はてなキーワード: サンタとは
サンタさんにラジコンをお願いしたら電池でひたすら真っすぐ走る車がやってきて
というかウチは貧乏なんだ、と思ったことを毎年この時期思い出す。
俺、妻、息子(7)、娘(4)の4人。
昼間から夕方までその施設で遊んで、夜はファミレスかファストフード店あたりで夕食を済ませる算段だった。
ウチは貧乏なので、たとえキリストの誕生日であっても財布の紐を緩める余裕はほとんどない。
親の都合で平均より少々劣る暮らしを強いてしまっている子供たちのため、この日ばかりは無理をして費用を捻出したのだった。
施設に着いて、しばらく遊んでいると、娘の表情が段々険しくなっていることに気付いた。
妻とともに「どうした?」「眠い?」「しんどいの?」などと声をかけるが、娘は首を横に振るばかり。
何を言っても反応が薄い。
俺も妻も困ってしまった。
息子に聞いても分からないという。
とりあえず休憩しようか、と売店と休憩所を兼ねたエリアへ入った。
すると、グッズの山々を目にした娘が急に口を開いた。
「施設を訪れている人の多くはクリスマスコスチュームとか施設のマスコットのグッズとか何かしら特別っぽいアイテムを所持しているのに我々は何一つ持っていない、これはおかしい」
ということらしい。
痛いところを突かれた妻と俺。
「持ってない人もいるよ?」「サンタさんにもうアクアビーズのやつ貰ったじゃん」とか誤魔化してみたが、もうその手の理屈が通じないフェーズに達しているのは一目瞭然だった。
実際、子供連れは大体なんかグッズ持ってたし。
貧乏でゴメンね、なんて幼児に言うのも気が引けるし、しかしこの手のグッズは高いわりに実用性がないものが多くて、一時のノリで買うのはちょっと無理だった。
しかもうちは子が2人だ。片方にしか買ってやらない、というのは厳しい。
俺と妻がどうする?なんて小声で言い合ってる間に、娘の目に涙が浮かびはじめた。
やばい、と思った。
俺は妻のダウンジャケットのファーを外して顎にあてがい「ウフォフォ、サンタスァンダヨ」なんておどけてみせたたりしたが、ケタケタ笑ったのは空気が読めてない息子だけ。
娘はずっとろくでなしブルース風のキッツい顔をしていた。
妻のなだめも効かず、とうとうオッオッとアシカみたいな声で泣き出した娘。
「どうしたのかな?」屈んで笑顔で娘に尋ねるお姉さん。
わーわー泣いて話にならない娘の代わりに俺たちが恐縮しながら事情を説明した。
お姉さんは「そっか〜、じゃあちょっとだけお帽子被ってみようか?」と言って売店からマスコットをモチーフにした帽子を持ってきて、娘と息子に試着させてくれた。
娘の顔が少し明るくなったのがわかった。
俺たちは今しかないとばかりに二人をおだてまくり、お姉さんが良けばお写真も、と促してくれたので褒めながら撮りまくった。
お陰で娘もすっかり機嫌が良くなった。
お姉さんに厚く礼を述べて、娘に「来年はサンタさんにこの帽子お願いしよう」と丸め込む。
じゃあ、帽子は来年までお別れだね。帽子に待っててもらおう。なんてファンタジーかまして円満に終わりそうだった。
その時だ。
そして、帽子に口と鼻をくっ付けて何かコソコソ話し始めた。
何を言ったのかは分からないが、帽子さん待っててねとでも耳打ちしたのかもしれない。
だが、思い出してほしい。
こいつさっき泣いたばかりなのだ。
拭ったとはいえまだ鼻の下はテラテラだったし、次から次へと鼻水が垂れてきていた。
別れの寂しさか涙もまた出ていた。
あの唇の付け方なら唾も付いているだろう。
お姉さんの顔を見た。
お姉さんは一瞬ろくでなしブルース顔になった。
そしてすぐにニコニコして我々を見据えた。
妻の顔を見た。
ろくブル顔だった。
買い取りました。
正月は寝る。
タオナケの序盤の妨害も結果的に弟とその他の参加者の差を広げることとなり、ドッペルの意外な助けもあってダントツトップを維持し続けた。
その後のアトラクションは逃げ切りを防ぐため、先行する人間に不利な仕掛けが多く施されていたが、それでも弟との差を他の参加者が縮めることは出来なかった。
「いいぞ、息子よ。そのまま逃げ切ってしまえ!」
その勇姿に、プレゼントを突っぱねた両親すら声援に熱を帯び始める。
こうして弟は、最後のアトラクションを潜り抜け、サンタのもとにたどり着いたのであった。
弟がサンタに真っ先に言うべきことは決まっている。
息を荒げながら、サンタに満面の笑みで言う。
「バーチャルでリアリティのやつをください。ボーイのやつじゃないですよ」
弟はそう言った後、アトラクションへの達成感と、その成果を得られる喜びを噛みしめていた。
「頭が悪くなるぞ。あと目とかも」
さて、このサンタが実は父だった、という展開なら話としては綺麗だが、生憎別人である。
両親は、俺の隣で一緒に観戦しているからだ。
つまり、サンタもまたつまらない大人の理屈で、子供の願いを突っぱねるような人間だったということさ。
サンタなんていないと気づかされるか、サンタが理想とは違った人格だったか、いずれにしろその時の弟にとっては残酷であることには変わらない。
こうして、弟は結局目当てのものを手に入れられなかった。
だが、意気消沈して帰った自分の部屋に、まさかの代物があったのだ。
「管轄?」
「いや、お前のではないからな?」
弟の勇姿に胸を打たれたのか、実はそのイベント後に両親はアレをこっそり買っていた。
だが一度、突っぱねた体裁がある以上、直接プレゼントとして渡すのは甘いと思ったのだろう。
なので名目上は俺が自分のために買ったということにしたのである。
まあ、俺はあのテの玩具に興味がないので、実質的に弟のモノというわけだ。
大人と子供の境界を反復横とびしなきゃいけない俺ならではの役割ではある。
当然これをネタに、俺は両親から相応に色をつけてもらうつもりだが。
どうしても欲しいならバイトをしているから買えるんだが、プレゼントってのはまた別の話さ。
何を贈るかってのも大事だが、誰が送るか、どう送るか、つまりそこに込められた思いも大切だ。
その点で、弟の手に入れたアレは、サンタから貰うよりも遥かに特別な意味を持っているといえる(当事者に自覚があるかはともかく)。
もしかするとサンタはそこまで考えて、最もよい方法で弟のもとに目当てのものを届けた……ってのは深読みしすぎか。
いずれにしろ、一見すると無駄な遠回りをしながらも、弟にとって素敵なクリスマスとなったのだった。
「うーん、ちょっと遠いなあ。弟の姿が見えない」
「ああ、そういえばそんな改造したことあったっけ」
母が首にコードを刺すと、備え付けのモニターに弟が奮闘している姿がはっきりと映し出される。
他にベターな方法があったと思うが、俺たちはそのモニターを眺める。
だが、ロープの本数は少なく、先行する人間が非常に有利になってしまうアトラクションだ。
弟はそれを理解しており、後半バテること覚悟でそのロープアトラクションへ最初にたどり着いたようだ。
最大速度で劣ることを理解していたタオナケは、ここで超能力を使う。
ロープは次々と引きちぎれ、登ろうとしていた参加者たちは戸惑いを隠せない。
弟はまだ千切れていないロープに飛び移って落とされないようにするが、それによる負担は大きく、登るスピードが見る見る遅くなる。
その隙を突いて悠々と向かうタオナケだったが、ここで笛が鳴る。
それでも納得がいかないタオナケが審判と押し問答をしている間に弟は登りきり、それに他の参加者たちが続く。
一見すると、ちょっと走りにくいだけの障害だが、このアトラクションの本質はボールの使用だ。
出遅れた参加者はここでボールを拾うと、先行者にぶつけて妨害する。
これはルール上認められている、というかイベント考案者もそれ込みで作っている節がある。
以前のイベントで泥沼になりかけた妨害合戦が、意外にもウケがよかったらしい。
「私、失格になりそうだけど、あの妨害がありなら超能力の妨害もありにすべき!」
何とか起き上がっていたミミセンも、よろめきながら歩みを進めている。
正直、ここから追いつくのは無理だと思うが、プレゼントをそう簡単に諦められないのは誰だって同じだということだ。
そして、ボールの海はというと、セーフもアウトもないドッジボールになりつつあり、背を向けていた先行者たちも応戦するためにボールを投げる。
弟もたまらず応戦しようと振り向いたとき、思わぬ光景を目にする。
ドッペルが弟の姿に変装し、応戦していたのだ。
先行する弟の姿を真似たところで、ボールが集中するだけで何の得もない。
つまり、集中するボールを弟から分散させるため、矛先をわざと自分に向けさせていたのだ。
「なぜだ、ドッペル。今この場では俺たちは敵同士だろ!?」
このときドッペルは微笑を浮かべる。
「え? ああ……よく分からないけれども、分かった」
後に弟にそう聞かされたが、俺にもよく分からなかった。
ひょっとするとサンタからのプレゼントは諦め、弟に恩を売ることで俺から貰う計画にシフトしたと考えもしたが、俺にそういう温情があるなら弟はそもそもこのイベントに出る必要がないのは容易に想像がつくことなので、ドッペルの思惑は結局謎のままである。
こうして、飛び交うボールの勢いが弱まったおかげで、弟は先行の有利を保ったまま次のアトラクションへとスムーズに移行していく。
きたるイベント当日。
アトラクションに使われる大掛かりなセットがスポーツ施設にずらりと構えらている。
今回は製作者の興がノリすぎたのか、かなり大規模かつデザインも凝っている。
まあ、参加者にとってはプレゼントのための障害でしかないのだが。
弟たち参加者の目はマジで、和気あいあいとした雰囲気とは裏腹に立ち振る舞いはトップアスリートのそれである。
「マスダ、今回ばかりは知恵はもちろん、手も貸さないよ」
「ああ、俺も同じさ」
「最新の防音耳当ては僕のものさ」
いつもは弟と共にいる仲間たちも、今回はライバルだ。
タオナケもいるということは、恐らくドッペルもいるのだろう。
変装しているのか、俺たち家族のいる観戦席からだとよく分からないが。
シロクロはというと、年齢不詳かつ体格も成人男性と変わらないということで参加を拒否されたらしい。
そうして参加者が出揃い、観戦席も埋まり始めたところで、いよいよ開催のアナウンスが入る。
まずは市長やイベント関係者の挨拶、注意事項の説明であるが、参加者である子供たちはもちろん大人たちも聞いていない。
当人たちもそれは分かっているのでテキトーなことを言って済ませたいようだったが、町おこしも兼ねているのでマスメディアを意識した適当なことを言わないといけない。
「以上で注意事項の説明は終わります。次にこのイベントに欠かせない、サンタさんの登場です!」
スタッフが手を向けたさきの扉近くから、スモークが吹き上がる。
そこから勢いよく、如何にもな格好をしたサンタがトナカイに乗って登場する。
「ホッホー!」
俺の記憶ではサンタが乗っているのはソリで、それを引くのがトナカイのはずなのだが、第1回からこの調子だったので今さら変える気もないのだろう。
「数々のアトラクションを潜り抜け、サンタのもとへゴールしてください。では……」
弟たちが構える。
「……スタート!」
空気銃の発砲音が響き渡る。
ミミセンは、その音にやられてしまって開始早々ダウンした。
http://anond.hatelabo.jp/20161223233004
俺はその増田とは別人だけど、
うち別に創価学会でもないのにクリスマスを祝う文化がなかったんで(貧乏なだけだが)
まあクリスマスプレゼントが欲しくても貰えないんで信じようが無いだけだったのもあるだろうが、
幼稚園の時のクラスメイトが「うちにサンタさんが来た!その証拠にサンタさんと写真を撮った!」と自信満々に提示してきたものに映るのはどう見ても赤い服を着てつけヒゲ姿のソイツの父親だったのに、
なんで実の息子が気づいてないのか理解に苦しんだし、
子供心にも何でこんな謎な嘘が世界で共通しているのか、意味はないだろうと考えていたし、今もイマイチピンと来ない。
ただ、オカルトは大好き。
今のオカルトは、宇宙人ガー幽霊ガー秘密結社の陰謀ガーと喚く、頭のおかしい人の珍説を嘲笑って見守る趣味でしかない。
週刊マガジンのMMRだって、なんでもかんでも無理矢理世界滅亡へとこじつけるロジックをゲラゲラ笑うために指示されてきた。
オカルト知識が豊富で、それについて言及することが多い有名人(伊集院光や大槻ケンヂなど)だって結局はオカルトを斜めから見ておちょくるスタンスだ。
「宇宙人は実在する!」とか書き散らすオカルト雑誌の編集側の人間ですら、真に受けた読者が送って寄越した電波とお花畑満載の手紙を受けて「こいつらマジで信じてるのかよ、もう手に負えないと思った」と暴露している。
もはやオカルトは送る側も受け手側も、全員ニヤニヤ斜め上視点で何をしたいのか訳がわからない領域にきている。
「趣味」で片付くならまだいいが、オウムや江原や細木レベルにくると話は別。
あー、あと数日で年が変わる。
この1年、この曲が気になってしゃあなかったなあ。
岡村隆史ANN内のコーナー「地球のバランス」のBGMなんだけど。
これもうわかんねえまんま年越すのやだなあ。
大人はウソはいけないことだと説く傍ら、サンタという共同幻想に自覚的である。
そして、いつの日か子供だった俺たちはその共同幻想に打ちのめされ、いつの日か立場を変えてその共同幻想の住人となるのだ。
クリスマスの日が近づいていた。
宗教と関係の深い祭りではあるものの、大半の人間はそんなこと関係なしに興じる。
東方の三賢者が誰かは知らなくても、クリスマスに欲しいものが何かは知っている。
いつもと違う日であるという華やかさ、ケーキや美味い料理、あとはプレゼントだ。
うちの両親はこのテの行事をそれなりに力を入れてやるタイプだが、その準備の最中に何気なく弟に訊ねるだろう。
「クリスマスには何が欲しい?」
弟は予期していたのか、まるで練習していたかのように淀みなく言う。
そして、これまた予め用意していたかのように両親は応えるわけだ。
「頭が悪くなるぞ」
「そうよ。あと、目も悪くなるわ」
両親自身、元から断るつもりだったので実際のところ目や頭が悪くなるかどうかは関係ない。
ましてやサイボーグの母が「目が悪くなる」とかいうのだから説得力は皆無だ。
弟は半分予想していた結果だとはいえ、それでも残り半分は期待していたため落胆する。
それでも弟がここで大人しく引き下がったのは、他にアテがあったからだ。
ああ、俺じゃないぞ。
両親はこのテの行事に力を入れていると語ったが、町ぐるみで精力的であることが大きく関係している。
町おこしも兼ねて行うクリスマスを盛り上げるための大掛かりなイベントだ。
参加者の子供たちはアトラクションをクリアしつつ競争し、見事サンタのもとへたどり着けば、好きなプレゼントを後日貰えるというものだ。
素晴らしいのは、よほどの問題がない限り保護者の介入が禁止されていることだ。
つまり、親に突っぱねられても、ここでプレゼントを手に入れるチャンスがある。
弟は勿論これに参加する。
あえて問題があるなら、弟のような子供はたくさんいて、親に目当てのプレゼントを貰える算段があっても、欲望というものは際限も貴賎もないことだが……。