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2017-07-03

忘れられた人々と日本のこれから

さんざんメディア報道されていますが、2017年7月2日都議選自民党歴史的大敗北を喫し、都民ファースト過半数議席を獲得しました。

個人的には全く興味のない選挙でしたが、結果には非常に驚いており、これを受けて考えたことがあったので、ここに書き記しておくことにしました。

今回は結果は筆者にとってもかなりの衝撃的でした。

自分人生の中で、ここまで劇的に自民党が敗北した選挙を見たことがありません。

私は政治については門外漢ですが、それでも政治の流れが大きく変わろうとしていることは容易にわかます

自民党の敗北には、森友学園加計学園文科省を巻き込んだスキャンダル、また、豊田真由子議員によるパワハラ稲田防衛大臣選挙応援中の失言共謀罪強行採決など、様々な要因が絡んでいると思われます

これだけスキャンダルが重なれば選挙で逆風になるのも不思議ではない、豊田議員稲田防衛大臣問題などはダメ押し的な感じだったのではないかと考えています

その中で、日経に気になる記事が2つありました。

1つは就職氷河期支援対策に関するもの、2つは海外の動向を参考にした今後の政治動向の考察記事です。

(参照1:日本経済新聞2017年6月26日夕刊『「就職氷河期世代」 スキル手に再出発 45歳未満向け介護・IT関連めざし長期職業訓練http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18033760T20C17A6NZBP00/

(参照2:日本経済新聞2017年6月8日氷河期世代日本の「忘れられた人々」か  編集委員 藤井彰夫 』http://www.nikkei.com/article/DGXMZO17366530W7A600C1000000/

厚労省就職氷河期世代支援に乗り出したことは既に報じられている通りですが、『「就職氷河期世代」 スキル手に再出発 45歳未満向け介護・IT関連めざし長期職業訓練 』には具体的支援策が書かれています

この記事によると、厚労省は主に介護などの福祉資格IT資格を取得する訓練を就職氷河期世代提供し、安定した就労につなげる取り組みを試みているようです。

しかし、私のこの記事を読んでの率直な感想は「一時的には安定するだろうけど、根本的な解決にはならないな」というものでした。

そもそも就職氷河期団塊ジュニア)の貧困問題根本は、20年近い就労人生の中で長期間に渡って低収入だったこと、だと思うのです。

その間、企業厚生年金の半分を払うのを渋って、偽装請負などと称してこの世代の多くの労働者厚生年金に加入させなかったことも多く、さらに低収入のため国民年金の掛け金すら払えなかった、という就職氷河期世代の人も少なくないと思われます

現在収入、そして老後のための資産という点に関しては、他の世代想像を絶する貧しさがこの世代にはあると思うのです

それにも関わらず、厚労省が彼らを救うために用意した仕事介護福祉などの低収入仕事

そして、IT仕事にしても「IT系資格の実情に詳しい森システムコンサルタンツ(東京台東社長の森隆直さんは「40代半ばで学ぶことはできると思うが、応用情報技術者は暗記が多く若い世代に向く」と指摘。処遇でみれば、シスコ技術者中級を取得しても「年齢にかかわらず月給24万~25万円が相場で、既婚者では苦しいのではないか」と言われる始末(参照2の記事より抜粋)。

私は「多分これで就職できたとしても、その人たちは経済的自立がせいぜいで、老後のための資産形成などはほぼ不可能」と思っており、結局、体に鞭打って働いても最後生活保護で老後の生活をみてもらうことになるではないかと思いました。

まり、この程度の就労支援では『就職氷河期世代のきわどさ - NIRA総合研究開発機構file:///C:/Users/makiko/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/RMJRNF6L/0801report.pdf』で示唆されているような、“就職氷河期世代のために生活保護費を年間17兆円払う未来”は避けられない、と思うのです。

就職氷河期世代でがんばっている人の中には、既に介護福祉IT関連で資格を持って働いている人も多いはずです。そして、あまりの過重労働低賃金で離職してしまった人がいるのではないでしょうか…)

次に、『氷河期世代日本の「忘れられた人々」か  編集委員 藤井彰夫 』では、昨年のイギリスEU離脱国民投票トランプ政権誕生の背後にあると思われる「忘れられた人々」の反乱が言及されています

私も、まさかイギリス国民EU離脱選択するとは思っていなかったし、それ以上に選挙中、様々な暴言話題になったトランプ氏が大統領になるなんて夢にも思っていませんでした。

イギリスアメリカそれぞれに、日本という外の国からは見えない、「忘れられた人々」がたくさんいることを知らず、彼らが1票ずつ平等投票権を持っていることにも考えが及んでいなかったのです。

そして、もし日本イギリスアメリカと同じような「忘れられた人々」いるとしたら、藤井氏が指摘するように就職氷河期世代がまさにそれに当たると思います

就職氷河期から20年。

当時の就職状況や、その後、就職氷河期世代の人々か置かれている現実メディアが目を向けることも少なくなりました。

今の30代前半~20代の人にとっては、「就職氷河期世代って何それ?本当にあったの?」という感じかと思われます

また、バブル世代から上の世代にとっては、ある意味自分たちの過ちの記憶として忘れたい世代でもあると思います

20年間という歳月をかけて、就職氷河期世代はどんどん社会から顧みられない存在になったと思われます

イギリスアメリカまさかと思う選挙結果で国の方向性が大きく変わりました。

突然起きた「忘れられた人々」の反乱がもたらした選挙結果でした。

そして、今度は東京都まさかと思う選挙結果で変わりつつあります

この選挙で、「日本の忘れられた人々」がどういう投票行動を取ったか、私にはわかりません。

その影響力も、わかりません。

しかし、海外の事例を見るにつけ、将来、国政選挙において突然「日本の忘れられた人々」が起こる可能性も0ではないと思われます

なぜならば、「日本の忘れられた人々」である就職氷河期人口構成比率に置いて、その力を十分持っているからです。

そうしたことを思う時、現政権現在のような厚労省支援策で、この「日本の忘れられた人々」の心をつなぎとめられるのかどうか、甚だ疑問に思われるのです。

2017-05-01

就職氷河期世代の誤算と清算

先日、下記のブログ記事とその反応を見て、強い危機感を持ったので、ここに覚え書きを残しておきます

(参照ブログ:俺ら就職氷河期世代ってもう忘れ去られたのかな (追記あり

http://anond.hatelabo.jp/20170422041028#tb

就職氷河期世代当事者悲鳴、落胆、それに対する多世代の反応、どれもが納得できました。

また、この記事に関して、『「トリアージ」される就職氷河期世代 参照:http://blogos.com/article/219419/』などの関連記事も興味深く読ませてもらいました。

さて、筆者はこれらの記事を読んで、強い危機感を覚えました。

何に危機感を覚えたのかというと、この就職氷河期世代の取り扱いと、日本経済展望についての考察が抜け落ちているところです。

先のブログの筆者も、それに対する同世代、多世代の反応も、そして、関連記事を書かれた方も、いずれも「就職氷河期をこのまま社会から排除しても日本経済に影響しない」ことを前提にして考えていると思うのです。

確かに、たくさんの非正規雇用低所得のままでいる就職氷河期世代を全て救うのは至難の業です。40代という転職などには難しい年齢になってしまっていることも承知していますしかし、彼らを「助けられないものは仕方がない」として、このままにしておけば、それこそ日本経済危機に瀕すると筆者は思っています

何故か?


筆者はとある医療機関に勤務する専門職です。

筆者は最近医療予算が日に日に縮小していくのを、働きながら感じています

恐らく国は、莫大な国の借金や減少する税収、保険料などとのバランスを取るために、医療予算も切り詰めるだけ切り詰めようとしているのだと思われます

以前は社会的入院問題になっていましたが、今はリハビリすらも削られるようになっており、これから検査、その他、諸々のものが削られていくのではないかと思います

実は私は、その前振りのような話を、とあるセミナーで聞いたことがあります

曰く、「日本借金は遠くない将来、日本人の預貯金の総額を上回る。その時、日本国債の信用が下がり、ギリシャと同じく破たんする。今から毎年増える医療費を抑える必要がある」と…。

これを聞いた時、私は「そうか、ずいぶん大変なことになっているんだな」くらいにしか思いませんでした。

しかし、最近職場で思いがけないものがどんんどん削られていくのを見て、この話が現実のものになりつつあることを実感しています

翻って、就職氷河期世代には将来の“生活保護予備軍”が多数いると考えられています

これは、9年前、既に次の報告書で指摘されているいます。(参照:NIRA研究報告書 就職氷河期世代のきわどさhttp://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=0ahUKEwjI492Rvs7TAhWKwLwKHUrSCg4QFggiMAA&url=http%3A%2F%2Fwww.nira.or.jp%2Fpdf%2F0801report.pdf&usg=AFQjCNHu6efnz9XIN2tD0Errx4MSnaNs-A

この報告書によると、就職氷河期世代の多くが、このまま低所得のまま年齢を重ねた場合200万人超の人々が生活保護受給することになり、その額は年間17兆円を超える可能性があります

私は経済は全くの門外漢ですが、日経新聞によると日本2015年度の税収が約56兆円だったそうです。また、年間予算が90~100兆円だと思われます

この税収、年間予算の中から毎年、毎年、17兆円超が低収入のまま生活保護受給せざるを得なくなった就職氷河期世代支出されることになるかもしれないのです。

さらに、どこで見たか覚えていませんが、その金額20兆円になるのではないか、との試算もあるようです。

先に述べた通り、そして、多くの方がご存知の通り、日本財政はひっ迫しています

しかし、そのひっ迫した財政状況下で「助けられないものは仕方がない」として就職氷河期世代をこのままにしておけば、毎年17~20兆円のお金税金から出さざるを得なくなる可能性が非常に高いのです。

そして、それは少なからず、日本借金を返せなくなる日を早めることになるのではないかと思われるのです。

もし、そういう時が来たら、就職氷河期世代だけではなく、全ての世代が貧しい時代突入するのではないかと思っています

最近、このような問題Reutersなどの海外メディアも関心を寄せて、記事にしているのがなんとも不気味に感じます

(参照:ロイター日本『焦点:「パラサイト世帯」の高年齢化、日本社会リスク要因に』http://jp.reuters.com/article/japan-parasite-idJPKBN17L06L英語版Life's illusions catching up with Japan's middle-aged 'parasite singles'』http://in.reuters.com/article/japan-ageing-singles-idINKBN17K2OQ

また、医療領域で気になる問題がもう1つあります

今、日本社会保障制度は“送金方式”になっています

まり、現役世代が上の世代年金を出している、ということです。

みなさんご存知の通り、現在高齢者が多くなり、1人のお年寄りを3人くらいの現役世代でさせなければならなくなっています

さらに、これからどんどん、支えなければならない高齢者の数が増えていきます

数が多いと言われている団塊ジュニア(=就職氷河期世代でもあるのですが)ですら、その上の団塊世代の数には遠く及びません。

そして、就職氷河期に被ったが故に、本来であれば高齢者年金の大きな支え手になるはずだった団塊ジュニア所得は低いままです。

このような状況で、高齢者社会保障を維持することができるのでしょうか…。

こう書くと、「じゃあ、なんで就職氷河期世代は働かないんだ?ちゃんと稼がないんだ?」とのお叱りを受けるかもしれません。

でも、今の社会制度や慣習の下では働けないんです。

先に指摘してくださった方がいるように、日本には厳しい年齢制限があるために、働こうとしても、40歳も過ぎると会社組織などで新たに雇用してくれません。

いくら勉強しても、訓練しても、それらを生かすチャンスは与えられません。

病気などで離職歴が長いと、なおさらです。

非正規雇用から正社員になる道も厳しく閉ざされています

運よく正社員になれても、「正社員歴が短い」ことを理由に、賃金は低いままです。

このような状況では、就職氷河期世代が上の世代に十分な年金を“送金”することはできません。

無い袖は振れないのです。

また、就職氷河期真っただ中の時には、フルタイムと同じように働いても厚生年金に加入させてくれない会社がたくさんありました。

厚生年金に入っていると見せかけて、実は会社が加入させてなかったケースもありました。

多くの非正規雇用者国民年金に加入せざるを得ませんでしたが、賃金が低いために保険料を払えない人も少なくありませんでした。

そもそも、“送金”式の年金制度に入らせてもらえない人も多かったのです。

他の世代の人の中には「この世代は助けられない」と言う人がいます

就職氷河期世代の人の中にも「我々はもう助からいから、下の世代お金を使ってほしい」と言う人もいます

他の世代バブルのしわ寄せを就職氷河期世代が一身に背負うことを希望し、就職氷河期世代もそれで仕方ないと思っている節もあります

しかし、日本には安楽死制度なんかありません。

もし、そんな制度を作って就職氷河期世代人口を減らそうとしたら、国際社会から厳しい批判を浴びて、日本先進国の仲間から脱落するでしょう。

すると、就職氷河期世代寿命くるまで生きることになりますが、低賃金のままでは生きていけないので、生活保護を頼ることになり、財政への負担が大きくなることは避けられません。

トリアージ”など不可能だと思われます

私は、大変な誤算だったのではないかと思います

就職氷河期世代当事者も、その他の世代の人も、「今は貧しいかもしれないけれど、いずれ彼らも正社員になり、たくさんの収入を得られるようになるだろう」と思ったでしょう。

でも、そうならなかった今、そしてどういう形であれ、寿命まで生き続けなければならない就職氷河期世代がたくさんある以上、あらゆる手段を使って彼らを“税金年金をもらう側”から税金年金を払う側”にしていかないと、日本経済自体が立ち行かなくなるのではないかと思われるのです。

それはある意味、本当の意味でのバブルの清算とも言えるのではないかと筆者は思っています

そして、このような文脈で『正社員化でも報われない氷河期世代無間地獄

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/120200081/

』という記事に賛成する次第です。

 
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