はてなキーワード: 摂生とは
それじゃあ行こうか、といつものトーンで言った彼女について歩いたのは、十分にも満たない時間だったと思う。五階建の、綺麗でもなければ汚くもない一般的な建物の前で足を止めた彼女は、こちらを振り返って「じゃーん、ここが私の城です」と笑って見せた。
「いいところだね」と中身のない返事をして、建物に入る彼女を追いかける。よく晴れた空には雲ひとつなくて、広い国道を車が走る音が遠くに聞こえた。
岸田さんの部屋は3階にあって、僕らはそこまで階段をのぼった。エレベーターもあるのだけれど彼女はできるだけ階段をつかうことにしているらしい。「大学生は不摂生だからね」と言って複雑なジェスチャーをしてみせたあと、彼女はコンクリート打ちっぱなしの廊下に並んだ小豆色のドアのひとつの前で立ち止まった。
「ここが私の城です」ともう一度言って少し照れたように笑う。「さっきも言ったけど」
岸田さんの部屋にはひとつ大きな水槽があった。よく整頓された中性的な部屋の中で壁際にこぢんまりと収まったその水槽はなんとなく目を惹くものだったから、僕は思わず「水槽」と口に出してしまう。
「ん、ああ、水槽」と、彼女は気のない返事をして、部屋の中央に置かれたテーブルの上を手で払った。「まあ、座ってよ」。
毛足の短い薄いベージュのカーペットにあぐらをかこうとしたあと、思いなおして正座にした。一息ついて頭に浮かんだ疑問を口にしてみる。
「何か飼ってるの?」見た感じ、水槽の中に動くものはない。しかしポンプはどこか好ましい慎ましやかな間隔で小さな泡をあげているし、岩場のようなセットもある。何かはいるんだろう。
そうそう、と言いながら岸田さんは顔を水槽に向け、瞬きをふたつした。まつ毛が長いな、と感心しながら続きを待つ。
「カキだよ」と彼女は言った。
「カキ?」言葉が像を結ばないまま、ひとまずおうむ返しに口に出す。
「そう、カキ。あー、あの、海にいるやつ。貝の、ええと、岩みたいな……」
ひしゃげた岩のようなビジュアルが頭に浮かぶ。牡蠣。食べるものだとは思っていたが、飼っている人がいるとは思わなかった。なんで飼ってるの?と思ったままを口にだす。
「いや、どうしてって言われると難しいんですけどね」彼女は細い指を顎にあて、はにかみながら視線を彷徨わせる。「飼えるのかなーと思って調べたら飼えるってわかって、飼ってる自分を想像してみたら、なんか……良かったから」
「なるほどねえ」なるほど。
2年に満たない、それもけっこう浅い付き合いの中でうすうす感じてはいたが、彼女はやはりかなり変な人なのかもしれない。しかしそういう気付きは往々にして表に出さないほうがいいものだから、適当に話を合わせることにする。
「でも牡蠣って海の生き物でしょ?結構大変そうだけどな、海水の管理とか」
そうなんだよ、と言ったあと少し間をおいてちょっと待ってね、と謎めいた手振りをした彼女は、ゆっくりと立ち上がって部屋の隅に向かう。
その間に水槽に目を向けてみると確かに牡蠣がいるようだ。二匹。匹って数え方でいいのかな。牡蠣と言われてみると確かに岩ではなくて生き物だなあと思えるから不思議なものだ。とはいえほとんど動きはなく、岩に似ていることは否定できないのだが。
ほどなく、岸田さんがなにやら大きな袋をもってきた。「これ、海水……のもと。買ってるんだ」
「海水の……もと。そういうのがあるんだ」
あるんだよ、と言って岸田さんは袋をひっくり返し、包装を読みながらいろいろと説明してくれた。一袋がいくらで、そのうちどのくらいを一度に使うのか、水換え作業はどのようにして行っているのか……などなど。
最初は大変だったけど今は日課だからそんなにかな、と締めくくって、彼女はひとつ息をついた。
「飼っててここが楽しい、みたいなのってある?……牡蠣って動かなそうだからさ」
愚問ってやつかもしれないなあと思いつつ、つい聞いてしまった。岸田さんは相好を崩し、やっぱそうなるよねえと楽しそうに言う。
「楽しいっていうか、愛着かな。彼ら見た目は岩みたいだけどちゃんと生きてるし、泡吹いたりもするんだよ。見てると案外愛しいんだなあ」
しみじみとそう言う彼女を見るとそういうものなのかと思わされたので、「そういうものなんだね」と素直に言った。「そういうものなのです」と受けて、岸田さんは視線を水槽に向ける。
一念発起して昼夜逆転ゲーム生活から脱却し体重計を買いに行ったら、ちょうど欲しかった物やらいい感じの物やらが買えて、家に帰って体重計の電池を買いがてらスーパーに行ったら、ちょうど食べたいと思ってた料理の材料が見つかって、「ああ今日って良い日だ、何だかやり遂げた感じ☆」と思いつつお気に入りのグラスにコーラを注いで、とりあえず買ったばかりのハイテクな体重計で体重を量り厳しい現実を噛み締めながら体重計をとりあえずの位置にしまおうとしたら、
コーラの入ったコップを倒した。
慌てふためく俺。
そして気づく。
すぐさま掃除にかかったが、縦置きにしていたPS3には通風孔からたっぷりコーラが入っていて、傾けたらドボボボボとコーラが出てきたのには苦笑いした。電源を入れてみるも、起動してもすぐ電源が切れる。見事に故障した。
ひとまず説明書を探そうかと思ったが、散乱したモノの中の奥底に数ヶ月前投げ捨てたままだったのに気付いた時点で、俺の思考は停止した。
体重を量ったときにパンツ一丁になり、そのまま慌てて動いたら汗だくだった。汗を拭おうとしたら、二日ほどめんどくさくて風呂に入ってない体からは、ボロボロと垢が落ちた。そのまま暫くボロボロ垢を落とした。
少しして、何だか笑えてきた。
アホかと。 何昼間に出かけた位ですごい事した気になってんだよ、と。
ロクに学校にも行かずに現実逃避して、部屋は荒れ放題のゴミ屋敷、身体は不摂生で献血断わられる程の弁護しようの無いデブ、歯は磨かない風呂には入らない、そんな癖して家族には大丈夫と大嘘を吐く親不孝者。
そういう嫌なことから目を背けて、都合のいいことしか見てないクズ。それがお前だ。
…という、内なる声を聞いた。
この気持ちを残そうと思って、パソコンに向かっているうちに、なんだかこれは天啓な気がしてきた。
今日はPS3がぶっ壊れるくらいで済んだ。でももっとやばい事態が起こりうる可能性はいくらでもある。
そう思って少しぞっとしたが、不思議と気分は暗くない。
「どうしようもねえなwww」という呆れと、「さて、どうにかしようか」という義務感と、「ま、どうにかなるさ」という楽観の混じった、よく分からんがポジティブな気持ちだ。
そういう、クソ野郎がアホなことやらかしてバカな閃きを得たという、他人にとっては下らないけど本人にとっては大事な気がすることが、今日、日本の片隅で起きたという話。
さて、書き終わったし本腰入れて片付けてくる。現実逃避はここまで。
はじめまして、内科勤務医(膠原病科所属)増田と申します。同業者の皆さんお疲れ様です!
私ごとですが一昨年から市中病院に転勤となり内科救急の現場にがっつり関わることとなりました。2年やっているうちに救急来院される患者様に時間帯ごと特徴があるのでは?と感じGWの息抜きに記録してみました。あくまでn=1の田舎2次救急、外科系は別医師が対応という条件なので、こんな病院もあるんだなぁくらいに聞いてください(コロナに関する当院での対応については省略します)
この時間は最後の駆け込み的に施設入所中の80-90才がいらっしゃいます。夕食前の検温で発熱を確認あるいはその時点で意識がはっきりしないとのことで救急要請になります。点滴も取れないほどの細くて脆い血管、複雑な病歴、認知症の進行、ADLは全介助と一筋縄ではいきません。大抵血液検査と画像で〇〇炎あるいは高度脱水の診断となり、半分程度の方が入院となります。
20-0時
この時間は一晩は我慢できると思ったけど駄目でした…と申し訳なさそうに来院される腹痛がメイン層です。なぜか朝からすごく痛いのに日中受診せず救急帯になってから来院される患者様もいますが。原因は虫垂炎、膵炎、胆嚢炎、感染性腸炎、月経痛がcommonですが、穿孔・捻転・腸閉塞まで多種多彩です。必要に応じて造影CTを撮りますが、その場合基本的に時間を急ぐなにかが写ります。一晩勤務していると消化器内科・外科当番医をどちらか呼ぶかどちらも呼ぶ症例に必ず当たります。呼ばない日はない気がします。消化器の先生いつもありがとうございます。
0-3時
遅れてやってくる腹痛患者様(救急センターが23時まで。そこからの転院搬送は遅くなる)を捌いていると、不摂生の末ついに心臓の血管を詰まらせたアドヒアランスの悪い患者様の時間に突入します。ぱんぱんに張った腕から点滴(難度高)、脂肪に埋まった大腿動脈…本当に医者泣かせです。痩せてください。それでも検査を進めていくと糖尿病のせいでさほど痛くない心筋梗塞と判明し、外来に緊張感が走ります。循環器の先生をコール後、外来で心カテ準備をしていると先生が到着。簡単な病歴をプレゼンしてバトンタッチ。解離の場合は当院では診れませんので造影CT・転院搬送の準備を進めます。この時間の胸痛は一刻を争うケースが多いので…
そしてこの時間帯といえば急性アルコール中毒と精神疾患患者様の過剰服薬…ガーグルベースン間に合わず床に広がった吐物の処理は精神的にくるものがあります。
3-6時
アラサーが視野に入ってきた私の活動限界は3時半なんですが、1時以降に来院がなければ3時くらいには仮眠が取れる…と見せかけて寝ついて1時間で事務から30分後に自家用車で来院ありと電話がはいります、がっかり。自家用車は来るまで遅いアンド時間通り来ないアンド30分が仮眠とるには短すぎるの三重苦。そして5時台の花形といえば起床後手足の麻痺に気づいた高血圧の患者様。まあ大体脳梗塞なので発症時刻推定して神経所見取ったあと頭部CT,MRIへ送り、神経内科の先生に引き渡す準備をします。MRIの長い長い撮影の合間に、意識消失できた若者と突然目眩で嘔吐を繰り返す中高年の検査を進めておきます。命に関わる疾患がルールアウトされれば帰宅可能です。
6-8時半
5時台に来た患者を診察終了するといつのまにか空が明るい。私も研修医も限界はとうに超えており、7時半の患者は病棟周りをしていた救急科の先生に引き継ぎ、救急外来は解散。しかしまだ救急来院者一覧の記載が残ってます。年齢性別病名入院の有無と助けてくれた先生の名前とありがとうを書いて今度こそ終わりです。今夜も15人診たんだなぁ…と感慨に浸ります。
と、大体一晩こんな感じですね。8時半になっても病棟業務があるので、救急外来終わってもまだ帰れません。回診、血液検査のデータ見て必要に応じて検査と処置追加、点滴と内服薬が切れてれば出す、カルテ記載。これが終わって持ち患の急変がなければ帰れます。帰って寝て次の日8時半からまた仕事です。我ながら働いてるなぁ。赴任したての頃は次から次に担ぎ込まれて来る患者!忙しい!現場やばい!寝れない!大学病院いた頃と大違い!と大慌てだったんですけど、命からがらなんとかやってます。あとどの診療科の先生にも本当にいつもお世話になってます!ありがとうございます!
最後にこれは我慢できないくらい痛い、何かある…!って思ったら躊躇わずに救急に来てください!!ただ何となくとかのような気がするとかちょっと心配でくらいであれば平日日中の診療時間中にお願いします。あと不摂生な人は生活バランス整えて機を見て定期検診行ってくださいね。心筋梗塞!吐くほど痛いですよ!
これでICUとか人工呼吸器セットとかにありつけると思うのだが、どうよ?
・救急車を呼んで、「ものすごく呼吸が苦しい」などといった旨を伝える。
・救急科に搬送してくれる。少なくとも現場レベルでは、重症を訴える患者を見殺しにすることは恐らくできないはず。
数回救急車に乗った経験では、消防も病院も怠慢は絶対にしない。
よく知らないけど、もしそんなことしたら万が一死んじゃったとかの場合、刑事でも民事でも行政でも処分される。
・普通の救急科医はどちらかというと血ダルマの交通事故被害者とか黒コゲの焼死体寸前の人間の相手などが専門だろうから(勝手な想像)、必ずしも呼吸器科のプロとは限らない。
・検査をして肺に異常が無かった場合でも、現代の検査では呼吸器官に異常が見つからなかったというだけで、未知の症状・病気という可能性だってあるのだし、
重度の風邪かインフルか肺炎か結核か別の何かか分からないし、最悪タバコの吸い過ぎで風邪が悪化したかもしれないとでも言えばいい
体にも倫理的にもよくないが、飲酒運転や殺人と違って、風邪引いた状態で喫煙とかしたからといって違法ではない
ましてそれで救急車を呼ぶ羽目になっても(ただしイタズラ電話とかは明確に違法だったと思う)
・痛みとか苦しみといった主観的な症状は現代医学でも客観的に測定しかねる場合が多々あるので(例:幻肢痛)、詐病とか悪質な嘘にならない範囲で、逆手にとって大いに主張する
・本当に新型肺炎の重症の場合でも、結核みたいなレアケースでも、上記のようなタダの不摂生による重症でも、毎月月給から大量に搾り取られられている税金や社会保険料による公共サービスを正当に行使しただけである
・命に関わるような大病でなくても、死ぬかと思うような激痛を伴う病気も普通に存在するし(1敗)、自覚症状が無くても即死寸前の重病という場合もあるので(1敗)、そういう判断は専門の検査とか医者が必要になるんだから、遠慮なく呼ぼう
志村けんが死んでみんな大騒ぎしてるけど、「お笑い業界(というか芸能界)における多大な損失」というのもさることながら、「70歳以上でヘビースモーカー(その後禁煙したとしても)とか飲み歩くのが大好き」というのは極めてリスキーだということを改めて知らしめたというのが一番の功績ではないだろうか。
小池百合子のコメントを見て、「相変わらず政治家のくせに言葉選びが下手だ」とは思ったけど、珍しく本質をついたことを言ったように思う。今まで医学関係者をはじめとする専門家がいくら口を酸っぱくして警告しても言うことを聞かなかった70代以上の高齢者が、ようやく自分がハイリスク群に属することに気付き、不摂生な生活をしたり、気楽に子どもや孫に「実家に帰っておいで」と言ったりしてはいけないと認識するようになったのではないかと思う。
話は変わるけど、池江璃花子が白血病になったことをカミングアウトした途端、骨髄バンクへの関心が高まったように、人気のある有名人に不幸が降りかかると、突然その対応策に皆が目覚める現金さに呆れたのを思い出した。ついこの間まで朝ドラで白血病ネタをやっていたので、スカーレットファンや伊藤健太郎ファンは多少興味を持ったかも知れないけど、死んだのはあくまでドラマの主人公のモデルになった人の息子さんであって、リアル伊藤健太郎はぴんぴんしてるんだからみんなすぐに忘れると思う。
こういう例えが良いのか分からないけど、志村けんの影響力は厚生労働省やら感染症と現に闘っている医療関係者の訴えよりも大きな力を持ってしまうのだなと思うと日本人ってアホだなと思ってしまう。
念のため書いておくと特に志村けんに恨みはないし、私は「8時だよ全員集合!」をリアルタイムで見て育った世代だ。ただ、芸能界にとって志村けんの死が損失だというのはともかく、感染症をこれ以上広めないようにと必死で努力しているプロフェッショナルの努力より、一人のコメディアンの死が人々の心を動かしてしまうのは良し悪しだと思う。