はてなキーワード: 貿易黒字とは
"資金循環 ゆがみ拡大 借金、政府に偏在 日米欧企業カネ余り-チャートは語る"日本経済新聞2019年11月10日
"ピーターソン国際経済研究所のオリビエ・ブランシャール氏は金利が成長率より低い現状では財政赤字の許容度が高まると説いた。"
"上智大学の中里透准教授は「経済低迷を放置すればデフレに陥る。経済政策として財政健全化は選択しにくい」"
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO5185015006112019MM8000?disablepcview
なぜお金があまると、貯蓄が過剰だと財政健全化できないんでしょう?
Ys = Yd, Y = C + I + G + NX という等式からスタートします。
前者は生産、分配(所得)、支出面からみたGDPの三面等価より総供給Ys=総需要Yd、後者はYが所得、Cが消費、Iが投資、Gが政府支出、NXがX-M、経常収支でプラスなら黒字です。これはマクロ経済学の基本なので、分からない人は教科書などで確認しておきましょう。
Y - C - I = G + NX
左辺はY、つまりその期間に生産された財・サービスから消費と投資(いずれも家計がする場合、企業がする場合があります)を除いたものですから民間部門の貯蓄です。つまり民間部門の貯蓄は政府支出と経常収支の黒字の合計に等しいということです。
もちろん消費も投資も政府支出も、異なる経済主体が独自の判断ですることなので、当期に直ちに等しくなるとは限りません。事後的に等しくなる方向で経済が動くという意味です。Ys > Yd 、つまり供給過多で生産された物・サービスから売れ残りが生じても、長期間でみれば価格調整メカニズムが働いて、Ys = Yd となるのかも知れません(この考え方を"セイの法則"といいます。)。しかしながら短期間で観察すると価格調整メカニズムが働くといっても限度があります。売れ残りが生じるとなると、企業は次年度はむしろ生産する数量を減らすでしょう。つまり、少なくとも短期間でみると需要が供給を規定しているのです(この考え方を"有効需要の原理"といいます。これはケインズの発見とされています。)。
では民間貯蓄が過剰な場合に経済を縮小しないで左辺と右辺を均衡させるにはどうしたらいいでしょう?
まずIを大きくする、つまり投資を増やす方法があります。全体としてのIは利子率rの関数とされているので(これを"投資関数"といいます。)、貨幣供給を増やして金利を下げることです。ただし利子率が10%もあればいいのですが、下げて下げてゼロかゼロ近辺に達した場合は、これより下には下げられないか、下げられたとしても(注1)Iを増やす効果は限定的です(この状態を「ゼロ金利制約」「流動性の罠」といいます。)(注2)。そもそも過剰貯蓄とは本来は資金不足で、つまりお金を借りて商売をしていた企業が資金余剰に転じたから生じた現象で(家計はもともと資金余剰です。)、企業が資金余剰というのはお金の借り手がいないということですから、そういう現象が生じた時点で利子率はかなり低いのです。
次にNXを増やす方法があります。ただ、この方法は他国との軋轢の原因になるうえ、貿易黒字は通貨高を招き国際競争力の低下を来たすので、ドイツのように特殊な国際環境でもない限り増やすといっても限度があります(注3)。
残った方法はCを増やす、つまり減税か、Gを増やす、つまり政府支出の拡大です。いずれも財政状況は悪化します。中里准教授が「経済政策として財政健全化は選択しにくい」というのはこのようなメカニズムを指しています。いくらお金があっても誰かが使わないと所得は産まれないのです。
財政健全化というのはマクロ経済的にいうと貧しくなれというのと同義です。もちろん少子高齢化ならやむをえないとか、むしろ経済成長にとらわれない里山資本主義でいくのだ、というのもひとつの生き方、選択だと思いますが、それならそれで正直にそういうべきで、財政健全化したらみんなが安心して豊かになってという説明はどうかと思います。
(注1) 銀行間の借入れ金利に働きかけることにより銀行が家計や企業に貸す出す貸出金利を間接的に下げる「伝統的な金融政策」に対して、ゼロ近辺に達したインターバンクレートからターゲットを変えて、ターム・プレミアムとリスク・プレミアムによってそれより高く設定されている長期金利を下げることを狙うのが、いわゆる「非伝統的な金融政策」です。貸出金利の指標商品である長期国債を大量に購入する、MBSやETFなどのリスク資産を購入してリスク・プレミアムを下げる、インフレ目標と金融政策の先行きを示して期待インフレ率を上げる、などの方法があります。
(注2) 近時、低すぎる利子率は弊害を産む可能性があることが指摘されています。"金融政策はこれからもマクロ経済の安定化ツールであり続けることができるのか サマーズとクルーグマンのツイートより"、ラリー・サマーズのいくつかのツイートを参照。https://anond.hatelabo.jp/20190824134241
(注3) ドイツの事情についてはマーティン・ウルフ「日本化しないドイツの幸運」フィナンシャル・タイムズ、日本経済新聞2019年11月1日がよくまとまっています。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51634760R31C19A0TCR000/
"れいわ新選組と立憲民主党 どちらが正しいか (自民党とどちらが正しいかも追記しました) "
https://anond.hatelabo.jp/20190622204530
"金融政策はこれからもマクロ経済の安定化ツールであり続けることができるのか サマーズとクルーグマンのツイートより"
ちゃうよ。
たとえば農業なら技術が進歩→品種改良→同じ田畑から大量に美味しい米がとれる→美味しい米は今までの米より高く売れる。そこで開発費もらってより美味しく大量にとれる米つくる。LEDもなんだかんだ長寿命で置き換えは期待できなくても新規用途開拓でこのまま進む。
アイフォンもプリンターも世代があたらしい商品のほうが当然高い。
日銀砲でググれ。
デフレで一番悪役なのは、従業員の給料を上げない企業と、そんな企業に反抗しない社畜。
いっせいにヘコヘコしないで起業してればよかったのに。
ついでにライバルとなるべき起業家がたいてい嫌儲な若者である点なんかも企業にはつごうがいいね。
社畜になりたがる同じ人間なら、中国人・インド人のほうが安くて単純労働には向いてるから、そっちを買っちゃう企業。
そういうこと。
どの野党も選挙で勝って与党になった瞬間に「外国と外務省の代弁者」になっちゃうので何ら矛盾はない。
だって日本人は責任持たされた瞬間に旧来外国とやってきた約束をつきつけられ破れなくなるから。
だって日本人は施し融資をしてきた側だから、約束破ったらこっちも貧乏になってきたというのにバブルで貸した貿易黒字の金の返済がうけられなくなるだけだから。
つまり国民の代表となって「バブルおたから保険」の証書をひっしでにぎりしめふりかざす役が与党なんだ。
どこの党が与党とってもやることは同じ。つか経緯の記録を全部とってる役人が「やらせる」。
これは第何回国会で何月何日に決めたことです、何日から施行ですってね。
そしてどこが野党でもやることは「お父さん家の中が大変なのヨ子供も進学なのヨお給料だけはきちんと入れて頂戴ヨあと子供たちをよくみてやって」というお母さんの役。
お父さんとお母さんが再婚したって家庭である以上、役割分担はさほどかわらん。
(つか野党もほんとにな、わざとクズネタつかまされてんの気付け)。
ツケが庶民にまわってくる。
自分が損するからどこの役所がクズネタ握ってるかよっくみておけ。(こっぱ役人の仕事を邪魔しろっていってるんじゃないぞ)
話をもどすけど民主党政権だって結局親アメリカをやめることなんかできなかった。
派兵していい顔してみたりとかせっせと庶民の仕事を仕分けしてた。
総選挙してもおんなじだよ。
100万円賭けてもいい。
今の高齢零細コメ農家が引退ないし死亡し、その子供の多くは非農家で跡を継がない。
「農地が秋田にあって、相続人たる子供が東京」とかだと、子供も兼業できないから、そのまま耕作放棄へ。
政府は「大規模農家が不在地主農地を集約する」と絵空事を言ってるが、
散在している零細農地が複数になったところで効率は上がらない。
農地がまとまっていたら(散在してなければ)多少はスケールメリットが出るが、
「300m離れて零細農地、また700m離れて零細農地」とモザイク状に飛び飛びだと、非効率なママ。
引退農地、相続農地は、政府の都合のいいように「連続して出現」してくれない。
実際には
「2014年には1200m離れた農地が引退で空き、2016年には700m離れた農地が相続で空く」
「自分の隣の農地に空きが出た」のなら、意欲ある農家はその農地も取り込んで規模拡大&効率化するかも知れない。
だが「自分の隣の隣の隣の隣の農地」なんかだと、大して効率上がらないから、積極的に拡大に走らない
逆に言えば、引退&相続農地の「お隣さん」が、若くて積極的な農家だったら借り受けてくれる可能性あるが、
「お隣さんも数年後にリタイア予定」とかだったり「お隣さんも兼業農家で、拡大意思なし」だったら、まず借り受けてくれない
そもそも、相続に発展してしまった場合、相続手続が完了しないと農地貸し出しが出来ない。
相続手続きや登記手続きは義務じゃないから、二束三文の農地の相続手続は放っておく遺族も多い。
農地の経済価値より、相続手続費用の方が高額と言うバカバカしいケースだと、まず放置される
(遺族の中に認知症患者がいて、相続手続きが一向に進まない、というケースも多い)
「ちゃんと遺産分割協議して、相続手続を終えて、更に農地貸し出しに至るケース」の方が少なくなってしまう。
農水省はちゃんと、
零細コメ農家の年齢構成、平均余命、相続手続率などに基づいて、
「2020年/2030年の営農農家数」「2020年/2030年の予測コメ生産高」をシミュレーションしてるのか?
甚だ疑問である。
日本が半導体王国・電機王国で、アメリカ相手に貿易黒字を積み上げていた時代に、
「日本の半導体・電機が衰退し、日本は貿易赤字に転落する」と予言したら笑われていただろう。
だが実際はその通りになった。
だが確実に足らなくなる。
20●●年、コメが足らなくなった時点で、農水省はどう対策するのか?
泥縄で農業参入を促進しようとしても、「翌年からコメが取れる」と言う訳には行かない。
工業やサービス業なら、訓練研修時間は短いから、急遽対策できなくもないが、
農業の場合「年に1回しか収穫できない」と言う農業の特性上、急遽対策しても
対策が奏功するのに数年掛かる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E9%AB%98%E4%B8%8D%E6%B3%81
円相場が円高に傾くと、日本国内における労働力などの生産要素の価格が国際的に見て高くなる。このコスト高になった結果、輸出財の競争力や収益力は低下することになり、輸出が減少して輸出企業やその下請けなど関連企業が打撃を受ける。一方で、輸入財は相対的に割安になるため国内生産の競合品より競争力が増し、国内生産を行っている企業の業績が悪化するとともに輸入が増加することとなる。輸出の減少と輸入の増加は純輸出を減少させ、GDPの縮小、すなわち景気の悪化を引き起こす。さらに、このような円高の問題を避けるために、企業の海外流出が活発化して長期的にも経済環境が悪化する。これらは貿易収支が赤字であるか黒字であるかによらないメカニズムであり、円高が問題となるのは日本が貿易黒字国であるためという考え方は誤りである。また、輸出企業そのものだけでなくその関連企業の業績も落ち込むので、輸出の規模が小さいから円高の影響も小さいと考えることも誤りである。
TPP関連については話を広げると荒れるので今回は1点のみに集中します。でもこれが一番大きいポイントだと思います。
TPP反対意見のなかでもっとも説得力がありわかりやすいのは「経済的メリットがたいしてない」という意見です。政府の「TPP参加によって得られる経済効果は2.7兆円」という発表が実は10年間の合計だったということがわかり、1年たった2700億円程度じゃ円安で簡単に吹き飛んで意味無いじゃん!という大変わかり易くスマートな反論です。
ですが、ここで一つ注意して考えてください。もしTPPに参加しなかったとしたら、その「10年で2.7兆円の経済効果」を得られないだけですむのか?と。
みなさんに思い出してほしいのは、日本の貿易収支、とくに対米国での貿易黒字は現状維持どころか下降を続けているということです。これまで日本のものづくりの象徴だった家電・自動車業界は2000年以降の韓国企業の台頭でシェアを奪われています。特に家電・最新エレクトロニクスでは韓国と日本の立場は完全に逆転し、自動車業界でも韓国の自動車メーカーは北米でのシェアを伸ばしています。現状ですらこの状態です。さらに今後は韓国と米国が2カ国FTAを結ぶことになり、5%程度とはいえ韓国製品への完全が撤廃されていきます。このまま放置すれば日本の家電・自動車メーカーの下降&韓国メーカーの上昇は容易に想像できます。
今の日本はつねに韓国や中国、他の発展途上国から富を奪われれている状態で、おまけに今後の少子化や東北大震災の影響を考えると現在の経済規模を維持するのすら大変な状態なのです。「TPP参加によって得られる経済効果は10年で2.7兆円」という推測は、「たった2,7兆円」ではなく、「TPPに参加をすれば現状維持は保てる」という意味なのです。ちなみに僕はこれまでの日本と韓国の家電企業を見比べると、この現状維持という予測すら楽観的すぎるんじゃないかと危惧しています。
たしかにTPPに参加することによって日本が失うものも多いでしょう。(ネットではあまりに極端な事例ばかりが並んでいる気もしますが)ですが、もしTPPに参加せず現状を放置したとして10年後に2.7兆円の微増どころか10兆円~20兆円のマイナスだってありえるかもしれないと、なぜ反対派の方々は思いつかないのでしょうか?具体的なマイナス幅については正式なデータも公表されてないのであくまで僕の勝手な推測です。ですがこれまでの日本の家電・自動車メーカーの事例を多少なりともわかっていたら、今後ますます下降するだけだろうと予測するのが常識じゃないですか?
著者はドイツ系アメリカ人。原著の刊行は1998年で、世界中の専門家の間に論争を巻き起こした。
本書におけるメッセージは、冒頭書き出しの1文に凝縮されている。
本書において私は、既存のヨーロッパ中心的な歴史叙述および社会理論をグローバル学的パースペクティブを用いて転覆しようと思う
「西欧=先進国、アジア=発展途上国」という、我々が慣れ親しんだ世界の図式は、たかだかここ200年程度のことに過ぎない。西欧諸国はむしろほとんどの期間を通じて世界の傍流にあった。本書において、著者はこのことを繰り返し強調する。
フランクは、まず1400~1800年の交易データを検討し、次のようなことをインプリケーションとして述べている(2章)。
最大の経済大国は中国だった。中国は絹織物、陶磁器、水銀、茶の生産などで圧倒的な輸出競争力を誇っていた(全地域に対して貿易黒字)。インドも負けてはおらず、綿織物という輸出産業があった。東南アジアも同様、香料や胡椒があった。一方で、ヨーロッパはアジアに対してほとんど何一つ輸出競争力を誇る製品をもち得なかった状態で、一貫して貿易赤字を計上していた。その結果、欧州から中国などアジア諸国への銀(貨幣)の流出が常態化していた。しかもこの銀も、もともとはアメリカ産のものを奴隷貿易でぶんどってきた物だから(当時、銀の主要産地といえばアメリカ大陸と日本ぐらいしかない)、ヨーロッパ自体は、実は世界交易について何ら価値創出に寄与しなかったともいえる。
また、大航海時代以降、海上ルートがユーラシア大陸の隊商交易にすぐさまとってかわられたという主張も、誤りとして退けられる。アフリカ周航のルートは陸上輸送とくらべて決してコストが安かったわけではなく、ポルトガルの喜望峰周りの交易も短期間しか続かなかった。(223p)
定量的には複数の歴史家の推計を引き合いに、アジア諸国の生産性の高さにも言及する。曰く「アジアは1750年において、依然として世界人口の66%未満であったが、世界総生産の80%を生産していた。つまりアジアは欧州、アフリカ、アメリカよりも生産性が高かったことが示唆される」(p305)
科学技術についても、近世以降は西欧がアジアを優越していたという”常識”を西欧中心主義の誤謬だと批判する。例えば、当時の「ハイテク産業」でもあった造船業。中国の船は、ヨーロッパよりずっと数が多く、かつ大規模で、長期り輸送が可能な代物だった(342p)。印刷業も、中国は世界のどこよりも早く木版印刷を開始し、1500年代の早くには5色刷りの技術が存在し、日本や朝鮮に技術を輸出していた。
そうにもかかわらず、「世界経済の中心国が16世紀はポルトガルで17世紀にオランダに移り18世紀にイギリスに映った」などという、まるでヨーロッパ人によって一貫して支配されていたかのような馬鹿な議論(ウォーラーステインの「近代世界システム論」])がまかり通っている。しかし「1688年に、アジア間の交易のボリュームは、いつかのインドの港からだけでも、すべてのヨーロッパ交易を合算した交易よりも10倍も大きかったのである」(p320)
であるならば、なぜ近代以降の世界経済をの主役はアジアではなくヨーロッパだったのか。この点についてフランクは6章で100ページにわたる議論を展開しているが、正直ピンとこなかった。その骨子は「アジアの景気循環的な衰退期がたまたま西欧の勃興期と重なった」というもの。まさかここで「コンドラチェフの波」を引き合いに出すとは思わなかった。これはひどい
その他、素人目に見て反射的に気になったのは4つ。
1.「一人当たり生産性が近代までアジア>西欧だった」という記述について。これの反証となるようなデータは俺でもすぐ見つかる(例えばアンガス・マディソンの推計「The World Economy」)。むしろ地域間の一人当たり生産性は、まだ優劣に決着がついていないとするのがおそらく妥当なところではないか。
2.貿易収支の考察について。1400~1800年までの2章の部分、「中国はどの国に対しても貿易黒字だった。その背景には圧倒的な輸出競争力があった」と著者は言い切っているが、ここもまた留保が必要だろう。中国の貿易保護策の影響はどうだったのか。そもそも、中国がそれだけ例外的な貿易黒字を確保していたのならば、中国のマクロ的な貯蓄率はかなり高かったといえるだろうが、その辺は、当時の中国史の中で言及はされているのだろうか。
3.フランクはまた「アメリカの豊富な銀資源を搾取してアジア世界の交易に割り込んだだけ。ヨーロッパ人自体に富の増大をもたらすようなものは何もなかった」と強調する。これも逆差別の感がある。資源や強力な輸出産業はなくてもヨーロッパ人は知恵を絞って自分のところに富を惹き寄せた、という解釈もできる。「ビジネスの仕組み」を考案した彼らの力については、それ自体十分競争優位になっている気がするがどうだろうか。
4・「オリエント」地域にあるヨーロッパの支配地域(インドにあるイギリスの所領など)を考慮にいれても2章の結果はロバストか。
5. では、近代以前のヨーロッパにおいて、オリエントに(経済力、軍事力、知識等で)負けているという認識はどれほどあったのか。NOならばそれはなぜ?YESならば、彼らはその状況をどういった風に克服しようとしたのだろうか。
新成長戦略。
官僚の作文以下の出来である。
経済を活性化させるのに重要なのは、ポンプ役の働きにある。資本主義経済が計画経済や共産主義に勝ったのは、国内においてお金を回転させる役割を、企業が担った為である。
企業にお金を稼がせて、稼がせた分だけ使わせる事で、国内の経済は回るのである。
国家が税金を取って、それを国民にばら撒いて使ってくださいというのでは、誰も富を生産しない。自給自足が可能な国家や税金という制度が必要無い地下資源国でなければ、経済は回らないのである。企業という存在は、資本主義経済の根幹である。
資本主義国家において、貨幣を循環させるポンプ役は企業であり、企業に稼がせた分だけ使わせなければ、どんなことをやっても、お金は回らない。お金を回す為に企業という存在を許容するのが、資本主義の本質である。
消費税を上げるとか、法人税を下げるといった事をやって対策をしているというアリバイ作りをしても、事態は悪化するだけである。自民党政権時代にさんざんやった事であり、その失敗を批判してきた民主党が、同じ事をやろうとしている。
行政や企業で十数年間働いた人に、スピンアウトして起業する事を合理的であると判断させる状況を作り出さない限り、内需は回復しないし、日本の工業力や知的財産権の生産力も、衰えていくばかりとなる。その為には、法人税を引き上げる代わりに、配当を経費認定して、企業が内部留保や銀行からの融資に頼る仕組みを終わらせる必要がある。
銀行から借りたお金に対する元利返済は経費認定されるのに、株主から預かったお金に対する配当は経費認定されないという状況は、法人税を確実に取る為という建前と、資金繰りを銀行融資に依存させて行政指導や許認可に従わざるを得ない状況を作り出すという本音から始まったが、その体制を長く続けすぎて、土地資産の含み益や内部留保が溜まり、無借金経営で行政指導に従わないという所や、行政を取り込んで政治的に圧力を加えるという企業が現れるようになって、破綻した。
世界基準で見たときに、資本額のリストの上位に日本企業が並ぶようになると、不都合となったのである。japan bashingは、貿易黒字だけで始まったのではない。
国際的な企業になればbashingは受けなくて済むという事で、多国籍企業化を目指し、アメリカの不動産や企業を買い漁って大失敗したり、最近は、中国に進出して大火傷をしているが、資本の規模が大きくても、内部留保や不動産といった生産性の低い資産がほとんどで、見てくれに比べて実力皆無というのが、日本企業の実態であり、内部留保を株主に還元しろという意見が出てくるようになってしまった。
法人税が下がれば、内部留保を増やしやすくなる。銀行に頭を下げて融資を引き出したり、投資家を説得して増資を集めるよりも、内部留保を使う方が、はるかに簡単に動けるが、このやり方では、既存企業ばかりが太るだけとなり、起業をしようという物好きは出てこなくなる。さらに、競争をする意味が無くなるのだから、内部留保を、退職金として受け取るまで減らさない事が一番合理的となり、投資や雇用が消失していくだけとなる。
法人税を引き上げる代わりに、配当を経費認定する事で、内部留保よりも、従業員や株主にお金を出す事になり、従業員や配当を受ける株主は、当然、増資に応じるかどうかを判断することになる。既存企業に新規事業としてやらせるという判断もあるし、スピンアウトした元従業員に出資をつけてやらせるという選択も可能となり、起業する者に資金を手に入れる可能性が出てくるようになる。
あとは、接待費の査定を少し緩め、経費天国を復活させる事であろう。官僚には接待費がないからというひがみ根性で接待費を絞ったら、街のバーやクラブは軒並み不景気になるし、タクシーも深夜の長距離客が居なくなる。一生官僚やっているよりも、起業した方が豊かになれるし、それで失敗しても、水商売やタクシーの運転手という受け皿があるという状況を作り出さないと、天下り先や税金に寄生している人々を減らせない。
排他的独占的運用がなされている特許権や実用新案権も、上場企業のような帳簿が信頼できる企業については、権利者が定めた料金を支払いさえすれば利用できるようにする代わりに、最長15年という権利の存続期限を取り払うという運用基準の変更も必要であろう。上場企業の帳簿の監査は、弁護士・会計士の仕事であり、法科大学院で量産された弁護士の働き場所となり得る。医療賠償や国家賠償、筋の無いゴネ得狙いの訴訟といった屑仕事しかないのでは、ひまわりのバッジが泣いている。
国際価格に比べて10倍以上高価な日本の米価や農産物、半分近くが税金のガソリン代、年金や保険といった公課と、日本人は、税外の税を負担している。これらの負担は国民の税負担の統計には出てこないが、一般会計の3倍以上の規模の特別会計を支えている。見かけの実効税率を4倍したのが、実際の国民の負担と考えて差し支えない。見かけの実行税率を見て、まだまだ国際的に低い税率だから消費税を上げる余地があるというのは、特別会計を支えているお金が、どこから出ているのかを考えていないという事である。
他人の意見を聞くのは重要であるが、意見を聞いたら、その意見を言った人の背景について調べなければならない。大企業の幹部は法人税を引き下げて内部留保を増やし退職金として受け取れる金額を上積みした方がメリットとなるし、競争相手が出てこないような知的財産権や懲罰的賠償制度を望む。新聞社のような所得の高い人は直接税を引き上げられるくらいならば、消費税を引き上げた方が被害が少ないと判断する。たとえ社会的・経済的に間違っていても、個人の利益を優先するのが人間であり、嘘でも100回繰り返せば真実になる、騙される方が悪いというのが、そういう主張をする人の考えである。
[2010.6.20]
日本政府の捕鯨の一番の目的は何ですか?オーストラリア政府、グリーンピース他か...
ttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1110803096
本当の目的は…水産資源を守り、日本の食糧資源を確保することにあります。
食糧自給率の低い日本ですが、幸い漁場には恵まれていまして、海からの食糧供給はある程度望みが持てます。
科学的でも論理的でもない捕鯨禁止を看過すれば、他の水産資源も捕鯨問題と同様の事態になりかねず、
今でも自給率で問題がある日本の食糧資源は、さらに他国に頼らざるを得ないことになります。
つまり有事の際、食糧を日本に販売しないという政策を他国に取られれば、内容に関わらず言いなりにならざるを得なくなるわけです。
# 本音で言うと、関係者は捕鯨再開で日本の文化を守る云々という非現実的な夢など見ていません。
外交上、著しく不利になりかねない食糧問題の象徴が捕鯨で、日本政府として絶対に譲れない問題なのです。
国際外交をモラルを持った賢人が集まって決めているような幻想を持たないで頂きたい!(当然、経験者です)
捕鯨問題は日本の高度経済成長を疎ましく思った勢力が、人種差別的な反日キャンペーンを張ったことから持ち上がりました。
別に日本人が野蛮な人種であることを世界にアピールできれば、捕鯨でも何でも良かったわけです。
さらに水産の資源問題で圧力を掛けて畳みかければ、世界トップレベルの技術力を持ち、世界最大の日本の水産市場に大打撃を与えることができるかもしれません。
日本の貿易黒字の増大を憎む人々が、日本経済を脅かそうと放ってきた問題だったわけです。
当然国内の大反発が予想されたのですが…工業製品の輸出で利益を受けている人々が問題を大きくしたがらなかったため、
国内世論が割れ、水産庁は国家が一枚岩となっての効率的な手を打てず、漁業者は一方的に損害を受けました。
200海里経済水域なんて、今では当たり前に思われているかもしれませんが、これも日本を標的とした世界の国家間の取り決めです。
それでなくても、捕鯨問題を持ち出されるだけで、日本としては諸国にODAをばらまかざるを得ないのです。
もし今まで看過すればどうなったでしょう?10年以上前にマグロが制限を掛けられていたはずです。
英語で魚のことをプアミートと呼びます。
他国では、魚が食べられなくても肉を食べればいいや…程度の扱いなのです。
魚を食べる社会の底辺の人々のことなど知ったことではありません…と。
文化的な側面も考えてみて下さい。
ペリーが黒船で来航し、日本に開港を迫った理由は捕鯨基地が欲しかったからですよ。
当時の女性のスカートに鯨の髭が使われていたのです。肉は海に捨てていました。
これにより鯨資源は減少しました。
また、敗戦直後の日本人にタンパク質を提供するために、漁師さん達が命懸けで捕鯨を行ったのです。
歌のサビの一部にもありますが「生きて帰らん、望みは持たじ」です。
ちなみに、捕鯨問題で国内がごたついた際、漁師さん達からは「裏切られた」と水産庁は責められました。
捕鯨問題の最先鋒であるアメリカでは、絶滅の危機にある北極鯨を捕鯨問題から外し、現在でも捕鯨しています。
一方で、資源として増えすぎ、他の水産資源を減らす原因となっているミンク鯨などは、捕鯨が許されていません。
あまりにも不公平で異常である状況にお気付き願います。
捕鯨問題が持ち上がった時点で、減少している鯨資源に関しては、日本政府としては保護の立場を取らざるを得ませんでした。
減少している種類は、保護すべきという立場ですし、領土問題が中国,韓国,ロシアとの間にあるため、
EEZ(経済水域)が事実上設定できない(相互乗り入れ海域)と、資源保護に関して頭を抱えています。
でもですね、こと水産問題に関しては、この国は本気で取り組んでいますよ?ODAの内訳でも見てみればよいです。
さしあたってはマグロですし、次は中国を叩くために、サメのキャンペーンが張られますよ。
FAOも国連も一切活動していない海域、しかも私達が水産資源管理庁の頂点にいる、そういう国で、のうのうとサメの漁獲量が減っているグラフなどが発表されるのです。
日本を支持した大臣の首がすげ替えられ、協力者が失踪する…外交戦の裏側です。
盲目的に他国の宣伝を信じ、自分自身の首を絞めることに荷担しますか?
一応説明すると、新しい政権および、日銀は円高容認かなと思っています。
米ドルも対円に対してはドル安を容認した状態なのかなと思います。一部米国政府高官の発言もありますし。
対極ですね。
日本の市場の場合、平均で27%、主要株で40%ぐらいが外国人投資家です。
なので円高が続けば為替で益がでるので売り越しが続きます。
1ドル100円で1万円の株価と、1ドル80円で8000円の株価。比較は難しいです。
立ち位置によって観測結果は異なります。
これくらい為替が変動していると、当然下がった上ったはあまりリンクしなくなります。
”ドル安”の流れは止めることができません。
これはクロスで米ドルと他の国の通貨を比較してみることでわかります。
旧自民党政権の場合、その産業の主軸はモノづくりでした。介入してでもドル安を防いできました。
トヨタやキャノンなどの製造輸出産業は円高になると莫大な損をぶっこきます。
大切な自民党の票田なので守られて来ました。日本は貿易収支で黒字できたわけです。
貿易黒字になると円高圧力が強まります。
民主党政権への以降は劇的なものだったので、スムーズな移行というのはできていないと思います。
市場はある程度織り込み済みですが、この50年に貯め込んできた反動はまだ続くものと考えています。
日本の製造業はもう10年も前に終了していたのだけども、ソフトランディングしようと無理にひっぱった結果代替策もなく事態を悪化させてしまいました。
http://d.hatena.ne.jp/chnpk/20091110/1257778911
「国債なり為替なりのマーケットへの影響についてこそ精緻に議論すべき」だからといってなぜ
「物価はゆっくり調整可能」が間違いといえるのかわからん。池田FAQ同様全然つながりがないように見える。国債や為替市場で真っ先に反映されるからといって物価をゆっくり調整できなくなるわけでもない。日本以外の国でも資産価格や為替ほど激しく物価が動かないのはよくあることなのに。いくら債券市場が激しく動くとしても物価がゆっくり調整できるなら結局ハイパーインフレは未然に防げるということにもなる。ジンバブエだっていきなり今のインフレ率になったわけでもない。
日本は魅力的な投資先がないからデフレとか書いてるけど、ずっと貧乏な後進国がインフレばかりな現実はどう思ってるんだろか。というかデフレだから魅力的な投資先に貸すメリットが出にくくなってるはず。たとえばデフレ率5%なら5%以下の利回りの投資先は全部スルーして現金もったままが得になる。貸し倒れ考えればもうちょっと多くなるはず。なぜデフレ放置で魅力的な投資先に金が回せると思えるのやら。
あと貨幣供給したら為替や国債が売り浴びせられると書いてあるが、貨幣供給は普通は買いオペで増やすんだから大規模にやるほど日銀が買う国債が増え金融機関が売れる国債が減っていくだけであって別に買い手がなくなるというわけでもない。為替に関しても円安になるほど輸入不利輸出有利で貿易黒字が増えやすいので外貨準備が枯渇するというのはおかしい。高いレートを維持しようとするから自国通貨を買い支えるため外貨をたくさん売る羽目になって枯渇するのが通貨危機の恒例のパターン。リフレをやる場合は自分から安いレートにしようって話なのでまったく逆。
ロンドンのシティは、欧州の金融センターとして機能している。しかし、イギリスはユーロに加盟していない。このねじれは、事あるごとにトラブルを発生させる。ユーロの実現も、シティから金融センターとしての実権を欧州大陸に取り戻そうという狙いがあった。フランス単独では無理であるし、ドイツは現場の仕事は任せられるが、利益の為なら祖国でも売り飛ばすというお金の世界で切った張ったをやるには、機転が期待できない。その他の国家はフランスを小規模にしたような物で、フランスが無理な以上、望みは無い。
そういう状況で、ライミーとカエル野郎の喧嘩は、欧州統一という建前を推し進める結果へと繋がった。
EU統合で、アメリカに対するカウンターパワーとなりえる存在であるとイメージ作りに成功したEUは、グローバリゼーションのおかげで貿易黒字を貯めこんだ地下資源国や新興工業国にユーロが買われ、しかも、高利回りのCDS投資で好景気を享受し、このままいけば、シティから金融の実権を取りあげるのも時間の問題となったが、今度は、欧州の金融センターをどこに置くかで内部抗争が始まってしまった。
グローバリゼーションが打ち切られ、金融危機が押し寄せると、我が国こそ欧州の金融センターを置くにふさわしいと名乗りをあげていた所が、次々とそれどころではない状態に陥った。最後に残ったのはフランスである。
欧州の金融センターをフランスに置くという話は決まったが、ここで、どうやってシティから実権を奪うのかという問題が表面化してきた。バブルが膨らんでいた時代であれば、取引高の実績によって、マーケットは移動させられたが、バブルが弾け飛んで、官製相場となっている現状では、板は薄く、不自然なPKO(Price Keep Operation)で価格だけが浮き上がっている状態になっている。
流動性で実権を奪い取る事ができない以上、政策的に奪い取らなければならない。規制監督権を英国政府からEUに移動するという手段である。
その際に問題になるのが、その決議を、多数決にするか全会一致にするかという問題である。
イギリスはユーロは導入していないが、EUには加盟している。したがって、EUの決定事項には従わざるを得ない。そこで、欧州の金融センターをフランスに移動させるという議案が出てきた時に、イギリスのみが不賛成で、残りが賛成するという状況が発生する可能性が出てきている。
つまり、イギリスは、いつ破綻してもおかしくないほど借金を背負っているEU諸国と絶縁して、EUから脱退する可能性が出てきてしまうのである。
同様な事は、1965年に、農業に関して、多数決によってフランスにとって不利な決議が成立しうる状況が発生した事がある。この時、フランスは全職員を引き上げ、理事会を欠席した。フランス抜きではEUは空中分解するので、およそ半年後に、ルクセンブルグで、国益に関する議案は全会一致制度を適用するという合意を作って、フランスをテーブルに戻した。この妥協を"Luxembourg Compromise"と言う。
イギリスがEUから脱退し、血も涙も無い他人として欧州諸国の借金の取り立てに回るのであれば、EUは経済的に破綻する。破綻を先延ばしにする為に、シティをEU側に取り込んでおく必要があり、単純に泣きつくと足元を見られるから、恫喝を仕掛けて相手に切り札を切らせ、恫喝を引き下げる事で、切り札を無効化するというプランなのかもしれない。
ポンドは、昔、ケーブルと呼ばれていた。大西洋に張られた海底ケーブルで為替レートがアメリカに送られていた為である。その俗称を、あえて使う。金融監督権限に触るのは、ユーロにとって、ケーブルが救援ケーブルになるか、首吊りケーブルになるかという、危険な遊びなのである。
スペインの銀行が公的資金として9兆ユーロ(12兆5千億ドル、1236兆円)をスペイン政府に要求しているという話。
ちなみに、スペインのGDP(Gross Domestic Product,国内総生産)は、2008年で1兆6,117億米ドルであり、9兆ユーロは、7.7年分である。
これだけの増資が必要になった理由は、主に融資の焦げ付きである。その中でも、きっかけとなったのはCDSである。高格付けで高利回りのCDSは、金利を受け取れる代りに、元本が毀損したら、その分を全額被らなければならない契約の融資と言える。この契約で、元本が毀損しているのである。アメリカは、アメリカ人が消費して発生させた住宅や自動車のローン、クレジットカードの債務等の債権をCDSにして、高格付けをつけて欧州に売っていた。欧州は、原油産出国や新興工業国の貿易黒字が、米ドル忌避先として流れ込んでいて、それらの資金を運用しなければならない状態にあった。原油産出国や新興工業国が自らのリスクとして背負わなければならなかった米ドル建ての黒字が欧州に持ち込まれた。欧州は、その運用先として、米国債よりも高利回りだけど格付けは同じというCDSに飛びついた。
欧州は、グローバリゼーションの中で、原油産出国や新興工業国の資金を元に、利ざやを抜く商売を手に入れたとも言える。この利ざやを抜く商売は、濡れ手に泡のぼろ儲けであった。おかげで、ユーロ高なのに欧州の景気は上昇し、EUに参加したいという国家が列を無した。ユーロ高なので、貿易黒字を流し込んだ原油産出国や新興工業国にとっても、所有している通貨の価値が上がっている事から、利益が出ていた。
ユーロに参加したいという国家に、口利きをしてやるから、代りに工場を建てさろ、安価な労働力を使わせろという要求も、それらの産業が来る事は、非加盟国にとってユーロ加盟と順番が前後するだけであり、断る理由は無かった。かくして、欧州の非加盟国が経済的フロンティアとなり、そこへの融資も、欧州の金融機関にとっては美味しいビジネスとなっていたのである。
これらのシステムが、莫大の赤字を生み出すようになったのは、グローバリゼーションが失敗であった事が判明し、国際安全保障上の理由から、これ以上、反米国家に経済力をつけさせないという判断が下った瞬間からである。そういう意味では、その運命の日は、2001年9月11日であったと言える。
グローバリゼーションによってばら撒いた米ドルを回収しなければならない。アメリカの債権をCDSにして、高格付けで高利回りの債券として、原油産出国や新興工業国に掴ませるというのが、最初のプランであったと思われる。しかし、原油産出国や新興工業国は、米ドルを基軸通貨から転落させるというプランを実行していて、ユーロに資金を流し込んでいた。その資金で、結局はCDSを買わせる事になるのだが、債務をdefaultさせた瞬間に、ユーロが大損を被ることになってしまった。
欧州は利ざやを抜く商売で濡れ手に泡の利益を掴んでいたのだから、そのリスクは当然である。原油産出国や新興工業国の代りにしゃしゃり出てきたのが原因であって、アメリカをうらむのは筋違いなのだが、感情的にはどうであろうか。
イスラムとキリストの対立を一時忘れて、反アメリカで一時的に共闘するという展開も十分にありえる。
オバマ大統領は、日本の匿名掲示板では黒い盧武鉉と呼ばれているが、カイロで空気の読めていない演説をぶちかましたらしい。欧州とアラブが手を結ぶのであれば、新興工業国はそちらにつくであろう。
これだから民主党は。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090315-00000852-reu-bus_all
どうやら、成長する事は権利であり、規定事実とされてしまっているようである。
グローバリゼーションとは、金融的には、米ドル建てでの信用の過剰発行でしかない。
そのおかげで、本来、自力では成長できない後進国ですら成長できた。しかし、権利は主張するが義務は回避するという、とても人間的な行動により、後進国に工業技術を与えるわけにはいかないし、地下資源国や中国は、素直に貿易黒字を溜め込んで米国債を買っていればよかったのに、ユーロやポンドに分散投資をした。基軸通貨体制が揺らぎ始め、慌ててグローバリゼーションを止めたら、世界の景気がストップしてしまった。ストップすると、過剰に供給されてしまった米ドルの価値を支えきれなくなり、恐慌が始まってしまった。
日本の貿易黒字を叩く為にグローバリゼーションをやる、産油国と中国に貿易黒字が発生するという所までは予想されていたが、産油国や中国は日本ほど理性的ではなかった。地下資源国の大部分は反米であるし、中国は自己中心な中華思想の本家である。それらが日本と同じように黙って米国債を買い続けて米ドルの基軸通貨体制を支えるわけが無いのに、アメリカの民主党は、日本よりも信頼できるパートナーであり、支えてくれると信じてしまったわけである。信じた方が悪いのか、信じさせた方が悪いのかについては、論評しない。イスラムや中国の道徳では、騙す方よりも騙される方が悪いとされており、彼らの行動は、彼ら自身の道徳においては善だからである。
で、G20で、成長が回復するまであらゆる必要な行動を取るという合意ができたという事であるが、その行動の中に、中国や産油国を相手に戦争を始めて、それらの国家の貿易黒字や過剰になっている生産能力を破壊するというプランは含まれているのであろうか。
先進国の生活を味わってしまった人々や国家に、それをあきらめさせる事は難しい。生活だけでなく、道徳や理性まで先進国並になってくれない限り、成長させるわけには行かないのだが、その為の具体的な行動は、含まれているのであろうか。
義務は可能な限りサボり、権利は可能な限り主張して獲得するというのは、とても人間的な行動であるが、社会全体がそれでは成長できないという事に気が付かない限り、経済成長はありえない。そして、今更それに気がついて行動を改めようとしても、すでに恐慌が始まってしまっている以上、落とし前をつけるには、相応の血が流されなければ手打ちはありえないのである。
日本としては、大戦に巻き込まれる前に、小規模でコントロール可能な戦争で実績を作って勝ち組逃げ切りを目指すというのが、戦後の復興において負け組を市場として銭儲けをする手段としてはお勧めである。
リオティントに195億ドル(約1兆8000億円)、倒産寸前のOZミネラルズに26億豪ドル(約1500億円)、という民間会社に投資を行うという話が流れてきた。どちらも、経済原則から見れば非常識なディールであり、何が起きているのかと様子をうかがっていたら、ロシアに250億ドル(2兆3000億円)を融資して、見返りに毎年原油1500万トン(比重0.9とすると日量28万バレル)を20年間で返済とか、ベネズエラから、支払った金額は不明であるが、原油日量100万バレルを200年分確保という話が流れてきた。
中国は、手持ちの外貨資産を、全部資源に切り替えるつもりらしい。貿易黒字を持っていても、アメリカや欧州から赤字の元凶として叩かれるだけだと見て、現金資産を他国に押し付けて、物を手に入れる事にしたようである。
ロシアからパイプラインで引っ張る原油については、トン当り83ドル33セント、バレル単価は12ドルぐらいになるので、中国の国境まで運んでくれる分と、重質成分と硫黄が多い事と、世界的な低金利が20年間続くという見込みであれば、ぎりぎりの値段と言える。しかし、ベネズエラの原油は、リオティントやOZミネラルズと同様、経済合理性に欠けている。
中国からパナマ経由でベネズエラのカラカスまでは19000Kmぐらいある。時速26Kmで730時間、つまり、30日間かかる。しかも、パナマ運河は最大でも50万バレルクラスのタンカーしか通れないので、日量100万バレルだと、2隻必要になる。往復で60日間に、荷物の積み下ろしにそれぞれ1日かけるとして、62日間、2隻必要なので124隻以上のフリートをオペレーションすることになる。
ちなみに、日本と中東の間は片道21日間で、200万バレル程度を積めるVLCCを一日二便(日量400万バレル)使っているので、日本全体でフリートの規模は90隻前後となっている。
日本の4分の1の量を3倍の時間をかけ、しかも、4分の1のサイズのタンカーで運ぶということで、経済合理性が無い。
そうまでして、貿易黒字を無くしたいのであろうか。これらの非合理なディールの結果、中国の黒字が資源国の黒字に変わるという効果だけは実際に発生するし、それらの資源国に中国産品を売り付ける事も可能になるが、ようは、それだけ米ドルが過剰に存在しているということでしかない。
この過剰なお金をなんとかしなきゃならないのだが、どの国も、対策と言えばばら撒きしか出てこない、アメリカの購買力をあてにした輸出商売に染まりきってしまっていて、米ドルに対して安い通貨を維持しようと、通貨が過剰なのに、さらに過剰にしようという話しか出てこないのである。
景気回復の為には、地下資源国の購買力をあてにしなければならず、その為には、価値観を輸出して消費習慣を植え付けなければならない。宗教や独裁政権によって消費者となる一般大衆が存在しない国家を、大衆消費国家に切り替えなければ、いつまでたっても景気は回復しない。