はてなキーワード: 生王正生とは
ニンテンドースイッチのゲーム50本遊んで感想書いたのでまとめ(23〜47)
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第十弾。
シーズン1最終作ということで、今までの縦筋として伏線が貼られていた過去の事件、永劫会事件がついに描かれる。
今までの癸生川シリーズ全部盛りな贅沢な作品で、ミステリらしい意外な展開、文書の書き方で読者を騙すもの、マルチサイトの構成の妙、小説として情緒的な染みる文章と、良かったところが沢山ある。
シリーズを通じての伏線が回収される展開も多いため、必ず全作遊んでからここに辿り着きたい。
人によってはこの作品をシリーズで一番に据える人がいそうな、ゲームとしての完成度は抜群だった。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第六弾。
マルチサイトシステムを導入していて、伊綱さんと、生王の視点を行き来しながら事件を追う。
構造自体に仕掛けがある系の作品になっていて、ミステリやってる感がかなり強い。
人によってはこの作品をシリーズで一番に据える人がいそうな、トリックの魅せ方としての完成度は抜群だった。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第四弾。
もちろん、ミステリらしい意外な展開や、文章での表現を利用したトリックなどもあってそちらも楽しめる。
人によってはこの作品をシリーズで一番に据える人がいそうな、物語としての完成度は抜群だった。
株式会社オレンジのロマンティックミステリの第二弾で、女性主人公が事件を捜査して解決しながら男性キャラといい感じになっていくストーリー。
普通の女子大生が突然マフィアのボスになるという突飛な開幕ながら、割と丁寧で良い意味で地味な捜査と解決をしていく。
とはいえマフィアのボスらしく、違法行為をしてでも事件の手がかりを集めるところなんかは今作独自の魅力があり、このシリーズは女性主人公の成長も魅力なんだけど、今作ではマフィアのボスらしくなっていくという本当にその方向で成長していいのか? と困惑しながら遊ぶことになる。
そして本当にマフィアのボスらしくなっていくのが本当に面白くて、好きなところだ。
あのルートレターのシリーズ的には続編に当たる角川ミステリシリーズの第二弾。
奇作、怪作としか言いようがない前作とは違い、しっかりと地に足が着いた丁寧な良作だった。
主人公の八雲マックスが映像作家としての矜持を持つプロに徹する人間性なのも好印象で、熱苦しいものの痛快な好男子で好きなキャラだった。
またもう一人の主人公新人女優のリホも駄洒落に拾い食いと評されるひょうきんなキャラで、主人公がどちらも魅力的な作品だった。
株式会社オレンジのロマンティックミステリの第一弾で、女性主人公が事件を捜査して解決しながら男性キャラといい感じになっていくストーリー。
主人公は他人の死を夢で予知できる能力を持っているが、メイドという立場なのでそれをありのまま報告しても信じてもらえないので、色々と工夫して殺人事件を阻止するという展開。
この夢で見た予知の死を覆すという展開が短編連作的に続くのだけど、どれも同じ人、攻略対象で主人として支えている男性キャラの死を予知するため、何してもこの人死ぬじゃん、とシリアスな笑いを感じてしまったのは不謹慎だから反省したい。
貴族と平民という立場の差のエピソードなどは興味深く、伝えたいことの取捨選択がしっかりしてて短いボリュームながらしっかりまとまっている好きな作品。
ニンテンドーとコーエーテクモがバディを組んで送る超贅沢なアドベンチャーゲーム。
タイトルの通り二人組の関係性がかなり重要なキーワードになってくるが、あくまでバディなので男女問わず楽しめる王道なストーリー。
舞台となるミカグラ島に住む市井の人々にもサブエピソードがいっぱいあって、モブキャラが活躍する展開が大好きな自分としてはそちらの方向も嬉しかった。
ヒーローを目指す主人公のルークに延々とずっと辛い展開が続くので、遊ぶ手が止まりかけるほどだったのだけど、バディのアーロンがそれを引っ張り上げる展開が熱くて沸る燃えるゲームだった。
女の子は万華鏡、といえば何をやっても良いと思ってるゲロカスな美少女デスゲームもの。
ふわふわした可愛い4人の美少女が、罵倒有り暴言有り暴力有り可愛げ無しのデスゲームに巻き込まれながら、剥き出しの人間性を露出していく。
そんな残酷なデスゲームの間に、いかにもな可愛い萌えな過去の日常パートが挟まり、この落差の凄まじさが独自の味わいになっている。
罵倒シーンの声優さんの熱演も見所で特に茜屋日海夏さん演じる五条風華の暴言は下品すぎて、日常パートでの可愛さとの差が凄かった。
ダンジョンRPGの老舗エクスペリエンスが送るホラーアドベンチャーで、怪異の噂をDRPGのような探索パートで調べてから、RPGのボス戦のような怪異との対決パートに挑む構成で、テキストが主体のアドベンチャーゲームらしくない画面構成になっている。
とはいえ、要するにで言うと、事件の手がかりを見つける捜査パートと、容疑者を追い詰める尋問パートみたいなもので、怪異と言いながらも探索パートで手に入れた情報からフェアに対決パートの選択肢を推理可能なように作られている。
RPGっぽいパラメーターの表現はフレバーに過ぎず、テキストをしっかり読むことが大切なので、そういうゲームが苦手でも問題なく遊べた。
印人と呼ばれる仲間を連れて探索するのが特徴で、中年男性ながらかなり露骨にツンデレキャラで萌える真下悟さんが僕はお気に入りだ
○普通
三つしか記憶を保持できない主人公が自身の恋人をなぜナイフで刺したのかを巡るサスペンスなコマンド選択式ADV。
時系列が未来から過去へ進んでいくため行き来する渋谷の街のモブキャラ達にも物語があり、当時の雰囲気を感じられる。
フラグを記憶出来るにも三つだけという設定をシステムに落とし込んでいるのが見どころ。
ただし、この試みが成功しているのかは若干疑問が残り面倒なだけだったかもしれない。
編集者で美女としての自覚が強い木戸いづみが担当作家の鏡月正宗からの無茶振りで事件を捜査することになるコマンド選択式ADV。
物語としての起伏は少なく、ミステリというよりはクイズの趣きが強い。
美女を自称するいづみの強引な聞き込みパートが面白く、話がテンポよく進む。
携帯電話のゲームからの移植だが背景絵のクオリティが高くあの当時に遊んでいたらまた違う感想があったかもしれない。
うらぶれた探偵の狗神エイジとお嬢様刑事の鷲宮ヒナのバディもの。
舞台の池袋に住む市井の人々の協力を得ながら様々な事件を解決しつつ、エイジの相棒でありヒナの兄が死んだ真相も追う縦筋の物語もある。
協力者の面々がかなり優秀な人が多く、主役の二人よりも探偵として優秀なのでは? と思ってしまう良い意味でのテンポの良さが楽しい。
システム面では、よくわからないミニゲームや、頻繁に挟まる話に区切りがついているわけでもない暗転など、運営型スマートフォンゲームの移植故のシステム的にしっくりこないところがあった。
少女同士の恋愛を描きつつ、幾つかの日常の謎を解決する公称ジャンルは百合ミステリ。
ただ、ミステリ部分は少女同士の恋愛を際立たせるための背景のようなもので、あっさりと進んでいく。
その分、恋愛に関する描写はかなり多めでかつ濃厚なもので、恋と友情の差を自覚しつつ、はっきりと恋愛的な意味で好きになっていく過程が描かれていた。
それだけに短編連作で4つしかエピソードがないのは、良い意味で物足りなかった。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第九弾。
白鷺に紅の羽の裏を描く、と言っても時系列や人間関係のそれではなくて、モチーフ的なというか、表現が難しいやつだ。
癸生川シリーズを通しての、探偵は何のために事件を解決するのかを端的に示した短編になっている。
テーマ性の塊みたいな剥き出しの作品なので好き嫌いは別れそうだけど、僕はかなり好きな方だ。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第八弾、元々はDS版の移植である。
久々にスピンオフ短編やマルチサイトではなく、いつメン達のいつもの構図。
ただ、ボリュームが多いのにいつもの構図をやるせいで、伊綱さんの推理がひっくり返るのが、少しもったいなさを感じてしまった。
あくまであのいつもの構図は短編や中編だから決まるもので、長編にはあまり向いていなかったかもしれない。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第五弾。
ちょっと今まではとは毛色が違い、いつものレギュラーメンバの出番も控え目で雰囲気もホラー寄り。
とはいえ、我らが名探偵癸生川凌介が出てくるシーンは格好良く決まっている。
彼をなぜかホッとすると評するのは、なるほどな意見で、なかなか自己分析が出来ているセリフだと思った。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第七弾。
今作はちょっと箸休め的なスピンオフな短編で、正直ちょっと読みどころはあまりない。
犬可愛い可愛いゲームと一言で終わっても良いぐらい犬は可愛い。
とはいえ、これだけ遊ばないのも勿体無いので通して遊べば良いと思うな。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第三弾。
三作目ともなると、いつメンのいつもの構図でいつものやつと簡単に評したくなっちゃうね。
とはいえ、シリーズを通しての縦筋なんかもで出して、探偵・癸生川凌介事件譚として好きになれる要素が増えていくキッカケも多い。
今作は割と聞き込みや証拠品集めからの推理が多く、今までの突飛な発想の飛躍が求められるものじゃないのも特徴的かつ、以降はこれが主になっていく。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第二弾。
前作の流れは踏襲しつつも、本格ミステリさながらの大胆なトリックが映える面白い作品だった。
とはいえこの類の方向性はしっくりこなかったのか、これ以降はもう少し社会派だったり、テーマ性だったり、文章の書き方で読者に対して何かを隠蔽する類の方向性になっていく。
物理トリックの類はゲームだと映えるんだけど、携帯電話の容量の少なさを考えると難しかったんだろうなあ。
携帯電話で展開していた探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの第一弾。
名探偵癸生川凌介、その助手白鷺洲伊綱、彼らの事件をゲームにしている生王正生、いつもの面々のデビュー作。
伊綱さんと生王が捜査をしてそれらしき答えに辿り着くも、癸生川がどんでん返すいつもの構図は初見だと結構驚く。
携帯電話という限られた容量の中でしっかりとミステリをやろうとする気概が素晴らしい、
めちゃくちゃ豊富なスチル絵に軽快なBGM、そしてカートゥーン調のアニメーションでハイスピードに物語が展開していくSFもの。
テキストを読むことが主体のゲームって落ち着いた作品が多く、議論をしたり腰を据えてお話を聞いたりが多いんだけど、この作品はとにかく主人公たちが走る! 動く! 飛ぶ! と終始忙しなく動いてばかりで色々な物語が手早く展開していく。
テーマソングの飢餓と宝玉はオープニングテーマでありながら、作品の全てを包括するような歌詞になっていて、クリア後に聞くとまた違った感想になる曲で大好き。
ただ、このスピード感故に細かい部分の整合性や説明がカットされているのは好みが分かれそうかな。
とにかく全体を通じて奇妙な作品で、十数年ぶりに高校時代の文通相手との手紙を発見して、彼女に会いたくなりその地元島根に向かう。
こんな如何にもな青春振り返り系エモストーリーの導入だが、全くこんなストーリーではなく、罵倒、悪口、恫喝を繰り返す反社会的な主人公に振り回される恐ろしいお話。
ストーリーもリアリティラインがルートによって様々すぎて、突飛な展開が続くかと思いきや、現実的な着地を見せたりと、唯一無二な奇妙すぎる作品だった。
インディーゲーム開発者の女性二人の関係性を淡いドット絵の演技で描くナラティブアドベンチャー。
全てを文章で語らず、キャラクタの演技で語るストーリーが見所でかなり細かい演技が丁寧に表現されている。
また、途中で挿入されるゲームボーイライクなパズルゲームが、レベルデザインでなにかを暗喩しており、キャラクタがなにを感じたのかを、台詞や演技だけでなく、このパズルゲームでも表現しているのが今作独自の特徴的な部分。
なかなかハードで現実的な部分が多く、少し心に余裕がある時に遊んだ方が楽しめそうだ。
修学旅行で水中を走る列車に乗り込んだ学生たちの中で起こる殺人事件のお話。
スペインのインディーメーカーの作品だが日本のサブカルが大好きな人たちが作っているようで、そういうのが好きな人向けの小ネタがたんまり入っている。
とはいえ、ジェンダーや政治的な正しさを規定とした問題提起が挟まるなど、日本ではあまり見られないストーリーもあり独自の良さがあった。
殺人事件にまつわる解法も、トリックやロジックなどのあれこれではなく、人間関係の妙に重きが置かれているのも、ある種のらしさなのだろうか。
奇妙なホテルの一室で目覚めた男性がいきなり殺人事件の容疑者と報道されるニュースを見るところが始まるホットスタートな実写ゲーム。
短編ほどのボリュームながら、ゲームシステムを利用した演出や、繰り返しループする世界での面白コメディや、シリアスな男女の恋愛など色々な要素がみっちり詰まってる。
特にヒロインのサチムラアカネは、敵なのか味方なのか、頼れる強キャラなのか守るべき弱い子なのかが目まぐるしく変わる上に、扇状的なシーンも多く、演じている栗山千明さんの魅力が盛りだくさん。
○ご飯
○調子
むきゅーはややー。お仕事は、暇。
ニンテンドーDSで発売された後、携帯電話で配信されていたアプリに移植されたものをニンテンドースイッチに復刻したADVで、シリーズ化されているものの第八弾。(このナンバリングはスイッチ移植に当たって整備されたものらしい)
すっかりお馴染みになった、破天荒な名探偵癸生川凌介、その助手ながらテキパキと捜査をこなす白鷺洲伊綱、そして視点人物になる助手の助手兼書記の生王正生の三人による殺人事件の捜査を題材にしたゲームだ。
今作は今まで携帯電話アプリでリリースされていたシリーズが遂に家庭用ゲーム機であるニンテンドーDSで発売されたものが初出で、今までの作品よりも随分と力が入っている。
キャラクタの立ち絵、UI、背景絵なども相応のクオリティで、特に準レギュラーの矢口床子はオッパイが大きい設定だったことを十二分に披露する良い立ち絵をもらっており、出番の少なさの割に印象深い。
肝心の事件についても、今までより複雑なものになっており文章のボリューム、解くべき謎の量共にたっぷりだ。
まずは、事件捜査を題材にしたネットゲーム、ミスティックオンラインを遊ぶところが始まり、そこでまずオンラインゲーム上の架空の事件が発生する。
という感じで、都合三つの事件を同時並行的に捜査していくボリューミーな内容だ。(都市伝説として語られる謎の事件とかもあるし)
タイトルにもある「仮面幻影」の名の通り、名前と顔を仮面で覆い、幻影でわかりづらくしているため、中々事件の輪郭が見えてこないまま話が進んでいくのも楽しいところだ。
ただ、正直言って、ちょっとこのボリューム感を上手く捌けたとは思えなかった。(シリーズ内での比較であって、ADV全体的に見るとそうでもないので、無茶な挑戦だとは思わなかったけど)
ミステリのネタとしては所謂「意外な犯人」ものに分類されると思うのだけど、それに全振り過ぎて、他のハウダニットやホワイダニットなどをあまりにもザックリ解決しすぎている。
もちろん、ミステリとして主題に専念することは大事で「そういうものとして飲み込んでくれ」と前提を打ちながら展開する名作は数多くある。
しかし、本作はそのような前提を打つことなく、当初は解くべき謎として提示しておきながら雑に片付けてしまうのがシックリこない。
「意外な犯人」がやりたかったのであればそれ以外の謎については、早々に解決するなり、そもそも謎として提示しないなどの工夫が欲しかった。
捜査した結果が解決に結びついていくのが楽しいのであって、徒労感ばかりが残ってしまった。
シリーズ恒例の癸生川による超能力染みた先回り力によるものなら、シリーズをここまで遊んできた身としては脱力しながらも肯定できたかもしれない。
しかし、そういうわけでもなく、なんというか端的に言ってしまうと、今作の飯綱さんが若干ポンコツ入ってただけでは疑惑すら浮かぶ。
社会的な話題についても、少年犯罪という過酷なテーマを扱った割には、消化不良。
というか確かに題材は少年犯罪だけど「意外な犯人」の意外さのために、話がブレてたようにも感じた。
犯罪を手段として用いれる人間が社会生活を送ることの是非のような、また違ったテーマになっていたかなと。
シリーズ恒例の生王君がわたふたする中、伊綱さんがテキパキ捜査と推理をするんだけど、癸生川がちゃぶ台返しをするという構図も、今回のボリューム感では、伊綱君の手際が悪く見えてしまうのが残念。
特に、3年前の被害者と、現在の事件の有力な容疑者が、外見的特徴や年齢や名前が同じなのに、苗字が違うからそもそも同一人物だと考えすらしないのは、伊綱さんらしさを全く感じなかった。
というのも、そもそもこの点はミスリードで本題ではないのだから、普段の伊綱さんなら最短ルートで辿り着いていただろうし、癸生川に言われて気付くでもなく、単に後から気づくだけなら、それは単に察しの悪いだけではと思ってしまった。
総じて、三つの事件が絡み合うという構図を全部処理しきれていない惜しい作品だった。
シリーズを通しての縦筋も抑え目で、今作のテーマが好きそうな朱の出番が影も形もないのは残念。
いや、っていうか、3年前に道を訪ねて来た謎の女性と、一番最初に出会ったゆきいるかの中身と、生王正生にミステックオンラインを送りつけたの奴の正体が朱って設定あるのに語れてないだけだと思うんだけど違うんかな?(次作である鈍色と永劫会で語れるのかな?)
決して面白くなかったわけではなく、良き点もあったんだけど、シリーズを通して上がってきたハードルは超えてくれなかったかな。
○ご飯
朝:チーズ。クラッカー。コーンスープ。昼:ラーメン。夜:サブウェイ。
○調子
携帯電話で配信されていたアプリをニンテンドースイッチに復刻したADVで、シリーズ化されているものの第六弾。
今作はミステリ系ADV王道中の王道、ADVやるならこれをやってこそ、満を辞してのマルチサイトだ! マルチサイトとは、小説と異なり、読む順序をある程度ユーザの自由度に任せることができるゲームならではの手法。
簡単に言えば異なる主人公のシナリオを自由な順番で、それも交互に行き来しながら読むシステムだ。
EVE、街、428、Ever17、ルートダブル、AI2、etc… 僕がオールタイムベストに上げたくなる大好きな名作が数多くあるものの、Remember11、タイムトラベラーズのように名作に挑もうとしたが消化不良で上手く扱えなかった作品も幾つか思い付く。
扱いは難しいがハマれば絶大な魅力を持つことになるジャンルだ。
そんなわけで、今回の対交錯事件では、いつメンの二人、助手ながら名探偵顔負けの実力者の白鷺洲伊綱と、プレイヤーの投影先となる一人称キャラで察しの悪さが際立つ生王正生、いつメン二人の視点を行き来しながら事件に挑む。
伊綱ルートでは準レギュラーキャラ音成とコンビを組んで被害者の共通点が見当たらない連続殺人事件の調査、生王ルートでは行方不明になった大手広告代理店の社員の捜査を始める。
じょじょに二つの事件が交差し始め、ついに衝撃の真実が明らかになる、という流れ。
低価格なゲームながら、かなり本格的な構造で、先に上げた幾つもの名作と、やりたいことが劣っているとは思わなかった。
この構図自体に何らかの仕掛けがありそうな雰囲気作りも、遊んでいてワクワクした。
マルチサイトといえばコレだよねー、と呑気に思うのもよくないが、交互に視点を行き来するお話しで片方が頑なに交流を拒み出したり電話でしか会話しなかったりすると、あらあらまあまあだ。
原作が携帯電話アプリなこともあり容量的な制約と戦いながら高度なことをやっており、テキストが魅力の大半を占めるADVだからこそ、今この時代(2023年)に遊んでも全く見落とりしない名作の圧を感じた。
とはいえ、マルチサイトの構造を利用した文章の記述の仕方による驚きを感じさせる、という一点突破な作品で、それが驚いたかどうかと言われると若干悩ましい。
度々この感想で書いているがネタバラしの前に先んじたか/先んじれなかったか、で作品を評価する気はなく、ネタバラしで驚かなかったからと言って面白くなかったと言うつもりはない。
それはミステリがあくまで物語、ミステリの謎は物語を際立たせるための仕掛けであり、クイズ大会の問題や、所謂「ナゾトキゲーム」や「脱出ゲーム」の謎とは大きく異なっているためだ。
バランスの難しいところで、本作は少し僕の好みよりもそちらに寄っていたかなと思った。
勿論、物語として情緒を書かせても一線級なのは先の4作目でわかっているので、限られた文量の中で最大限やれることをやった結果なのは伝わってくる。
ただまあ、幾つかの著名なミステリ作品でも、サプライズに振り切って、驚かせたら俺の勝ち、驚かなかったら俺の負け、みたいな態度のもいるっちゃいるような気もするようなしないようなただのサービストークのような何というかなので、難しい問題ではある。
低価格な短編ADVとして面白いこと、そうとは思えない高度なことをやっているのは間違いなく事実で面白かった。
ミステリにおける物語とトリックのバランスという、それこそ大山誠一郎や米澤穂信一流中の一流でも、読者である僕とのバランス感が違いシックリこないこともある、とても難しい部分での満点ではなかったものの、そもそもこの点を感想に書こうと思うこと自体が、ミステリやってるねえ、感のある素晴らしい出来だった。
しかしながら、このシリーズは10作目がヤバいとの前評判から遊び出したこと、今作でもそこへ繋がるキーワードがあり、そちらへのハードルは爆上がりしているのも確かだ。
○ 探偵・癸生川凌介事件譚 音成刑事の捜査メモ
携帯電話で配信されていたアプリをニンテンドースイッチに復刻したADVで、シリーズ化されているものの第七弾。
今作はかなり箸休め的な内容でボリュームも歴代で一番小さく、謎やお話もすごく薄め。
一応過去作のキャラがチラッと登場したりのファンサービスはあるものの、そっと添えてるだけ。
面白くないことはないが流石に文量が短すぎた。
音成刑事がチワワと一緒に捜査をする牧歌的な雰囲気を楽しめればそれで良いのかもしれないが、生憎僕は小動物が怖いので、物語でもあまり素直に可愛いと思えなかったのも合わない点だ。
これで7作目までプレイしてきて、次はコンシュマー移植でかなり大規模な作品になっているらしい8作目、4作目で示唆されていたあの人の前任者にまつわる9作目、そしてこのシリーズを遊び始めたキッカケでありなにやらすごい展開が待っていると噂の10作目と、ここからはもう遊び回は無いので、緊張感を持ちながら遊んでいきたい。
(パラノマサイトまでに全話遊ぶのは厳しそうだ)
○ご飯
○調子
クヨクヨはおしまい。
携帯電話で配信されていたアプリをニンテンドースイッチに復刻したADVで、シリーズ化されているものの第一弾にあたる。
システムはシンプルなコマンド選択式ADVで、複雑なフラグ立てはいらず、真っ直ぐプレイできた。
素っ頓狂で自堕落で豪快で傍若無人な名探偵癸生川凌介と、その助手でしっかり者ながら時折暴走する白鷺洲伊綱、彼らの事件をゲームにまとめている主観人物となる生王正生たちが、ゲーム開発者が自殺した事件の捜査をするうちに、オンラインゲーム中に突然死したもう一つの事件との関連性が見えてくるお話。
2時間もかからずクリアできるボリュームだが、かなり中身が詰まった肉厚な作品だった。
まずは、オンラインゲームと現実、二つの世界の中で被害者と容疑者たちがどのような立場だったかを聞き込みしていき、彼らの輪郭が少しずつ見えてくる捜査パート。
元が携帯電話アプリなのでシンプルなグラフィックではあるもののデザインの意図が伝わる過不足ない立ち絵も用意されている点が、ADVの勘所を抑えている良き点。
そして何より、頭が良く会話の二歩三歩先を行くと自負する伊綱さんのテキストが面白く楽しい。
まだ一作目だが、もう伊綱さんにメロメロで好きなキャラクタになったのは、この捜査パートでの切れ者描写の素晴らしさ故だ。
ボリュームの容量的な都合という裏事情を感じなくもないが、その点を伊綱さんは頭が良いから一を聞いて十を知るんだよ、としている点はアイデアとシナリオの妙が工夫になっていて、僕は好き。
主観人物の生王正生は察しが悪くお馬鹿なので、話が先に進みすぎて置いてきぼりにならないバランス感もキチンとある。
そして捜査パート終了後の謎解きパートでは、タイトルにもなっている名探偵役癸生川凌介が大活躍する。
この謎解きパートが、捜査パートで散々伊綱さんの頭の良さを語っていたからこそキマる、癸生川無双。
所謂「サプライズ」よりの作風で、事件解決のロジックや意外な犯人というよりは、事件の構造自体を理解していなかった滑稽さと、それを見抜く癸生川の先を行く捜査と推測が面白かった。
事件の重要そうなキーワードをかなりあっさり、犯人と関係のない偶然だと断定するところも、偶然であることを示唆しつつも犯罪捜査においてそれを偶然と思うのはよくなさそう、という漠然とした素人目線だとするのが楽しい。
捜査パートで事件の輪郭を浮き彫りにしていく過程が重視され、犯人との対決パートではそこまでで得た証拠で答え合わせをする古き良きADVとは大きく違い、犯人との対決パートからこそ本題が始まるミステリ小説よりの作風だった。
好みは別れそうだが、僕はとても気に入った。