「群論」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 群論とは

2024-01-26

anond:20240126180624

足し算と掛け算は定義的に依存しない独立した計算たりえることを伝えたくて

まずこの主張が間違っている

それを示せそうな端的な例として群論しか「思い浮かばなかった」

からなんとかうろ覚え不正確でもその趣旨が伝わればいいと思って書いただけだから、内容が不正確なのことを批判するのは全く本質的じゃなくてアスペ的ですらあるわけだが。

そもそも間違っている支離滅裂な主張について「うろ覚え」とエクスキューズをしながら何も理解していない別の概念を持ち出し的外れなことを言い出す、知的な誠実性の欠片も感じられない態度を馬鹿にしているんだよ。

anond:20240126180410

別に知ってることを言うことを主目的としたトラバじゃないんでね。

足し算と掛け算は定義的に依存しない独立した計算たりえることを伝えたくてそれを示せそうな端的な例として群論しか「思い浮かばなかった」

からなんとかうろ覚え不正確でもその趣旨が伝わればいいと思って書いただけだから、内容が不正確なのことを批判するのは全く本質的じゃなくてアスペ的ですらあるわけだが。

anond:20240126175656

別にそれでもそれなりの稼ぎで社会生活は営めるんだから馬鹿にするような言い方するようなもんじゃないだろ…

別に数学を知らないこと自体馬鹿にするようなことではないよ。

でも群論的には加法乗法は対等でいっっぽうの定義なしに他方を定義することが可能なんじゃなかったけとうろ覚え

全然わかってないものについて知ったかぶりでこういう適当なことを言う態度を馬鹿にしている。

anond:20240126165638

でも群論的には加法乗法は対等でいっっぽうの定義なしに他方を定義することが可能なんじゃなかったけとうろ覚え

適当すぎんだろ。群に足し算は定義されてねえよ。

環の話をしてるんだとしても意味不明だし。

1+1が数式上最も簡単な誰でもわかる数式扱いされてる謎

いや一番簡単なのは1×1か1×0の二強だと思うんだけどな。

前者はたった一種類の数字で答えまで表現されるし、後者の何に0をかけても0という理屈適用される式もまた1+1以上に正しい答えにたどり着きやすくかつ暗記した答えを忘れにくい式だと思うんだが。

凸凹がより画数が多い車や森よりも学習年齢高いから難しい感じ扱いされてるのと似たものを感じる。

安易にこっちの方がこっちより難しいみたいな通説を受け入れるのは思考停止だと思う

掛け算は足し算の上位概念からみたいな理屈だろうか

でも群論的には加法乗法は対等でいっっぽうの定義なしに他方を定義することが可能なんじゃなかったけとうろ覚え

2023-12-15

[] 2023-12-15

近くのホームセンター本棚を買いました。

しかし、こういった商品は運びやすいように組み立て式になっており、しかDIYしている気分になれるので一石二鳥なのです。

本棚を組み立て終わると、デスクの上に積んであった本の山をすっぽりと収めることができました。

しかし、私は本棚がもう一つ欲しくなってしまいました。

というのも、私は数学愛好家なので、リファレンスとして数学書を大人買いしたいのです。

仕事柄、特に線形代数や離散最適化のような数学は使いますが、私が興味のあるのはそういった実用志向アルゴリズムではありません。

しろ取り組みたいのは、フェルマーの最終定理ラングランズ予想のような、一見すると実用からは遠いけれど、数学本質を突くような深淵です。

数学には二種類の文化があり、アルゴリズム的な問題解決者と、深淵理論を目指す者がいます

プログラマーであればほぼ例外なく前者の立場になりますが、後者というのは「理論Aの理解のためにはBの理解必要で、その理解にはCの理解必要で、その理解のためには...」という階層が非常に深いものを表します。

はいまだに、コホモロジーとはなんであるかについてよくわからないのです。

コホモロジーGPTに対し「小学生にもわかるように説明せよ」とやったものが以下です。

コホモロジーは、数学の中のとても難しい概念ですが、小学生にわかやす説明するために、一緒に想像の旅に出かけてみましょう。

まず、コホモロジーは、ある種の「形」や「パターン」を見つけるための道具と考えてみてください。例えば、あなた宝探しをしていて、地図があるとします。この地図は、宝物がどこにあるかを示していますしかし、この地図はただの紙切れで、宝物自体地図にはありません。でも、地図を使って、宝物のありかを見つけることができますよね。

コホモロジーも同じようなものです。コホモロジーは、数学的な「地図」のようなもので、それを使って、数学世界に隠された「宝物」を見つけることができます。この「宝物」は、数学の中の特定パターンや形、構造などを指します。

しかし、コホモロジーはとても複雑で、大人でも理解するのが難しいです。だから小学生あなたがすぐに理解できなくても大丈夫です。大切なのはコホモロジーのような難しい概念に挑戦する勇気と、学び続ける意欲を持つことです。これからも、色々なことに興味を持ち、学び続けてくださいね!。

これじゃあ、なにも理解していないのと同じでしょう。結局、深淵理解するためには地道な努力必要です。

理論構築者の観点からみると、数学登山に似ていると思います

コホモロジーにたどり着くためには、集合論群論位相幾何学ホモロジー理論と順を追っていかなければならないのです。

これまでの私は、理論構築者ではなく、問題解決者だったので、「問題」という単位物事理解してきました。

アルゴリズムなので、問題を解くための前提知識はさほど必要なく、むしろ必要なのはIQです。

ところが、ラングランズプログラム超弦理論といった深淵は、IQに加えて、山登りの体力や努力時間必須になります

しかも、仮に山を登り終えたとしても、プログラマー仕事としてなんの役にも立たないのです。

深淵に取り組むというのは、そういう廃人的な努力必要とするので、職業的数学者でない限り努力の誘因が失われてしまます

深淵登山をして、誰にも認められることな自己満足して、何が楽しいのでしょうか。

結局、理解した物事を外側に発信(例えば論文執筆)して社会との接点を作らなければ、本当の廃人になってしまうでしょう。

まあ、廃人日記を書くぐらいだから、それでもいいんですけどね。

2023-02-07

1+1=2なのはなぜかという問いと、一個のあるものにもう一個あるものが手に入ってそれを合わせたら2個になるのはなぜかという問いは似て非なるだと思う。

前者はペアノの公理なり群論なりからかば定義にみたいにそうだからそうなんだと説明できる。

だが後者はそういう目で見たり手に取ってみれる直観現象としてなぜそうなるのかという話だ。しかもどんなに巨大な個数あっても同様なことが成り立つわけだ。

しかもこれ、微積分とかの何らかの計算がなぜ成り立つのかというのと問うのはまだ掘り下げてその仕組みを理解することが意義深いものでありうる感じるの違って、やはり問うまでもでもなく当たり前のことでしかないのではないかとも感じてしまう。

しかしそうやって連立方程式がなぜ代入法で解けるのかについて理解することについては素通りして当たり前に成り立つに決まってるとして活用してたのが、実は自明でもなんでもなく理解すべきロジックがきちんとあってそれに対して当たり前と言う言葉に目を曇らせていた事実もあったから、今回その可能性があるのではないかといわゆるジレンマに陥っている。

1+1=2のような足し算しょせんそういう直観現象に対して辻褄があるように取り決められた演算にすぎない。あくま直観現象が先にあってその現象が予想できるように自然数公理なりが定義されているわけだ。

あるいは5個あったところに1個追加された全体は3人で余りなく分けられるのはなぜかというのも似たような問いだ。6÷2=3だからだというのはその説明になっていない。

実際にそうなることの計算による推論の仕方を言ってるのではなく、なぜそうなるかと聞いてるわけだ。

人間の個数に関する認識数学構造うまい具合に従っているから、認識数学の集合が同型(雰囲気で言ってる)だから、みたいなことだろうか?数学基礎論を齧ってみたがいまいちこの問いと結びついているようであまり有用な感じもしない。なんかスマート説明いか

2023-01-23

化学のための群論入門があるのなら結晶学のための群論入門てな感じの本も出ないものかねえ。

しろ群論結晶学でこそ必要だろ。ミラー指数とかの段階でもうよくわからん

2022-12-26

anond:20221226105134

Wiredのやつ検索してみたけどこの辺のシリーズか。

https://www.youtube.com/watch?v=SIUl9Mx51W4

大半の話は取るに足らないような内容だなあ。このくらいだったら元増田もなんかしら語れるんじゃないのって思うが。

↑の数学者の人の話では幾何学群論の話が全然知らないので興味深かった。縦移動して交換!なるほど!って感じ。

あと英語リスニングの訓練にちょうどいいねこれ。

なおこの動画に出てる人達子供だましではなく本気で語る際のレベルに到達できる人間人類全体の上位0.001%くらいしかいないと思う。

2022-05-10

anond:20220510171010

これもう2010年から言われてますよね・・・ 数学受験必須じゃなくなって

2040年代になると「大学学部勉強がわからない」という社会問題が発生する。

大学の授業の補習」を河合塾駿台が行う時代になる。(主に線形代数とか群論とか)

2022-03-20

anond:20220320071941

受験整数問題とかそれこそ数学オリンピック問題とか面白いと思うけどな

数学面白いと思う気持ち教師関係ないと思うぞ

偉そうなこと言ってるけど圏論とか群論とかの純粋数学については面白さはわからん

2022-01-05

今日用語: Lattice

束(そく): (束論

半順序集合で、任意の2元部分集合が上限supremum (結びjoin)と下限infimum (交わりmeet)をもつもの

束の任意の部分集合が上限(と下限)をもつ場合は完備束complete latticeとなる。完備束には最小元と最大元がある。

実数全体の集合は完備でない束。

格子: (群論

n次元ベクトル空間の基底basisの、任意整数係数線形結合の集合。

ベクトル空間定義すれば、まさに実空間内に整然と並んだ格子点の集合。

ベクトル空間以外の任意の体field(有限体を含む)上のベクトル空間でも定義できる。

2022-01-04

趣味レベル群論勉強していますが、とても感動しています

抽象化威力をまざまざと見せつけられています

2021-10-22

anond:20211022104137

社内システムの内製化とか社内システム保守とかやらせてみればいいのでは

役に立つ明確な目的があると動機付けやすいと思う

SlackやらGitやらはその中でこういうシーンで便利なんだなって実感するようになってから使えばいい

意味もわからないのにSlackGitだと言われても挫折ちゃう

あとで使うと言われて群論だ集合位相論だ測度論だ線形代数やらをやらされて数学挫折するのと一緒

2021-02-14

anond:20210214181423

ところがセンター後期になると、どこから出すか事前に予告してしまう。

かならず統計は第5問に出すとか、すべて予告されてしまったため、攻略簡単になった。

2025年には複素数平面とベクトル二次曲線はすべて理系数学になるのだが、

あれ25年前は文系数学なんだよ。

40年前は、理系は「微分方程式写像行列と一次変換」がセットで入ってたんだからね。

50年前は、群論とポワソン分布オペレーションリサーチと初等幾何学フォイエルバッハ定理)も入っていた。

あれ全部ないんだよ。

ないほうが難しいということはあり得ない。

この部分無視した読解だよねそれ

2021-01-30

自然数」という言葉を2つに分解するべきではないか

高校数学まで、「自然数」は正の整数を指すものとされているが、

大学に入ると、フォンノイマンによる自然数構成からの流れで、「自然数」は0を含む正の整数として扱われることが多い。

から論文で「自然数」という言葉を使うとき(そして、花文字の「N」を使うとき)は、

序文かどこかで、この論文ではどちらの定義で行くのか予め述べておかなくてはいけない。

これって面倒なことだと思う。本文を抜粋していきなり読むと、「自然数」の定義を間違えてけつまずく可能性がある。

そもそも論理性が大事数学という学問において、なんでこんな曖昧単語が残っているのか不思議だ。

なので、境界となる数を含むかどうかで「0を超える」「0以上」と言い分けるように、「自然数」という言葉自体も2つの言葉に分けるべきだと思う。

しかし、「0を超える整数」は「正の数」と呼べばわかるのに対し、「0以上の整数」は「自然数」以外の、それこそ自然呼び方が思い付かない。

あと、数学用語で気になるのは「モニック」という言葉

最高次係数が1である多項式のことを「モニック多項式」と呼ぶのだが、

この「モニック」に対応する日本語訳をいまだに見たことがない。いまだに、外来語漢字組合せで呼ばれている。

ちなみに、「最高次係数が1である場合特別に扱うのはn次方程式からの流れ。

最高次係数で左辺・右辺を割ってしまえば、方程式では最高次係数が1の場合だけ考えれば十分であるため。

そんな中学生でも理解できる単純な概念なのに、しっくり来る日本語訳が無いのが不思議だ。

でも、係数が1なのは単純化のためだから、「単純」って呼ぼうとすると、その言葉群論で使われてるし、

「単項式」だとそもそも意味が変わってくるし、やはりこちらも良い訳が思い付かない。

2020-09-02

anond:20200827182934

ユークリッド幾何学学校で教える必要がある

公理から初めて論述によって命題を示すという手法現代数学の基本

代数微分積分などは計算だけできれば解けてしまうが

ユークリッド幾何学では厳密な論証を学ぶことができる

公理から論述命題を示す手法現代数学の基本であって

もしユークリッド幾何学を学ばなければ抽象代数学などが理解できなくなることは明らか

現代数学である群論ガロア理論公理から初めて命題を導く

微分積分などだけを教えていると群論ガロア理論などが理解できなくなってしま

ガロア理論では作図が主に扱われるからユークリッド幾何学応用になっている

から元増田の役に立たない論は明らかに間違い

ユークリッド幾何学はまず中初等教育において論述を教える題材として適している

代数などはただの計算であって厳密ではないがユークリッド幾何学公理から始めて曖昧さな命題を示す

これは現代数学の基本であって群論ガロア理論を学ぶ際に必要能力

代数では多項式とは?集合とは?などが厳密に説明されていないがユークリッド幾何学には曖昧さは無い

ユークリッド幾何学が扱う題材は図形であって初等教育にも馴染みやす

現代数学を厳密に展開するには公理集合論まで遡らねばならないが

ユークリッド幾何学公理中学生でも理解できて完全

このような条件を満たす単元は他には無い

群論ガロア理論などの抽象代数学はユークリッド幾何学の考えを継承している

これらが確立されたのは18世紀であり微分積分などはそれよりも大分昔の理論から厳密性がない

ユークリッド幾何学現代数学モデルであるから論述を教えることができる

群論ガロア理論対称性を扱う数学対称性とは回転や相似変換などの一般化だから

やはりユークリッド幾何学を学ぶことは群論ガロア理論を学ぶことに役立つ

特に群論では、群の正規群(特異点を持たない群)による商で対称性を分類する

この割り算にはユークリッドの互除法アルゴリズムを用いることができるからユークリッド幾何学の応用になっている

群論の一部であるリー群ではユークリッド空間の回転である直交群を扱うからこれもユークリッド幾何学が直接役に立つ

ユークリッド幾何学では公理から始めて命題証明するがこれは現代数学の基本

群論ガロア理論もこのスタイル継承していてユークリッド幾何学を学ばないと抽象代数学が理解できない

ガロア理論ユークリッド幾何学と同様に、対称性公理から作図可能性を論ずる

これはいくつかの公理から始めて可能な手順の組み合わせを厳密に論述することで様々な図形を作図していく

ヒルベルト提唱した円積問題などもこの応用であって、現代数学において極めて重要

ユークリッド幾何学公理から始めて論述のみによって命題証明する

これは現代数学の基本であってガロア理論ヒルベルト理論などがその手法を受け継いでいる

これは現代数学において極めて重要

代数微分積分はただの計算であって論述を教えていないか

ユークリッド幾何学をやらないと抽象代数学などを理解できなくなってしま

ガロア理論は作図を扱うからユークリッド幾何学知識必須

代数などでは計算しかやらず概念定義曖昧だがユークリッド幾何学論述には曖昧さが一切無く

ユークリッド幾何学は図形を扱うから中高生にも理解やす

初等教育論述を教える題材として適しており他にこのような条件を満たす題材は無い

2020-07-21

宇宙宇宙をつなぐ数学 - IUT理論の衝撃」の感想

Amazonレビューなどに書くと過去レビューから身バレする可能性があるのと、わざわざ別アカウントを作ってまで批評するほどのものではないと思ったので、こちらに書きます

初めに断っておきますが、本稿は別に加藤文元先生人格や業績などを否定しているわけではありません。また、IUT理論やその研究者に対する批判でもありません。「IUT理論が間違っている」とか「望月論文査読体制問題がある」などと言う話と本稿は全く無関係です。単純にこの本に対する感想しかありません。

----

加藤文元先生の「宇宙宇宙をつなぐ数学 - IUT理論の衝撃」を読みました。結論から言って、読む価値の無い本でした。その理由は、

ほとんど内容がない」

この一言に尽きます数学書としても、一般書としてもです。

本書の内容と構成

本書は、RIMS(京都大学数理解析研究所)の望月新一教授が発表した数学理論である、IUT理論宇宙タイミューラー理論)の一般向けの解説書です。

1~3章では、数学研究活動一般説明や、著者と望月教授交流の話をし、それを踏まえて、IUT理論画期的であること、またそれ故に多くの数学者には容易には受け入れられないことなどを説明しています

4~7章では、IUT理論の基本理念(だと著者が考えているアイデア)を説明しています技術的な詳細には立ち入らず、アイデア象徴する用語フレーズを多用し、それに対する概念的な説明や喩えを与えています

8章がIUT理論解説です。

まず、数学科の学部3年生以上の予備知識がある人は、8章だけ読めばいいです。1~7章を読んで得られるものはありません。これはつまり「本書の大部分は、IUT理論本質的関係ない」ということです。これについては後述します。

各章の内容

1~3章は、論文受理されるまでの流れなどの一般向けに興味深そうな内容もありましたが、本質的には「言い訳」をしているだけです。

IUT理論が多くの数学者に受け入れられないのは、従来の数学常識を覆す理論から

望月教授が公開された研究集会などを開かないのは、多数の人に概要だけを話しても理解できないから。

などの言い訳が繰り返し述べられているだけであり、前述の論文発表の流れなどもその補足のために書かれているに過ぎません。こういうことは、数学コミュニティの中でIUT理論懐疑的人達説明すればいい話であって、一般人に長々と説明するような内容ではないと思いますもっとも、著者が一般大衆も含めほとんどの人がIUT理論懐疑的である認識して本書を書いたのなら話は別ですが。

4~7章は、「足し算と掛け算の『正則構造』を分離する」とか「複数の『舞台』の間で対称性通信を行う」などの抽象的なフレーズが繰り返し出てくるだけで、それ自体の内容は実質的説明されていません。

正則構造とは、正方形の2辺のように独立に変形できないもの

対称性とは群のことで、回転や鏡映などの操作抽象化したもの

のように、そこに出てくる「用語」にごく初等的な喩えを与えているだけであり、それが理論の中で具体的にどう用いられるのかは全く分かりません(これに関して何が問題なのかは後述します)。そもそも、本書を手に取るような人、特に1~3章の背景に共感できるような人は、ここに書いてあるようなことは既に理解しているのではないでしょうか。特に6~7章などは、多くのページを費やしているわりに、数学書に換算して1~2ページ程度の内容しか無く(誇張ではなく)、極めて退屈でした。

8章はIUT理論解説ですが、前章までに述べたことを形式的につなぎ合わせただけで、実質的な内容はありません。つまり、既に述べたことを並べて再掲して「こういう順番で議論が進みます」と言っているだけであり、ほとんど新しい情報は出て来ません。この章で新しく出てくる、あるいはより詳しく解説される部分にしても、

複数数学舞台対称性通信をすることで、「N logΘ ≦ log(q) + c」という不等式が示されます。Θやqの意味は分からなくてもいいです。

今まで述べたことは局所的な話です。局所的な結果を束ねて大域的な結果にする必要がありますしかし、これ以上は技術的になるので説明できません。

のような調子で話が進みますいくら専門書ではないとはいえ、これが許されるなら何書いてもいいってことにならないでしょうか。力学解説書で「F = maという式が成り立ちます。Fやmなどの意味は分からなくていいです」と言っているようなものだと思います

本書の問題

本書の最大の問題点は、「本書の大部分がIUT理論本質的関係ない」ということです(少なくとも、私にはそうとしか思えません)。もちろん、どちらも「数学である」という程度の意味では関係がありますが、それだけなのです。これがどういうことか、少し説明します。

たとえば、日本には「類体論」の一般向けの解説書がたくさんあります。そして、そのほとんどの本には、たとえば

素数pに対して、√pは三角関数特殊値の和で表される。(たとえば、√5 = cos(2π/5) - cos(4π/5) - cos(6π/5) + cos(8π/5)、√7 = sin(2π/7) + sin(4π/7) - sin(6π/7) + sin(8π/7) - sin(10π/7) - sin(12π/7))

4で割って1あまる素数pは、p = x^2 + y^2の形に表される。(たとえば、5 = 1^2 + 2^2、13 = 2^2 + 3^2)

のような例が載っていると思います。なぜこういう例を載せるかと言えば、それが類体論典型的重要な例だからです。もちろん、これらはごく特殊な例に過ぎず、類体論一般論を説明し尽くしているわけではありません。また、類体論一般的な定理証明に伴う困難は、これらの例とはほとんど関係ありません。そういう意味では、これらの例は類体論理論的な本質を示しているわけではありません。しかし、これらの例を通じて「類体論が論ずる典型的現象」は説明できるわけです。

もう一つ、より初等的な例を出しましょう。理系なら誰でも知っている微分積分です。何回でも微分可能実関数fをとります。そして、fが仮に以下のような無限級数に展開できたとします。

f(x) = a_0 + a_1 x + a_2 x^2 + ... (a_n ∈ ℝ)

このとき、両辺を微分して比較すれば、各係数a_nは決まります。「a_n = (d^n f/dx^n (0))/n!」です。右辺の級数を項別に微分したり積分したりしていい場合、これはかなり豊かな理論を生みます。たとえば、等比級数の和の公式から

1/(1 + x^2) = 1 - x^2 + x^4 - x^6 + ... (|x| < 1)

両辺を積分し、形式的にx = 1を代入すると

arctan(x) = x - x^3/3 + x^5/5 - x^7/7 + ...

π/4 = 1 -1/3 + 1/5 - 1/7 + ...

のような非自明な等式を得ることができます。これは実際に正しい式です。また、たとえば

dy/dx - Ay = B (A, B ∈ ℝ、A≠0)

のような微分方程式も「y(x) = a_0 + a_1 x + a_2 x^2 + ...」のように展開できて項別に微分していいとすれば、

Σ((n+1)a_{n+1} - Aa_n) = B

  • a_1 - Aa_0 = B
  • (n+1)a_{n+1} - Aa_n = 0 (n ≧ 1)

よって、

  • a_{n+1} = Aa_n/(n+1) = A^n (B + A a_0)/(n+1)! (n ≧ 0)

a_0 = -B/A + C (Cは任意の定数)とおけば、

  • a_n = C A^n/n! (n ≧ 1)

「e^x = Σx^n/n!」なので、これを満たすのは「y = -B/A + Ce^(Ax)」と分かります

上の計算正当化する過程で最も困難な箇所は、このような級数収束するかどうか、または項別に微分積分ができるかどうかを論ずるところです。当然、これを数学科向けに説明するならば、そこが最も本質的な箇所になりますしかし、そのような厳密な議論とは独立に「微分積分が論ずる典型的現象」を説明することはできるわけです。

一般向けの数学の本に期待されることは、この「典型的現象」を示すことだと思います。ところが、本書では「IUT理論が論ずる典型的現象」が数学的に意味のある形では全く示されていません。その代わり、「足し算と掛け算を分離する」とか「宇宙間の対称性通信を行う」などの抽象的なフレーズと、それに対するたとえ話が羅列されているだけです。本書にも群論などの解説は出て来ますが、これは単に上のフレーズに出てくる単語注釈しかなく、「実際にIUT理論の中でこういう例を考える」という解説ではありません。これは、上の類体論の例で言えば、二次体も円分体も登場せず、「剰余とは、たとえば13 = 4 * 3 + 1の1のことです」とか「素因数分解ができるとは、たとえば60 = 2^2 * 3 * 5のように書けるということです」のような本質的関係のない解説しかないようなものです。

もちろん、「本書はそういう方針で書く」ということは本文中で繰り返し述べられていますから、そこを批判するのはお門違いなのかも知れません。しかし、それを考慮しても本書はあまりにも内容が薄いです。上に述べたように、誇張でも何でもなく、数学的に意味のある内容は数学書に換算して数ページ程度しか書かれていません。一般向けの数学の本でも、たとえば高木貞治の「近世数学史談」などは平易な言葉で書かれつつも非常に内容が豊富です。そういう内容を期待しているなら、本書を読む意味はありません。

繰り返し述べるように本書には数学的に意味のある内容はほとんどありません。だから、極端なことを言えば「1 + 1 = 2」や「1 + 2 = 3」のような自明な式を「宇宙宇宙をつなぐ」「正則構造を変形する」みたいに言い換えたとしても、本書と形式的に同じものが書けてしまうでしょう。いやもっと言えば、そのような言い換えの裏にあるもの数学的に正しい命題意味のある命題である必要すらありません。本書は少なくとも著者以外にはそういうもの区別が付きません。

本書の続編があるなら望むこと

ここまでネガティブなことを書いておいて、何食わぬ顔でTwitter加藤先生ツイートを拝見したり、東工大京大に出向いたりするのは、人としての信義に反する気がするので、前向きなことも書いておきます

まず、私は加藤先生ファンなので、本書の続編が出たら買って読むと思います。まあ、ご本人はこんな記事は読んでいないでしょうが、私の考えが人づてに伝わることはあるかも知れませんから、「続編が出るならこんなことを書いてほしい」ということを書きます

まず、上にも書いたような「IUT理論が論ずる典型的現象」を数学的に意味のある形で書いていただきたいです。類体論で言う、二次体や円分体における素イデアル分解などに相当するものです。

そして、IUT理論既存数学との繋がりを明確にしていただきたいです。これは論理的な側面と直感的な側面の両方を意味します。

論理的な側面は単純です。つまり、IUT理論に用いられる既存重要定理、およびIUT理論から導かれる重要定理を、正式ステートメント証明抜きで紹介していただきたいです。これはたとえば、Weil予想からRamanujan予想が従うとか、谷山-志村予想からFermatの最終定理が従うとか、そういう類のものです。

直感的な側面は、既存数学からアナロジーの部分をより専門的に解説していただきたいです。たとえば、楕円曲線のTate加群が1次のホモロジー群のl進類似であるとか、Galois理論位相空間における被覆空間理論類似になっているとか、そういう類のものです。

以上です。

加藤文元先生望月新一先生、およびIUT理論研究・普及に努めていらっしゃるすべての方々の益々のご健勝とご活躍を心から祈り申し上げます

2020-05-30

宇宙際タイヒミュラー理論理解できない数学者って

ガロア群論とか提唱され始めた頃の圏論を「説明不十分で理解できないから、もっとわかりやすく書き直して欲しい」と一蹴した馬鹿教授立場と全く一緒だよね?恥ずかしいよねきっと後世の笑いものだよね?

2019-11-17

https://anond.hatelabo.jp/20191116090840

拡散方程式なんかTensorflowかに普通にライブラリあるレベル

群論なんて理系の基礎知識

測度論はやや難しいが、機械学習確率統計知らないと何もできないのでこの分野の必修知識

そんな事も知らずに学会行くなよ。

2019-11-16

anond:20191116090840

あるポスターで熱拡散方程式が出て来たと思ったら隣では群論が出てきてその隣行くと測度論使ってたりで前提知識揃えるのに何年かければいいんや

測度論はともかく(っても確率空間議論まともにやるならどっちにしろ必須だが)、前2者ならまともな物理学科の修士以上を修了した連中なら何言ってるかくらい分かるやろ

どんだけ大学ときにサボっとんねん

あとブコメにも言及あるが普通arXivフィードで該当分野の新着くらい毎日見るのは当然だと思うんだけど、そういうの無しに国際学会に社員突撃させる会社とかマトモじゃねえよな。単なる金の無駄

機械学習系の国際学

うちは情報系の会社じゃないんだけど機械学習AI最先端研究も知っておいた方がいいかもねって話になって、最近機械学習系の国際学会に行ってきた。

大学の頃学会行ったことなくて学会自体が初めてみたいなもんだったんだけど、何なのあれ?英語わからん差し引いても何言ってるかさっぱりわからんかったのだけど?発表聞いてても研究目的がわかったやつはまだ良い方で、大半は研究新規性進歩性どころか目的わからんかった。

発表の仕方が下手とかそういう話じゃなくて、数式とか定理とかが急にばーっと出てきて、えーっと…って思った瞬間に置いてかれる感じ。

あれ、情報系の大学とか出てる人はどのくらいわかるもんなの?大体の話わかる?それとも自分研究に近いとこだけわかる?それともみんなもほとんどわからなくてなんとなく気になったやつの論文を後からめっちゃ調べながら読んでるん?

ちなみに機械学習に関しては青いシリーズ本を2,3冊読んだことがあるくらいのレベルです。

追記

ポスター自分のペースで見られるから目的は何とかわかりますね。でもあるポスターで熱拡散方程式が出て来たと思ったら隣では群論が出てきてその隣行くと測度論使ってたりで前提知識揃えるのに何年かければいいんやって泣きながら帰ってきました。

2019-02-14

anond:20190206125826

高専卒の方のエントリーが上がっていたので,レア存在である高専について私も語ってみる.何度目の焼き直しになるかわからないが.

お前誰

中堅高専→Bラン大卒リーマン

15年前に卒業化学学科情報としては古い点も多々あるかと思う.ただ学生会長で全国高専につながりを持っていたので、情報ソースは1校のみではない.

メリット

①進学が容易

 後述する.

②早期から専門教育を受けられる

 高校1年次から専門教育を受けられる.全課程が専門教育というではなく,高校大学で履修する一般教養とのミックスになっている.年次が低い段階では一般教養比率が高く,年次が上がるにつれ逆転するという塩梅だ.まともに単位を取っていれれば5年次は週の半分は研究だった.

デメリット

①進路が固定されやす

 大多数が工業系の道に進む.進まざるを得ないといっても過言ではないだろう.感覚的に同級生の8割はメーカにいる.世界技術系一辺倒なので,その他が見えにくい.入学時点で15歳なので、染まりやす視野を広く持つことも難しいという点もあったかも知れないが,情報網が発達した現代はまた異なるかもや知れない.教員普通研究員なので,理系アカデミアで純粋培養されたような癖が強い人がごろごろコースを変更しようとしても,マイノリティになるため後押しもロールモデルが少なくハードルが高い.

ドロップアウトやす

 専門性が高い故、入学後に技術に興味がないことに気づいてしまった場合モチベーションが下がりついていくのが困難になる.高専受験日が普通高校に比べて早いので,度胸試しで受けてみたら受かってしまった,偏差値が高いのでなんとなく来た,という層の一部がこの状態に陥る.一念発起して3年次にセンター試験を受け大学に進学、文転したものもいた.これはレアなケース.

恋愛チャンスは共学に比べ少ない.15-20歳という多感な時期に恋愛経験はまあ一般的重要だろう.学科構成に依るとは思うが伝統的な学科であれば女性が少ないので競争は激しい.然しながら化学専攻などは女性比率が高い,それでも半分程度だろうか.

教育課程

授業時間は90分.1年次から週1-2回のペースで半日かかる実習or実験があり,1年次から毎週毎週濃密なレポート提出を課せられる.締め切りや採点も厳しく,図書館での追加調査を含め毎週5-6時間レポートだけで費やしていた.科学文章の書き方の下地はここで醸成されたと感じる.専門科目が入っている分,一般教養が割かれている.歴史はなく,地理も確か1年前期しかなかった.その他普通高校と比べて色々なものが削られていたに違いないが、よく分からない.

また,数学が難しかたことを殊更に覚えている.入学後すぐに三角関数確率,2年次に上がる前に微積線形代数.2-3年次で重積分偏微分,常微分・・・.4年次以降で複素関数,曲面,群論ラプラス変換ベクトル場等の応用数学に入っていく.他にも電磁気化学,熱力,固体物理・・・うっ.

進路

就職

就職率100%.求人倍率~20倍.県内の有力企業大手現業職現場職長候補)に比較的楽に就職できる.ただ高専生は世の中のことをよくわかってないので,企業業態研究をせずに適当就職してしまい数年後に後悔する同級生はそこそこいた.先生技術バカが多く,経済的リテラシー教育はほぼなかった.私のころはインターネット情報量も多くなく,現在はまた違っていると思われる.

②進学

大きく2つに分かれる.専攻科か大学か.

専攻科:

自校に残り,2年間の延長教育を行う.大卒資格を得られる.ほぼ研究メインの生活を行う.研究8割,授業2割くらいか卒業後は旧帝や技術大学院(奈良先端科技大/豊橋技科大/長岡技科大)などに院進する人が多かった.就職する場合世間的にはレア存在であり,専攻科?そんなのがあるんだ?という反応をされ,研究漬けで辛い生活を送ってきたのにも関わらず就職アピールとしては弱いと友人はボヤいていた.

進学(3年次編入):

ここが最大のうまみであろう.

①いくつも受験可能大学毎に試験日程が統一されていないので,費用と日程確保さえできればいくらでも.自分場合は4大学に出願し,3大学目で決めた.偏差値が低いほど早めに行う傾向があった.

受験科目が少ない.例えば東大数学英語だけだった.(東大のみ2年次編入だったが)問題奇天烈ものでなく,真面目に授業を受けてしっかり対策していれば十分に解ける範囲である

高専によっては提携大学がある.私が卒業した高専では所在県の大学提携私立大学関関同立など)は指定校推薦でほぼ全入していた.高専から私立大学に行く人は少ないので,競争率も低かった.就職したくはないが勉強も好きではないモラトリアム層は延命策としてこの選択肢をとっていた.大学編入後は一般教養はほぼ単位認定(=免除),専門教科も高専で齧っていることが多く,比較的楽.実験研究発表においては経験の差が歴然学部レベルでは専門を変えない限り大きな問題はないだろう.私も彼女が欲しくてテニスサークルに入ってみたが,雰囲気についていけずすぐ辞めたというオチ

レベル

ピンキリトップレベル明石高専豊田高専などは偏差値60後半でそこらへんの進学校を超える難易度だが,商船高専などは50前後学科としては電気がいつも大変そうだった.数式だらけで理解するのが大変.材料土木環境,その他新興分野はおぼえればいい科目も多く,比較的楽.

寮生活

全寮制の高専は確かなかったと思うが,大概他県や遠隔地から学生用に寮が用意されている.寮ではゲーム相手に事欠かない,発売日に漫画がすべてそろう,ありとあらゆるジャンルのエ〇本を閲覧できるなどのメリット(?)もあるが,大きなデメリットとして私が通学していた20年前では上級生による「しつけ」という名の体罰が行われていた.木曜日の夜に1年生を呼び出し,暗闇の中で数時間正座をさせて悪事を白状させるというもの.(風呂掃除に数分遅れたとか,寮の敷地内で先輩を発見した際百m離れていても90度おじぎをして挨拶を”叫ぶ”必要があるが,そのお辞儀角度が足らなかったなど)一定数白状しないといつまで経っても終わらないため,どうでもいい些細なことを報告するのが常であった.正座のみならず1時間両手を上げっぱなしにさせるなど.終わった後は体が痛んだ.脚が痺れを通り越して暫く立てないレベル.なぜ木曜の夜かというと,金曜になるとみんな帰省してしまうため.

さすがに今はもうないだろう.しかし,中学校を出たばかりの小僧大学1-2年生相当の先輩たちはとても怖い存在で,且つ退寮して親に金銭負担をかけられないため多数は我慢選択する,という構図だったし,私の親も鍛えられてこい,という感覚だった.家が比較的近いやつは馬鹿馬鹿しくて通学に切り替えていた.私のころはなかったが,以前は先輩から達しが出るや否や吉野家の牛丼を30分以内で代理購入してくるという「吉野家ダッシュ当番」なるものもあったそう.尚,年次により寮内でのルールは緩くなっていく.年次による権力揶揄した称号があり,1年次から奴隷」,「見習」,「平民」,「貴族」,「神」.1年次においては共有スペースの炊事禁止テレビ閲覧禁止風呂掃除や朝食準備などの各種当番,祭りでの汚れ系出し物など.2年次になると共同場のテレビ閲覧可,3年次から個室があてがわれ、テレビも自室に設置が可能となる.今思い返せば,陰湿日本文化如実に体現しており,乾いた笑いが出る.

私は上級生になった際このシステム廃止しようと試みたが、全体的にそれを維持したいという空気が流れており結局叶わなかった.ただ親元を離れて集団生活を送ったことで自身も随分たくましくなったと思う.

今私は何をしてるか

メーカを何社か転職し,現在ITデータ解析職.製造業に興味がないことに気づくのに大分時間がかかり,また気づいてから収入を維持しながらも他業種へ脱するまでが大変だった.現在は34歳で年収950万円.奨学金は500万ほどあったが30歳前に完済することができた.

2022年追記現在37で1700万.幸運が重なり待遇の良いコンサル転職することができたが,周りの優秀さに埋もれつつありキャリアピークも近いかと感じている.がんばりたい.

所管

総合すると高専おすすめ.ついていければ就職には楽にありつける.ただし癖が強いので人を選ぶ.

2018-10-10

物理科 素粒子分野の業績事情

人文系の文献の取り扱いとか業績についてちょっとだけ - dlitの殴り書き

こちらの記事賛同したので続いてみます

かに異分野の事情をお互いにわかっていたほうがみんな幸せになりますよね。パーマネントや学振採用とか。

はじめに

素粒子分野は大きく分けて

に分かれています。これらの間には超えられない壁がありまして全てをまとめるのはちょっと難しいのですがなんとか書いてみます

間違いを見つけたら教えてください。

論文事情

素粒子論文は全て英語で書かれます国内雑誌としてはPTEP(旧PTP)がありますこちらも英文です。当然どれも査読があります

業績リスト論文査読なし)には国際会議研究会の proceeding を載せたりします。

素粒子分野には論文投稿前に arXiv に載せる慣習があります

これは投稿前に業界の人たちに意見をもらい論文修正するためです。accept 後に査読済みの論文差し替えます

arXiv に載っているのは基本的投稿前/査読中/査読済み の論文及び国際会議の proceeding です。

素粒子査読をしないというのは誤解です。

論文雑誌とIF

特に素晴らしい研究Physical Review Letters (Phys. Rev. Lett) に投稿されます。IF8.839 です。

Nature や Science に投稿することはまずありません。

IFの基準業界によりかなり異なるでしょう。

おそらくは  [ 業界の人数 ] x [ 1年間に発表する論文数 ] に依存するはずです。まあ人数の少ない分野は引用数も少なくなるでしょうね。

同じ素粒子業界でもその専門ごとにかなり違うはずですが、とりあえず Inspires によると以下のように分類されています

# of citations
Renowned papers 500+
Famous papers 250-499
Very well-known papers 100-249
Well-known papers 50-99
Known papers 10-49
Less known papers 1-9
Unknown papers 0

自分確認したい人は Inspires で fin a s Masukawa などと打ってみてください。

業界事情

素粒子実験論文を出せない

素粒子実験特にエネルギー方面ではなかなか論文が出せないことがあります

理由簡単実験計画から結果が出るまで多数の歳月がかかるからです。

例えばLHC計画からヒッグス発見まで20年弱かかりました。論文の著者数は5000人を超えました。

このような事情なので「博士課程単位取得満期退学後に研究を続けて論文を出すと同時に博士を得る」というような方がたまにいらっしゃいます

博士号をもっていない素粒子実験の人に出会っても決してバカにしてはいけません。

彼らは博士号取得と同時にノーベル賞を得る人たちなのです。

素粒子理論学生論文を出せない

素粒子理論研究に入る前の勉強量が膨大です。

まず 場の量子論超対称性理論群論リー代数 あたりは三分野共通勉強すると思います

加えてそれぞれの分野の専門的教科書、例えば弦理論なら String Theory (Polchinski) 格子なら Lattice Gauge Theories (Rothe) など。

分野によっては位相幾何学微分幾何学勉強しなければなりません。共形場理論もですね。

この辺りでようやく基礎ができてきましてこのあと30年分くらいの論文を読みます

研究に入るまでの勉強時間がかかるので修論レビューになることが多いです。

当然学振は出せない・・はずだったのですが最近どうも事情が変わってきたようです。

学生の方が学振(DC1)に固執して勉強も途中に研究を始めてしまう、勉強途中のM1研究できることなんてたかが知れているので

必然的にあまり重要ではない研究に貴重な時間を費やしてしまう、というような話をぼちぼち聞くようになりました。

学振についての考え方は人によるとは思うのですが、ちょっと危うい傾向だなと私は思うことがあります

そこでちょっとお願いなのですが

学振研究者の登竜門!取れなかったらやめよう!」などとblogに書いて煽るのをやめていただけないでしょうか?

いや書いてもいいのですが主語を書いてください。「情報系では」「生物では」とかね。

理論博士号を取れない

博士号は足の裏のご飯粒」と言われて久しいですが、弦理論では博士号を取るのはまだまだ難しいと思います

まあとったところで「足の裏のご飯粒」なんですけれどもね・・・

追記

放置していてすみませんまさか今頃上がるとは思っていませんでした。

いただいた重要コメントこちらにも転載しておきます

new3 言いたいことはわかるけど、普通は「ヒッグス発見」を博論テーマにせずもうちょっと控え目な研究に留めるものでは?日本でもJ-PARCからSuper-Kにニュートリノ撃てるんだし10年に1本はさすがに少ないと思う。

どうもありがとうございます文章を少し修正いたしました。他にも間違ったところがありましたら教えてください。

niaoz 懐かしい。補足するとストリングやるなら一般相対論ベース重力理論必要/場の理論は確かに簡単じゃないけど楽しい量子力学特殊相対論(電磁気学含む)を修めたらやってみるとよいです。



kirarichang 学振出せないと思われるのは,(学振の)制度不備だよなぁ.

monopole 素粒子理論分野では修士論文書きにくいけどDC1の枠はあるので、採用者は実績によらずほぼランダムだったり有名研究室に偏ったりする。まあ論文なしでも通る可能性あるから学振気合い入れて書け

えっ!!論文なしでも通ることあるのですか!

Ho-oTo 今時の素粒子理論院生DC1用に1本は書いてるイメージが強い。

最近は大変ですよね。指導している方もすごいと思います

kowa 素粒子系は知性の墓場だと感じてる。優秀な人材があまりに何もできなくて、消えている。魅力はわかるが、1/5000のcontributionだかでいいのだろうか

猫も杓子も素粒子目指しすぎですよね。宇宙論も。

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん