はてなキーワード: 貨物列車とは
いまホームいてさ、目の前を新幹線が通過してったんだけど、チョー速いなさすがに!
これまで貨物列車みて感動してたんだけど速さのレベルがちょっと違う感じしたわ
腹にくるものがある
千里川土手でヒコーキみたときとわりと近い感覚だったかもしれない
デッカイ金属の塊がアホみたいな速さで眼前を通っていく時に感じるアレ
でもそんなに後ろ向きの感情ではない気もする
エネルギーへの讃頌かもしれん
ファンタジーによく出てくる「エネルギーの奔流」とか「マナ・ストリーム」みたいなのって結構新幹線に近いかもしれないな
新幹線が始終通り過ぎ続けてる場所あったらそりゃすごいエネルギー感じるし生き物も狂うわ
とか言ってたらもう一本きた
ヤベーよこれ ヤバすぎる
運転士になったら乗れるぞ、みたいな話じゃなく、貨物の間に乗りたい
必ずしも貨物がある必要はないかもな 要はオープンカーの列車バージョンに乗りたいってことだ でもそんなもんはない…いや、あるにはあるっぽいんだけどトロトロ走る子供騙しの雑魚ばっかりだ だから貨物列車が槍玉に上がる
絶対気持ちいいと思うんだよ すげえ速さじゃん 周りも結構見応えがある 船なんかもオープンだけど、ありゃ基本的に海しか見えん 車は景色は選び放題だけどしょっちゅう止まらないといかんくてストレスがたまる
その点貨物列車はいい まっすぐな道をすげえスピードでガンガン飛ばす そうそう止まらない 車体がデカくて、エネルギーがある
高校に行くために使っていた駅はときどき貨物列車が猛スピードで通っていく区間で、間近で見るたびに新鮮な衝撃を受けたものだった 何百トン何千トンとある金属の塊がすげえ速度で目の前を通っていくんだからそりゃすごい迫力だ
一歩踏み出したらバラバラになって死ぬんだろうなと思わせる濃厚な死の気配が…いや、死の気配なんてものはなかった 通り過ぎていく猛スピードの大質量はそんな陰気臭いものなんて纏っていなくて、何か感じ取れるとしたらむしろ荒々しい生気のようなものだった
通り過ぎたあともちょっと見送ってしまうくらいに存在感があった 通ってる間は何も聞こえなくなるくらいの轟音を立ててるのに、過ぎてしまうと一気に静まるのもカッコよかった 潔かった
https://anond.hatelabo.jp/20200322025040
They walked along by the old canal
A little confused, I remember well
And stopped into a strange hotel
( ・3・) ふたりは古い運河に沿って歩いた。少しまごついていたのをわたしはよく覚えている。そしてふたりはネオンの輝く奇妙なホテルに入った。
――「奇妙なホテル」とは?
( ・3・) ホールにフランク・ザッパの蝋人形でも飾ってあったんじゃないか? ああ、この strange というのは unfamiliar ということだな。――ネオンの輝く見知らぬホテルに入った。彼は夜の熱気に打たれるのを感じた。まるで運命のひとひねりと共に走る貨物列車がぶつかってきたようだった。
( ・3・) 夕暮れの公園にいたふたりが歩きだす。ネオンが光っているから、あたりはもうすっかり暗くなったんだろうな。「わたし」の記憶によると、少しまごついていたようだが……。
――「わたし」が出てきましたね。
( ・3・) ふたりの背後に忍びよる謎の人物……。落ち着かない心の内までお見通しとは、たいした観察力だ。
――……。
( ・3・) いや、分かってるよ。賢明なる読者諸氏ならば、「わたし」の正体は説明せずともお分かりになるはずだ、ってことだろ? 分からないとおかしい。ナボコフの『 』を読んで、「 」と「 」とが同一人物だと気づかないようなものだ。
――『 』は読んでいないのですが……。
( ・3・) だから少しは本を読めって。ただしまともな本だぞ。『死にたくなければラ・モンテ・ヤングを聴きなさい』みたいなのは読書にカウントされないからな。
――話を元に戻しましょう。
( ・3・) 三人称の物語だったはずなのに、一人称の「わたし」がぱっと現れて、さっと消える。聴き手は混乱するんだけど、何事もなかったかのように、彼と彼女との物語が続いていく。
――はい。人称の問題は後で見直すとして、脚韻についてはどうでしょう。
( ・3・) 1行目と2行目、canal と well は母音が合っていないんじゃないか?
――子音しか合っていません。脚韻は、強勢の置かれた母音以降の音が一致しないといけないので、この箇所は韻を外していることになります。そのうえ、1行目と2行目とでは旋律も違います。
( ・3・) 違ったっけ。
――違うんです。第一スタンザでは、1行目・2行目・3行目はきれいに韻を踏んで、旋律も同じかたちでした。ところが、第二スタンザでは、1行目・2行目で母音が揃わず、canal は上昇する旋律、well は下降する旋律です。というか、"I remember well" のところは、はっきりした音程がありません。そこだけ語りのようになっています。
( ・3・) 例の「わたし」が出てくるところだな。ひょっとしたら、わざと韻を外して、旋律も外して、「わたし」に対する違和感を際立たせようとしているんじゃないか?
――わざとかどうかは分かりませんが、定型から逸脱することで、聴き手の注意を喚起する効果はあると思います。
( ・3・) となると、韻を踏まないことにも意味がありうるわけだ――あれ、6行目と7行目、train と fate も韻を踏んでいないぞ。
――6行目は train ではなく freight train の freight が脚韻にあたります。
( ・3・) まず列車の概念があって、それからより具体的には貨物列車、という思考の流れではないんだな。まずフェイトという音の響きがあって、その響きが無意識の言葉の渦からフレイトをひっぱり出してくる。それから列車の概念がフレイトにくっついてやってくる。意味が音を追いかけているみたいで面白いな。
A saxophone someplace far off played
As she was walkin’ by the arcade
As the light bust through a beat-up shade
( ・3・) どこか遠くでサックスを吹いている人がいた。――これは順番をひっくり返さないとうまくいかないな。――彼女がアーケイドを歩いていると、どこか遠くからサックスが聞こえてきた。くたびれた日よけから光が差し込み、彼は目を覚ました。
――まだ覚ましてはいません。
( ・3・) ――彼は目を覚ましつつあった。彼女は門のところで盲人のカップにコインを入れた。そして運命のひとひねりのことは忘れてしまった。
( ・3・) 夜から朝になった。どこか遠くでサックスを吹いている人がいる。時を同じくして、彼女はどこかへ歩いていく。そしてまた時を同じくして、夢うつつで横になった彼の部屋に光が差す。一行ごとに場面が切り替わって、映画みたいだ。
( ・3・) どこかへ歩いていく彼女は、そのまま消えてしまう。盲人のカップにコインを入れる、というのが何か象徴的な行為なんだな、きっと。運命、盲人、テイレシアス、と連想が働くせいでそう感じるのかもしれないが。
――何を象徴しているんですか?
( ・3・) 何かをだよ。メルヴィルの白鯨は何を象徴しているんだ?
――何かをですね。
( ・3・) そう。ある行為や対象が何を意味するのか一義的に定まらないとき、その行為や対象は象徴性を帯びるんだ。ひとつ賢くなったな。
――とはいえ、門のところの盲人は運命を告げるわけではなく――
( ・3・) それどころか、彼女は運命のひとひねりなんて気にしてないんだな、ちっとも。
――強い。
( ・3・) 強い。運命に抗う者は悲劇的な最期を遂げるが、運命に関わらない者はいつまでも幸せに暮らすんだ。――じゃあ、ありがたい教訓も得られたことだし、次に進もうか。
――その前にひとつだけ。わたしが面白いと思うのは、彼女が去っていくのを誰も見ていない点なんです。まず、どこか遠くのサックス奏者は物語に関与しない。
( ・3・) 音だけの出演。
――部屋では彼はまだ寝ている。そして門のところの盲人には――
( ・3・) 彼女は見えない。なるほど、興味深い指摘だ。きみ、名前は?
――……。
( ・3・) 名前は?
( ・3・) アルトゥーロ、ありがとう。そんなところにも彼女の強さというか、優位性が表れているのかもしれないな。
He woke up, the room was bare
He told himself he didn’t care
Felt an emptiness inside
To which he just could not relate
――ハーモニカの間奏を挟んで、ここからは後半です。彼と彼女とがいっしょにいる、あるいは少なくとも近くにいるのが前半でしたが、ディラン先生のハーモニカを聴いている間に、彼女のいた世界は彼女のいなくなった世界に変わってしまいました。――では、どうぞ。
( ・3・) 彼が目を覚ますと、部屋は熊だった。
――クマ。
( ・3・) 「かすみの間」「うぐいすの間」みたいに、「グリズリーの間」だったんだよ。泊まった部屋の名前が。
――真面目にやりましょう。
( ・3・) 彼が目を覚ますと、部屋は空っぽだった。彼女はどこにもいなかった。どうってことはないと自分に言い聞かせ、彼は窓を大きく押し開いた。心の内に虚しさを――
――虚しさを?
( ・3・) 虚しさを感じた。で、その虚しさというのは、彼がどうしてもリレイトできない――
――He just could not relate to an emptiness inside ということです。
( ・3・) どうしても関わることのできない虚しさ?
( ・3・) おまえが引きたいというのなら。
――ランダムハウスにちょうどいい例文が載っています。I can’t relate to the new music of Miles Davis. マイルス・デイヴィスの新しい音楽はわたしにはしっくりこない。――1972年に『オン・ザ・コーナー』を聴いた人はそう感じたかもしれません。そもそも1967年の『ソーサラー』からして、もう調性は不
( ・3・) 自分自身の虚しさとうまくつきあっていけない、と考えればいいのか。――どうしてもなじむことのできない虚しさを感じた。運命のひとひねりによってもたらされた虚しさを。
( ・3・) さっき "he was wakin' up" のところで「まだ目を覚ましてはいない」って添削が入ったのは、このスタンザの "He woke up" が念頭にあったからなんだな。
――そうです。ここではっきりと目を覚ます。
( ・3・) 彼女はいなくなっている。大丈夫だと自分に言い聞かせるってことは、大丈夫ではないわけだ。窓を開けたら心の内に虚しさを感じた、のくだりはなんだか分かる気がするな、感情の流れが。ぐっときたぜ。
――まず部屋が空っぽだという状況が語られる。でも本当に言わんとしているのは、彼の内面が空っぽになったことです。開いた窓のところに立って外と内とを画定することで、内面という言葉が自然に導かれています。
( ・3・) きみ、名前は?
He hears the ticking of the clocks
And walks along with a parrot that talks
Hunts her down by the waterfront docks
( ・3・) 時計がチクタクいうのが聞こえる。言葉を話すオウムを連れて歩く。水夫たちがやってくる港で彼女を捜す。また彼女が彼を見つけてくれるかもしれない。どれだけ待たなければならないのか。もう一度、運命のひとひねりが生じるのを。
( ・3・) 時計の音が聞こえてくるのにあわせて、時制が現在形になった。ここからは彼にとってまだ過去の出来事ではないんだな。
――彼女のいない現実が、一秒ごとに動かしがたいものになっていく。コンクリートが固まるみたいに。
( ・3・) 「言葉を話すオウムを連れて歩く」は何を意味するんだ? アメリカ文学で鳥がしゃべるといったら、ポウの「ザ・レイヴン」だな。死に別れた恋人と天国で再会できるだろうかと訊くと、鳥は「二度とない」と予言するんだ。
――このオウムは実在するんでしょうか? どこからともなく現れましたが。
( ・3・) そこを疑うの? 「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました」「エヴィデンスは?」みたいなものじゃないか。
――いえ、そうではなく、おそらく肩の上、耳元でオウムが話しているわけですよね、彼女を捜して歩いている間ずっと。それは暗喩ではないかと思うのですが。
( ・3・) おじいさんは暗喩としての山へ暗喩としての柴刈りに行きました。
――「周囲の人たちの話が、オウムの言葉のように空疎に聞こえてしまう」を暗喩的に言い換えると「言葉を話すオウムを連れて歩く」になりませんか?
( ・3・) 心ここにあらずだから、「よう、調子はどうだい?」と声をかけられても、「ヨウ、チョウシハドウダイ」と聞こえるわけか。まあ、そうかもしれないな。
To know and feel too much within
( ・3・) 内面を知りすぎてはいけない、感じすぎてはいけないと人は言う。わたしは今でも信じている。彼女はわたしの双子だったと。しかしわたしは指輪をなくしてしまった。彼女は春に生まれたが、わたしは生まれるのが遅すぎた。運命のひとひねりのせいで。
( ・3・) 「わたし」が出てきたな。二番目のスタンザでは存在をちらっと匂わせる程度だったが、ようやく正体を現した。
( ・3・) そう。三人称・過去のかたちで物語が始まり、彼女がいなくなって時計の秒針が意識に上ったときから三人称・現在になる。そして今、一人称・現在で「わたし」=「彼」が胸の内を明かしている。
――すべて過去形で書くこともできたし、すべて三人称、あるいは一人称で書くこともできたと思うんですが、どうしてそうしなかったんでしょう?
( ・3・) なんだか「学習の手引き」みたいになってきたな。時制が変わるのは、彼女の不在が彼にとって現在の出来事でありつづけているから。人称が変わるのは――そうだな、最後のスタンザの心情は、客観的に、距離をおいて語れないんじゃないか。まだ傷が生々しくて。
――第四スタンザの「部屋は空っぽだった」から「窓を大きく押し開いた」のあたりはハードボイルドの流儀で、あまり感傷的にはなるまいという抑制が働いているんですが、最後のスタンザになると――
( ・3・) 抑制が外れて、ついでに三人称の仮面も外れる。他人の物語であるかのように体裁を保っていたのが、保てなくなる。こういう効果を生むためには、人称の変化が必要だったんだな。
時々親父と自動運転について雑談したりするのだが、日本ではいきなり自動運転車が一般道をバンバン走るのは難しいだろうなぁという話になる
となると高速道路などの自動車専用道に自動運転車専用レーンを作って、社会一般に自動運転の車を馴染ませるという形になるだろう
では自動運転車専用レーンってどんな感じになるんだろう? という話になる
高速に乗る段階で専用レーンに進んで、その途中で自動運転モードにするのだろうか?
それとも高速で走ってる途中で自動運転モードにすると、車が専用レーンからのガイドに従って入っていく感じになるんだろうか?
親父が言うにはまず大型車、特にコンテナなどを運ぶトレーラーが優先されるのではないかと言っている
トレーラーで運ぶ荷台自体に自動走行機能付きの電気自動車としての機能を持たせて、その専用レーンに誘導機能と電気の供給機能を持たせる
そうする事でトレーラーのドライバーは荷台を高速の入り口に届けた時点でお役御免、最寄りの集積場に停車させた荷台を目的地側のドライバーが取りにくるという訳だ
俺は「なんか自動車というより貨物列車みたいだね」と返すのだが、まあ貴重な人材になりつつあるトレーラーのドライバーの拘束時間が短くて済むのは良いことだ
大型トラックなんかもそんな感じになるとドライバーの人の負担が減るなぁとは思う
でもここまで書いてきてなんだけど、こういうかっちりした仕組みって実現しちゃうと、後々足かせになるんじゃないかと思うんだよね
自動運転車専用レーンみたいなものが必要とされるのって自動運転の技術的な問題よりも、受け入れる人間の方の心理的な問題の方が大きいと思ってる
自動運転の社会的な信用度が不足してるから、とりあえず専用レーンに隔離しておきましょうって話になる
で、専用レーンを走ってる自動運転車が走るのが当たり前になったら、わざわざ隔離する必要ないんじゃない? という流れになるだろう
専用レーンをかっちりした仕組みで運用した場合、いざ専用レーンを取っ払おうとした時に障害になっちゃうんじゃないかと思う
親父の案だと専用レーンを走るのは無人の自動運転車だけになる訳だけど、そこに有人の車を走らせるだけでも揉めると思う
親父にもそう話したのだが、親父が言うには「日本のお役所だとそういうかっちりした規制を敷いてしまうんじゃないか」とのことだった
それはありそうだなぁ……と思ってしまった
停車中の荷物検査は最も危険な時間だ。祐太はコンテナの隙間で白い息を殺し、屈強な女性職員が通り過ぎるのを待った。でも大丈夫、きっと会える。根拠はないけど、かじかんだ手の中にある少女の写真を握りしめると勇気がわいてきた。やがて列車は再び駅を出発した。
※※※ ※※※
「高校は女人町のとこに行くんだ」美術室で部活の後片付けをしながら、由紀はさらりと言った。女人町のことは祐太も知っていた。夜に安心して出歩けるよう、女性だけが生活することを許された町だ。由紀がこの町の女の子であることもクラス中のみんなが知っていた。義務教育を卒業すると、女人町に戻るか外の町にとどまるか、母親が選択することも。ただ、由紀が戻ることになったのを知ったのは、祐太が最初だった。
「そっか、由紀は行きたいのか?」
「わかんない。でも親が決めたことだし」
話はそれで終わった。由紀はそのまま学校を卒業し、女人町の高校に進学していった。通常、女人町に戻った女性は、それ以降もうほぼ外に出ることはない。
※※※ ※※※
祐太は地元の高校に進学し、由紀との思い出は忘れていった。学年たった二人の美術部員だったこと、部の存続をかけての新歓、絵の具の匂い、いつも頬を赤くしすぎる由紀の人物画の癖。
そして大学に進学した1年目の冬休み、消えかけた思い出が蘇った。新しく出来た鉄道趣味の友人が、ポロッと言った一言がきっかけだった。「この貨物列車、女人町に行くんだよな」
「へえ。あそこ、電車が通ってるんだ」
「生活物資やなんかは流通が必要だしな。ああいう町だから、警戒は厳重だけど、荷物は別だよな」
町につながる場所がある。そう思うと急に由紀に会いに行きたくなった。手がかりは卒業アルバムの切り抜きの写真と、中学の頃貰った家の付近のスケッチだけ。町の写真は盗撮につながるからと規制されていたからだ。メールももちろんできない。
それでも祐太は諦めなかった。夕闇に紛れて女人町行きの貨物列車に忍び込むことに成功した。後は列車が連れて行ってくれることを待つだけだ。
※※※ ※※※
検問は数度あった。そのたびにコンテナの死角に滑り込んでやりすごした。屋根も壁もない。昼から小降りだった雨は、東京ではめずらしく雪になっていた。風が強く、寒さが身にしみる。
夜、女人町に入った後、列車が緊急停止した。「人手が足りない!」「男性職員も応援に呼んでください!」「承認はまだ?!」何かしら事故があったのだろう。辺り一面は漆黒の雪景色で、職員たちは雪かきやヒトモノの整理で相当混乱していた。今なら脱出できる!祐太は暗い雪道に踊り出た。
周囲は真っ暗で、明るい場所は雪面をまばらに照らすオレンジや薄紫の街灯くらい。隠れる場所はいくらでもある。とにかくすぐ寒さをしのげるところに逃げ込み、明るくなってからスケッチの場所を探そう。祐太はそんなことを考えながら暗がりを歩いていた。
誰もいないと思っていた。そんな油断もあって、暗闇の中全身真っ黒な服から覗く2対の目に、祐太は気づかなかった。
※※※ ※※※
祐太は人らしきものにぶつかった。背筋が凍る。見つかった!そこにいたのは2人組で、頭の上からイスラム教徒の女性が被るブルカのような真っ黒い布をかぶっていた。
「あなたは…男の人?」
ブルカの女性に話しかけられた。動揺のあまり、祐太はしばらく動くこともできなかったが、やがてやっと声を振り絞り答えた。
「ごめんなさい、人を探して、ここまで来たんです。今回だけは見逃してください!」
「でも、こんな格好をしてると捕まるぞ」
後ろの方のブルカから、男性の声が聞こえた。この町にも男性がいたのか!祐太はほっとした。
「私の服を貸してあげる。まずは私達の家に来ましょう」
そして促されるまま、祐太は二人の家に案内された。
※※※ ※※※
家の中に入ればもうブルカは必要ない。助けてくれた二人を改めて見ると、祐太と同じ大学生くらいの男女だった。女性は比奈、男性は陸と名乗った。祐太は二人の家で事情を話した。スケッチの情報から、比奈が通っている絵画教室をしている家だとわかった。この家の近所だ。陸からは余分なブルカも貸してもらった。男性同士助け合いの精神もあっただろうが、何から何まで手助けしてもらい、本当に感謝するしかない。
しかし、ブルカなんて被って不審がられないだろうか。聞くと、若い女性はだいたいこんな格好だという。
「昔、目元やチークを真っ赤にするメイクが流行ってね。うさぎ目メイクって言ったっけ。好きなは好きだけど嫌いな人は『幼女ポルノのようなメイクだ、ミラノ帰りの自分からは信じられない。VOGUEを見習え』って、大論争。喧嘩を避けるように、結局みんな姿を隠すようになっちゃった。」
「でも、そのおかげで俺たちみたいな男もこっそり生きられるんだけどな」
聞けば恋人を作りたい女性や父親がほしい家庭は、こうやってこっそり男性を家に引き入れて暮らしているそうだ。よく考えるとそうしなければ町の人口は減る一方だ。この町はそうやって矛盾を抱えながら維持されてきたのだろう。
「由紀ちゃんと連絡がつながったわ。今すぐ行きましょう。ゆっくりさせてあげたいところだけど、ママがこれ以上男性を住まわせるつもりなのか疑ってるの…ごめんね。」
どうも話から推測すると、男性を匿いながら暮らすのは専業主婦を抱えるのと同程度に負担のかかることで、できれば避けたいようだ。祐太もこれ以上迷惑をかける気もなかった。コートを着込み、ブルカを身にまとって比奈と共に家を離れた。
二階の窓では、母親と思しき女性が祐太に視線を貼りつかせていた。
※※※ ※※※
祐太は、ついに由紀の家にたどり着いた。玄関口で見た由紀は、中学のときの面影を残していた。急ぎ足で比奈と一緒に部屋に入り、ブルカを脱いだ。
「祐太…」由紀は口を押さえて、もう半分涙声になっていた。「来てくれたのね…」
「じゃあ、私はお邪魔かな」そう言って比奈は部屋を出た。部屋は由紀と祐太、二人きりになった。まるで中学の美術部と同じ風景だ。そう言えば改めて見渡すと、部屋の様子も美術部室のように幾つもの絵画や機材が並んでいる。ここは由紀の部屋ではないんだろうか?
「お母さんの美術教室のアトリエよ。今時期は教室やってないから自由に使えるわ。布団持ってくるから、ここに今日はここに泊まってって」由紀はいたずらっぽく目を輝かせて言った。「お母さんには内緒ね」
「悪い奴だなぁー」軽口を叩くと本当にあの頃に返ったようだ。「今でも絵、続けてるのか?」
「そうね、つい最近も描いた絵がそこにあった気がするけど…」
「待って、当ててみるよ。…あ、わかった。右から3番目のだろ。なんでわかったと思う?」
「「頬が赤すぎる」」2人の声が被った。そして2人とも大笑いした。
その後は夜遅くまで話をした。昔の思い出、卒業してからの生活、祐太のここに来るまでの冒険譚。話している内に日付が変わり、外の雪はますます降り積もった。
「これから、どうするの?」
「もう少しここにいたら?こんな雪だもん。2~3日は色々マヒしてて気づかれないって」
ひょっとしたらここで暮らすのも悪くないかもしれない。ブルカがあれば外出もできるだろう。男性同士のコミュニティもあるようだし、由紀の家族にも気に入ってもらえればよいな。そんなことを考えながら、祐太は眠ってしまった。
※※※ ※※※
「おい起きろ!さっさと出る準備をするんだ!」
突然の怒号とともに毛布を剥ぎ取られ、祐太は目覚めた。目の前には警官姿の屈強な女性が2人、立っている。
寝起きで意識がはっきりしないまま、祐太は両脇を抱えられて外に待機していたパトカーに詰め込まれた。「xx時xx分、xxxx確保…」警官の一人が無線で何か会話をしている。まるでまだ夢の中のようだ。いや、昨日までの記憶の方が夢なのか?
祐太はやっとのことで声を出した。答えはしっかりとは聞き取れなかった。これから町の外の警察に引き渡され、そこでこってりと絞られるらしい。
隣に座った大柄な女性警官は威圧的な雰囲気だ。でもパトカーはシャーベットの路面を頼りなく走っていて、そのギャップに祐太は少し笑ってしまった。
なんて結末だ。
※※※ ※※※
「密告があったみたいね。あんたも大胆なことするわね…」由紀の母親はコーヒーを淹れながら由紀に話しかけた「報奨金高いんだよねぇ。誰だか知らないけどだいぶ儲かったんだろうな」母親は少し呆れていたが、それほど意に介していないようだ。対照的に由紀は朝からずっと泣いていた。
「ごめんなさい。もうこんなことしない…」
「本当だよ!色々面倒なんだからね!」
母親は一言だけ釘をさしたあと、あんたもコーヒー飲みなよ、と一杯テーブルに置き、洗濯物を干しにリビングを出ていった。
その日一日、しおらしく反省した様子を見せていた由紀だが、心の中では計画を立てていた。町を出る。祐太に会いに行く。
※※※ ※※※
大雪の混乱は女人町では5日間で収束した。もう雪は懲り懲り、そんな気分を察してか、その後はずっと晴れ続きだった。暦はもう立春になったが、まだ気温は冬。それは女人町でも同じだ。
「それじゃ友達の家に泊まりに行ってくる。3日くらいで帰ってくるよ」リュックに荷物を詰めた由紀が玄関で母親に言った。母親は答えた。
「え、え?…お母さん何言った?私友達の家に…」
「こないだ来た男の子のところに行くんでしょ。外の列車の切符なんて買えなかったけど、駅の入場券くらいは買えたわ。あとはあんたで何とかしなさい」
ああ、お母さんには何でもバレバレだ。由紀は素直に切符を受け取った。でも、本当に外に出ていいんだろうか?お母さんに迷惑かかるんじゃないかな?
「やっぱり血筋なのかね。私もあんたのお父さんに会いに列車に乗って出かけていったんだよ。そのときにはもう社会人だったけどね。」
それは初耳だった。色々型破りな母親なのは知ってたけど、まさか列車に忍び込んで町を出るなんて!
「いやいや、その時はこの町もまだインフラが整備されてなくて、男性も沢山作業に出入りしてたんだけどね。ただ住む場所だけは別々で、でもどうしてもあの人に会いに行きたくてさ。臨月なのに常磐線に乗って出かけちゃったの。そしたら電車の中であんた生まれちゃって!大騒ぎだったわ」
何それ!電車で生まれたって聞いてたけど、そんなシチュエーションで生まれたの?何か私より祐太より、お母さんのがよっぽど大胆じゃん!
「だから言ったじゃん。血筋なんだなって」お母さんはいたずらっぽく目を輝かせて言った。「お婆ちゃんには内緒ね」
わかったお母さん。私も頑張る!
※※※ ※※※
停車中の荷物検査は最も危険な時間だ。由紀はコンテナの隙間で白い息を殺し、屈強な女性職員が通り過ぎるのを待った。でも大丈夫、きっと会える。根拠はないけど、かじかんだ手の中にある少年の写真を握りしめると勇気がわいてきた。やがて列車は再び駅を出発した。
本題の前に筆者の話。
鉄道会社勤務、6年目、車両整備担当のぺーぺー、入社前は撮り鉄だったけど、今はカメラは旅行にいくときしか触らない。
私の職場は車両基地という場所ゆえ、地元の方や、写真撮影の方、親子連れの人までさまざな方がまわりから見ていらっしゃる。
そんななか、ずばぬけて、あきらかにマニアが面倒なことをする人が多い。
こっちは仕事だけど、でも昔撮り鉄やってたし鉄道が好きな気持ちはわからくない。好きなことがあるのはいいことだと思う。
たとえば私の仕事場なら、敷地に入らないでくれって看板あるの無視して、撮影する人の多いこと。
そのたびに手を止めて、言いに行かなきゃならない。
「あの~、申し訳ないんですけど、撮影は敷地外からお願いできません?」
ただそんなことわざわざしてたらキリがないし、そんなことの対策に"わざわざ大げさに"お金かけてられない。
たぶん、一般的な教養、常識がある人ならおかしいって思うはずだ。
これが自浄作用、善悪の判断を失った撮り鉄の発言だ。ネタではなく、マジである。
ただ、すべての撮り鉄がすべてこんなのじゃないっていうのも合わせて付け加えておく。
ちゃんとやってはいけないことはもちろんわかってる撮り鉄もいる、それが普通なんだけどね。
だいたいニュースになる撮り鉄の行動・発言はおかしいレベルがずば抜けてる人たち。
自分の欲求(撮りたい理想のアングル)とやってはいけないこと(違法行為)だけは天秤にかけて、行動してもらいたいもの。
なんで、そうなってるんだろう?って考えてほしいよ。
妄想臨時列車の運用ダイヤとか自分のなかで○○所属の車両が××所属かわらないかなぁ~とか、バカみたいな妄想想像話よりいま撮り鉄に対して向けられてることにしっかり目を向けてよ。
話は逸れたが、こんな対応をこまごましているうちに時間はもちろん過ぎてゆく。
規模や内容がひどいとき以外、いちいち上司呼んでられないし、上司に時間割いてもらって下手にほかの作業指示遅れるなら私が対応したほうがまし。
でもどこかで無駄な労力はかかる。
そんな中、マニアが考えてやったことはなんだ?
過去、停車中の貨物列車のブレーキかけて緩まなくして、列車はもちろん普通に走って、あとで怖くなって申告して逮捕された高校生の話。
貨物列車はどうやら貨車1両1両に駅で単独で停車するときにかけるブレーキシステムがあるみたいで、それを触ったのだとか。
同業他社の知り合いの知り合いからちらっと聞いた話だけど、列車は止められて、点検して、車輪がだめになってるから最寄りの駅で貨車を切り離して、代わりの貨車に付け替えて、だめになった貨車から付け替えた貨車に荷物載せなおしたりして、ダイヤ乱れて出てったって。
同じような業界だからこそ、思ったのはたぶんいろんな社員さんが通常業務止めて、緊急対応で出動したり、対応に追われたんだろうなって話。
人身事故とか、不慮の事故とか、偶発的な車両故障とか、仕方ない件ならば、それも仕事なんだしやるんだけど。
他人様の、しかも鉄道が好きって言う人間がやった不始末を後始末しなきゃならないのよ。
尽力された方々、さぞかし今一般人が撮り鉄ウザイって思うよりもっとウザイって思っただろうね。
一人の撮り鉄だろうが、大勢の撮り鉄だろうが、みんなお金払って駅などにいる人たちは、撮り鉄だろうが撮り鉄じゃなかろうが平等なお客様。
撮り鉄が金払って駅入ってもお客様やけど、同じお金払って乗ってるお客様に迷惑かけたら、会社は手を打つよ。
「安全」をお金払って乗ってる人、すべて平等に「安全」なるようにしてるのよ。
さっきの私の仕事場の話ならば、移動してる車両の触車事故なんかされたらたまったもんじゃない。
鉄道は跳ねたらほぼ一発で死ぬことができる。私も移動する車両の横とかに立ってるだけでも怖いし危険。
おわりに。
私も写真撮る機会あるし、撮影機材も写真知らない素人より全然わかる人だからトラバの内容わかるけど。
あなたの機材なんて知ったこっちゃないし、まずは社員の仕事や鉄道で移動してるお客様の邪魔しないで。
別に写真撮るなって言わない。そら写りたくない人とかいたらそれは別だが撮るなと言わないよ、私は。
ただ、いまこの目を向けられてること、考えて。
意識ある人、良識のかけらが残ってる人、ちゃんとマナーや常識ある撮り鉄ライフを送って。
「昔は良かったんだから良いだろ」とすぐ主張する人、現実見て。今は昔じゃない、今に適応して。脳みそ動かして。
私は乗り物酔いをする
これは私の特技
吐く前のヨダレは意識して止める
酔って車から降りることもない
我慢する
酔うことはきついし、
どこかへ向かうワクワク感も消え去る
出来れば酔いたくない
車内の看板を読んだだけで酔う私は
本や携帯を見られる人が羨ましい
でも酔い止めは飲まない
買わなければと思えない
酔い止めを飲めっていつも注意される
おそらく酔うことは家から出たことを
感じられるからだと思う
私は家から出たくない
出たいけど出たくない
外で遊びたいけど遊びたくないのだ
外出して電車に乗れば酔う
貨物列車が通過した
すぐ目の前を通り過ぎ始めた
何が連なっているのか知りたかったのに
スピードが強烈に速くて見えなかった
離れて見ると、
間近だと速すぎてわからなかった
私は目を凝らしているうちに酔った
電車に乗っていなくても、
目で追っていたら酔ってしまった
不思議だった
でもそのわずかな苦しみが苦しい
気にしないけど
青春18切符で旅をしている。
車窓を見ていると、とても長い編成の貨物列車とすれ違っている。
そしたら、ちょっと前は意識していなかった気がするが、「宅急便」と書かれたコンテナがたくさん積まれていた。
「環境に優しい鉄道貨物」と書かれた、JRFコンテナも積まれていた。
この風景を見てて思った。もはや、環境云々言ってる場合でもない。
環境とは無関係に、トラック運転手が足りてなくて、鉄道貨物でどんどん代替していくべき時代なのではないか。
鉄道貨物を推すと、もはや時代遅れの手段を持ち出す鉄オタは数多がおかしいと言われるのが定番だが、
旧態依然としたヤード輸送方式と、スト権ストによる不安定な輸送というのは解消されているし
現実として、さっき見たように専用列車でもないコンテナ貨物に、普通にヤマトのコンテナが積まれていた。
カンガルー便のもあった。
これらを考えてみると、昔のように「チッキ」が復活すればなあ、と思った。
もう普通に駅で発送して、列車で輸送して、駅で受け取る。もちろん小口貨物輸送は様々な需要形態があるから
けれども、都市間、都市内の鉄道を有効活用しやすい区間だけでも
鉄道や駅を活用していけば、少しでもトラックへの負担を減らせるし、渋滞の軽減などにも資するのではないだろうかと思った。
http://anond.hatelabo.jp/20161204230447
様々な要因の影響を受けながら、ユダヤ人たちは強制連行を受けとめていた。彼らはもう何年もの間ゲットーに閉じ込められ、飢えと渇き、恐怖と苦痛にさらされ続けていた。そうした人びとは既に絶望し諦め切っており、連行命令に従いがちだった。強制連行の中でナチ・ドイツによってもたらされた恐怖はもはや抑えがたいほどに膨れ上がり、彼らは打ちのめされ、感覚を失い、脱出や抵抗への意志を打ち砕かれてしまっていたのだ。その上連行されてゆくユダヤ人たちの圧倒的多数は、自分たちは労働のために移送されてゆくと、実際本気で信じていた。彼らは東方への再定住に希望を繋いでさえいた。そこには仕事もあるのだから、まさか自分たちが後にするゲットーよりもひどい事はないだろうと。彼らに期待できることはもう、それしかなかったのだ。どこか知らない東の地の他には…。
いずれにせよ、ただユダヤ人だというだけで何の罪もない老若男女が連行され殺されるなど、誰にも予測のできようはずもなかった。 予測しようにも特定民族の完全絶滅など、未だかつて誰ひとり、経験したためしがなかった。
連行にはナチ・ドイツ以外の国々の警察隊も加わった。ポーランド「青色警察」、オランダ「緑色警察」、フランス、ルーマニア、ハンガリー警察、ウクライナ、リトアニア、ラトヴィア、エストニア警察その他、それはユダヤ人強制連行が行われたすべての国々に及んでいる。
多くの非ユダヤ系住民が強制連行を目撃している。玄関口から、歩道から、彼らは連行をただ見ていた。悲しみと同情を表わす顔もあれば、大喜びの顔もあった。だが大多数の人びとは、見知った仲の隣人が追放されてゆくこの痛ましい光景に、無関心なようだった。まるで彼らは、何も感じていないかのようだった…。
駅に到着したユダヤ人たちは窓を塞がれた貨物列車に詰め込まれた。しばしば100名から150名、ときにはそれ以上が、その半数ほどしか収容できない1両の貨車に無理やり押し込まれた。貨車には外から錠が下ろされ、列車が収容所入口に着くまでドイツ兵もしくは警官が随伴した。列車は何事もなければ数時間で済む収容所までの道のりを、幾日もかかって走ることが度々あった。東方のソヴィエト戦線に向かう軍用列車が通るたびに退避線に入っては通過を待ち、再出発の許可が下りるまで何時間も停車していたからである。
すし詰めの貨車の中の有様は、言語を絶していた。貨物車なので便所などひとつもなく、詰め込まれた人びとはバケツか、さもなくば床に用を足していた。換気装置も水もなく、車内の温度は夏になると水ぶくれができるほどに上がり、冬には逆に氷点下に下がった。これらの要因は収容所到着を待たずに大勢の人びとが車内で死亡する原因となった。特にポーランド領のゲットーからの便では、収容所到着時に数百名がすでに死亡していたという例もある。
ヨーロッパ西部とバルカン半島諸国での強制連行は、東欧でのやり方とは若干異なっていた。連行が決まった人びとはまず自国内の移送収容所に抑留され、数週間あるいは数ヵ月後にポーランド行きの列車に乗せられた。彼らの場合ポーランド系ユダヤ人の場合よりは待遇が良かったので、移送中の死亡率も低い。西ヨーロッパ系ユダヤ人が貨物列車ではなく客車で移送されて行ったケースもある。もちろんそれは、労働のために移送されて行くという彼らの幻想を引き伸ばすための手段に過ぎなかったが。
列車が絶滅収容所に到着するとユダヤ人たちは貨車から降りるよう命じられた。ベウゼッツ、ソビボル、トレブリンカの各収容所に着いた人びとは、ここは移送収容所であり、ここから各労働収容所へ送られることになる旨を伝えられ、そしてこう言われた−「シャワーを浴びるから衣服を脱ぐように」
脱いだ衣類は消毒に廻された。女性は衛星上の理由と称して髪を切ることを告げられた。男性は女性と子どもたちから引き離された。荒々しい殴打と威嚇の中を、丸裸にされ運命から見放され呆然となった人びとは「シャワー」へと追い立てられて行った。それは確かに「シャワー」ではあった。ただしそれは「ガス」のシャワーだった。
アウシュヴィッツでは、人びとがホームに降り立つと通常は「選別」が行われた。約20パーセント−若く体格の良い人びと−が強制労働のために集められ、「ガス室」送りを一時延期された。しかしそれと同時に、年齢も体調もおかまいなしに、到着するなり全員が何の選別もされずに「ガス室」に追い込まれた場合もある。一方では、稀にではあったが、到着した全員がしばらくの間ガス殺されずにいたこともあった。
ナチの念の入った偽装と隠ぺいのシステムの中で、「ガス室の中で絶命する」という犠牲者たちの運命は常にあいまいにされ、彼らは最期の瞬間までそれを知り得なかった。
ナチス・ドイツが構築した排除の装置は恐るべき効果を挙げた。数百万に上るユダヤ人が等しく殉難の試練を受けた。それは彼らがいまだ家庭にある時より始まり、絶滅収容所のガス室をもって終わった。
よぉいい感じじゃねーか。ww 俺だよ、オレオレ。
クソうぜぇ厨二が幼稚な自己憐憫に酔いながらこうやって増田で生息し、注目で上がってコメントが盛り上がる。お綺麗な文章作法云々しながら平気で他人の物を盗んで売り捌くお文士様達と、その下衆にすら届かずに劣等感に苛まれるはてな界隈にはおあつらえ向きだよな!
だがな、朝っぱらか酔っぱらってんじゃねーぞ?
オマエのやってんのは「ちっくしょー、遅刻して先公に怒られたぜ、なんで俺だけ?!」とか悪ぶってるクソガキを、もうちょっと貧乏なバカガキが「俺なんか給食費が払えずに学校これなかったんだからな? ナマ言ってんじゃねーよ」って殴りつけてるようなもんなんだよ。不幸自慢か貧乏自慢か知らねーが、こういう勝負に勝つ為にはテメーがいかに恵まれてないかがポイントなんだ。
女も同じ事やってるだろ? 「アタシ10万も貢いだのにフられちゃったー」「フン、アタイなんざ恋愛は無縁よ。ガキの頃からババァに店の男の相手させられたもんさ」みてーなな。
書くのは自由だ。でもウゼーんだよ、ウゼーの。だったら俺がそれを言うのも自由だろ?
幸せじゃいけないのか? オマエより恵まれた連中はみんなオマエより忌むべき存在か?
くだらねぇ。テメーはただ羨ましがってるだけなんだよ。金があるからなんだ? 容姿がよけりゃ幸せか? テメーの価値基準の基はどこだよ。知性か? 文章力か? 地位か? それともコネか? 馬鹿じゃねーのか?
世界が狭いんだよ厨二野郎。他人と比べなきゃ立ち位置が分からねーんだろうがよ。
オマエが使ってるパソコンだかスマホだかはな? 大儲けしてるメーカーが廃棄物をリサイクルして作ったもんだ。貨幣価値も環境意識も低い国で危ねぇかどうかすら分からないガキが有害物質まみれの煙と水に塗れた中で野焼きして取り出したレアメタルや金属を安く買い叩かれてな。
オマエは今朝何を食った? 食ってないにしてもどんなところで雨風を凌いでる? 服は何を着てる? 風呂にはいつ入った? 医者に掛かった事はあるか? 図書館にはいつ行った? 電気はどうだよ?
地下鉄で囲まれて命と財布を交換したことはあるか? 重油が足りなくて貨物列車を押した事は? 知り合いにドブ浚いした女は何人いる? 薬物キメなきゃ日雇い現場にすら辛くて行けない気持ちがわかるか?
キリがねぇだろうがよ。テメーはクソ狭いテメーの周りで自分よりちょっといい生活してる相手だけを見てグチグチグチグチ妬んでるだけなんだよ!!
こうやって恨み言だけ書くなら勝つ為にはどんどん不幸にならなきゃならねぇ。俺はテメーみたいのと付き合うはゴメンだ。
たくさんコメント貰えてよかったな! 朝っぱらから気分悪くてしょーがねぇよ。テメーのご立派な文章がどれだけみんなを勇気づけてるかよーく考えてみりゃぁいい。
何が罪びとだ。少しはモノ考えやがれ。
じゃぁなクソ野郎。
自分が生まれる前に、大叔父さんが飛び込んだという踏切は自宅と国道を結んだ道の間にある。
昔は母から、遠回りの架線橋を渡るように口を酸っぱくして言われてきたけれども、
大学に入った頃から、いつしか守らなくなって長い時間が過ぎた。今日もまた、同じ踏切を通った。
小雨が降っていつもより闇が立ちこめた夜に、踏切はよく目立つ。
目を離せば田んぼにつっこみそうになる周りにはろくすっぽ街灯はないのに、
踏切はちょっとした窪地になっていて、ブレーキを掴んでいないと勝手に自転車が前に滑り出す。
自転車のサドルから雨粒を適当に払って腰掛けたお尻の冷たい感覚が今になって忍び寄ってきた。
じれったさを感じながらしばし待っていると、貨物列車の聞いただけでわかる重苦しい車輪音が近づいてきた。
手を伸ばせば届きそうな近さを猛スピードで貨物列車は駆け抜ける。
コンテナを積んだ客車と積んでない客車が交互に通り過ぎ、それだけで息苦しかった。
ふと、この右手のブレーキを緩めたらどうなるのか想像してみた。車輪は軽く遮断機を押し、そして客車に触れるだろう。
タイミングがうまく合えば、ちょうど客車と客車の隙間に挟まるかもしれない。
時かけだったら、綺麗に身体を投げ出されていただろうけど、この場合だったら、自転車ごと身体をどこまでも引きずられて、
半身が擂り身になるのかな。バイク事故で傷を負った知人の裸身を思い出した。
遮断機もなかった時代、大叔父さんはどんな飛び込み方をしたんだろうか。恐る恐る?思い切って?
どうにも実感が掴めなくて、戸惑うと、じゃあ試してみる?と自分じゃない自分が囁いた。
支える左足も掴む右手もおっくうだから全部離して、そのまま進んじゃえば?
...目の前が急に明るくなってはっとなって顔を上げるとトラックが反対側に止まったところだった。
踏切の警告音はいつのまにか止んでいた。自転車を降りて、自転車を道端に寄せてトラックをやり過ごした。
自転車にまたがる気持ちになれなくて、押して帰った。
姿見に姉の服を充ててちょっと背伸びをしてみたりと
美術の時間だけ仲が良かった将棋が好きという知人の部屋の様子だったり、
轟音をたてて通り過ぎる貨物列車で轢死体となった自分だったり、
進みたいときに、止まりたいときに、ちょっと弾みを付けるための材料。
大学生になって、受験に失敗したことから、虚栄心だったり、逃避心が強くなったように思う。
最初から最後までその学校の学生の振りをして、私は学生なんだってキャンパスにいる間、信じてた。
仮面浪人って実力行使の道もあったはずなのに、安易な道を探して。
兄から手に入れたカルテクのTシャツを部屋着にしてた。文系なのに。
そして、今、夢想癖がまた新たな段階に入った。
今の家に初めて他人を迎えて、ご飯を食べてお酒を飲んだ。
本棚に置いてあった漫画の作者の共通のファンであることが発覚したり、
語る言葉もなく、惑う視線を天窓に固定しようとした時、友人の掌がちょいちょいと動くのが見えた。
友人の指が向かう先で、開け放した窓から時折舞い込む夜の風にさっき読んでいた漫画のページが捲れようとしていた。
天使がめくったのかもね、とぽつりと漏らしたら、友人が盛大にビールを吹き出した。
昔読んだ本の慣用句で、こういう沈黙を天使が間を通り過ぎる、なんて聞いていたから
大真面目に使ってみただけなんだけどな。駅まで送った後も、もやもやが取れなかった。
なぜかあの時のことを思い出すようになった。
あの時にかける声を探すようになった。
天使がめくったのかもね、
どんな言葉をあの時選べばよかったの?
もう何度も何度もコンティニューを
繰り返してる。
ロードして選択して
ロードして選択して
ロードして選択して、いつまでも。
どうすれば、止まるのだろうか。
これを止めるための新しい夢は久しく来ていない。
焦燥感が胸を打つ。もう早く次の夢が来て欲しい。
あの時を超える時間が早く欲しい。
ひとりでに始まる寝物語が今は辛い。
多分今日も始まると思う。