はてなキーワード: レジオネラ菌とは
住人(特に持ち家をもっている人)にとって、洪水は水がひいてからが真の戦いになる。
うちは避難所ではなく自宅2階に避難した。周囲が3mの水深、床上1.5mの浸水。今回は自宅避難メインで災害後にやったことを記録しておく。
被災後は呆然としてしまう。頭がまっしろになって、なにから手を付けたらいいかわからなくなる。だから結構細かく書いた。全部つめこんだから長いけど、読み飛ばしてもらって構わない。もしもの事態に遭ってしまったときに、この記事を思い出してもらえたらとても嬉しい。
被害にあった場合、まずはとにかく写真を撮る。撮りまくる。可能なら水深が一番あるときの室内の写真も撮っておきたい。また、床下浸水であったとしても写真をとっておくこと。床下浸水でも中規模半壊に認定されて保障がもらえる可能性はあるし、家の補修(消毒作業)は必要。
写真を撮るポイントはウェザーニュースのサイトがわかりやすい。https://weathernews.jp/s/topics/202007/050075/
①建物の全景を撮る
あと新宿区のやつがわかりやすい https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000291807.pdf
この写真が、これから申請するあらゆる支援金や保険のベンチマークになる。というのもこの写真(プラス客観的な情報)で罹災証明書の内容が決まるからだ。罹災証明というのは災害被害にあったこと、その被害の程度を証明する書類で、保険適用するとき、支援金の受給対象かどうか、支援金の額、税金の免除、会社に特別休暇を申請するとき、ありとあらゆる後処理にこの書類が関わってくる。
床上浸水になると、棚は倒れ、畳は泥水に浮き、ひどい有様になる。正直目も当てられないので一刻も早く掃除したい、元にに戻したい気持ちになると思う。が、やけにならず、落ち着いて、写真を撮ってほしい。
これがすべてうまくいけば、1階床上浸水でも大体1カ月程度で元の生活に戻ることができる。ただ自治体の動きの速さや、情報収集能力の差がでてくるのでかなりばらつく。うちの場合は3カ月で8割片付いた感じ。
もちろん全壊の場合は元の家には戻れない。今も仮設住宅に住んでいる人がたくさんいるのが現実である。
これは洪水中に避難所に行っていて、片付けのために帰宅した人向け。ガス漏れしていないか、ブレーカーは落ちているかを確認する。火花が散っているとか、ガスの臭いがするとかあれば、近づかずに最寄りの消防署とか役所とかに相談する。断水状況も確認する。水と電気が使えると片付け作業が楽になるので、つながっていたら天に感謝したいところ。
増水して家が沈んでいく速度に比べて水が引いていく速度は遅い。増水していくときは、家が河川に飲まれていく感じなので流れも早いが、水が引いていくときは次第に流れがゆるやかになり徐々に水かさが減っていくという感じ。これが厄介で、押し流されてきた漂流物や泥が様々な場所に堆積していく。室内ももちろん例外ではない。めちゃくちゃ粒子の細かい泥がヘドロになって室内にも積もる。うちの場合は5cmくらい積もった。
最初に直面する敵にして、最大の敵が泥。この泥がまじ厄介ということを書きたくてこの記事を書いているといっても過言じゃない。
臭い。とにかく臭い。洪水によって流されてきた泥はいわゆる川底の泥ではない。ヘドロだ。これを吸うと病気になりそう、と本能に訴える臭いをしている。
実際洪水の後は感染症のリスクが高まる。サンダルで作業してて落ちているガラスを踏みケガして破傷風になるとか。土埃と一緒にレジオネラ菌を吸引して肺炎になるとか。無知だったので素手で作業して手がかゆくなったりもした(おそらくなんらかの虫が泥の中にいて嚙まれたんだと思う)。
可能なら片付けを本格的に始める前に、衛生面で気を付けるべきポイントをまとめてるサイト、例えば下記サイトとかを一読しておくことをおすすめする。ほんとはゴーグル、長袖・長ズボン、長靴、ゴム手袋とか徹底しないといけないわけだが夏のクソ暑い中、外で作業するのは普通に無理げーなので、ポイントを押さえつつ自己責任でうまいことやってください。
泥の話に戻るが、流れてきたそのへんの板でいいのでとにかく泥を屋内から掻き出す。ある程度掻き出せたら、ホースまたはバケツリレーで水を流す。
高圧洗浄機があると非常にはかどる。これがあるとないとでは天と地ほどの差がある。思い切って購入するか、借りるかしてなんとしてでも確保したい。
掻き出したらいったん気安めにアルコールスプレーをかけまくるのがおすすめ。なければハイターを薄めたものでもいい。臭いがだいぶましになる。どんだけ水を流しても壁紙や床にこびりついているので、家の補修をするまで根本的な解決はない。とはいえ避難所に行かず家に残る選択をした場合は、都度戦うことになる。避難所に行く場合も、次に家の片付けに来た時のカビの進行を少しは遅らせられるんじゃないかなと思う。
なお当然ながら庭や道路、屋外にもヘドロが堆積している。洪水が起こる時期は大抵夏なので、晴れるとそのヘドロは一気に乾燥する。そして風に巻き上げられる。部屋の窓を開けていようものなら部屋に砂がつもる。数時間置きに掃除をする必要があるし、外にでるときはメガネやマスクを推奨する。
この掻き出した泥だが、そのまま捨てることはできない。用水路が詰まるので。
いったん積んでおいて、ホームセンターが営業を始めたら土のう袋を調達してそれに入れておく。被災後数週間後には、自治体の手筈が整い回収にきてくれるようになるはず。
床上浸水した家の車はほぼおじゃんになる。エンジンもかからないので動かすこともできない。室内のゴミと化した畳や家財道具を運ぶにあたり非常に邪魔なので早めに回収してもらう。
その車を購入した販売店に連絡がついて、車の回収と代車の申請が早めにできると一番良い。とはいえ難しい。早いもの勝ちになるし、なにより通信がしんでいる。
そんなときはJAFに連絡するという手がある。電話がだめでも、アプリをDLすればアプリから呼べる。JAFは水害で動かなくなった車も対応していて、代車の手配こそできないが、回収には来てくれる。
一昨年新車を買ったのでなんとなく入ったJAFだったが、まさかここで効いてくるとは思わなかった。なお新車泥まみれになりJAFにドナドナされていくのを見るのはつらかった。
気が動転していると思うが、車が回収される前に、免許証・めがね・保証書系・ETCカードの置き忘れがないかチェックすること。
浸水にあった家財道具は基本すべて災害ゴミ。陶器や金属類は丁寧に消毒して使い続けることもできるかもしれない。タンスや机などの木製のものや、畳などはどうしようもない。もう捨てるしかない。
上の階に運び損ねた食べ物ももちろんアウト。うちの場合、米俵が1俵まるまる1階にあり、なんとか洗って食えないか試みたけど、数日後には全部発芽しました。水に漬かったし暖かいし当然だね。。。すごい発酵臭を放ちだしたためあきらめて捨てた。
捨てるものは全部いったん室内から出す。自治体が被災ゴミ捨て場を整備してくれるはずなので、それをまって捨てに行く。このとき、謎のゴミ収集屋が出現し、親切な言葉をかけてきますが無視推奨。あとで高額請求をふっかけられる恐れがあるので。焦らず行政のゴミ捨て場を使う。
床上浸水した場合、浸水した箇所はすべていったん破壊しなければならない。床はもちろん壁も。いったん家の柱スケスケ状態にしてがっつり乾燥させる必要がある。
なぜなら、洪水によって持ち込まれた大量の雑菌がすでに家じゅうに浸透していて、カビだらけになるからだ。乾いたからいいやとか、泥を洗い流したからいいやとか、アルコールで拭いたからいいや、壊したら後が大変だしやりたくない、という気持ちになると思う。だれだって面倒なことはしたくないし、家は壊したくない。でもその家にこの先も長く住むつもりなら、これを避けては通れない。アルコールやハイターで表面を拭いた程度ではどうにもならないくらいカビてくる。まじでカビる。ちょっと雨が降って湿度があがると一日と経たずに室内に腐海が形成される。たぶんナウシカもびっくりする侵食速度だと思う。ふき取りと消毒で乗り切ろうとした家がうち含め何件かあったが、カビにやられてしまい結局みんな取り壊すことになった。
もし大工が確保できるなら、それがベスト。大工と併せてシロアリ対応業者も手配できると最高。壁と床をぶちぬいて専用の熱風おくる器具で一気に完全乾燥させるので1日で乾燥が完了する。さすがプロ。
大工いない場合は、自分たちでやる必要がある。壁と床をぶち抜いて、柱用の消毒剤を塗ったり、地面用の消毒剤を撒く。自然乾燥の場合、柱スケスケのまま最低1カ月は乾燥させたほうがいいらしい。プロ向け工具店の店員曰く、可能なら2カ月くらいは乾燥させたいところらしい。ここで湿ったまま進むと、カビはもちろんシロアリの格好の餌にもなる。うちの場合は、1カ月待てなかったので2週間くらい乾かした後、乾燥剤を買ってきて床下にばらまいて床を貼りました。自己責任。
大工の数は限られているので、ツテがないと大工をすぐ確保するのは現実問題として厳しい。見積はとったものの2-3カ月たっても来てくれないから結局自前でやったという人は結構多い。
自前でやることに決めた場合でも、見積だけはとることをおすすめする。というのも大工の見積があれば、その後大工が来てくれなかったとしても見積分のお金を自治体が負担してくれるからだ(自治体にもよるが、そういうケースがある)。
ちなみにうちは見積すらとれず、自前修理に使った資材のレシートを保管・整理し記録をつけて役所に申請したが、びた一文もお金はもらえませんでした。かなしい。これ以上かなしむ人が増えないよう、みんなはなんとか見積まではとってほしい。
なお自前修理の際はDIY系Youtubeを片っ端にみました。プロからアマチュアの方まで。全DIY系Youtuberに感謝。
罹災証明書の取得は自治体によって細部違うが大まかにこんな感じ。被害状況の申し出をする→自治体の担当者が家を訪ねてきて実際の被害状況を確認する→被害状況が判定されその内容が記載された紙(罹災証明書)が渡される。
行政から支給されるメインの支援金は、「被災者生活再建支援制度」だ。全壊・大規模半壊・中規模半壊など被害の程度によって額がきまる。基礎支援金と加算支援金の2段構えになっているが、合計すると全壊なら150-300万、大規模半壊なら100-250万、中規模半壊なら25-100万支援がある。
大規模半壊と中規模半壊の差が非常に大きい。大規模半壊以上じゃないと保険の対象にならない、等。床上浸水なら大抵の場合大規模半壊がとれるはずなので、しっかり写真をとって、大規模半壊の判定をもらいたい。
全国からのあたたかい支援により、自治体に集まった寄付金を住民に分配してくれる場合もある。このときの分配額も罹災証明書の被害状況に応じて判断される。
ただしく罹災証明書を発行してもらえるよう、繰り返しになるが被害後の写真はしっかり撮っておきたい。
申請できるものはすべて申請する。もらえるお金は1円でも多くもらう。これが鉄則。
古い持ち家の場合、火災保険に入っていないこともあると思う。もしくは期限が切れたまま放置してしまっているとか。ハザードマップ確認してやばかったら至急確認してほしい。被災後に受け取れるお金は1円でも多いほうがいい。切実に。
多くの場合、火災保険に水災も含まれている。また家財保険もセットでついていたりあする。ただし、保険によっては水災は射程外だったり、家財に対してしか保障しない場合もあるため、読み直しておくのがおすすめ。
保険とか共済とかなにかしら入っているはず。書類を探し出して申請する。新車ならほぼ全額かえってくる。
自営業で店舗をもっている場合、店舗に対しても保険がかかっている可能性がある。水災も保障対象になっているか、どこまで保障対象になっているか(建物も含むか、商材のみか、など)もみておくとよい。
そのほか、自営業用とか特定の業種向けとかいろいろ自治体によって支援金がでる可能性があるので、情報はしっかり収集する。
もし洪水を自宅避難で乗り切っていた場合、1階の被害状況によっては避難所に行ったほうがいいと思う。
浸水により室外機が故障するので、エアコンはつかない。浄水場が浸水した場合、きれいな水は出ないし地域によっては断水している。ガスもつかない(プロパンガスを交換してもらう必要がある)。1階に台所や風呂、トイレなどの水回りがある場合、床上浸水後は流れてきたヘドロが堆積するので使えない。漂流物で窓などが壊れている場合、侵入者の可能性もある(残念ながら)。備蓄があればいいが食料がないかもしれない。
熱中症のリスクや衛生面の問題、安全性、食料確保の観点から、貴重品をもちこんで避難所で寝泊まりするのは良い選択のはず。1階が主要な生活スペースだった場合、家に残るより避難所のほうが生活環境が良い可能性が高いし。洪水の翌日には災害用の中継車がきて無料インターネットが解放されたし、洪水から数日後には自衛隊が避難所に風呂を設置してくれていた。1週間くらい後にはコインランドリー車(トラック型のやつがある。このとき初めて知った)も来てくれて洗濯ができた。また、食料については支給があるため心配の必要はないし、衣服についても支援いただいたものをいただけるチャンスがある(着の身着のままか、数日分しかもってこないので、衣服はすぐ足りなくなる)。
加えて、避難所にいると自治体の支援情報がすぐ入ってくる。テレビは哀しい哉、災害から1週間もたてば全く取り上げてくれなくなるので、自治体の情報は自分でなんとかして取りに行かなければいけない。その点避難所は掲示板などで支援情報がまとまっているので便利である。
そして家の片付け・補修が終わるまでは、昼間は家に帰って泥の処理、夜は避難所で休む、という生活がしばらく続く。友達とか親戚とか避難所生活した(そしていまも仮設住宅に住んでいる)ので、避難所のこともそのうち書けたらいいなと思う。
私は、十年くらい前までとあるビルメンテナンス会社の清掃部門で働いていて、そのある全国展開するビジネスホテルチェーンがそのビルメンテナンス会社のある地域で運営する3店舗くらいのビジネスホテルと業務委託契約を元請けを通じて請け負っていて、その担当をしていた。
主に客室清掃と日常清掃、定期清掃の3つになる。
当然のことながら、ホテルの清掃と言えば客室清掃がメインで、請負金額が余りに安すぎて、客室清掃係のハウスキーパーさんには実質的に最低賃金を下回る賃金しか払えず、部屋数の歩合制という悪しき偽装請負形式でやらざるを得なかった。
やらざるを得ない、とは、当然会社の都合でしかないわけで、犯罪行為であるが、実際のところ、それでも赤字だった。
赤字にしていても、元請けから他の仕事で補填するという考え方で会社の方は請け負っていた。
元請けにしても利益は微々たるもので全く儲かっていない。十店舗くらい請け負ってやっと一人分の給料が出るという程度らしかった。
それくらいそのビジネスホテルのオーナー会社はドケチなのである。
どうしてそんなドケチな仕事を引き受けるのか? それについては少しカラクリがあるのだが、その話はややこしいのでしない。
だから担当者の私は、そんな安い給料で働いてくれるパート(パートとは言えないが)を確保するのにめちゃくちゃ大変だった。
そのホテルで働くのが好きな人や、働く仲間が好きな人、時間の都合が合う人、そして他でもあまり雇ってくれそうにない人などが中心になる。
当然どの業界でもそうだが、私自身もしょっちゅう人手不足を補わざるを得なくなる。
ただ、そのホテルは支配人を業務委託契約で雇っていて、その支配人の方がもっと酷くて、住み込みで24時間365日(うるう年なら366日)×数年間、基本的にはほぼホテルにい続けなければならない(完全にい続けなければならないわけではないが実質的にはそうだった)。
数十室から百室を超える場合もあるのだけど、基本、それを夫婦二人で見なければならず、それでは当然賄えないので、自分たちの報酬からアルバイト雇用経費を支払わなければならなくなる。
でも、金銭的にはどうしてもそこを抑えないと、自分たちの取り分が余りに雀の涙になってしまうので、支配人が受け持つ仕事はかなり多くなる。
稼働率によるインセンティブがあったかどうかまでは知らない。でもそんなの入れても、吃驚するくらい安いのは確か。賃金計算したら最賃を遥かに下回るだろう。
ここまで話すと、ひえーひでぇブラックだな、と思われるだろうが、しかし待遇を除けば、実はそうでもない部分がある。
このホテルチェーン、地域や場所にも依るとは思うけど、その支配人にピタッと嵌ると、楽勝らしい。
担当者をやっていた数年間で四人ほどの支配人と会ったが、うち二人はいつも上機嫌で、そのうち一人はほんとに「全然楽勝っす」と言っていた。
要は要領がいいのだろうけど、担当者の私がいつそのホテルに行ってもその支配人、昼間は寝ていたし、起きて出てくる時はステテコ姿が多かった。
さてそんなホテルだけど、どこのホテルチェーンかは私は絶対に言わないが、温泉付きになっているところがある。
温泉と言っても、温泉水をどっかから買ってそれを循環させている形式になっている。
レジオネラ菌が保健所の検査で検出されてしまうと業務停止を喰らう。
だからどこの温浴施設でもいろいろな方法で殺菌処理をしている。
で、私が担当したあるホテルの温泉、ここでは薬中ポンプと言って、温泉水にここから塩素成分を付加してレジオネラ菌を発生させない仕組みになっていた。
ところが。
私は、当時まだ新人で、そんなのあるなんて全く誰にも教わっていなかった。これ自体が酷いのだけど、ある日、そのホテルの支配人から激怒して会社に電話が掛かってきた。
「保健所にレジオネラ菌が検出されたと言われたぞ!どうなってるんだ?」
である。
薬中ポンプだけでは防げない場合がある。循環経路の何処かで異常発生しているかも知れないからだ。だから普通、一定規模以上の温浴施設では必ず毎週一回は、高濃度次亜塩素酸ナトリウム溶液を投入して、温泉水を循環させ殺菌消毒後、湯抜きをする。
そこはそんな規模ではなかったので、条例適用外だったが、薬中ポンプは必須だった。
この薬中ポンプが数年間に渡り、全く動作していなかったのである。俺はそんなの知らんし。
一体何故そんな事になったのか。
支配人も知らない。
薬中ポンプがあるのを知っていたのは、私の会社のもう一つの別の部門であった設備系である。でも、設備には責任はない。定期メンテナンスをしているだけだったから。
で、その私の会社の社長、大慌てで次亜塩素酸ナトリウム溶液のポリタンクを担いでそのホテルに馳せ参じ、会社社長の跡取り息子と二人、循環に依る殺菌消毒に取り掛かったのである。
理屈は知っていてもやり方なんか知らんド素人の社長、必要量の何十倍か知らんけど、大量投入したもんだから、お風呂はシャボン玉発生機と化した。だって、ジェットも回してるんだから。
「おい!水入れろ!水だ水!泡を消せ!」との社長の怒号が飛ぶ。
息子は大慌てで、ホースを繋いでお風呂に水投入……したらしい。息子から聞いたんだよ、この傑作話。
ともかく一旦はそれで落ち着いた。
原因究明すると、過去に誰かが、薬中ポンプの管理が面倒で、お風呂を洗っているアルバイトにやらせようとしたら、うまく機器が扱えなかったらしい。
そこで、その薬中ポンプに投入する専用薬剤を、温泉タンクに定期的に一定量投入するという独自の方法になっていたのだった。
誰やねん、そんなアホなことしたのは。それは分からずじまい。
ともあれ、これでは循環経路の温泉水に対しては何の役にも立たない。
で、まだ後日談がある。
その会社のバカ社長、じゃー取り敢えず、一週間に一回はしなくていいけど、一ヶ月に一回だけ循環消毒しましょかと、激安の仕事にしやがった。確か一回2万円。
それはまだいい。だけど、ド素人なものだから、適正な塩素濃度を知らない。
何処で調べたのか知らないが、今度は激薄を指示して私に教えた。おそらく自分がやった泡発生事件が怖かったのだろう。
で、激薄すぎて、その一年後、またレジオネラ菌を出したのである。で、その仕事はなくなった。
言い訳してたなー、そのバカ社長、「レジオネラ菌は外から持ってくる温泉水に入ってるんだよなぁ、防げない時は防げないよなぁ」なんだって。
で何が言いたいかと言うと、温浴施設では当たり前のレジオネラ菌という重大な問題すらも、支配人が知らないという杜撰なことをやっているというのがそのホテルチェーンの実態だ、ということ。
こっちはその管理責任の契約すらないんだよ。上の時もたまたま慌てて対応に乗り出しただけ。
あそこは見た目は綺麗かもしれないけど実態はそういうホテルなんだよ。少なくとも私の知っている十年くらい前まではね。何処とは言わんけど。