高校生の半数以上が大学に進学する（大学全入時代は大学進学を希望した人より大学の募集人数が上回っている、という意味。高校生が全員大学に通っているわけではないし、大学進学を希望した人はみな大学に入れるわけではない）
大学、短大、専門学校、就職、などと進路は用意されているが、実態は前3者が既定路線（レール）であり、高卒就職は今となっては求人数もそこまで多くない。
じゃあ進学しますとなれば、もちろんお金がかかる。国立ならお金がかからないというのはじわじわ値上がりしてきた今となっては有効な反論ではない。
そこで、”学業、品格ともにタカだけど、家庭環境がとんびよりダメな家庭に産まれた子”を対象に給付型奨学金ができた。
その一方、いろいろな思惑もあって、大学の数も増えた。都会だけじゃなくて、地方にもできた。もともとあった大学もどんどん規模を拡大し、学部学科が開設され、定員数は増え、教授のイスも増え、研究室も増え、といい循環ができていた（当然、この当時はいい循環だったことは間違いない。多くの若人に高等教育を受ける機会が与えられ、それを実現した学生が多いことは喜ばしいことである。）
そうすると、タカよりは劣るけど、、、というようなグレーゾーンのカモをどんどん取り込もうと貸与型の奨学金もどんどん拡充された。貸与型は利子がつくかどうかの違いだけで、ほぼ例外なく返還義務がある。ほぼ、と書いたのは飛び抜けて優秀な学生には免除もある、という意味で、99,9％の学生には関係のない話。
企業としても、そういういい環境で育ってきた学生を雇いたいので、企業は積極的に大学生のみに焦点を絞った採用をするようになった。多くの企業は、有名なところから無名のところまで「大卒」のみに就職を絞った。もちろん、大学生も正社員で就職さえすれば安定した賃金、数カ月分のボーナスで、うん百万という借金も十年とかからずに返せてこれた。

しかし、経済が縮退すれば全て壊れてしまう。大学や専門学校は高校と強いパイプを構築して高校生を進学に誘導するし、一般的な高校生は「高卒で就職」という情報をほとんど目にしないし、一般的な家庭は「高卒で働け」とは言わない。（大学に行け、とは言う）

就職状況は不安定になり、賃金は下落し、多くの企業はいつまでも大卒ばかりを採用し続ける。

貸与型奨学金を廃止しよう（ついでに新聞奨学生も廃止しよう）

貸与型奨学金を廃止すると、自腹で払えない家庭のふつうの学生はより高等な教育機関には通えなくなる。格差の再生産などという批判もあるが、払えないんだから仕方がない。
大学生の数が減れば、大学や専門学校としても対策を取らざるをえない。もしかすると、奇跡が起きて学費の合計が半減するなどということもありえるかもしれない。それなら、また大学生増えてもいいじゃん？もちろんその中で路頭に迷うポスドクが大量発生するかもしれないけど、イスがないんだから仕方がない（今もないけど）
企業にとっても、大学生の数が減るということは死活問題だ。もしかしたら高卒求人が5倍ぐらいに膨れるかもしれない。その給料は最低賃金下回ってるかもしれないけど、労組もないし労基署も動かないし安くこき使いたいんだから仕方がない。また、高卒と大卒という格差がもちろん昇進にも作用するし、大卒はずっと本店、高卒はずっと現場になるだろうけど、高卒はお勉強ができないから仕方がない。