はてなキーワード: チャイムとは
最低賃金を500円にしたらアルバイターの時給が500円になるとか、その考え方に違和感がある。
「法律上の最低賃金」=「 実際の時給」ではないだろう。原則として成果に見合った給料が支払われるべきだ。1時間フルに稼働してるなら2000円、1時間拘束だけど実稼働5分しかないなら500円とか。
ベース時給500円+レジ打ち1回につき50円、とかベース時給500円、代わりに品出しとかレジ打ちとか一切せず客が来たらチャイムのボタンを押すだけ とか最低賃金が無ければ弾力的な働き方ができる。
財布を拾った.
コンクリートの色とはなじみそうもない水色の長財布だ.
急いでいたので通り過ぎようとしたが,持ち主は大層困っているだろうと拾った.
皮の質感がいつも使っているものと異なり,手のひらの中に少しだけ汗がにじむ.
一抹の罪悪感を覚えながら財布を開く.
年は私と二つしか変わらない人だった.
免許証の顔はだれもがそうなるように,顔色が悪く,髪のつやがなく,やや年齢よりも上に見える,いわゆる写真写りが悪そうな写真だった.
免許証の住所を見ると同じアパートの人だったため,管理会社に電話をした.
アパートの廊下を歩きながら,外から入る眩しい日差しが,白昼夢のようだった.
自分の住むアパートと部屋番号を伝えると,「確認します」と電話が切られた.
人の財布などまじまじと見る機会なぞなく,ましてや知らない人間の,である.
どんな人がこれを持っているのだろう,と.
掌の中にある財布を再度開いてみた.
私たちの年代であれば相応の価格帯であり,皮の質感からある程度手入れをするなど大事にしている,という印象だった.
中布の色がもう少し濃い水色で,開いた時のほうが少し派手に見えるデザインであり,こういうところにおしゃれさを求める人,
カードケースには免許証が一番手前にあり,その後ろにクレジットカードがいくつかあった.
コンタクト専門らしき眼科の診察券,美容室の会員証,近くのラーメン屋のクーポン券,
アニメイトのカードと,ポンタカードと雪ミクのWAONカード.
あの顔色が悪そうな写真の通り,ああ,結構オタクなのかな,と思った.
(ちょっとクレジットカードが多くて個人的には減らしたほうがいいのではないかと思った.)
私は隣に誰が住んでいるか知らない.
正確に言うと,顔は何度か合わせるが名前やどんな生活をしているのかは知らない.
さらに,私が知っているのは両隣と斜め向かいと二つ右隣りの人だけで,別の階にどんな人が住んでいるのかは知らない.
私が生まれ育ったところでは,全員が親戚同然であった.
誰がどこに住んでいて親は何をしているかみんな知っていたし,
そこを離れた今でもどこどこの誰それが戻ってきた,結婚した,出産した,転職した,車を買い替えたなどはみんな知っていたし,
夜,電車から見る街の,家の明かりひとつひとつに家庭や,歩んできた人生や,関わる人がいることを考えると,
お札を入れるところを見ると,千円札が数枚とレシートが入っていた.
レシートは一枚だけだった.
連絡がつき,今家にいるとのことで直接届けてほしいとのことだった.
なんか誰かにだらだら話したいんだけど、家族や友達に話すと無駄な気遣いをさせてしまいそうなので益田に書く。
やや遅めの夕食の時間、家にある材料でうまい鶏じゃがが作れるのでは?と思い立ち、材料の下ごしらえにかかったあたりでインターホンのチャイムが鳴った。
じゃがいもを下茹でする火を切って、なんだろこの時間に、と応答したら、上の階の人が病気で、かけつけた救急?の人らしい。玄関の鍵が開けられないらしい。
賃貸住宅の庭からはしごかけて上の階に入ります、ってことを言われて、そりゃもう一刻も早く、と「お願いします、すみません」と何故か謝る。
窓をあければすぐそこの庭でがたがた作業をしている気配や、急に点灯する灯り、人の声。野次馬するのも嫌だったので、息を潜めて待っていた。
すぐ救急車のサイレンとともに人がいなくなるかと思いきや、外でしばらくざわざわ人の声がする。
救命作業をしているほど緊迫した感じでもないし、もしかして……?なんてあれこれ想像を巡らすのもよくないので、もう聞かないことにして料理を再開した。
直接は何も目撃していないので、全部推測でしかない。
そのうち、外が静かになった。
今は、酒を飲んで鶏じゃがが冷めて味がしみるのを待っているところ。食欲はまあないんだけど。
上の階の人(複数いる)のどの人だろう、と、ずっと考えている。
全くと行っていいほど、交流はない。どの人も、たまに遭遇しても気まずそうな感じだったので、こちらも会釈くらいしか挨拶はしない。
その後助かったのか、どうなのか、なんて、知ることはできないんだろうけど、きっと、次に上の階の人の姿を見かけたら、心の中で安堵はすると思う。
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おこったこと「単発」への愚痴を文章にして気が晴れた感じだったけど、トップページに載って、ブコメで24時間不機嫌そうとか敵意しかないとか言われててそれにもぎょっとした
一瞬ゲスパー…って思ったけど、そう感じられるのは、そんな文章だったからなんでしょう。
でも実際に24時間不機嫌でいられる人も、敵意しかない相手と一緒に暮らそうと思う人も、そうはいないと思います。
あとこの件については、夫と配送業者、それぞれの対応にちがう意味での「???」を感じたわけで、夫への不満をヤマトにぶつけてはいませんし、逆もしかりです
住所の件はごめんだし、誤配の件は気にしてないけど、夜中に来るのだけはやめてという、それ以上のことは申し上げてませんし、起こったことをデフォルメして書いたわけでもないです
夫がその場で事情をきかなかったことについては、そういう夫の性質に慣れすぎてて、友人に言われて確かに! ってなったけど、それとは別ベクトルで、夜中に来ないでほしいということは伝えたかった。
めちゃくちゃ怖かったと文中にも書きましたし…夜勤でひとり留守番が多いため、夜間の来客に敏感になっている部分は多少あります
いずれにせよ冒頭に書いた通り、書きなぐって気が晴れて自分の中では終わったことです(思いがけず読まれたのはびっくりしたけど)
一週間荷物が誤配先にそのままあって、夜中にどう回収したのかだけはいまだにちょっと不思議ですが…
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一昨日家に帰ったら、夜勤明けで家にいた夫に「アマゾンで注文した本が届いてないのに、ステータスが配達完了になっている」と言われた。
なんだろう…大変冷たいことを言うようだが、私はそれをきいて、けっこうマジで「だからなんなの?」と思った。
そりゃあきらかに荷物の紛失か誤配か、そういったことがおこってんだから、まずしかるべきところに問い合わせるべきで、それをなぜ私に言うのだろう。
なぜ私にいうのかはわからないが、とりあえず「いつ配達完了になってんの?」とわたしはきいた。
だからなんなの? とはさすがに言わなかった。
すると彼は、(おとといから起算して)一週間前の日付を言った。ちなみに配送業者はヤマト運輸である。
我が家は夫のうっかりのせいでプライム会員になっているため、気軽にお急ぎ便が選択でき、夫はさっそうとそれを指定していた。
つまり、発注の翌日には荷物が到着する段取りなわけで、それが一週間もとどいていないというのに、
「……なんかあって遅れてるのかなと思って、昨日はじめて配送ステータスを確認したら配達完了になってた……」と彼は言った。
貴族めいた悠長さだ。そんなに待てるなら彼あての荷物はすべて船便でいいのではないかと思うほど鷹揚にかまえている。
特に急いでないならそもそもお急ぎ便を選択すんなという話でもあり、もろもろのことにつっこみたいのをこらえながら「はやく問い合わせなよ」と私は言った。
荷物が紛失してから時間がたてばたつほど、出てくる可能性は低くなる。
それが合理性のある考えだと私は思うが、彼は「いいや、明日(休み)問い合わせるわ」といった。
ちょっと理解しがたい思いを抱えつつ、とりあえず夕食にし、そのあと私はヤマトのコールセンターに電話して、荷物番号と事情を伝えた。
30分ほどで営業所から折り返しがあった。なにせ一週間まえなので、配達担当のドライバーも当日の記憶があいまいだという。
そりゃそうだろう、気の毒に。こうなるからはやく問い合わせないといけないのだ。
ヤマトに、このへんに増田さんは別にいるか? などひととおりの聴取をうけた。
その中ででてきたのが、私が電話にて口頭で伝えた我が家の住所は「2番地2(仮)」だが、荷物のあて先が「2番地」になっているという指摘だった。
我が家は現在正確には「2番地2」ではあるが、分筆前の「2番地」でも郵便・荷物はとどく。
今この家には夫と私しかいないが、夫をはじめこの家に昔住んでいた人間は、数年前まで「2番地」で通していたようで、夫もアマゾンの登録住所をそのままにしているらしい。
ちなみに「2番地」を共有しているのは隣の家だが、荷物の誤配があったら確実に返してもらえるくらいの交流はある。
住所を正確に最後まで書かなかったのが誤配の原因になってるかも……というようなことを言われ、もっともだと思いつつ、それで問題なく二十年余(この間分筆)をすごしてきたという実績があるため、今まで「2番地」表記のみでも、郵便も荷物もとどいており、このへんで増田はうちだけ、そもそも表札も出している……うんぬんのことは伝えさせてもらった。
調べて明日改めるということだったので、了承して切電、夫に事情を伝えアマゾンの登録住所を「2番地2」に訂正してくれと伝えたが、おそらくまだ変更してないだろう。
その日はそれで終わった……と思っていたら、掲記の通りの顛末になった。
もちろん私は、23:50にインターフォンが鳴った時点で、まさかヤマトのドライバーが荷物を届けにきたなどと夢にも思わず、正直めちゃくちゃ怖かった。
空耳か……と思ったが、何度も何度もなり続ける。
二階で聞くチャイム音はかすかで、夜勤明けの隣の夫は起きる気配もない。
起こすのは気の毒だと思ったが、インターフォンがしつこく、もしかして警察が来たのではないかと思ったのもあり、私は夫をゆすりおこした。
時間が時間だ。正直言ってモニターを確認するのも恐ろしく、私は奥にひっこんでいたが、結果的にそれは、夫の荷物を一週間ぶりに届けに来たドライバーだったのだ。
その時点でもはや23:55くらいになっていた。
翌日の昼休み、LINEで世間話的に、友人にこんなことがあったよと報告したところ、「どうして夫さんは、そんな時間にきたヤマトに何もいわないの?」と返されてはっとした。
私は、夫がたいていのことに文句を言わない人間として、ドライバーに何も問わなかったことをスルーしていたが、よく考えてなくても友人の言い分は正しすぎる。
そんな時間に荷物をもってこられ、だまって受け取るほうが少数派なのだ。
夫は、悠長とか鷹揚とかを通り越し、スムーズな生活を送るために必要な感性をそなえていないが、異常が起こった時、それを感じる神経がそもそも切れているために、何の痛痒も感じていないのではないかと、今私は思っている。
友人とLINEのやりとりをした直後、ヤマトの営業所から電話があった。
「やはり別の家に誤配しており、今日の朝ポストに投函したとドライバーに報告を受けているので、ご帰宅されたらポストを確認してほしい」とのことだったので、私は「その件ですが、昨日の夜23:50ごろ、インターフォンを押して届けに来られました」と報告した。
私は続けて、おおむね以下のようなことを伝えた
・このコロナ禍で、通販需要が一層増え、荷物は以前より増えていると推察される
・大変な状況下で、誤配や紛失が起こるのはある程度仕方ないことなのではないかと考えているので、そこについて何か言う気持ちは一切ない
(誤配されたのは夫の荷物だが、彼にはおそらく何かいう気持ちは一切ないだろう、今までの態度からするに)
・しかし、23:50に届けに来るのは明らかに非常識であり、むしろそちらのほうに驚いている。
・ポスト投函できる荷物なのだから、その時間帯にインターフォンを何度も押す必要があったとは思えない
・その時間にしつこくインターフォンを押されたらめちゃくちゃ怖い
・そちらの営業所の指示だったのか?(何時まで働いてるのか?)
ちなみにのちほどこういったと夫に報告したら、そんなことまで言ったんだ…? と引かれたのにこっちが引いた。
営業所の人は、
・どんな状況下でも誤配はあってはならないことです
・その時間に届けに行ったのはドライバー個人の判断であり、厳重に注意します
ということで謝り倒していた。
多分彼もことがおこった時間、寝てたんじゃないだろうか。
私は、「荷物を一刻もはやく届けたいという一心で遅くに来てくださったのだろうと想像できる中、また、今まで問題なかったとは言え、住所表記が不正確であった中、こういうことを申し上げるのは心苦しいが、その時間はさすがに迷惑なのでよろしくお願いします」と念を押して電話を終えた。
いうまでもなくこの文章の主題は、ヤマトのドライバーがやばいという話ではない。(でも副題ではあるので企業名は伏せない)
・違和感を感じてから行動に出るまでがながい(というか、今回わたしに訴えてきただけで、行動に出てない)
・今まで問題なかったし、間違いではないとはいえ、中途半端な住所を通販に使用(今回これでヤマトに迷惑をかけている)
何かいろいろとやばすぎでしょ…
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先日休みの日に疲れ果てて朝寝してたら、道路挟んで向かいの家(会社なので土日には誰もいない)の外付けの水栓が壊れて水が噴き出していると私を起こしに来た件が尾を引き、ぐちぐちした日記になったがまあ増田ってそういう風に使うもんだと思ってるのでいいか。
しかし、なぜそれを私にいうんだ(陳情先は別にある)ということばかり、夫は私に言ってくる。「そういうの得意そうだと思って」と。
別に得意ではない。
だた本文中に書いた、夫の、ほとんどすべてのことに文句を言わないというたちに、一緒に生活するうえで助けられてることも多いので、われなべにとじぶたってことなんだろう
一週間行方がわからなかったのは、スティーヴン・キングの『眠れる美女たち』上・下
そこには10年くらい前に御手淫を貰ったということでブログで紹介されていたから行った
だけど今はやっていないとか言われて貰えなかった
俺が遠い所からわざわざその店を訪ねて御手淫を貰おうと思っていた気持ちを無碍にされたわけだ
交通費だけでかなりかかったのに、一蹴してきたマッサージ店の嬢
つまりこの時点でマッサージ店は人の気持ちなんて何も考えていないってことだ
ふざけるんじゃねえよって誰もが思うだろ
俺も思った
マッサージ店では御手淫をやっていないというかチャイナエステ派とタイ式エステ派がやっていないとか言われているが
そんなことは後になって知った
しかしそもそもそのチャイナエステ派とタイ式エステ派の店でも御手淫は元々やっていたというのがブログで紹介されていた
だから行った
元々やっていたのにやらなくなったというのは失礼じゃないのか
遠路はるばる店まで行って御手淫はやってませーんとかよく言えたもんだな
マッサージ店にこのような態度を取られたからには一生許さんという気持ちが芽生えるに決まってるだろ
お前らの系列の店がこういう態度だったら破門くらいするべきだろ
ふざけるんじゃねえよ
差別だろ
今は止めましたじゃねえんだよ
誰か特定の人物にだけあげておいて俺にはくれないなんて差別だろ
射精させろよ
辛いだろ俺が
わざわざ御手淫を貰うために早朝起きてそして電車に乗り、徒歩で行き、そうして何時間もかけて行った店で
御手淫はやっていません
いややっていただろうが
何時間もかけて性感を高めようとしている奴を足蹴にして楽しいか
そんなことして極楽浄土になんて行けるわけねえだろ
何がマッサージ嬢だ
血も涙もねえだろお前らには
お前らの店まで片道14km歩いたんだぞ
往復で28kmだぞ
休日にチンポがパンパンに膨れ上がっただけで御手淫も貰えず悲しく家に帰った俺の気持ちが分かるか
人生で一番歩いた日だったぞ
28kmも歩いた果てにあったのは虚無
お前らが誠心誠意マッサージをやるっつーならきちんと御手淫程度再開しろや
マッサージ店の何派?
チャイナエステ派とタイ式エステ派は御手淫をやらなくなったんだけど
やるようによびかけられねーの?
これが俺がやったトラバ
マッサージ店の糞っぷりがこれで分かるだろ
なんで俺がここまで怒り狂ってるのか分かるかお前らには
違うだろ
だったら御手淫をするくらいどうってことねえだろうが
お前らの職務怠慢だろう
そんな態度を取られたら極楽浄土になんていけるわけねえってみんなが思うわ
つーか観音様が嬢の観音開きの菊門を思いっきり両手で開けて、成敗!とか叫んで肉茎でブチ込むレベルだわ
お前らはリンパばかりマッサージしていて人の気持ちを忘れたんじゃねえのか
穏やかな心を持ってチンポをしごく
どこが穏やかなお前らは
血も涙もないだろ
俺はチンポが腫れあがろうが何しようが御手淫を貰えるなら頑張ろうって気持ちで歩いたんだ
14km歩いたときは、自分を励ましながら、御手淫が貰える、御手淫、御手淫、嬉しいなぁ御手淫って
疲れながらもニコニコ頑張って歩いてたんだぞ
そんでやっと店に入って、チャイム鳴らして
つったら
「御手淫はやっておりません」
ってインターホン越しに帰ってきて
「あの、前はやっていたと聞いて」
いやいやいやいやいやいや!そんなんで終わるとかないないないなないない!
って思ってもう一回会話する
それで終わった
14km歩いた辛さが報われず瓦解していった瞬間だった
え
これで終わり?
嘘だよな
俺、何も貰えずにこのまま帰るの?
嘘だろ?
何の成果もなしに?
これが本当の無駄足?
俺馬鹿じゃねえの?
ここまで14kmだよ?
帰りも14kmだよ?
え?
マジで?
それからは頭の中がぐちゃぐちゃになりながら帰った
なんで?どうして?なんで?どうして?なんで?どうして?
ここまで歩いてきたのに!?
あんな一瞬のやり取りで終わった?
そんなんだったぞ
お前こんな態度をされた俺をどう思う?
1日に28km歩いただけで休日を潰した俺を哀れだと思わないか?
それもこれも全てお前らの系列店のせいなんだが?
今日明日にでもマッサージ全ての店に御手淫やるように伝えられるか?
できねえよなお前には
でも俺はそこまでやって貰えねえと納得いかねえよ
俺がここまで一生懸命になってやったことを踏みにじったんだからな
謝れよ
お前だけじゃない
全マッサージ店の客や嬢たちがこの俺に向かって
俺がどれだけ苦しんだのか分かっているのか
28km歩いたのに何も無い
その先には虚無しかなかった
お前もやってみろよ
1日で28km歩いてみろよ
辛かった
本当に辛かったんだ
一応言っておくがこういうのは俺だけじゃないからな
ネットにある情報を見て御手淫があるかもと思って行ったら貰えなかったとかいうのはな
みんながみんなお前らが御手淫をやらないせいで苦しんでいるんだ
そしてその態度だ態度
「遠路はるばるご苦労様です、わざわざお越しになっていただきありがとうございます」
「しかし当店では御手淫はやらない方針に決まったのです。誠に残念ですが」
「折角きていただいたのですからこちらで休憩していただいて構いませんので」
とかこういう基本的な会話すらできねえのかてめーらは
店には休む場所も何も無く道中も一切なかったので帰り道は地べたで一旦休憩したぞ
はぁはぁ言いながらな
お前らは悪鬼羅刹のようにしか思えなかったぞ
今もそういう風に見ている
いいかよく覚えておけ
人は苦しんだことは絶対に忘れないんだ
28kmも歩いた俺の地獄は一生忘れられない
この俺の気持ちが伝わったのなら
分かったな!
うちの高校はガシ高と呼ばれている。東高校が変に略されてガシ高になったらしい。そしてこのガシ高には、「ガシ高のひょっこりさん」と呼ばれ、近所の学校でも有名な奇人がいるのだ。
ガシ高のひょっこりさんは私と同じ学年の女子生徒だ。でも、みんなにひょっこりさんと呼ばれていて本名を知らない。ひょっこりさんのあだ名の由来は非常に単純で、学校の中で交わされる会話にひょっこりと紛れ込んでいるからひょっこりさんと呼ばれている。私はまだひょっこりさんのひょっこりに遭遇したことはないけれど、噂話をまとめるとこうだ。
・ひょっこりさんは会話にひょっこりと紛れ込んでいる。
・みんなひょっこりさんが一言いうまでその場にひょっこりさんが紛れ込んでいることに気がつかない。
・ひょっこりさんに遭遇した人は幸運になる。
でも、ひょっこりさんがひょっこりしてくるまで誰も気がつかないのはどうやら本当らしい。彼氏の友達が遭遇したとか。
というわけで、私は学校の昼休みの今、お弁当をつつきながら彼氏からひょっこりさんの話を聞いている。
「で、ダチはテストのヤマカンが当たって今回学年一桁だったんだって。ひょっこりさんのおかげだって言ってたよ」
そう言ってくる彼氏に、私は疑わしい目を向ける。
「でもひょっこりさんって言っても普通の人のはずじゃん。だってクラスで授業も受けてるわけだし。私はまだ遭遇したことはないけど、噂の中でも幸運になるとかいうのが一番訳わからないよ」
「訳わからんって言っても、噂はそうだしそもそも会話にひょっこりさんが紛れ込んでいるのに誰も気づかない時点で意味わかんねぇじゃん」
「確かにそうだけど、やっぱり幸運になるってところは単なる偶然でしかないでしょ。ひょっこりさんに遭遇した後の幸運をひょっこりさんのおかげだと思い込んでるだけだって」
「そうでもないんですよ」
「だからそんな訳ないって、偶然……」
私はそこまで言ってハッとした。彼氏もびっくりしながらその人を見つめている。ひょっこりさんだ。ひょっこりさんが会話に紛れ込んできた!
本当に噂通りだ。今この瞬間までひょっこりさんがこの場にいることに気がつかなかった。そしてひょっこりさんの言葉はこの会話を把握していないと出てこない言葉だ。少なくとも、少し前からこの場にいたことはわかる。噂通りならこの後ひょっこりさんは去っていくのだろう。
でも、ひょっこりさんはこの場を去っていかなかった。何かに気がついた様な顔をしてこちらを見ている。
噂話にはなかった展開に、私と彼氏はびっくりしながら、ただ無言で頷いて彼女のいうことを聞くことにした。
私たちは美術室に連れて行かれた。そしてそこで、ひょっこりさんの秘密を見せてもらった。
彼女は全校生徒が描かれた絵を描いていたのだ。その絵のために人を観察することが必要で、それは決して見た目のことだけではないので、密かに会話に紛れ込み一通り話を聞いた後、盗み聞きにならない様に一言残していくということをしていたのだと。
そして、この絵の中心に男女を描きたいらしく、私と彼氏をモデルにしたいと言われた。
私も彼氏もびっくりしたけど、二人揃って二つ返事でオーケーをした。だって、見せてもらったその絵はあまりにも輝いてみえて、素晴らしい出来だったのだから。
そしてもう一つ。この絵のことは秘密にしてほしいと言われた。題材が題材だけに描くのに時間がかかっているが、完成するまでできるだけ人には知られたくないのだと。私たちはそれもオーケーした。
そこで午後の授業の開始チャイムがなり、私たちは各々の教室に帰っていった。
それから、私と彼氏は放課後になると美術室に通った。その間彼女は絵に集中してほとんど話をしない。一方で私と彼氏は他愛のない話をし続けた。ひょっこりさんによると、話の仕方の雰囲気などにその人らしさが出るということで、会話をすることもモデルとして必要だと言われたからだ。
この美術室には私たち以外の人は来なかった。ひょっこりさんが、美術部員は私だけなので、と言っていた。
そうして、ひょっこりさんの絵が完成に近づいた時、事件が起こった。ひょっこりさんが停学になったのだ。原因は、彼氏だった。
彼氏は放送部員だ。毎年ドキュメンタリーの撮影をしてコンテストに出場しており、今年の題材をひょっこりさんにしたのだという。
彼氏には勝ち目があった。ひょっこりさんの素晴らしい絵を知っているのは自分と私だけであり、ひょっこりさんの奇妙な噂話と自分が知っている事実、そしてひょっこりさんのすごい絵をちゃんとまとめれば、今年は全国大会に出れると思ったらしい。
そして彼氏がビデオカメラを持ってひょっこりさんのいる美術室に入ったところ、ひょっこりさんはペイントナイフを振り回して出ていけ!と彼氏に怒鳴りつけたそうだ。
何が悪かったって、ひょっこりさんのその様子が彼氏のビデオカメラにしっかり映ってしまったこと、その上その動画がSNSで出回ってしまったことが重なり、停学になってしまったのだ。それどころか、退学になるのかも、という噂まで流れてきていた。
その動画は私も見たし、彼氏からも話を聞いた。ひょっこりさんが怒っていたのは彼氏が秘密を破ったからだ。彼氏が言うには、あそこまで怒るとは思わなかったそうだ。そして動画が出回ったのは完全に不手際で、部活の備品に録画されていた映像をたまたま見た他の部員がすぐに流出させてしまったらしい。でも、それが誰なのかははっきりわからないと。そしてその動画にはひょっこりさんの絵は映ってなくて、SNSではなぜかキレてペイントナイフを振り回す危ない女としてひょっこりさんが認識されてしまった。
私はこの件で何よりも彼氏にがっかりした。なぜ、秘密の約束を守れなかったのか。ひょっこりさんの怒り方も確かにすごいものだったけど、でも、私たちはひょっこりさんと絵のことは秘密にすると約束していたのに。加えて、彼氏はこの件で自分がひょっこりさんを怒らせた理由について何も言っていなかった。ただ、ひょっこりさんを取材したくて、美術室に向かうのを見たからカメラを持っていったとしか説明していなかった。それも、ことが大きくなってしまったがための保身が理由で。
となると、私がするべきことは彼氏、いや、元彼と私、そしてひょっこりさんのことを白日の元にしてなんとかしてひょっこりさんの退学を避けるために努力することだと思った。
そのためにまずはひょっこりさんの絵を写真に撮るのが必要だと思い、放課後、美術室に向かった。そうしたら、そこにひょっこりさんがいた。
ひょっこりさんは学校を辞めると言った。今日はそのために荷物を取りに来たのだと。
私はひょっこりさんを引き留めようとしたが、ひょっこりさんはそれには答えず、ただ、私の絵をもう一度描きたいと言った。私はそれを断れなかった。
ひょっこりさんがイーゼルに向かう。そして、今日の私の話し相手はひょっこりさんになった。
ひょっこりさんがぽつりぽつりと話をする。
今回学校を辞める直接の原因は両親の離婚だという話。自分は父親にも母親にもついて行かず、ひとり立ちしたいから学校を辞めるのだと。
ひょっこりさんの両親はだいぶ前から仲が悪く、ひょっこりさんは絵を描くことで嫌な現実から逃げていたと言う。全校生徒を絵に描くという途方もない挑戦を始めたのも現実逃避だったと言っていた。
絵を描くこと自体は楽しく、そのポジティブな気持ちと元々の動機になるネガティブな気持ちが入り混じって、せめて完成するまではなるべく他人には絵を見られたくなかったらしい。
けれども元彼がビデオカメラを持って美術室にやってきたことで、秘密が暴かれたと思い、混乱してしまったそうだ。それが録画され、動画流出に繋がっていく。
そしてその件が両親の不仲への決定打となった。二人とも、ひょっこりさんを面倒な子どもとしか思ってないことが分かってしまい、ひょっこりさんは自立を決心し高校を辞めるという決断に至ったらしい。
私はひょっこりさんに学校を辞めて欲しくなかった。ここに至るまでのことをちゃんと先生たちにも説明する、元彼にも謝らせると言ったが、ひょっこりさんはもう決めたことだから大丈夫だと言った。そして、そのタイミングで私の絵が完成したらしい。
時間にして2時間弱。私は絵については詳しくないけど、ものすごく筆が速いと思った。その私が描かれた絵は、やっぱり輝いて見える絵だった。
「私、モデルさんとお話ししながら描くのって初めてでしたけど、お話を聞くだけよりもたくさんのものが見えますね。ありがとう」
ひょっこりさんはそんなことを言っていた。
そして荷物をまとめて帰ろうとするひょっこりさんに、私は何かを言わなければと思っていたけれど、何を言っていいのかわからなかった。
だけど、ふと初めてひょっこりさんと話をした時のことを思い出した。あの時、ひょっこりしながら彼女は「そうでもないんですよ」と言っていた。ひょっこりさんに遭遇すると幸運になるという噂話に対して、そう言っていた。だから、私はその噂は本当なのか?とひょっこりさんに訊いた。
ひょっこりさんは笑いながら答えた。
「本当ですよ。私、絵に描いた人に幸運を運べるんです。私に遭遇するってことは絵に描かれるってことだから、そんな噂になったんでしょうね」
そう言って、ひょっこりさんは去っていった。
ひょっこりさんの話は正直信じがたい。けれども、そうなのだと思うことにした。
それ以外、私にできることは何もないのだから。
https://anond.hatelabo.jp/20201101013516 へ。
思っていたひょっこりとは違うかもしれないけれど。