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2021-09-06

BLコレクション 2

https://anond.hatelabo.jp/20210905133926

つづき。

ショートケーキの苺にはさわらないで』(凪良ゆう)

 小説オタクアンドロイドを買い受けて世話する話。

 ごく普通大学生ライフから始まって、途中で日本他国戦争を始めてしまうという展開になるのだが、開戦のきっかけがまりにも生々しいので、読んでて胃が痛くなった。

 胃痛に耐えながら読み進めると、涙と鼻水でぐしゃぐしゃのずびずばになってしまった。戦争が背景にある話だけれども、実際の戦闘シーンや戦場凄惨描写はない。そういう当たり前に泣く場面ではなく、登場人物ちょっとした言動とかでめっちゃ涙を搾り取られる。

 辛すぎて二度は読めない。

『スケベの青春』(畠たかし

 主人公はドスケベなことで定評のある高校生(攻め)。おうちでも学校でも堂々とエロ本を読めるほどのエロマスターだ。そんな主人公だったが、ある日同級生の爽やか系イケメン(受け)が人前で全く服を脱がないことに気付き、それが気になって仕方なくなってしまう。

 全体的に90年代後半の雰囲気のある絵とストーリー。脇役の「お茶山くん」がいい味出しまくっている。お茶山くん最高。たまに読み返したくなる。

『百と卍』(紗久楽さわ)

 BL漫画の中でもかなり有名なタイトルなので詳細は何も言うまい。ていうか、前に増田レビュー書いたような気がするような気がするけどまあいいか。もはや芸術領域に入った春画である

『にいちゃん』(はらだ)

 あれっ、これももしかしたらレビュー書いたかな? わかんないや、まあ書こ。

 子ども性犯罪被害を描いた作品主人公は幼い頃に自らに性加害をしようとした「にいちゃん」のことが、高校生になっても忘れられないでいた。ある日、ついに「にいちゃん」に再会した主人公だが、「にいちゃん」は主人公のことを恨んでいた。主人公は「にいちゃんから脅迫され、「にいちゃん」の部屋に呼び出されては性的虐待を受ける日々を送ることになる。

 未成年を狙う性犯罪者×性犯罪者を慕う未成年被害者 という禁断の共依存ネタだが、数年前に話題になった『幸色のワンルーム』(現実に起きた未成年略取事件から着想を得て描かれたとされる)みたいな夢のような展開があるわけではない。主人公ガチで「にいちゃん」に逆恨みされて凄惨虐待を受ける。が、やがて「にいちゃん」もまた虐待サバイバーであることに主人公は気付き、「にいちゃん」を救済しようとする。

 性虐待シーンが凄まじすぎて誰得レベル。これで抜くのは絶対許さんと言わんばかり。

 いわゆるメリバというやつで、苦味のある終わり方をする。


『ぼくの可愛い妊夫さま』(七川琴)

 小説産婦人科医×特異体質の大工男性妊娠を扱ったストーリーだけれど、オメガバースではない。たしか後天的妊娠能力を獲得してしまうという特異体質の男性が稀にいるという設定だったかな。そんな特異体質の男が、ある日突然月経になってしまったのを何かの病気勘違いして、主人公産婦人科医の勤める総合病院に駆け込んでくる。

 わりと描写が生々しいが、妊娠はしても出産とその後のことはパーッと流されて終わった。男性妊娠ものは読みたいが子育てBLは嫌い、という人にはいいかもしれない。

 購入した時には、まだムーンライトノベルズ最初から最後まで無料で読めた(のに、わざわざお金払って買ってしまった。)んだけど、今は知らん。文体増田文学っぽい。

オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』(佐岸左岸

 同作者の『オールドファッションカップケーキ』の続編。ノンカプチーノの方が綺麗なエンディングでまとまっているため、withカプチーノ蛇足ではないかという向きもある。けど私はこれも好き。

 なんだか名言量産機になってしまったという指摘もあるが、それは否めない。でもそれ言ったら、作者のデビュー作『春と夏となっちゃんと秋と冬と僕』もけっこうな名言量産型なので、これが作者の芸風だから諦めろ、とも言える。

 主人公野末さん(受け)の同期のお二方がいい味出していて好き。外川(攻め)が転職して野末さんの部下ではなくなってしまったのが、ちょっと寂しい。

『箱の中』(木原音瀬

 小説痴漢冤罪により逮捕された主人公(受け)は、容疑を否認し続けたために実刑判決を受けて刑務所収監されてしまう。そこで同室になった受刑者(攻め)に妙な懐かれ方をしてしまう。

 作者は、作風がとても重くて痛いことで知られている。だけど、話のへヴィーさよりも、痴漢冤罪問題をこんな風に扱ってしまう作者の倫理観に私はついていけなさを感じたので、この作者の作品を読むことはもう無いと思う。主に女性向けに書かれるBLというジャンルで、女を背後から撃つようなことを書いて、何が楽しいんだろう。

リビドーアンドデストロイ』(チッチー・チェーンソー

 何でも屋の黒枝さん×「なんでも屋のどぶ六」の社員のユキチくん。あックンからの依頼でハメ撮りをしてくれる人を探していた黒枝さんは、通りかかった「なんでも屋のどぶ六」に、可愛い店番がいるのを発見可愛い店番で「どぶ六」の社員のユキチくんは来るもの拒まずなので、黒枝の依頼を安請け合いしてしまう。

 クレイジーストーリーで、しかキャラクターの描き分けが微妙なので訳がわからず、五、六回読み返してしまった。パッと見で個体識別可能なユキチくんが可愛い個体識別余裕だからね。それに、ムチムチしとるし。

 なんか、すごくハチャメチャだったなー。

2021-08-10

商業BL漫画おすすめの続き。

anond:20210810121557

秋山くん(のばらあいこ

あらすじ

 高校一年生の柴は、イジメ高校デビューをしそうになったところを、上級生の秋山くんに助けられて以来、秋山くんが大好き。ある日とうとう秋山くんに告白するも、秋山くんの不良仲間がぞろぞろ出てきて、柴は拉致されてしまう。

カップリングエロ

メイン 柴×秋山くん

サブ  モブ×智美ちゃん総受け

    秋山くん←智美ちゃん

 エロ度はとても高い。エロ危険度も紹介した作品の中でぶっちぎりに高い。性的イジメや性虐待描写ストーカー行為など、インモラルな性表現あり。

増田コメント

 真面目系クズ×ダウナー系の不良のカップリングで、しかも衝撃的で凄絶なオープニングからエロという、のっけからめちゃめちゃ試される作品だが、実はピュアラブほっこり癒し系漫画である。懐かしのヤンキー文化に染まった世界観だが、少女漫画系の表現形態

 秋山くんのキャラが魅力的で、漫画アニメ二次創作漫画ではお馴染みの、即落ち1コマ萌えのような勢いのある萌えで読者を落としてくる。絵柄の可愛さもあいまって二次創作からBLに入って商業BLにも興味が出てきた人向け。

 番外編の智美ちゃんはひたすら可哀想。智美のナイトメア内の秋山くんと智美ちゃんは、男同士なのに百合感を醸している。百合といえば二次創作を少ししか嗜まない私が言うのもなんだけど。

 第1話と番外編の智美ちゃんシリーズは、たぶん商業BL漫画を読まない人から見た商業BL漫画漠然としたイメージ合致している。しかし本編のエロはあまり痛そうなことはしない。

 しかし、高校生同士のエロって今後は倫理的にアウトであまり出てこないのかなあ。商業BL現在、成人同士のカプがほとんど。(私の観測範囲内)

 今年の6月にめでたく完結。単行本まだかなー♪

どんな人におすすめ

オールドファッションカップケーキ(佐岸左岸

あらすじ

 アラフォーになったサラリーマンの野末は、恋人もなく趣味もなく、マンネリ化した私生活を送っていた。そんな彼に10歳年下の部下・外川が「アンチエイジングしましょう」と提案する。

カップリングエロ

外川×野末

 エロ度低め。単行本の後半になってやっとラブシーンが出てくる。エロはご褒美。

増田コメント

 大人の女性向け恋愛漫画のようなBLエロよりも攻めと受けが近づき関係を深めていく過程を楽しむもの映画化しないかなー。

 商業BLは案外萌えが少ないような気がするけど、これは萌えガンガン投下してくるBL。受けの野末さんが可愛い可愛いけど乙女になりすぎない、いいあんばいの匙加減。

 攻めの外川が何回告白してるか数えながら読むとたのしい。

 コマ割や絵がとてもお洒落

どんな人におすすめ

紹介はここまで

 やっと書き終わったー。あえてエロありの作品ばかりを紹介したけど、商業BLを読まない人から見た商業BLってこんな感じでしょ? という印象を覆してくれそうな作品をなるべく選んだつもり。

 実のところBLポルノといっていいくらエロがもりもりにある。けれども、読み手である腐女子たちは自分の読んでるものを棚に上げて男性向けのエロ漫画非難しがちだ。それはどうしてなのか? 上に挙げた作品たちのエロ描写男性向けエロ漫画の肌あいの違いかちょっと考えて欲しいと思う。どっちが良いとか悪いとかは言わんけど、やっぱりBLは男同士の恋愛性愛を描いたものとはいえ、主な書き手と客層が女性で有る以上は、女性不愉快にしないような表現になっているのだ。

 いうても、マイノリティであるゲイ搾取するなとか言われたらぐうの音も出ないし、男性向けとあんまり変わらなさそうなエロのある作品もインモラルな性行為や性暴力肯定するような作品もあるけれども。

 それに、腐女子の一部が非難する男性向けエロ漫画だって商業BLのように過大エロ広告で印象を歪められているだけで、実はそんなに酷くはないのかもしれないしね。知らんけど。

 
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