はてなキーワード: パクノダとは
渋谷事変までは結構面白く読んでたんだけど、死滅回游以降がいまいち乗り切れない
……んだけど、別に面白くないわけじゃなくて続きは気になってしまって、
読むのやめるか、とはならない、っていう自分でも不思議な状態に陥っている。
全般的に作り込みが甘いマンガだよな、とはずっと思ってるんだよ。
単行本のおまけページでも、無下限呪術について数学的に間違ってますね!!って設定を専門家からツッコまれる、っていう芸風あったけどさ。
それ以外のとこでも、黒閃は通常時のダメージの2.5乗になる、っていうのも「そうはならんやろ」ってよく言われてるし、
レジィ・スターの術式が「契約の再現」と言いつつ、レシートから再現をするならアレ、発動に大金が必要になるよね??みたいな視点がなかったりとか。
設定をわりと都合良い感じで作るよな、と思う。いやフィクションだから別にいいでしょ、とも思うけど、ちょいちょい引っかかってしまう。
それ以上に引っかかるのがキャラクターの「使い捨て方」の部分であり。。
もうこのマンガはキャラクターが王道的にはありえない感じでバンバン死んだり再起不能になります、っていう作風なのはわかってはいるんだけどさ。
それにしても東堂が術式封じられたぐらいで、虎杖の度重なるピンチにまったく駆けつけないのはありえんくない??とか、
一族皆殺しにした真希さんに対して誰も何も言わんが、そこは少なくとも乙骨は何かしら言うよな、とか。省いてるだけかもしんないけど。後で回想入るかもだけども。
このキャラの今までの描き方なら、ここはこうするよね、というわりと当然の描写でもサクッと省かれてる感覚が強いのよね。
解釈違いとかじゃなくて、回游以降については早送りかダイジェストで見せられている感覚というか。
物語というのは感情や対人関係の変化の積み重ねだと思うんだけど、それが薄くなってただただバトルロイヤルだけになっちゃった感じがする。
虎杖が真人に対する恨み辛みを重ねて重ねて、自分の価値を考えて考えて、という積み重ねを大事にしてたあの頃の感じが最近はない。
なんだけど、面白いんだよね。
ここからハッピーエンドに向かうのかなぁ、それとも最悪な終わり方するのかなぁ、とか気になって読み続けちゃう。
悔しいよなぁとか思いながら。
思ったより反響あってびっくりした。みんな呪術好きで嬉しいよ。俺も好き。どんなマンガでも「好きだけどここは嫌い」ってのがあるけど、「嫌い」な部分がこんなに多いのに読んでるマンガが自分としては珍しいのよ。
設定の拙さとか粗も気になるけど、それ以上に引っかかってるのはドラマが薄くなったとこなんよ。設定はもう、言っちゃえば作者がそうだって言えばそうじゃん。だから気になっても飲み込むしかないかと思ってるんだけど。本来挟まるはずのドラマが挟まってないとか、心理描写すっ飛ばしすぎてるのは勿体ないなって思っちゃうんだよね。そのへんが全然描けない人じゃないし。
> 富樫の影響っぽい頭脳バトルだけは全く才能ないからやめたほうがいいよな。
> 死滅回游のルール作りとかは確実にH×Hの影響だろうけど作者もポイント計算ミスとかしてたから、あんましよくなかったとは思う。
そうなんだよね。回游は完全に冨樫の影響だけどうまくいかなかったパターンだと思う。あの複雑なルールが、話を面白くする方向へいまいち作用していない。やりたいからやってみたけどダメで風呂敷もいまいち畳めなかった、っていう感じがすごいする。複雑でよくわからん、って敬遠させる読者を増やしただけになっちゃった気がする。
> 呪術廻戦のキャラの使い捨て感は、ここ20年位で培われたキャラ重視の漫画作りへのアンチテーゼと思う。
これについては作者の人、そこまで考えてないと思うよ、みたいな気はしなくもない。単に話題先行の話作りしているだけでは、って思ってる。
> キン肉マン
ごめんな、キン肉マンは世代じゃなくてな。キン肉マンってこういう感じなん? 無茶苦茶ガバガバ理論な設定っぽさは感じるけど。
> 後期ドラゴボや新世界編のワンピも同じようなこと言われている
ドラゴボはわからなくもないが、ワンピが「同じよう」というのがわからん。ワンピは好きよ。あれは逆にドラマの引き算が下手だなって思うぐらいに色んなキャラを描きすぎなほど描くじゃん。それがここに来て爆発的な相乗効果を生んでいるのが最終章の面白さだと思う。設定の粗さとか意味不明さって点ではそうね、って感じだけど、あのマンガは結構後付けで粗い設定の背景を描いてくるとこあるんだよな……。サンジの足が燃えるのとか意味ありげじゃん。
> BLEACHの連載後期
わかる。あれ? あのキャラそういやどこいった?な感じ。
> エンタメに正しさや整合性求めるより、楽しんだ方が良いよ。エンタメは所詮暇つぶしと集金装置なんで、全力で楽しめば全力で応えてくれる。
上で書いた通り、正しさのほうはまぁ妥協できるのよ。本来楽しむための下地であるはずの、ドラマのほうに穴があるのがすごく気にかかっちゃう感じ。
> 分かるっちゃ分かるんだけど、何度も読み返していくうちに前は気付いてなかった深い拘りみたいなもんを見つけたりするから侮れない漫画だと思ってる。
それな。俺も小沢のくだりとか結構好きだし。でも「南へ」はいろいろ蔑ろにしている気がしてダメだった。徹頭徹尾つくりこみとか脚本とかが下手、とは思ってないんよ。だから読んじゃうんだけど。
> 細かい心理描写とか設定の作り込みがガバガバなんだけど、冨樫や久保師匠や岸影様といったジャンプのレジェンドを吸収した上での「演出力」がズバ抜けておるので、それだけで面白いと思わされてしまうのはあるよな。
ああああああ、これこれこれ。最高の言語化能力。これ。完全にこれ。これが言いたかったです。初期はそうでもなかったけど、渋谷以降の絵面から伝わってくる外連味とかすごいじゃん。秤vs鹿紫雲とか大好きなんだけど、別にストーリーの主軸にはあんまり関係ないところなんだよな。カタルシスをうまいことズラされて、話全体としては最悪な方向にぐんぐん進む感じがある。
> 読者の反応を見て裏切りに行くスタイルだけが受け入れ難いそれで面白い芽を潰してそうなのが。
それあると思う。むっちゃ反応見てるな、ってのは単行本おまけページとか「漫道コバヤシ」とか見てて思う。本編の外で語りすぎてるし、話を動かしすぎてる。
だから最近は逆に展開読めるようになっちゃったんだよね。それも「好きじゃない」って気持ちに拍車掛けてる。
やさしい。ありがとう。他にもマンガいろいろ読んでるから大丈夫よ。今月はpanpanya先生の新刊が出るから超楽しみ。
> panpanya先生の新刊出るんだ!教えてくれてありがとう増田
> 風呂敷を畳む気のないH×Hより雑でも畳みはしそうな呪術のがマシだと思ってたけど雑すぎて評価が逆転した。作品としては見限ったけど多分最後まで読むし続きは気になる。期待値が低い分惰性で楽しめるのは良いと思う
同じ気持ち。小さなポイントとして面白い瞬間というのはあるのだが、話の大筋としてはもうあんまり面白くなることを期待できない感はしている。H×Hは選挙編で一度風呂敷を畳んでおり、その後は続編かスピンオフをやっている、ぐらいの気持ちで読んでる。
> 使い捨てなんじゃなくて死ぬキャラも丁寧に背景作ってるだけじゃない?
えーと、モブじゃないメインのキャラが死んでいってるから使い捨てられているように感じるのでは、ってこと?
死ぬキャラの背景が丁寧かなぁ、っていうと、ほぼ退場状態になってる棘、東堂、京都組あたりは全然丁寧に背景描かれてないよなぁ、っていう気しかしない。退場劇が丁寧だったのって『葦を啣む』とナナミンぐらいじゃない? キャラがバンバン死ぬといえばH×Hもそうだけど、あっちはカイトやパクノダあたりの重要なキャラの死はむちゃくちゃ引きずってストーリーラインにガッツリ影響するんだよね。ああいうのが「丁寧」って言うのかなぁ、と思う。
俺たぶん、東堂の退場が一番納得してないっぽい。あんな良いキャラで、虎杖をあそこまで導いてくれたのに、第2のブラザー出てきたら入れ替わるようにするっと消えるってなによそれ??っていう。このまま東堂出てこずに終わったら、他がいくら良いストーリーになったとしても虎杖を許せなくなるし、呪術を高く評価できなくなりそう。
> 自分は逆に好きになりたいのに全然面白いと思えない。ストーリーにも設定にもキャラにも乗れない。流行ってる作品を楽しめないのってそれはそれで疎外感があるので面白いなら素直に楽しめばいいと思う
なるほど。そういう人もいるのですね。その点は確かに自分は恵まれているし、楽しんでいるのは楽しんでいるよ。ありがとう。
> 作り込みのガバガバさが気になるとのことなので、ワートリ読みましょう!(ワ民のささやき)
ワートリは5巻まで読んでハマれなかったんですよね……。こういうのは本当に人それぞれ。
> 好き=面白い と言う単純なものではないとは思う。もし単純なものだったら不快極まりないホラーとかスプラッターなんてジャンルが生まれるわけないし、面白いと言う感情は意外と複雑かと
そうね、その通りだと思う。なんかわからんがページめくる手は止まらんのだよなぁ?!みたいなね。ある。
> HUNTER×HUNTERの禁断症状が緩和されるとかそういうやつではなく?
ジェネリックH×Hとしては役不足(誤用)かなぁ、と。他の人も書いているように、頭脳バトルっぽい要素出してきたけど、結局ちゃんと頭脳バトルっぽい展開になったことほぼないし。そこに魅力感じて読んではないかな。
> 呪術廻戦作者の非凡さは、虎杖の元同級生女子が綺麗になって告白しようとして「でも私は私が嫌いな人達と同じ尺度で生きている」みたいな人間ドラマ描ける才能なのだと思う。話が佳境に入ってる今はそれが大雑把に…
ねー。小沢のところいいよね。あれ描けるのに、なんでこんな雑な展開やってんのって思うよね。渋谷まではわりと最初から練ってあったけど、その後はあんまり考えてなかったのかなぁ、って感じがしちゃう。
> ヒント:他に読むものがない
だから他にもいろいろ読んでるって書いてるだろーが。なんならここ数週間のWJだと『鵺』のほうが楽しんでるぐらいだけど、それでも読んじゃう魅力はあるんだよ。
これで最後にしよう。いっぱい反応もらえて嬉しかったし、みんなモヤモヤしながらも呪術めっちゃ楽しんでんな!ってのがわかってよかったよ。ありがとう、ありがとう。
追記する前から、呪術好きですって顔に書いてあったと思うけど。
> あと全体的にキャラクター死にすぎで緊張感がないのも。。。ただ昔のジャンプ好きな人ならかなり刺さるとは思う
キン肉マンの話題も出てたけど、昔のジャンプってどんなだったんだ。もっと大味だったんだろうか。高校生のときにデスノ食らったりしてるから、緻密な設定と整合性みたいなのに慣れてるかも。
> シュワーバーみたいな漫画だよね。秤先輩の領域展開は独特過ぎて投げそうになったがw
シュワーバーという例えは秀逸すぎるw 安定感がない感じ。秤のアレはもうツッコミどころとしてやってんだろうな、とは思いつつ。
> 漫画のことはよく分からないんだけど、ブコメを丁寧に拾って好意的に追記してる増田の優しさが良いな
逆にブクマカがめっちゃ優しく共感してくれるから、こっちも嬉しくて返したくなっちゃった。
> ワートリはだめとのことだがキャラ間ドラマが濃密でなかなか宇宙いかないのが焦らされる(大ファン)。て5巻かーい。 人間ドラマも本筋の進め方も丁寧な暗殺教室みたいな話はどうでしょう?
いやいや5巻でハマらなかったら切りますよ普通??? 連載1年分よ……? でもそうなのか、ワートリはまだあそこから面白くなるのか。確かに巻を重ねるほどに面白くなるタイプよね、とは思うけど。暗殺教室は好きだったよ。ただ、自分は松井先生のキャラにあんまりハマれないなぁ、というのは若君読んでても思ってる。他誌だけど荒川弘先生とかも好き。ケレン味や絵の上手さに設定や世界観の緻密さ、人間ドラマまで合わさったとんでもない方よね。
……これは風呂入ってたら思い出したので、ひそかに書いている追記4なんだけど、人間ドラマも長編脚本の進め方も設定の練り込みもできるって点だと稲垣先生だわ。Dr.STONE、伏線や理屈をきっちり積み上げて作られているけれど、それだけだと日が暮れちゃうところを「この人はチートなのでなんとかなります」で良い具合に要らないシーンを省いていくよなーって思ってた。チートだけだとなんでもありになっちゃいそうなところ、ウィークポイントも作ってあって、最終的には知略と努力と運で切り抜けていく、っていう感じでカタルシス生むのめっちゃ上手い。アイシーもそんな感じだったし。
> 計算してかいている作家ではないと思うので、小沢の下りも「そういう引き出しも持っている」だけでいつでもそれを出せる訳ではないと思う。
まぁ確かにそうかも。そういう引き出しを上手く操れるようにしてやるのが編集の腕の見せ所ってやつなのかな。いや、編集さんを責める気はないが。今の方向性への振り方はあれはあれで成功なんだろうし。
> 最初は面白かったが、この能力の組み合わせでどうやって勝たせるつもりだと思いながら読んだら、強い奴や相性がいい奴が乱入して勝つを繰り返して能力バトルを背伸びしてやるなとなった。
能力バトルと見せつつ単純な殴り合いで、強いほうが勝つ(それはそう)みたいなところはすごいある。なので、本誌でちょっと前までやってた、あのバトルの結末にはしらけちゃった。現在進行形でやってるバトル、ああいうのが見たいんだよなー。
> 東堂はまた出てくると思うけどなあ
1個前の能力バトル議論にもかかるけど、東堂みたいのがバトルの掻き回しとしては良い具合の能力だったと思うんだよなぁ。退場ほんともったいない。出てくると嬉しい。
> ただ真球は接地面積がないから無限の重力とか言ったのは、それ冨樫じゃなくて車田正美だぞと突っ込んであげる編集いなかったのかよ
真球の件も「何言ってんだ??」って感じだったけど、元ネタあったんですね。
> 単純に好きだった漫画が最期どう畳むんだろうってだけでは?
んー、だったら連載追わないかな、と思う。自分にとってはONE PIECEがそのパターンで、第2部はほとんど追ってなかったけど、最終章入ってから畳み方気になって復帰したんだよね。畳み方のためにずっと追いかけるほど優しくはないです。
> 最近の作品設定作り込みすぎなんよ.思いつきで帳尻合わせてるけど面白いというのは一つの漫画の才能.
これはこれでわかる、し、芥見が今呪術をヒットさせられてるのは確かに才能だと思う。BLEACHもわりとこっち系統じゃない? 設定は小難しいこと言うけど、話の筋とバトルの展開はめちゃくちゃ単純で、でもなんかカッコいいしオシャレ、っていう。芥見が久保フォロワーだってのはすごいわかる。冨樫フォロワーというよりは、そっちかなって思う。
> ワートリ薦めるのはちょっと違うというかあっちのが危ない気がしてるけど5巻で止めたのはもったいないなー!呪術で5巻なら野球やってた頃でそれこそよく乗り越えたな!?
ワートリ5巻はもったいない、2票目いただきました。じゃあ読みますね! ありがとう。ありがとう。
呪術は俺、アニメから入ったんだよね。その頃ジャンプ買ってなくて。だからMAPPA効果で面白さ底上げしてもらってたとこあったと思う。そんで続き気になって原作買ったら渋谷でズブッてハマった感じだった。んで、え〜〜このあと、あの人とかあの人とかどうなるの〜〜???と気になって本誌買い始めたら、あの人もあの人も出てこないまま今に至っちゃってる。
> 死滅回游あたりから怪しくなってきて話全然進まねぇ~ってなった人は結構いそう。主人公そっちのけで半年ぐらいバトルしてたのがトドメになったよね。
話全然進まね〜〜〜と思ってたし、あんまりゲームっぽくならずに殴りあってるだけやんけ〜〜〜〜ってめっちゃ思ってたけど、主人公そっちのけバトルはごめん、わりと楽しんでたわ。『呪術廻戦』になってから初めての乙骨のバトルとか、秤の領域展開連発で死ぬギリギリのところをゴリゴリ潜っていく感じはあっちいなとか思ってた。
> それ面白いから気になってるんじゃなくて 気になるように描かれてるから気になってるだけやで 上手い引きってのは続きを想像しやすいように問題を投げかけてるやで
これはその通りだと思う。引きがうまい。めっちゃうまい。やめられないとまらないみたいな。
> 真希のやった事について誰かから言及(批判的なもの含めて)あると思ってたらそれが全くなさそうなのは一番残念かも
そう、あれスルーしちゃいけないと思うのよ。実質的に呪詛師になっているわけで、あの後出奔してソロで暴れていくのかなと思ったらふつーに体制側みたいな顔して戻ってきてて「?????」ってなったのよね。あれはちゃんと落とし前つけてほしい、何かしら。加茂家も乗っ取られてるし、日本がぐちゃぐちゃになったからもういっか、じゃないと思うのよ。
ブコメにもこれあったけど、それはそうかもね。エンタメって言葉を「雑でも面白ければOK」って意味に使いたくはないけど、まぁエンタメってそういうもんよね、とは思う。ライブ感? グルーヴ? 疾走感? とかそういう。
といっても、私は元から友達いないほうだし、なくした友達というのも「ママ友」よりも薄い繋がりだったから、メンタル傷ついたとかはないけど。
大学生の頃、バイトしてたスナックのバイト仲間に「たった一晩だけ」という約束で、スーパーコンパニオンのバイトの穴埋めをしてくれと頼まれた。私はよく知らないんだけど、仲間がいうには、スパコンのバイトは四人チームでやることになっていて、一人でも欠けると連帯責任で罰金一万円払わされるとかなんとか。それで、仲間のチームが一人、インフルで休んでしまったので、仲間は一万円払うのが嫌で私に泣きついてという訳。
それで、私はまあしょうがないか、一日だけだしと思ってOKした。一日ったって、たったの二時間。そして、時給は五千円。基本的に延長はないということだった。そこまで客に気に入られることってないらしくて。延長になったら多くの場合は、お客さん達と一緒にお風呂に入るらしかった。けど、お風呂に入ってもお客さんは女の子に触っちゃいけないことになってるから平気だという。
……まぁ、そんなの建前だよね。
後でスナックのお客さんから聞いた話では、スパコンはただのコンパニオンではないから、人前でセックスさせられるのは当たり前だし、それだけならまだマシで、ウンコ食わされても文句言えない奴だぞ、という話。
で、私が穴埋めに入った日は、稀にみるみる大当たり客にあたった、と、チームのお姉さん達が大喜びしていた。客はどこかの草ソフトボール部のおじさん達だった。
私達スパコンは、ただのコンパニオンみたいに配膳を手伝ったりお酌をしたり空いた食器を下げたりした。そして、宴もたけなわになって来ると、お酒やご馳走のお相伴にあずかった。
で、お客さん達は私達を気に入ってくれて、二時間延長してお客さんの部屋で宅飲みみたいなことをしようということになった。
本当に、ただ普通に宅飲みをする、という奇跡が起きた。普通はそれ、当たり前にセックスするコースだってさ……。なのに、奇跡が起きたんですよ。
「久しぶりに青春にかえれた」
お客さん達は爽やかにそう言った。
一人、私と二人きりになりたがっていたお客さんがいたけど、他の皆が中学高校生みたいにワーイワーイしている時に抜け駆けする気にはなれなかったようだ。
そんな感じで、バイト嬢、一人二万円。四人で合計八万円貰った訳なので、たぶん派遣元には同額以上の金が入っているだろうから(これは完全に私の想像)、お客さん達は、特に何もしないのに16万~20万も払ったってことだ。割勘で一万円ちょっと。たぶん、一番攻めた人でもお尻触ったり腰を抱いたりしかしていない。後は思いがけずに青春したくらいで。
ベテランのお姉さん達は帰りの車の中で泣いて喜んだくらい、例外的な出来事だった。
私は本当にそれだけしかスパコンをやらなかった。しかし仲間はそれ以降も続けた。どうやら仲間は運が良かったみたいで、私が穴埋めに入った日以前に三日働いたことがあったらしいのだけど、一度も客とセックスしなきゃいけない局面に当たったことが無かったらしい。で、四度目で大当たり客を引いたせいで味をしめたというか、自分を「ただのコンパニオン」だと思い込んでしまったらしかった。
いつものスナックのバイトで、仲間は他のバイトの皆にあの日のことを話して、「素人の増田さんでも出来たんだから大丈夫だよ」と言って勧誘した。インフルで休んだあの子がそのままスパコンを辞めてしまったからだ。いわゆるバックレとか、飛ぶってやつで。
「私はもうやらない」
って、私はその場で宣言した。なぜかというと、スパコンの先輩のお姉さん方が泣いて喜ぶほどにあの客は例外だったからで、普段のスパコンは客とお風呂に入るし、部屋に呼ばれればセックスしなければならないのが普通だということだったから。
けどそのときはまだ客からウンコ食わされることがあるとは知らなかったので、仲間が勧誘するのを強く反対はしなかった。
そしたら、そこにいた一人の、私の同期の友達が、そんな美味しい仕事ならやってみたいと言い出した。一緒に増田もやろうって言うから、嫌だの一点張りで通した。
それからしばらくして、友達はスナックのバイトに来なくなった。知らないうちに辞めていたのだ。そして、大学の同期達から私は変な目でみられるようになり、話し掛けても避けられるようになった。
仲間はスナックを辞めなかったが、スパコンは私と働いた次のシフトで即辞めたという。何でか聞いたけど、お願いだから思い出させないでくれと、首を振るばかりだった。
その件で私は同期達の全員ではないが一部からハブられてしまった。ハブる人達は口を聞いてくれないからわからなかったけど、たぶん、「大勢の客のセックスの相手をたった四人でしても平気な奴」と思われたのだと思う。
【追記】
何故、友達が勧誘されてノリノリになっているのを、私は止めなかったのかについて。
その時は自分がしたスーパーコンパニオンのバイトの危うさを、あまり深刻に感じていなかったから。
あのインフルで当日欠勤した人の代打をした時は、本当に無知だった。スーパーコンパニオンのことはさっぱり知らなかったし、コンパニオンのこともうっすらボンヤリとしか知らなかった。
それから、スナックでいつも通りバイトしてる時に、この間臨時のバイトでコンパニオンやってきたー、と、常連のお客さん達に話したことで、コンパニオンというのものを少し知ったのだけど、お客さん達の説明が、ただのコンパニオンとスーパーコンパニオンを混同している感じだったので、私の理解もまだらだった。その時得たコンパニオンという職業の知識は、
そんな感じ。本当は、ただのコンパニオンの仕事が上二つで、スーパーコンパニオンは全部やる、という区別があるっぽい。
私のした「コンパニオン」がただのコンパニオンではなく「スーパーコンパニオン」だったと発覚したのはもっとずっと後のことで、性風俗に詳しい男の人との雑談で、コンパニオンをしたときの話をしたら、「それがスーパーコンパニオンだよぉ!」と言われた。決め手はコンパニオンの仕事をするときに支給された制服だった。ショーツとブラジャーだけ着た上に、直接、ピンク色のペラペラのスーツみたいな制服を着た。HUNTER×HUNTERのパクノダが着てるスーツをピンク色にした感じ。フツーのコンパニオンはそんな無防備な格好はさせられない、ということだった。
ともあれ、同期の友達(実は数人の子が一度に勧誘されて、彼女らが更に友達を誘って派遣に登録していた)が勧誘されてた時には、私はコンパニオンってガチで勤めるとなんか大変そう……一緒に働いたお姉さん達も、普段はもっとハードだし嫌な仕事だよって言ってたし……くらいの認識しかなかった。
うっすらボンヤリ、危ない予感がしたので、友達から「どんな仕事?楽なんでしょ?」と聞かれても、「少なくとも私には向いていないと思ったし、私は二度とやりたくない」としか言わず、あの夜の仕事が実はなんか楽しかったということは一切口外していない。「嫌だ」の一点張りで通した。
あんな仕事やったら駄目だとは言えなかった。何故なら、私自身は全く危ない目に遭っていなかったので、具体的に何がどう危ないと言えなかった。
それに、一緒に働いた二人のお姉さん達は、それ一本で生活している人達で、嫌な仕事と愚痴りつつも、それなりプロ意識を持って働いているという人達だったので、「あんな仕事」なんて馬鹿にしたようなことは言いたくないと思った。私なんかたった四時間、他人の代打で働いただけだしね。
私はただの代打だったから、源氏名をつけられて制服を着せられはしたものの、私の顔も素性も派遣会社は知らないままだった。チームの管理はチームのメンバーが自力でやっていたことなので。
もし本当に派遣会社に登録していたら、何があっても中々辞められないと思うだろうし、怖いだろうなあ。しっかり素性をおさえられているのだから。常日頃から、一人でも欠けたら罰金一万円だからな!と脅されていたわけだし。
友達は臨時ではなくガチで登録してしまったので大変だったと思う。
私はただ臨時で働いて、特にヤバいことは何もしていないが、同期達から「キッッッモ!」と後ろ指を差されたくらいだ。友達、同期といっても所詮大学の中での狭くて薄い繋がりだから、切られたところでどってことはない。
しっかし、何がなんでも止めるべきだったのかなぁ。止めるべきだったんだろうね。ただ、何人もでやりたいやりたい騒いでるところで私一人が反対しても無力だったんじゃないかなあって思うけど。
ともあれ、「楽して稼げる美味しい仕事」が我も我もって感じで狭い仲間内で流行ったんだけど、結局何人かが痛い目見たら責任の擦り合いになって、私は擦り付けられた方だった訳。私は当時自分のいたコミュニティに全く未練がなかったからいいけど、コミュニティにすごく思い入れがあったなら、きっとこれって辛い出来事だったよね?
私から「パパ活をしてる友達が羨ましい女子大生」に言いたいのはそれ。パパ活そのもので自分は痛い目見ないかもしれないけど、友達の誰かが痛い目見れば、結局、友達同士の関係が壊れて泣くことになる、ということ。