はてなキーワード: 強制連行とは
「事実として存在してるかしてないか」という歴史学的問題より、「強制」という言葉がどこまでを指すかという政治的な問題じゃないのかな。
例えば戦争前後でひどく貧しい生活に陥るなどして、従軍慰安婦として働く以外の選択肢がなくなった場合、それが本人の主観では「強制」と感じるのは普通のことだと思うんだよね。
こういうのって別に慰安婦問題に特殊な話じゃなくて、アメリカじゃ軍人になるしか選択肢がない状況が「経済徴兵」なんて揶揄されてたり。それを「自己責任」と言い切ってしまうのは違うだろうと思う。まあそれ自体の賛否はあれど、少なくとも「人間らしく、当たり前に発生する問題の一つ」ではある。
ただ慰安婦問題のような場合は、「日本政府の責任」とは別に「韓国政府の責任」もあるだろうと思うので、そこも含めて政治的に決着してもらうしかないだろうね。自分も「全面的に日本が責任を認めれば良い」とまでは思わないよ。
あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」に関するお詫びと報告
さすが津田氏の本業だけあって、文章だと何を考えてどのようなことをしてきたのかがきちんと伝わってくる。普通に危惧されるくらいのことは可能な限り対処してきたのか、とか。これを読んでしまうと津田氏のトークやイベントコーディネートのスキルは文章力に比べて相当劣るように感じてしまう。
この文章で何度も出てくる「検閲」という言葉だが、他人の言葉の引用部分を除くと津田氏本人はかなり慎重に使っている。これは今回の炎上のキーポイントでもある。
辞書的な意味で検閲とは、公権力が表現物を検査し発表を禁止することである。
https://kotobank.jp/word/%E6%A4%9C%E9%96%B2-60273
しかしながら、図らずも今回あきらかになったように作品展示を中止する要因としては公権力ばかりではない。むしろ現代日本ではそれ以外の方が多いようだ。
(3) キュレーター
(4) アーティスト本人
(5) 一般市民
このうち公権力によるクレームや強制力によって排除されるのが狭義の「検閲」。
主催側の立場は「金は出すけど口は出さない」のが理想ではあり今回もわりとそうだった。ただし事業である限り本来の主旨に合わないものやデメリットがメリットを上回る場合は、主催側が展示会の方向性に意見する自由はあって当然。
キュレーターはむしろ何を展示して何を展示しないかの権限を任されているので、それを行使するのが本業。
アーティスト本人の意向。ときとしてキュレーターの意思よりもアーティストの意思は尊重される。ある意味当然だがこれが強すぎると美術展がキュレーターの思惑とズレることがあり得る。そして今回ズレた。
声の大きいのが実は一般市民。ネガティブ、ポジティブに関わらず主催に対して意見を言うことは原則として問題ではないが数が多すぎると窓口業務に支障が出る。
そしてそれが悪い方向にエスカレートすると反社による脅迫になる。
実際のところ多数の一般市民からの苦情や反社からの脅迫が原因で、このままでは来場者やスタッフの安全性が確保できない、という判断を主催側、キュレーターがすることで展示中止となっているものが多いようだ。
「表現の不自由展・その後」各作品の展示中止理由について調べてみた。
https://censorship.social/artists/
ちなみに「《平和の少女像》は正式名称を「平和の碑」と言い、「慰安婦像」ではない」という言葉が津田氏のエントリーにも作品のキャプションにもあるが、これはかなり微妙な言い方で、「慰安婦像」という“名称”ではないものの、慰安婦を表現したものであり、日本政府に慰安婦問題の謝罪を求める目的で作られた一連の像のひとつであることは作者が明言している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6%E5%83%8F
https://ko.wikipedia.org/wiki/%ED%8F%89%ED%99%94%EC%9D%98_%EC%86%8C%EB%85%80%EC%83%81
https://en.wikipedia.org/wiki/Statue_of_Peace
これらを見ると、多くの場合主催側やキュレーターが公共性や展示会の主旨を理由に展示中止しており狭義の検閲にはあたらないように見える。また、天皇関係のうち3作品は、富山県立近代美術館事件に関するもので、これは反社(右翼団体)による脅迫が契機となっている。
表現の不自由展実行委員会は、表現の自由 vs 公権力による検閲 という構図に見せたがっている。ただ公立美術館や芸術祭の主催自治体は、公権力というよりも主催側という立場であり、中止の判断も現在の体制では安全性が確保できない、公共性ポリシーに反するなどである。
そこを巧妙にすりかえて、「検閲」という強い言葉を使うことにより強大な国家権力に立ち向かうアーティストという演出をしている。
現代日本における検閲らしい検閲といえば、表現の不自由展実行委員会メンバーである永田浩三氏の受けたNHK番組改変問題があり、こういった経緯の作品があれば説得力は増したと思う。
https://ja.wikipedia.org/wiki/NHK%E7%95%AA%E7%B5%84%E6%94%B9%E5%A4%89%E5%95%8F%E9%A1%8C
ここからは完全に余談。
津田氏のエントリーには、候補として上がった作品として、会田誠《檄》や、鷹野隆大《おれとwith KJ#2》、ろくでなし子《デコまん》シリーズが挙げられている。
鷹野隆大《おれとwith KJ#2》は男性器が写った写真を展示していたところ、通報されて警察から注意を受けたというもの。明確に違法な図画を作品としてクローズドな場所に展示するのはOKかNGかという議論は見たかった気がする。
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/collection/pdf/2014/apmoabulletin2014p54-63.pdf
ろくでなし子作品が展示スペースの都合で候補から落ちたという件、カヌーみたいな大きなものではなく手のひらサイズ(実物大?)のものもあるので、スペースなんかどうにでもなるだろうと思ったものの、慰安婦や天皇がらみの作品のすぐ横にデコまんがあったらそれはそれで別の意味が発生しそうなのでやむなしか。
掲示されていた「年表」にそれらが含まれているか知りたかったがよくわからない。ネットに上がっている写真を見ると「イケメン官能絵巻」の文字が見えるので「年表」にはエログロも含まれているのかも。誰か知っていたら教えてください。
「少女像はもともと米軍の戦車に轢かれて死んだ中学生の像を流用したものだった」とか、「慰安婦の強制連行は朝日新聞の捏造に過ぎず実際には強制連行はなかった」とか、「既存メディアは朝鮮人に乗っ取られている」とか、そういうの。
それなりに知性もリテラシも分別もあると思っていた、いい歳をした大人が、ちょっと調べればわかるようなデマを信じてTwitterで暴れている。妙なまとめサイトや、妙なYoutube動画や、あやまったら死ぬ病患者のTwitter垢とかを見て、感化されたらしい。それらをせっせとツイートしてる。
それだけならいいんだけど、問題は私もからまれてしまったこと。
リアルで面識のある人だけに頭が痛い。
その人は、あったことをなかったことにして自己正当化をするのが愛国心だと思っている。日本にとって不都合なこと(私に言わせれば旧大日本帝国にとって不都合ってだけのこと)を流すメディアは反日だと思っている。
以前はそんなふうじゃなかった。今だって全面的にそんなふうってわけでもない。いままで通りのところもある。だんだんとデマを信じるようになり、だんだんとデマを拡散することが多くなってきて、最近ではデマを元に他の人にからむようになってきた。
認知症とかそういう病気かもっていう心配もあるけど、現実的には余計なことはせず距離を置くだけにしとくのがいいんだろうね。分断?ってこうやって広がっていくんだな、って思った。悲しい。
【追記】
「慰安婦像は、女子中学生2人が在韓米軍の装甲車にひかれる事故で亡くなったのを追悼して作ったところ、日本との慰安婦問題が出てきたので、それを今、慰安婦像にしていると聞きましたが、真実でしょうか」という質問に対し、産経新聞社会部編集委員で元ソウル支局長の加藤達也さんは次のように答えています。
「当時の記録を調べましたところ、米軍装甲車の女子中学生轢過事件の後にできた像と、慰安婦の像は別物です。デザインが違います。もう少し調べたいと思っておりますが、今のところ関係ないと思っています」
ソース: http://kokuminkaikan.jp/chair/detail20170617.html
産経の偉い人が「別物です」って言ってるのはわりと信用できそうな気はします。
あと、その別物っていう装甲車の事件を記念して作られたという記念碑は、これらのページで見ることができます。どっちも朝鮮語ですが機械翻訳にかければだいたい意味はわかります。鉄製の四角いモニュメントが2つペアになったものみたい。
http://www.hani.co.kr/arti/society/area/795116.html
http://www.vop.co.kr/A00000511198.html
ここまではちょっと検索すれば見つかるんですが、轢かれた中学生の像を転用したっていうことが確認できるソースは見つかりません。感想で言えばデマ、公平に見ても真偽不明で、事実って言えるのは変かなと思います。私が変なのかもしれませんけど。