はてなキーワード: オランウータンとは
目が近すぎたり遠すぎたり、口元が未発達なブサイクって視界に入れたくないし恐怖を感じるし不快感がすごいし生理的に無理だし本能的に「逃げなきゃ!」ってなるしシンプルに吐き気がする
逆にコテコテの整形顔は目を逸せなくて「硬直」して逃げられない
観察し続けなきゃ、目を合わせたままこの場をやり過ごしてそれから逃げようっていう恐怖を感じる、吐き気はしない
前者はギリギリ人間じゃなくて動物に近くて予測不能な生命の危険を感じる
ゴリラとかオランウータンのDNAはニンゲンと99パーセント同じだとかいう話を思い出す
ぱっと見で「こいつは人間にギリギリなれてない」と感じる→「本能的で理性的ではない」→「逃げろ」というシンプルな脳な感じ
後者は人間より進んだ人間だから進化を学び取ろうと必死に観察をする
不気味の谷に入ってないはずなのに怖いから脳が混乱してるのを感じる
ホモサピエンスとしての生命が脅かされそうで、人間という種としての理性的な恐怖
「だってその骨格でそのパーツにはならなくない…?」という言葉だけでは説明しきれない『理性的な混乱と恐怖』が本能を上回ってるはず
左右対称すぎるとかその程度の話じゃない
ブサイクに遭遇したら「逃げる」
整形顔に遭遇したら「硬直する」
逆な人いないと思う
なにか勘違いしているようだが、もちろんガンガンしてくる。女は金を求めるが男は愛を求めている。
じゃあ身長168、骨太、顔が能面に似て横顔はオランウータンの私に優しくされたら彼は私にアプローチしてくるんだろうか。歳も多分同じくらいなんだけど、してこないよね。
身長159の自称弱者男性が話題になってるけどさ、親が高学歴金持ちで小学校から大学までの一貫でしかも中高は男子校って限られた学校行けてる時点で世の中が想定する「弱者」ではないと思う。彼の生きづらさは恋愛によるものだと思うけど、じゃあ身長168、骨太、顔が能面に似て横顔はオランウータンの私に優しくされたら彼は私にアプローチしてくるんだろうか。歳も多分同じくらいなんだけど、してこないよね。
気にしていないことはないけど、生活のための資格もとったし恋愛とか結婚は諦めてる。ただ今でも思い出すけど、高校の修学旅行の自由行動で仲良い幼馴染の子が初彼氏に引っ張られてって、申し訳無さそうな顔でこっちみながら「ごめんね。また後でね」って言われてどっか行っちゃった時はまじできつかったな。幼馴染とは幼稚園から高校まで一緒。高校の最初まで私もその子もクラスの角で「好きっていいなよ」とか「君に届け」読んでニヤニヤしてる、地味で彼氏とは無縁なタイプだった。それでも幼馴染はちっちゃくて小顔、顎も歯並びも横顔もきれいだったから、ちょっとダイエットしてメイク覚えてストパーかけたら一瞬で違う世界に旅立った。私も同じかそれ以上にやったし、なんなら幼馴染にメイクのアドバイスとかしてた。でも私の世界は変わらない。修学旅行では結局約束してた幼馴染ではなく、クラスの女友達と回ってそれなりに楽しかったし、幼馴染の彼氏が強引だったのもあったから喧嘩とかはしてない。あの後もそれなりに恋愛経験を重ねて優しい彼氏もいる幼馴染とは今でも仲良いよ。私は彼氏いないし処女だけどね。
まあ何が言いたいかって言うとさ、非モテ男性って男からはからかいの対象だったり、女とは憎しみ合ったり、それでいて改善の余地があったりさ、とにかく「存在してる」んだよね。この世界に。でも骨格レベルで非モテの女は存在すらしてない透明人間なんよ。まあどっちが辛いかは私にはわからない。
今までで一番クソなワクチンバイトだったので、長くてごめんだけど誰かに聞いてほしい。
(長くなりすぎたので追記は一番下にまとめた)
まずざっくり言うと、はじめに聞いていた内容と違う仕事をやらされたり突然出勤調整をされたりしたが、そもそも看護師は県の認識では【労働者ではない】とのこと。要するに何かを訴える権利すらないと伝えられたのである。
県の看護協会を通じて募集があり、その後は埼玉県と直接のやりとりをしていた。
・期間(供給状況で前後する場合あり・施設メンテナンスのため休みになる場合あり)
・業務内容
なのでてっきり県との直接雇用的な感じだと思っていた。
(肝心なところが抜けていたが、今回は謝金の扱い。しかしこれについてはそもそも謝金の定義から外れていると思ったので後述する)
ところが、
契約書がなかった。この時点で怪しいと感じて確認するべきだった。
一旦当初の内容と違う!の話に戻る。愚痴が止まらず長くなったので流し読みしてほしい。嘘、ほんとは長いけど読んでほしい。し誰かに詳しく教えてほしい。
8月頭はワクチン供給が遅れたことで実際には開始が半月後ろ倒しとなった。それもムカつくけどそれはともかくよ。
〈勤務時間について〉
当初メールの文面では、【8:30~19:30で休憩1時間(実働10時間)】となっていた。
今までのバイト先では早く終わったとしても、「早く終わったのは全員がスムーズに動いたからである。偉い。」という考えだったので、事前に言い渡された拘束時間分の給料が支払われていた。
てっきり埼玉県もそのようになると思っていたが、早く終わったら1分でも早く帰ってくれとのことであった。
一般的にワクチン充填→ワクチン接種→接種後の観察の順に仕事が終わるが早く終わったところから一刻も早く帰るようにとのことだった。
しかしこちらはローテーションというか午前午後で動いており、午後の仕事がワクチン充填だった場合には、みんなと同じ量の仕事をちゃんとこなしたにも関わらず運悪く早く帰らされることになる。
このあたりはフリーで働いている看護師の生活に直結するので初日からピリついた。
それなら募集時に伝えておくべきだろう。
〈接種枠の拡大〉
当初1日の接種数は看護師10人で900人程度/日とのことだった。
ところが蓋を開けたら850人/日だったのは最初の1週間程度で、その後予告なく増加し増員無しで1010人/日の接種を強いられ、最終的には1280人/日枠へと拡大した。
まだ会場に慣れておらず、初めましての人たちでスムーズではない時期に1.2倍にするというのは相当イカれている。(中にはワクチン業務未経験者もいた)
会場運営側も慣れておらず案内がモタつく上、こちらは時間的にも余裕がなく接種と接種の間に息つく暇もない。喉はカラカラ。接種が追いつかず昼休みが1時間取れないこともあった。
これがせめて全員経験者であるとか、看護師の人数に余裕があるとかで余裕を持って業務にあたれるのであれば文句はない。
・休みなく接種することで集中が切れミスが起こる可能性があり危険である。
・予約人数を元に戻すか増員してほしい。
と県の担当者に訴えた。
1250人は10人であたるにはさすがに無理があるため、追加勤務を募集すると言い出した。追加採用かと思われたがまさかの出勤を増やせとのことだった。
人によって接種スピードや充填スピードが違うので、どこの会場でも誰かが誰かの負担をする必要がある。これは仕方ないが、異常に遅い人がいると疲弊する。ただでさえ長時間の労働で本当は追加勤務できる体力など残っていない。
しかしこうして埼玉県は、誰かが出ないとその日出勤する他の人が苦しむという状況を作りだした。
「私が出ないと人手が足りなくて休憩も取れなくなってしまう…2連勤で疲れてるけどかわいそうだから行かなきゃ…」みたいな善意の搾取。最低。
そもそも1250人への拡大を想定していたなら最初から多く採用するべき。
しかも私達の訴えには全く耳を貸さず、キャンセルを見越して更に1280人の予約枠に拡大したと言い放った。はて、私達も人間なのだが。
・長時間労働に追加勤務を強いるのはますます危険なのでやめて欲しい。
・12人/日だと余裕がなく、経過観察ブースで何かが起こったときに対応しきれないため、追加採用と13人/日の運用へ切替えて欲しい。
「追加採用は現時点で検討していない。また、保険(賠償保険的なもの)の都合で看護師は1日12人しか雇えないのでこれ以上は増やせない。」
「国からどんどん打つように言われているので予約枠は減らせない。」
この1250人接種についてはマジで危険だったし、何か事故が起こる前に対応しろと言い続けたことでようやく10月から3名の追加採用が叶った。(しかし1日の上限は12人/日のままである)
ごめんまだある!
〈ワクチンについて〉
当初モデルナの接種会場とあったが、突然「来週アストラゼネカの接種があるのでお願いします。資料読んでおいてください。」ときた。おっと聞いてない。
アストラゼネカはmRNAワクチンではなくウイルスベクターワクチンであるため、扱い方が変わってくる。
オランウータンだかチンパンジーだかのアデノウイルスベクターワクチン。一滴でも溢そうものなら次亜塩素酸で拭かなくてはならない。
しかもこちらは不織布ガウンを身に纏い、マスクにフェイスシールドの完全防備で細心の注意を払って充填、接種作業をするのだ。
もちろん誰もアストラゼネカワクチンを打ったこともなければ接種していない。
モデルナやファイザーは注射液が白濁しているが、アストラゼネカは無色透明のため入っているのかどうかがパッと見分かりづらい。
ドタバタの中進んでいたため、中身が入っていると勘違いして空のシリンジを打つということも起こった。(筋肉に微量の空気が入ること自体が問題なのではない)
本来あり得ないことが起こるくらい、余裕がなかったのだ。
こんな大事なイベント、一週間前よりもっと前から分かっていたはずなのに一言「来週お願いします」で済まされた。
埼玉県の場合は事前に薬剤師がチェックしてくれていたので異物混入バイアルについては接種会場には届いていない。該当ロット以外にも弾かれたものはあったのでよくあることで、隠していたというより報告するまでもないという認識だったのでは。知らんけど。
〈見通しの甘さ〉
9月に入り全国的に接種が進み、接種率は日毎に上がっていたこと。
また会場自体は11月までなので、10月で1回目の接種が終了する。10月から一般と未成年への接種や当日受付が始まることも予め分かっていたこと。(まだ打ってない方はぜひ)
このことから9月の頭の時点で今後の接種数が減少することは予測できたはずだが、発表された10月のシフトは今まで通り週4日入れられていた。
そのため別の仕事を入れることはせずにいた。
しかし9月末になって突然「別の会場ががら空きなのでこちらも勤務調整して週3日にする。」と通達された。なぜ今言う…わかっとったやろ…
今更そんな事を言われても直前に代わりの仕事が見つかるはずもない。
追加採用された3名に至っては、勤務調整されることすら私達が伝えるまで説明されていなかった。曜日抑えてきてるのにただの休みになるって…
完全に県の見通しが甘すぎただけなので、シフトが出ていた10月の収入が単純計算で3/4になるのは1ミリも納得いかないし何らかの補償をしろと十数人で訴えた。
結局県からは「見通しが甘くてすみません。でも初めてのことだったので分かりませんでした。」「税金なので補償は出ません。みんな削っているので我慢してください。」的なことのみに留まった。
「補償はやはりできない。納得してはもらえないと思うけどこれ以上は絶対に減らさないと約束します。」とのことで進展はなし。
税金税金言うけど、税金湯水の如く使って医療廃棄物どっさり捨ててるのはどこだよ。その医療廃棄物の回収代金は私達の県民税でもあるんですよ…
医療関係の方なら分かると思いますが、注射器を捨てるゴミ箱や消毒に使ったアルコール綿などは専門の業者にお金を払って回収してもらっているもの。
大きいペールだと回収に数万円かかると聞いたことがある。(詳しくは不明ですすみません…)本来はケチってケチってぎりぎり閉まるくらいまで使わないと怒られる高価なゴミ箱。それを半分にも満たないくらいで毎日交換することを平気でしているくせに、税金税金言われたくない。
4ヶ月あるし民間とは違って面倒くさそう…なんらかの契約書的なものがあるのだろうと思っていたが、募集時のメールの文面と同じようなこと(期間、時給、勤務時間)が書かれた紙ペラ1枚が配られただけであった。
県職員の態度を見るに、どうせ使い捨ての駒なので相談すると言いつつ11月までスルーで良いだろう感が出ていたが、あれこれ納得がいかないので各自で色んな所に相談をしていた。
なんでこれを書くまでに至ったかと言うと、ごめんなさいを言うのは現場に来ている担当者のみで、上の人が一切出てこないから。
初期対応でもっと誠実に対応してもらえたらそこで少しは収まっていたと思います。
そうでなかったためにこうして書きました。
接種率や供給量、予約数によって期間が変更になることも理解しており、これ以上どうにもシフトが増やせないことも分かっている。
ストライキしたいけれど、やはり全員でストライキキメるというのは現実的に難しいというのと、フリーター的にお金がもらえなくなるのは生活に直結するので困る…という狭間でストライキまで辿り着かない。
直前の勤務調整と、せめてもう少し事前に伝えられていたら仕事にありつけたのにという機会の損失について相談。
→労働条件の切り下げにあたる。本来稼げた分が稼げなかったので補償の対象となるだろう。紙ペラが労働条件通知書にあたるかは見てみないとわからないが違うかも。労働者に通知することは必須なので、通知せずに仕事をさせているという普通ありえないことが起こっている。まずはどういう契約なのかを再度確認してみてとのこと。
こことはワクチン業務は関係ないとのことでワクチンセンターの本部へ回される。
意訳でごめんだけど
Q.契約書らしき契約書がなかったが、県と看護師はどのような関係なのか。
→契約はしていない。労働条件通知書も出していない。業務委託でもない。単純に報酬。
Q.では契約していないし勝手に来て働いただけで労働者ではないということか。
との説明だった。こちとら謝金やが源泉徴収クソほど引かれとんねんだし社会保険がなくても労働はするだろ…
呼ばれてるから勝手に来たわけではないけどさ、看護師じゃないとできない仕事をさせておいてその言い方?と声を荒らげそうになったが大人なので耐えた。
埒が明かないので、この話はやめて簡素すぎる給料明細に移った。(合計勤務時間・源泉徴収・支払額しか載っておらずどう計算しているのか分からない。昼休み削られた分が正しく計算されているのかこれでは分からないため全体に説明してほしいと伝えた。)
クソムカつくので終話。
ここでも労働相談センターと同じ質問をしてみるが、やはり契約がないということがあり得ないとのことだった。
県から契約書なし、ただの報酬、労働者ではないと言われたと伝えると、県がそんなことするんだねとのこと。
でも曜日や時間の拘束があり、接種や観察など資格を持つ看護師だからできることをしているし実態としては完全に労働者と考えられるとのこと。契約もせず仕事をさせているのは良くないので県の人事委員会へ相談してみてとのこと。たらい回しがすごい。
Q1.保健医療部に労働者ではないと言われたが、労働局には実態としては完全に労働者と言われたが、では私達は何なのか。
が、
労働局からこちらに回ってきているということは問題であると判断したのだと思うけど、人事委員会は県の職員を守る場所。契約がない以上県の職員ではないので担当者にこのような問題が上がっていると伝えることしかできずこちらは動けない。質問や不満については県の担当者から返答させる。終了。
とりあえず県の機関に相談しても進まないので国に相談するべきか
労働条件通知書などの契約書は一切交わしていませんが、では今私達は何の対価になるのでしょうか。働いたからではないのでしょうか。では労働って何?
保証は出せないというが他自治体のワクチン接種バイトだと、日程を抑えた分で自治体都合のキャンセルの場合には出しているところもあるとのこと。
短期だから契約は交わさない。労働者ではないとなると、どこに相談しても解決に繋がらない=声を上げることはできない。これが県の仕事でまかり通るならば、一般企業だって同じことをしていいことになるのでは?
契約せず働かせて、例え文句が出ても「お前は労働者じゃないから補償は出ない」「組合も作れないから泣き寝入りオンリー」で許されてしまうなら、すべての会社がブラック企業化してしまうのでは…
今回の県の対応は看護師の誰も経験したことのない酷さだったので誰かに読んでほしくて全て書きました。進展あれば追記するかもしれません。
思ったよりも多くの反応をいただいた。
・時給について
しかし県の接種センターは11月まで続くこと、私以外にも多くの人が働いていてこの訴えが全員の総意ではないし、公表しないでと思っている人もいるだろうから一旦そうさせてほしい。
募集が出た7月は接種率がクソ低かったのと、職域も進み全国的に人手が足りていなかった時期。県内の接種率&国家資格だから出来る仕事&急務だったことを考えると個人的には妥当な金額だったと思う。
普通の看護師バイトよりワクチン接種は割がいいのも、短期間でお金が欲しかったのも事実。3回目があるなら働きたいのも本音!(「看護師 ワクチン 求人」で何となく出てくる)
私は何よりもお金が欲しくて働いている。
また、頼まれた仕事はしているし「時給が高いのだからそれくらい我慢しろ!」はおかしいはず。時給は関係なく条件は守られるべきだ。
また、これは埼玉県の接種会場の話で、市町村は対応が異なるためどこの会場でもこうなっているわけではない。他でも働いたが派遣を挟んでいる自治体は私の感覚ではまともだった。
労基へとの声もありましたが、相談した人によると労働者として契約していないため相談を聞くだけだったとのこと。
同じように労働組合を作ろうにも、労働者じゃないと言われてからはどうにもできないため、コメントで頂いたようなところに相談をしようと思う。
・謝金について
謝金扱いだから労働契約がないとのことだったが、時間や勤務場所が拘束されていること・この仕事をしろと指示されていることなどから、「使用従属関係」が発生するのではないか。
また、謝金の場合100万円以下は源泉徴収率が10.21%と見たのですが普通に乙で引かれているので8月の給与は20%引かれている。県が実際どう認識しているのかは不明。
また、県と看護師の関係についてはメールで統括参事という方から回答が返ってきた。誰ェ。
文章になると更にムカつくので読んでみて欲しい。
"看護師の皆様への依頼は、保政第569-1号通知に基づく業務応援(つまりは雇用関係になく、スポットで応援を依頼している)という業務形態です。
そのため、労働基準法は適用されないこと、及び、休業補償は行われないことについて、何卒ご理解くださるようお願いいたします。"
なぜこれを最初にしっかり説明しなかったのだろうか。どういう関係かも明示されず働かせて、声を上げたらこれって。民間よりよっぽどブラックだ。
資格がある人にしかできない仕事を応援でやらせたの?あんなに追加勤務強いられてたのにあれって応援依頼だったの?応援しなかったら接種進まなかったのに?ハァ〜〜???
アメリカの動物園 ゴリラ18頭が新型コロナ感染 飼育員からか
アメリカの動物園で、飼育しているゴリラ18頭が新型コロナウイルスに感染したことがわかりました。動物園では、ワクチンを接種済みの飼育員から感染した可能性が高いとみています。
アメリカ南部ジョージア州のアトランタにある動物園で、飼育しているニシローランドゴリラ20頭のうち、18頭が新型コロナウイルスに感染していたことがわかりました。
飼育員がせきや鼻水、食欲がないなど複数のゴリラの異変に気付き、検査機関で調べたところ、感染が判明したということです。
群れで密集して生活するゴリラは隔離が難しいため、動物園では隔離はせず、そのまま健康状態の観察を続けているということです。
ゴリラの飼育員はすでにワクチンを接種済みでしたが、その後感染が確認されたことから、動物園では、ゴリラたちはこの飼育員から感染した可能性が高いとみています。
アメリカでは、ニューヨークの動物園でもライオンなどの感染が判明し、各地の動物園でアメリカの企業が開発した動物用ワクチンの接種が始まっていますが、この動物園ではまだ接種は行っていなかったということです。
それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの中程にある、白梅軒はくばいけんという、行きつけのカフェで、冷しコーヒーを啜すすっていた。当時私は、学校を出たばかりで、まだこれという職業もなく、下宿屋にゴロゴロして本でも読んでいるか、それに飽ると、当てどもなく散歩に出て、あまり費用のかからぬカフェ廻りをやる位が、毎日の日課だった。この白梅軒というのは、下宿屋から近くもあり、どこへ散歩するにも、必ずその前を通る様な位置にあったので、随したがって一番よく出入した訳であったが、私という男は悪い癖で、カフェに入るとどうも長尻ながっちりになる。それも、元来食慾の少い方なので、一つは嚢中のうちゅうの乏しいせいもあってだが、洋食一皿注文するでなく、安いコーヒーを二杯も三杯もお代りして、一時間も二時間もじっとしているのだ。そうかといって、別段、ウエトレスに思召おぼしめしがあったり、からかったりする訳ではない。まあ、下宿より何となく派手で、居心地がいいのだろう。私はその晩も、例によって、一杯の冷しコーヒーを十分もかかって飲みながら、いつもの往来に面したテーブルに陣取って、ボンヤリ窓の外を眺めていた。
さて、この白梅軒のあるD坂というのは、以前菊人形きくにんぎょうの名所だった所で、狭かった通りが、市区改正で取拡げられ、何間なんげん道路とかいう大通になって間もなくだから、まだ大通の両側に所々空地などもあって、今よりずっと淋しかった時分の話だ。大通を越して白梅軒の丁度真向うに、一軒の古本屋がある。実は私は、先程から、そこの店先を眺めていたのだ。みすぼらしい場末ばすえの古本屋で、別段眺める程の景色でもないのだが、私には一寸ちょっと特別の興味があった。というのは、私が近頃この白梅軒で知合になった一人の妙な男があって、名前は明智小五郎あけちこごろうというのだが、話をして見ると如何いかにも変り者で、それで頭がよさ相で、私の惚れ込んだことには、探偵小説好なのだが、その男の幼馴染の女が今ではこの古本屋の女房になっているという事を、この前、彼から聞いていたからだった。二三度本を買って覚えている所によれば、この古本屋の細君というのが、却々なかなかの美人で、どこがどういうではないが、何となく官能的に男を引きつける様な所があるのだ。彼女は夜はいつでも店番をしているのだから、今晩もいるに違いないと、店中を、といっても二間半間口の手狭てぜまな店だけれど、探して見たが、誰れもいない。いずれそのうちに出て来るのだろうと、私はじっと目で待っていたものだ。
だが、女房は却々出て来ない。で、いい加減面倒臭くなって、隣の時計屋へ目を移そうとしている時であった。私はふと店と奥の間との境に閉めてある障子の格子戸がピッシャリ閉るのを見つけた。――その障子は、専門家の方では無窓むそうと称するもので、普通、紙をはるべき中央の部分が、こまかい縦の二重の格子になっていて、それが開閉出来るのだ――ハテ変なこともあるものだ。古本屋などというものは、万引され易い商売だから、仮令たとい店に番をしていなくても、奥に人がいて、障子のすきまなどから、じっと見張っているものなのに、そのすき見の箇所を塞ふさいで了しまうとはおかしい、寒い時分なら兎とも角かく、九月になったばかりのこんな蒸し暑い晩だのに、第一あの障子が閉切ってあるのから変だ。そんな風に色々考えて見ると、古本屋の奥の間に何事かあり相で、私は目を移す気にはなれなかった。
古本屋の細君といえば、ある時、このカフェのウエトレス達が、妙な噂をしているのを聞いたことがある。何でも、銭湯で出逢うお神かみさんや娘達の棚卸たなおろしの続きらしかったが、「古本屋のお神さんは、あんな綺麗きれいな人だけれど、裸体はだかになると、身体中傷だらけだ、叩かれたり抓つねられたりした痕あとに違いないわ。別に夫婦仲が悪くもない様だのに、おかしいわねえ」すると別の女がそれを受けて喋るのだ。「あの並びの蕎麦屋そばやの旭屋あさひやのお神さんだって、よく傷をしているわ。あれもどうも叩かれた傷に違いないわ」……で、この、噂話が何を意味するか、私は深くも気に止めないで、ただ亭主が邪険なのだろう位に考えたことだが、読者諸君、それが却々そうではなかったのだ。一寸した事柄だが、この物語全体に大きな関係を持っていることが、後になって分った。
それは兎も角、そうして、私は三十分程も同じ所を見詰めていた。虫が知らすとでも云うのか、何だかこう、傍見わきみをしているすきに何事か起り相で、どうも外へ目を向けられなかったのだ。其時、先程一寸名前の出た明智小五郎が、いつもの荒い棒縞ぼうじまの浴衣ゆかたを着て、変に肩を振る歩き方で、窓の外を通りかかった。彼は私に気づくと会釈えしゃくして中へ入って来たが、冷しコーヒーを命じて置いて、私と同じ様に窓の方を向いて、私の隣に腰をかけた。そして、私が一つの所を見詰めているのに気づくと、彼はその私の視線をたどって、同じく向うの古本屋を眺めた。しかも、不思議なことには、彼も亦また如何にも興味ありげに、少しも目をそらさないで、その方を凝視し出したのである。
私達は、そうして、申合せた様に同じ場所を眺めながら、色々の無駄話を取交した。その時私達の間にどんな話題が話されたか、今ではもう忘れてもいるし、それに、この物語には余り関係のないことだから、略するけれど、それが、犯罪や探偵に関したものであったことは確かだ。試みに見本を一つ取出して見ると、
「絶対に発見されない犯罪というのは不可能でしょうか。僕は随分可能性があると思うのですがね。例えば、谷崎潤一郎の『途上』ですね。ああした犯罪は先ず発見されることはありませんよ。尤もっとも、あの小説では、探偵が発見したことになってますけれど、あれは作者のすばらしい想像力が作り出したことですからね」と明智。
「イヤ、僕はそうは思いませんよ。実際問題としてなら兎も角、理論的に云いって、探偵の出来ない犯罪なんてありませんよ。唯、現在の警察に『途上』に出て来る様な偉い探偵がいない丈ですよ」と私。
ざっとこう云った風なのだ。だが、ある瞬間、二人は云い合せた様に、黙り込んで了った。さっきから話しながらも目をそらさないでいた向うの古本屋に、ある面白い事件が発生していたのだ。
「君も気づいている様ですね」
と私が囁くと、彼は即座に答えた。
「本泥坊でしょう。どうも変ですね。僕も此処ここへ入って来た時から、見ていたんですよ。これで四人目ですね」
「君が来てからまだ三十分にもなりませんが、三十分に四人も、少しおかしいですね。僕は君の来る前からあすこを見ていたんですよ。一時間程前にね、あの障子があるでしょう。あれの格子の様になった所が、閉るのを見たんですが、それからずっと注意していたのです」
「家の人が出て行ったのじゃないのですか」
「それが、あの障子は一度も開かなかったのですよ。出て行ったとすれば裏口からでしょうが、……三十分も人がいないなんて確かに変ですよ。どうです。行って見ようじゃありませんか」
「そうですね。家の中に別状ないとしても、外で何かあったのかも知れませんからね」
私はこれが犯罪事件ででもあって呉れれば面白いと思いながらカフェを出た。明智とても同じ思いに違いなかった。彼も少からず興奮しているのだ。
古本屋はよくある型で、店全体土間になっていて、正面と左右に天井まで届く様な本棚を取付け、その腰の所が本を並べる為の台になっている。土間の中央には、島の様に、これも本を並べたり積上げたりする為の、長方形の台が置いてある。そして、正面の本棚の右の方が三尺許ばかりあいていて奥の部屋との通路になり、先に云った一枚の障子が立ててある。いつもは、この障子の前の半畳程の畳敷の所に、主人か、細君がチョコンと坐って番をしているのだ。
明智と私とは、その畳敷の所まで行って、大声に呼んで見たけれど、何の返事もない。果して誰もいないらしい。私は障子を少し開けて、奥の間を覗いて見ると、中は電燈が消えて真暗だが、どうやら、人間らしいものが、部屋の隅に倒れている様子だ。不審に思ってもう一度声をかけたが、返事をしない。
「構わない、上って見ようじゃありませんか」
そこで、二人はドカドカ奥の間へ上り込んで行った。明智の手で電燈のスイッチがひねられた。そのとたん、私達は同時に「アッ」と声を立てた。明るくなった部屋の片隅には、女の死骸が横わっているのだ。
「ここの細君ですね」やっと私が云った。「首を絞められている様ではありませんか」
明智は側へ寄って死体を検しらべていたが、「とても蘇生そせいの見込はありませんよ。早く警察へ知らせなきゃ。僕、自動電話まで行って来ましょう。君、番をしてて下さい。近所へはまだ知らせない方がいいでしょう。手掛りを消して了ってはいけないから」
彼はこう命令的に云い残して、半町許りの所にある自動電話へ飛んで行った。
平常ふだんから、犯罪だ探偵だと、議論丈は却々なかなか一人前にやってのける私だが、さて実際に打ぶっつかったのは初めてだ。手のつけ様がない。私は、ただ、まじまじと部屋の様子を眺めている外はなかった。
部屋は一間切りの六畳で、奥の方は、右一間は幅の狭い縁側をへだてて、二坪許りの庭と便所があり、庭の向うは板塀になっている。――夏のことで、開けぱなしだから、すっかり、見通しなのだ、――左半間は開き戸で、その奥に二畳敷程の板の間があり裏口に接して狭い流し場が見え、そこの腰高障子は閉っている。向って右側は、四枚の襖が閉っていて、中は二階への階段と物入場になっているらしい。ごくありふれた安長屋の間取だ。
死骸は、左側の壁寄りに、店の間の方を頭にして倒れている。私は、なるべく兇行当時の模様を乱すまいとして、一つは気味も悪かったので、死骸の側へ近寄らない様にしていた。でも、狭い部屋のことであり、見まいとしても、自然その方に目が行くのだ。女は荒い中形模様の湯衣ゆかたを着て、殆ど仰向きに倒れている。併し、着物が膝の上の方までまくれて、股ももがむき出しになっている位で、別に抵抗した様子はない。首の所は、よくは分らぬが、どうやら、絞しめられた痕きずが紫色になっているらしい。
表の大通りには往来が絶えない。声高に話し合って、カラカラと日和下駄ひよりげたを引きずって行くのや、酒に酔って流行唄はやりうたをどなって行くのや、至極天下泰平なことだ。そして、障子一重の家の中には、一人の女が惨殺されて横わっている。何という皮肉だ。私は妙にセンティメンタルになって、呆然と佇たたずんでいた。
「すぐ来る相ですよ」
明智が息を切って帰って来た。
「あ、そう」
私は何だか口を利くのも大儀たいぎになっていた。二人は長い間、一言も云わないで顔を見合せていた。
間もなく、一人の正服せいふくの警官が背広の男と連立ってやって来た。正服の方は、後で知ったのだが、K警察署の司法主任で、もう一人は、その顔つきや持物でも分る様に、同じ署に属する警察医だった。私達は司法主任に、最初からの事情を大略説明した。そして、私はこう附加えた。
「この明智君がカフェへ入って来た時、偶然時計を見たのですが、丁度八時半頃でしたから、この障子の格子が閉ったのは、恐らく八時頃だったと思います。その時は確か中には電燈がついてました。ですから、少くとも八時頃には、誰れか生きた人間がこの部屋にいたことは明かです」
司法主任が私達の陳述を聞取って、手帳に書留めている間に、警察医は一応死体の検診を済ませていた。彼は私達の言葉のとぎれるのを待って云った。
「絞殺ですね。手でやられたのです。これ御覧なさい。この紫色になっているのが指の痕あとです。それから、この出血しているのは爪が当った箇所ですよ。拇指おやゆびの痕が頸くびの右側についているのを見ると、右手でやったものですね。そうですね。恐らく死後一時間以上はたっていないでしょう。併し、無論もう蘇生そせいの見込はありません」
「上から押えつけたのですね」司法主任が考え考え云った。「併し、それにしては、抵抗した様子がないが……恐らく非常に急激にやったのでしょうね。ひどい力で」
それから、彼は私達の方を向いて、この家の主人はどうしたのだと尋ねた。だが、無論私達が知っている筈はない。そこで、明智は気を利かして、隣家の時計屋の主人を呼んで来た。
「主人はどこへ行ったのかね」
「ここの主人は、毎晩古本の夜店を出しに参りますんで、いつも十二時頃でなきゃ帰って参りません。ヘイ」
「どこへ夜店を出すんだね」
「よく上野うえのの広小路ひろこうじへ参ります様ですが。今晩はどこへ出ましたか、どうも手前には分り兼ねますんで。ヘイ」
「物音と申しますと」
「極っているじゃないか。この女が殺される時の叫び声とか、格闘の音とか……」
「別段これという物音を聞きません様でございましたが」
そうこうする内に、近所の人達が聞伝えて集って来たのと、通りがかりの弥次馬で、古本屋の表は一杯の人だかりになった。その中に、もう一方の、隣家の足袋屋たびやのお神さんがいて、時計屋に応援した。そして、彼女も何も物音を聞かなかった旨むね陳述した。
この間、近所の人達は、協議の上、古本屋の主人の所へ使つかいを走らせた様子だった。
そこへ、表に自動車の止る音がして、数人の人がドヤドヤと入って来た。それは警察からの急報で駈けつけた裁判所の連中と、偶然同時に到着したK警察署長、及び当時の名探偵という噂の高かった小林こばやし刑事などの一行だった。――無論これは後になって分ったことだ、というのは、私の友達に一人の司法記者があって、それがこの事件の係りの小林刑事とごく懇意こんいだったので、私は後日彼から色々と聞くことが出来たのだ。――先着の司法主任は、この人達の前で今までの模様を説明した。私達も先の陳述をもう一度繰返さねばならなかった。
「表の戸を閉めましょう」
突然、黒いアルパカの上衣に、白ズボンという、下廻りの会社員見たいな男が、大声でどなって、さっさと戸を閉め出した。これが小林刑事だった。彼はこうして弥次馬を撃退して置いて、さて探偵にとりかかった。彼のやり方は如何にも傍若無人で、検事や署長などはまるで眼中にない様子だった。彼は始めから終りまで一人で活動した。他の人達は唯、彼の敏捷びんしょうな行動を傍観する為にやって来た見物人に過ぎない様に見えた。彼は第一に死体を検べた。頸の廻りは殊に念入りにいじり廻していたが、
「この指の痕には別に特徴がありません。つまり普通の人間が、右手で押えつけたという以外に何の手掛りもありません」
と検事の方を見て云った。次に彼は一度死体を裸体にして見るといい出した。そこで、議会の秘密会見たいに、傍聴者の私達は、店の間へ追出されねばならなかった。だから、その間にどういう発見があったか、よく分らないが、察する所、彼等は死人の身体に沢山の生傷のあることに注意したに相違ない。カフェのウエトレスの噂していたあれだ。
やがて、この秘密会が解かれたけれど、私達は奥の間へ入って行くのを遠慮して、例の店の間と奥との境の畳敷の所から奥の方を覗き込んでいた。幸なことには、私達は事件の発見者だったし、それに、後から明智の指紋をとらねばならなかった為に、最後まで追出されずに済んだ。というよりは抑留よくりゅうされていたという方が正しいかも知れぬ。併し小林刑事の活動は奥の間丈に限られていた訳でなく、屋内屋外の広い範囲に亙わたっていたのだから、一つ所にじっとしていた私達に、その捜査の模様が分ろう筈がないのだが、うまい工合に、検事が奥の間に陣取っていて、始終殆ど動かなかったので、刑事が出たり入ったりする毎に、一々捜査の結果を報告するのを、洩れなく聞きとることが出来た。検事はその報告に基いて、調書の材料を書記に書きとめさしていた。
先ず、死体のあった奥の間の捜索が行われたが、遺留品も、足跡も、その他探偵の目に触れる何物もなかった様子だ。ただ一つのものを除いては。
「電燈のスイッチに指紋があります」黒いエボナイトのスイッチに何か白い粉をふりかけていた刑事が云った。「前後の事情から考えて、電燈を消したのは犯人に相違ありません。併しこれをつけたのはあなた方のうちどちらですか」
「そうですか。あとであなたの指紋をとらせて下さい。この電燈は触らない様にして、このまま取はずして持って行きましょう」
それから、刑事は二階へ上って行って暫く下りて来なかったが、下りて来るとすぐに路地を検べるのだといって出て行った。それが十分もかかったろうか、やがて、彼はまだついたままの懐中電燈を片手に、一人の男を連れて帰って来た。それは汚れたクレップシャツにカーキ色のズボンという扮装いでたちで、四十許ばかりの汚い男だ。
「足跡はまるで駄目です」刑事が報告した。「この裏口の辺は、日当りが悪いせいかひどいぬかるみで、下駄の跡が滅多無性についているんだから、迚とても分りっこありません。ところで、この男ですが」と今連れて来た男を指し「これは、この裏の路地を出た所の角に店を出していたアイスクリーム屋ですが、若し犯人が裏口から逃げたとすれば、路地は一方口なんですから、必ずこの男の目についた筈です。君、もう一度私の尋ねることに答えて御覧」
「一人もありませんので、日が暮れてからこっち、猫の子一匹通りませんので」アイスクリーム屋は却々要領よく答える。
「私は長らくここへ店を出させて貰ってますが、あすこは、この長屋のお上さん達も、夜分は滅多に通りませんので、何分あの足場の悪い所へ持って来て、真暗なんですから」
「それも御座いません。皆さん私の目の前でアイスクリームを食べて、すぐ元の方へ御帰りになりました。それはもう間違いはありません」
さて、若しこのアイスクリーム屋の証言が信用すべきものだとすると、犯人は仮令この家の裏口から逃げたとしても、その裏口からの唯一の通路である路地は出なかったことになる。さればといって、表の方から出なかったことも、私達が白梅軒から見ていたのだから間違いはない。では彼は一体どうしたのであろう。小林刑事の考えによれば、これは、犯人がこの路地を取りまいている裏表二側の長屋の、どこかの家に潜伏しているか、それとも借家人の内に犯人があるのかどちらかであろう。尤も二階から屋根伝いに逃げる路はあるけれど、二階を検べた所によると、表の方の窓は取りつけの格子が嵌はまっていて少しも動かした様子はないのだし、裏の方の窓だって、この暑さでは、どこの家も二階は明けっぱなしで、中には物干で涼んでいる人もある位だから、ここから逃げるのは一寸難しい様に思われる。とこういうのだ。
そこで臨検者達の間に、一寸捜査方針についての協議が開かれたが、結局、手分けをして近所を軒並に検べて見ることになった。といっても、裏表の長屋を合せて十一軒しかないのだから、大して面倒ではない。それと同時に家の中も再度、縁の下から天井裏まで残る隈くまなく検べられた。ところがその結果は、何の得うる処もなかったばかりでなく、却って事情を困難にして了った様に見えた。というのは、古本屋の一軒置いて隣の菓子屋の主人が、日暮れ時分からつい今し方まで屋上の物干へ出て尺八を吹いていたことが分ったが、彼は始めから終いまで、丁度古本屋の二階の窓の出来事を見逃す筈のない様な位置に坐っていたのだ。
読者諸君、事件は却々面白くなって来た。犯人はどこから入って、どこから逃げたのか、裏口からでもない、二階の窓からでもない、そして表からでは勿論ない。彼は最初から存在しなかったのか、それとも煙の様に消えて了ったのか。不思議はそればかりでない。小林刑事が、検事の前に連れて来た二人の学生が、実に妙なことを申立てたのだ。それは裏側の長屋に間借りしている、ある工業学校の生徒達で、二人共出鱈目でたらめを云う様な男とも見えぬが、それにも拘かかわらず、彼等の陳述は、この事件を益々不可解にする様な性質のものだったのである。
「僕は丁度八時頃に、この古本屋の前に立って、そこの台にある雑誌を開いて見ていたのです。すると、奥の方で何だか物音がしたもんですから、ふと目を上げてこの障子の方を見ますと、障子は閉まっていましたけれど、この格子の様になった所が開いてましたので、そのすき間に一人の男の立っているのが見えました。しかし、私が目を上げるのと、その男が、この格子を閉めるのと殆ど同時でしたから、詳しいことは無論分りませんが、でも、帯の工合ぐあいで男だったことは確かです」
「で、男だったという外に何か気附いた点はありませんか、背恰好とか、着物の柄とか」
「見えたのは腰から下ですから、背恰好は一寸分りませんが、着物は黒いものでした。ひょっとしたら、細い縞か絣かすりであったかも知れませんけれど。私の目には黒無地に見えました」
「僕もこの友達と一緒に本を見ていたんです」ともう一方の学生、「そして、同じ様に物音に気づいて同じ様に格子の閉るのを見ました。ですが、その男は確かに白い着物を着ていました。縞も模様もない、真白な着物です」
「それは変ではありませんか。君達の内どちらかが間違いでなけりゃ」
「決して間違いではありません」
「僕も嘘は云いません」
この二人の学生の不思議な陳述は何を意味するか、鋭敏な読者は恐らくあることに気づかれたであろう。実は、私もそれに気附いたのだ。併し、裁判所や警察の人達は、この点について、余りに深く考えない様子だった。
間もなく、死人の夫の古本屋が、知らせを聞いて帰って来た。彼は古本屋らしくない、きゃしゃな、若い男だったが、細君の死骸を見ると、気の弱い性質たちと見えて、声こそ出さないけれど、涙をぼろぼろ零こぼしていた。小林刑事は、彼が落着くのを待って、質問を始めた。検事も口を添えた。だが、彼等の失望したことは、主人は全然犯人の心当りがないというのだ。彼は「これに限って、人様に怨みを受ける様なものではございません」といって泣くのだ。それに、彼が色々調べた結果、物とりの仕業でないことも確められた。そこで、主人の経歴、細君の身許みもと其他様々の取調べがあったけれど、それらは別段疑うべき点もなく、この話の筋に大した関係もないので略することにする。最後に死人の身体にある多くの生傷について Permalink | 記事への反応(0) | 22:40
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表現として「満漢全席」という言い回しを使おうとした時に、「実際にはどんなものなんだろう?」と思ってwikipediaを調べた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E6%BC%A2%E5%85%A8%E5%B8%AD
すると「48珍」という項目があって…その中に「そんな物食うの!?」と思うモノが並んでた。
海豹(アザラシ)
北極圏のエスキモーなんかはアザラシ料理を今でも食べてるらしいけど…中華でも食うんや…。
狗魚(オオサンショウウオ)
日本だと天然記念物のイメージが強いけど…昔は食べてたらしい。日本のものと中国のものは別物。
山八珍
駝峰(ラクダのコブ)
熊掌(クマの掌)
猩唇(オランウータンの唇)
豹胎(ヒョウの胎児)
犀尾(サイの陰茎)
象拔(ゾウの鼻)
…特にサルの脳みそは体によくないことがもうわかってるわけだから「よくこんなもん食ってたな」と驚くわけです。
鹿肉・熊肉の時点で日本ではジビエ扱いなのに、さらにピンポイントに部位まで指定しますか…。
コロナウイルスの感染源について「野生のタケネズミが原因」という説があるのですが、逆に「タケネズミごとき(?)で本当に感染するなら、清王朝時代に食べてたものではもっとひどいパンデミックで人口が激減したり、貿易先の国を流行り病で間接的に攻撃するような事態になるのでは?」みたいなことも考えちゃったわけです。
コロナウイルスが細菌兵器なのか、野生動物からの感染なのか、中国が今主張してるように「もちこまれた」のかはわかりません。
ただ、満漢全席の内容から考えると、タケネズミを食べてたことぐらいで驚く方が野暮で、世界的な感覚からするともっとやべぇもん食べてるんじゃないかな?とも思っちゃいます。
だから悪いって話じゃないです。
ただ、お国柄に大きな違いを感じました。