2024-07-19

苦しくて苦しかった頃の大学卒論大事に暖めながら

自分は良くやった、良くやったんだよと

リタイアメントが過る頭で、2本の腕で自分を抱き締める。

中身のない空っぽ薄っぺら論文を抱き締めて

既に崩れ落ちた心の破片を踏み締めて

何が刺さってるんだろう、誰がこんなもの放置してるんだろうと足裏を覗き込むと

キラキラと破片に過去が写り込んで、非常に眩しく血が流れているにも関わらずそのまま、抜けない。

誰も己の過去になど興味は持たないか

自分が抱えるしか無いのだと諦めながら

両の手は論文を抱えるので手一杯になっていて

両足はいつの間にか血だまりに沈んでいる。

向う岸には弟がニコニコと笑っていて半分苦しんでいて

清濁併せ呑んだ顔でこっちを睥睨している。

誤りだらけの兄弟の、親にさえ拒まれたこの醜い身体

あいつはさも面倒そうに見てみぬ振りをしながら

お前は汚点だと言い聞かされる。

妙齢になっても子孫を残さず

ただ遊び呆けているような

寿命を切り崩して後悔に後悔を重ねているように見えるのだろう

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