2016-12-24

[] #10-2「サンタプレゼント争奪戦

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きたるイベント当日。

アトラクションに使われる大掛かりなセットがスポーツ施設にずらりと構えらている。

今回は製作者の興がノリすぎたのか、かなり大規模かつデザインも凝っている。

まあ、参加者にとってはプレゼントのための障害しかないのだが。

弟たち参加者の目はマジで和気あいあいとした雰囲気とは裏腹に立ち振る舞いはトップアスリートのそれである

「マスダ、今回ばかりは知恵はもちろん、手も貸さないよ」

「ああ、俺も同じさ」

「最新の防音耳当ては僕のものさ」

いつもは弟と共にいる仲間たちも、今回はライバルだ。

私、女だけど、淑やかさは目的の前には無意義なの」

タオナケもいるということは、恐らくドッペルもいるのだろう。

変装しているのか、俺たち家族のいる観戦席からだとよく分からないが。

シロクロはというと、年齢不詳かつ体格も成人男性と変わらないということで参加を拒否されたらしい。

そうして参加者が出揃い、観戦席も埋まり始めたところで、いよいよ開催のアナウンスが入る。


まずは市長イベント関係者挨拶、注意事項の説明であるが、参加者である子供たちはもちろん大人たちも聞いていない。

当人たちもそれは分かっているのでテキトーなことを言って済ませたいようだったが、町おこしも兼ねているのでマスメディア意識した適当なことを言わないといけない。

「以上で注意事項の説明は終わります。次にこのイベントに欠かせない、サンタさんの登場です!」

スタッフが手を向けたさきの扉近くからスモークが吹き上がる。

そこから勢いよく、如何にもな格好をしたサンタトナカイに乗って登場する。

「ホッホー!」

俺の記憶ではサンタが乗っているのはソリで、それを引くのがトナカイのはずなのだが、第1回からこの調子だったので今さら変える気もないのだろう。

「数々のアトラクションを潜り抜け、サンタのもとへゴールしてください。では……」

弟たちが構える。

空気銃の音を聞き逃さないよう必死だ。

「……スタート!」

空気銃の発砲音が響き渡る。

ミミセンは、その音にやられてしまって開始早々ダウンした。

かくして、プレゼント争奪戦の幕が切って落とされた。

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