はてなキーワード: 富士電機とは
CPUだったらintelとAMD、GPUだったらnvidiaとAMD、アメリカ企業は業界で基本的に2,3社、多くても4,5社に集約している
ルーターはシスコシステムズとジュニパーネットワークスとか、映像編集はAdobe、3D/CADはオートデスク、DBはオラクル,MS、クラウドはAWS,Azure,Google
寡占で儲けるのがアメリカ
それを頭に入れたうえでこれ見てほしい
自動車(トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、マツダ、ダイハツ、スバル、三菱、日野、いすゞ)
造船(今治、ジャパンマリンユナイテッド、大島、三菱、名村、川崎、三井、定石)
複写機プリンター(フジ、リコー、コニカミノルタ、キヤノン、エプソン、ブラザー、京セラ、シャープ、東芝、富士通、NEC)
デジカメ(キヤノン、ニコン、ソニー、フジ、パナソニック、オリンパス、リコー(ペンタックス)、シグマ)
ミシン(ブラザー、ジャガー、ジャノメ、JUKI、ベビーロック、アックスヤマザキ)
化学(三菱ケミカル、住友化学、旭化成、信越化学工業、三井化学、昭和電工、東ソー、日東電工、三菱ガス化学)
どうですかこれ
どう思います?
同じ業界にいくつあるんだよって思いません?
日本企業だけでこれ。これに加えて海外の企業もあって競争してるわけだからそりゃ儲からない
まぁ化学に関しては一言で化学というのはかなり乱暴なんだけど、材料でみても結局同じことなのでわかりやすく化学にした
リストに載ってないけど、化学に関しては数千億円レベルに限っても、この倍くらい会社があって、再編が進んでない業界としてよく化学業界が挙げられる
https://gyokai-search.com/4-chem-uriage.htm
新しい産業がベンチャー企業でごった返してるっていうならアメリカでもあることだけど
成熟した業界でいつまでたっても再編が起きずに無駄な競争をしてるのが日本なんだよね
だから欧米企業が利益率10%~20%なのに、日本企業はいつも5%あたりでうろうろする
それが次の投資余力の差につながって成長に差が出てくる
何も知らない人が見たら7社もランクインはすごい!とか喜びそうなニュースだけど、
記事でも触れられているように、大手のほうが伸びが大きくて5位以下は伸びが小さい。
装置に関しては東京エレクトロンが大きいから例外ではあるけど、その他は「小さくて多い」だよね
パナソニック、東芝、三菱、日立なんでも屋の総合電機メーカーなんだよね
いわゆる複合型、コングロマリットってやつ
トヨタが冷蔵庫や洗濯機を作りだしたら、車の開発がおろそかになるだろってのは想像できると思う
無茶なたとえって思うかもだけど、今の日本にはそれくらい無茶がはびこってる
だから俺はソニーがホンダといっしょに車を作るって話を聞いたとき、まずいなぁって思ったよねw
ソニーって白物家電をやらないからほかの電機メーカーみたいに事業が「小さくて多い」問題がましだったんだけど、EVをやるのはどうだろうね
まぁ肝心の部分はホンダがやるからそこまでコングロマリット病を発症しないかもしれないけどね
文化が成熟し細分化された時代に、総合スーパーや百貨店やファミレスでは限界がある
服にこだわる人は原宿渋谷の店で買うし、そうでない人もユニクロみたいな専門店で買う時代
靴はABCマート、家電はヨドバシ、Appleにこだわる人はAppleストアみたいにね
家電量販店にしても郊外に店がぽつぽつある「小さくて多い」型のヤマダ電機より、駅前にでかい店たてて大量の客をさばく「大きくて少ない」型のヨドバシのほうが利益率がいい
ヤマダ電機 675店 売上 1兆6,005億8,300万円 経常利益 368億8,900万円
日本の家電は競争力がなくなったけど自動車はある程度競争力あるのは「小さくて多い」が発生してないからだよね
そしてホンダは2輪や船とか飛行機とかやってるからから4輪が不調なんだと思ってる
日本の電機業界は不調だけど、例外的にダイキンが好調なのは空調専業メーカーだからだよね
空調機器だけで3兆円という「大きくて少ない」をすれば十分戦えることがわかる
それに気づいて復活したのが日立
2012年
2014年
日立マクセル(電池、光学部品、理美容、磁気テープ、CD、DVD)をマクセルホールディングスに売却
日立機材をセンクシアに売却
2016年
日立物流(流通)を佐川急便に29.0%売却(追加売却の予定)
日立国際電気(通信機器、放送機器、監視カメラ)を米KKRに売却
2018年
クラリオン(カーオーディオ、カーナビ)を仏エナップ シス エスエーエスに売却
日立、日立物流を売却 KKRが6000億円超で買収へ - 日本経済新聞
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.nikkei.com/article/DGXZQOUC199XJ0Z10C22A4000000/
だけど俺はいい方向だと思っているんだよね。
ちなみに富士通はPFU売ったし、新光電気工業や富士通ゼネラルも売却するって言ってるから
日本の半導体産業は元気がないって言われるけど、元気な分野があって、それがパワー半導体なんだけど
1位 infineon(独) 48億ル
8位 nexperia(蘭)6.7億ドル
そして総合電機メーカーの事業が「小さくて多い」もあるので、二重の「小さくて多い」問題が発生している
にも書かれているけど、総合電機メーカーの一事業にすぎない半導体は投資額が大きくなると
事業バランスを気にして思い切った判断ができなくなり投資負けして撤退するというパターンを繰り返している。
早く三菱富士東芝の総合電機は半導体事業をルネサスやロームみたいな専業メーカーに売却するか、事業統合して別会社として切り出すべき
今絶好調といわれてるのが京都企業で、「京都企業はなぜ強いのか」なんて特集がされたりするんだけど
任天堂、村田製作所、日本電産、ロームに共通してるのは複合メーカーではないってことね
「この分野ではだれにも負けません」みたいな専業型が京都企業の特徴
かつては京都といったら京セラみたいな時代があって、一時期アメーバ経営が注目されたけどこの10年くらい停滞している
せっかくセラミックじゃ負けませんな専業の強みがあったのに、なぜかスマホとか電動工具とかプリンターとか始めて複合化してしまって(あの悪名高きバルミューダのぼったくりスマホも京セラ製)
そんなことやってるから案の定、村田製作所においつかれ、そして離され始めている
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF205NV0Q2A620C2000000/
"谷本社長は10人程度の小集団で業務改善を競う「アメーバ経営」の見直しや、16に分かれた事業の再編などの改革を進めてきた。"
任天堂は亡くなった山内元社長が他分野に手を出すなっていってたらしいけど、最近アニメとかテーマパークとかに手を出し始めてて、ゲーム事業がどうなるか心配ではある
でも岩田社長が素晴らしいのは、家庭用と携帯機の開発を統合しして「小さくて多い」問題を解消したこと
2つしかないものを「多い」っていうのも変な話だけど、作る側も買う側も一つに絞ったほうが助かるよね
フロムソフトウェアも2005年~2010年ごろは社員数250人で年に5~10本のペースでリリースする「小さくて多い」状態だったんだけど
フロム・ソフトウェア#ゲームソフトウェア
逆に今不調なのがスクエニ
スクエニは社員数3000人で年30~40本もリリースする「小さくて多い」路線で失敗している
社員数が同じくらいで業績好調なカプコンが年に5~6本だから、スクエニは7倍ゲームを出している計算になる
任天堂は社員数7000人で年10本程度なので、スクエニは異常すぎる
スクエニのリリース数から推測すると、毎週ゲーム出してることになる。スクエニ社内で自社のゲームを把握できてる人いないのでは?w
アニメ業界といえば、アニメーターの薄給問題が有名だけど、それも会社が600社もある「小さくて多い」問題だからだよね。
そういう構造的問題を無視して、オタクたちはアニメは日本の文化だ!国が補助金出して支えろ!とか言ってるからホラーだなって思う。
製作会社自体が「小さくて多い」し、製作委員会方式のせいでアニメの権利者が「小さくて多い」からヒットしても利益が分散してしまうし
見る側にしても年200本もアニメが製作されたら可処分時間が分散する「小さくて多い」だし
鬼滅の刃は委員会方式やめたからリスクは大きいけど利益も大きいだろうから、いい見本にしてほしいよね
今回は特定の業界に絞って言ったけど、農業も病院も「小さくて多い」で、根本的な問題は解決せずに補助金で何とかしてる状態なのがアニメ業界と似てるよね
地方自治体の行政システム問題も1700もあるからだし、知床遊覧船のKAZU1の問題も結局のところ、日本に950社以上あって過当競争だからだし
銀行のオーバーバンキング問題とかもそうだけど、とにかくこの国は小さいものが多すぎる
「大きくて少ない」が日本の目指す方向
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2208/23/news061.html
米巨大IT、複合企業化のツケ(The Economist)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB060OR0W2A101C2000000/
https://anond.hatelabo.jp/20200813115920
上記の記事を書いた増田です。外出して戻ってきたらまさかの100ブクマ越えだったんで、調子に乗って続きを書きます。
要するにソニーの半導体事業部。金額ベースでイメージセンサーの世界シェアが50%を超える王者。
裏面照射型や積層型といった新技術も世界に先駆けて開発しており、技術・規模両面において市場をリードしている。
ただし、スマートフォン・デジカメのハイエンド品がメインなので、数量シェアでは過半数を下回る。
また車載向けではシェトップではなく絶対的王者といえるほどその地位は安泰ではない。
ソニーのイメージセンサーの基幹工場。初めからイメージセンサー向けで建てられたという特徴がある。
イメージセンサーの主流がCCDからCMOSに切り替わるタイミングでの大規模投資が功を奏し、近年では珍しい日本企業の電子デバイス分野での覇権獲得につながった。
みんな大好き、SCEの久夛良木さんがPS3で夢を見てCell Processor量産のために大規模投資をした工場。
もともとハイエンドプロセッサ向けの工場だったのだが、PS3爆死のあおりを受けて設備投資が中断。
ソニー本体が65nmまででプロセス投資凍結 → 東芝へ売却 → ソニーによる買戻し → イメージセンサー工場に転換という数奇な運命をたどる。
これまたPS3のGPUであるRSXの製造を担当していた。ソニーがイメージセンサーの規模拡大のために東芝から買収。
もともとはNECの先端ロジック半導体の製造拠点。製造品目としてはWii / Wii UのCPUが有名。
NECのロジック半導体部門が分社化したNECエレクトロニクスが旧ルネサスと合併後、日立系との勢力争いで非主流派となり、工場閉鎖が検討されていたところをイメージセンサーの製造能力拡大を図りたいソニーが買収することになった。
こうしてみると、ソニーのイメージセンサーのシェア拡大には競争力のなくなった各社のロジック半導体工場の買収が大きく寄与していることがわかる。
最も、製造品目の転換にはデメリットもあって、最初から専用工場として建てられた場合に比べて効率が劣る部分があるのだ。
例えば、半導体の配線材としては銅が使われているのだが、金属汚染を避ける必要があるため工場内のレイアウトはそれを考慮されている。
ところが先端ロジック半導体では10層以上使っており配線工程が多いのに対して、イメージセンサーでは3層程度だったりするので、工場をそのまま流用すると製造装置の配置で効率が悪くなる部分が出てきたりするのだ。
ごめん、ぶっちゃけパワー半導体は詳しくない。三菱電機、東芝、富士電機あたりが主なプレーヤー。
現状では売り上げ、技術ともに世界上位だとは聞いているが、懸念点はある。
彼らは国内の自動車メーカーや重電・家電メーカーに納めるモジュール向けに生産しているのがメインで、半導体メーカーとして世界の顧客に積極的に売るという感じではないようなのだ。
かつての総合電機本体が自社の家電向けに半導体を生産していたのが、国内メーカーのデジタル家電のシェダウンで売り上げを落とし衰退したのを見ているだけに将来が恐ろしい。
ドイツのInfineonやアメリカのON semiconductorのようにウェハを300㎜化して外販増やす戦略もとっていないようだし、どうなることか…
■ ルネサスエレクトロニクス
かつてはマイコン世界一。旧ルネサス時代に日立系・三菱系の製品ラインナップを統合できない間に、NEC系の製品も入ってきて大混乱。
顧客が1社購買を避けるため、一時的には1+1+1=3になっていたが、現在ではいいとこ1+1+1=1.5程度ではないだろうか。
民生機器向けのローエンドマイコンではPICとAVRを有するMicrochipの攻勢を浴び、ハイエンド品ではArmベースで開発しやすさをうたうST Microの攻勢を受けて苦しい状態が続く。
ちなみにアナログ半導体でも日本最大、世界シェアでTop10に位置する。さすがは日本を代表する半導体メーカー。
とはいえ、アナログ半導体については国内の工場をガンガン閉鎖したため、ぶっちゃけ国内で製造している割合は大きくなく、買収した米国の旧Intersilの寄与分が大きい。
■ 東芝
電子工作雑誌、トランジスタ技術に乗っているような個別半導体を今でも作っている貴重な日系メーカー。ルネサスが古い工場をガンガン閉鎖してほとんど個別半導体から手を引いたため、
ちょっとした単機能部品を使おうと思うと日系メーカーでは東芝がほぼ唯一の選択肢となることも多い。
アナログ・ディスクリート部門の売上自体はNANDを作っているキオクシアに比べて規模が小さく地味な存在ではあるが、個人的には頑張って製造を続けてほしいと思っている。
■ ローム
何かと癖のある京都系メーカー。かつてはデジタル家電向けにカスタムICを作り高収益企業として知られていたが、最近ではそうでもない。
とはいえ、車載向けの比率を増やしたり、沖電気の半導体事業買収 / ヤマハから工場買収といったように経営的にはいろいろ模索している。
総合電機系の半導体メーカーが軒並み没落する中で、大崩れせずに生き残っているあたりはさすが京都系というところか。
なお、独自の社風は業界内でも有名。技術を身に着けた男性社員が転職して出ていかないように、地元京都の女子社員を顔採用してお嫁さん候補としている等の都市伝説あり。
ちなみに筆者は就活生であったころロームに選考書類を送ったのだが、他社では聞かれたことがない出身中学校を教えてくれと追加連絡があり、返信後にお祈りされるという謎の経験をしている。
■ TI
アメリカを代表する世界最大のアナログ半導体メーカー。半世紀くらい前から日本に拠点を構えている。外資系のためドライな部分があるようで、工場が老朽化すれば容赦なく閉鎖している感がある。
主力工場は旧Spansion (AMDと富士通が合弁で作ったNOR型Flash memoryの会社)から買収した会津若松工場。
小規模な工場が使われることの多いアナログ半導体では珍しく先端品同様300㎜ウェハを使った大規模工場だぞ。さすがはアナログの王者といったところか。
アメリカの電機メーカー、Motorolaの半導体部門のうち、アナログ / ディスクリート部門が分社化。三洋電機の半導体部門を買収。
日本にもそこそこの規模の工場や開発拠点を有しているが、気がかりなのは将来性。リクナビを見る限り、あまり積極的に人材採用してる感じじゃないんだよな。
定年等の自然退職分の補充だけというか。日本に進出している外資でも、Western DigitalやMicronは割と積極的に採用・投資している感じなのだが、同じ外資でも方針が分かれるのだろうな。
■ デンソー
トヨタが日系半導体メーカーの衰退に危機感を覚え、自前の開発リソース強化を決断、グループの半導体開発のリソースをデンソーに集約。
富士通から工場を買収したり、東京に設計拠点を開設してルネサス等の大規模リストラで失業したエンジニアを引き抜きしたりしている模様。
筆者の同僚も1人ここへ転職していった。
■ ソシオネクスト
富士通とPanasonicの先端ロジック半導体の設計部門が統合してできた日本最大のファブレス半導体メーカー。
デジタル家電や画像処理に強みを持つのだが、台湾勢とのガチ競合を避けるために若干ニッチにシフトしている感がある。
旧富士通と旧Panasonicの拠点が併存しており、社内文化の融合はあまり進んでいないとの噂。
■ メガチップス
任天堂関連銘柄。最初からファブレスで創業した日本では珍しい企業。大阪地盤だが、旧川崎製鉄の半導体部門を買収して関東にも拠点を確保した。
ソシオネクストが誕生するまで日本最大のファブレス半導体メーカーだった。
日本のファブレス半導体メーカーといえばかつてはここが一番有名だった。カリスマ社長が創業して、講演会や本の出版も盛んにやっていた。
デジタル家電で急成長してリーマンショック前には200億くらい売り上げがあったのだが、今では30億くらいに落ち込んでいる模様。
ある程度年齢を重ねて思うのだが、経営者がメディアに積極的に露出する会社は経営に割くべきリソースを浪費しているような気がする。
筆者も大学生のころは意識高い系だったので就活の時にはこの会社を志望していたのだが、今思えば採用されなくてよかったと思っている。
■ 日亜化学
LED大手。売り上げでは日系半導体メーカー上位だが残念ながら筆者は詳しくない。
■ シャープ
10年ほど前までは世界ランキング20位くらいに位置していたが、
最近はあまり開発リソースや設備に投資がされていないようで存在感があまりない。
■ EPSON
■ 日清紡
本業は繊維メーカーなのだが、最近はなぜか半導体メーカーへ出資をしている。
オーディオファンに知名度の高いオペアンプで有名な新日本無線や、電源ICを作っているリコーの半導体部門を買収している。
■ ミネベアミツミ
アナログ半導体に一定のリソースを割いている模様。10年ほど前に元になった会社のミツミがルネサスの工場を買収 / SIIの半導体部門が独立したエイブリックを買収など動きあり。
それにしても、エイブリックはあの事業規模でガンガン広告出しているが、費用対効果めちゃくちゃ悪くないだろうか。渋谷で看板を見たが主要顧客へのアピールやエンジニアの採用には役に立たない気が…
http://d.hatena.ne.jp/nagano_haru/20100124/1264349181
全体の論旨の言わんとしていることは、とても痛いほど分かります。昨年、自分が就職活動を実際にやってみて体験して同様のことを感じました。また文脈的には、「心理学化する社会」であったり、本田由紀さんが提唱する「ハイパーメリトクラシー」と同一線上に位置づけられると思います。
しかし、就職活動に限って言うならば、それが現代的にアクチュアルな問題なのか、と問われるといまいちピンとこないところがあるわけです。なぜならば、「就活」に対する多くの論旨は、過去と現在の就職活動には明らかな断絶があると強調する一方で、現在にばかり着目し、過去には一切目を向けていないからです。
上のid:nagano_haruさんの論考も例に漏れず、過去の就職活動と現在の就職活動の違いをまるで自明のように取り扱っています。
企業が労働者を採用するときの「自己PR」をどんどん先鋭化させていくところだ。
……(引用者略)
id:nagano_haruさんは、エントリーシートの発明によって、就職活動が自己に与える影響が変化したと主張しています。しかし、この根拠となる部分が明らかにされていないため、果たして本当にそうなのか、という疑問がどうしても残ってしまいます。つまり、歴史がない、通時的な視点の欠如が論旨の前提を脆弱なものにしています。このような歴史の欠如は、議論を極めて内輪的なものにしてしまう恐れがあるのではないでしょうか。
別にこれはnagano_haruさんに限ったことではなく、就職活動に言及する学者や評論家全てに言えることだと思います。彼らがなぜ具体的な資料も根拠もなく、現代的な就活に特有の問題である、といえるのか。そこが全く分かりません。
私見では、メディアの形式が変化しただけで、恐らく、三菱財閥、住友財閥、富士電機といった明治・大正にかけて一世を風靡した大企業たちは、面接段階で、現代以上に自己の刷り合わせを求めてきたのではないか、と思われます。当時の産業はまだまだ発展途中であり、その成員に家族的な同質性を求めていたこと、当時の大学生は全人口の数パーセントに過ぎないエリートであったことから、横の学歴よりも個人の思想、忠誠心が問題とされたこと、などが考えられます。またこの時期に就職活動本の原点とも言えるハウツー本が発売されたのは、決して偶然ではないでしょう。
つまり、現代的な問題というよりむしろ、近代以降、職業選択の自由によって開放された労働市場が、開放された個人を取り込むために始まった就職活動に内在している問題系なのではないか、ということです。
こんなこと書くと、お前が調べて根拠出せよ、と言われてしまいそうなので、時間があるときに昔の就職活動について調べてみます。ただ、個人的に一番問題だと思うのが、現時点で体験している人以外あまり問題として感じられない点があると思います。自分もそうですが、就職活動やっているときは、そのシステムの不条理さに怒りを露にするのですが、いざ内定をもらってしまうと、それまでの苦労は笑い話となり、理不尽さは隠蔽されてしまう。誰しも経験しているにもかかわらず、喉元過ぎると熱さを忘れてしまうところに、この問題の難しさが潜んでいるのではないかと思います。