はてなキーワード: マロンとは
そういうわけで、1975年生まれの俺を「構成した」ゲーム10本を時代順に紹介していく。
それはとりもなおさず、俺自身を紹介することとほぼ同義になるはずだから、長たらしい自己紹介とか前口上はなしで……では、参る。
俺にとっては、ヴィデオゲームの魔法は全て本作に詰まっていると言っても過言ではない。
結局のところ、俺の人生におけるヴィデオゲームは『パックランド』に始まり、『パックランド』に終わるだろう。
今作に出会ったのは俺が8歳の時、駅前にできた『カニヤ』というゲーセンだった。
『カニヤ』は薄暗く、当世風に言うところの「ツッパリ」と「オタク」(という言葉が生まれる前のオタク風大学生たち)でひしめきあい、
当時の彼奴らは『忍者くん』や『ソンソン』や脱衣マージャンに興じていた。
忍び込むようにして入ったこのゲーセンで、俺はこのゲームにひと目で惚れた。
『パックランド』には俺がそれまで見てきたゲームとは全く違った吸引力があった。
キャラクター、BGM、色彩……全てにおいて、ゲームにこれほど「魅せられた」ゲームは生まれて初めてだった。
消火栓を押した時の、水しぶきに押された時の、モンスターの頭上に乗っかた時の、妖精にもらったブーツで空を飛べた時の感動。
それは俺がヴィデオゲームと「契りを交した」瞬間だった。その契約は今なお解消されていない。
もし本作をプレイしてなかったら、初代ドラクエを発売日に購入することもなかっただろうし、
「ADV」というジャンルに注意を払うこともなかっただろうし、
中学生になってから推理小説にどっぷり浸かることもたぶんなかった。つまり、俺は俺でなかった。
推理小説よりもゲームブックよりも面白い「推理もの」をゲームで作り上げてみせたことに大きな意味と意義があった。
シナリオ・堀井雄二/制作・チュンソフト。ゲーム史的に考えても偉大すぎるだろ。
本作がなければドラクエも(おそらく)存在しなかったってことだ。
けどまあ、そんなこともどうでもいい。これまでもこれからも、ポートピアは俺の血であり肉である。
子供ながらに、「堀井雄二で、チュンソフトで、エニックスなら絶対面白いに決まってるや!」みたいなノリで近所のおもちゃ屋に予約した。
初プレイ時は……のっけから震えた。こんなに面白いゲームがあって良いのかと。ゲームにはこんなことができるのか、と。
作者と開発元が同じだけあって、テキスト文体とUIがポートピアと一緒だな……などと子供らしくないことも思ったっけ。
そういえば、ここに挙げたゲームは殆ど全て泣いたな。今となってはゲームで感動して泣くことなんてそうはないけど。
それが年齢によるものだったのか、ここに挙げたゲームの凄さによるものだったのかは知らん。
ある種のゲームが「想像力」を膨らませる最良の媒介であるっていうことはウィズが教えてくれた。
「RPG」というジャンル/概念を意識したことも、ドラクエよりウィズの影響が大きい(というか、ウィズがなければドラクエもおそらくないのだが)。
「?ぶき」を鑑定して、「むらまさ」だった時を上回る驚きと喜びって、もう体験できないんじゃないか?
もろ鳥山明なドラクエとは違って、おどろおどろしくリアルな姿/形状のモンスター(末弥純デザイン)たちに慄いた。
寺院に駆け込んでも、死者が蘇生するとは限らない——人も物も永久に失われてしまうというリアリティに泣いた。
ウィズは俺に「隣り合わせの灰と青春」を理屈ではなく、ゲーム体験として叩きこんでくれた。
おおっと、故羽田健太郎氏の作ったBGMの素晴らしさについても触れないわけにはいかない。
あらゆるクラシック音楽から「いいとこどり」の手法で極上の音楽を作り上げるすぎやまこういち氏に対して、
バッハ以前のバロック音楽へのストイックな愛がびしびし伝わってくる荘厳な旋律は羽田氏ならでは。
タイトル画面、カント寺院、キャンプBGMは永遠ものだろう。もし未聴ならyoutubeで聴いてほしい。
当時、プレステ派とサターン派でゲーオタ勢は真っぷたつに割れたが、俺は迷わずサターンを選んだ。本作をプレイするためだ。
当時は震えるほど高価だった(44800円)不格好きわまりない鼠色のハードをファミマでバイトして購入した。
膨らみ過ぎて破裂しそうになっていた、こちらの勝手な期待ははたして外れなかった。ポートピア以降のADV観はこの1本で刷新された。
トラベルの中でトリップし続けているような、唯一無二のゲーム。それが『MYST』。
インターネットなき時代に本作を自力でクリアできた時の感動は筆舌に尽くしがたい(泣いた)。
ゲーム史的に言っても、その後の国内外RPGやウォーキングシミュレーターというジャンルへの如実な影響が……や、ゲーム史云々の話はよそう。
ここに挙げたどのゲームも、俺にとっては「自分を作ったゲーム」であり、それ以上でもそれ以下でもないからな。
つい最近まで「自分はローグライクなゲームが好きなのだ」と思いこみ、それっぽいゲームには積極的に手を出し続けてきた。
当時、俺は浪人生だったが、心は勉強にも恋愛にも向かわず、文字通り、寝ても覚めても今作とともに過ごした。
タクティクスオウガもドラクエⅥもテイルズオブファンタジアも素晴らしいゲームだったけど、
朝晩取り憑かれたようにプレイしていた今作のせいで、この時期に出たゲームは自分の中で必要以上に印象が薄くなってしまっている。
後期SFCらしい完璧なドット絵も、和風すぎやまこういち傑作BGMも、チュンらしい快適操作とUIも、寡黙なシレンも小生意気なコッパも、
ガイバラもペケジも※アスカも、どのモンスターより恐ろしい店主も、全てが愛おしかった。
手持ちのROMカセットは内部電池が切れてしまってたから、数年前、Amazonで新品を再購入。
「フェイの最終問題」をどうにかこうにかクリアし、地球の裏側に再び出でた。
中年になった今でも、俺の腕と勘は(少なくとも初代シレンにおいては)まだ衰えていないようだな……。※訂正 アスカ→お竜
「昨年ついにSwitchで配信されたし、もうすぐパッケ版も出るから、絶対やっとけ!!!」
それで終わらせてしまいたいところだが、どうも気が済まない。
数多の熱狂的ファンや批評家たちによってすっかり語り尽くされている感のある今作。
俺にとっては、世界の見え方をがらりと変えてしまった哲学書のような作品である。
あるいはクラブカルチャー、サブカル、世紀末感……90年代後半、自分にとって全てだった世界をそのまま封じ込めたCD-ROM。
本作はゲームでありながら、「ゲームを超えた何か」という感じがしてならない。
人生をすっかり変えてしまうかもしれない、それまで夢中になってきた「ゲーム」をやめさせてしまいかねない、超危険物。
もはやゲームから素直に感動を得られなくなっていた、すれっからしの俺をもう一度「ゲーム」に住まわせてくれた、まったき「ゲーム自体」。
世代的にゼルダはディスクシステム時代からやってるが、正直、ドラクエと比べるとゼルダにそこまでの思い入れはない。
『神々のトライフォース』も『風のタクト』も確かにめっちゃ良くできてると思ったが、「自分を作った」とは言い難い。
正直、世界中で大絶賛されたBotWもそこまでとは思えなかった。
あれがオープンワールドの傑作なら、俺はこれからもクローズドワールドで結構。
なぜか? 「広がる世界」を生まれて初めて感じたゲームだから。
BotWと比べれば全くオープンワールドではないのだろうが、俺にとっては本作のハイラルこそ、生まれて初めて感じたゲーム内に広がる「世界」だった。
エポナを手に入れ、高原を走り回っている時以上に「世界」を感じたことは、今のところ、まだない。
夕暮れ時、ロンロン牧場でマロンちゃんとオカリナ演奏しながら過ごした時間よりも麗しい青春を感じたことは、今のところ、まだない。
『moon』ディレクターである西健一氏が数少ないスタッフと生み出した傑作。
『moon』が作り出したうずたかい第四の壁をよじ登り、ついに超えてみせた作品は今なお本作のみと感じる。
エンディングではいい歳して号泣した(物心ついてから号泣した最後のゲーム)。
坂本教授がBGMを作ったにもかかわらず、本作はろくすっぽ売れてない。
内容も恐ろしいほど過小評価されているように思う。
(ドリキャスという幸薄いハードで発売したことと、高めの難易度設定に拠るところが大きいだろう)
おまけにリメイクもアーカイブもないから、『moon』と違って「やってくれ」と気軽に言うこともできない。
だけどもし、ここまで読んでくれて、「こいつとはゲームの趣味近そうだな」と感じてくれたなら、どうか本作をプレイしてみてほしい。
とくに『moon』に強く打たれたゲーマー諸氏! 本作は『moon』の唯一の精神的続編と思ってほしい。やれば、わかる。
しつこく。再発売(配信)をせつに、せつに、せつに、望む。
本作発売時、75年生まれの俺はとっくに「中年」と呼ばれる年齢にたっしていた。
本作はそんな「まさか」という頃にやってきた、俺のラスト・オブ・アオハルだった。
それまでスタンドアローンでしかゲームしなかった俺に、本作はオンライン/共闘でしか味わえないゲームの楽しさと厳しさを骨の髄まで叩き込んだ。
その体験は視界を塗り替え、時間感覚を刷新し、現実を異化した。
これほど夢中になってプレイしたオンラインゲームは本作と『ARMS』しか思い当たらない(やっぱ俺は任天堂シンパなのだな……)。
『PUBG』も『Overwatch』も『Fortnite』も面白かったけど、初代スプラから受け取ったJOYには届かない。
汗を流しながらでかいゲームパッドを握りしめていたあの2年間を死ぬまで忘れることはできないはずだ。
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俺を作ったゲーム10本は以上です。暑苦しい長文を最後まで(途中まででも)読んでくれて心から感謝。
何年生まれか知らんが、そちらの「俺を作ったゲーム」もぜひ教えてほしい。何本でもいい。マジ知りたいから頼む。
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【追記】
ブコメ全部読みました。
こういう「○本」みたいな括りって、そこからこぼれ落ちた大事なゲームの思い出とか括りでは語れない気持ちを排除するみたいで、
あんま良くなかったか……って書いた後はちょっと落ちこんだけど、
安倍憎しを拗らせると、こういうフェイクにあっさり騙されるから、注意しような。
@kurikou02
大神ひろし
@ppsh41_1945
今回のコロナ流行では色んなトンデモ発言を耳にしたり、目にしたりしてきたけどこれに勝てるのはそうない。
はるみ
@harumi19762015
敬意、感謝、絆があればコロナ克服出来るって…まんま昭恵さんが入れ込んでるカルトの教えじゃん。
https://twitter.com/harumi19762015/status/1257350901343367168
@sugen_takeda
Hiromi1961
@Hiromi19611
世界に言ってごらん
笑われるからw
@debyu_bo
↓原文
【首相記者会見全文】(5)「欧米からの第2波もピークアウト」
「私たちの暮らしを支えてくださっている皆さんへの敬意や感謝、他の人たちへの支え合いの気持ち。そうした思いやりの気持ち。
人と人との絆の力があれば、目に見えない"ウイルスへの恐怖や不安な気持ち"に必ずや打ち勝つことができる。私はそう信じています」
https://www.sankei.com/politics/news/200504/plt2005040040-n1.html
ちなみにTBS。「社会の公器」と自称する資格は、TBSにはないよ。
全文を読めば分かるけど、ここは「感染者やその家族、医療従事者への差別や偏見」を憂慮し、
今この時も働いている人たちへの「敬意や感謝」を求める文脈なんだよ。
もちろんTBSが悪いけど、こういうご時世だけに、フェイクニュースには注意が必要だよ。
https://www.sankei.com/politics/news/200504/plt2005040038-n1.html
(追記)
立憲民主党の中にも、こうしてデマをきっちり指摘できる人がいる。
@KoizumiSamukawa
安倍首相が「敬意・感謝・絆あればウイルス克服できる」って言ったとしてる画像が出回っていて、ずいぶんカルトな発想だなぁと思って確認の為に元の演説を聞いてみたら『~があれば目に見えないウイルスの恐怖や不安な気持ちに必ずや打ち勝つことが出来る』と、そんなに異様なことは言っていなかった。
https://twitter.com/KoizumiSamukawa/status/1257501419529072641
A子ちゃんとデートに行った。と言っても、話題の展覧会を見に行っただけだ。
A子ちゃんは小動物系女子で、とても可愛い。居るだけで場が華やかになる。大学時代の同期として知り合った。
その日は色々話した。増田が、A子ちゃんかわいいじゃん、というと、A子ちゃんは照れて笑った。ひょっとしていけるんじゃないか、と俺はワクワクしながら帰った。
帰った後、お茶に誘った。今度予定決まったら教えるね、と言って2か月が過ぎた。
そして一昨日。俺はまた別の大学時代の同期と、会社終わりに待ち合わせてサシ飲みの日だった。この友人はA子ちゃんとそこそこ仲がいい。
飲み屋への途中の道、友人が振り向いて言った。
「そーいや、A子ちゃんとお前、展覧会行ったんだよな。あいつ彼氏居るはずだけど、元気してるかな」
彼氏、というワードに酷く動揺したのを覚えている。急に後頭部からハンマーで殴られたような感覚がした。
多分狼狽えていたのはバレていたと思うが、必死に平静を装おうとした。
そりゃ、あれだけ可愛ければ彼氏居るよな、いや、彼氏が出来たから可愛くなったのか?大学時代はそこまでパッとしない子だったのに。どうして?なんで?
友達と話していても上の空だった。居酒屋に入り、「彼氏」というワードが出るたびに胸が締め付けられて、眩暈がした。
「あれ、なんか雰囲気違くない?」
友人が笑う。
やめてくれ。
何話したか覚えていない。適当に話したんだと思う。動揺を悟られないように、必死になっていたから話の内容は考えていなかった。
それこそが動揺だってことに、後になって気付いた。誰の目から見ても明らかに動揺してたと思う。声震えていたし、落ち込んでたし。
帰りの駅、ポケットの中に入っていたマロン味のチュッパチャップスを舐めた。薬みたいな味がして、いつもは我慢していたけど
その日は耐え切れずにゴミ箱に入れた。
電車の中、バッハのカノンを何度も流した。音量ボタンを押してもこれ以上上がらない事に苛立ち何度も押した。
酔っぱらった赤い服を着たおばさんが俺に寄り掛かった。窓の外の夜景がちらつく。
酔って気持ち悪くなったわけじゃない。頭が痛いわけでもない。でもまるで二日酔いの朝のような、ひどく不快な気持ちが折り重なって、俺はベンチでうずくまった。
周りの人から見れば、飲み過ぎて気持ち悪くなったバカな男が居る日常の光景にしか見えないだろう。飲み過ぎた以外は正解だ。
勝手にデートだと思ってた自分が馬鹿みたいだった。彼氏が居る事を一言も匂わせなかったA子に腹が立った。友達がそれを知っていたことにも腹が立った。
俺は信用に値する相手じゃなかったんだろうか。ただ知られたくなかったんだろうか。友達は恐らく、俺がこれ以上勘違いしないように教えてくれたんだろうか。
始まった訳でもないのに、失恋することばかりだ。俺は何度こういう事を繰り返せばいい。