2020-01-09

anond:20200109173511

請求権を互いに放棄する条項は1951年のサンフランシスコ講和条約(サ条約)にもある。後に原爆被害者が「条約により米国賠償請求できなくなった」として日本政府補償を求めて提訴すると、政府は「自国民の損害について、相手国の責任を追及する『外交保護権』を放棄したもの個人が直接賠償を求める権利に影響はなく、国に補償義務はない」と主張した。

90年代には、韓国人戦争被害者日本提訴し始めたが、政府は従来と矛盾する解釈は取れず、「個人請求権消滅していない」との国会答弁を続け、訴訟でも「請求権協定解決済み」とは抗弁しなかった。

ところが、2000年代重要な争点で国や企業に不利な判決が出始めると、国は「条約裁判での請求はできなくなった」との主張に転じた。最高裁も07年4月、中国人強制連行訴訟判決で、サ条約について「事後的な民事裁判にゆだねれば、混乱が生じる。裁判上では個人請求権行使できないようにするのが条約の枠組み」と判断した。この判例日中共同宣言日韓請求権協定にも適用され、以降、日本法廷での外国人戦争被害者権利回復不可能になった。

一方で、この判決では「(条約は)個人実体権利消滅させるものでなく、個別具体的な請求権について、債務者側の自発的対応を妨げない」とも示し、関係者訴訟以外の交渉問題解決する道を残した。政府は「解決済み」と切り捨てず、話し合いで救済を目指すべきだ。

https://www.asahi.com/articles/ASLCN6365LCNOIPE035.html

記事への反応 -
  • 韓国政府がそう言っているだけであって、日本は個人請求権も「完全に解決済み」という立場だよね。 それを無視した人民裁判なんかやるから、日本から輸出優遇国から除外されるとい...

    • 請求権を互いに放棄する条項は1951年のサンフランシスコ講和条約(サ条約)にもある。後に原爆被害者が「条約により米国に賠償請求できなくなった」として日本政府に補償を求...

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