スペインの銀行が公的資金として9兆ユーロ(12兆5千億ドル、1236兆円)をスペイン政府に要求しているという話。
ちなみに、スペインのGDP(Gross Domestic Product,国内総生産)は、2008年で1兆6,117億米ドルであり、9兆ユーロは、7.7年分である。
これだけの増資が必要になった理由は、主に融資の焦げ付きである。その中でも、きっかけとなったのはCDSである。高格付けで高利回りのCDSは、金利を受け取れる代りに、元本が毀損したら、その分を全額被らなければならない契約の融資と言える。この契約で、元本が毀損しているのである。アメリカは、アメリカ人が消費して発生させた住宅や自動車のローン、クレジットカードの債務等の債権をCDSにして、高格付けをつけて欧州に売っていた。欧州は、原油産出国や新興工業国の貿易黒字が、米ドル忌避先として流れ込んでいて、それらの資金を運用しなければならない状態にあった。原油産出国や新興工業国が自らのリスクとして背負わなければならなかった米ドル建ての黒字が欧州に持ち込まれた。欧州は、その運用先として、米国債よりも高利回りだけど格付けは同じというCDSに飛びついた。
欧州は、グローバリゼーションの中で、原油産出国や新興工業国の資金を元に、利ざやを抜く商売を手に入れたとも言える。この利ざやを抜く商売は、濡れ手に泡のぼろ儲けであった。おかげで、ユーロ高なのに欧州の景気は上昇し、EUに参加したいという国家が列を無した。ユーロ高なので、貿易黒字を流し込んだ原油産出国や新興工業国にとっても、所有している通貨の価値が上がっている事から、利益が出ていた。
ユーロに参加したいという国家に、口利きをしてやるから、代りに工場を建てさろ、安価な労働力を使わせろという要求も、それらの産業が来る事は、非加盟国にとってユーロ加盟と順番が前後するだけであり、断る理由は無かった。かくして、欧州の非加盟国が経済的フロンティアとなり、そこへの融資も、欧州の金融機関にとっては美味しいビジネスとなっていたのである。
これらのシステムが、莫大の赤字を生み出すようになったのは、グローバリゼーションが失敗であった事が判明し、国際安全保障上の理由から、これ以上、反米国家に経済力をつけさせないという判断が下った瞬間からである。そういう意味では、その運命の日は、2001年9月11日であったと言える。
グローバリゼーションによってばら撒いた米ドルを回収しなければならない。アメリカの債権をCDSにして、高格付けで高利回りの債券として、原油産出国や新興工業国に掴ませるというのが、最初のプランであったと思われる。しかし、原油産出国や新興工業国は、米ドルを基軸通貨から転落させるというプランを実行していて、ユーロに資金を流し込んでいた。その資金で、結局はCDSを買わせる事になるのだが、債務をdefaultさせた瞬間に、ユーロが大損を被ることになってしまった。
欧州は利ざやを抜く商売で濡れ手に泡の利益を掴んでいたのだから、そのリスクは当然である。原油産出国や新興工業国の代りにしゃしゃり出てきたのが原因であって、アメリカをうらむのは筋違いなのだが、感情的にはどうであろうか。
イスラムとキリストの対立を一時忘れて、反アメリカで一時的に共闘するという展開も十分にありえる。
オバマ大統領は、日本の匿名掲示板では黒い盧武鉉と呼ばれているが、カイロで空気の読めていない演説をぶちかましたらしい。欧州とアラブが手を結ぶのであれば、新興工業国はそちらにつくであろう。
これだから民主党は。