はてなキーワード: カンとは
女性専用車両に男性数人が乗り込みトラブル。通勤ラッシュ時の千代田線が12分遅れる http://www.huffingtonpost.jp/2018/02/15/woc-chiyoda_a_23363098/
女性専用車に男性3人居座り メトロ千代田線遅れる:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASL2J64NML2JUTIL073.html
通勤ラッシュ時に東京メトロ千代田線で女性専用車反対派の男性らが女性専用車両に乗り込みトラブルになり遅延 - Togetter https://togetter.com/li/1200067
差別意識やらと話を大きくしている人が多いけど、そんなたいそうな話ではない。
・遅延は誰の責任か
遅延こそが場に居合わせた(だけでなく同路線を利用している多数の利用者)多数にとって重大事。
事業者自称のなんとか専用車に、なんとか以外の人が乗ろうが乗るまいが、遅延していなければ何も問題にはならない。(当然報道もされない)
→行っていない。ただし場に居合わせた大衆にとって迷惑なカンジの行為を行ったとは言える。これを空気が読めないと見るか、謂われのない同調圧力に抗したと見るかはまた別。違法行為も当然行っていない。
→行っていない。ただし一面で無知な通報行為ではある。なぜなら男性が乗っても違法行為でも迷惑行為でもない。(が、それを理解していないからこそ通報したのだろうと推測される)
一方でなんであろうと駅員に通報するのも迷惑行為ではない。ただししつこく駅員に男性の降車を要求していたならば女性が迷惑行為を行ったとも見なせる。
→表面的には適切、よくよく読めば不適切。駅員が降車をお願いするのは構わない。しかし男性が降車を拒否したらそれまで。駅員に男性を強制降車させる権限はない。15分も遅延させた責任は駅員及び鉄道事業者。
また、なんとか専用車とはどんな制約の元、どんな理由で、どうしてこのような手段で実施しているかの案内・啓蒙・告知がないという別問題もある。痴漢がある、男性加害者女性被害者が多い、鉄道事業者としての制約、コスト、乗り分け強制すれば差別、これらを丁寧に説明した上でお願いしていれば、一部に見られる反発も抑制できたのに有耶無耶にしてきた。(そもそも痴漢被害が女性専用車導入で減った客観的エビデンスもない)
とどのつまりこの事態を招いたのは過去の施策を含めた鉄道事業者の自業自得でもある。なお、報道するならばここが主眼にならなければ報道する意味がない。(そもそも今回案件はたかが15分遅延でそれそのものは報道価値がない)
・報道は適切か?
→不適切。これが今回の最大の問題点。たかが15分の遅延は報道に値しない。ましてや速報性も要求されない。それなのに敢えて報道している。報道するならばきちんと背景含めて報道しなければ断絶しか生まない。個人的にこの手の報道紛いを「見た目奇麗な炎上記事」としか感じない。
・ハフポ
メトロ大本営発表以上の内容がない。男性側、もしくは男性側と同じ立ち位置の側の意見がない。第三者(法曹、公共交通、差別など専門家)の意見もない。タイトルや本文含めて、男性側に非があるような印象にまみれている。男性側行為に違法性がないことの明記が評価できるが、これとてメトロの言。(渡辺一樹)
・朝日
居座る、という表現が端的。男性の行為が違法ではないことに触れてもいない点でハフポよりも酷い。これは報道ではない。朝日新聞社と千葉雄高のtweetでしかない。(千葉雄高)
報道がまず非難されるべき事柄を、話を大きくして主張し合う人が多い。
たかが15分遅延の報道に疑問を感じていない人が多数、また多くの追従者を得ているのがとても残念でまた驚く。
これを機になんとか専用車などに関心を持つのはとてもよいことだけど、このたかが15分の遅延を題として語るのは悪手。関心を持ったなら図書館か、報道で汚れる以前までの範囲で再検索して出直してもらいたい。
女性だが、なんかすごいね。手がかりは全くないので勝手に想像するとブル〇ンち〇みwithoutBくらいの独特の話し方(+雰囲気)で、何かのカンに障ったのかなくらいしか考えられない。二次被害乙とおもわれたらすみません。返答だの釈明はいらないです。
hagexという下種い体験談をコレクションしたサイトがあるが、これのこじらせ男にはうんざりだという話を全部煮詰めたみたいな話だと思った。すべて本当だとしたら国宝級の体験談では。
あっでも高学歴職業だとよくあるんかもなー 勝間さんのサイトなんか役に立つかもね なんかおとこは女性で自分より権威ある人をみるとなにかひとこといってマウンティングしておきたいみたい ハァ?みたいな顔してると通じなかったって焦りだしてもっとやる おとこのこけんわら 生まれつき男性ホルモンある性別の人は大変だなあとおもう ハゲるし ハゲるし 油もの食べないと死ぬし食べすぎて血管詰まって死ぬし
だから早めに女性という高価なお嫁さん兼制御装置をつけないとヒトとして万全にならないんだよ、ってこれダヴィンチちゃんとかの性別起源説だけど、お父様も結婚はしてらしたわけで、まあ一般常識として男はそういう生き物だと身をもって例示しただけでは。
俺が席を立とうとした、その時。
「じゃあ契約書見せて」
「え?」
「あるやろ。そんな高いもん売ってるんやから」
完全に騙されていると思っていたが、実は先輩は勘付いていたのか。
「いや~、ペアルックなんて気恥ずかしいけど、やってみると案外ええかもなあ」
……というわけでもないらしい。
持ち前の金の煩さと恋愛下手っぷりが作用しているだけのようだ。
「ほら、はよ契約書ちょうだい」
カン先輩の威風堂々とした立ち振る舞いは、カモがネギでしばいてくるような恐怖を感じさせたのだ。
「あ……ごめんなさい。親戚から母が危篤だってメールが来たみたい。だから今日はこれで……」
この場から体よく立ち去るため、ケータイから連絡がきたようなフリをしているようだ。
「え、お母さんは前に死んだって言ってなかった?」
「そ、その時に死んだのは、育ての親の方だから」
「血の繋がった方も、既に死んでいるって聞いたけど」
カン先輩の質問攻めに耐えられなくなり、相手は半ば逃げるようにその場を後にした。
「はあ~、いけると思ったんやけどなあ。ちょっと金に対してセコすぎたんかなあ~」
先輩はまたフラれたと思っているようだが、今回はそういう話じゃない。
だがカモられていたなんて真実を伝えても、何の慰めにもならないだろう。
「……いや、今回ばかりはもう相性が悪かったというか、元から脈がなかったというか。むしろフラれてよかったのでは」
「なんやそれ! じゃあワイはどうすればええねん」
どうにもならないということだってある。
恋愛含めて人間関係は、正解を一人で導き、たどり着けるようには出来ていない。
先輩が間違えても間違えなくても、成否に関係があるとは限らないのだ。
「別にいいじゃないですか。人生、恋愛が必須事項ってわけでもないですし。他にもやるべきことや、やりたいことはいくらでもありますって」
「んなことは分かっとるわい! 問題は、ワイは恋人が欲しいのに出来ない、出来ても上手くいかないという事実や!」
言葉が見つからないからといって、この慰め方は我ながら悪手だと思った。
恋愛を求めている人間に、「恋愛はそこまでいらない」なんて言うのはナンセンスだ。
それにつけても、先輩の落ち込みようは過去最大だ。
それとも、ことごとく上手くいかないフラストレーションが爆発したのか。
「あーあ、バレンタインも近いってのに。今年こそ恋人からのチョコを手に入れられると思ったんやけどなあ……」
バレンタインって。
まさか先輩の気がはやっていたのは、それが理由だったりしないよな。
「そもそも先輩は何でそんなに恋人が欲しいんです? そして、なぜ恋愛をしたいんですか」
「……ん?」
俺がそう疑問を投げかけると先輩は固まってしまった。
ごく個人的な漠然とした答えでもいいのに、何も出てこない様子だった。
「……何でやと思う?」
そんなことまで俺がアドバイスしても仕方ないだろう。
90年代前半に、日本の会社の主力事業が軒並み苦戦に陥った。そこで、会社の主力事業を畳んで新しい主力商品を作る必要があった。
90年代後半になると、「選択と集中」という言葉が流行しだす。どこの会社も、役人も、主力も含めた全ての部署から少しずつお金と人を削り、新しい事業にドカンと投資した。これが選択と集中だった。
しかし選択と集中はうまく行っていないようにみえる。その理由を私なりに考えてみた。
選択と集中のイメージは、痛みを伴って不採算部門を大胆に潰し、今後成長の可能性が高い、新たな事業に集中的に投資する、というものだ。
そのため、上司も部下も苦しいけれど、ここで頑張ればきっと将来はもっと儲かるはずだ、というイメージを持たれている。
しかし実際は全く違う。
実際に行われた「選択と集中」では、「選択されていない」部署からリソースを集め、「選択された」部署につぎ込む。
「選択されていない部署」の余裕を剥ぎ、みんなが少しずつ今より無理をすること、
そして新しい部署を作ってリーダーを増やすことが特徴のシステムだった。
これはみんなが上司になることを目指す日本型経営にとても合っていた。
「選択と集中」のポイントは、儲からない仕事をたたむ必要が無いことだ。
会社の調子が悪いからみんなが苦労する。そして新しい部署を立ち上げた人は功績を得る。
誰も責任を取る必要がない。しかも誰かが新しい功労者になることができる。
それが「選択と集中」だった。
問題は「畳むべき不採算事業」に責めを負わせない以上、「畳むべき事業」「芽が出始めた事業」「好調な事業」の全てからリソースを少しずつ取り上げることだ。
すると「畳むべき事業」だけでなく、「芽が出始めた事業」「好調な事業」にも余裕がなくなる。好調な事業が伸びなくなる。
これが今の日本社会だ。
みんなが遅くまで働いてる。上司も部下の面倒を見ながら細かい書類を作成し、会議も出るわ営業もするわ、もうなんでもやる。でもそんなんで本当に大切な仕事に集中できるのだろうか。
エースと呼ばれる人たちが、会社で言えばウェークマンやiPhone級、研究者で言えばノーベル賞級の仕事に集中できないのは「選択と集中」という危険なイデオロギーが原因なのだ。
またスケールメリットだけで勝負するために集中投資してもダメだ。
選択と集中は、みんなからちょっとずつ集めてドカン、というやり方だ。これはダメなんだ。
それではどうすればよかったのだろう。
事業を畳む必要はなかったのだろうか。もちろんそうではない。逆だ。儲からない事業を潰すんだ。万難を排して潰すんだ。それができないなら改革なんて何の意味もない。
そして、その空いたリソースを分散するんだ。儲けゼロの新事業に集中投資したらダメだ。
だから選択と集中に代わる正しいやり方は、バサッと切ってパッパッ、だ。
選択と集中に成功したすべての企業は、何らかの事業をバサッと切っている。そして失敗した会社は、集中した事業はわかりやすいものの、切り捨てた事業がわからない。
日本企業の幾つかは、「これから投資する部門」を「選択」した。そしてそれは何の意味もなかった。
別の企業の幾つかは(日本企業も含まれる)、「切り捨てる部門」を「選択」した。それはとても意味があった。
こうして考えると、「選択と集中」が経営者の甘えであったことがよく分かる。
つまり、不採算部門をバサッと切り捨てることこそが重要で、何らかの事業に集中することは、じつはどうでも良かった。
なのに、不採算部門を切り捨てることが出来ない経営者が、リソースを削ぐため「こっちに集中するから、少しだけ我慢して」と言った。
「思ったんやけど、そもそもお前に相談しても意味ないんとちゃう? マスダには恋愛の経験どころか、そんな感情があるのかすら疑わしいんやが」
自分の失恋談を話し続けるのはよほどツラいのか、カン先輩はこんなことを言い出した。
だがギャンブルをやり続けている人間が儲かっているとは限らないように、恋愛だって単純な経験数がモノをいうわけではない。
「何度も言いますが、恋愛だって人間関係の一形態ですから。直接的な経験がなくても、参考になる意見が出てくる可能性はあります」
「うーん……」
先輩は考えあぐねているようだが、そもそも話を始めたのは先輩からなのを忘れているのだろうか。
俺は「話してくれ」とも、「聞きたい」とも言っていない。
表面上は真面目な対応をしているだけで、先輩が話したくなければ一向に構わないのだ。
「では、この話は終了ということで……」
そして俺がそう返すと、結局は話を続ける。
前回の相手は自分への負担が強すぎると考えたのか、次の相手は経験豊富そうな人にしようと思っていたとか。
そうしてアプローチを仕掛けた相手は、一回りほど年齢が違う年上。
安直なチョイスだと思うが、実際その人は大らかな性格だったようで割と手ごたえを感じていたらしい。
だが、“バシタ”であることが後に判明。
「年上は嫌いちゃうけど、さすがにそんなのと付き合うのはアカンわ」
そうして、逃げるように距離を取ったとか。
「『とりあえず付き合って、後からお互いのことを知ればいい』と思ってたんやけど、相手のことを全く知らないというのも、それはそれで考え物っちゅうことやな」
こちらが何か言うまでもなく先輩が自ら学び取っているのは良いのだが、それよりも俺は気になることがあった。
「……ところで『バシタ』って何です?」
俺がそう尋ねると、先輩は露骨に嫌そうな顔をした。
「そこ掘り下げるようなところちゃうやろ。自分でもロクな言葉選びじゃないことは承知の上で使っとんねん。話の本筋と関係ない、言葉尻を捕らえて、鬼の首を取ったとでも思うとんのか?」
そして、突然まくし立ててきた。
こちらとしては言葉の意味そのものを知らなかったので何気なく聞いただけだったのが、どうも地雷を踏んだらしい。
恐らく、バイト先の上司とかに言葉遣いを注意されまくって、内心ウンザリしていたのだろう。
「白々しいなあ。ニュアンスで何となく分かるやろ。それでも分からんかったらスルーしとけ。そういう言葉や。ネットで検索すんのも、辞書開くのもやめろ」
ツッコまれてそこまで強弁するくらいなら、わざわざそんな言葉を使わなきゃいいのに。
先輩の独特な言葉遣いは、そういった地方出身だからというわけではなく、キャラクター付けでやっているのは周知なんだから。
そういった努力の方向性がズレているのも、原因の一つなのかもしれない。
こういうの考えたんだけどって言ったときにとりあえず理解できる人が欲しい
いや探せば居るかな同僚とか
話す内容次第か
ちなみに打てば響くコミュ力高い人って割といるんだけど
響きすぎても困るんだよな
吐き出したいけど知り合いには吐き出したくないので、この場をお借りします。
幼い頃から祖母、両親、私の3世代で同居をしていた。祖母は几帳面な厳しい性格で、共働きの両親の代わりに私を育ててくれていた。祖母には本当に感謝をしている。
今日が何月何日の何曜日だったかを毎日20回は聞かれる。ヤカンを火にかけたことを忘れてボヤ騒ぎを起こす。直近の小さな記憶をほとんど覚えていられないタイプだ。
しかし、昔のこと、つまり認知症になる前のことは不思議なほどによく覚えている。
先日、祖母と2人で話をした。
以下はその要約になる。
「おまえの父親はろくでもなかった。私のことをお母さんと呼んだことなど一度もない。怒りっぽくて、おまえは覚えていないだろうけど、仕事も何度も辞めさせられていた。娘(私の母)はいつも苦労をさせられていた。なんであんな男と結婚をしたんだろう。あの男は私のことが嫌いだっただろうが、私も嫌いだった。それにあの男はおまえのことなんてちっとも可愛がってなかった。挙句には不倫して家を出て行って、その日の朝におまえと娘がわんわん泣いていたのをよく覚えてる。私だって泣きたかったけど、我慢して発破をかけてやった。本当にあの男はろくでもなかった」
祖母は自分が何をどこまで話したか忘れるので、だいたいこの話が5回ほどループした。
私はうん、そうだね、うーん、と返事をする機械になるしかなかった。
父が出て行った頃のことは覚えていなかった。それは私が幼かったからだと思っていたが、そうではなかった。思い出したくないから、脳が押し込めてくれていたのだ。それが祖母によって引きずりだされた。
父に可愛がられていなかったことなんて思い出したくなかった。母と一緒に布団の上でわんわん泣いたことも思い出したくなかった。祖母からすれば、娘と孫を捨てた憎い男でしかないのだろうが、私にはその男の血が流れている。私の父親なのだ。
あー死にてぇ。
前回とは逆に積極的に行き過ぎた結果、公私をわきまえない立ち振る舞いになってしまい破局。
俺も同じところで働いていたので、その時のことは覚えている。
『恋は盲目』とはよく言うが、ほんとに足元を疎かにする人間を間近で見たのは初めてだった。
「俺も近くで見ていましたが、バイト中も個人的な話をしまくるのはダメですよ」
「それだって人間関係の一形態でしょ。完全に切り離すことはできない。地続きなんです」
「“恋愛”というものに対して、張り切りすぎなんだと思いますよ。いつも通りの自分で接してみては」
俺のこの指摘を受けて、次に出来た恋人にはとにかく平常運転でいくことにしたらしい。
個人的な愚痴にすら、取ってつけたような正論で否定してしまったらしい。
「不平不満だったり、個人的な話を身近な人にするときというのは、大抵は肯定してほしいんです。少なくとも否定はしてほしくないのでは」
「別にワイは間違ったこと言ったつもりはないんやけどなあ……」
「是非の話ではなくて、人と人との個人的な対話ですからね。杓子定規な論理や倫理で相手の感性を一蹴するのは、“恋人という個人”を尊重する気がないと受け取られるのかも」
「ええ~? マスダ、『恋愛は人間関係の一形態』だって言ってなかった?」
「『同じ』だとは言っていませんって。いつでもどこでも恋人相手にそんな他人行儀な接し方したら、それはもう恋人じゃないでしょ」
「……確かに」
俺に言われてやっと、そのことに気づくのか。
恋愛のことになると、なぜ先輩はここまでバカになってしまうんだ。
「やや子供だましな方法ですが、とりあえずウンウン頷いてください。そして合間合間で、相手の意思を尊重するという、肯定する意を言葉で示すんです」
そうして俺の言われたとおりに、恋人の個人的な話にはウンウン頷いていた。
「いや、正直しんどい……心にもない相槌をうつたび、自分の免疫細胞が徐々に死んでいく感覚がする」
だが、これは先輩にとってはかなりツラいものであった。
結局、そのツラさが顔に滲み出てきたあたりで破局。
「あの~、カン先輩。そもそも自分が恋人といて嬉しいとか楽しいとか、何らかのメリットが勝っている前提がないと、そういう関係は成り立ちにくいと思いますよ」
「メリットぉ?」
「先輩は、その人のどこに魅力を感じて付き合っていたんですか」
割と普通の質問をしたつもりだったのだが、カン先輩はウンウン唸って答えられない様子だった。
「いや、あったはず。確かにあったという記憶だけはあるんやけど……」
カン先輩は恋多き人だった。
押しの強さで出だしは良いものの、そのあとは失速するというのが一定のパターンだ。
いつまでたっても恋愛下手で、恋人が出来ては何らかのヘマをして破局するという工程を繰り返している。
割と器用な人だと思うのだが、こと恋愛になると不器用になってしまう。
「ちょっと“リキ”が入りすぎているんじゃないですか。稼いでいるのに、恋人相手に大半を散財したこともあるでしょ」
「“大半”ちゃう。ガチャの課金と同じで天井をちゃんと設けとるから」
「それって傍から見れば、トランポリンの上で跳びながら『天井にぶつかっていないから大丈夫』って言っているだけですよ。まずトランポリンを取り除いて、それから天井の高さに意味があるのか考えないと」
「マスダ、お前の例えは分かりにくい」
確かに我ながら分かりにくい例えだと思った。
「……ともかく、自分をもう少し客観的に評価してみれば、原因が見えてくるんじゃないでしょうか。例えば、先輩の過去の恋愛遍歴から学んでみては?」
「ん~、あんまり思い出したいもんちゃうけど、ちょっと捻り出してみるかあ……」
その場の雰囲気で半ば成立した急造カップルだったが、それでも先輩は始めて出来た恋人に浮き足立っていた。
「とにかく失敗したくない」という想いだったらしい。
それ自体は間違ってはいないのだが、どうにも想いが強すぎたのだ。
先輩の恋人に対する言動はひたすらに受け身で、自分からは何も行動を起こさなかった。
また相手もそこまで積極的なタイプではなかったため、デートすら出来なかったとか。
そのため客観的に見れば、ただの顔を見知っているだけの間柄だった。
そして数週間後、「別れましょう」という簡素な内容のメールが送られてきたという。
こうして先輩の初めての恋愛は、そもそも始まっていたのかすら疑わしいレベルであっけなく終わった。
「あ~あ、何でフラれたんやろ。何もしてへんのに」
「いや、何もしてないからフラれたんでしょ」
「は?」
「セイコウ?」
このときの先輩の間抜けっぷりは、本当に同一人物なのかと疑うほどだった。
労働で金を稼ぐことに執念を燃やす人間で、俺がバイトをするようになったキッカケとなった人物である。
だが今回は仕事の話が本筋ではない。
その日の俺は、先輩の走らせるキッチンカーにてヘルプを頼まれていた。
他人の労働力ほど割に合わないものはない、と考えているからだ。
だから俺にヘルプを頼むってことはよっぽどのことがあったり、ヘルプは建前で別の目的に巻き込もうとするのがほとんどだ。
「はい、出来上がり! マスダ、これさっさと包んで」
他にもキッチンカーがたくさんある、いわば激戦区だった。
これ目当てに遠くから来訪する奇特な人間もいるらしく、特に昼時ともなると車と人が列をなし、ちょっとしたイベント会場のようになる。
「はい、これも包んで。こっちは前から2番目の人に、そっちは3番目の人に渡して。渡したら新しく並んだ人に注文聞いてきて!」
キッチンカー内の置かれた小さい鉄板で、先輩は次から次へと料理を焼き上げていく。
非常にせわしないが、昼時の今が稼ぎ時でもあるため回転率をとにかく上げていく算段らしい。
「お、行列が少なくなってきたな。じゃあ、ちょっとペース落とそか」
逆に行列が少なくなると、あえてペースを落とす。
人は行列がないと店を利用する気が起きないが、かといって長すぎても並びたがらないので一定の距離を保ちたいのだとか。
普段の先輩はこれを一人でコントロールしているのだから恐れ入る。
ピークの時間が過ぎると、人の入りも少なくなるのでキッチンカー達はまばらに撤収を始める。
俺たちも片付けを始めていた。
「……でな、数ヶ月前に別れたそのコなんやけど、昨日あの広場で歩いとってん。他のヤツと!」
さっきまでの忙しさを歯牙にかけず、先輩は仕事と全く関係ない雑談に興じる。
「はあ~、我ながら何でフってしもうたんかなあ。こんなに後悔してんのに」
「そりゃあ、人間の“シンリ”じゃないでしょうか。自分の手元から離れると途端に惜しくなるっていう」
「ええ~? そんな単純かあ?」
「先輩、そこのコーヒー。買ったのに全く手をつけていませんね。飲まないなら俺にくださいよ」
「いや……確かにワイは飲んでないけど、人に飲まれんのは何か癪やわ」
そう言った先輩はハっとする。
自分が思っていたよりも単純だったことに驚いている様子だった。
「そういうことです」
先輩はそう言って頭を抱えているが、そこまで堪えているようには見えない。