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2023-10-19

刑務所制度や実情について知らん人が多すぎるので解説するよ

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/mainichi.jp/articles/20231018/k00/00m/010/261000c

ホタテ殻むきなどの加工業務、受刑者の刑務作業に 政府方針 | 毎日新聞

ブコメ批判一色に近い。まぁ分からなくもないのだが、刑事司法制度の中でも裁判が確定した以降の話ってのは認知度が低く誤解によるものと思われる批判も多いので解説してみようと思う。

余談だが、一応法学部には「刑事政策」という科目が置かれ執行猶予保護観察刑事施設のあり方や再犯防止について学ぶことができるものの、大部分の学生刑訴法までしかやらないのでマイナーな分野となっている。これは研究者でも同じで割とアカポスに辿り着きやすい分野でもあり狙い目だ。歓迎する。

体系的に解説するには労力も時間もなく、しかも書いても誰も読まないだろうからブコメ対応していく形で書いていく。

単純労働力不足受刑者で穴埋めすれば良いと学んだ自民党政府は、それなら受刑者を増やせば良いと考えそうなんだよな、軽犯罪者も反自民党も強制労働へw自民党無能な上に元々ソ連的な全体主義目指してるしねw

○元記事にはこうある。

受刑者を加工場派遣して作業させる予定だ。仮釈放の決定など一定要件を満たしている受刑者は、刑務官らの同行なしに刑事施設外の民間事業所通勤して作業従事することができる。」

これは外部通勤作業刑事収容施設法96条)と言われるもので、刑務官の付き添い(監視)なしに刑務所外で受刑者仕事を行うと言うものだ。

受刑者健全社会復帰のためには、刑務所の中だけではなく可能な限り社会に近い環境重要からある制度だが、令和4年度の対象者は全国で4人だけだ。刑務官の付き添いなしに外部に出して良いと判断される受刑者がそこまで多くないのだろう。仮に対象受刑者10倍にしてもブコメにあるような「単純労働力の穴埋め」のタシになんてなりやしない。

○また、対象受刑者がいたとしても、受刑中の人を受け入れてくれる企業だってほとんどない。企業が良いといっても一緒に働く人が嫌がることが多い。

○余談だが、外部通勤作業ではないが、平成30年には塀のない刑務作業実施場所である松山刑務所大井造船作業から脱獄事件が発生している。こういった現場に出る受刑者は相当に選別されているはずだが、それでもこのような事件が起きているのでリスクを嫌う刑務所側が急激に対象受刑者を増やすことはまず考えられない。

不正競争防止法にならんのか??

○「移民低賃金労働助長する」って移民に反対する人がいるがこれそれどころの話じゃないよね。最低賃金社会保険料も無視労働価格破壊だよ。

特定私企業への利益誘導だよな、これ。本来だったら採算が取れない事業延命されるので中長期では生産性が下がりそう。

懲役受刑者強制労働させることは現行法上予定されている。まぁそもそも「懲らしめ」「役務」だしね。(刑法12条2項「所定の作業を行わせる」)

ちなみに令和7年から懲役刑が徐々になくなり拘禁刑という刑罰に替わり、仕事を行わせることは義務的ものではなくなる。(既に刑法改正済み)

○この件に限ったものではなく、法務省では受刑者に行わせる仕事募集を常時行っている(https://www.moj.go.jp/KYOUSEI/KEIMUSAGYO/bosyu)。少なくとも今回の件で特別に何か制度的な変更があるわけではく、価格破壊利益誘導というものではないだろう。

技能実習生の代わりが見つかったぞおおおお!数年後には、農場レタスを収穫したり、ホテルでベッドメイクしてたりしてそう。

○実際に刑務所内でベッドメイク技術を教える訓練がある(https://www.yomiuri.co.jp/topics/20210401-OYT8T50093/)。仮に外部での実習先が見つかったら、社会復帰に繋がるということで法務省も(刑事政策学者マジョリティも)かなり嬉しいのではないかな。

日本監獄ビジネスをやるのか?米国はその反省から万引き程度では捕まらないという無法状態になったんだよな。日本人は弾圧されてもおとなしいかえぐいことになりそう

アメリカ問題になっとるやつじゃないか。こりゃそのうち刑務所民営化とかやり始めるぞ

アメリカ刑務所民営化受刑者を働かせて儲けるという金持ちスキームが大流行しましたわ。中心人物ジョー・バイデン

アメリカみたいになってきた。微罪逮捕受刑者パソナ運営する民営刑務所で働く未来が見える。

刑務所運営には当然税金がつぎ込まれてるので、特殊補助金特殊環境運営してるともいえる。アメリカだと刑務作業産業化してるらしく変な後追いはやめて欲しいのだが。

○既に日本でも、アメリカヨーロッパの取り組みを参考にして半官半民の刑務所がある。出来たのは平成19-20年頃で、日本に4ヵ所ある「社会復帰促進センター」というのがそれだ。

○出来た当初、主に左翼系の学者共産党からは正にこのブコメのような批判があったが、実情をみてみよう。

平成19年頃の刑事施設の収容者数は8万人を越えており、現在は4.5万人を下回っていることから、この指摘は全くの的外れだったといって良いだろう。

○まあシャバと完全に同じ仕事をさせるのは社会復帰のためには実際いいことなんだが、労働市場より安く使おうという魂胆は許せないので事業者間でオークションさせて労働市場との差額を国庫に納めさせてほしい。

○刑務作業を依頼する際の労賃は国庫帰属される。オークションというが、そもそもオークションをするほど発注がないのが実情だ。(嘘だと思うなら上述の法務省サイト電話をかけてみると良い。歓迎してくれるはずだ。)

○労賃が安いのになぜ人気がないのか。端的に言うと品質が低く、納期が遅い上に柔軟性もないからだ。受刑者は刑期も能力も様々で品質一定ではなく、また必要に応じて採用したり残業したりということもないので非常に硬直した契約となる。したがって永きにわたって刑務所発注をしている企業法務省から表彰されたりする。

そもそも収容者にかかるコストは、研究者にもよるがだいたい一人あたり一年で500-600万円程度だ。(法務省予算のうち、矯正関係予算2400億円を被収容者数で割り戻した数字https://www.moj.go.jp/kaikei/bunsho/kaikei02_00117.html))

ここから更に警察検察裁判所や保護観察所に要するコストを考えれば大赤字しかなりようがなく、受刑者労働力をあてにしたり、国庫経済インパクトを与えるなんてのは不可能だ。(二度と犯罪を犯さないのが一番国庫へのインパクトが大きい)

受刑者報酬最低賃金を余裕で割っていて、出所後の生活被害者への補償に支障をきたすことは意外と知られていない。一般労働者や作業所の賃金はについては議論されるのに。

○このあたり、受刑者へのお金そもそも法的に報酬ではないという法的な立て付けは置いておいたとして、研究者ではもっと手厚くとする人が多いが社会的に受け入れられないだろうとする人もまた多いところだ。

○なんでホタテにはそんなに手厚いの?ホタテ屋ってすでに大儲けしてて別に困窮してるわけでもないだろ。有り余ったゼニで議員を抱き込んでるのか?

○なんでホタテにだけこんな手厚いんでしょうな。

ホタテに手厚いかどうかは知らないが、各刑務所では地場企業に、刑務作業として発注してもらえるものがないか日々営業に回っている。その一つにホタテ工場が入ったとしても手厚いとは言えないのでは。

受刑者にとっても塀の外に出る機会があることはいいことじゃないの?はてブには政府の行うことには何がなんでも反対な人が多いけど受刑者が塀の外=社会に触れる機会が増えることは更生に役立つと思う。賛成だ。

○いや、選挙対策ネタレベルだろう。今ある工場労働力出しても生産能力が爆上がりする訳ではない。来年に向けては生産を控えるしかないだろうし。

○おそらく法務農水両省の狙いはこの両者だろう。法務省側は塀の外での作業を受け入れてくれる事業者をつねづね探している、農水省は今回の件で政府として何らかのアクションを起こさなければならない、程度ではないだろうか。(その政治的意味合いとか宣伝必要性はよく分からんが)

2023-01-11

男女共同参画基本計画関係予算の思い出

はじめに

Colabo関係の盛り上がりもあり、男女共同参画関係予算9兆円が多すぎではないかとの指摘があります

これに対し、以下のように反論されています

内閣府男女共同参画局が、この単位独立した予算を計上しているというわけではない。

(略)

拡散している情報について、同局の担当者は、BuzzFeed News取材に「誤解、勘違いされている部分があるかもしれない」と指摘した上で、こう説明した。

「8兆円、9兆円と言われている数字男女共同参画局単体の予算ということではなく、全省庁のいろいろな施策ピックアップして集計しているものになります児童手当や介護など、社会保障のために使われている予算も大きく、防衛予算のようなものとは違う性質です」

https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/about-danjo-yosan

どちらが正しいのでしょうか。

総理府男女共同参画から内閣府男女共同参画局(以下「男女局」)に改組され(確か2000年度かな?)、それから少し立った頃の思い出話を記録しておこうと思います

内閣府との折衝

当時、某中央省庁課長補佐をしていた私に内閣府の男女局からメールが届いた。

曰く、「各省庁にまたがる男女共同参画関係する予算について、当方(男女局側)で取りまとめ、一覧表を作成したので誤り等ないか確認いただきたい。」とのことである

どれどれと思って表を確認したところ、私の担当する○○○費が含まれていた。

私は男女局に「本予算男女共同参画目的としたものではないので表から外していただきたい。」と連絡した。以下やり取りである

男女局「男女共同参画目的としたものではないが、結果的にそれに資すものと考えているので削除はできない。」

現在は「男女共同参画社会形成効果を及ぼす施策事業」と呼称しているようですね。)

当方性別を問わず実施する行政サービスであり、特段男女共同参画に資すとも考えていない。」

男女局「不利な立場に置かれがち・家庭に縛り付けられがちな女性の方が相対的受益する可能性が高いため、男女共同参画資するものである。」

当方「それを言うとほとんど関係の無いものまですべて対象になるではないか妥当とは考えられない。」

男女局「いずれにしても本表の作成責任当局にあり、金額等に誤りの無い場合原案通りとさせていただく(霞が関用語でいう【通告ベース】。)。当然、施策の内容にまで男女局は容喙しない。」

男女局に押しきられた形だが、原局(当方のこと)が反対した理由は、「一旦表に載ってしまうと、今後施策の中で微調整する際に『男女共同参画視点を入れろ!』などと要求される可能性が高い」と感じていたからだ(小役人的なことをいうと、こういったものに取り上げられると単純に業務量が増える可能性が高いです。それが施策の中で役に立つなら歓迎しますが、役に立たないものは嫌ですね。)。

その後の推移

案の定政治家マスコミ活動家等々フェミニズムジェンダー男女共同参画に強い関心のある方々(オブラートからは次のような働きかけがあった。

男女共同参画資する予算と整理されているのだから

・新たな計画策定の際には男女共同参画視点を入れるべきである

・新たな事業実施したり、予算を獲得する際には特に女性視点を重視するべきである

・○○○費は政府によって男女共同参画資すると整理されている以上、これは正当な問題提起である。受け入れられない場合には国会マスコミデモ)で取り上げさせていただく。

内閣府男女局も政府内であり、基本的政府は守ってくれない中でこういった声に抗することは極めて難しい。

本表に取り上げらた他省庁や他部局担当者に聞いたところ、どこも似たり寄ったりで要求を飲まざるを得なくなったところもあるようだった。

まとめ

男女共同参画基本計画関係予算には社会保障関連費用など様々なものが含まれており、9兆円というのは、過大評価であることに間違いありません。

しかし、幅広い予算男女共同参画に関連するとしてを勢力拡大を行ってきたのは他ならぬ男女共同参画に関心のある側ではないかと考えています。(男女局と共謀しているのか、これを奇貨としたのかは分かりません。)

・したがって、それを理由批判されるのもある程度自業自得と言えるのではないでしょうか。

余談

同時期、知人が内閣府男女局でDV対策担当になった際に次のような議論したことを覚えています

私「DV対策根拠法の前文にわざわざ主に女性問題(※1)って書いとるの変(※2)やん。広く一般向けの法律やろ?」

知人「そら議員立法から無茶した(※3)んとちゃう?閣法なら通らんのちゃうかな。法制局通してくれんやろ。」

(※1)

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(いわゆるDV防止法)

前文

(略)

配偶者から暴力被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者暴力を加えることは、個人尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている

(略)

(※2)

女性だけを対象にしている法律ならともかく、男女関係なく対象にしている法律なら書くべきではないのでは、という趣旨です。

例えばサービス受給者女性が多いからと言って介護保険法に「本サービス受給者の多くは女性」とは書かないし、犯罪者・被収容者の多くが男性からといって刑法刑事収容施設法に「被収容者の多くは男性」とは書かないということです。

(※3)

議員立法も閣法も効果はもちろん同じですが、立法技術的に役人の受け止め方は異なります

議員立法議員提出法案

国会議員が各議院法制局の補佐のもとで法案を作り、国会に提出する方式

技術的には、既存法律との整合性比較重要視されず、原則として内閣法制局審査での先例とされない

議員が主導するものもあれば、様々な理由政治的技術的等)で閣法とできなかったものもある

閣法(内閣提出法案

○各省庁で原案を作り、内閣法制局審査閣議決定を経て国会に提出する方式

技術的には厳密に審査されるため内閣法制局審査での先例となる

○各省庁で原案を作るといっても各省庁のみで独自立案することはまずなく、様々な政治家団体等の働きかけによるものが多い

おわりに

まぁ全部妄想なんですけどね

2022-07-27

anond:20220727165837

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律平成十七年法律第五十号)第百七十六条規定により、刑事施設の長は、被収容者が死亡した場合には、遺族等に対し、その死亡の原因、日時等を速やかに通知しなければならないとされており、これは、被収容者の「遺体・遺骨」や遺留物(刑事施設に遺留した金品をいう。以下同じ。)等の引渡しの申請等を行う機会を保障する意味を有するものである

さらに、同法第百七十七条第一項の規定により、被収容者が死亡した場合において、その死体の埋葬又は火葬を行う者がないときは、その埋葬又は火葬は、刑事施設の長が行うものとされており、同規則第九十四条第二項の規定により、刑事施設の長が被収容者の死体火葬を行うときは、その焼骨は、刑事施設の長が管理し、又は使用する墓地の墳墓又は納骨堂に埋蔵し、又は収蔵するものとされている。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b196450.htm

 
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