずかばかりヒュウヒュウ言いっていた風が、この時ぴたりとやみました。

「あら、そんな事こといけませんわ」

「もちろんいけないですよ。汽車が来る時、腕を下げないでがんばるなんて、そんなことあなたのためにも僕のためにもならないから僕はやりはしませんよ。けれどもそんなことでもしようと言いうんです。僕あなたくらい大事だいじなもの世界中かいじゅうないんです。どうか僕を愛あいしてください」

 シグナレスは、じっと下の方を見て黙だまって立っていました。本線シグナルつきのせいの低ひくい電信柱でんしんばしらは、まだでたらめの歌をやっています

「ゴゴンゴーゴー、

 やまのいわやで、

 熊くまが火をたき、

 あまりけむくて、

 ほらを逃にげ出す。ゴゴンゴー、

 田螺にしはのろのろ。

 うう、田螺はのろのろ。

 田螺のしゃっぽは、

 羅紗ラシャの上等じょうとう、ゴゴンゴーゴー」

 本線ほんせんのシグナルはせっかちでしたから、シグナレスの返事へんじのないのに、まるであわててしまいました。

シグナレスさん、あなたはお返事をしてくださらないんですか。ああ僕ぼくはもうまるでくらやみだ。目の前がまるでまっ黒な淵ふちのようだ。ああ雷かみなりが落おちて来て、一ぺんに僕のからだをくだけ。足もとから噴火ふんかが起おこって、僕を空の遠くにほうりなげろ。もうなにもかもみんなおしまいだ。雷が落ちて来て一ぺんに僕のからだを砕くだけ。足もと……」

「いや若様わかさま、雷が参まいりました節せつは手前てまえ一身いっしんにおんわざわいをちょうだいいたします。どうかご安心あんしんをねがいとう存ぞんじます

 シグナルつきの電信柱でんしんばしらが、いつかでたらめの歌をやめて、頭の上のはりがねの槍やりをぴんと立てながら眼めをパチパチさせていました。

「えい。お前なんか何を言いうんだ。僕ぼくはそれどこじゃないんだ」

「それはまたどうしたことでござりまする。ちょっとやつがれまでお申もうし聞きけになりとう存ぞんじます

「いいよ、お前はだまっておいで」

 シグナルは高く叫さけびました。しかシグナルも、もうだまってしまいました。雲がだんだん薄うすくなって柔やわらかな陽ひが射さして参まいりました。

 五日の月が、西の山脈さんみゃくの上の黒い横雲よこぐもから、もう一ぺん顔を出して、山に沈しずむ前のほんのしばらくを、鈍にぶい鉛なまりのような光で、そこらをいっぱいにしました。冬がれの木や、つみ重かさねられた黒い枕木まくらぎはもちろんのこと、電信柱でんしんばしらまでみんな眠ねむってしまいました。遠くの遠くの風の音か水の音がごうと鳴るだけです。

「ああ、僕ぼくはもう生きてるかいもないんだ。汽車が来るたびに腕うでを下げたり、青い眼鏡めがねをかけたりいったいなんのためにこんなことをするんだ。もうなんにもおもしろくない。ああ死しのう。けれどもどうして死ぬ。やっぱり雷かみなり噴火ふんかだ」

 本線ほんせんのシグナルは、今夜も眠ねむられませんでした。非常ひじょうなはんもんでした。けれどもそれはシグナルばかりではありません。枕木の向こうに青白くしょんぼり立って、赤い火をかかげている軽便鉄道けいべんてつどうのシグナル、すなわちシグナレスとても全まったくそのとおりでした。

「ああ、シグナルさんもあんまりだわ、あたしが言いえないでお返事へんじもできないのを、すぐあんなに怒おこっておしまいになるなんて。あたしもう何もかもみんなおしまいだわ。おお神様かみさまシグナルさんに雷かみなりを落おとす時、いっしょに私にもお落としくださいませ」

 こう言いって、しきりに星空に祈いのっているのでした。ところがその声が、かすかにシグナルの耳にはいりました。シグナルはぎょっとしたように胸むねを張はって、しばらく考えていましたが、やがてガタガタふるえだしました。

 ふるえながら言いました。

シグナレスさん。あなたは何なにを祈っておられますか」

「あたし存ぞんじませんわ」シグナレスは声を落として答えました。

シグナレスさん、それはあんまりひどいお言葉ことばでしょう。僕ぼくはもう今すぐでもお雷らいさんにつぶされて、または噴火ふんかを足もとから引っぱり出して、またはいさぎよく風に倒たおされて、またはノア洪水こうずいをひっかぶって、死しんでしまおうと言うんですよ。それだのに、あなたはちっとも同情どうじょうしてくださらないんですか」

「あら、その噴火洪水こうずいを。あたしのお祈りはそれよ」シグナレスは思い切って言いました。シグナルはもううれしくて、うれしくて、なおさらガタガタガタガタふるえました。

 その赤い眼鏡めがねもゆれたのです。

シグナレスさん、なぜあなたは死ななけぁならないんですか。ね。僕ぼくへお話しください。ね。僕へお話しください。きっと、僕はそのいけないやつを追おっぱらってしまますから、いったいどうしたんですね」

だってあなたあんなにお怒おこりなさるんですもの

「ふふん。ああ、そのことですか。ふん。いいえ。そのことならばご心配しんぱいありません。大丈夫だいじょうぶです。僕ちっとも怒ってなんかいしませんからね。僕、もうあなたのためなら、眼鏡めがねをみんな取とられて、腕うでをみんなひっぱなされて、それから沼ぬまの底そこへたたき込こまれたって、あなたをうらみはしませんよ」

「あら、ほんとう。うれしいわ」

「だから僕を愛あいしてください。さあ僕を愛するって言いってください」

 五日のお月さまは、この時雲と山の端はとのちょうどまん中にいました。シグナルはもうまるで顔色を変かえて灰色はいいろの幽霊ゆうれいみたいになって言いました。

「またあなたはだまってしまったんですね。やっぱり僕がきらいなんでしょう。もういいや、どうせ僕なんか噴火ふんかか洪水こうずいかかにやられるにきまってるんだ」

「あら、ちがいますわ」

「そんならどうですどうです、どうです」

「あたし、もう大昔おおむかしかあなたのことばかり考えていましたわ」

「本当ですか、本当ですか、本当ですか」

「ええ」

「そんならいいでしょう。結婚けっこんの約束くそくをしてください」

「でも」

「でもなんですか、僕ぼくたちは春になったらつばめにたのんで、みんなにも知らせて結婚けっこんの式しきをあげましょう。どうか約束くそくしてください」

だってあたしはこんなつまらないんですわ」

「わかってますよ。僕にはそのつまらないところが尊とうといんです」

 すると、さあ、シグナレスはあらんかぎりの勇気ゆうきを出して言いい出しました。

「でもあなたは金でできてるでしょう。新式でしょう。赤青眼鏡あかあおめがねを二組みも持もっていらっしゃるわ、夜も電燈でんとうでしょう。あたしは夜だってランプですわ、眼鏡もただ一つきり、それに木ですわ」

「わかってますよ。だから僕はすきなんです」

「あら、ほんとう。うれしいわ。あたしお約束くそくするわ」

「え、ありがとう、うれしいなあ、僕もお約束しますよ。あなたはきっと、私の未来みらいの妻つまだ」

「ええ、そうよ、あたし決けっして変かわらないわ」

結婚指環エンゲージリングをあげますよ、そら、ね、あすこの四つならんだ青い星ね」

「ええ」

「あのいちばん下の脚あしもとに小さな環わが見えるでしょう、環状星雲フィッシュマウスネビュラですよ。あの光の環ね、あれを受うけ取とってください。僕のまごころです」

「ええ。ありがとういただきますわ」

「ワッハッハ。大笑おおわらいだ。うまくやってやがるぜ」

 突然とつぜん向むこうのまっ黒な倉庫そうこが、空にもはばかるような声でどなりました。二人はまるでしんとなってしまいました。

 ところが倉庫がまた言いいました。

「いや心配しんぱいしなさんな。この事ことは決けっしてほかへはもらしませんぞ。わしがしっかりのみ込こみました」

 その時です、お月さまがカブンと山へおはいりになって、あたりがポカッと、うすぐらくなったのは。

 今は風があんまり強いので電信柱でんしんばしらどもは、本線ほんせんの方も、軽便鉄道けいべんてつどうの方もまるで気が気でなく、ぐうん ぐうん ひゅうひゅう と独楽こまのようにうなっておりました。それでも空はまっ青さおに晴れていました。

 本線シグナルつきの太ふとっちょの電信柱も、もうでたらめの歌をやるどころの話ではありません。できるだけからだをちぢめて眼めを細ほそくして、ひとなみに、ブウウ、ブウウとうなってごまかしておりました。

 シグナレスはこの時、東のぐらぐらするくらい強い青びかりの中を、びっこをひくようにして走って行く雲を見ておりましたが、それからチラッとシグナルの方を見ました。シグナルは、今日巡査じゅんさのようにしゃんと立っていましたが、風が強くて太っちょの電柱でんちゅうに聞こえないのをいいことにして、シグナレスに話しかけました。

「どうもひどい風ですね。あなた頭がほてって痛いたみはしませんか。どうも僕ぼくは少しくらくらしますね。いろいろお話しまからあなたただ頭をふってうなずいてだけいてください。どうせお返事へんじをしたって僕ぼくのところへ届とどきはしませんからそれから僕の話でおもしろくないことがあったら横よこの方に頭を振ふってください。これは、本当は、ヨーロッパの方のやり方なんですよ。向むこうでは、僕たちのように仲なかのいいものがほかの人に知れないようにお話をする時は、みんなこうするんですよ。僕それを向こうの雑誌ざっしで見たんです。ね、あの倉庫そうこのやつめ、おかしなやつですね、いきなり僕たちの話してるところへ口を出して、引き受うけたのなんのって言いうんですものあいつはずいぶん太ふとってますね、今日も眼めをパチパチやらかしますよ、僕のあなたに物を言ってるのはわかっていても、何を言ってるのか風でいっこう聞こえないんですよ、けれども全体ぜんたい、あなたに聞こえてるんですか、聞こえてるなら頭を振ってください、ええそう、聞こえるでしょうね。僕たち早く結婚けっこんしたいもんですね、早く春になれぁいいんですね、僕のところのぶっきりこに少しも知らせないでおきましょう。そしておいて、いきなり、ウヘン! ああ風でのどがぜいぜいする。ああひどい。ちょっとお話をやめますよ。僕のどが痛いたくなったんです。わかりましたか、じゃちょっとさようなら

 それからシグナルは、ううううと言いながら眼をぱちぱちさせて、しばらくの間だまっていました。

 シグナレスもおとなしく、シグナルののどのなおるのを待まっていました。電信柱でんしんばしらどもはブンブンゴンゴンと鳴り、風はひゅうひゅうとやりました。

 シグナルはつばをのみこんだり、ええ、ええとせきばらいをしたりしていましたが、やっとのどの痛いたいのがなおったらしく、もう一ぺんシグナレスに話しかけました。けれどもこの時は、風がまるで熊くまのように吼ほえ、まわりの電信柱でんしんばしらどもは、山いっぱいの蜂はちの巣すをいっぺんにこわしでもしたように、ぐゎんぐゎんとうなっていましたので、せっかくのその声も、半分ばかりしかシグナレスに届とどきませんでした。

「ね、僕ぼくはもうあなたのためなら、次つぎの汽車の来る時、がんばって腕うでを下げないことでも、なんでもするんですからね、わかったでしょう。あなたもそのくらいの決心けっしんはあるでしょうね。あなたはほんとうに美うつくしいんです、ね、世界かいの中うちにだっておれたちの仲間なかまはいくらもあるんでしょう。その半分はまあ女の人でしょうがねえ、その中であなたはいちばん美しいんです。もっともほかの女の人僕よく知らないんですけれどね、きっとそうだと思うんですよ、どうです聞こえますか。僕たちのまわりにいるやつはみんなばかですね、のろまですね、僕のとこのぶっきりこが僕が何をあなたに言ってるのかと思って、そらごらんなさい、一生けん命めい、目をパチパチやってますよ、こいつときたら全まったくチョークよりも形がわるいんですからね、そら、こんどはあんなに口を曲まげていますよ。あきれたばかですねえ、僕の話聞こえますか、僕の……」

「若わかさま、さっきから何をべちゃべちゃ言いっていらっしゃるのです。しかシグナレス風情ふぜいと、いったい何をにやけていらっしゃるんです」

 いきなり本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらが、むしゃくしゃまぎれに、ごうごうの音の中を途方とほうもない声でどなったもんですからシグナルはもちろんシグナレスも、まっ青さおになってぴたっとこっちへ曲げていたからだを、まっすぐに直なおしました。

「若わかさま、さあおっしゃい。役目やくめとして承うけたまわらなければなりません」

 シグナルは、やっと元気を取り直なおしました。そしてどうせ風のために何を言いっても同じことなのをいいことにして、

「ばか、僕ぼくはシグナレスさんと結婚けっこんして幸福こうふくになって、それからお前にチョークのお嫁よめさんをくれてやるよ」と、こうまじめな顔で言ったのでした。その声は風下かざしものシグナレスにはすぐ聞こえましたので、シグナレスはこわいながら思わず笑わらってしまいました。さあそれを見た本線ほんせんシグナルつきの電信柱の怒おこりようと言ったらありません。さっそくブルブルッとふるえあがり、青白く逆上のぼせてしまい唇くちびるをきっとかみながらすぐひどく手をまわして、すなわち一ぺん東京まで手をまわして風下かざしもにいる軽便鉄道けいべんてつどうの電信柱に、シグナルとシグナレス対話たいわがいったいなんだったか、今シグナレスが笑ったことは、どんなことだったかたずねてやりました。

 ああ、シグナルは一生の失策しっさくをしたのでした。シグナレスよりも少し風下にすてきに耳のいい長い長い電信柱がいて、知らん顔をしてすまして空の方を見ながらさっきからの話をみんな聞いていたのです。そこでさっそく、それを東京を経へて本線シグナルつきの電信柱に返事へんじをしてやりました。本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらはキリキリ歯はがみをしながら聞いていましたが、すっかり聞いてしまうと、さあ、まるでばかのようになってどなりました。

くそっ、えいっ。いまいましい。あんまりだ。犬畜生いぬちくしょうあんまりだ。犬畜生、ええ、若わかさま、わたしだって男ですぜ。こんなにひどくばかにされてだまっているとお考えですか。結婚けっこんだなんてやれるならやってごらんなさい。電信柱の仲間なかまはもうみんな反対はんたいです。シグナル柱の人たちだって鉄道長てつどうちょうの命令めいれいにそむけるもんですか。そして鉄道長はわたし叔父おじですぜ。結婚なりなんなりやってごらんなさい。えい、犬畜生いぬちくしょうめ、えい」

 本線シグナルつきの電信柱は、すぐ四方電報でんぽうをかけました。それからしばらく顔色を変かえて、みんなの返事へんじをきいていました。確たしかにみんなから反対はんたいの約束くそくをもらったらしいのでした。それからきっと叔父のその鉄道長とかにもうまく頼たのんだにちがいありません。シグナルもシグナレスも、あまりのことに今さらカンとしてあきれていました。本線シグナルつきの電信柱は、すっかり反対の準備じゅんびができると、こんどは急きゅうに泣なき声で言いいました。

「あああ、八年の間、夜ひる寝ねないでめんどうを見てやってそのお礼れいがこれか。ああ情なさけない、もう世の中はみだれてしまった。ああもうおしまいだ。なさけない、メリケン国のエジソンさまもこのあさましい世界かいをお見すてなされたか。オンオンオンオン、ゴゴンゴーゴーゴゴンゴー」

 風はますます吹ふきつのり、西の空が変へんに白くぼんやりなって、どうもあやしいと思っているうちに、チラチラチラチラとうとう雪がやって参まいりました。

 シグナルは力を落おとして青白く立ち、そっとよこ眼めでやさしいシグナレスの方を見ました。シグナレスはしくしく泣なきながら、ちょうどやって来る二時の汽車を迎むかえるためにしょんぼりと腕うでをさげ、そのいじらしいなで肩がたはかすかにかすかにふるえておりました。空では風がフイウ、涙なみだを知らない電信柱どもはゴゴンゴーゴーゴゴンゴーゴー。

 さあ今度こんどは夜ですよ。Permalink | 記事への反応(0) | 22:29

ドル

ハックニー馬[※1]のしっぽのような、巫戯《ふざ》けた楊《やなぎ》の並木《なみき》と陶製《とうせい》の白い空との下を、みじめな旅《たび》のガドルフは、力いっぱい、朝からつづけて歩いておりました。

 それにただ十六哩《マイル》だという次《つぎ》の町が、まだ一向《いっこう》見えても来なければ、けはいしませんでした。

(楊がまっ青に光ったり、ブリキの葉《は》に変《かわ》ったり、どこまで人をばかにするのだ。殊《こと》にその青いときは、まるで砒素《ひそ》をつかった下等《かとう》の顔料《えのぐ》[※2]のおもちゃじゃないか。)

 ガドルフはこんなことを考えながら、ぶりぶり憤《おこ》って歩きました。

 それに俄《にわ》かに雲が重《おも》くなったのです。

(卑《いや》しいニッケルの粉《こな》だ。淫《みだ》らな光だ。)

 その雲のどこからか、雷《かみなり》の一切れらしいものが、がたっと引きちぎったような音をたてました。

街道かいどう》のはずれが変《へん》に白くなる。あそこを人がやって来る。いややって来ない。あすこを犬がよこぎった。いやよこぎらない。畜生ちくしょう》。)

 ガドルフは、力いっぱい足を延《の》ばしながら思いました。

 そして間もなく、雨と黄昏《たそがれ》とがいっしょに襲《おそ》いかかったのです。

 実《じつ》にはげしい雷雨《らいう》になりました。いなびかりは、まるでこんな憐《あわ》れな旅のものなどを漂白《ひょうはく》してしまいそう、並木の青い葉がむしゃくしゃにむしられて、雨のつぶと一緒《いっしょ》に堅《かた》いみちを叩《たた》き、枝《えだ》までがガリガリ引き裂《さ》かれて降《ふ》りかかりました。

(もうすっかり法則《ほうそく》がこわれた。何もかもめちゃくちゃだ。これで、も一度《いちど》きちんと空がみがかれて、星座《せいざ》がめぐることなどはまあ夢《ゆめ》だ。夢でなけぁ霧《きり》だ。みずけむりさ。)

 ガドルフはあらんかぎりすねを延《の》ばしてあるきながら、並木のずうっと向《むこ》うの方のぼんやり白い水明りを見ました。

(あすこはさっき曖昧あいまい》な犬の居《い》たとこだ。あすこが少ぅしおれのたよりになるだけだ。)

 けれども間もなく全《まった》くの夜になりました。空のあっちでもこっちでも、雷《かなみり》が素敵《すてき》に大きな咆哮《ほうこう》をやり、電光のせわしいことはまるで夜の大空の意識《いしき》の明滅《めいめつ》のようでした。

 道はまるっきりコンクリート製《せい》の小川のようになってしまって、もう二十分と続《つづ》けて歩けそうにもありませんでした。

 その稲光《いなびか》りのそらぞらしい明りの中で、ガドルフは巨《おお》きなまっ黒な家が、道の左側《ひだりがわ》に建《た》っているのを見ました。

(この屋根《やね》は稜《かど》が五角で大きな黒電気石[※3]の頭のようだ。その黒いことは寒天《かんてん》だ。その寒天の中へ俺《おれ》ははいる。)

 ガドルフは大股《おおまた》に跳《は》ねて、その玄関《げんかん》にかけ込みました。

「今晩《こんばん》は。どなたかお出《い》でですか。今晩は。」

 家の中はまっ暗《くら》で、しんとして返事《へんじ》をするものもなく、そこらには厚《あつ》い敷物《しきもの》や着物《きもの》などが、くしゃくしゃ散《ち》らばっているようでした。

(みんなどこかへ遁《に》げたかな。噴火《ふんか》があるのか。噴火じゃない。ペストか。ペストじゃない。またおれはひとりで問答《もんどう》をやっている。あの曖昧な犬だ。とにかく廊下《ろうか》のはじででも、ぬれ着物をぬぎたいもんだ。)

 ガドルフは斯《こ》う頭の中でつぶやきまた唇《くちびる》で考えるようにしました。そのガドルフの頭と来たら、旧教会《きゅうきょうかい》の朝の鐘《かね》のようにガンガン鳴《な》っておりました。

 長靴《ながぐつ》を抱《だ》くようにして急《いそ》いで脱《と》って、少しびっこを引きながら、そのまっ暗なちらばった家にはね上って行きました。すぐ突《つ》きあたりの大きな室は、たしか階段かいだん》室らしく、射《さ》し込《こ》む稲光りが見せたのでした。

 その室の闇《やみ》の中で、ガドルフは眼《め》をつぶりながら、まず重い外套《がいとう》を脱《ぬ》ぎました。そのぬれ外套の袖《そで》を引っぱるとき、ガドルフは白い貝殻《かいがら》でこしらえあげた、昼の楊の木をありありと見ました。ガドルフは眼をあきました。

(うるさい。ブリキになったり貝殻になったり。しかしまたこんな桔梗《ききょう》いろの背景《はいけい》に、楊の舎利《しゃり》[※4]がりんと立つのは悪《わる》くない。)

 それは眼をあいてもしばらく消《き》えてしまいませんでした。

 ガドルフはそれからぬれた頭や、顔をさっぱりと拭《ぬぐ》って、はじめてほっと息《いき》をつきました。

 電光がすばやく射し込んで、床《ゆか》におろされて蟹《かに》のかたちになっている自分背嚢はいのう》をくっきり照《て》らしまっ黒な影《かげ》さえ落《おと》して行きました。

 ガドルフはしゃがんでくらやみの背嚢をつかみ、手探《てさぐ》りで開《ひら》いて、小さな器械《きかい》の類《たぐい》にさわってみました。

 それから少ししずかな心持《こころも》ちになって、足音をたてないように、そっと次の室にはいってみました。交《かわ》る交《がわ》るさまざまの色の電光が射し込んで、床に置《お》かれた石膏《せっこう》像《ぞう》や黒い寝台《しんだい》や引っくり返《かえ》った卓子《テーブル》やらを照らしました。

(ここは何かの寄宿舎《きしゅくしゃ》か。そうでなければ避病院《ひびょういん》か。とにかく二階にどうもまだ誰《だれ》か残《のこ》っているようだ。一ぺん見て来ないと安心あんしん》ができない。)

 ガドルフはしきいをまたいで、もとの階段室に帰り、それから一ぺん自分背嚢につまずいてから、二階に行こうと段《だん》に一つ足をかけた時、紫《むらさき》いろの電光が、ぐるぐるするほど明るくさし込んで来ましたので、ガドルフはぎくっと立ちどまり階段に落ちたまっ黒な自分の影とそれから窓《まど》の方を一緒《いっしょ》に見ました。

 その稲光りの硝子《ガラス》窓から、たしかに何か白いものが五つか六つ、だまってこっちをのぞいていました。

(丈《たけ》がよほど低《ひく》かったようだ。どこかの子供《こども》が俺のように、俄かの雷雨で遁げ込んだのかも知れない。それともやっぱりこの家の人たちが帰って来たのだろうか。どうだかさっぱりわからないのが本統《ほんとう》だ。とにかく窓を開いて挨拶あいさつ》しよう。)

 ガドルフはそっちへ進《すす》んで行ってガタピシの壊《こわ》れかかった窓を開きました。たちまち冷たい雨と風とが、ぱっとガドルフの顔をうちました。その風に半分声をとられながら、ガドルフは叮寧《ていねい》に云《い》いました。

「どなたですか。今晩《こんばん》は。どなたですか。今晩は。」

 向《むこ》うのぼんやり白いものは、かすかにうごいて返事もしませんでした。却《かえ》って注文《ちゅうもん》通《どお》りの電光が、そこら一面《いちめん》ひる間のようにしてくれたのです。

「ははは、百合ゆり》の花だ。なるほど。ご返事のないのも尤《もっと》もだ。」

 ガドルフの笑《わら》い声は、風といっしょに陰気《いんき》に階段をころげて昇《のぼ》って行きました。

 けれども窓の外では、いっぱいに咲いた白百合《しらゆり》が、十本ばかり息もつけない嵐《あらし》の中に、その稲妻《いなずま》の八分一秒《びょう》を、まるでかがやいてじっと立っていたのです。

 それからたちまち闇が戻《もど》されて眩《まぶ》しい花の姿《すがた》は消えましたので、ガドルフはせっかく一枚《まい》ぬれずに残ったフラン[※5]のシャツも、つめたい雨にあらわせながら、窓からそとにからだを出して、ほのかに揺《ゆ》らぐ花の影を、じっとみつめて次の電光を待《ま》っていました。

 間もなく次の電光は、明るくサッサッと閃《ひら》めいて、庭《にわ》は幻燈《げんとう》のように青く浮《うか》び、雨の粒《つぶ》は美《うつく》しい楕円形《だえんけい》の粒になって宙《ちゅう》に停《とど》まり、そしてガドルフのいとしい花は、まっ白にかっと瞋《いか》って立ちました。

(おれの恋《こい》は、いまあの百合の花なのだ。いまあの百合の花なのだ。砕《くだ》けるなよ。)

 それもほんの一瞬《いっしゅん》のこと、すぐに闇は青びかりを押《お》し戻《もど》し、花の像はぼんやりと白く大きくなり、みだれてゆらいで、時々は地面《じめん》までも屈《かが》んでいました。

 そしてガドルフは自分の熱《ほて》って痛《いた》む頭の奥《おく》の、青黝《あおぐろ》い斜面《しゃめん》の上に、すこしも動《うご》かずかがやいて立つ、もう一むれの貝細工《かいざいく》の百合を、もっとはっきり見ておりました。たしかにガドルフはこの二むれの百合を、一緒に息をこらして見つめていました。

 それもまた、ただしばらくのひまでした。

 たちまち次の電光は、マグネシアの焔《ほのお》よりももっと明るく、菫外線《きんがいせん》[※6]の誘惑《ゆうわく》を、力いっぱい含《ふく》みながら、まっすぐに地面に落ちて来ました。

 美しい百合の憤《いきどお》りは頂点《ちょうてん》に達《たっ》し、灼熱《しゃくねつ》の花弁《かべん》は雪よりも厳《いかめしく、ガドルフはその凛《りん》と張《は》る音さえ聴《き》いたと思いました。

 暗《やみ》が来たと思う間もなく、また稲妻が向うのぎざぎざの雲から北斎《ほくさい》の山下白雨のように赤く這《は》って来て、触《ふ》れない光の手をもって、百合を擦《かす》めて過ぎました。

 雨はますます烈《はげ》しくなり、かみなりはまるで空の爆破《ばくは》を企《くわだ》て出したよう、空がよくこんな暴《あば》れものを、じっと構《かま》わないでおくものだと、不思議《ふしぎ》なようにさえガドルフは思いました。

 その次の電光は、実に微《かす》かにあるかないかに閃《ひら》めきました。けれどもガドルフは、その風の微光《びこう》の中で、一本の百合が、多分とうとう華奢《きゃしゃ》なその幹《みき》を折《お》られて、花が鋭《するど》く地面に曲《まが》ってとどいてしまたことを察《さっ》しました。

 そして全くその通り稲光りがまた新《あた》らしく落ちて来たときその気の毒《どく》ないちばん丈の高い花が、あまりの白い興奮《こうふん》に、とうとう自分を傷《きず》つけて、きらきら顫《ふる》うしのぶぐさの上に、だまって横《よこた》わるのを見たのです。

 ガドルフはまなこを庭から室の闇にそむけ、丁寧《ていねい》にがたがたの窓をしめて、背嚢のところに戻って来ました。

 そして背嚢からさな敷布《しきふ》をとり出してからだにまとい、寒《さむ》さにぶるぶるしながら階段にこしかげ、手を膝《ひざ》に組み眼をつむりました。

 それからまらずまたたちあがって、手さぐりで床《ゆか》をさがし、一枚の敷物《しきもの》を見つけて敷布の上にそれを着《き》ました。

 そして睡《ねむ》ろうと思ったのです。けれども電光があんまりせわしくガドルフのまぶたをかすめて過ぎ、飢《う》えとつかれとが一しょにがたがた湧《わ》きあがり、さっきからの熱った頭はまるで舞踏《ぶとう》のようでした。

(おれはいま何をとりたてて考える力もない。ただあの百合は折《お》れたのだ。おれの恋は砕けたのだ。)ガドルフは思いました。

 それから遠い幾山河《いくやまかわ》の人たちを、燈籠《とうろう》のように思い浮《うか》べたり、また雷の声をいつかそのなつかしい人たちの語《ことば》に聞いたり、また昼の楊がだんだん延びて白い空までとどいたり、いろいろなことをしているうちに、いつかとろとろ睡ろうとしました。そしてまた睡っていたのでしょう。

 ガドルフは、俄かにどんどんどんという音をききました。ばたんばたんという足踏《あしぶ》みの音、怒号《どごう》や潮罵《ちょうば》が烈《はげ》しく起《おこ》りました。

 そんな語はとても判《わか》りもしませんでした。ただその音は、たちまち格闘《かくとう》らしくなり、やがてずんずんドルフの頭の上にやって来て、二人の大きな男が、組み合ったりほぐれたり、けり合ったり撲《なぐ》り合ったり、烈しく烈しく叫《さけ》んで現《あら》われました。

 それは丁度《ちょうど》奇麗《きれい》に光る青い坂《さか》の上のように見えました。一人は闇の中に、ありありうかぶ豹《ひょう》の毛皮《けがわ》のだぶだぶの着物をつけ、一人は烏《からす》の王のように、まっ黒くなめらかによそおっていました。そしてガドルフはその青く光る坂の下に、小さくなってそれを見上げてる自分のかたちも見たのです。

 見る間に黒い方は咽喉《のど》をしめつけられて倒《たお》されました。けれどもすぐに跳ね返して立ちあがり、今度《こんど》はしたたかに豹の男のあごをけあげました。

 二人はも一度組みついて、やがてぐるぐる廻《まわ》って上になったり下になったり、どっちがどっちかわからず暴れてわめいて戦《たたか》ううちに、とうとうすてきに大きな音を立てて、引っ組んだまま坂をころげて落ちて来ました。

 ガドルフは急いでとび退《の》きました。それでもひどくつきあたられて倒れました。

 そしてガドルフは眼を開いたのです。がたがた寒さにふるえながら立ちあがりました。

 雷はちょうどいま落ちたらしく、ずうっと遠くで少しの音が思い出したように鳴《な》っているだけ、雨もやみ電光ばかりが空を亘《わた》って、雲の濃淡《のうたん》、空の地形図をはっきりと示し、また只《ただ》一本を除《のぞ》いて、嵐に勝《か》ちほこった百合の群《むれ》を、まっ白に照《て》らしました。

 ガドルフは手を強く延ばしたり、またちぢめたりしながら、いそがしく足ぶみをしました。

 窓の外の一本の木から、一つの雫《しずく》が見えていました。それは不思議にかすかな薔薇《ばら》いろをうつしていたのです。

(これは暁方《あけがた》の薔薇色《ばらいろ》ではない。南の蝎《さそり》の赤い光がうつったのだ。その証拠《しょうこ》にはまだ夜中にもならないのだ。雨さえ晴れたら出て行こう。街道の星あかりの中だ。次の町だってじきだろう。けれどもぬれ着物をまた引っかけて歩き出すのはずいぶんいやだ。いやだけれども仕方《しかた》ない。おれの百合は勝ったのだ。)

 ガドルフはしばらくの間、しんとして斯う考えました。

2021-02-26

anond:20210225224433

増田は、偉い。

ちゃん反論すべきだ。

しかし、こないだ某カフェで、女子店員さんに一緒にトイレ入って欲しいって言うおじさん居たな。片方の足はびっこひいてて、野球帽被って、顔つきも、残念な雰囲気だった。女子店員さんは.「男性店員が、いるときに頼んでね」とあしらっていた。

何かしらの偏見はあると、思うな。

口に出す方が良くないが、欲求の満たす方法がない男は辛いんだろうな。

2021-02-24

サイコロステーキ

いおんのたすまにあさんサイコロステーキ冷凍でお安い

しかし成分表を見るとなんと8.9gがタンパク質なのにたいして28.9gが脂肪 

およそ3.5倍の脂肪はいっています ぶっほ なぜ買ったし

脂肪は焼くと液体になってぬけだし肉が縮みます

さあどれだけ縮むでしょうか

 

まあ案じていたとおり1/4にはなりますわな 

ダイスキャラメルの箱くらいのが焼いた後は爪楊枝さして試食に出てくるくらいのちびっこサイズですわ ワロスワロス かろうじてポークビッツには勝ててるかなくらいの

焼きながら出るあぶらがじゃぶじゃぶなので紙ですいとって捨てました

セルフ揚げ物だね

ちなみに紙は通販緩衝用に入ってくるわら半紙梱包

くしゃくしゃにまるめてビニール袋にいれて上からたらす・・のはビニール袋に穴が空きますのでやりません あと尻漏れフライパンも焦げ付くのも面倒

ちゃんと折りたたんで入れて吸わせます 別に毒になるものはいってないしコロナがいたとしても揚げれば無毒 

もも全然じゃぶじゃぶなので3回吸い取らせたらあきらめてあとはお茶碗に捨てましたわ油

味は練り込んであるからそこそこ美味しいけどコスパ悪すぎ~

ももカットして塩振って焼こうぜ今度から

 

添え物はお昼のしゃぶしゃぶに入ってた水菜もやし豆腐 というかそもそも夜もしゃぶしゃぶにしたかったけど(寝ていて食べてないくせに)断られた

クリームパスタがいいっていってたけど小麦粉たべすぎるとお腹壊すでしょ 昨日からパン5個だのカップ麺だの食べてるのにな

は~肥満治すのめちゃむずかしい

というかスマホのみすぎで食卓見えてないんだよな 水菜もやしが見分けつかないっていってた

メガネしておいしい野菜をたべてほしい

きこえのよさだけでメニュー判断してやがったので炒めものでも内容物を詳しく「コンビーフとおなじ味つけ」とか言うくせがついた

ちなみにキャベツレタスメガネしてないか判別がおくれてる

こういう食べてから文句いう偏食は「テーブルの上が実はろくに見えてない」ケースこれからふえそう 

 

あとゆで卵2つ分の卵サラダもぺろっとたべてた

以前書いたのでレシピは省略 オレガノでぐぐったら多分出る

てかリンクタッチするだけででたけど

ここでオレガノの話してるやつ3年前からほぼ全部俺じゃねえかw

オレオレガノ

2021-01-26

anond:20210126193534

でもひだりあしもっていかれた、数年はびっこ。とかリアルに笑えない。

2020-11-23

anond:20201123023457

作家がそれをしたくなる気持ちはわかるけど、私も好きじゃないから、それする作家SNSは見ない

作家RTしてるとわかってるからこそ、こびっこびの感想なんだよな…

2020-10-15

寿司ソングに出てくるネタの数ランキング

同着10から

8.テクノキッズ「SUSHI」(2010)

ネタの種類 16種

マグロホタテイカ玉子ハマチ穴子サバいくら、コハダ、サーモンタコえんがわ、ほっき、甘エビウニ、中トロ

8.少年ナイフ「SUSHI BAR SONG(English version)」(1998)

ネタの種類 16種

穴子ウニトロ納豆ウナギ赤貝いくら、ばってら、サーモン玉子サラダ巻、かっば、穴キュウ、鉄火、さより、かずのこ

8.豊田道倫メリーゴーランド」(2009)

ネタの種類 16種

マグロアジハマチ、エンガワ、エビ穴子、しめサバ、中トロネギトロ玉子、うに、いくらつぶ貝、かんぱち、納豆巻き、カニサラダ

7.童謡おすしピクニック

ネタの種類 18種

マグロカツオヒラメエビ玉子きゅうり、うめ、なっとう、おしんこかんぴょう、太巻(ごぼうしいたけ)、とびっこかにっこ、いくらすじこ、うに、しらうお、たこ

6. ORANGE RANGE「SUSHI食べたい」(2015)

ネタの種類 20

関サバアジホタテネギトロブリ穴子、甘エビイカ、コハダ、カンパチタイカツオ玉子、エンガワ、サーモン唐揚げトロタコウニいくら

4.ピコ太郎「Can You See? I’m SUSHI」(2018)

ネタの種類 22種

サケエビカニウニマグロトロカリフォルニアロールホタテイワシハマチタイウナギイカカツオかっぱ巻きサバ玉子タコサンマアワビカレイヒラメ

4.SAKA-SAMA「寿司ディナイトフィーバー」(2018)

ネタの種類 22種

赤身マグロ、中トロ、大トロ、びんちょう、あぶりトロサーモンマヨサーモンボタンエビイクラミル貝、ネギトロカニミソ、ウニ玉子穴子カリフォルニアロールイワシ、コハダ、サバ赤貝つぶ貝、ホッキ貝、カニ

3.しまじろうのわお!「すしのうた」(2019)

ネタの種類 24

マグロエビサーモンサンマタイえんがわ、ぶり、赤貝いわしいくら、かんぱち、アジ玉子穴子、ほたて、いかネギトロヒラメ、コハダ、カツオハマチ、しめさば、中トロ、大トロ

2.小松未可子おすしのうた」(2013)

ネタの種類 26種

たこ、ひらめ、うに、いかあなご、ぶり、中トロ、こはだ、いくら、きす、あじかにかつお、たい、カリフォルニア巻、納豆巻き、いしだい、スズキ、シャコ、赤貝ハマチ、エンガワ、しまさば、エビ玉子、みる貝

1.シブがき隊スシいねェ!」(1986)

ネタの種類 30種

トロ、中トロ、コハダ、アジアナゴ、甘エビ、しめサバスズキホタテアワビ赤貝ミル貝、カツオカンパチウニイクラタコイカタイワカメヒラメ、のり巻き、かずのこ、小柱、キス玉子ネギトロ、たくあん、梅巻き

以下、30位まで。

11.ふぇのたす「すしですし」(2014)

ネタの種類 10

サバサンマトロとろろ(?)、かに毛蟹、しゃけ、いくら、さわら、ふぐ

12.嘉門タツオ「なごり寿司なごり雪〜」(2006)

ネタの種類 9種

ブリウニヒラメボタンエビ、ホッキ、ホタテアワビ、大トロ炙り、ネギトロ

13.手賀沼ジュン寿司」(2014)

ネタの種類 7種

マグロタコ穴子玉子ウニサバ、甘エビ

14.MC松島寿司」(2018)

ネタの種類 5種

たらこタコ玉子サーモンカリフォルニアロール

サーモン食べてる奴にカリフォルニアロール文句いう資格なし、なぜなら川魚寿司じゃなし

歌詞にあるので3種の説も

14.くまきち「お寿司のうた」(2019)

ネタの種類 5種

玉子マグロナスビ、ハンバーグからあげ

16.NICE GUY人「Hai Irasshai」(2003)

ネタの種類 4種

納豆巻、鉄火巻サラダ巻、カリフォルニアロール

こち亀ED

16.グループ魂さかなクン」(2015)

ネタの種類 4種

イカエビ、とびっこカリフォルニアロール

18.ムサシ(CV:米内佑希)「スシNo.1」(2018)

ネタの種類 3種

トロウニイクラ

ゲーム「超回転 寿司ストライカー The Way of Sushido」OP

19.ヘヤアズ「おすし」(2016)

ネタの種類 2種

サーモン、しめさば

19.夕闇に誘いし漆黒天使達「SUSHI-SONG」(2019)

ネタの種類 2種

マヨコーンハンバーグ

19.童謡おすしすしすし」

ネタの種類 2種

トロかっぱ巻き

22.野猿Fish Fight!」(2001)

ネタの種類 1種

鮒鮨

22.SHINO from WORLD WONDERφ「すし」(2015)

ネタの種類 1種

トロ

22.西沢和哉「回転寿司」(1998)

ネタの種類 1種

マグロ

以下 寿司ネタなし。

25.オメでたい頭でなにより「wosushi ~ウォールオブ寿司~」(2016)

25.むてん娘。(モーニング娘。)「あっぱれ回転ずし!」(2010)※無添くら寿司タイアップ曲

25.ダフニィ&セレステあい・らう〝・ゆあすし」(2000)

25.クレイジーケンバンド「I like sushi」(2003)

25.サイダーガール寿司」(2019)

25.吉澤嘉代子ガリ」(2016)

25.つりビット寿司パラダイス」(2014)

25.おしたか「すしのうた」(2018)

雑感。

寿司ソング醍醐味寿司ネタ連呼するところだと思っている。私は欲張りだからネタが多い方が良いので数えてみたらシブがき隊の強さよ。やはり、この数があったからこそ寿司ソング確立したのかもしれない。

・また、寿司ソングは遊び心に溢れている。食べ物を歌のテーマとすることがナンセンスから冗談駄洒落地口転訛の含有率が高い。これはネタ連呼するためにヒップホップラップ形式を取り入れることが多いことにも起因しているだろう。

ORANGE RANGE楽曲はおそらく、寿司比喩なのかもしれないがそれ以外はほぼ食べ物としての寿司を歌っている。

寿司テーマにしながらアプローチは様々で、寿司店に来た客、寿司職人寿司に仮託、寿司擬人化寿司文化の紹介、寿司の食べ方など。

特に好きなのは以下の二つの歌詞

"のれんをくぐれば天国(パラダイス)"

スシいねェ!」(1986)

"お寿司がなぜ好きかみんなにわかかい? 家族笑顔になってみんな幸せ"

あっぱれ回転ずし!」(2010)

日本人寿司を嬉しいときも悲しいときも食べる。提供方法も様々で、寿司屋、回転寿司屋、式場、デリバリースーパーなど。手軽さもあるけれどちょっと特別で、家族で囲むものという飲食表象のひと断面として、寿司ソング多様性解釈されるだろう。

2020-10-04

人絶叫マシーンにして喜んでんじゃねえぞクソ八戸市民が

てめえらの中にコソドロがうじゃうじゃいるか北日本造船でも盗みがはびっこってんだよ

元を辿ればお前らの振る舞いなんだよ

さっさと川さ一筆入れに来い

2020-09-03

anond:20200903192620

会社辞めて、足をびっこひいてあるいたよ(とられたほう)でも個人間のいざこzだからいいけど

どうして、他人食事や取り分に手を付けたのかはわからない。僕の分だった。ゆっくり、味わって食べていた。

からすると精神的なレイプされたみたい。

いいじゃん、セックスぐらいヘルものじゃない。へらないからいいよね。1個ぐらいいいよね。なにがちがうのかは、わからない。

ともだちなら、しょうがない。見ず知らずの人が、食事をじゃまする。プラモを組み立てる。

その日はもう無理。

2020-08-29

昔は、ちゃんとあるけた

いまは、びっこひいている。

どうしてって、自分自分の体を潰したか

苦しみぬいたの

おばけ騒ぎが合って

へんなことがあって

引っ越し

おかしくなった。

最初からずーっと、最初のところに住んでいればよかったかもしれない

幻聴が聞こえる

こわくて、ひっこした

しかけられるの

だめなんだ

会議とか打ち合わせは大丈夫

2020-07-30

anond:20200730102226

年寄りがメクラとかびっことかつい言っちゃうやつね

俺たちも年寄りになるんだけどそういうとこはちゃんとアップデートしていきたいね

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