はてなキーワード: 一戸建てとは
いや、この現象は捨てられない人が住んでいる限り家が広くても起こるから。私の実家は一戸建てでそんなに狭くないけどモノで埋まってすごいことになっている。
父が捨てられない人で、かつ収納スペースを考えずに新しいものをどんどん買う。モノが沢山あることに幸福感を感じるタイプで、たとえば新型のパソコンを買っても旧型を処分せずにそのまま置いておく。電気製品に限らず本とかも置場所をきちんと決めずにいろいろ増やしてゆく。
私もそんな父の血を引いているので散らかった家に住んでいるが、置場所を決めて捨てるルールを確立してあるものだけがまともに片付く。例えば新聞とかは一週間に一度たまった新聞紙と広告を処分用の袋に入れるが、扱いが微妙なDMなどはなかなか捨てられずに散乱していく。
職場の先輩が片付けの達人なのでアルバイト代を払ってでも来て欲しいのだが、家の中を見せるのがイヤで呼べない。片付けられない女であることは職場の机の上を見るだけで分かっているはず。
片付けられる人とそうでない人の違いはどうやって生まれるのだろう。
仕事に就いても長らくの借家住まいで、結局今も家を持たない。これはこれで何も不満はないのだけど、昔はマイホームなるものへの幻想を抱いていたこともあった。
最初の職場の秘書さんが結構な庭のある家にお住まいで、よく庭で育てたハーブを持ってきてはハーブティーを淹れてくれた。カモミールとかレモンバームが多かったのだけど、彼女に、
「ハーブっていうとミントみたいなイメージがあるんですけどね」
と言うと、吐き捨てるように、
「ミント? あれは駄目ですよ。うちの庭にもあるけど、欲しけりゃ来てくださいな。ありったけあげますから」
このとき、私はまだ知らなかったのだ。ミントが実は相当な繁殖力があるということを。
ミントは多年草である。越冬できる地下茎と根を残し、そこから更に茎を伸ばして拡大していく。そしてミントには花が咲き、種子をつける。ミントの種子をご覧になったことのある方が多いか少ないか知らないのだが、1 mm にも満たない芥子粒程のサイズの代物である。風が吹けば呆気なく辺りに飛び散って、そこで発芽し、繁殖する。一度ある程度の大きさになるとなかなか枯れない強さもある。
こういうわけで、庭にミントを植えるとどんどん繁殖する。拡大する。しかもミント同士は交雑し易い。セイヨウハッカ(ペパーミント)、スペアミント、アップルミントなどを近くに植えていると、程なく交雑がおこり、交雑したミントはしばしば芳香を失う。こうなるともうたちの悪い雑草に過ぎない。ミントはその芳香から防虫効果があるとされるが、芳香を失ったミントは虫の繁殖場所になってしまう。除去しようと刈り取っても増殖はやまない。根ごと除去したつもりでも、土壌にわずかに根、茎、種子が残っているとまた発芽する。根絶するためには、土壌ごと除去したり、除草剤を散布したりしなければ難しい……ということで、ミントはガーデニングで簡単に手を出すべきでないものらしい。
はーなるほどー一軒家の庭ってのも楽じゃないんだなー……と、そのときはそういう話で終わっていた。しかし、私が個人的にミントが好きで、料理に使うこともあるので、栽培したいなあ、とずっと思っていたのだった。そのうち、私は職場を移籍することになり、ある地方都市に引っ越すことになった。
その町はある大企業の城下町で、その企業の工場と社員の住む住宅街で構成されているようなところだった。大企業の正社員なら、収入も安定しているし、銀行だって容易くローンを組ませてくれるのだろう、そこの町の持ち家率は、そりゃあもう高い高いものであった。私は相変わらずコンパクトな賃貸物件に居を構えたが、職場までの道はもう家、家、家……その家の中に、私が「ミント屋敷」と名付けた家があった。
ミント屋敷は、先に書いたようなミントの典型的な犠牲者の家である。角地の瀟洒な一戸建てで庭も広いのだけど、その庭一面が草叢……ならぬミント叢になっている。ミントの勢いは庭に留まらず、家の周囲にも飛び火していて、角地なので家の角の外側に電柱が立っていたのだが、その電柱の根本にまでミントが生えている。私はこれを面白がって「野良ミント」と呼んでいたのだけど、前職の秘書さんの言葉を、私はここで初めて映像として目の当たりにすることになったわけだ。
今の私の住まいは、この町から少し離れた大きな地方都市にあるのだが、ここに住むようになって、プランターや植木鉢で普段使いのハーブを栽培するようになった。私がよく使うのは、肉料理にローズマリーとセージ、魚料理にタイム位なので、まずはそこから栽培を始めたのだけど、これが安定してくると、他にも何か……ということで、ミントのことを思い出したのだった。私の住まいはマンションで、このハーブ栽培もベランダでやっている。だから、先に書いたようなミントの犠牲になることもないんじゃないか。そう、そのときはまだ軽く考えていたのだった。
最初は園芸店の通販でニホンハッカを買ってみたのだが、なんとこれを枯らしてしまった。やはり、枯れない強さのある株を栽培した方がいいんじゃないか、と考えていて思い出したのがミント屋敷である。電車に乗れば、今でも行くのにそう苦になる程でもない。私は引っ越してから久しぶりにその町を訪れ、ミント屋敷で家の方に事情を話し、何本か生えている株を採取させてもらった。これを家で挿穂すると、呆気なく根が出、ミントの植木鉢が出来上がった。
とにかくこのミント、繁殖力が強いのだ。どんどん拡大しようとする。摘んで使うのだけど、ミントの使用量なんてたかが知れているわけで、やがて余ってくる。シソも栽培していたので、シソとミントの交雑というのは聞いたことがないのだが、ミントだけ少々離れたベランダの隅に置くことにした。
それから、1週間程経った頃だろうか。掃除しようとミントの鉢の辺りに行くと、鉢から根のような茎のようなものが伸び、ベランダの床の上を這い始めていた。これは……いわゆる匍匐茎というやつだ。これが地面と触れているところから根が出る。そうすれば茎が切れても、そこで根を張って繁殖することになる。要するに自分自身で挿穂をするようなかたちでの繁殖だ。いや、さすがは野良ミントである。そうか、こうやって拡大していくわけか。しかしベランダの床はモルタルだから、根の伸ばしようがない。私はしばらく放っておくことにしたのだ。
日毎に匍匐茎は伸びていくのだが……日が経つ度に、私は気味が悪くなってきた。その匍匐茎は、他のハーブのプランターや鉢のある一角に向けて、真っ直ぐに伸びていくのだ。ミントに目がある訳もないし、どちらの方に他の植物が、そしてその植物が生きている土壌があるか、なんて、知ることができるとは思われない。しかし、野良ミントの匍匐茎は、確実にその方向に、曲がることなく一直線に伸びていくのだ。こいつは……本当にただの植物なのか? 実は宇宙のどこかから飛来した謎の生物で、己の繁殖の為に最適な行動を、我々の想像を超えた生物的機能を以て為しているのではあるまいか。そう思うと、その匍匐茎がまるで触手か何かのように見えてきて、どうしようもなく恐ろしくなったのである。
私は結局、そのミントを捨てた。鉢の土ごと、燃えるゴミの袋に密閉して。植物とはいえ、自分の勝手な印象や都合で、結果的に弄ぶような育て方をしてしまったことが悔いとして残ったので、私はそれ以来ミントを栽培したことがない。これからも、きっと栽培することはないと思う。
30後半額面600万のサラリーマン
それで狭い5畳半アパートの一人暮らしだったが、ある程度の金が溜まったので、住処ぐらいはある程度のものにしても罰は当たるまいと思って一戸建てを買った。
広さは段違い、リビングは快適、最新の設備は文句なく、各部屋も完全に自分の趣味の壁紙にした。
住み始めて、するとどうだろう。以前はまるで感じなかった人寂しさを僅かながら感じることに気が付き、違和感を覚える。
この家にもう一人くらい住まわせてもいいか、ぐらい思う。
結局のところ、自分の願望が住居に最適化してあっただけで、どうやら自分は所与の箱の範囲内で最適化をはかり、それで満足してしまうらしい。
そういえば仕事がそうで、私生活も結局同じであったという話である。
よく結婚してから家を買うとか言うけど、単にそれが現在の多数派なだけで、自分のようにある程度の人の居場所が確保できてから願望(らしきもの)が生じる人間もいるのだ。
むしろ、自分が不幸だと思っている人こそ自分より不幸な他人を見て安心するんだろうし、
主婦向けエンタテイメントは昔からワイドショーにしろ週刊誌にしろレディコミにしろそういうもの多いよ。
家庭系まとめサイトもそうだし。
NHKの『ドキュメント72時間』が好きで毎週欠かさず観ているという。
私は特に好きではなく、NHKでやってる何だか暗い番組だよね、という印象だ。それでもたまたまテレビを点けた時に流れていると、何となく見入ってしまうことがある。
巷でもどうやら人気らしい。ネットニュースで言っていた。
友達にそう言うと、「あの番組を見ていると自分より不幸な人がいると思ってホッとする。あの番組を好きな人はみんなそうだよ」と言われた。
その言葉がずっと頭を回っている。
友達は結婚して子供にも恵まれ一戸建ての家に住む、側から見れば幸せそのものの主婦だ。
友達に言わせればテレ東の『家着いて行っていいですか』も同じ部類の番組らしい。
確かに一見幸せそうな人が実はそれなりの悩みを抱えていたりすると、誰にでも悩みはあるんだなとホッとしたりすることはある。
でも他人の不幸をエンターテイメントとしてとらえる発想は私にはなかった。
そもそも『72時間』に出ている人達がそんなに不幸なのかという問題もある。
たまに言葉を失うくらい壮絶な境遇の人も出てくるけど、ほとんどは色々な境遇にあって悩みつつもそれを受け入れ、毎日を大切に生きていこうとする人達だったような気がする。
こう書くと、サラリーマン人生終了カウントダウンが始まってて、さえないおっさんだと想像する人も多いでしょう。
その想像は大体あってて、結構頑張って人事担当役員まではなったのですが、弊社はその上に行くには営業経験がないとだめなので、私はほぼここでおしまいってことが見えてます。
この先は、再就職先の子会社の社長か副社長やって、まあ年収数千万のセミリタイア人生を70ちょっと前まで過ごすことになります。
羨ましいですか? でも、先が見えた人生ってつまらないんです。
どんなに頑張ったって上がり目がある訳じゃない。プロダクツやマーケティングに詳しければ、ベンチャーとかに行って一発当てることもあるかもしれません。
でも、私の業種の人事・総務なんて、社内政治しか取り柄がないおっさんなんです。
そんなおっさんの人生の唯一の張り合い。それは、3年位前から付き合い始めた、某マスコミ関係企業の女性なんです。
妻も子供もいますので、不倫ってことになりますが、それはお互い納得ずく。
彼女の前の彼氏も私の友人なのですが、彼女の新卒のころから5年以上ずっと付き合っていて、処女から全て教え込んだそうです。
彼女が私の業界に関心を持っているということなので紹介してもらって、そのまま付き合い始めたんですね。
友人は最初は非常に怒っていたのですが、まあ10年近くも付き合ったんだから、潮時ってもんでしょう。
彼女は私の大学の後輩にあたるのですが、最近はうちの大学にも本当にこんな美人が入学するようになったんだなあって素直に驚くくらいのきれいな人で。
弊社にも大学の後輩はたくさん入るんですが、業態柄地味な子が多くってね。
夜の営みももう数えきれないくらい繰り返したのですが、長年中年男性と付き合ったせいで非常に敏感なのに、恥じらいが奥ゆかしくって、もう手放せません。
ところが、最近、会社の部下がネットで知り合った女性と結婚するというので、驚いて調べたんですね。
かなり上まで狙えるエリートなので、変な相手だったら困ると思って。
そしたらなんと、その相手が私の彼女だということが判明したんです。
だから最近デートの回数が極端に減っているし、泊まりのお付き合いも拒まれるようになってきたのか…!
彼も大学後輩で、それもあって目を掛けて来たのに、飼い犬に手をかまれるとはこのこと。
何より嫉妬ですよね。彼は私よりも20年近く若く、営業経験もあり、ひょっとしたら今の私より上に行く可能性だって十分ある。
その彼が、素晴らしい女性と結婚し、私にはない未来を二人で切り開いて行く。
彼女は地主の娘だから、住むところに不自由することもないだろう。
私のものだったあの素晴らしい美貌、素晴らしい肉体を彼が独占し、彼女にとって私はただの過去の歴史として消し去られていく。
二人の間の子供だって、遺伝子的には優秀になるに決まっていて、非の打ち所がない人生が彼を待っている。
それに引き換え、私の妻は会社で知り合った商業高校卒の気が利くだけの平凡な女性で、子供は三人いてもみんなMARCH未満の大学を出て、一人は就職もできずに派遣だ。
家だって、バブルの頃に購入せざるを得なかったので、国道16号線沿いの住宅地、本当に首都圏の外縁に、小さな一戸建て、大企業の常務って言ったってこんなもんだ。
彼と彼女をこれから待つ未来、私が過ごしてきた過去と比較すると、心の底からの羨望と嫉妬を覚える。
部下の男には、彼女のことを知らないふりをして、自分と交際しているということを敢えて伝えました。
ただそれだけではインパクトが無いので、夜の営みの話も露悪的に、わざと。
彼女にも、そのことを知らないふりをして、彼の悪い話をたくさん吹き込みました。
彼は彼女のことは一切会社では言わないのですが、言いまくってることにしてみたり。
彼の、割と乱れがちな女性関係についても、彼女に少し誇張して伝えています。
彼自身は非常に用心深いので、社内では何もせず、仕事と関係ないところで色々してるみたいなんですが、それを調べるのが、人事担当役員の腕だからね。
私が知り得た情報を、ウソにならない範囲でめいっぱい誇張して、彼女に伝えてあげました。
私は無理だと思います。
もう出世なんかどうでもいい。