ITにおけるフリーランスというのは、基本的には企業から仕事を請ける、受託開発の仕事だ。稀に、発注主が個人事業主ということはあるかもしれないが。だから、仕事を獲得するためには、企業と契約に至らなければならない。言い換えれば、企業から信頼を獲得しなければならない、それ以前に「知ってもらわないといけない」のだ。

案件紹介サイトみたいなのはあるけれども、そういうところを経由すると費用がかかったり、契約内容に制限がかかったりすることがあるので、できるなら案件紹介サイトのお世話にはならずに仕事を獲得したいものだ。

どんな人脈でどんな仕事が入ってくるのか？

多くの場合は、フリーランスになる前の会社員勤めなどを通して、同じ職種の人間と仲良くなるだろう。同じ職種の人を経由して入ってくる仕事というのは、以下のケースが考えられる。

その人が忙しくて請けることができなかったお仕事（いい案件）
その人の専門分野ではないお仕事（いい案件もヤバい案件も両方ある）
その人が請けたくないと思ったお仕事（ヤバいやつ）
その人だけでは人手が足らないお仕事（大規模案件の一部を担うことになる→基本的に裁量が小さくて楽しくない）
その人が温情で回してくれた優良案件

仕事してお金が入って生活できればそれで良いんだって話もあるけど、同業者から回ってくるお仕事って、多少の例外はあるけれども基本的に「おこぼれ」なんだ。

一方で、「企業の偉い人たち」という人脈があると、以下のような話が舞い込んでくる。

まだ具体的に投資計画が練られていない段階での構想
方式選定とかが何も進んでいない段階のプロジェクト
大手ベンダが高過ぎる見積りを出して振り出しに戻ったプロジェクト（RailsやらDjangoやらLaravelやらCakePHPやらで容易に要件を充足できることが明らかなのに、大手ベンダが数千万円の見積りを出してきて頓挫）→数千万円に比べるとフリーランスが出す数百万円の見積は激安なので稟議とかも通り易い

こういうお仕事を良い案件にするのもクソ案件にするのも自分の実力次第なのではあるが、私にとっては絶対にこっちの方が楽しい仕事だ。

私の場合の人脈

私は、いわゆる旧帝大に入ったものの家庭の事情（主に経済的事情）で中退してしまい、派遣会社（今は亡き「特定派遣」の会社）に就職した。それでも3年間は大学にいたので、サークルなどを通して多くの人と知り合うことができた。体育会系ではないものの活動量の多いところだったので、それぞれの人となりは十分にわかるところだ。

30代前半のときに独立してフリーランスになり、仕事に困る時期も時々あったが、今は40手前。同世代の仲間たちの多くは大企業で偉くなっていたり、士業として開業していたりする。人によっては自ら起業している者もいる。彼らから仕事の相談が沢山あるので、最近では仕事に困ることは無くなった。仕事をくれる皆さんに本当に感謝だ。

人脈形成で大事なポイント

以下の点が重要だと思っている。

出世しそうな人たちと仲良くなる
- 旧帝大というのは良い環境だった。頑張った高校時代の自分自身に感謝。
人間として信頼される
- こいつは不正行為とか仕事投げ出してバックレとかしなさそうなやつだな、と思ってもらう。
自分の専門分野（私の場合はIT）を認識してもらう（私はサークル内でもWebサイトを管理したりしていた）。社会人になってからはSNS上で専門分野の話を「一般向けにわかるように」する。
- これが無いと、そもそも仕事の相談が来ない。一番重要。
自分の専門分野とは異なる分野の人たちと仲良くなる
- そうしないと、社会人になってから知り合うことになる同業者たちと領域がかぶってしまい、入ってくる仕事が「おこぼれ」の仕事になってしまう。
- この意味では、大学等の学部や専攻の中での人脈よりは、同じ大学の全然違う分野の人と仲良くなれる人脈の方が、この文脈では効果的と言える。