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2024-11-12

オレンジ色はなぜ橙(だいだい)色なのか、なぜ蜜柑色ではないのか、みたいな話の調べものメモを書きましょうね。

1862年文久2年)に堀達之助が編集した辞書であり、日本における最初英和辞書といわれている『英和対訳袖珍辞書』で「Orange」をひいてみる。

Orange, s. 橙柑橘ノ類

Orange, adj. 橙ノ

Orange-peel, s. 橙ノ皮

Orangery, s. 橙ヲ育テル園

Orange-tree, s. 橙樹

Orange-woman, s. 橙ヲ賣ル女

オレンジ以外の柑橘系の見出し語で見つけたものは以下となる。

Citrine, adj. 佛手柑又橙色

Citron, s. 佛手柑ノ類

Lemon, s. 橙ノ類

Lime, s. 黐石灰

Slacked lime. 消サレタル石灰.柑ノ類.菩提樹石灰ニテ肥シタル

Lime-tree, s.菩提樹.柑樹ノ類

Pomeron, s. 香リ良キ橙ノ類

Shaddock, s. 橙ノ類

なお余談だが、

Bergamot, s. 梨子一種

という見出し語もあったが誤訳だろうか?ベルガモットは梨ではなく柑橘という認識だけれど……。wikipediaによるとBergamotの語源は「トルコ語で「梨の王」を意味するBeg armudiが語源とする説が有る」らしいからそれが原因かもしれない。

さて、これを見ると「橙」と「柑」がはっきり区別して書かれているように感じる。

時代は後になるが1900年に書かれた『果樹蔬菜』には著者の私見ではあるが当時の柑橘類の分類が書かれていて興味深い。

皮が分厚く酸っぱい橙と、皮を手で向けて甘い柑は区別されていたのだろう。

オレンジ色に注目していく。この辞書ではOrangeではなくCitrineが「橙色の」と訳されている。

現代人の感覚だとCitrineはほとんど黄色に感じる。江戸末期~明治の人々の感覚でも同じだったのだろうか?

少なくとも『英和対訳袖珍辞書』が書かれた1862年前後では、ほとんど黄のような色も橙色表現していたかもしれない。

一つ目の根拠がCitrineのもう一つの意味、佛手柑(ブッシュカン)の色が黄色~濃い黄色ということ。

二つ目根拠1860年に書かれた『Familiar method for those who begin to learn the English language』という資料だ。

これは英蘭対訳のための参考書で、OrangeGreenyellowなどの他の色と並べられて書かれている。

この参考書単語の部を抜粋して対応する和訳を付記したのが1870年に書かれた『英吉利単語篇』になるのだが、そこでorangeという項は「orange」と「orange-yellow」という二つの項に分けて書かれている。

単なるorangepeachなどと並べて書かれ、色名の側にはorange-yellowが列挙されている。

このことから、当時のorange colour橙色はかなり黄色味が強かった可能性がある。

では、橙色が#f39800のようないわゆるオレンジ色になったのはいなのだろうか?

いったんここまで。

メモ

しかし「orange-yellow」の訳を橙色として、ふりがなに「カバイロ」(樺色、だいたい#C5591Aみたいな色)と書いてある資料1887年通俗英吉利単語篇』)もある。前述の論の反証だよね。

明治とかの輸入オレンジしわしわになっていて、皮の色はほとんど赤茶色だったらしいという未確認情報もある。これも反証になる。

橙色概念が生まれ最初期は黄色っぽくて、概念が普及するにつれて茶色みが強まったんじゃない?知らんけど。

・↑ありえなくはない。学術文脈以外で細かな色名が必要になるシーンは着物の色と絵画の色くらいしかない。当時の着物茶色灰色ばっかりだし

・↑これを裏付け調査がまだ出来ていないんだよな~

明治時代理科教育で分光を取り扱う際にorange橙色と訳したのが定着したようだ。

・↑「橙色が#f39800のようないわゆるオレンジ色になったのはいなのだろうか?」のアンサーはほぼこれでしょ、推測でしかないけど

明治後期には小学校の図工の時間カラーサークル概念を学んでいたらしい。その際に教科書には「だいだいいろ」と書かれている。

明治初期に数年だけ色彩教育を行っていたらしいのだが、そこではカラーサークルの赤と黄色の間の色は「柑色」「樺色」と記載された教科書もある(1875年『色図解 : 改正掛図』) 柑色には「だいだいいろ」とルビがあるようにもみえる 崩し字よめない……調べる事

英和辞書見出し語のorange橙色と訳されるが、和英辞書見出し語に橙色が登場するのはかなり後の時代

・「樺茶色」「鳶色」「柿色」「柑子色」「蜜柑色」「山吹色」「銅色」「飴色」「海老色」「渋色」などの見出し語はあるのだが…… 現代感覚だと茶色味が強いものが多い

・染色業界では「orange」を「樺色」と訳しているところもあったようだ(1895『染料乃栞』)(cf. 四十八茶百鼠)

大正4年(1915)と大正13年(1924)にオレンジ色流行色となった。おそらく化学染料の発展が影響 樺色、樺茶色はおそらくこれが決定打となり使用されなくなる

・冒頭に書いた「オレンジ色はなぜ橙(だいだい)色なのか、なぜ蜜柑色ではないのか」について言及してなくない?

・↑「オレンジ色はなぜ橙(だいだい)色なのか、なぜ蜜柑色ではないのか」のアンサーは江戸末期~明治の人はちゃん「橙」と「柑(みかん)」を区別していて、orange……いわゆるsweet orangeは皮が分厚く手で向けないから柑でなく橙の訳語をあてたからでファイナルアンサーじゃない?

・↑日本における果物類、柑橘類の歴史ちゃんと調べていないから、一応それを見てからじゃないとファイナルアンサーしたくない

・↑「オレンジ色はなぜ古い時代から存在する柑子色という訳語があてられなかったのか」のほうが問としてはいいかもしれん

児童向けクレヨンとかだと「オレンジ」でなく「だいだい」と表記されている率が高い

図書館に行って『日本の色彩百科 明治大正昭和平成』と『色の名前はどこからたか―その意味文化』を読むこと。

・この調べものは「現代においてだいだい色は外来語由来のオレンジ色と呼ぶことの方が多いのは何故?歴史をつぶさに追っていくぞ」の一環なのでまだ先は長い

・未調査:お坊さんの袈裟の色、あれは鮮やかなオレンジ色イメージがあるが色名、和名はついていたんだったか

・未調査サフランイエローインド国旗オレンジ色)は江戸末期~明治ごろの日本にないのかしら

・未調査:当時のにんじんかぼちゃの色をなんと表現していたか京野菜にんじん赤色かぼちゃ黄色な気がするけれど)

Twitterとかでイラストを描く人はWIPと称して描きかけイラストアップロードするが、調べもの日記においてもWIPと称して書きかけ日記アップロードしてよい。自由だ。

ライムが柑扱いされているのが腑に落ちなくなってきた、ライムって手で皮をむけないし酸っぱいよな……

実のサイズで呼び分けていた?うーん、当時の橙柑橘の呼び分けがどのようになっていたかを調べないといけない

「橙 柑 区别」でgoogle検索すると中国語圏サイトが沢山引っ掛かる 何かヒントがありそうな気配を感じる

『近現代英和対訳辞書における訳語変遷に関する研究─ ‘Giraffe訳語問題を中心に ─』という論文を見つけた

これを参考にして英和辞書をひたすら調べるのも面白そうだ

狭義のorangeスイートオレンジアマダイダイ(←未調査:この和名はいつ出来たんだ?)を指す

広義のorangeは橙柑橘類を指す(citrusよりも狭い範囲←この認識は正確?ちょっと怪しい)

その一方で日本語で「オレンジ」というと狭義のスイートオレンジ(甘橙)のみを指すことが多い

色名のorange訳語で「橙の色」となるか「橙柑橘類の色」「(橙以外の例えば)蜜柑色、柑子色」となるかどっちに転んでもよさそうな時期が江戸末期~明治期にあったような気配を感じている

その歴史の流れを追うのが楽しい

2024-10-28

わたべ問題

わたなべ問題というものがあるらしいが、わたべ問題についても知ってほしい。

わたべさんは知らない人からはまず間違いなくわたなべさんと呼ばれることになる。自分はわたべとして生まれて久しいが、それこそ小学校入学式病院の受付から会社まで、必ず最初はわたなべと間違えられた。授業を数年受けた現代文先生にも間違えられたこともある。ふりがなが振ってあっても関係なしだ。

さらにこの問題グローバルだ。一度、アメリカで会った中国人にわたなべさんと呼ばれたことがある。ドイツに行ったときホテルでもわたなべさんと呼ばれた。世界的に見れば渡邊雄太渡辺謙など、わたなべという苗字は圧倒的に有名だ。Watabeと書いてあったとしても、それこそ単なるスペルミスだと思われているのだろう。

このようにわたべ問題の闇は深い。渡部建渡部篤郎につぐスーパースターが現れて、わたなべ姓を圧倒してくれないものかと日々願っている。

2024-09-17

戸籍ふりがな問題

なんかしれっと通ってるけど

夫婦別姓の方が優先順位高いと思うんやが、戸籍ふりがなふるんか?

「はて?」ってならへんのか?

頑張ってかっこかわいいキラキラネーム考えたのに。

名前自由でいいとは思わないがなぜふりがなふって規制する必要があるのかわからん

まだ、宗教系疑ってるわ。

うちのばーちゃんは二三四て書いてふみよだよ。

キラキラネームダメならおれはこの名前あかんと思うぞ。

結局、キラキラネームかどうかなんて個人の感想しか無いんだから誰かの感想簡単法律えんなよ。

だったら、マイナンバーでいつでも名前変えられるようにしろ

2024-05-01

anond:20240501142024

ブッサイクな20代中年初老顔写真AIで作るかどっかから拾ってくる

その下にそれぞれ「増田ことり容疑者24)(37)(48)」と書く(漢字ならふりがな付きで)

それを旦那に見せたら目ぇ冷めんやろか?

2024-04-27

わたべ問題

わたなべ問題というものがあるらしいが、わたべ問題についても知ってほしい。

わたべさんは知らない人からはまず間違いなくわたなべさんと呼ばれることになる。自分はわたべとして生まれて久しいが、それこそ小学校入学式病院の受付から会社まで、必ず最初はわたなべと間違えられた。授業を数年受けた現代文先生にも間違えられたこともある。ふりがなが振ってあっても関係なしだ。

さらにこの問題グローバルだ。一度、アメリカで会った中国人にわたなべさんと呼ばれたことがある。ドイツに行ったときホテルでもわたなべさんと呼ばれた。世界的に見れば渡邊雄太渡辺謙など、わたなべという苗字は圧倒的に有名だ。Watabeと書いてあったとしても、それこそ単なるスペルミスだと思われているのだろう。

このようにわたべ問題の闇は深い。渡部建渡部篤郎につぐスーパースターが現れて、わたなべ姓を圧倒してくれないものかと日々願っている。

anond:20240426204459

2024-04-07

ふりがなを書こう】世論によれば一段落したら早急に出生率を間髪入れず相殺すべき

わかるかな?

2023-11-29

anond:20231128110825

マジレスすると、アニメだけじゃなくて

漢字ふりがなが振ってある週刊少年漫画雑誌も読もう。

日本の子供達はふりがな付きの漫画を読んでるおかげで

学校で習っていない漢字も読めるようになる

2023-11-07

anond:20231106233825

宮沢賢治でも絵本版(単話+全ページフルカラー)、ハードカバー版(数話収録+かわいい挿絵あり)、文庫版(十数話収録+挿絵ほぼなしふりがなほぼなし字小さい)とか色々あるから

児童向けだけど装丁渋い大人向けっぽいのが出てるやつなんかどうだろう

文庫版が厳しかったらハードカバー版に変えてみたりして調整すればいい

あんまりハードル上げ過ぎて読書つまんねってなってもあれだし


https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou/kokugo/data/kokugo_tosho_r6_202306.pdf

あとこれは東京書籍国語教科書に紹介されてる本一覧

出版社ごとにこういうの出てると思うから高学年の教科書にはこんなの載ってるんだなって参考にしてみたら

2023-09-11

尿検査の時に書く氏名

尿検査の容器と袋に名前書くとき説明書をよーーーく読むと全部カタカナで書けって書いてある。

なら、項目名は「フリガナ」と書け!!!

ふりがな」とか「なまえ」とかやめてくれ!

え?ふりがなと書いてあったらひらがなで書き、フリガナと書いてあったらカタカナで書くみたいなルールってローカルルールなの?

素材的にもう書き直せないかひらがなで提出してやるわーー

2023-02-18

anond:20230218180743

刃牙みたいなふりがなの付け方から見るにまだ余裕がありそうだな。緑色タグをつけとこう。

2023-02-14

「重複」の読み方で思うこと。

よく「じゅうふく」を「ちょうふく」に訂正された人の言い訳で「日本語は変化するものなので」というものが多いが思考停止言い逃れで使うのはどうかと思う。

その一方で、訂正する側が「本来の読み方が大切」だの「日本語の乱れだから」だの思考停止押し付け行為もどうかと思う。

例えばテレビで「手水(ちょうず)」を「てみず」と読むと「最近はてみずと読む人が増えた」と嘆く人がたまにいるが、本来の読み方は「てみず」である上に神社によっては「てみず」とふりがなしている場所もある。

そもそも本来の読み方」は慣用読みは誰も疑わないような言葉も多くあるから一般人がわざわざ深堀りするものでもない。世間信仰されているのは「本来の読み方」ではなく「伝統的な読み方」である。それにも関わらずそこを勘違いしている人が多い。

「重複」がどう読むべきかという議論はさておき、自分の知らない・気に入らない読み方を無闇に「本来の読み方」だの「日本語の乱れ」だのと押し付け行為は、指摘された側が「日本語の変化」と言い逃れする行為と同じ次元だと思う。

そもそもこういう細かい上に槍玉に挙げられがちな日本語マナーにだけやたら口うるさくあげつらってくる行為自体がどうかとは思う)

追記:上の話はどちらの立場無知言い逃れしていることがどうなのかという話なので本筋からそれますが、「重複」はどちらの読み方でも正しいと思いますあくまで「ちょうふく」が適切かつ伝統的な読み方なだけ。近年派生したとはいえ昔の世論調査多数派だった「じゅうふく」を否定することはできないでしょう。

これも「どちらがより適切なのか」という議論をするべきなのに「どちらが正しくてどちらが間違いなのか」という議論すり替えられがちだと思います

「重なる」の意味の時は「チョウ」と読むという説明をしている方は「多重」や「重箱」など例外だらけです。そういう推論が間違いであることに気が付きましょう。(呉音漢音かの違いで呉音が根強く残ったか漢音に置き換わったかぐらいの違いです。)

2022-12-21

anond:20221220223603

2022-11-17

女衒

キーワードふりがなが「せげん」になってて

ぜげんじゃなくて?間違えてたわ

と思ったらぜげんだった

読めてた

anond:20221117121450

別に口頭でも使う言葉をわざわざふりがな振ってくれる優しい人

2022-09-29

母方の叔父は下の名前がヨシヒロなんだけど

祖父母も母も叔母もヨシロー、ヨシローって呼んでて

からヨシローおじさんという認識だった

でも成長してヨシローおじさんの字面を見ると

(この2つはフェイクだけど)義弘とか芳博って感じでロウとは読まない

今ならキラキラネームとかあるけど、50代の人の名付けには考えられないし

誰もヨシヒロって言わないし、ふりがな振ってある書類も見たことないか

なんか触れちゃいけないのかな?と思ってそのまま大人になった

で、仕事で使う道具の在庫が不足してて、ヨシローおじさんが母方の地元会社をやってるから

初めて一人でヨシローおじさんを訪ねた

おじさんに実際どうなのか聞いたら「あの人達"ヨシヒロ"って発音できないんだよ」と笑ってた

母に電話して「あのさーヨシローおじさんって下の名前ヨシヒロだよね?」と聞いたら

「は?ヨシローでしょ?」

だって○の字に△の字でしょ?ヨシヒロだよね?」

「あれ?ヨシシロだっけ?ヨシシロ……あれ?アッハッハ」ってなっててワロタ

母がダメなら祖父母もっと言えないだろうな

2022-08-02

anond:20220802140910

ネームプレートとか会社名刺の書式とかにふりがなないことが意外と多いのよね

呼ぶためのものなんだから書類なんかよりよほどふりがな必要なんだけど…

anond:20220802135615

難読苗字持ちとしては氏名に常にふりがなを振る文化になってくれればハッピージャムジャム最高踊ろうよなのでキラキラネーマーを応援しています

2022-07-31

そういえば安倍天皇皇后陛下末永く健やかであられることを願って「いません」と言ったんだったな

「已みません」を読み違えたと言われていたけど、官邸はやみませんとふりがなが振ってあった!読み間違いなどするわけがない!って必死否定していたから、おそらく本音が出てしまったんだろうな(なお原稿など証拠提示はなし)

だって統一教会天皇教祖に対して土下座させるというのが悲願で、幹部天皇役をやらせ土下座させるおままごと儀式としてやってたんだもん

2022-07-06

父が麻雀入門にふりがなを書いてくれた

俺が小2の時、父親テレビゲーム麻雀やってるのを見て、

「僕もしたい、覚えたい」と言ったら、

家にあった麻雀入門書漢字ふりがなを書いてくれた。

結局それでも覚えきれなかったけど、

父親手書きふりがなを振ってくれたのは嬉しかったなぁ。

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