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2024-03-11

https://anond.hatelabo.jp/20240311173702

  栃木県の黒羽刑務所は大規模な刑事施設受刑者の訓練と言う職務内容も規模が大きいからお前に似たようなもぐらとは能力が違うより若い刑務官作動させているが

  延岡消防署の3階の予防課か何かだと作業内容がないので同じように、見てるからな、とい限度を使っていても大した能力がないもぐらなんだろう。

2024-01-18

性犯罪再犯率についてのコミュニティノート

真っ向から対立する2つの増田が急浮上した。この2つの主張についてソースを調べてみた。

便宜的に前者を増田A、後者増田Bと呼ぶ。

性犯罪の「再犯率」が高いという印象操作増田A】

https://anond.hatelabo.jp/20230628095342

性犯罪の「再犯率」が低いという印象操作増田B】

https://anond.hatelabo.jp/20240117123723

増田Aの要旨

  1. 同一人物が何度も性犯罪を犯す、また性犯罪を犯すのではないかという懸念再犯率ではなく同種再犯率でみるべき。再犯率窃盗でも再犯カウントされるからである
  2. H19犯罪白書ベースにした日本刑事政策研究会(刑政研)のレポート(出典1)によると性犯罪(強姦強制わいせつ)の同種再犯率は5.1%で他と比べて低い
  3. 再犯率比較すると同種再犯率は格段に減る(強姦32.0%→3%、強制わいせつ24.3%→6.5%)
  4. 性犯罪の再入率は法務省のR4再犯防止推進白書(出典2)によると性犯罪の同種犯罪による2年以内再入率はR2で5.0%で出所者全体の15.1%に比べて低い。最新(出典なし)でも同様
  5. 性犯罪の「再犯率」は高くない ②昔より再犯率、同種再犯率ともに下がっている ③デマを流して悪魔化するのは社会復帰の妨げになるので止めるべき と結論付けている

増田Bの要旨

  1. 増田Aは刑政研H19レポート根拠だが刑政研H27レポート(出典3)の「平成7年から26年の再入者の前刑罪名別の累計」では強姦で27.7%(強制わいせつを加えると35%),強制わいせつは32.3%(強姦を加えると45.5%)と跳ね上がる
  2. 1犯目の犯罪性犯罪でないものは同種再犯率ではカウントされない点が増田Aと異なる
  3. 性犯罪の2年以内再入率は低くても、強姦再犯期間は2年以上が70%なのでもってくる理由が謎
  4. 増田Aの統計には痴漢などは含まれていない
  5. 他の犯罪と同列に語る事が難しいのが性犯罪(カウントされていないものがある)

出典1 http://www.jcps.or.jp/publication/1903.html

出典2 https://www.moj.go.jp/hisho/saihanboushi4/r04/html/nt112000.html

出典3 http://www.jcps.or.jp/publication/2701.html

用語説明

犯罪白書は毎年発行されて統計を載せているが、H19の副題は「再犯者の実態対策」、H27の副題は「性犯罪者の実態再犯防止」でテーマが若干異なる。まず、以下に主要な用語をまとめる。

同種再犯率とは
再入率とは
再入者の前刑罪名別構成比とは

出典4 https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_6_2_6_2.html#h6-2-6-03

増田Aの問題

増田Aの出典は2つあるが、出典1では刑法犯(強姦強制わいせつ)のみを対象としており、出典2は性犯罪定義を「強制性交強姦強制わいせつ」としており、迷惑防止条例違反(痴漢盗撮等)が含まれていない。

従って、増田Aが結論づけている性犯罪の「再犯率」は高くありません。」については性犯罪定義一般認識よりも狭いといえる。

最新でも同様と言っているが、同種再犯率再犯ではなく再入で計算されており、実刑判決を受けず有罪判決のみのものが含まれていない。分母も出所者なのでH19データとの比較するのは不適切。加えて出典不明確で覚せい剤取締法違反出所不明である(ただしH25-H30は当方発見しており値としては近いものであることは確認できている)。

増田Bの問題

1.で「跳ね上がる」と表現しているがそもそも比較可能ものでない。同種再犯率も再入率も分母に再犯しなかった者の数が含まれているが、再入者の前刑罪名別構成比は再犯者のみが分母なので前2つよりも相対的に大きく評価される。跳ね上がった原因として「同種再犯率が1犯目が窃盗であるケースをカウントしないことによる過小評価がある」ことを挙げるなら、分母の差異による影響を何らかの形で除去しておく必要がある。

強姦再犯期間は2年以上が70%を占めるので2年以内再入率を使用することが謎という指摘をしているが、自身引用した刑政研H27レポートにおいて20年間の推移についても考察され、初入の者の割合が顕著に高いと言及されている。

5.について他の犯罪比較した場合性犯罪特有事情としてカウントされない泣き寝入りがあることを指摘している。人口あたりの発生件数のような評価指標で他の犯罪比較する場合においては過小評価考慮すべきものである。ただし、分母に罪名別有罪確定者や出所者をとっている増田Aの指標において泣き寝入り暗数の影響は分母・分子相殺されるとも言え、暗数再犯率過小評価させているという明白な根拠がない。

その他

再発防止推進白書性犯罪(痴漢盗撮は含まれていない)の再犯率について、高いとまでは言えないが再犯率の高低にかかわらず根絶は喫緊に取り組むべき課題と述べている。

性犯罪の2年以内再入率は2020年(令和2年)出所者で5.0%となっており、出所者全体(15.1%)と比べると低く、再犯率が高いとまでは言えない(特1-2-1参照)。しかし、その一方で、性犯罪は、「魂の殺人」と言われるように、被害者尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすことから再犯率の高低にかかわらず、その根絶は、喫緊に取り組むべき課題といえ、性犯罪再犯防止に積極的に取り組んでいく必要がある。

結論

anond:20240117123723

アホすぎるやろ。

 

率を見るときは分母と分子が何なのかを把握してから見ろやカス

 

H27の刑事政策研究会でのレポート矢野氏が挙げた"強姦は27.7%(強制わいせつを加えると35%),強制わいせつは32.3%(強姦を加えると45.5%)"の分母は同種罪名での再入者の数だ。

分母だぞ、分母。ちなみにその数字犯罪白書の下記のグラフから来ている。出典をちゃんと追えよ。

 

https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_6_2_6_2.html#h6-2-6-03

https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/images/full/h6-2-6-04.jpg

 

再入者の数が分母にあるということは、この指標が高いことが繰り返す人の割合が高いことを意味しない。繰り返す奴は繰り返す。ただそれだけのことだ。

ラーメン屋で例えれば「リピーターが多いことではなく、リピーターが前と同じラーメンを注文する割合が高い」ことを示す指標だ。再犯率リピーターが多いことで、

H27の刑事政策研究会レポート矢野氏のこの指標リピーターが前と同じラーメンを注文する割合が高いこと意味する。

 

前者について筆者の矢野氏はお前の引用箇所の直前の「5 刑事施設における性犯罪者」でちゃん言及している。

 刑事施設における入所受刑者における性犯罪者の動向を見ると(平成7年から26年で見る),認知件数の動向と同様,強制わいせつによる入所者が増え,

強姦強制わいせつともに29歳以下と30~39歳を合わせた人員割合が高い。初入の者の割合が顕著に高い

 分母は1回以上の入所者、分子は1回目の入所者。これが何を意味するかわかるか?リピーターが少ないことだ

お前の主張は都合のいい数字だけ引っ張ってきて全然違うもの比較してだますペテンだ。

これらの違いは元増田分析で「1犯目の罪名が⚪︎⚪︎であった場合に、同種の犯罪を犯したか」の統計であり

性犯罪窃盗窃盗性犯罪カウントされていても

窃盗性犯罪窃盗性犯罪カウントされていません

 

的外れ過ぎて話にならない。元増田の「1犯目の罪名が⚪︎⚪︎であった場合に、同種の犯罪を犯したか」はラーメン屋の例えの前者だが後者持ってきていて何言ってんだ?

ここより後ろ部分は全然的外れデータ持ってきてる時点で話にならないさら間抜けな内容なのでいちいち書かない。

 

半年ROMってろよ。

2024-01-13

anond:20240113145317

卑わいな言動による痴漢行為条例5条1項3号)がアウト。

「卑わいな言動」とは、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語または動作を言い、

公共の場所または公共乗り物にいる者に対し、正当な理由がないのに」、「著しく羞恥させ、または不安を覚えさせるような」言動

クンカクンカしてもダメだし、ええ乳してんなって褒めてもダメだし、

乳をがん見してもダメ。全部有罪

軽犯罪法違反罰則は、拘留科料のいずれかまたは両方で

拘留とは1日以上30日未満刑事施設収容される刑、科料とは1000円以上1万円未満を徴収される刑です。

2023-10-28

刑務所のことについて呼ばれたので出てきたよ

〇この増田褒め称えてたブックマーカーが哀れすぎるわね。学者崩れをメディアに出して世論操作に使う理由を納得。 https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20231019135239

というわけで当該増田とその追記https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20231020183410)を書いた増田です。呼ばれたようなので出てきました。

前のニュースから進展があり、「受刑者ホタテ殻むき「困難」と判断 米などに輸出できず 」と記事になり、そのブコメとして「格安受刑者使うとか人権感覚が」という趣旨のものが多数あった(https://b.hatena.ne.jp/entry/s/mainichi.jp/articles/20231027/k00/00m/010/047000c)ので改めて書いてみようと思う。

結論

結論としては前の2つで書いたもの基本的には変わらない(理由は前掲記事記載したとおり)。

受刑者を使って利益を得ようとしても、国庫的には負担の方が大きい。

 ⇒受刑者刑事施設収容することに要する国庫負担の方がはるかに大きく、国庫的また国民経済的には受刑者再犯せず、社会に出て仕事をして貰う方がはるかメリットが大きい。

民間事業者側にとっても利益は小さい。

 ⇒今でも格安の労賃で刑務所作業発注できるのに必ずしも受注量は潤沢とは言えない。作業によっては採算が取れないものがないわけではないが、少なくとも大々的に展開できるようなものではない(できるのであればやってみればいい。法務省が大喜びするはずだ。)

格安労働力のために受刑者を増やそうなんて端緒も見られない。

 ⇒半官半民の刑務所が出来てから日本受刑者数は右肩下がりが続いており、また、制度的にも、近年可能な限り刑務所収容するのではなく社会処遇を充実させる方向で動いており、そこに変化は見られない。

受刑者社会に近い内容で処遇することの効果法務省も、それ以上に研究者肯定的であるものの、取り組みは大きくは進んでいないし大きく広がりそうもない。

 ⇒受刑者はいずれ社会に戻っていくので、必要以上に施設慣れ(施設適応)されると困る。しかし、脱獄リスクを嫌がる法務省側、受刑者を受け入れることに積極的ではない民間企業側とハードルが高く、外部通勤作業は広くは進んでいない現状である

これを前提として今回の件少々付言していく。(この前提から納得いかないという方は申し訳ないが刑事政策をご自身で紐解た上で、データと突き合わせてもらう他ない。穏当な参考書としては「刑事政策学」(武内本庄)や「刑事政策概論」(藤本)なんかが良いと思う。これ以外にも参考書はあるが刑事施設についてはあまり触れられていないことが多いので。)

ではまず記事を見ていこう。

宮下農相は「刑務所外での派遣作業などの仕組みが活用可能検討していたが、輸出先の転換を推進する観点からは困難であるという結論に至った。受け入れ事業者周辺地域理解といった課題もあり、作業環境の整備などの課題も多い」と説明した。農林水産省によると、少なくとも米国英国カナダニュージーランドでは、受刑者労働による産品について輸入できない規定がそれぞれの国の法律にあることが分かったという。

はっきり言って完全に前回の記事勘違いしていた。海外輸出用だったものを、今回の事案で国内流通用の工場受刑者作業する話だと思っていた。

何故かというと、そもそも法務省は刑務作業がかかわった製品について、アメリカを始めとした数か国に対して輸出ができないのを理解しているはずからだ。根拠はある。法務省局長名の文書において

GATT(ガットというやつだ)加盟国は、刑務作業製品に対して輸入規制を設けることができ、イギリスアメリカカナダニュージーランドは実際に輸入規制を行っている。」

「刑務作業契約にあたっては、民間企業に対して、輸入規制が行われている国があること、その他の国もそうなる可能性があることをよく説明すること。」

規定しているからだ。(確かリンク先の「刑務作業製品の輸入規制対応について(通達)(平一八矯成三三三四)」てやつ。(https://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/029326246.html))

それが何で前回報道のような形になったのか、正直言って外部からは全く分からない。官僚劣化とかリサーチ不足などというブコメもついており一理あるなぁと思いつつも、法務省側は元々この要件を知っているはずなので、農水省法務省コミュニケーション不足で条件が正確に法務省に伝わっていなかったように感じる。

余談1(こっちが本論)

刑罰論まで踏み込むとキリがないので、刑務作業強制労働)の捉え方に限定して説明しておこうと思う。

(前提1)1930年ILO条約では強制労働禁止しているものの、刑罰による労働条約上の強制労働には当たらないとされている。(懲役刑自体国際法違法ではない)

(前提2)アメリカでは1935年前後に刑務作業製品一般販売禁止した(輸入禁止もこの流れからと思われる)

(前提3)2015年国連拘禁処遇最低基準規則でも作業があることを否定していない(苦痛を与える目的作業否定されている)

(前提4)1957年ILO条約では「経済的発展の目的のための労働力の動員」が禁止されており、日本は近年までこれに批准してこなかった。

     ここから、「日本懲役刑経済的発展を行うための奴隷労働だ」などとの批判もあり、ブコメ批判も当たってそうに思えるが、結局懲役刑が残ったまま日本はこれに批准した(去年)。つまり懲役刑について、経済的意味での強制労働ではないとされたわけだ。では何が問題だったかというと、この条約には「政治的・・・見解を抱き、もしくは発表することに対する制裁」に対して強制労働を行わせることも禁止している。日本場合法令上一部公務員がスト等を行った場合懲役刑強制労働あり)になりうるため、ここがネックだったというわけだ。結論として、公務員のスト等を懲役から禁錮(捕まっておくだけ)に法改正し、条約批准している。

このあたりを前提として論じていきたい。ブコメから

〇別の所でも書いたけど日本人は人権理解していないという実例でしたね案件。ちょうどタイムリー廃業の自由がない労務奴隷制からね。

このあたりは全く違うことが分かる。前提1と前提3に照らした場合国際法上全く合法で、ただ、それにより出来上がった製品国内法で流通拒否している国がある(条約拒否することも認めている)という話だ。

これは日本アメリカ(というか特に英米系)の国で刑務作業に対する捉え方が全く違うことに端を発している。

ざっくりというと、そもそも規則正しく生活させ、労働させることは社会復帰に有用であると考える日本と、自由刑拘禁さえしておけばよく、その他は受刑者自由意志に任せれば良いとする国々との差異になる。

これは人権感覚問題というよりも(それを言うなら自由剥奪することも十分すぎるくらいに人権侵害だ)、勤労が美徳なのか罰則なのかという宗教観の話になってしまうので結論を出すのは容易ではない。

また、刑務作業の他にも、日本では性犯罪者には性犯罪者向けに、薬物事犯者には薬物事犯者向けになど再犯防止のための指導を行えるが、これも拘禁するだけが刑罰の国だと、刑罰の内容は拘禁までであり再犯防止に向けた取り組みへの参加は受刑者自由意志に任されるということになる。個人的にはどっちが上とか下とか人権感覚が優れているとかの問題ではないように感じている。(ちなみにアメリカと比べて日本の方が再犯率は圧倒的に下でそこを評価する人もいるだろうし、"教化"に強制的に参加させるなんてありえない、とする人もいるだろう。)

これは懲役刑がなくなって拘禁刑に変わっても同様で、これまでは「作業義務」とされていたところ、「社会復帰のために必要な働きかけを行う」(つまり作業社会復帰に有用と思われる者には作業をさせる)ということなので、今後も変わらない。

作業の捉え方の変遷(古典的な低廉な労働力の確保や労働自体苦痛を伴わせることから現代までの変遷はここでは記しきれないので興味ある人はぜひ)

余談2

前のブコメでも受刑者もっと金が出ればなぁというもの結構あった。それに対して前の記事でこう書いた。

受刑者給料はでないよ。法律上の賃金ではないので。企業法務省国庫お金流れる受刑者にはこの流れと完全に別枠でお気持ち程度のお金が国から出る。この額が少なすぎるとする研究者は多いが、「受刑者に月10万円出します!衣食住保証!」なんてのが国民感情として認められるはずもなく。

増額することに反対する研究者は多分ほとんどいない。ネックは完全に国庫からの持ち出しになることと、国民理解だろうか。

法務省によると現在民間から刑務作業で受け取っている労賃がおおよそ28億円だ。受刑者数は約4万人だが、民間との契約従事している受刑者をざっくりその半分の2万人として考えた場合受刑者1人当たりで受け取っている労賃は年間14万円程度になる。(民間からの刑務作業従事せず、刑務所内で給食を作ったりしている受刑者も多数いるためざっくり半分とした。この割合根拠はない。)

この労賃でさえ刑務作業を埋めることに四苦八苦している現状で労賃をあげると、今以上に刑務作業の確保に苦慮することになるためそれは難しいだろう。とするとその余は国庫から補填することになる(ざっくりとした試算で、全員に刑務作業を行わせる前提800億円くらいだろうか)。また、アメリカのように仮にこれを民間との契約で得た金銭を基にした賃金と整理するのであれば、それに見合う人能力の高い人だけがまともな刑務作業を行い、その他の大部分の受刑者そもそも刑務所の中で何もしない、させないという環境に置かれる可能性がある。(作業が本人の希望制という違いはあるが)

日本においては、刑務作業は単なる罰則だけではなく社会復帰のための積極的な意義を認めつつ、報酬についてはもう少し何とかならんか、という論者が一般であるように思う。

刑務所のことについて呼ばれたので出てきたよ

〇この増田褒め称えてたブックマーカーが哀れすぎるわね。学者崩れをメディアに出して世論操作に使う理由を納得。 https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20231019135239

というわけで当該増田とその追記https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20231020183410)を書いた増田です。呼ばれたようなので出てきました。

前のニュースから進展があり、「受刑者ホタテ殻むき「困難」と判断 米などに輸出できず 」と記事になり、そのブコメとして「格安受刑者使うとか人権感覚が」という趣旨のものが多数あった(https://b.hatena.ne.jp/entry/s/mainichi.jp/articles/20231027/k00/00m/010/047000c)ので改めて書いてみようと思う。

結論

結論としては前の2つで書いたもの基本的には変わらない(理由は前掲記事記載したとおり)。

受刑者を使って利益を得ようとしても、国庫的には負担の方が大きい。

 ⇒受刑者刑事施設収容することに要する国庫負担の方がはるかに大きく、国庫的また国民経済的には受刑者再犯せず、社会に出て仕事をして貰う方がはるかメリットが大きい。

民間事業者側にとっても利益は小さい。

 ⇒今でも格安の労賃で刑務所作業発注できるのに必ずしも受注量は潤沢とは言えない。作業によっては採算が取れないものがないわけではないが、少なくとも大々的に展開できるようなものではない(できるのであればやってみればいい。法務省が大喜びするはずだ。)

格安労働力のために受刑者を増やそうなんて端緒も見られない。

 ⇒半官半民の刑務所が出来てから日本受刑者数は右肩下がりが続いており、また、制度的にも、近年可能な限り刑務所収容するのではなく社会処遇を充実させる方向で動いており、そこに変化は見られない。

受刑者社会に近い内容で処遇することの効果法務省も、それ以上に研究者肯定的であるものの、取り組みは大きくは進んでいないし大きく広がりそうもない。

 ⇒受刑者はいずれ社会に戻っていくので、必要以上に施設慣れ(施設適応)されると困る。しかし、脱獄リスクを嫌がる法務省側、受刑者を受け入れることに積極的ではない民間企業側とハードルが高く、外部通勤作業は広くは進んでいない現状である

これを前提として今回の件少々付言していく。(この前提から納得いかないという方は申し訳ないが刑事政策をご自身で紐解た上で、データと突き合わせてもらう他ない。穏当な参考書としては「刑事政策学」(武内本庄)や「刑事政策概論」(藤本)なんかが良いと思う。これ以外にも参考書はあるが刑事施設についてはあまり触れられていないことが多いので。)

ではまず記事を見ていこう。

宮下農相は「刑務所外での派遣作業などの仕組みが活用可能検討していたが、輸出先の転換を推進する観点からは困難であるという結論に至った。受け入れ事業者周辺地域理解といった課題もあり、作業環境の整備などの課題も多い」と説明した。農林水産省によると、少なくとも米国英国カナダニュージーランドでは、受刑者労働による産品について輸入できない規定がそれぞれの国の法律にあることが分かったという。

はっきり言って完全に前回の記事勘違いしていた。海外輸出用だったものを、今回の事案で国内流通用の工場受刑者作業する話だと思っていた。

何故かというと、そもそも法務省は刑務作業がかかわった製品について、アメリカを始めとした数か国に対して輸出ができないのを理解しているはずからだ。根拠はある。法務省局長名の文書において

GATT(ガットというやつだ)加盟国は、刑務作業製品に対して輸入規制を設けることができ、イギリスアメリカカナダニュージーランドは実際に輸入規制を行っている。」

「刑務作業契約にあたっては、民間企業に対して、輸入規制が行われている国があること、その他の国もそうなる可能性があることをよく説明すること。」

規定しているからだ。(確かリンク先の「刑務作業製品の輸入規制対応について(通達)(平一八矯成三三三四)」てやつ。(https://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/029326246.html))

それが何で前回報道のような形になったのか、正直言って外部からは全く分からない。官僚劣化とかリサーチ不足などというブコメもついており一理あるなぁと思いつつも、法務省側は元々この要件を知っているはずなので、農水省法務省コミュニケーション不足で条件が正確に法務省に伝わっていなかったように感じる。

余談1(こっちが本論)

刑罰論まで踏み込むとキリがないので、刑務作業強制労働)の捉え方に限定して説明しておこうと思う。

(前提1)1930年ILO条約では強制労働禁止しているものの、刑罰による労働条約上の強制労働には当たらないとされている。(懲役刑自体国際法違法ではない)

(前提2)アメリカでは1935年前後に刑務作業製品一般販売禁止した(輸入禁止もこの流れからと思われる)

(前提3)2015年国連拘禁処遇最低基準規則でも作業があることを否定していない(苦痛を与える目的作業否定されている)

(前提4)1957年ILO条約では「経済的発展の目的のための労働力の動員」が禁止されており、日本は近年までこれに批准してこなかった。

     ここから、「日本懲役刑経済的発展を行うための奴隷労働だ」などとの批判もあり、ブコメ批判も当たってそうに思えるが、結局懲役刑が残ったまま日本はこれに批准した(去年)。つまり懲役刑について、経済的意味での強制労働ではないとされたわけだ。では何が問題だったかというと、この条約には「政治的・・・見解を抱き、もしくは発表することに対する制裁」に対して強制労働を行わせることも禁止している。日本場合法令上一部公務員がスト等を行った場合懲役刑強制労働あり)になりうるため、ここがネックだったというわけだ。結論として、公務員のスト等を懲役から禁錮(捕まっておくだけ)に法改正し、条約批准している。

このあたりを前提として論じていきたい。ブコメから

〇別の所でも書いたけど日本人は人権理解していないという実例でしたね案件。ちょうどタイムリー廃業の自由がない労務奴隷制からね。

このあたりは全く違うことが分かる。前提1と前提3に照らした場合国際法上全く合法で、ただ、それにより出来上がった製品国内法で流通拒否している国がある(条約拒否することも認めている)という話だ。

これは日本アメリカ(というか特に英米系)の国で刑務作業に対する捉え方が全く違うことに端を発している。

ざっくりというと、そもそも規則正しく生活させ、労働させることは社会復帰に有用であると考える日本と、自由刑拘禁さえしておけばよく、その他は受刑者自由意志に任せれば良いとする国々との差異になる。

これは人権感覚問題というよりも(それを言うなら自由剥奪することも十分すぎるくらいに人権侵害だ)、勤労が美徳なのか罰則なのかという宗教観の話になってしまうので結論を出すのは容易ではない。

また、刑務作業の他にも、日本では性犯罪者には性犯罪者向けに、薬物事犯者には薬物事犯者向けになど再犯防止のための指導を行えるが、これも拘禁するだけが刑罰の国だと、刑罰の内容は拘禁までであり再犯防止に向けた取り組みへの参加は受刑者自由意志に任されるということになる。個人的にはどっちが上とか下とか人権感覚が優れているとかの問題ではないように感じている。(ちなみにアメリカと比べて日本の方が再犯率は圧倒的に下でそこを評価する人もいるだろうし、"教化"に強制的に参加させるなんてありえない、とする人もいるだろう。)

これは懲役刑がなくなって拘禁刑に変わっても同様で、これまでは「作業義務」とされていたところ、「社会復帰のために必要な働きかけを行う」(つまり作業社会復帰に有用と思われる者には作業をさせる)ということなので、今後も変わらない。

作業の捉え方の変遷(古典的な低廉な労働力の確保や労働自体苦痛を伴わせることから現代までの変遷はここでは記しきれないので興味ある人はぜひ)

余談2

前のブコメでも受刑者もっと金が出ればなぁというもの結構あった。それに対して前の記事でこう書いた。

受刑者給料はでないよ。法律上の賃金ではないので。企業法務省国庫お金流れる受刑者にはこの流れと完全に別枠でお気持ち程度のお金が国から出る。この額が少なすぎるとする研究者は多いが、「受刑者に月10万円出します!衣食住保証!」なんてのが国民感情として認められるはずもなく。

増額することに反対する研究者は多分ほとんどいない。ネックは完全に国庫からの持ち出しになることと、国民理解だろうか。

法務省によると現在民間から刑務作業で受け取っている労賃がおおよそ28億円だ。

受刑者数は約4万人だが、民間との契約従事している受刑者をざっくりその半分の2万人として考えた場合受刑者1人当たりで受け取っている労賃は年間14万円程度になる。

民間からの刑務作業従事せず、刑務所内で給食を作ったりしている受刑者も多数いるためざっくり半分とした。この割合根拠はない。)

この労賃でさえ刑務作業を埋めることに四苦八苦している現状で労賃をあげると、今以上に刑務作業の確保に苦慮することになるためそれは難しいだろう。とするとその余は国庫から補填することになる(ざっくりとした試算で、全員に刑務作業を行わせる前提で最低賃金を支払うとして800億円くらいだろうか)。

また、アメリカのように仮にこれを民間との契約で得た金銭を基にした賃金と整理するのであれば、それに見合う人能力の高い人だけがまともな刑務作業を行い、その他の大部分の受刑者そもそも刑務所の中で何もしない、させないという環境に置かれる可能性がある。(そもそも日本受刑者の2~4割(研究者によって違う)はIQが70に満たない人たちだ。そういった人たちに賃金が払えないからと何ら働きかけをしないというのが正しいとは個人的には思っていない。)

日本においては、刑務作業は単なる罰則だけではなく社会復帰のための積極的な意義を認めつつ、報酬についてはもう少し何とかならんか、という論者が一般であるように思う。

2023-10-20

刑務所刑事政策のことについて補足とコメント返しするよ

刑務所制度や実情について知らん人が多すぎるので解説するよ

https://anond.hatelabo.jp/20231019135239

元増田です。予想以上に多くのコメントブコメブクマを頂き嬉しく思うのと同時に、調べ直して誤解を招きかねないところがあったので補足とコメント返しをしていきます

ただあまりにも多く頂いたので当方にて取捨選択します。恣意的だという批判は甘んじて受けます

なお、文中で「研究者の」などと記載するとき特に断りがなければ多数派のという意味を含有します。

補足

前回の記事(外部通勤作業の)令和4年度の対象者は全国で4人と書いた。この数字は正確だがその推移は以下の通りだ。(いずれも犯罪白書より)

【令和4年4人、令和3年7人、令和2年4人、平成31年20人、平成30年23人、平成29年19人、平成28年21人、平成27年15人、平成26年14人、平成25年12人、平成24年10人】

一貫してほぼ右肩上がりだったところ、平成30年松山刑務所から脱獄事件平成31年新型コロナウイルス禍により現象に転じたということだと思う。

よって4人だけ!というのはミスリード可能性が大きく、元々法務省も徐々にこの取り組みを拡大させていたことを考慮すると、平成30年程度の規模までは早期に回復する可能性が高い(今回のホタテの件がなかったとしても)。まぁ20人としても全国の刑務所が70弱あることを考えると一施設平均0.3人なので労働市場インパクトを与える数ではないという結論に変わりはないが。

更に補足すると外部通勤作業必要性研究者法務省も一致しているものの、スタンスは若干違う。法務省絶対脱獄しない受刑者ってのを何重にもスクリーニングして選んでいて、研究者の側は「法務省の取り組みは遅いもっと積極的に」という感想になる。

コメント返し

○働くかどうかはともかく、

社会復帰のために一定期間(もちろん監視のもとに)拘置所外で社会生活をする制度があったような

仮釈放と刑の一部執行猶予

仮釈放は真面目に受刑生活を送っていれば刑期のラスト2割くらいは釈放される制度仮釈放間中に悪さをしたらまた刑務所に連れ戻される。令和元年の再犯防止推進計画加速化プランにおいて積極的仮釈放を認める運用としている。

・刑の一部執行猶予は新しい制度平成28年施行)で、判決時点で実刑部分と執行猶予部分を指定してしまうというもの。(例えば懲役3年だが、実刑部分2年猶予部分1年、猶予部分の1年間は刑務所にいなくて良いが悪さをしたら刑務所に入れられるような感じ)

○いずれも犯罪者社会復帰のためには社会処遇重要であり、施設処遇刑務所への収容)だけでは足りないという流れがあるからだ。受刑者社会復帰のためには、受刑者刑務所適応してしまうのではなく、社会包摂していくことが必要との議論に国が応えた形となる。

○つまり制度全体として、刑務所にいる期間をできるだけ短くしようという制度設計運用になりつつある。いくつかのコメントにあった「単純労働者確保のために受刑者を増やす」なんてのはこれまでの流れと正反対なので、不可能とは言わないが極めて困難であり、批判するのであればその予兆が見えてからで十分だろう。(そんな予兆は一切ない)

○加えて、令和7年度から懲役刑がなくなる、作業をさせることが義務的ではなくなると書いたけど、これは刑務作業強制的労働)がなくなるわけではない。が、作業時間は確実にかなり減ることが見込まれており、こちらの観点から受刑者労働力として考える方向とは真逆となる。

発注がないのは囚人が手を加えた商品を買う人が国内はいいからだろ

○いくつかの刑務所見学してみると分かるが予想以上に身近なものを作ってるよ。刑務所で作ったものとして売られているだけでなく、名だたる高級ブランド販売する際の紙袋を折ったりとか。

受刑者仕事提供する団体は、法務省にいろいろ優遇してもらえそう

てか、給料はどちらが払うのか、中抜きはあるのか、出来高制なのか、そのあたり

○たぶん優遇はないんじゃないかな、前も書いたように感謝状をくれることがあるくらいで。ただ、元受刑者雇用してくれる企業にははっきり優遇があるよ、補助金って形で。(これは無職者の方が再犯率はるかに高いって統計によるもの。)

受刑者給料はでないよ。法律上賃金ではないので。企業法務省国庫お金流れる受刑者にはこの流れと完全に別枠でお気持ち程度のお金が国から出る。この額が少なすぎるとする研究者は多いが、「受刑者に月10万円出します!衣食住保証!」なんてのが国民感情として認められるはずもなく。

○私は半官半民の刑務所反対派で、当時のブコメにもそう書いたと思うが、理由としては、そもそもそれは国でやれ、民間の力を借りるなと言うことだった。その反論があるかと思ったけどなかった

現在では、法務省可能な限り国に業務を戻そうとしていて、研究者側は一定民間領域を残すべきだとの議論が多い。(半官半民の刑務所は今まさに契約更新の時期を迎えていて、民間事業者への委託範囲がかなり小さくなっている)

法務省ははっきりとは言わないが、この制度の発端が過剰収容からであり、それが解消されたため(15年間で被収容者数が55%程度に減少)だと思う。このままだと公務員の減員まで言われる可能性があると思っているのではないかな。ここ5年で3ヵ所か4ヵ所ほど刑務所閉鎖してるし。

※(追記)ゴメン法務省が言ってた「平成19年当時,刑事施設は過剰収容状態であり,収容能力と要員の確保が喫緊課題であった。このため,民間事業者に委託できる業務可能な限り民間委託することを基本とされたものの,今般,過剰収容状態が解消され,また,老朽化した刑事施設の整理統合が行われていることに鑑み,次期事業においては,民間ノウハウを活かせるような内容のみに絞ること」(https://www.moj.go.jp/content/001298607.pdf

研究者は、一定専門職種については民間の協力を得た方が効果が高いのではとの意見が多い。

○微罪だろうが片っ端から実刑判決下して刑務所にぶち込めば収容者1人あたりのコストは下げられるよね、B型作業所やシルバー人材センターあたりも含めて低賃金労働力確保に向けた第一歩と考える方が自然だと思うが

○身内の利益誘導にはどこまでも血道を上げる人達なので、ここからどんな横紙を破っていっても驚かない、くらいの感想かな。あの時からガラッと運用が変わりました、があり得るのがこれ迄の政権まとめといった所なので

○“○平成19年頃の刑事施設収容者数は8万人を越えており、現在は4.5万人を下回っていることから、この指摘は全くの的外れだったといって良いだろう。” 今はそうでないことと、制度的に可能であることは両立する

○今の制度はそうであっても、これからどうなるか……。

○今はそうじゃないよ、でもこれからはそっちの方向だよって理屈は両立するよね?受刑者大卒が少ない?じゃあネット誹謗中傷したら刑務所なって流れだしw 奴隷の皆さん、ご準備は出来てますか?

御用学者ポストを狙ってるのか?頭が悪すぎてびっくりする。政治の話をしているのであって、現行法での位置付けは誰も問題にしていない。「現運用ではありえない」ことがこの10年どれだけ行われてきた?

○ご指摘の通り収容者数を増やせば一人あたりのコストは減る。どこまで減らせるだろうか。平成18-19年の被収容者数がピークを迎えていた頃の、被収容者一人あたりのコストが年300万円程度(当時)と言われていた。

○ただ、このときは非常に無理をし、定員以上に収容していて結局4つの刑務所の新設(前述の半官半民の刑務所)と刑務官1000人規模の増員を招いてしまったので、実際のコストもっとかかっていると言って良いだろう。

○下限の一人あたり一年300万円としても、これに警察検察裁判所保護観察所などの費用を足せば、労働力としてコストを賄うほど利益を出すことが不可能なのはかると思う。

○前述の通り刑務所内での処遇期間を短くしよう、社会処遇シフトしようとしており、その方向性が変わるような議論はなされていない。そんな中でここまで過剰に反応する必要はないと思う。

制度的に可能なだけなら何でも言えてしまう(すべての殺人について死刑にすることも制度的には可能だし)ので、その予兆もない中で振りかざすのは陰謀論と言えるのでは。

○今回のニュースだって基準を緩和するだのなんだのといった話はない。というか脱獄責任を取りたくない法務省役人農水省政治家に言われたくらいで基準を緩和するとは思えないが。(むしろとっとと緩和してもっと出せよと思ってる研究者が多いのでは)

○4人しか外出て働いてない現状を変えるためにあの報道なんでしょ?呼び水でしょ。

コロナ脱獄事件で減ってしまった外部通勤作業の実績をあげたいという法務省側の意向はあると思う、というか前も書いた通り法務省側は数を増やす方向性なのは間違いない(それが研究者から見て遅々としてもどかしいというだけで)

○ただ、それにしても業界インパクトを与えるような規模になることは考えられないよ。(一人親方伝統芸能みたいなのなら話は別)

へぇ再犯率データはないのね

○あるよ!(https://www.moj.go.jp/hisho/saihanboushi4/r04/html/n1130000.html

網走刑務所オホーツク地場産業であるホタテ加工に売り込みをかけているのでは、というオレの推測はだいたい当たってたんじゃないかな。

○こんな実態があったら面白いね、実情聞いてみたい

○俺が気になったのは、ホタテの殻剥きが社会復帰に役立つ技能付与になるのかって点かな。イメージの強い木工とかもどうなのと思わなくもないけど。技能を得られる仕事は結果も求められて厳しいのなら悲しいな。

○おっしゃるとおり。研究者の側はそれぞれの受刑者個別社会復帰のための訓練をするのが理想って議論をしている。

法務省側も職業訓練などのメニューも持ちつつも、「毎日規則正しく生活して仕事するって生活習慣自体社会復帰に繋がるんだよ!」と言ってくる。現実問題一人ひとりに見合った職業訓練を用意できないのが実態と思うけど。

○いろいろ勉強になったが、元記事の「(事業者には)福利厚生費保険料などがかからないメリットがある」部分への批判の答えにはなってないのでは。(ホタテに限らず)現行制度適法でもダンピングダンピング

法律上認められたダンピング、でもいいよ。結論は変わらないし。これを否定するなら懲役刑ってのの否定になる。塀の中作業しようが労賃は格安からね。ただ、これは法律上予定されたことで、今回の件の批判としては筋違いと言える。それこそ医者が手術しても傷害罪にならないのと同様で。

○もちろん別枠で懲役刑なんてけしからん!なんて批判ももちろんあり。日本ではあまり聞かないけど欧米だと主流だし(単に刑務所に入るだけで働かなくていい)

懲役刑が減って拘禁刑が主流になるの、犯罪者高齢化とかで刑務作業が困難な側面もあるのかな。今ですら健康受刑者刑務官で介助してるような状況だし。

○2年前にテレビ岡山刑務所特集見たけど受刑者の3割が高齢者で当然認知症患者もいてって有り様(肝心の受刑者数もたった430人でピーク時より減ってる)。奴隷労働させたくても物理的に不可能

○よく議論されているのは、「作業をさせることができなかったり、作業をさせること以上に社会復帰のために必要なことがある受刑者(ご指摘の高齢者も含む)っているよね!」ってことだね。

拘禁刑イメージは、「作業に限らず社会復帰のために必要な働きかけは何でもするよ!もちろんその内容が作業をさせるって場合もあるよ!」ってので差し支えないと思う。

○全国で矯正展が開催されているのでこの機会にぜひ足を運んでほしい→https://bit.ly/45yrSA8

○最寄りのところに行ってみると楽しいよ!無料性格診断をしてくれたり、刑務所の中に入れたりする。

○ちなみにこういったイベントじゃなくても、学校勉強名目)や職場研修名目)で何人か人を募れば見学させてくれるところが多いと思う。忙しい先生だと大学の授業で一コマ潰すのにも使われたりする。最小挙行人数なんてのは無いはず。さすがに個人だと断られるかもだけど。

まとめ

普段注目されてないとコメント集まったらめっちゃ嬉しいねありがとう

あと、政治的なところはあえてコメントを拾わなかった。専門外でてきとーなこというのは記事を分けててきとーに書くかてきとーにブコメした方がいいと思うので。

2023-10-19

刑務所制度や実情について知らん人が多すぎるので解説するよ

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/mainichi.jp/articles/20231018/k00/00m/010/261000c

ホタテ殻むきなどの加工業務、受刑者の刑務作業に 政府方針 | 毎日新聞

ブコメ批判一色に近い。まぁ分からなくもないのだが、刑事司法制度の中でも裁判が確定した以降の話ってのは認知度が低く誤解によるものと思われる批判も多いので解説してみようと思う。

余談だが、一応法学部には「刑事政策」という科目が置かれ執行猶予保護観察刑事施設のあり方や再犯防止について学ぶことができるものの、大部分の学生刑訴法までしかやらないのでマイナーな分野となっている。これは研究者でも同じで割とアカポスに辿り着きやすい分野でもあり狙い目だ。歓迎する。

体系的に解説するには労力も時間もなく、しかも書いても誰も読まないだろうからブコメ対応していく形で書いていく。

単純労働力不足受刑者で穴埋めすれば良いと学んだ自民党政府は、それなら受刑者を増やせば良いと考えそうなんだよな、軽犯罪者も反自民党も強制労働へw自民党無能な上に元々ソ連的な全体主義目指してるしねw

○元記事にはこうある。

受刑者を加工場派遣して作業させる予定だ。仮釈放の決定など一定要件を満たしている受刑者は、刑務官らの同行なしに刑事施設外の民間事業所通勤して作業従事することができる。」

これは外部通勤作業刑事収容施設法96条)と言われるもので、刑務官の付き添い(監視)なしに刑務所外で受刑者仕事を行うと言うものだ。

受刑者健全社会復帰のためには、刑務所の中だけではなく可能な限り社会に近い環境重要からある制度だが、令和4年度の対象者は全国で4人だけだ。刑務官の付き添いなしに外部に出して良いと判断される受刑者がそこまで多くないのだろう。仮に対象受刑者10倍にしてもブコメにあるような「単純労働力の穴埋め」のタシになんてなりやしない。

○また、対象受刑者がいたとしても、受刑中の人を受け入れてくれる企業だってほとんどない。企業が良いといっても一緒に働く人が嫌がることが多い。

○余談だが、外部通勤作業ではないが、平成30年には塀のない刑務作業実施場所である松山刑務所大井造船作業から脱獄事件が発生している。こういった現場に出る受刑者は相当に選別されているはずだが、それでもこのような事件が起きているのでリスクを嫌う刑務所側が急激に対象受刑者を増やすことはまず考えられない。

不正競争防止法にならんのか??

○「移民低賃金労働助長する」って移民に反対する人がいるがこれそれどころの話じゃないよね。最低賃金社会保険料も無視労働価格破壊だよ。

特定私企業への利益誘導だよな、これ。本来だったら採算が取れない事業延命されるので中長期では生産性が下がりそう。

懲役受刑者強制労働させることは現行法上予定されている。まぁそもそも「懲らしめ」「役務」だしね。(刑法12条2項「所定の作業を行わせる」)

ちなみに令和7年から懲役刑が徐々になくなり拘禁刑という刑罰に替わり、仕事を行わせることは義務的ものではなくなる。(既に刑法改正済み)

○この件に限ったものではなく、法務省では受刑者に行わせる仕事募集を常時行っている(https://www.moj.go.jp/KYOUSEI/KEIMUSAGYO/bosyu)。少なくとも今回の件で特別に何か制度的な変更があるわけではく、価格破壊利益誘導というものではないだろう。

技能実習生の代わりが見つかったぞおおおお!数年後には、農場レタスを収穫したり、ホテルでベッドメイクしてたりしてそう。

○実際に刑務所内でベッドメイク技術を教える訓練がある(https://www.yomiuri.co.jp/topics/20210401-OYT8T50093/)。仮に外部での実習先が見つかったら、社会復帰に繋がるということで法務省も(刑事政策学者マジョリティも)かなり嬉しいのではないかな。

日本監獄ビジネスをやるのか?米国はその反省から万引き程度では捕まらないという無法状態になったんだよな。日本人は弾圧されてもおとなしいかえぐいことになりそう

アメリカ問題になっとるやつじゃないか。こりゃそのうち刑務所民営化とかやり始めるぞ

アメリカ刑務所民営化受刑者を働かせて儲けるという金持ちスキームが大流行しましたわ。中心人物ジョー・バイデン

アメリカみたいになってきた。微罪逮捕受刑者パソナ運営する民営刑務所で働く未来が見える。

刑務所運営には当然税金がつぎ込まれてるので、特殊補助金特殊環境運営してるともいえる。アメリカだと刑務作業産業化してるらしく変な後追いはやめて欲しいのだが。

○既に日本でも、アメリカヨーロッパの取り組みを参考にして半官半民の刑務所がある。出来たのは平成19-20年頃で、日本に4ヵ所ある「社会復帰促進センター」というのがそれだ。

○出来た当初、主に左翼系の学者共産党からは正にこのブコメのような批判があったが、実情をみてみよう。

平成19年頃の刑事施設の収容者数は8万人を越えており、現在は4.5万人を下回っていることから、この指摘は全くの的外れだったといって良いだろう。

○まあシャバと完全に同じ仕事をさせるのは社会復帰のためには実際いいことなんだが、労働市場より安く使おうという魂胆は許せないので事業者間でオークションさせて労働市場との差額を国庫に納めさせてほしい。

○刑務作業を依頼する際の労賃は国庫帰属される。オークションというが、そもそもオークションをするほど発注がないのが実情だ。(嘘だと思うなら上述の法務省サイト電話をかけてみると良い。歓迎してくれるはずだ。)

○労賃が安いのになぜ人気がないのか。端的に言うと品質が低く、納期が遅い上に柔軟性もないからだ。受刑者は刑期も能力も様々で品質一定ではなく、また必要に応じて採用したり残業したりということもないので非常に硬直した契約となる。したがって永きにわたって刑務所発注をしている企業法務省から表彰されたりする。

そもそも収容者にかかるコストは、研究者にもよるがだいたい一人あたり一年で500-600万円程度だ。(法務省予算のうち、矯正関係予算2400億円を被収容者数で割り戻した数字https://www.moj.go.jp/kaikei/bunsho/kaikei02_00117.html))

ここから更に警察検察裁判所や保護観察所に要するコストを考えれば大赤字しかなりようがなく、受刑者労働力をあてにしたり、国庫経済インパクトを与えるなんてのは不可能だ。(二度と犯罪を犯さないのが一番国庫へのインパクトが大きい)

受刑者報酬最低賃金を余裕で割っていて、出所後の生活被害者への補償に支障をきたすことは意外と知られていない。一般労働者や作業所の賃金はについては議論されるのに。

○このあたり、受刑者へのお金そもそも法的に報酬ではないという法的な立て付けは置いておいたとして、研究者ではもっと手厚くとする人が多いが社会的に受け入れられないだろうとする人もまた多いところだ。

○なんでホタテにはそんなに手厚いの?ホタテ屋ってすでに大儲けしてて別に困窮してるわけでもないだろ。有り余ったゼニで議員を抱き込んでるのか?

○なんでホタテにだけこんな手厚いんでしょうな。

ホタテに手厚いかどうかは知らないが、各刑務所では地場企業に、刑務作業として発注してもらえるものがないか日々営業に回っている。その一つにホタテ工場が入ったとしても手厚いとは言えないのでは。

受刑者にとっても塀の外に出る機会があることはいいことじゃないの?はてブには政府の行うことには何がなんでも反対な人が多いけど受刑者が塀の外=社会に触れる機会が増えることは更生に役立つと思う。賛成だ。

○いや、選挙対策ネタレベルだろう。今ある工場労働力出しても生産能力が爆上がりする訳ではない。来年に向けては生産を控えるしかないだろうし。

○おそらく法務農水両省の狙いはこの両者だろう。法務省側は塀の外での作業を受け入れてくれる事業者をつねづね探している、農水省は今回の件で政府として何らかのアクションを起こさなければならない、程度ではないだろうか。(その政治的意味合いとか宣伝必要性はよく分からんが)

2023-01-17

刑事施設収容されている人の医療費は、すべて国費負担です

車盗んで警官を襲うような末期がんの石橋健太等を、弁護士裁判所で釈放したの、なんでだろ?

大変失礼だが、見方によっては人間狩りの実技訓練のごとき不快

容疑者悪人だったのだろうが、治療を受ける手段も奪われた

2022-10-13

anond:20221013140310

はえー同じ矯正管区の刑事施設に入ることになるのか

ホリエモン長野だったけどあそこ東京矯正管区なのね

2022-07-27

anond:20220727165837

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律平成十七年法律第五十号)第百七十六条規定により、刑事施設の長は、被収容者が死亡した場合には、遺族等に対し、その死亡の原因、日時等を速やかに通知しなければならないとされており、これは、被収容者の「遺体・遺骨」や遺留物(刑事施設に遺留した金品をいう。以下同じ。)等の引渡しの申請等を行う機会を保障する意味を有するものである

さらに、同法第百七十七条第一項の規定により、被収容者が死亡した場合において、その死体の埋葬又は火葬を行う者がないときは、その埋葬又は火葬は、刑事施設の長が行うものとされており、同規則第九十四条第二項の規定により、刑事施設の長が被収容者の死体火葬を行うときは、その焼骨は、刑事施設の長が管理し、又は使用する墓地の墳墓又は納骨堂に埋蔵し、又は収蔵するものとされている。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b196450.htm

2022-02-22

https://anond.hatelabo.jp/20220217125115

黒羽刑務所の中刑務官アスペルガーになるように作って出所させた。それより以前、幼少時から知能指数が高かったという事実はない。

   あった事実としては、東大法学部生だったが、卒業前に増田事故に遭い終わったということ。その後はほとんどゴマカシ。最悪な状態発見されて捕まり

   刑事施設というブラックボックス複数刑務官アスペルガーと完全にダメなようになるように作って外に出した。

2021-11-26

anond:20211126073527

犯罪の容疑で刑事施設勾留されていても、無罪推定原則により選挙立候補をすることができる。

日本では獄中立候補をして当選した人物に以下の例がある。

田中角栄 1949年衆議院議員総選挙炭鉱国管疑獄、選挙中に保釈1951年無罪確定)

ただし、実刑判決が確定して服役中の受刑者公職選挙法11条により被選挙権がないため公職選挙への立候補はできない。

2020-12-08

anond:20201208145544

検索してみたんだけど

軽犯罪法罰則は「刑事施設への拘置1日以上30日未満、罰金1000円以上10000円未満」です。タバコポイ捨てペットボトルポイ捨てに関しては、この軽犯罪法適用され…

2020-02-20

anond:20200220164455

2019-08-19

anond:20190819084452

犯罪者人権を認めず、その人権剥奪すれば、現行法の下での犯罪者に対する人権保障をしなくても済むため、その分の事務手続きが軽減されると考えられる。 また、日本国憲法保障されている裁判を受ける権利もなくなるため、犯罪者起訴する手間が省ける。

しかし、そうであれば現状より厳しい罰を犯罪者に科せられるかと言うとそうではない。

日本においては刑罰権をもつのは国だけである。国は正規裁判による判決に基づかなければ刑罰を科すことができず、個人犯罪者私刑を加えることは禁止されている。ところが犯罪者人権剥奪することで、裁判を受ける権利剥奪してしまうため、犯罪者裁判を受けることができなくなってしまう。裁判を受けさせなければ、国は犯罪者刑罰を科すことができないことになる。

人権剥奪した以上、犯罪者は人ではなく動物、あるいは物である」と考えることもできるが、その場合でも動物や物に裁判を受けさせることはできないため、結果としてやはり刑罰を科すことはできない。

人権のない動物や物であれば、自由私刑を加えていいのではないか」という考え方もある。しかし、人権のない犯罪者を殺したり傷を負わせたりすることは動物や物を傷つける行為に相当するため、実行者が器物損壊罪に問われることになる。また、人権のない犯罪者個人勝手牢屋に移動させて閉じ込めることは動物や物を勝手に持ち去る行為に相当するため、実行者が窃盗罪占有離脱物横領罪に問われることになる。

器物損壊罪窃盗罪占有離脱物横領罪とは、持ち主のいる物を壊した場合や盗んだ場合の罪である。だから、持ち主のいない物である犯罪者破壊しようが何をしようが罪にはならないではないか」という考え方もある。しかし、所有者のいない物については、民法規定により一番先に占有した者が所有者になるとされている。犯罪者占有しているのは、言うまでもなく犯罪者刑事施設収容している国である。つまり犯罪者国有物であり、個人の手が及ぶものではない。

したがって、犯罪者人権剥奪することにより、犯罪者に対して国であれ個人であれ誰一人として合法的に何の刑を科すこともできなくなる。

このため、犯罪者人権はないという理念犯罪者利益のために唱えられた理念であると考えられている。

裁判した後に「お前に人権なーし!」と剥奪するのはダメなんか。

 
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