はてなキーワード: 玉造温泉とは
https://anond.hatelabo.jp/20211215104424 の続き
前述の通り騒動は運営の火消しも仁藤氏の撤退も早かった。結局当事者たちはバックレてるだけだが、まあ結果オーライだ。温泉むすめ騒動は私にとって理想に近い場所に軟着陸した。
この度初めて温泉むすめの基本設定や各キャラのプロフィールを読み込んでいった。まあ相当にボロボロだ。日本神話や神社制度にほぼ知識がない人が作ったであろう神さま設定。師範学校が何をする場所か知らずに命名してるっぽい温泉むすめ師範学校。各温泉むすめのプロフィールも泉質などとリンクさせているのは玉造温泉とか嬉野温泉などほんの一部で、大概は観光ガイドから抜き書きしたような観光地情報で大喜利をやっているだけだった。素人の仕事かと思ったら、プロデューサーが温泉ソムリエだと知って二度びっくりした。もう少し真面目にやってほしい。
ただ、ゲームアプリでそこまで練られた設定を目にすることもないので、温泉むすめの設定が特別ひどいということはないだろう。さいわい温泉むすめは実際の温泉地との結びつきも強いし、温泉地からのフィードバックも貰ってプロフィールの補強がなされていけばいいと思う。
この温泉むすめプロジェクト紹介ページの中で、私が気になった、いやはっきり気に入らない文言がある。
温泉むすめの物語の概要を紹介する段落の後ろに加えられた。“なお、温泉とお酒は切っても切り離せない関係のため、年齢不詳である神様であればお酒は飲めるだろうとして神様の設定が考案されました。” という一文だ。神さま設定の前に酒が先にあった。
すぐ直前に、温泉むすめは“人間と同じように赤ん坊として産まれ、温泉の源泉のように地域の人たちに大事に守り、育ててもらいながら、人と同じように歳を取っていきます。” とある。全然年齢不詳じゃない。人に取り上げてもらって産まれ、全員誕生日も判明してる。だいたいお酒を飲んでもいいのは成人であって年齢不詳の少女じゃない。
温泉むすめは全員例外なくセーラー服を着ているので、イラストは明確に「セーラー服を着た女子学生」として発注されている。飲酒設定が先にあるのに何故そんな未成年と誤解させるデザインにしたのか。アサヒビールのCMの乃木坂46おとな選抜でも誰も制服は着ていない。お酒とは切り離せないのに何故温泉むすめを未成年アイドルとしたのか。
“温泉とお酒は切っても切り離せない関係”とされている根拠も分からない。
温泉施設付属のレストランで見かける家族連れのお父さんもバイカーの爺さんもロードバイクのおっさんも山奥の現場帰りの兄ちゃんも酒なんか飲んでいない。ビールを飲んでいるのはバスで温泉に来ている高齢者の団体くらいだ。
環境省や大学などの温泉地の選択や温泉地での過ごし方を問う調査でも、温泉へ行くのに酒を目的とする回答はほとんど見られない。料理、温泉の効能、ロケーション、が温泉に望むことのほぼ全てだ。
温泉利用者調査で男女に有意差があるのは、男性は日帰り温泉利用が多く、女性は滞在型の利用を好み旅館の設備を気にすることなど。温泉の泉質や効能を気にするユーザー層は男女同程度で、男性も美肌の湯を指向して温泉に来る。グルメ、スイーツへの興味も男女同程度で、男でも酒よりスイーツを欲しがる。ユーザーは温泉に酒を求めていない。
温泉むすめは少女でなければならなかった。温泉むすめには飲酒させなければならなかった。
その結果、神さま設定が考案され、人間の少女には許されない行為が温泉むすめには許されるようになった。日本神話風ファンタジーワールドを構築するその動機が、温泉むすめから人権を奪うことだったと、その一文で思いきりぶっちゃけている。その文がなくても説明ページは完了していたのに。
私は、温泉むすめを使役する人には温泉むすめをタレントとして扱ってほしい。神さまでもいいけど、人間と同じように大事にしてほしい。神さまに祭り上げる代わりにろくでもないことを押し付けるんじゃ軍神と変わらんじゃないか。仁藤氏が指摘したような炎上プロフィールも同じで、私にはあれはアウティングにしか見えなかった。何で事務所提供の紹介欄にネガティブな情報を書かれなきゃならないんだと。
温泉むすめはフィクションの存在で何を書かれても何をされても実際には傷つく人はいない。温泉むすめの存在しない人権を守ろうとすることで、温泉むすめで商売をしている人たちの権利がないがしろにされていると主張するオタク論客たちがいるが、露悪にも程がある。技能実習生が来なくて商売上がったりの農園や工場かよ。
温泉地において、飯坂真尋や小野川小町は商材でもお店の備品でもなかった。我が町のアイドルとして扱ってくれたし、温泉むすめを盛り上げよう、応援しようという熱も浴びた。推しがいることの喜びと、新しいことを始めているという大きな自負を感じた。温泉むすめのコアファンとの交流は出来ていないが、彼らも温泉むすめを消費するだけのユーザーではないと信じている。行く先々の温泉地で先達の温泉むすめファンたちのマナーの良さ、情熱について聞いていたからだ。これはおっぱい出せばチョロいオタクが飛びつくなんてコンテンツじゃない。
私は藤沢を舞台にしたアニメが作られるたび江の島へ行く。「きみの声をとどけたい」を見て、「青春ブタ野郎は ゆめみる少女の夢を見ない」を見て、そのたび江の島へ行き、島の茶屋あぶらやに「TARI TARI」のノートがまだ残っていることを確認する。新しい聖地を巡ることも楽しみだけど、いつまでも作品を覚えてくれている人のいる場所を辿ることもまた楽しみだから。
温泉むすめにも人の思い出になる力があると思っている。会ったことのない温泉むすめに出会うことも楽しみだけれど、飯坂真尋には来年も、五年後も、十年後も会いに行きたい。
私は、温泉むすめが、温泉ユーザーに温泉の泉質や効能の情報を提供し、温泉地の歴史や観光地、施設の案内をして、レストランやカフェ、名産品のナビゲートをしてくれるインフラになることを願っている。パネルに付いたQRコードを読めばマップや風景画像、声優の音声ガイダンスに繋がるなんてあれば楽しいじゃないか。初めて訪れた温泉地でも温泉むすめを見つけることが出来れば安心できる、そんなアイコンになってほしい。
https://anond.hatelabo.jp/20211215104205 の続き
半年の間を置き、2021年3月9日、駅メモ!の新たなイベント「駅メモ!で巡ろう!観光大使温泉むすめの温泉街」がスタートする。アプリは死んでも温泉むすめは死なない。
小野川温泉、松島温泉、飯坂温泉、鳥羽温泉郷、南紀勝浦温泉、湯村温泉を巡るミッション。しかも今度は温泉地の最寄り駅だけでなく、温泉街まで足を運んでいくつかのポイントを踏破しなければならない。手に入るユニットは小野川小町、松島名月、飯坂真尋、鳥羽亜矢海、南紀勝浦樹紀、湯村千代。さらに8月6日、三朝温泉の三朝歌蓮、玉造温泉の玉造彗が追加になった。
この新イベントの温泉むすめは全員が温泉地の公認キャラになっており、温泉地では駅メモ!とのコラボキーホルダーも販売されている。こちらから探しにいかなくてもパネルもグッズも待っていてくれているのだ。前回の駅メモ!コラボ開催時は、有馬、道後、尖石(台湾)しかなかった温泉地公認を一年で6か所増やし、さらに次の一年で層雲峡、湯原、湯郷、奥津、三朝、塩原、玉造、松江しんじ湖と8か所増やしている。運営の機動力がやっぱりすごい。
だいたい騒動中に巷間で出回っていた「5年以上続くプロジェクト」「多くの温泉地から公認」「観光庁の後援」などのフレーズは相当な過大広告で、半数くらいの温泉むすめはここ一年くらいの間に温泉地に突如出現したキャラでしかない。
むしろ、世間に浸透していくのはこの先のことだろう。公認はまだまだ増える。
温泉むすめ巡りを続ける。まずは新温泉町の湯村温泉へ。温泉観光協会で湯村千代のパネルを撮影し、キーホルダーとタオルを購入。パネルには「湯村温泉観光大使」のたすきがかかっている。流石は公認キャラ、貫録を感じる。湯煙でけぶっている街を歩き足湯に浸かる。ここは吉永小百合の「夢千代日記」で有名な温泉地なので吉永小百合の銅像の写真も撮り、ドラマ資料館である夢千代館を見学。ドラマの風景を再現した展示場で、湯村が胎内被曝者である夢千代の街として新温泉町と広島市との友好の橋渡しとなり、吉永小百合の平和活動の大きなバックボーンとなっていることを学ぶ。最後に薬師湯で温泉を使い帰路につく。
次は南紀勝浦温泉。南紀勝浦樹紀のパネルは、レンタサイクルの並ぶウッドパネルのオシャレな観光案内所ではなく、古ぼけた温泉旅館組合の事務所内に設置されている。この温泉むすめにも「観光大使」のたすきがかかっている。パネルの横には驚くほど多種の南紀勝浦樹紀グッズが並んでいる。つい最近コラボが始まったばかりのはずだが本当に機動力がすごい。勝浦は冬のまぐろ祭りや太地町の落合記念館で落合専用ガンダムエクシアを見学するなど何度も訪れているので観光はあっさり済ませる。勝浦漁港のカフェでまぐろバーガーを食べて、年期の入った建物の天然温泉公衆浴場はまゆで温泉を楽しんで帰る。
鳥羽温泉の鳥羽亜矢海は、鳥羽駅そばのショッピングモール鳥羽一番街にいた。キーホルダーは隣接するレストラン兼農産物水産物の直売所である鳥羽マルシェで購入できた。一緒に伊勢茶と伊勢米とアジの干物とカキとサザエも買う。鳥羽の温泉にはあまりいい思い出がないので代わりに松阪で温泉に入って帰った。
鳥羽亜矢海のデザインはみんな大好きメリーちゃんの牛木義隆さんで、肌色成分多めなのにスポーティさが支配する健康的なデザイン、リボンやスカートの裾に入れた和柄紋、ダイビング由来の手の込んだ小物、結い上げた長い髪を下ろせば大きく印象を変えられそうな変身の余地も作って、本当に最高の仕事だった。海の街のご当地キャラデザインとして傑出した完成度がある。鳥羽はあまり好きな街ではないが鳥羽亜矢海だけは推せる。
松島温泉には車で訪問した。松島観光協会でタクシードライバー姿の松島名月のパネルを見て、福浦橋から福浦島に渡り松島の風景を楽しんだ。温泉は日帰りで利用できる芭蕉の湯という施設を選んだが、松島名月のパネルは主に海沿いの旅館に設置されていたようで結局出会えたのはタクシードライバーバージョンだけだった。
去年「凪待ち」の舞台探訪で石巻に行ったけど、松島の温泉はスルーして作並へ行っていた。松島名月のおかげで松島にも温泉があることを知られてよかった。
小野川温泉には米沢駅からバスで向かった。小野川温泉も以前は存在を知らなかったので、訪れる機会をくれた駅メモ!と温泉むすめには感謝しきりだ。この街は有馬温泉以来の街ぐるみで温泉むすめを活用している場所だった。至る所にポスターやポップがある。訪問スポットに指定されていた甲子大黒天には小野川小町の絵馬もあった。共同浴場滝の湯でクソ熱い湯に浸かり、キーホルダーを販売している名湯の宿 吾妻荘を訪れるとここにも当然小野川小町パネルが設置されている。もう嬉しくなってしまった。
いくつかの施設の人と話してみても、みな小野川小町に好感を持ってくれており、また温泉むすめが目的で訪れた私に対してもとても親切に対応してくれた。ただ、小野川小町よりもつい最近小野川温泉で大々的なロケを行った江頭2:50の方が遥かに街の人々に愛されているとも感じた。まあ、美少女もいいけど江頭と比べられたらやっぱり負けちゃうよな。
飯坂温泉では“最高の温泉むすめ”飯坂真尋に出会う。福島駅から飯坂線に乗ると列車が既に温泉のれんをかけた車両でテンション上がる。飯坂温泉には5年ぶりくらいの訪問になるが、駅を降りた瞬間から飯坂真尋の吊看板、観光案内所にも当然飯坂真尋。街中の旅館もロビーではなく玄関先に飯坂真尋のパネルを設置している。自販機には福島県の温泉むすめのラッピング。数えきれないほどのポップ。10を超えてからは数えるのを止めた。街が一変している。
飯坂真尋ほど地域の愛を一身に受ける温泉むすめを他に知らない。飯坂真尋は他の温泉むすめと比べて特徴的なルックスではないが、その分アレンジが利かせやすくどんな衣装でも着こなせてしまう。その特性を最大限に活かして、飯坂温泉の数えきれないほどのスポットに様々なコスプレをさせた飯坂真尋ポップが溢れている。
飯坂温泉は町出身のオリンピック選手か紅白歌手かのように飯坂真尋を訪問客に誇らしげに紹介している。アニメの聖地などではあまり見られない現象だが、飯坂真尋に限っては東京のオタクよりも飯坂温泉の住人の方が遥かに飯坂真尋を愛している。二年ほど前に借りてきただけのキャラのはずなのにどうしてこんなことが起きるのか。
宇奈月温泉がももクロに染まるのは理解できる。ももクロの熱には魅了されて当然。でも、同じくらいのテンションで飯坂真尋に熱狂する飯坂温泉はちょっと理解の外にある。
自分の好きなアニメキャラを普段アニメを見なさそうな人たちが同じように好きになってくれる様子を見るのが聖地巡礼の楽しみのひとつでもあるが、今日初めてその姿を見る飯坂真尋が多くの人に愛されていることを知って、同じように嬉しく思う。こんな経験は初めてだった。
芭蕉も浸かったという鯖湖湯の隣の鯖湖神社には飯坂真尋のイラスト絵馬がたくさんかかっている。小野川町の甲子大黒天を思い出す。超愛されてる飯坂真尋。でも、よく見るとイラスト絵馬の半分は塩原温泉観光協会プロジェクト88メンバーよりとか書かれてる。互助会だった。塩原温泉グリル三笠軒オーナーは飯坂真尋でなく自分の似顔絵を絵馬に描くナルシスト。鬼怒川温泉が近いせいで塩原温泉は行ったことなかったけど、近いうちに那須塩原の温泉むすめにも会いに行こうと思うよ。グリル三笠軒にも寄ろうと思うよ。
愛宕山の温泉神社前から飯坂温泉の街を眺め、旧堀切邸を見学、八幡神社を参拝、鯖湖湯のクソ熱い温泉に浸かってすぐまた波来湯のクソ熱い温泉をはしごし、ラヂウム最中とラヂウム玉子をお土産に買いこんで、地酒「摺上川」の4号瓶を購入して水郡線で水戸に着くまでに全部開けた。ここ飯坂温泉にはまた必ず来るだろう。
8月に三朝歌蓮、玉造彗が駅メモ!に実装されるとまた早速出かける。前日は皆生温泉で温泉を使い境港で海鮮丼を食べて松江のビジネスホテルに投宿。翌朝玉造温泉に向かい観光案内所で玉造彗のパネルを撮影、キーホルダーを購入する。駅メモ!勢が訪れる以前からも玉造彗ファンは相当数足を運んでいたようで、案内所の人も慣れた様子だ。その後、玉造温泉ゆ~ゆという洋式便器のような形状の施設で温泉を楽しみ、三朝温泉に向かう。
途中、琴浦町の道の駅で「琴浦さん」グッズが復活していないことを確認して、青山剛昌ふるさと館を見学、倉吉でお土産の梨を買ってから三朝温泉を少し通り過ぎて三佛寺投入堂を参拝、一人では崖の上のお堂まで行けない決まりなので行き会わせた年配のご婦人二人とチームで崖を登る。取って戻して三朝温泉、街には射的のある娯楽場、向かいには右翼の事務所、橋の方に向かうと大綱引資料館などという建物もある。小さな銭湯たまわりの湯で温泉に浸かり、観光案内所ほっとプラ座で「みささ温泉観光大使」のたすきをかけた声優サイン入り三朝歌蓮のパネルの写真を撮ってキーホルダーを購入する。
三朝歌蓮は儚げな美少女キャラで可愛いのだけれど、その隣に立つ「宇崎ちゃんは鳥取で遊びたい!×三朝温泉」の宇崎花と赤羽根健治のパネルの方が観光案内所の雰囲気にはマッチしていた。今更だけどやっぱり温泉に制服姿は似合わないわ。
しかし、観光案内所で最も強いインパクトを残したのは、三朝歌蓮でも宇崎花でもなく、三朝温泉マスコットキャラクター湯けむり怪獣ミササラドンだった。有袋類の怪獣らしくお腹のポケットに赤ちゃん怪獣も入っている。こいつが三朝温泉の温泉むすめでも良かったのに。ミササラドングッズはタオルとストラップとシールを買う。
ほっとプラ座には他の温泉地の温泉むすめの缶バッチも売られていて、ご婦人方が入れ替わり立ち代わり缶バッチを熱心に見ていた。本当はご当地キティを探していたのかもしれない。
その後、鳥取市のビジネスホテルに泊まり、翌朝すなば珈琲に寄って砂丘に寄って岩美町で「Free!」の聖地巡礼をして余部鉄橋見て帰路についた。
その後も、駅メモ!と関係なく修善寺透子、高山匠美、白浜帆南美、十津川飛香と出会ったり、別府や奥飛騨では温泉むすめパネルの存在は知っていたけれど設置場所まで足を伸ばすのが面倒でスルーしたりした。それが今年10月までの話だ。
つづく
仁藤氏の発言に端を発した騒動は、運営が火の付いた設定を削除、関係が曖昧な後援団体の看板も下ろし、スポーツ文化ツーリズムアワードの受賞も辞退、その後は何事もなかったように平常運転を続けている。仁藤氏も当初から米山議員との諍いの話題そらしの感があったが、早々にフェードアウトしていた。
温泉むすめの設定は、セクシャルな趣味や未成年であることを匂わせる学年表記が消え、30歳で見えなくなる設定も消えた。今回の騒動以前にも不適切な描写のいくつかが削られ、修正されることは何度もあったらしいが、傍から見て温泉むすめはどんどん健全な方向へ変化していっているようだ。喜ばしいことだと思う。
温泉むすめの飲酒行為やエロ趣味は公式サイトを見なきゃ分からないんで、今回仁藤氏がサイトを覗きに行くまではコアなオタク以外誰も知らない設定だったりした。で、飲酒の言い訳に使われている「温泉むすめは神さまです」という設定も公式サイトを見なきゃ分からないんでこれも誰も知らない設定だったりした。
温泉むすめは容姿も能力も人間と何ら変わりないので、姿を見ただけでは神さまと判別することはできない(龍神温泉の龍神晴除く)。Tシャツ姿のラブやんを見ても愛のキューピッドだとは分からないし、スーツ姿の大川隆法を見ても地球神だとは分からないことと同じだ。
オタクが喜んでくれるだろうと作った神さまとか学校の設定。オタクが喜んでくれるだろうと作った温泉むすめのプロフィール。ゲームアプリとか温泉むすめ声優のライブみたいな2次元、2.5次元の中にいた頃はオタクが喜んでくれるだけで終わっていた表現が、温泉地とコラボして3次元に出てくると仁藤氏みたいな人に見つかって吊るしあげられることになる。
まあ、温泉観光協会や自治体の公認を貰って観光庁にも後援してもらおうっていうのなら、遅かれ早かれオタクノリは見直す必要はあった。
私は仁藤氏の温泉むすめの絵柄についての抗議は頷けないけれど、設定への批判は十分理解できる。そして(温泉むすめのコアファンとは違う層だとは思うけど)、営利目的で温泉むすめのセクシャル設定を残せと主張していた一部オタク論客の意見に全く同意しない。まあ、フェミニスト側の人間だよね。
ここにフェミニストたる私が温泉むすめの思い出と温泉むすめコンテンツに願うことを書く。
書いたのはもうしばらく前だけど、騒動の際中には放り込みたくなかったんでそろそろ世間が忘れた今放流する。
日記部分が長いので三分割くらいにする。
私は温泉むすめのゲームアプリは一度も触ったことがなく、温泉むすめ声優のイベントにも参加したことはない。ただ、ここ二年ほどの間に温泉むすめの等身大パネルやキャラグッズを目当てに全国の温泉地30か所以上を巡った。
私は元々温泉巡りが趣味で年に50か所ほどの温泉を訪れている。毎週温泉に出かけている訳じゃなく、一日で複数の温泉地をはしごするのでこの数になる。有名な古湯から山中の秘湯、天然温泉利用の銭湯まで種類は問わない。一人旅なので温泉旅館には泊まらない。だいたい車で移動するのでアルコールも摂らない。朝風呂をキメて走り、外湯巡りをして道の駅で土地の名物を食べまた走り、寺社や景勝地を観光し外湯巡りをしてビジネスホテルに泊まる。これを繰り返す。
また私はアニメの聖地巡礼も趣味にしている。今年巡礼に出かけた作品は、「ジョゼと虎と魚たち」「魔女見習いをさがして」「君は彼方」「竜とそばかすの姫」「サイダーのように言葉が湧き上がる」「劇場編集版かくしごと」「岬のマヨイガ」「きんいろモザイクThankyou!」「神在月のこども」などだ。
「EUREKA」を見て檜原村にも行きたくなっているし、「フラ・フラダンス」も面白かったからいわきにもまた行くことになるだろう。
アニメで描かれた景色の写真を撮り、アニメのポスターがあれば写真を撮り、ついでに立ち寄った温泉地にゆるキャラがいればこれまた写真に撮る。志摩リン、なでしこの訪れた温泉は全てトレースした。それでもこれまで訪れた温泉地で偶然温泉むすめに出会うという経験はなかった。
初めて温泉むすめの存在を知ったのはゲームアプリ「駅メモ!」と「温泉むすめ ゆのはなこれくしょん」のコラボイベント「日本全国温泉駅巡り!(2019年5月24日開始)」だった。
駅メモ!ではアニメやゲームとコラボするスタンプラリー型イベントが何度か開催されており、チェックポイントの駅に行けばご当地アニメのパネルにも会えた。特に「鉄道むすめ」とのコラボは相性抜群で、駅メモ!アプリで駅にチェックイン、改札を出て鉄道むすめのパネルの写真を撮り、トミーテック発行のスタンプ帳に鉄道むすめのスタンプ押印と、三倍楽しむことが出来た。
「日本全国温泉駅巡り!」では、温泉地の最寄り駅にチェックインするとアイテムかユニットキャラを貰える。その内7駅では温泉むすめのユニット草津結衣奈、鬼怒川日向、熱海初夏、黒川姫楽、伊香保葉凪、いわきあろは、大手町梨稟が貰える。熱海や鬼怒川に行くだけで、一回500円のガチャを回さなくてもユニットが確定で貰えるのだ。
鉄道むすめコラボでは全国32か所の駅にチェックインしても貰えるユニットは立石あやめひとりだけだったのに、温泉むすめコラボの報酬は破格だ。行くしかない。
こうして7人の温泉むすめに会いに行く旅は2019年5月にスタートした。
最初に訪れたのは阿蘇。駅にチェックインすればユニット黒川姫楽が貰える。ただ、阿蘇駅はあくまで最寄り駅というだけで黒川温泉のある小国町は阿蘇駅からは離れた場所にある。そのせいか駅には黒川姫楽のパネルなどは見当たらなかった。代わりに熊本ゆかりの尾田栄一郎にちなんだ黄金のウソップ像が立っている。
その後、黒川温泉に向かい日帰り入湯できる旅館で温泉を楽しむ。黒川温泉では入湯手形を買えば三か所の外湯が利用できるのだが、すでに日は落ちていたので利用するのは一軒だけにした。黒川温泉は過去に何度も利用しているし、今日は大分市のホテルまで車を飛ばすのだ。
記念にキャラパネルを撮影しておこうと、入湯させて貰った旅館でスマホ画面の黒川姫楽を見せ「このキャラご存じですか?」と尋ねたが「分からない」との返事。まあ、聖地巡礼先で地元民がご当地キャラを知らないなんてことはこれまでいくらでもあった。景観に配慮して看板もほとんど見られない黒川温泉でパネルが路上に設置されている訳でもないだろうし。
観光案内所も閉まっている時間なので、パネル撮影は諦めることにした。
この空振りは草津でも続いた。長野原草津口駅で、草津結衣奈について尋ねてみたがここでも知らないという。草津温泉もJRの駅からは離れているし仕方ないのかもしれないが、これはもう地元で聞いても駄目だと、Google検索してパネルが展示されているという湯畑の玉屋酒店を訪ねた。
玉屋には声優のサイン入り草津結衣奈パネルが飾られており、缶バッチ、キーホルダー、お守りなどのグッズも販売されている。よく見る光景にやっと出会えた。聞くとどうやらこの玉屋と草津スカイランドホテルでしか草津結衣奈には会えないらしい。何か扱いが小さい。
調べると、温泉地から公認を貰っている温泉むすめは4人しかおらず(2019年7月時点)、黒川姫楽も草津結衣奈も温泉の公認キャラではなく、名乗りを上げた有志が温泉むすめを宣伝してくれている状態のようだった。ただ草津では温泉むすめのイベントは何度も開催されているらしい。どうやらアプリの方には熱心なファンが付いているらしいが地元との温度差は気になるところだ。
それでもパネルに会えただけで嬉しい。玉屋でキーホルダーを買い、御座之湯で温泉に浸かり、温泉りらっくまのぬいぐるみを買って帰路についた。
何か最初に想像していたものと違う。公式サイトのNEWSページを読んでみると、どうやらゲームアプリも本体ではなく、温泉むすめを演じる声優の楽曲販売とライブイベントが太い柱というか温泉むすめという存在のほぼ全てだった。
日本の温泉地の公認はまだ有馬温泉と道後温泉しかない状態なのに楽曲のCDとドラマCDは10枚以上リリースされ、ライブやトークショーは50回以上開催されている。しかも羽田空港で15回もイベントをやっているとか、こんなのもう空港むすめじゃないか。
空港イベントの盛況を材料に温泉地にコラボを売り込んでいる最中らしく、この程度の実績なのに観光庁の後援も取り付けたようだ。運営企業の営業力には見るものがある。
これまで温泉地で見たことがなかった訳だ。これは温泉地の名前のアイドルが羽田空港でライブをするコンテンツで、温泉むすめファンは温泉好きでも何でもない東京の声優オタクだった。
でもイベントで草津温泉までは何度も来るその情熱は凄い。まあ、草津結衣奈役の高田憂希は可愛いもんな。「NEWGAME!」のあおっちだもんな。
気を取り直してパネルを探す旅を続ける。伊香保温泉、いわき湯本温泉は観光案内所に、熱海は温泉ではなくレストランにパネルが置かれていた。鬼怒川温泉も観光案内所にパネルがあったようだが夜遅くに着いたため会えなかった。
どこでも温泉むすめファンは熱心に足を運んでくれているようで、パネルの評判は良かった。
ただ、大手町温泉だけはキャラパネルどころか入れそうな温泉すら見当たらなかった。なぜこんな所にチェックインスポットを作ったのか謎だ。
7温泉地を巡ってユニットも手に入れ、温泉むすめとはかばかりと心得、アプリを仕舞おうとした頃、以前より温泉地に公認されていた有馬温泉の有馬輪花、有馬楓花姉妹が駅メモ!イベントに追加参入することになり状況は変わった。
地元に近いのであまり頻繁に来ることもなかった有馬温泉駅を3年ぶりに訪れてみると、改札前にいきなり有馬姉妹のパネルが現れた。観光案内所にもスカイマークの制服を着た有馬楓花のパネルが設置されており、街の至る所にはポスター。金の湯、銀の湯を過ぎて、デイユース目的のかんぽの宿有馬にたどり着くとここにも姉妹のパネル。炭酸煎餅の三ツ森本店では有馬姉妹パッケージの炭酸煎餅も売られている。以前から萌えポスターのようなものはちらほら見かけたけれど、今はその大半が有馬姉妹に入れ替わっている。
有馬輪花は赤い瞳に赤いボブヘア、黒のセーラー服、キャラ原案はMika Pikazoさん、有馬楓花はグレーの瞳にグレーのツインテール、グレーのセーラー服、キャラ原案はさくら小春さん。姉妹なのにびっくりするほど似てない。めっちゃ適当。だけど可愛いから気にしない。
店員さんに聞くと過去には温泉むすめの声優が来る販売イベントなども行われ、温泉むすめと神鉄や北神急行と連携したコラボ企画もあり、そのたび全国からファンが訪ねて来るのだという。神戸新聞にも盛況が取り上げられていたようだ。
大阪駅から一時間で来られる有馬温泉は草津温泉へ行くより遥かに楽だし、声優が来るなら声優オタクもそりゃ来るわ。有馬輪花の声優は本宮佳奈、フェネックだ。有馬楓花の声優は桑原由気、メイドラゴントールだ。そりゃ来るわ。炭酸煎餅買いに来るわ。
聖地商売などしなくても既に圧倒的な知名度を持つ有馬温泉が、有馬姉妹というアイコンを手に入れ、団体旅行やシルバー世代だけでない客層を貪欲に取り込もうとしている。
元々有馬は豪華なホテルや旅館が並ぶ賑やかな場所だし、この街は常に新しいものを受け入れて、いつまでも明るく楽しく変化し続けるのだろう。
温泉むすめラリー熱が加速する。その後、さらに駅メモ!イベントに追加された道後泉海、秋保那菜子、箱根彩耶、奏・バーデン・由布院、下呂美月、登別綾瀬を手に入れる時は、事前に温泉むすめパネルの展示場所やグッズ販売所を確認し、温泉むすめファンのブログなども参考にしながら出かけた。登別や由布院では姿を見ることはできなかったが、箱根のカフェや道後温泉、秋保温泉の観光案内所ではグッズも買うことが出来た。
結局駅メモ!のゲームイベント期間中に、登別温泉、浅虫温泉、鳴子温泉、秋保温泉、いわき湯本温泉、鬼怒川温泉、草津温泉、伊香保温泉、箱根湯本温泉、宇奈月温泉、和倉温泉、芦原温泉、石和温泉、下呂温泉、熱海温泉、榊原温泉、おごと温泉、有馬温泉、城崎温泉、玉造温泉、温泉津、道後温泉、武雄温泉、黒川温泉、人吉温泉、由布院を訪れることになった。
並べると何か凄そうだけど、駅メモ!のランカー勢はこの上にまだ2000人くらいいる。
そして、「温泉むすめ ゆのはなこれくしょん」は駅メモ!コラボのイベント期間終了を待たずにサービスを終了した。温泉むすめファンはゲームには課金してくれなかった。
つづく