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はてなキーワード: ヒマラヤ山脈とは

2024-04-21

ヒマラヤ山脈邪魔

ヒマラヤ山脈を除去すれば世界問題はほぼ解決する

諸悪の根源はあの山脈

 

この山脈南北天国と地獄が分かれている

南側森林限界ギリまで植物が育っている

ブータンネパールは畑が広がっている

一方で北側不毛の大地チベットの緯度は日本と変わらないのに雨が降らないため植物が育たない

南側から流れてくる湿った空気ヒマラヤ山脈でガードされる

仮にヒマラヤがなければチベットは広大な穀倉地帯になる

さらに、ブータンネパールに雨を降らせた大気乾燥して西側流れる

これがイカ

パキスタンアフガニスタンイランサウジアラビアに吹き込む

ここらが砂漠なのはアラビア海海水蒸発低気圧雨雲が出来ても

ヒマラヤから吹き込む乾燥した高気圧と混ざり雨雲が発達出来ずに消失する

雨が降らずに砂漠化する

ヒマラヤから乾燥した空気が流れてこなければサウジイラン辺りも雨が降るようになる

 

まりヒマラヤを除去すれば地球上の耕作可能地は飛躍的に増大する

食料生産量は爆増する

 

中東のイザコザの全ては食糧問題に根ざしており、これらが解決する

メシが十分に食えれば戦争など起きないのだ

 

人類の叡智を結集ヒマラヤ山脈撤去すべきだ

2022-11-11

M-1グランプリ2022予選3回戦 きつね日和は何故全スベリしたのか

https://gyao.yahoo.co.jp/episode/636257de-a14f-41cf-a54d-26d3fe68c2d7

https://youtu.be/I84Y-mFG4Ls?t=401  上下同じ動画です。

ネタバレ注意※





今年のM-1グランプリ東京予選3回戦で大事件が起きた。歴史的な無風を喫したコンビが現れたのだ。

M-1グランプリ3回戦といえば毎年300組前後しか進出しない狭き門。今年は参加組数が激増し7261組がエントリー。倍率が24倍を超えるという厳しい戦いだった。

(実際には増加したエントリーの大半はアマチュアなのだが)

しかし3回戦とは言えスベってしまコンビも多数現れ、とりわけスベったコンビは毎年ネタにされる(2021年のEverybody、2019年のちゅんま等)。

そんな中これ以下は今まで無かったと言える驚異的なゼロ笑いを記録したコンビが今年現れた。ビクター所属のきつね日和である

なんと無観客で行われた2020年の1回戦よりスベってる(5~6人の審査員は会場に入っていたので時々笑い声が入った)。

全体的に客が重く低調な会場だったとは言え、なぜこんな事になってしまったのか。ネタ考察する。


このネタツッコミおいなり達也(以下おいなり)が定番質問である「遊びに行くなら海か、山か」という2択にウンザリ

「もう答えは決まってるんです!山っ!山一択です」と主張する。

即座にボケ松本が「海のほうがいいけどなぁ」と返し、おいなりは「お゛ーっ!?こんな近くに敵が居たか お゛ーっ!?」と急沸騰。

松本に対し「じゃあディベートで決着つけようじゃないか」と勝負を持ちかけるというものである

以上が導入であり、ここまでの問題点おいなりが2連続で甘噛した程度である

おいなりはまず「山は頂上から景色が綺麗」とアピール松本は「景色が綺麗と言っても辺り一面 白一色。代わり映えしないでしょ?」と否定する。

条件を真冬の降雪時にしている。しかし、確かに今は11月初冠雪を記録した山も既にあり違和感はあるが極端に変なことは言っていない。

おいなりも「あ、そう?」と相槌を打つ。

続いて「しかもその山さ、頂上に登るまで1ヶ月はかかるからね?」と言う。ここで条件が一気に海外の8000m~7000m峰になっている。

明らかに理不尽な条件のすり替えではあるが、何故かおりなりは「そんなにぃ?」と流す。

松本は何食わぬ顔で海をアピール。「一方海は綺麗に透き通っていて、サンゴ礁が見えて、海の周りにはハイビスカスの花が咲いているんだよね」と言う。

するとおいなりは「ダメだろー!!お前の海、多分、沖縄だなっ!お゛ーいっ!!!海の最高峰沖縄を出してくるなっ!こっちは平均的な山でやってんだ!!!!」と

叫喚の全力ツッコミ視聴者松本の言った条件が沖縄かどうか、なんてこと全く気にしていない。

そもそも海派が"沖縄の海"を挙げること自体なにも問題ないように思えるし、勝手おいなり自分ルール沖縄を持ち出された事にキレている。

何より問題なのは松本勝手に「その山は頂上まで1ヶ月はかかる」と不利な条件をすり替えた事、現時点で視聴者が抱く最大の違和感に対してはおいなりノータッチな点だ。

違和感脳内を渦巻く中で休む間もなく次の展開が始まる。

「あとっ!山はですよ、空気がおいしい!とにかく空気が透き通っております!」とおいなりが山をアピール

返す刀でまたしても松本空気がおいしいと言ってもさ、氷点下から肺が凍っちゃうよ。しかもその山さ、今まで300名以上が亡くなってるからね」と条件をすり替えながら否定

この時点で松本勝手に山派の条件をヒマラヤ山脈にしている事は全視聴者が察する。にも関わらずおいなりは「あそう?」「あそんなにぃ?」と特に関心を持たない。

そして松本、海の魅力主張のターン。「一方海は焼きそば、焼きとうもろこし文字通り美味しい空気が楽しめるからね」と言う。

ダメだろーっ!!!お前の海、海の家ついてるなっ!!!お゛ーいっ!!!!!」

なぜか海の家がある事についてブチギレるおいなり意味がわからない。

沖縄のビーチ」と「海の家がある海」なら圧倒的に後者の方が身近である。「一般的な海」を想像して海の家が無い情景を浮かべるほうがレアケースだろう。

しろ松本おいなりに「沖縄のビーチ」というリゾート地最初に挙げた事にキレられたので、おいなりに合わせて庶民的な海の楽しいところを挙げたように思える。

なのにキレるおいなり自分の条件をヒマラヤ山脈にされているという理不尽にはノータッチで、理不尽ツッコミ視聴者の頭の中はぐちゃぐちゃである

もうこの辺で「まさか終盤でこれを伏線回収してオチに使うつもりなのか…」と不安がよぎる。

恐ろしい事にこのブロックはまだ終わらない。

おいなり「お゛いっ!海の家ついてるじゃないかっ!オイッ!」 

松本「いやついてるもんなの…(正論)」

おいなり「人の手使うなよ!こっちは人の手使ってないんだからっ!!さあっ!!」

山が自然のもので人の手は全く加わってないかのような言い様である。言うまでもなく、おいなりの主張する「平均的な山」の場合

というかレジャーを前提にした「平均的な山」だからこそ、登山道が整備され安全登山が楽しめるようになっている。

草木登山客の妨げにならないように伸びたら随時刈ってるだろうし、第一山小屋」や「自販機」は富士山の頂上でさえ置いてある。

違和感に次ぐ違和感。ここで視聴者はある可能性について考える。ヒマラヤ山脈場合おいなりの言う事の筋が通るからだ。

エベレストなどには整備されてないルートもあるはずだ。山小屋も多分無い。まさかおいなりが最大の違和感にツッコまないのも、おいなりエベレストを想定して言っているのか…?」

などと想像を巡らせながら漫才を見ている。笑えるわけがない。そして怒涛の展開が始まる。

おいなり「あと山はですよっ!とにかく美味しいものが沢山っ!もう山菜とか取れますからねっ!」

松本山菜と言ってもさ、採れるのフキノトウくらいでしょ?」

おいなり「あそう?」

松本しかもその山さ入山料だけで100万円かかるからね」

おいなり「そんなにぃ?」

松本「一方海はスパムむすび、ロコモコ丼、なんでも食べれますからね」

おいなりダメだろーっ!!!お前とうとう、ハワイで来たなっ!!お゛ーいっ!!!!!」

問題である。ここで遂に「山派の条件がエベレストになっている」という可能性も崩れてしまった。

頂上まで1ヶ月、300名以上が死亡、入山料が100万円という条件は疑いようがなくエベレストだ。しかしこれらの条件に「フキノトウ」が加わってしまった。

一応、調べてみた。日本語だけではなく英語エベレストフキが生えているか案の定なかった。

なお、ヒマラヤユキノシタというヒマラヤ山脈原産植物があり、これは氷点下46℃でも生きていけるという事は分かったが分類上はフキと全く関係がない。

多分これは単純な情報ミスリサーチ不足だろう。というより視聴者がすぐにウソか本当か判断できない情報を無闇に出すべきではない。

フキノトウという100%生えてないとは即座に判断できない植物を出してしまったせいで「エベレストフキノトウってあるの?」と視聴者は思ってしまい、余計な想像をする。

違和感の蓄積と「まさかこのままエベレストオチで終わらないよな?」という不安視聴者の緊張はピーである

そして恐れていた事態が起きる。

おいなり「お゛いっ!!ハワイ行ったじゃないかお前は!海外最高峰を出してくるんじゃないよ!こっちなんてフキノトウ一本なんですからねっ!」

おいなり「…ダメだろーっ!!!俺の山、ずっと、冬じゃないか!!!お゛ーいっ!!!!冷たい景色に冷たい空気フキノトウ、なんで俺は冬で戦ってんだよ!!!!」

おいなり「…ダメだろーっ!!!俺の山もしかしてエベレストだな!!!お゛ーいっ!!!!入山料めちゃくちゃ掛かって人が死んで一ヶ月かかる、これエベレストしか無いんじゃないか!!!!」

間髪入れない連続ツッコミ。これが最大のネタバラシであり盛り上がりどころと想定したと思われるが、視聴者は全員エベレストである事に気づいている。

ここまで引っ張ってエベレストじゃないパターンを期待していた。そして問題フキノトウも全く処理されていない。それどころか畳み掛けでフキノトウというワードが繰り返し出たことで

違和感がいっそう強まっている。「エベレストフキノトウってあるの?」という疑問がチラついてしようがない。まだフキノトウが無ければ幾らかマシになっていた。

そして終盤30秒を切ってようやく条件をすり替えられた事においなりがキレる。

松本「いいじゃないですか、世界一の山なんだから

おいなり世界一の山でもレジャーとして厳しすぎるぞっ!もう反則負け!海の負け!山の勝ちでいいですかっ!?

松本「いや絶対海の勝ちですからだって海は水着美女たくさん見れますよ」

おいなりダメだろーっ!!!じゃ~あ、海の、勝ちでーす!!!来年一緒に行こうなっ!!どうもありがとうございました!!」

ここまで異常なまでに山に熱量を見せていた男が水着美女でコロっと白旗を上げる妙に気持ち悪いサゲで漫才は終わる。


結論

漫才ツッコミテイストに関わらず、基本的ボケ違和感の残る発言をし、それをツッコミが適切に指摘・解消する事で笑いに繋げる。

きつね日和は一度も適切に違和感を解くことが出来ず、最後まで違和感が蓄積し続けて笑いにならなかった。

「的はずれなツッコミを続けるおいなり」に笑うというケースも考えられ、もしかしてそれを意図して作ったネタ可能性もあるがM-1予選で使うにはあまりリスキーである。それにだとすれば松本の指摘も少なすぎる。

とは言え特徴的なツッコミや同じパターンの反復で多少の笑いが起きても良いと思うが… 板の上の魔物

■きつね日和はどうすればよかったのか

おいなりが「俺の山もしかしてエベレストだなっ!」と言った後に松本矛盾点をつつき追い詰める展開を作る(「エベレストフキノトウなんて生えてないよ」「山好きなのにそんなことも知らないの」「一般的な山だって登山道は人の手で作られてるよ」「山一択のくせにアピールポイント弱いな」等)


2022/11/12追記

おいなり海の家にブチギレたくだりですが、20回ほど視聴したところで

もしかしておいなりは 「山は空気がおいしい!とにかく空気が透き通っております!」と自然空気の良さを主張したのに

松本が「焼きそば、焼きとうもろこし文字通り美味しい空気を楽しめる」という人工的なものアピールしたので「人の手を借りるんじゃないよ!!」と言った可能性に気づきました。

それならば「海派か山派か」という大きな括りの議題の他に「"自然を"堪能できるのは」といった細かが議題を冒頭で言う必要があります

おいなりが主張する前にそれぞれ「どっちが綺麗か」「どっちが自然を堪能できるか」「どっちがグルメがおいしいか」といった議題を言ってけば混乱を免れる事ができました。

2022-11-10

本業をやめて3ヶ月目

着々と収益が上がりついに月収が100万を突破しました😆

やはりWEBマーケティングは稼げる。

皆が意外と知らないアレを使うと、誰でも稼げます

詳しい情報ヒマラヤ山脈の山頂、地肌が出てるあたりの土の中に埋めときました★

気になる人は是非、登頂してみて!

2022-05-27

大阪音楽大学楽器資料館に行って楽しかった思い出

https://twitter.com/smasuda/status/1529736482797531136?t=cG0wDOuC_8WntwPOawvGcw&s=19

ある資料館が潰れてしまうことの抗議としてこれを残す。

とは言っても俺は専門的には門外漢資料価値について語ることはできないので、代わりに遊びにいったときの話をする。

自身声優ライブならいます音楽知識はありませんという人間から、恐らく残されるだろう数少ない楽器を見てうぉーすげー!とはぜんっぜんならなかった。

ただ、民族楽器のコーナー(こっちは残らない、下手すれば燃えるゴミになる)はすごい面白かった。

例えば管楽器のコーナー。

ミャンマーとかヒマラヤ山脈より東の地域はスラッとまっすぐな木製なんだけど、西の地域だったり北アメリカだったりは大きく反り曲がったりでこぼこしたりしてる。

これは何でかって言ったら竹が原生してるのかどうかなんだって

地理的要因が地域文化文明にどう影響を与えるのかを明確に示し一望できるのはこの資料館ぐらいなんじゃないだろうか。

「まだ」HPでは資料館の紹介はされており、管楽器の展示風景写真確認できる。

もしよければ一度見てもらえればと思う。

https://www.daion.ac.jp/campus/museum/


ちなみに竹がない地域は骨や角から髄液を抜き取ったものを加工して楽器にしたから反り曲がったりでこぼこなのらしい、こういった話は学芸員のおじさんから聞いた。

そう学芸員のおじさん、これだけではなくいろんなことを教え、体験(!)をさせてくれた。

様々な知識実践の中で教えてくれて単純に感謝気持ちもあれば、あくま自分の興味が持てる視点しか見れない自分に当時は少し恥ずかしい気もした。

短い時間だったがあの人は今どうしてるんだろうか。


今の大学トレンドは、官民との共同研究とそれに連なる形での実践学習だ。

実学教育!」なんてファミマで腐るほど流れてるけどその結果がこれなのか。

俺が経験したような「実践」を、未来音楽家たちに学んでもらう場を残すことは大きな価値があるはずだ。

また先に書いた通り音楽だけに留まらず、文化が何に影響を受けるのかを具体的に証明している証拠としての価値も非常に大きい。

最初ツイートの続きにかかれてる通り近くの空き校舎を利用することもできるはずだし、設立している豊中市松本氏を名誉市民にするなど音楽文化に対して興味も大きい。

どのようにこの貴重な資料館をできる限り同じ形で存続していくのかについての議論を、大阪音楽大学理事の方々には深めてもらいたい。

2021-08-26

anond:20210826201134

幸せになって充実したほうがいい気がするけどなぁ

後そういう奴ってプライドヒマラヤ山脈から表じゃ絶対悔しがらないんじゃね

2021-04-15

増田代表して藤井聡太一言言いたい

まだ分からんか、聡太

将棋の強さに、頂上はない

インドの盲人やパタゴニア牧畜労働者にこそ真の棋聖がいるのかも知れない

フジヤマに登って見る景色ヒマラヤ山脈の遥か下…

はてなはただそれをお前に伝えようとした

もはや言うことはない

お前は自分自身に負けたんだよ、聡太

2020-10-03

あなたの知らない中国の話

とある日本人登山家

中国の山に登る(ヒマラヤ山脈東部、7000メートル級、死の山とも呼ばれる)

頂上付近で猛吹雪

遭難

本人、相方瀕死

それでも数日後、何とかキャンプに戻る。

しかサポートメンバーは、二人が死んだと思い日本帰国済み。

キャンプ跡地には段ボール2箱だけ。

中身はインスタント食。

だがお湯は無い。

テントも無し。

相方さん死亡。


死んでなるものかと、必死下山


17日後。。。。

日本では告別式

・・・

しかし丁度その日。

中国人の農民親子が遭難者を発見

皮膚は凍傷で真っ黒。

ガリガリの骨と皮だけ状態(体重30kgほど)

衣服はズタボロ。

靴は途中で脱げてなし。

1ヶ月以上風呂無しの体臭MAX

しかも肉が腐って腐乱臭。

まさに化け物のような風貌。。。

でもこの農民親子は、そんな遭難者を自分の家に担ぎ込み、必死で手当。

村人の1人は、伝令で9時間走ってふもとの役所通報

その日のうちに100人以上の救助隊が編成。

翌日、1日がかりで、ふもとも病院まで降ろす(人力)

その距離100キロ以上の崖道。

しかも当日は大雨。

ふもとの病院では20人以上の医療チームを急遽編成して、蘇生手術開始。

一時は心肺停止

何とか持ち直すも、田舎病院では手の打ちようがない。

病院への移送が決まる。

でも運べる車が無い。

そこで夜を徹して、マイクロバス寝台車改装

翌朝出発し、数百キロのガタガタ道を夜中まで走り続け、成都の大病院に到着。

しかし翌朝、体調急変。

緊急手術により両手の全ての指、両足を失う。

45日間にわたる入院

総輸血量は体内液量の2倍以上。

200人以上から集めた血液

その後、日本病院移送されることに。


中国では盛大なお見送り

しか医療請求されず。


以上、実話です。

これがあなたの知らない中国なんです

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E7%94%B0%E5%AE%8F%E4%B9%9F

2016-08-27

[] ティンプー

ティンプーゾンカ語:ཐིམ་ཕུ、Thimphu)は、ブータン王国首都ブータン最大の都市

ブータン西部ヒマラヤ山脈の南東にある盆地の底に位置している。標高は2,320m。ティンプー県に属する。

  

1958年大阪府立大学植物学者であった中尾佐助はブータン探検し、その当時首都とされていたプナカを訪れた。

しかしプナカは人気も人家も少なく、荒れた谷になっていた。それに先がけ、中尾ティンプーを訪れて王宮国王に謁見していた。

この出来事によって、同国の首都ティンプー移転していたことが世界に明らかにされた。それ以前のティンプーは小さな村に

過ぎなかったが、ジグミドルジワンチュク国王の主導で整備が行われ、プナカから遷都1961年完了した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%BC

2015-02-14

( ・3・) クラシック好きの上司ジャズを聴きたいと言いだして

はじめに

わたしの職場に、自他ともに認めるクラシックマニアがいる。近・現代の作曲家は一通り聴いているというが、中でもお気に入りスクリャービンで、携帯の着信音とアラームには「神秘和音」が設定してあるくらいだ。

その彼が、最近、急にジャズに興味を持つようになった。なんでも娘さんが部活でサックスを始めたのがきっかけらしい。彼の机には娘さんの小さいころの写真が立てかけてあるが、父親と血がつながっているとは思えないかわいらしさだ。パパだってジャズくらい分かるんだぞ、ということにしたいのかもしれない。

彼はわたしジャズ・ギターを弾くことを知っている。音楽に関して(だけ)は寛容なので、各種イヴェントの際には有給を消化しても嫌な顔ひとつしない。

ある昼休みの会話

ちょっと私用なんだが」と彼は言った。「こんどの休みは空いてるか? お前の好きなジャズのCDを10枚くらい持ってきてくれ。うちのオーディオで聴こう」

「CDならお貸ししますよ」とわたしは答えた。特に予定はないが、できれば休日はゆっくり寝ていたい。

「まあそう言うなよ」と彼はつづけた。「プレゼンの訓練だと思えばいい。ジャズの聴きどころを存分に語ってくれ。昼はうなぎを食わせてやるぞ。それとも――」

「それとも?」

「もう有給は当分いらないということか?」

事の次第

こうして、わたしは休日をつぶして彼の家を訪ねることになった。どのCDを持っていくかはなかなか決められなかったが、一日でジャズの百年の歴史を追いかけるのは無理だと割り切って、わたし自身がジャズを聴き始めた高校生のころ――もう15年も前の話だ――に感銘を受けたものを選ぶことにした。マイルス・デイヴィスカインド・オブ・ブルー』、ビル・エヴァンスワルツフォー・デビー』、ジョン・コルトレーンジャイアントステップス』はもうコレクション済みだということだったので、それら以外で。

駅に到着

手土産の菓子と20枚ほどのCDを抱えて最寄駅に着くと――結局10枚には絞り込めなかった――彼の車が目に留まった。

「きょうは夕方まで家に誰もいないからな。気兼ねしなくていい」

「そうでしたか」

「いるのは猫だけだ」

「猫? 以前お邪魔したときには見かけませんでしたが」

「公園で拾ってきたんだ」

「娘さんが?」

「いや俺が。子供のころに飼っていた猫とよく似ていたものだから」

ノラ猫を拾う人間と、ショスタコーヴィチ交響曲全集を部下に聴かせて感想を求める人間が、ひとりの男の中に同居している。この世界は分からないことだらけだ。

家に到着

ちーちゃんお客様にご挨拶だ」と彼は居間の扉を開けながら言った。ちーちゃんと呼ばれた白い猫は、こちらを一瞬だけ見るとソファのかげに隠れてしまった。そそくさと。

「ご機嫌ななめだな。まあいい。そっちに掛けてくれ。座ったままでディスクを交換できるから。いまコーヒーを淹れてくる」

ようやく本題へ

――これ以降は対話形式で進めていきます。

( ・3・) さっそく始めよう。

1. マイルス・デイヴィストランペットバンドリーダー

Miles Davis (1926-91)

――マイルスについてはご存じだと思いますが、次々に作風を変化させながらジャズを牽引していった、アメリカ文化的ヒーローです。デューク・エリントンマイルスについて「ジャズピカソだ」と述べました。

( ・3・) 『カインド・オブ・ブルー』の人だな。

――はい。その作品の後に注目したいんですが、60年代の半ばに、ウェイン・ショーターというサックス奏者がマイルスバンドに加わります。この時期の録音はひときわ優れた内容で、ジャズリスナープレイヤーからはヒマラヤ山脈のように見なされています。

Prince of Darkness (1967) http://youtu.be/-wckZlb-KYY

( ・3・) ヒマラヤ山脈か。空気が薄いというか、調性の感覚が希薄だな。テーマの部分だけでも不思議なところに臨時記号フラットがついている。

――主音を軸にして、ひとつフレーズごとに旋法を変えています。コードが「進行」するというよりは、コードが「変化」するといったほうが近いかもしれません。

( ・3・) ピアノコードを弾かないから、なおさら調性が見えにくいのかもしれないな。

――はい。余計な音をそぎ落とした、ストイックな演奏です。

( ・3・) 体脂肪率ゼロ。

――マイルスバンドには一流のプレイヤーでなければ居られませんから、各々が緊張の張りつめた演奏をしています。

Nefertiti (1967) http://youtu.be/JtQLolwNByw

――これはとても有名な曲。ウェイン・ショーターの作曲です。

( ・3・) テーマで12音をぜんぶ使ってるな。

――覚めそうで覚めない夢のような旋律です。このテーマがずっと反復される。

( ・3・) それってラヴェルボレロじゃないのか?

――ボレロではスネアドラムが単一のリズムを繰り返しますが、こちらはもっと自由奔放ですよ。ドラムが主役に躍り出ます。

( ・3・) おお、加速していく。

――テンポ自体は速くなるわけではありません。ドラムは元のテンポを体で保ったまま、「そこだけ時間の流れ方がちがう」ような叩き方をしています。

( ・3・) ドラムが暴れている間も管楽器は淡々としたものだな。

――はい。超然とした態度で、高度なことを難なくやってみせるのが、このクインテットの魅力ではないかと思います。

2. ジミー・ジューフリークラリネット

Jimmy Giuffre (1921-2008)

Emphasis (1961) http://youtu.be/QRyNUxMJ18s

( ・3・) また調性があるような無いような曲を持って来よって。

――はい。この曲は基本的にはブルースだと思うのですが、テーマでは12音が使われています。ジミー・ジューフリーというクラリネット奏者のバンドです。アメリカルーツ音楽と、クラシックとの両方が背景にあって、実際に演奏するのはジャズという一風変わった人です。

( ・3・) ドラムがいないと室内楽みたいだな。

――ドラム抜きの三人のアンサンブルというアイディアは、ドビュッシーの「フルートヴィオラとハープのためのソナタ」に由来するそうです。

( ・3・) いいのかそれで。ジャズといえば「スウィングしなけりゃ意味がない」んじゃなかったのか?

――スウィングしたくない人だっているんですよ。といっても、ベースフォービートで弾いていますが。

( ・3・) これが録音されたのは……ええと、1961年か。ジャズもずいぶん進んでいたんだな。

――いえ、この人たちが異常なだけで、当時の主流というわけではありません。さっぱり売れませんでした。表現自体は抑制・洗練されていて、いかにも前衛というわけではないのに。同じ年のライヴ録音も聴いてみましょうか。

Stretching Out (1961) http://youtu.be/2bZy3amAZkE

( ・3・) おい、ピアノの中に手を突っ込んでるぞ。(3分16秒にて)

――まあ、それくらいはするでしょう。

( ・3・) おい、トーン・クラスターが出てきたぞ。(4分16秒にて)

――それでも全体としては熱くならない、ひんやりした演奏です。

3. エリック・ドルフィーアルトサックスフルート、バス・クラリネット

Eric Dolphy (1928-64)

――さて、次はエリック・ドルフィー。作曲の才能だったり、バンドを統率する才能だったり、音楽の才能にもいろいろありますが、この人はひとりの即興プレイヤーとして群を抜いていました。同じコード進行を与えられても、ほかのプレイヤーとは出てくる音の幅がちがう。さらに楽器の持ち替えもできるという万能ぶり。順番に聴いていきましょう。まずアルトサックスから。

( ・3・) おお、うちの子もアルトサックスだ。

Miss Ann (1960) http://youtu.be/7adgnSKgZ7Q

( ・3・) なんだか迷子になりそうな曲だな。

――14小節で1コーラスだと思います。きちんとしたフォームはあるのですが、ドルフィーフォームに収まらないようなフレーズの区切り方でソロをとっています。1小節ずつ意識して数えながらソロを追ってみてください。ああ、いま一巡してコーラスの最初に戻ったな、とついていけたら、耳の良さを誇ってもいいと思いますよ。

Left Alone (1960) http://youtu.be/S1JIcn5W_9o

――次はフルート

( ・3・) ソロに入ると、コード進行に対して付かず離れず、絶妙なラインを狙っていくな。鳥の鳴き声というか、メシアンの「クロウタドリ」に似ている。

――鳥の歌に合わせて練習していたといいますから、まさにメシアンです。あるいはアッシジのフランチェスコか。ほかにもヴァレーズの「密度21.5」を演奏したり、イタリアフルートの名手であるガッゼローニの名前を自作曲のタイトルにしたり、意外なところで現代音楽とのつながりがあります。

参考 Le Merle Noir (Messiaen, 1952) https://youtu.be/IhEHsGrRfyY



It’s Magic (1960) http://youtu.be/QxKVa8kTYPI

――最後にバスクラ吹奏楽バスクラ担当だったけど、主旋律で活躍する場面がなくて泣いてばかりいた方々に朗報です。

( ・3・) バスクラってジャズではよく使われるのか?

――いえ、当時、長いソロを吹いた人はあまりいませんでした。

( ・3・) バスクラ自体がめずらしいという点を措いても、独特な音色だな。

――村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』にこんなくだりがあります。「死の床にあるダライ・ラマに向かって、エリック・ドルフィーがバス・クラリネットの音色の変化によって、自動車エンジン・オイルの選択の重要性を説いている……」

( ・3・) どういう意味?

――楽器の音が肉声のようにきこえる。でも何をしゃべっているのかはよく分からないという意味だと思います。あと、ミニマリズム作曲家スティーヴ・ライヒバスクラを効果的に使いますが……

( ・3・) 「18人の音楽家のための音楽」とか、「ニューヨークカウンターポイント」とか。

――はい。彼はドルフィーの演奏を聴いてバスクラに開眼したと語っています。 [1]

( ・3・) ジャズ現代音楽との相互作用だな。

4. オーネット・コールマンアルトサックス

Ornette Coleman (1930-)

――真打登場です。サックス奏者のオーネット・コールマン50年代の末に現れて、前衛ジャズの象徴的な存在になった人です。といっても、難しい音楽ではありません。子供が笑いだすような音楽です。ちょっと変化球で、70年代の録音から聴いてみましょう。

Theme from Captain Black (1978) http://youtu.be/0P39dklV76o

――ギターのリフで始まります。

( ・3・) あれ、ベースおかしなことやってるな。キーがずれていくぞ。

――はい、各パートが同時に異なるキーで演奏してもいいというアイディアです。イントロのギターが床に立っている状態だとすると、ベースは重力を無視して、ふらふらと壁や天井を歩きだす。

( ・3・) 複調を即興でやるのか?

――どのていど即興なのかはわかりません。コンサートに行ったことがあるのですが、譜面を立てて演奏していましたよ。でも、別にダリウス・ミヨーに作曲を教わったというわけではなくて、アイディアを得たきっかけは些細なことだったんじゃないでしょうか。たとえばサックスが移調楽器であることを知らなかったとか。「なんかずれてるな、でもまあいいか」みたいな。

( ・3・) それはいくらなんでも。もし本当だったら天才だな。

Peace (1959) http://youtu.be/bJULMOw69EI

――これは初期の歴史的名盤から。当時、レナード・バーンスタインオーネットを絶賛して、自分がいちばんでなければ気のすまないマイルス・デイヴィスがたいそう機嫌を損ねました。

( ・3・) さっきのに比べると普通にきこえるが……

――1分40秒あたりからサックスのソロが始まります。集中してください。

( ・3・) (4分12秒にて)ん? いま、俺の辞書には載っていないことが起きた気がするな。

――ここはいつ聴いても笑ってしまいます。そのタイミングで転調するのか、脈絡なさすぎだろうって。ソロをとりながら、いつでも自分の好きな調に転調していいというアイディアです。

( ・3・) 言うは易しだが、真似できそうにはないな。

――どの調に跳んだら気持ちよく響くか、という個人的な経験則はあるはずです。突飛な転調でも、「これでいいのだ」といわれれば、たしかにその通り、すばらしい歌ですと認めざるを得ません。

昼食のため小休止

――お昼はうなぎだと聞いておりましたが。

( ・3・) そのつもりだったんだが、いつの間にか値段が高騰していてな。「梅」のうなぎよりも、うまい天ぷら蕎麦のほうがいいじゃないか。

5. セシル・テイラーピアノ

Cecil Taylor (1929-)

――この人も、オーネット・コールマンと同じくらい重要なミュージシャンです。テキサス出身のオーネットに対して、セシル・テイラーニューヨーク出身。都市と芸術の世界の住人です。ピアノを弾くだけではなくて、舞踊や詩の朗読もします。これは1973年に来日したときの録音。

Cecil Taylor Solo (1973) http://youtu.be/X7evuMwqjQQ

( ・3・) バルトークシュトックハウゼンの楽譜を細かく切って、よくかき混ぜて、コンタスキーが弾きましたという感じだな。70年代にはずいぶん手ごわいジャズも出てきたんだ。

――いえ、テイラー50年代から活動しています。チャック・ベリーやリトル・リチャードと同じ世代。この人が異常なだけで、当時の主流ではありませんが。さっきも似たようなことを言いましたね。

( ・3・) このスタイルでよく続けてこられたな。

――継続は力なり。2013年には京都賞を受賞して、東京でもコンサートがありました。

( ・3・) どうだった?

――会場で野菜を売っていたので、買って切って食った。

( ・3・) ちょっと意味が分からんな。

――文字通りの意味なのですが、それについては別の機会にしましょう。演奏の話に戻ると、混沌と一定の秩序とがせめぎあって、台風のさなかに家を建てている大工のような趣があります。「壊す人」というよりは「組み立てる人」です。また、あるフレーズを弾いて、復唱するようにもういちど同じフレーズを弾く箇所が多いのも特徴です。

( ・3・) いちどしか起こらないことは偶然に過ぎないが、もういちど起こるなら、そこには何らかの構造が見えてくるということか。

参考 Klavierstücke (Stockhausen, rec. 1965) http://youtu.be/mmimSOOry7s



6. デレク・ベイリー(ギター)

Derek Bailey (1930-2005)

――きょう紹介するのは北米の人ばかりなのですが、デレク・ベイリーは唯一の例外で、イギリス人です。さっそく聴いてみましょう。これも日本に来たときの録音。

New Sights, Old Sounds (1978) http://youtu.be/nQEGQT5VPFE

( ・3・) とりつくしまがない……。

――そうですか? クラシック好きな方には思い当たる文脈があるはずですが。

( ・3・) 無調で点描的なところはヴェーベルン。でも対位法的に作曲されたものではないみたいだ。あと、初期の電子音楽ミルトン・バビットとか……。

――模範解答です。

( ・3・) でも即興でヴェーベルンをやるというのは正気の沙汰とは思えんな

――即興の12音技法ではありません。それは千年後の人類に任せましょう。ベイリーがやっているのは、調性的な旋律や和音を避けながら演奏することです。最初に聴いたマイルス・デイヴィスも緊張の張りつめた音楽でしたが、こちらも負けず劣らずです。文法に則った言葉を発してはいけないわけですから。

( ・3・) 「どてどてとてたてててたてた/たてとて/てれてれたとことこと/ららんぴぴぴぴ ぴ/とつてんととのぷ/ん/んんんん ん」

――ちょっと意味が分かりませんが。

( ・3・) 尾形亀之助の詩だ。お前も少しは本を読んだらどうだ。それはともかく、こういう人が観念的な作曲に向かわずに、即興の道に進んだのは不思議な気がするな。

――いちプレイヤーとして生涯を全うしたというのは重要で、ベイリーの音楽はベイリーの体から切り離せないと思います。彼の遺作は、病気で手が動かなくなってからのリハビリを記録したものでした。

( ・3・) プレイヤーとしての凄みが音楽の凄みに直結しているということか?

――はい。技術的にも高い水準のギタリストでした。無駄な動きのない、きれいなフォームで弾いています。気が向いたら動画を探してみてください。

( ・3・) まあ、ギター弾きのお前がそう言うなら上手いんだろうな。

――楽器の経験の有無で受け止め方は変わってくるかもしれません。ジャズ一般について言えることですが、鑑賞者としてではなく、その演奏に参加するような気持ちで聴くと楽しみも増すと思いますよ。

ベイリー即興演奏(動画) http://youtu.be/H5EMuO5P174

参考 Ensembles for Synthesizer (Babbitt, 1964) http://youtu.be/W5n1pZn4izI



7. セロニアス・モンクピアノ

Thelonious Monk (1917-82)

――セロニアス・モンクは、存在自体が貴重なピアニストです。生まれてきてくれてありがとう、とお母さんみたいなことを言いたくなる。

( ・3・) 初めて聴く者にとっては何のこっちゃの説明だな。

――とてもユニークスタイルで、代わりになる人が思いつかない、くらいの意味です。まあ聴いてみましょう。

Everything Happens to Me (Monk, 1959) http://youtu.be/YW4gTg3MrrQ

( ・3・) これは彼の代表曲

――いえ、そういうわけではありません。モンクの場合、どの演奏にも見逃しようのない「モンクの署名」が刻まれているようなものなので、わたしの好きな曲を選びました。有名なスタンダードです。最初に歌ったのは若いころのフランク・シナトラ

Everything Happens to Me (Sinatra, 1941) http://youtu.be/ZWw-b6peFAU

――1941年の録音ですが、信じがたい音質の良さ。さすがスター。さすが大資本。これがヒットして、多くのジャズミュージシャンレパートリーになりました。ちなみに曲名は「僕には悪いことばかり降りかかる」というニュアンスです。恋人に手紙を送ったらさよならの返事が返ってきた。しかも郵便料金はこちらもちで、みたいな。もうひとつだけ聴いてみましょう。

Everything Happens to Me (Baker, 1955) http://youtu.be/UI61fb4C9Sw

( ・3・) このいけすかないイケメンは?

――チェット・ベイカー50年代西海岸を代表するジャンキーです。シナトラに比べると、ショウビズっぽさがなくなって、一気に退廃の世界に引きずりこまれる。で、モンクの話に戻りますが――

( ・3・) ショウビズではないし、退廃でもない。

――もっと抽象的な次元で音楽を考えている人だと思います。

( ・3・) 素材はポピュラー・チューンなのに、ずいぶん鋭い和音が出てくるな。

――調性の枠内で本来なら聴こえないはずの音が聴こえてくると、デレク・ベイリーのような無重力の音楽とはまた別種の怖さがあります。幻聴の怖さとでもいうべきか。さいごにぽつんと置かれる減5度の音には、「聴いてはいけないものを聴いてしまった」という感じがよく出ています。

( ・3・) 減5度はジャズでは珍しくないんじゃないのか?

――はい。でも、その音をどう響かせるか、その音にどういう意味を持たせるかというのは全く別の問題です。そういう音の配置に関してモンクは天才的でした。

( ・3・) カキーン、コキーンと石に楔を打ちこむようなタッチで、ピアノの先生が卒倒しそうだが。

――意図的に選択されたスタイルだと思います。プライヴェートではショパンを弾いたりもしていたそうですよ。 [2]

( ・3・) 見かけによらないものだな。

――小さいころから必死に練習すれば、いつかはマウリツィオ・ポリーニの水準に達するかもしれません。しかし、ピアニストとしてモンクを超えるというのは、端的に不可能です。それがどういう事態を意味するのか想像できませんから。

( ・3・) 四角い三角形を想像できないように、か。

ちーちゃんトイレ掃除のため小休止


8. アンドリュー・ヒル(ピアノ

Andrew Hill (1931-2007)

――アンドリュー・ヒルは作曲・編曲に秀でたピアニストです。『ポイント・オブ・ディパーチャー』というアルバムが有名ですが、録音から半世紀を経たいまでも新鮮にきこえます。ペンギンブックスのジャズガイド(なぜか翻訳されない)では、初版からずっと王冠の印が与えられていました。

( ・3・) 英語圏では別格扱いということか。

――ヒルは若いころ、ヒンデミットの下で学んだという話もあるのですが……

( ・3・) ヒンデミットアメリカに亡命していたからな。

――誇張も混ざっているかもしれません。ヒルの経歴は、生年や出身地も事実とは異なる情報が流れていたので。

Refuge (1964) http://youtu.be/zquk2Tb-D6I

( ・3・) 何かひっかかるような弾き方のピアノだな。

――ヒルには吃音がありました。 [3] 言いたいことの手前でつっかえて、解決を先延ばしにするような演奏は、しばしばそのことに結びつけられます。

( ・3・) 否定神学ジャズだな。

――ヒテーシンガク?

( ・3・) ほら、メルヴィルの『モービー・ディック』で、神秘的な白鯨の本質については語れないから、迂回してクジラにまつわる雑学的な記述が延々とつづくだろ?

――どうでしょうアナロジーとしては分からなくもないですが。

( ・3・) 形而下の世界に戻るか。あれ、このサックス奏者、さっきも出てきたんじゃないか? (2分58秒にて)

――エリック・ドルフィー共演者共演者を辿っていくと、きょう紹介する人たちはみんなつながっています。

( ・3・) デレク・ベイリーも?

――はい。セシル・テイラーと共演していますし、この次に紹介する人ともアルバムを出しています。

( ・3・) なんだかドルフィーに耳を持っていかれてしまうな。

――圧倒的です。ねずみ花火のような軌道と瞬発力。数か月後に死ぬ人間の演奏とは思えません。

( ・3・) すぐ死んでしまうん?

――はい。ドラッグでもアルコールでもなく、ハチミツオーバードーズで。正式な診断ではありませんが、糖尿病だったといいます。 [4][5]

( ・3・) ハチミツって、くまのプーさんみたいなやつだな。――ん? いまミスしなかったか? (6分36秒にて)

――ドルフィーアンサンブルの入るところを間違えています。

( ・3・) やり直しになるんじゃないの?

――ジャズは減点方式ではなく加点方式ですから。ミスがあっても、総合的にはこのテイクが最良という判断だと思います。

続く

http://anond.hatelabo.jp/20150214224440

 
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