「心の琴線に触れる」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 心の琴線に触れるとは

2024-02-07

自分よりも頭の悪い女がお好きだったんでしょう?

思い出した発端はこれ、https://note.com/motoyamadadesu/n/nd2ec09ff5738

これ中受という、人の心の琴線に触れるテーマ子供プライバシー勝手に書いてたりの可燃性が強い文章話題になってはいるが、実は昔から見かける構図。「嫁が馬鹿から俺の息子(娘)が馬鹿に育ってしまう!」というのは大昔からある話でそれこそ平安時代から嫁が愚かだから子供も愚かだみたいに言われていたり。

そして、ひと昔前の昭和の日本では、嫁←姑間で繰り広げられる戦いだったように思うけど、父親の子育て参加により「俺の子(私の孫)が馬鹿なのは嫁が悪い」戦争父親本人が参戦したということなのかも。男性育児進出ばんざい。

話は変わるが、昭和平成初期ぐらいまでに生まれ男性の中で、高学歴の人の、多数派が「自分より賢い女は面倒くさい」というマインドがあった。今はかなり薄れていると思うけど、かつては物凄くあった。

数年前に「東大女子お断りサークル」「早稲女お断りサークル」というテーマ話題になっていたが、要するに出会い目当てのチャラいインカレサークル自分と同じ大学女子学生がいると何かとうっとおしいし、そもそもガリ勉女とかブスばっかりだろ?というノリで、「自分と同程度の賢い女」を交際相手から排除する男子学生が、そこそこかなり多かった。

https://bunshun.jp/articles/-/52500東大女子お断り」「他大女子へはバカいじり」…在学生も黙認する東大インカレサークルに残る衝撃の“男尊女卑構造

https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/6172東大女子お断りサークル」が抱える二重の差別 「伝統理由に罪悪感なし

https://www.todaishimbun.org/gender20190307/ 東大女子の参加を認めないサークル 東大内に少なくとも3つ

東大早稲田に進学した女子学生は、入れるサークル選択肢男性に比して半分以下だ。インカレサークルはほぼ全滅で、「東大女子でも入れます!(たまーにある)」「女子東大女子のみ!(ほぼ無い)」と謳っているいるサークルしか選択肢がなかった(「東大女子もいます」系サークル強者東大女子ハイレベルマウントが飛び交う恐ろしい空間でそれはまた別の話になるが)。

個人的なことを言えば無事?に、数少ない「入れるサークル」の中から温和なサークル所属し、割とのんびりと楽しく過ごし、サークルとは別の場所ゼミ)で穏当に彼氏を見つけ結婚して今に至るけれど、同級生男の子たちの半数以上は、インカレサークルで他大の女の子をちやほやしたりしながら大学を出てしばらくして結婚したり、その子とはお別れしても「自分よりは賢くない女」知り合って結婚したりしている(同級生男の子たちはなぜか結婚が決まった報告の時に彼女学歴を言いがち。どこで働いてるかよりどこの大学出てるかを言う)。

そして彼らの子供が成長し進学時期になると嘆くのだ。曰く、嫁に任せられない、俺が忙しい時間を縫って勉強を見ると全然だめで愕然とする、俺が二人いたら一人は仕事をしてもう一人がマンツーでサポートできるのに(ほんまかいな)、本当に俺土地がつながっているのか(顔がそっくりですよ…)などなど。

自分から『頭の悪い女(便宜的にこう言います偏差値学歴けが頭の良しあしを図れる尺度ではないのは存じております)』を選んでおいて、結婚して子供が生まれたら「嫁の頭が悪くてさ…」って言われても、はぁそうすか、という感想しかならない。そもそも友人の配偶者学歴とか、友人の私が知る必要もないのに彼らは一様になぜか報告してくる不思議。妻からしたらそんな言い方を外でされてるのを知ったら悲しむだろうと思うのだが。

ところで、この「お断りサークル」、もう今は絶滅危惧だろうと思うけれど、ちょっと昔の「それが当たり前だった時代」でも、「お断りサークル」のある大学って限られていたのが面白かった。高校同級生たちと進学後、大学でどんな感じ?と近況報告をしあったときに「お断りサークル事情」に傾向があって面白かった。20年ぐらい昔の話なので今は様変わりしてると思う。サークル活動自体が下火になってそうだし。

慶応は「お断りサークル」と明言しているところはほぼない代わりに見えないヒエラルキー(内部進学の子しかいない不文律があったり)があったとか、偏差値的にもう少し低い大学だと「お断りサークル」は減っていく代わりに、他大のインカレに入りたがる女子が多い(狩猟女子…)という話とか。

なんにせよ、子供は半分が自分DNAなのだし、妻をひたすら罵倒したところでそれを選んだのはお前だろう、以上の話が本当に出来なくて困るんだ。姑の文句なら「息子があんな嫁を選んできたから孫が馬鹿になった」と、理不尽ではあれどまだ理屈は通っているが。

2023-12-09

パンが跳ねた!

この前、昼休み会社の近くのパン屋パンを4つくらい買って、チャリで家まで帰って、また出勤したんだよ

パン、全部は食わなかったんだけど、終業後に食うかもと思って、出勤用のバッグに入れてチャリのカゴに乗せてまた出社したわけ

そんで、チャリ漕いで会社に近づいてきてさ、あーまた午後も仕事か〜、帰りてえ〜、と思ってたところで、チャリがちょうど段差に差し掛かって大きく揺れたんだけど、そしたらまあパンは跳ねるわけじゃん

チャリのカゴがガタンと揺れて、一拍遅れて丸いパンが5センチくらい飛び上がるわけ

うわ〜、いいなあ!と思ったんですよね なんか

理由マジでわかんねえけどさ、冬晴れの、ダウンジャケットがむしろ暑いくらいのいい気候の中、クランベリークリームチーズが入ってるっていう丸いパンが跳ねる っていう光景は、なにか俺の心の琴線に触れるものがあったらしい

人生って意外と悪くねえのか?!と一瞬思いすらした

そういう瞬間があってほしいよな

2023-10-19

anond:20231018235734

訳語としては

動詞形容詞として

心の琴線に触れる」(こころのきんせんにふれる)

「心に沁みる」(こころにしみる)

英語形容詞として

emotionally moving

heart-touching

stirring

2023-09-13

おばさんに人気なおばさん政治家共通点

百合子とかドリルとかはたくさんの猛信者を抱えているけど、どういうところが心の琴線に触れるんだろ

2021-09-06

増田投稿を始めてまる1年が経過したので成果をまとめた

2004年はてなアンテナから参入し、今年で18年目の古参と言ってもいいと思うのだが、自分には一才の文才がないと思っているし、過去いくつかブログをやってきたが文章でバズったことは一度もなく、ましてや見ず知らずの人の心の琴線に触れるような情緒的な文章や、披露するに値するような専門知識もない自分にとっては、増田投稿することをずっと敬遠していた。

昨年9月にふと何の気無しに投稿をしてから、気が向いては適当文章を書くようになった。

ちょうど一年が経過したので、どのくらい読まれたかを振り返った。その成果は以下の通りである

 

エントリ数:96

0ブクマ:79

1ブクマ以上:17

10ブクマ以上:6

100ブクマ以上:2

 

野球に例えて、1ブクマ以上を安打とする場合、96打数17安打打率は.177で二軍落ち間違いなし。直近は16打数ノーヒットで復調の兆しも見えず。

1ブクマ安打、2ブクマ〜9ブクマ二塁打10ブクマ〜99ブクマを3塁打、100ブクマ以上を本塁打とする(激甘判定基準)と、長打率は.404で散々たる成績である

エントリの半分くらいはブクマコメントもされておらず、ネットの海に漂う藻屑と化している。

 

定期的に増田投稿している他の人もどうなのか知りたいところである

 

個別データは以下の通り。数字はてなブックマークブックマークされた数を示す。ちなみに、セルクマは一切やっていない(えらい)。

↑古い

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↓新しい

2020-12-03

二次元で抜けんの?分かんねぇなぁ絵じゃん。てかセックスの方が良くね?」

当時はこの先輩煽り性能高いなぁとしか思えなかった。今となっては自信を持ってこう言える。

世界には心の琴線に触れるものがたくさんあります。そよぐ風、揺れるススキの穂、気分屋の空と雲。俺は、その気になればそのすべてで抜けます。この世界は箱庭で、素敵な大人のおもちゃ箱です。

私が抜けるものをつらつら申し上げてもよろしいが、あなたが私には抜けないものを探して来る方が手間がかからないでしょう。もっともそれも日が昇り、また沈んだ頃には抜けるようになっていますがね。

2020-11-03

anond:20201026003439

似たような境遇で生まれ育ち、都会の大学を出て現在東京で働いている身として心の琴線に触れる内容だった。

入社たころ、東大出身の同期に「どうやったら東大に入れるの?」と聞いたところ、

都内進学校ではどの塾に行ってどの参考書を読めばいいか情報が共有されているからそのとおりやれば簡単だよ」

と言われて、ああこれが格差か、と思ったことを思い出す。

社会学者苅谷剛彦氏が、日本社会を評して「学歴以前のカテゴラルな条件づけによってあらかじめ序列化されている社会」と

述べているとおり、都会のごく限られた一部の者と、田舎に住む者との間の断絶はもう埋められないところに来ていると

強く感じる。

2020-09-25

vscodeって何が秀逸なの?

electronで作られてるって点ではatomと同じだけど。

速度とかは置いといて、機能的には何が優れている訳?

使ったことないおじさんにおしえて欲しい。

もしぼくの心の琴線に触れることができたらvscodeデビューしようと思う。

2019-10-17

特典映像地雷を埋めるな

こないだDMMからプレゼントをいただいたんです。

買った覚えのない作品が購入済みリストに並んでいて、内容は新作のダイジェストの詰め合わせでした。

調べるとタダで配っているようだ。見て気に入ったものがあったら買ってくれということだろう。「特典プレゼント」と謳いつつも要は広告である

別にこちらがなにか損をするわけでもないのでありがたくいただいておくことにして、内容のほうを順に鑑賞していった。

もうだいたいタイトルから結論は見えているだろうと思う。

あなた萌えは誰かの萎え」の格言を引くまでもなく、そもそも性的指向というのはきわめてパーソナルなものであって、だからこそAVには無数とも言える多種多様ジャンルがあふれているわけで、むしろ世にある作品ほとんどが not for me だと言ってもよい。

毎月何百タイトルと発売される種々雑多な作品の山の中から自分感性と一致する、心の琴線に触れる作品を探しだすのは宝探しにも似た営みである

なにしろ「好みの女優」と「好みのシチュエーション」と「好みのプレイ」が(OR条件ではなくAND条件で)一致しないといけないのだから、これだと思える作品は本当に本当にひとにぎりなのである

脱線しすぎた。

まりプレゼントされたダイジェスト集も、予想どおり not for me の詰め合わせだったのである

そこまではいい。

当然予期していたことだ。

詰め合わせなのだからより多様な作品が幅広く収録されていたほうが理にかなっている。それに、自分でも気づいていなかった自分の中の感性の扉が、なにかの拍子にノックされることだってあるかもしれない。

だけどさあああああああああああああ!!!!!

 

スカトロは別でしょおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

2019-03-28

ロボットアニメについて、すっごく雑な

あれ、左翼にとってはガンダムよりもマクロスの方が心の琴線に触れるのかね?

なんつーか、歌で平和をみたいな感じのところ。

エヴァ?アレは監督自衛隊大好きな右翼アニメじゃないの?

2018-05-26

パッと思いつきでちょいちょいちょいっと書いてる増田が多いか普段ブクマつかないんだけど

そんな中で唯一のブクマくれる人が大抵あのブクマ

内容はそれぞれ結構違うのに

なんかあの人の心の琴線に触れることを毎回書いてんだろうか、自分

2017-07-29

https://anond.hatelabo.jp/20170729060320

なんていうか、流れ作業リーマン職人とのせめぎあいという感じもするな。

いい素材があったから、それをテキトーな形で大きな媒体で扱かって宣伝いっぱいすれば儲かるんだ!って流れ作業リーマンがあまりに増えすぎてる。

ましてや、気遣いばかりで本当に意味があるものが何か?も考えず、みんなでうえーいやって角立てずに作れば儲かるのができるよね!みたいなの。

注意しないとならないのは儲かるんだ!であって、いい作品ができるんだ!ではない。

でも、心の琴線に触れるような作品媒体というのは、やはりとことん考えぬかれて細部まで作りこまれたようなもの。どこまで言っても職人芸。

そこの本質を踏まえず適当に表面つら真似ても意味はない。色んな所でボロがでてる。

無論、大きなものをつくろうと思えばマネジメント必要だけども、そちらはそちらで「自由にやったらいいんだ!」みたいなものでめちゃくちゃになりつつある。

けど、大組織が絡むと、どうしても流れ作業リーマン最近のプアマネジメントに流される。

そうすると、職人の丹精込めた味である比較的低レイヤー小説本、せめて漫画ぐらいでいいものを見つけるぐらいのほうがいいのかもしれない。

2016-09-10

アイヌ殺す問題本質

アレはヘイトスピーチであるかどうかが問題なのではなく、それに付随したツイートの「鷹飛ばすぞ」という人の心の琴線に触れる絶妙フレーズによって当該ツイート拡散された結果、くたびれはてこのような人権寄生虫の目にもとまってしまったという所が本質

まり面白すぎて拡散されるような絶妙フレーズは控えましょうというのがこの問題の唯一の結論

2013-02-18

海賊FMラジオのこと

※この話は実話を元にしていますが、あくまフィクションです。

大阪1994年の春頃。俺は15歳で高校受験の年だった。

当時は、勉強しながらよくラジオを聞いていた。友人たちがよく聴いていたのはAM放送のほうだったのだが、音質も悪くて、トーク主体番組が多い気がしてどうも性に合わず、俺はもっぱらFM放送を聴いていた。

あの頃の大阪FM放送といえば、5年前に開局した80.2MHzFM802が斬新な放送スタイルで一大ムーブメント形成しており、FMが流れている店は大体FM802チューニングされているといった風潮だったが、洋楽主体とはいえ基本的チャートインするようなメジャー楽曲ばかりを流す802は俺には物足りなかった。

なにしろその頃の俺はYMOを経て電気グルーヴを聴き始めた頃で「テクノ」と名のつく音楽に飢えていたからだ。

ネットもない時代サブカルに半分足を突っ込んだ引っ込み思案の中学生には情報もないし、それを補う行動力もない。しょうがないのでCDレンタルで、とにかくそれっぽい音楽を、BUCK-TICKカシオペア姫神、ようするにシンセが使われている音楽ならなんでもいい、といったところまでストライクゾーンを広げて、片っ端から聴いて、なんか違うよなあ、と思いつつ、飢えをしのいでいた。


そんな時、周波数75MHz付近ラジオ放送欄に存在しない局が存在することに俺は気づいた。

音質はかなり悪く、兄から受け継いだ馬鹿かいラジカセアンテナ限界まで伸ばしてようやく視聴可能というその謎のラジオ局は、だいたい19時頃から受信可能になり、深夜3時頃にぶっつりと止まる、明らかに海賊ラジオなのだが、俺はすぐさまその局に夢中になった。

なにしろ、その局は、俺が全く聞いたことも無いようなレイブテクノばかりをCMトークも無しにノンストップで延々と再生しつづけるという、まさに狂気ラジオだったからだ。


それからというもの、家に帰って飯を食うと、勉強と称してそのラジオを聞くのが日課になった。

そのうち、音楽の合間に海賊ラジオの主とおもわれる若い男のコメントが一瞬はさまれる事に気づいた。

彼は「○○MHzバンブーラジオ」とだけボソリとつぶやくとすぐに次の曲をかけた。

バンブーラジオレイブテクノの垂れ流し(いわゆる今は中古CD屋で100円以下で叩き売られているジュリアナコンピのようなノリと思ってもらえば良い)は、それほど当時の俺の嗜好に合っていたわけではなかったが、TUTAYAで借りたチックコリアよりはよっぽどテクノっぽかったし、中には心の琴線に触れるような名曲もあったのだ。

その度に俺は、この曲は何という曲なのか、どこに行けばこの曲が入ったCDを買えるのか、切実に知りたかったが、なにしろ曲名を読み上げもしないバンブーラジオなのだ。それを知ることはできなかった。

そんなある日、いつものようにバンブーラジオをかけると、珍しく人の声がした。おそらく生放送で、バンブーラジオ局の主とその友人とおもわれる若い男が二人で楽しそうに会話している。

会話は主が友人に海賊ラジオを始めるよう勧誘する内容で、

FM放送なんて簡単だって日本橋でパーツ買ってきて、ちょっと改造したらええだけやん。3万もあればできるで」

みたいなことを言っていた。俺は、個人FMラジオを開局するという、そのとんでもない発想に興奮し、乗り気でない友人に替わって、自分にその方法を教えてもらえないものか、とすら思った。


ダベリ放送は延々と続いていたが、日付が変わった頃、主が

「そうだ、リクエスト受け付けてみるか」

と言い、おそらく主の自宅の電話であろう、電話番号を読み上げた。

俺の胸は高なった。「同じテクノ好きな人間と話すチャンスかもしれない!」

電話番号をメモしたものの、しかし、実際に電話をかけるとなると、躊躇した。俺は無知なただの中学生で、しかも主のかける曲名、ましてやそのジャンルが何というのかすらまったくわからなかったからだ。(当時はディスコでかかるような曲、という程度の認識だった)

リクエストしようもないし、そもそも俺が知りたいのは、いつもかかる曲の曲名のほうなのだ

そんな質問をするために自分電話していいものか…さらに言うと、携帯もない時代に、固定電話のある真っ暗な居間に降りていって、見知らぬ、それも違法めいた事をしている男に電話をかけるというのも、何かすごく悪いことをするような感覚があった。もし電話しているところを厳しい母親に見つかったら、と想像すると、俺の興奮は急速に冷めていった。


ラジオの向こうの電話は鳴らなかった。

正確には一回だけ鳴ったが無言電話だった。もちろん犯人は俺ではない。

そのうち、主とその友人も飽きてしまって、元のノンストップ放送に切り替えた。

残念な気もするが、まあ、また機会もあるだろう、俺はそう思って納得することにした


バンブーラジオはその後も放送を続けていたが、やがて、いつもの時間でも休止していることが多くなり、放送があっても、まったく関係ない、違う個人運営ラジオ放送素人くさい女DJJ-POPトークの合間にかけるといったもの)を中継していることが多くなった。

季節は冬になろうとしていて、受験本番の日が近づきつつあった。

ある時、習慣でバンブーラジオラジオを合わせると、聞き慣れたレイブテクノが聞こえた。

ああ復活したんだな、良かった。

と俺は思い、そのまま聴き続けたが、合間にいつも主がはさむ「○○MHzバンブーラジオ」の名乗りに変化があった。

「○○MHzバンブーラジオ。今夜が最後です。」

俺は驚愕して、眠い目をこすりながら放送を聴き続けた。深夜2:00頃だろうか、音楽ふいにフェードアウトし、主のボソボソ声に切り替わった

最近忙しくて、ちゃん放送ができなくて申し訳ない。この放送は、○○(大阪地名から放送してるんですが、なんかどうも電波岸和田あたりまで届いてたらしいですね。どれぐらいの人が聴いてくれていたかは知りませんが、今までありがとうございました。」

放送を辞めるのは、神戸に引っ越すからで、そこでも放送を続けるかは正直わかりません。やりたいとは思ってますけど、設備問題もあるので。」

「ではそろそろお別れです。スイッチを切ったら、屋根アンテナ外して、これでバンブーラジオは本当に終わりです。」

そして、数秒のブザーの後、放送は止まった。ヘッドフォンからホワイトノイズが流れていた。


あの時、電話しとけば良かったなあと俺は少しさびしくなったが、実は、その時にはそれほど感慨はなかった。

なぜなら、俺は既に電気グルーヴテクノ専門学校シリーズを手に入れて、自分好きな音楽クラブテクノミュージックというものであることを知ることができており、またテクノ専門学校セールスがそれなりに良かったのか、ソニーミュージック海外インディーズレーベルを中心としたリリースラッシュAphexTwinBlack Dogデトロイトテクノアーティストなど)もあって、大きなCDショップに行けば、簡単に好きなテクノミュージックが手に入るようになりつつあった。

なので、好みの合わないレイブ系のラジオが終わっても、わりとどうでも良かったのだ。

それから1ヶ月もしないうちに、1.17 阪神・淡路大震災が起こった。

俺の家の被害はガスが止まったぐらいで大したことはなかったが、尼崎に住んでいた叔父一家被災するなどして、大混乱だった。親戚全員の無事が確認された後、俺が真っ先に思い出したのは神戸引っ越しバンブーラジオのことだ。

ラジオで読み上げられる無数の被災者の名前を聞きながら、俺はバンブーラジオの主の無事を祈ったが、もちろんそれを確かめ方法はなかった。


その後、志望校合格し、春から始まる高校生活を前に、期待と不安で宙ぶらりんになっていた俺は夢を見た。

大阪電気の街、日本橋入学祝いお金を握りしめて、FM放送のための機材を買いにいく夢だった。

何故か、ピエール瀧バンブーラジオの主が同行してくれて、俺に色々とアドバイスをくれる。

棚に並べられた、無線機の列を眺めながら、俺はこれから始めるFM放送の構想にワクワクしている。


目が覚めた。そして、朝日の中、それが夢だとわかった時、本当の寂しさが襲ってきた。

俺の好きな音楽を一緒に楽しめる友人は、本当は一人もいないのだ。

中学友達AphexTwinAmbient Worksを聞かせても曖昧な笑みを浮かべるだけなのだ。そんなわけのわからん音楽よりこれ聴けよ、と渡されたカセットテープにはボンジョビミスターBIGが90分詰まっている。trfじゃないだけマシだけど、俺にはこの良さがさっぱりわからないのだ。

同じように、誰も、誰一人、AphexTwinの初期アンビエント空気感や、カールクレイグの無機質なマシンドラムの良さなどわからない。

俺はどうしようもなく一人だった。そしてそれは、春から始まる進学校での高校生活でも同じだろう。いやもっとひどいかもしれない。

夢で訪れた日本橋無線ショップに、俺は1週間前に実際に行っていた。自分FM放送を始めればあるいは、と思ったのだ。

膨大な機材に圧倒され、マヌケにも「FM放送をしたい」と馬鹿正直に店員に告げた俺は、表情を一変させた店員に「それは犯罪からね。帰ってくれる?」と追い出されたのだった。


幸いクラブミュージックはその後、ファッション文脈を得て一大ムーブメントを巻き起こした。送信機の代わりにシンセを買って宅録するようになっていた俺にもその手の友人が何人もできて、俺は一人ではなくなった。

ブームが終わって、俺が挫折して、シンセを全部売り払った今でも、彼らとの親交は続いている。

彼らとたまに昔話をする度に、俺はバンブーラジオを思い出す。向こうは俺のことなんて知らないだろうけど、今でも俺にとってバンブーラジオの主は、音楽を好きになって最初に出来た頼もしい先輩で、そして大切な友人だからだ。


皆がオフラインになった冬の夜、決してチューニングできないどこかの周波数で、あのアッパーでどうしようもなく頭の悪いレイブテクノが、あの時のままノンストップで流れ続けている。

俺は、まだそういう夢を見ている。


追記:海賊放送と書きましたが、バンブーラジオが本当に違法だったのか、実は知りません。でも電波が飛んでる範囲からして、当時のコミュニティFMに許された範囲は超えていたように思う。あと、念の為書いておきますが、この文章違法行為を助長する意図はありません。不正電波ダメゼッタイ。いい子は各種法律守ってネットでやりましょう。

 
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