はてなキーワード: 品種改良とは
何かが役に立つかどうかって、あんまり決めつけないほうがいいと思うんだよね。
やりたいことをやろう、とか、好きに生きていこう、とかのジャマになるから。
子供のころから言われていて逆方向に何十年もかけて一周してきた感じがするから、ちょっとそれを書いてみる。役に立たないかもしれないけどね。
「勉強は役に立つからするのではありません。人生を豊かにするためにするのです」
中学生になってゲームセンターで遊んでいると、年上のお兄さんたちはみんなで考えて答えてくれた。
「ゲームなんか役に立つわけねぇだろ。オマエにはまだ分からね―だろうけど、だからいいんだよ」
「違うね。役に立てられるかどうかは自分次第なんだよ。それに、立つか立たないかで行動を決めないほうがいい。勉強だって同じさ」
「知識ってのはなぁ、役に立つかたたねぇかじゃねぇんだよ! 何度も言わせるな。役立てられるかどうかなんだ!!」
そんなの全部分かってると思ってたし、だけど実際には役に立つことと立たないことってたくさんあって、みんな心のなかで本当は順位を決めてると思ってた。
これがすごく上手く書きづらいから、伝えづらくて自分の中にもしっかり入らなかったんだと思う。
「みんな生きてるんだ」とか、「働くって尊いことなんだ」とか、「人は平等なんだ」とか、そういうのの一種だと思っていて、暇つぶしの無意味なことをバカにしてはいけないとか、あまり役に立たないことをしてるように見える人でも笑っちゃいけない、どこで何が役立つかなんて誰にもわからないことがあるんだから――、みたいに。
だってそうだよね? たくさん役に立つ人や仕事が偉くて、誰にでもできる仕事はそんなに偉くない、ってたいていの人がどこかで思ってない?
役に立たないなんて簡単に言うもんじゃないってお説教はもう中学生になるかならないかのころに聞き飽きてたし、おとなになって働くようになっても「職業に貴賎なし」とか『働かないアリには意義がある』とか、そんなのばっかりで、多様性の担保のための有用性指標を隠蔽するために、差別を助長させない社会的配慮としてこういう議論はずっと見てきたから、心の奥底ではどこかで嘘だなって思ってたんだよね。
How to本とかだってたくさんあって、売るためなのか売れるからなのか知らないけど偉い人が書いてる立派な本を出してる大きな出版社が競うように、『これさえ覚えれば安心』『今すぐ役立つ即戦力』『要らないものは捨てて楽になろう』みたいなのずーっと出してるじゃない。
「無能な人は**をする」とか、「役に立たない人の特徴は**」とか、「**で迷惑をかけない方法10選」とかさ、そんなのばっかりでしょ?
だけど、根本的に、もっと本質的に、徹底的に実は間違ってたんじゃないかなって思う。
中年になった父が呆れたり怒ったりしながら何度も何度も言っていたのは、差別とは話とは違って、「知識や技術や勉強は役に立つかどうかとは無関係」ってこと。
本当にこれって、表現するのが難しい。
データベースの存在は運用方法と無関係、って書いたらSEさんは理解してくれるかな。
詳しくないけど、ベースって書いたらだめかも。データ自体が役に立つかどうかは運用の仕方次第、とかのほうがいい?
知識という概念は、有用性とは無縁である。……って書いても分かりづらいでしょ?
勉強という行為の意味は、その活用法を定義してはいない。……とかじゃ、お説教みたいだよね?
技術は人次第、だと名言だけど……、役に立つかどうかの判断と技術は無関係って説明になってるかどうかちょっと疑問。
あ、そうだ。
役に立つ、ってどういうことか考えたらいいのかな。
有用である、効果的である、用を成すのに適している、とかって感じ?
主語がないんだけど、役に立つ、って言葉もそうだからややこしくて、将棋の技術や知識は将棋をする時にものすごく役に立つし、古文の勉強は古典を読むのに必須だし、ハキリアリの生態に対する知識は蟻や農業の研究をする時に役に立つ、みたいな。
外資系ファンドで通訳をする時に将棋の知識はきっと役に立たないし、サーバー構築に古文の勉強はたぶん必要ないし、定期運送用操縦士の免許を取るのに蟻の知識は役に立たない、みたいな。
何が言いたいか伝わってるかすごく不安だし、もっと言うと自分がしていた誤解と言葉に対する認識の溝を感じてもらえるか自信はないけど、無関係な概念だよね、って話。
きっと以前に指摘してくれた人はいるんだけど、関連付けること自体が間違った発想だよね、って。
『役に立つ知識』も『役に立たない知識』も存在しなくて、知識は単に知識なんだよね。
日本で日本人と日本語だけで話してる時に英語も中国語もドイツ語も役に立たないし、ごはんを作る時にサーバー構築技術はいらないし、眠れなくて落ち着きたい時にパイロットの免許は役に立たない。状況によって必要な技術も知識も勉強も違うから、役に立つ時も立たない時もあるのは当たり前で、それは技術や知識や勉強の有用性の指標には成り得ない、とか書くともっと回りくどくなる? ああ、自分の技術や知識に自身がある人だと「だったら役に立つ状況が多いほうが有益ってことだろ?」とか言いたくなるのかな…。
なんか凄く凄く溝を感じる。
通称としての知識体系やその象徴としての言語、みたいな方向からのがいい?
学科、って括りは現実世界には存在しないから、どこからどこまでが現代文で外来語で英語かってあんまり意味ないよね。
数学も確率統計から代数幾何とかあるけど、全部机上の話であって実在の構造を厳密に数値化するなら分子なの原子なの素粒子レベルなの? って話あるよね。
同じ理由で物理は袋小路な面があって、生物も化学も突き詰めれば物理と繋がっていて、地理や歴史は考古学ありきだから古典も外せないし、古典には外来語も入ってくるから知らないよりは知っていたほうがいいし、歴史は暦の面から天文学も重要だから数学が必要なこともある。どこからどこまで、って知識を学問で切り分けて必要不必要って決める意味あるの? って。
だって**学、って言葉では言うけどそんなもの実在しないでしょ?
ほんとうは役に立たない物だってそうで、この世界にあるもの、って、みんな人間のためにあるわけじゃないから、おかしな言い方だと思わない?
……違うかな。
人間が自分達のために作った物は、人間のためのものかもしれない。でも、これも境界は曖昧かな。コンピューターは計算するためのものだから(たぶん2,30年は)役に立つけど、農家の人が(たぶん何年も品種改良して)作った野菜は人間のために人間の作ったものかどうかよく分からない。だからか知らないけど、「役に立たない野菜」っておかしな言い方でしょ?
変なたとえだけど、もし人間がいなければ、世界にあるものはみんな役に立つかどうかは関係ない気がするんだよね。それでもきっと存在してると思うけど。
サバイバルナイフはサバイバルする時に役立てるために作ったもので、バケットホイールエクスカベーターは鉱石を採掘する時に役立つ機械で、黒曜石は小さな肉や植物を切る時に役に立つ。
でも、黒曜石が役に立つ石だからって、石を役に立つか立たないかで分類するのはおかしい。
乗り物が好きな人が近くで笑ってるけど、少なくともバケットホイールエクスカベーターはお庭に近所の人からもらったテッポウユリを移植するのには役に立たない。ナイフや黒曜石のほうがまだいい。
「それでも、誰がどう見ても役に立たない知識や物ってあるだろ?」
って言われると困っちゃうかな。
何かまちがってるような気がするけど、ずっと考えてたらよく分からなくなってきちゃったかな。
人間ってすごく特殊な一部の人を除けば、誕生時から何かをする為に産まれた、って決められている存在ではなくて、「何をするか」だよね?
偉い人とか平凡な人っていうのも実は同じで、区別とか差別ってそういうものなのかもしれない。
やあ(´・ω・`)
日頃ホッテントリ入りしたきのこ関連の記事を、気まぐれで解説しているよ。
「なめこ」の起源 “60年前に福島県で採取の野生の菌に由来”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220615/k10013672561000.html
ブコメで散々指摘されているとおり、あくまで日本で栽培されているなめこの99%は、
ってことだよ。無論、日本中でごく普通にみられる野生のナメコの起源が全て福島県産というわけではないよ。記事にもしっかり
引用:野生の菌では遺伝的な多様性がみられた一方、菌床栽培の菌は1つの系統に分類され、それぞれが遺伝的に極めて近い関係だと明らかになった
と書いてあるよ。まあ、見出しが誤読を誘っている感は否定できないけど。
じゃあ結局野生のナメコの起源はどこなの?って疑問が当然生まれると思う。
結論から言うと、実はよくわかっていないんだ。というのもナメコに限らず、菌類全般ほぼ化石に残らないので、どの種類がどの時代に分かれたのかって細かいとこまで、今のところ把握のしょうが無いというのが実情なんだ。
どんな自然科学の記事にも言えることだけど、せっかく論文が公開されているのにソースのリンクがないのは不親切だよね。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mycosci/63/3/63_MYC570/_html/-char/en
なめこは、特に日本で人気の高い食用きのこの一つである。本種は白色腐朽菌の一種で、ヒマラヤ、中国から日本までの東アジアの冷温帯落葉樹林の枯木や朽木に生育する。記録によると、ナメコは1921年に東北地方で初めて人工的に原木栽培され、伝統的にこのきのこを食してきたという。近代的なナメコのおがくず栽培は、食用きのこのおがくず栽培のパイオニアである森本彦三郎によって1930年に確立された。その後、1960年代から1970年代にかけて木製トレー栽培が開発され、日本における選抜菌株の商業生産が拡大した。1980年代以降は、空調を伴うオガクズ栽培で通年生産が可能となり、日本での生産量の99.7%を占める主流となった。その後、1970年代半ばに中国遼寧省南部にナメコ栽培が導入された。それ以来、中国はその最大の生産国となった。最終的に、2012年には中国が70万トン以上、日本が2万トン以上のなめこを生産し、現在のアジア各地、北米、ヨーロッパへの栽培の広がりを引き起こしている。
もともと日本でしか栽培されてこなかったのに、今となってはほとんどが中国産なんだね。
そのため、食用きのこの栽培の歴史は、作物植物や家畜に比べて比較的浅いことが報告されている。例えば、最も古くから栽培されているきのこの一つである椎茸の栽培は、約800年前に中国で行われたようである。しかし、ナメコの栽培は約100年前から行われている。1929年に山形県で採取された野生子実体から初めてナメコの家畜化株が分離されたが、戦後の混乱期に消失したとする説が唱えられている。ナメコの家畜化過程に関する記録はほとんどない。しかし、現在オガクズ栽培に用いられている株は、1962年10月16日に福島県山都町市で採集された単一の野生株F27に由来すると考えられる。したがって、市販のナメコの大部分はこの厳しいボトルネック現象に由来すると推定され、その結果、遺伝的変異が非常に少なくなっている。栽培種と野生系統の遺伝的多様性の比較は行われていない。したがって、家畜化された種の遺伝資源を利用し、さらに品種改良を進めるためには、その進化史を正しく理解することが必要である。そのためには、家畜の自然集団の遺伝的多様性と集団構造に関する知識が必要である。
断片的な資料や口伝などでF27という株が起源ということは推測されていたものの、きちんと裏付けがなかったみたい。今後品種改良を進めて継続利用していくためには、そもそも今出回っている株がどこに由来しているのか、また多様性はどうなっているのかを調べることが大切なんだね。
本研究により、日本産オガクズ栽培株は自家繁殖または家族内交配に由来していることが示された。これらの結果は、日本のオガクズ栽培で生産される商業用ナメコは単一の祖先の子孫であるとする単一祖先仮説と一致する。したがって、日本の商業用ナメコは単一の家畜化事象に由来するため、遺伝的多様性が著しく低いと結論づけられる。
日本全国から収集されたナメコ野生株の中程度の遺伝的多様性レベルは、他の木材腐朽菌の野生株と同等かそれ以下であると報告されてきた。また、他のきのこの栽培株はいずれも複数の家畜化起源を持つことが研究で示されており、ナメコの自然集団は、おがくず栽培に有効な菌株を開発するための新たな遺伝資源となり得ることを提案する。
中国におけるナメコの生産は、日本からの始祖株F27の子孫が一部寄与しているものの、少なくとも一部の中国産品種は異なる家畜化過程を経たことが示唆された。日本以外での栽培履歴を明らかにするためには、中国における栽培ナメコの全体的な遺伝的多様性に関するさらなる調査が必要である。
他の栽培きのこには複数の起源があるのに、菌床栽培なめこは単一だから遺伝的多様性が極めて低いという評価なんだ。栽培の持続可能性や新たな品種を生み出すためには、野生株や世界中で栽培されている株の追加調査が必要なんだね。
現在国産なめこ種菌を牛耳っている種菌メーカー大手「キノックス」のサイトに詳しいよ。
http://www.kinokkusu.co.jp/etc/09zatugaku/hakase/ha-nameko_04.html
品種改良以前に、そもそも種菌の性能維持にもすごく神経を使っているんだね。
http://www.kinokkusu.co.jp/etc/09zatugaku/hakase/ha-nameko_05.html
きのこの分類にはまだまだ謎が多いよ。しいたけやなめこ級のメージャーきのこですらコロコロ変わってる。
http://www.kinokkusu.co.jp/etc/09zatugaku/mame/mame02-3.html
その後、引用した論文にもあるとおり、Pholiota microspora (Berk.) Sacc. (synonym P. nameko)というシノニムにnamekoという文字が残ったよ。
なんだかんだでwikipediaがそれなりに情報量も多くてまとまっているよ。
菌床栽培 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8C%E5%BA%8A%E6%A0%BD%E5%9F%B9
原木栽培 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E6%9C%A8%E6%A0%BD%E5%9F%B9
もしあなたがなめこを栽培したかったら、すでに植菌済みのブロック菌床(なめこ栽培キット的なやつ)を買うと1週間くらいはニョキニョキ生えるなめこを楽しめるよ。
原木栽培も、適当な雑木と、種駒(今の時期ならホームセンターにたいてい置いてある)と、ジメジメしたちょっとした林があれば簡単にできるよ。
http://www.kinokkusu.co.jp/saibai/sa-g-name.html
自分は過去に短木栽培、長木栽培いずれもチャレンジしたことがあるけど、シイタケよりもずっと簡単で収量も確実だよ。長木なら、駒打って日陰に埋めるか腐葉土たっぷりのジメジメした完全日陰に転がしとけばいいよ。シイタケでよく使われるナラやクヌギみたいな硬い木よりも、ブナ、シデ、サクラみたいな柔らかい木の方が菌の周りが早くて確実なんじゃないかなあ。
まだまだいろいろ書きたかったけど、夜も遅いしこの辺でやめておくよ。
またどこかで会えたらよろしくね。
ここまで読んでくれた聡明なあなた、もしかして「なんか物足りねーな」って思ったかな?
実はそうなんだ。業界的にはたぶん、正直そこまでニュースバリューのある話ではないんだよね。
というのも、おそらくごくごく一部の人たちの中では知られていたであろう「新しい品種作りたいけど、クローンみたいなのしかなくて掛け合わせできねー」「正確な記録は残ってないけど、たぶん全部F27が起源なんじゃねーの」ってことの遺伝的な裏付けが取れたってだけだからね。無論、優良株を持続生産するために必要な研究が一歩前進したってニュース自体は大変喜ばしいけども。
きのこがニュースになるのは嬉しいけれど、見出しにつられて勘違いした人が大量発生するのは嬉しくないし、だから私たちのようなきのこ好きが発信する必要があると思うのね。
当たり前だけど、今流通しているなめこは遺伝的に同じ(中国産については一部国産とは異なる可能性あり)と言ってもいいし、(福島を下げる意図は無いのだけど)特別福島県産のなめこが美味しいなんてことはないので、安心してなめこライフを楽しむと良いよ。
ちなみに、いまだに福島県産のきのこに放射性物質が残留しているんじゃないか、なんてことを心配する人がごくごく少数いるけれど、菌床栽培物については全国どこでも似たような産地の原料使っているので変わりないよ。
一方で原木しいたけやホダ木の生産は、まだまだ一部の市町村で出荷制限がなされていたりするんだ。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/qa/seigenfukusima.html
特にホダ木については事故以前に一大産地だった福島県産ホダ木がほとんど壊滅して、他県に流れてしまったという悲しい事態が起こってしまった。ホダ木の栽培は、20年サイクルくらいで林を皆伐しながら管理するので、一度生産を止めてしまうと再開するには膨大なコストがかかってしまうんだ。福島県のホダ木生産者の方の気持ちを思うと本当にやるせない。
ウクライナにある種子貯蔵庫が焼かれたというニュースでそういう施設があると初めて知った。
「世界が核の炎に包まれた後に地球上の植物をすべて復元してやるぜ!」みたいな志を持ったノアの箱舟的プロジェクトをイメージした。
しかし調べてみるとどうやら少し違うようだ。
種子銀行とも呼ぶらしいこの施設(全世界に1300もあるらしい)に収蔵される植物の種類には偏りがあるっぽい?
日本で種子銀行っぽいことをしている、つくばの「農業生物資源ジーンバンク」ってところの収蔵種子データベースを見るに農作物系種子の収蔵が圧倒的に多いように見える。
まあ施設名に「農業生物資源」というお題目を冠している時点で当たり前と言えば当たり前か。
なのでパーフェクトに地球上の植物全部収蔵する目標のノアの箱舟施設ではないのだろう。
「世界が核の炎に包まれた後に地球上の植物をすべて復元してやるぜ!」
ではなく、
「世界が核の炎に包まれた後に人類が農業再チャレンジできるようにするために農作物の種保存しておきますね」
例えばトウモロコシの品種改良を野生種からもう一度やれと言われたらしんどすぎるので品種改良後の種を保存しておくということか。
https://www.gene.affrc.go.jp/pdf/misc/pamphlet-gb2016.pdf
やっぱり日本は稲を重点的に集めているとかあるのだろうな。
だとするとウクライナのとこにはきっと麦がたくさんあったのだろうなあ……。