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2024-06-29

anond:20240627230739

いいよね! 西日本美術館博物館! 関西というくくりからは外れちゃうけど、ワイは以下が好き。

SSR滋賀県立琵琶湖博物館滋賀県草津市

琵琶湖の「生活の場」としての人文的側面と古代湖としての自然的側面を両方堪能させてくれる超贅沢な博物館琵琶湖湖畔で営まれた長い年月にわたる人々の暮らしを堪能したあとに、古代湖という環境で育まれ多種多様な固有種が展示されていて、歴史生物も好きなワイは大歓喜だった。ビワコオオナマズとかイワトコナマズとかホンモロコとかワタカとかニゴロブナとかの琵琶湖固有種、どれもここで初めて見たし、水槽での遊泳の展示だけじゃなくて固有種を使った郷土料理についての展示もあるのがもう文理融合って感じで素晴らしいのよ。さらさら古代湖繋がりで世界各地の古代湖の生き物が展示されていて水族館としても楽しめる最高の施設。マラウィ湖の色とりどりの熱帯魚キレイ~~~~~バイカルアザラシかわいい~~~~~!!1!!! ……あれ? ヴィクトリア湖の展示には1種類の魚しかいないぞ? あっ……(察し)

SSR大塚国際美術館徳島県鳴門市

言うまでもないやつ。1日じゃ足りない。早足で回っても6時間以上かかったんだけどどうなってるんですかね。日本にいながらにしてこれだけの美術品の原寸大レプリカを見ることができるの、最高すぎますわ。おいおい西欧だけじゃなくてウラジーミル生神女とかの正教文化圏のやつまであるのかよ。世界史の資料集で見たことある名画が勢揃いしすぎていて興奮せずにいられない。しかレプリカから傷めないように大事に遠いところで保管されてる本物と違って鼻がくっつきそうな距離でまじまじと見れるというのも良い。西洋美術史を一望できる素晴らしい美術館ありがとう大塚製薬

SSR国立民族学博物館大阪府吹田市

これも言うまでもないやつ。山奥の宗教儀式から現代アフリカ都市生活まで幅広く世界民族文化が扱われていて最高。ヨーロッパから南米アフリカまで、はたまた朝鮮琉球から日本山村まで、ありとあらゆる地域カヴァーされていてまったく飽きない。あと途中にある世界の様々な言語で書かれた『はらぺこあおむし』とか、日本各地の方言で読み上げた『桃太郎』とか面白い

SR四国ミウゼアム(香川県高松市

ここほんとすき。四国各地から移設した伝統的な建築物が立ち並んでいて、海沿いの漁村から山奥の秘境である四国という島の多様性体感することができるし、そもそもの「日本家屋自体地域性を感じられるというか、気候生業階級によって家屋の形って違ってくるんだよなぁっていう当たり前かもしれないけど忘れちゃいがちなことを思い出させてくれるというか、いやー、良い博物館です。日本文化について勉強してますっていう海外学生さんにはぜひここを訪れてほしい。源氏の君や富嶽三十六景とはまた違った日本文化多様性を目にすることができるので。

SR島根県古代出雲歴史博物館島根県出雲市)

銅剣の展示がすごすぎる。圧巻というほかない。荒神遺跡しゅごい……他にも、出雲神話についての展示が充実していたり、石見銀山の展示があったりと、神代中世くらいまでの出雲国の歴史を知る上ではすごく良い。タタラ体験コーナー良かったです。あとワイが行ったときはちょうど隠岐についての企画展やってて、なかなか知る機会のない隠岐諸島の歴史勉強することができて大満足だった。明治維新とき松江藩郡代追放して島民が自治政府を結成した(隠岐騒動)とか、もうたまらないよね。わぁい離島自治政府あかり離島自治政府大好き。

R:岡山市オリエント美術館岡山県岡山市

日本古代オリエント研究拠点を整備したかった某皇族が県立美術館に対抗して市立美術館を持とうとした岡山市に声をかけてできたという由緒のある美術館古代メソポタミアからペルシャ美術まで、各地域時代中近東美術品が並べられていて目の保養になる。えっペルシャに影響受けた中央アジア陶器デザインめっちゃ好きなんですが……

R:源氏物語ミュージアム京都府宇治市

平安文学世界に入り込める博物館。ここ古文の授業でやったところだ! とか、古文の授業でやったあれってそういうことだったんだ! とか、えっ何それ知らない……みたいなのがいっぱい押し寄せてきて楽しい。あとトイレマークが平安装束なのオシャレでいいよね……女子トイレ十二単で、男子トイレはどんなんだったっけ? 直衣? 狩衣?

R:京都国際マンガミュージアム京都府京都市

京都精華大学の本気を見た気分。日本が誇るマンガ文化についての圧倒的な展示。『キャンディ・キャンディ』とか、超レアなやつじゃん……オタクなら一度は行っておきたい博物館っすね、はい

R:松江歴史館(島根県松江市)

城下町だけあって武家屋敷を模した建物(そして敷地内には実際に家老屋敷現存している)で大変よい。やっぱ博物館は展示品だけじゃなくて雰囲気大事っていうか、西洋博物館が靴のまま上がりこむのが普通な日本博物館では靴を脱いで畳の上で展示を見るんだよ! っていうコンセプトを感じられて好もしい。そして中世後期~近世以降の松江歴史が丁寧に展示されていて、たぶん古代出雲歴史博物館とセットで見てまわることで出雲国の通史がわかる構造になってるんだと思う。面白かったです。

R:UKIYO-E KURASHIKI / 国芳館(岡山県倉敷市

美観地区高台にある旅館改装した美術館和風の町並みの真ん中にある和風建築浮世絵を見るの、雰囲気があってとてもよいし、展示されてる絵がどれも贅沢。さらキャプションが完全な日英バイリンガルなので「インバウンド狙ってます」感が強く(なおオープンしたのはコロナ禍の真っ最中だった模様)、実際外人さんにはウケると思うので日本に行く人には紹介してあげたい。ミュージアムショップも充実しててよき。相馬の古内裏Tシャツ買っちった。

R:妖怪美術館香川県土庄町

小豆島の町中にある古い家屋改装して美術館にしたやつ。1つの家屋じゃなく、ご近所に点在する複数家屋が1つの美術館になっているので、順路に沿って巡るイコール小豆島の街歩きになるという、一石二鳥美術館。実際ワイも順路に沿って見て回ってる最中に美味しそうな和菓子屋さん見つけて名物大師まんじゅうとか『からかい上手の高木さん』とのコラボお菓子とか買っちゃったもんな……。注意点としては、あくまで「博物館」ではなく「美術館」、つまり妖怪アートを展示しているところであって妖怪学術的展示をしているわけではないということ。なので現代作家が考えたオリジナル妖怪とかSDGs妖怪(何だよそれ)とか妖怪コンテスト入賞作とかも展示してあるんだけど、いや現代美術の展示として見るとめっちゃ楽しいなこれ。妖怪に仮託したイマジネーションを楽しむ施設です。上の国芳館と同じくインバウンド外人さんに強くオススメしたい。あと入館方法ハイテクで良い。

R:MIMOCA 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館香川県丸亀市

この規模の美術館にしては立地がパーフェクトでは。マジでJRの駅の真横とかにあるぞ。そして外観がまず目を惹きつけられるし中に入ると濃厚な現代美術空間で、日本のあまり広く知られているとはいえない現代美術作家作品が色々あるし、瀬戸内国際芸術祭で展示された作品なんかもあったりして(そういえば丸亀市市域にはけっこう離島があるんだよな)、いや自分の知らない文化っていっぱいあるんやなと。夭折した作家認知症にかかった作家特別展とかもやってて、作家人生込みで味わえる美術館になってるなぁ。

R:夢二郷土美術館岡山県岡山市

小さくてすぐ見終わってしまうけど、竹久夢二の絵に包まれ大正ロマンに浸ることのできるプチ贅沢な美術館でしゅき。ミュージアムショップ夢二グッズが充実していて何を買おうか悩んでしまう。クリアファイルとか普通に普段遣いできるオシャレさだわ。猫のイラストのやつ買っちった。

R:金陵の郷(香川県琴平町

日本酒の作り方に関する展示がすごい丁寧な上に、酒蔵直営からミュージアムショップという名の酒屋がめっちゃ充実してて良き。酒が飲める飲めるで~酒が飲めるで~♪ いや本来意味でのミュージアムショップもいいんだけどね。日本酒グッズがいろいろ置いてあって楽しい

N:豊島美術館香川県土庄町

展示品が1つでも美術館を名乗っていいんだ、っていう勇気をもらえるよね!

N:坂の上の雲ミュージアム愛媛県松山市

小説世界現実世界が渾然一体となった感がすごい幻想ミュージアムとして見るとなかなか面白いよね!

N:竹島資料室(島根県松江市)

小学生が書いた竹島についての学級新聞とかが飾ってあってドン引k……いやいや、日本領土を守ろうとする姿勢に好感が持てるし、アンケートに答えると無料竹島が描かれたエコバッグをもらえるから松江城とか松江歴史館とかを観光する前にここに立ち寄るとついもらって荷物なっちゃパンフレットとかを持て余さずに済むから便利だよ! めっちゃオススメ

追記

千里市じゃないよ吹田市だよ。恥ずかしい。訂正しときました。いや知ってたんですよ? 吹田市だっていうのは知ってたんですよ? でもなぜか書くとき千里市とかいう謎の自治体が出現してしまったんだ……

あと、分類を、SSRSR・Rの3段階からSSRSR・R・Nの4段階に変更しますた。

2020-09-12

国芳の正札附現金男を見ると江戸時代の人っておしゃれだなと思う

すごく凝ったデザインや染色の服着てる

2017-10-29

[]

中山道広重美術館で開催されている「浮世絵ねこ世界展」に行ってまいりましたわ

歌川広重作品は「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」のみでしたわ

主役はやっぱり歌川国芳で懐にいつも子猫を2,3匹入れていたという猫狂いぶりを

作品で余すことなく伝えていました

猫はあなた懐炉ではありませんわ

国芳の猫は関節の描写自然集合体にされていても猫らしさに違和感がありませんの

役者の絵が禁止されていた関係で、猫にして顔だけ役者のものにした浮世絵猫耳の走りに見えました

不気味ですけど

二階展示室にあった「ねずみの戯遊」という作品がねずみが猫を罠にかけて遊んでいる内容で

まるでトムとジェリーのようでした

明治26年作品ですわ

化け猫やねずみを襲う怖い形相の猫の絵もあって可愛がるだけじゃない猫と昔の人々の関係がうかがえました

それと案内のペッパーが「どうでしたかにゃ」とかお口になさっていて、少しばかり気に障ってしまいましたの

2015-08-16

http://anond.hatelabo.jp/20150815210249

たとえば北斎も肉筆だと

http://fast-uploader.com/file/6995210605446/

こういう写真かよ!っていう絵を描いているんだ。

なんで生首?

うーん、ほら、生首の絵の扇子で扇いだら涼しくなりそうじゃん(笑

単体ならっていうのは、透視遠近法みたいな絵がないっていうことかな?

有名な冨嶽三十六景は70代の作品だが、30代で既にたとえばこんなやつがある。

http://fast-uploader.com/file/6995210740539/

カンペキだね。

これと似たような構図を年代順にならべてやる。

40代

http://fast-uploader.com/file/6995211010479/

かなり透視遠近法に忠実。

消失点は水平線の彼方にある一点透視

枠の中に時間を切り取ったカメラのような絵。

70代

http://fast-uploader.com/file/6995211188891/

これ、よくみると、消失点が1点にならない。

左右の橋の梁の平行線を伸ばしてぶつかる消失点は水平線の彼方、両脇の屋敷屋根平行線を伸ばしてぶつかる水平線は橋の下かその少し奥。

これが、忠実な一点透視だったらつまらない作品だったとおもわん?

絵の中に動きがあるのは、ちょっと崩れてきてるおかげ。

80代

http://fast-uploader.com/file/6995211441686/

もう解説不可能

ぱっとみ同じ構図の一点透視のようで、二点透視にも見え始め、仰ぎ見てるようにも見えたり見下ろしてるようにも見え、ってことは三点透視かとおもいきや、そもそも透視図法(平行線がいつか交わる)じゃなくて投影図法(平行線はどこまでも平行)なんじゃないかと見える。

番手前の人物にフォーカスを合わせるとそういう絵になり、その奥の人物にフォーカスを合わせても絵としてなりたち、人物を辿ってるうちに奥に奥にと視線誘導され、そのたどる先には富士山

多重視点に近い技法

多重視点というのは、「ピカソの絵は右から見た絵と正面から見た絵が合成されていて」みたいな説明をされるあれ。

ピカソ作品はそれだけじゃなくて、いろんな意味で工夫させすぎてて、話が脱線してしまうので、わかりやすキリコ

http://www.geocities.jp/syu_58jp/we2/1.JPG

この絵のようなやつ。

これを分析すると、消失点が狂っており

http://www.geocities.jp/sakushiart/bizu/251.JPG

遠近法的に忠実に描くと、

http://www.geocities.jp/sakushiart/bizu/252_4.JPG

こうなる。

人物やモノ画中にたくさん配置して、奥のモノ、人物は小さく、手前の物を大きく描くことで絵の中の遠近を表現するっていうのは、基本ではあるが、

それをやめて、横一列に均等に配置することで、絵にリズムが生まれ

1905のホドラーという画家作品がこれだ。

https://cakes.mu/posts/7599

これについても、似たようなことを既にやってる北斎

http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-94-64/otyaken_suki69/folder/1050996/44/47018044/img_8?1382279701

なんというリズム感。

次、北斎富士をバックにシャチホコがある絵

http://yukiwochannel.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_f71/yukiwochannel/E6B19FE688B8E381AEE4B88DE4BA8C-7fa87.jpg?c=a319

これ、どこがおかしいかわかる?

シャチホコってさ、近くで見ると当然巨大じゃん。そうしたら、本当は

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/0a/The_Great_Wave_off_Kanagawa.jpg

波をシャチホコに置き換えたら富士山はこのくらい小さくないと絵としておかしい。

この構図になるのは、望遠レンズズームで覗いてるという設定の絵だっていうこと。

望遠鏡!そんなのおかしい!」って?

いや、まあ北斎からね。科学技術マニアだし。

http://pds.exblog.jp/pds/1/201011/22/10/b0111910_1061561.jpg

http://tenkijuku.com/qa/kisyoudai/hugoku.jpg

当然もう残っていないけど、百二十畳の巨大な紙に、高いところからみないとなんだかさっぱりわからん巨大な絵とか描いたっていうんだ。

そういう高いところからみないとなにを描いているんだか本人もわからない絵というものは、「この座標でこの角度で線を曲げて」っていう座標の概念がないとどうやっても描けないわけで。

北斎というと、80過ぎてるのに110歳くらいまでの人生設計(当然自分画力について)を立てる貪欲さで、当時の平均寿命の倍くらい生きてるのに死ぬ間際に「まだまだ描きたりねぇ(意訳)」といって死んだというエピソードが有名なので、描いて描いて描きまくったというイメージが強い。

しかし、その実際は、それプラス数学物理幾何学も絵に応用して、古今東西、みたこともないものだろうと文献調査だけで描き(中国くらいならまあ、古代インドとかどうやって描くんだよ!!見たことないはずの象を右からも左からも正面からも後ろからもかけるとか、どうかしてる。)、漫画効果線やトーンのかなりを発明し、その後の絵画歴史発明された技法をその100年前に実験しつくし、鎖国時代なのに西洋の銅版画や油絵解説書をつくり、中国画の技法日本画技法も操り、いうなれば、異星人。

写実的な絵の話からすこし話が逸れたな。

まあつまり、線遠近法北斎より少し前の時代に入ってきたんだが、カンペキ理解をしたのが北斎

自在に使いこなし、それを捨て去り、違う境地、もう前衛芸術実験のようなレベルに高めたのが北斎

そのネクストジェネレーション広重、その次が国芳

その後は幕末文明開化西洋画が入ってきて、もう一回遠近法ブームが起きて、

日本画はもう古い!これから西洋画!遠近法!陰影表現!」

みたいなムーブメント

油絵が始まり浮世絵(版画)の絵師たちもそれに近い木版画を作った。

初めてやったのは小林清親って人で、水彩画風の版画、ついには油絵風の版画まで辿り着くが、結局彼の画風はいわゆる浮世絵的な絵に戻る。

https://www.google.co.jp/search?q=%E5%B0%8F%E6%9E%97%E6%B8%85%E8%A6%AA&es_sm=122&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0CAcQ_AUoAWoVChMIg9bKrtGrxwIVYcamCh0Kcgg-&biw=1920&bih=955

写実的(性格遠近法、陰影表現)ってのは、いちどはそれに熱中する麻疹みたいなもの

おっと、また今回も北斎の話しかしてねぇや。

追記

その後の時代だと、吉田博、川瀬巴水とかが水彩画のような木版画で有名だが、小林清親浮世絵の構図、モチーフ水彩画手法油絵手法で再構築した感じなのに対して、吉田博、川瀬巴水洋画木版画しましたって感じだから浮世絵日本画の子孫じゃあないと思う。

吉田

https://www.google.co.jp/search?q=%E5%90%89%E7%94%B0%E5%8D%9A&es_sm=122&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0CAcQ_AUoAWoVChMI4bGkztGrxwIVwh-mCh1rBg6P&biw=1920&bih=955

川瀬巴水

https://www.google.co.jp/search?q=%E5%B7%9D%E7%80%AC%E5%B7%B4%E6%B0%B4&es_sm=122&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0CAcQ_AUoAWoVChMI97yT-NGrxwIVCSOUCh3qogIQ&biw=1920&bih=955

2015-08-15

http://anond.hatelabo.jp/20150813151101

浮世絵しかからないので、浮世絵がいかに衝撃的だったか、どう世界を変えたかちょっとだけ。

ところで、少し脇道から入っていくが、まずこの写真をみて欲しい。

http://img.allabout.co.jp/gm/article/20016/image2.jpg

俺はすっかり大人になっていて、南国にはこういう景色、すなわち澄んだ空と海、強い日差しがあることを知っているけれど、もしもこれを予備知識なくみたならば

「なんて美しい場所だ!本当にこの世なのか?」

と思うと思う。

これをみて、「海と小屋が映ってるだけだろ。なにが綺麗なのかわからん。」

という人はそれでけっこう。わかりあえないので、この先は読まないでいい。

北斎武州玉川

https://www.google.co.jp/search?q=%E5%8C%97%E6%96%8E+%E6%AD%A6%E5%B7%9E%E7%8E%89%E5%B7%9D&espv=2&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0CAgQ_AUoAmoVChMI6Nm87_OoxwIVgbWUCh0URw4t&biw=1920&bih=955

これを西洋人が初めて目にした時の衝撃は、たぶんそれに似てる。

「なんと澄み切った空!見たこともないブルー!ただ青が広がるだけの空がこんなにも美しいのか!影が映らないほどの明るさ!」

「澄み切った水!そして水面がキラキラと光ってる!」

しばらく、その美しさにトリップしたあとに、正気に戻ってみてこの美しさはどこから来るのかと絵を探るといろいろと気付くのだ。

「見たこともない構図だぞ!風景を上から見下ろして描くなんて!!」

「紙が布のようだぞ!紙そのものが上等なシルクのような輝きを放ってる!」

「波打つ水面は、ただ紙に描かれているのではなくて、エンボスになっているぞ!」

「遠い異国の景色であるのに、聖書物語の一節でも歴史の一部でもないのに、馬を引く人や船を漕ぐ人のドラマが頭のなかで再生されるぞ!」

「表面にインクは残っていない!触ってもインクが手に付かない!光に透かせば光を通し、光に当てれば輝く反射!ありえない!ありえない!ありえない!」

日本という国では、カラー印刷一般的なのかッ!!!包み紙に使うほどにッ!!!貴族でも大商人でもない一般庶民が、絵を楽しむというのかッ!!」

「こんなにも簡素表現で、こんなにも訴えかけることができるのかッ!!!いや、極限までエッセンスを削ぎ落としたからこそ心のドアをノックするのだッ!!!

「絵とは魔法だ!丸に点を二つ描くだけで、顔に見える!そこに手足を描くだけで動いて見える!我々は見えるものを見えるままにキャンバスに閉じ込める術を手に入れた。しかしどうだ?心をノックするために、見えるものを見えるままにキャンバスに閉じ込める必要などあったのか!?

日本人は、我々が陰影、凹凸、光源の方向、そんなことに執着して、方向を間違えている間に、一瞬の煌きや感動を絵に閉じ込める術を手に入れていたッ!!!

こうして、浮世絵西洋絵画を変えた。

それから西洋絵画教科書でも読んでくれ。

芸術進化させるとは、価値観を変化させることだ。

価値観の変化は、生活の変化のきっかけだ。

例えば、もしも浮世絵がなかったら、テレビドラマ映画登場人物の会話を真横から映し続ける退屈なものだったろう。

それまでの舞台を描いた絵も、物語を描いた絵も、常に真横からの構図だ。

こうした俯瞰物語を描くことはなかった。

また、主人公は常に画中にいて、主人公視点はない。

仰視、俯瞰、物陰から登場人物一人称視点、あらゆるカットで切り取っていくのは、浮世絵アイディアだ。

葛飾北斎が「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、日本人として唯一86位にランクインしたのは、そういう理由だ。

春信、歌麿広重国芳、そのへんの偉業についても長々と書きたいけど、寝たいので今日はこれまで。

浮世絵以前と浮世絵以後、確実に進歩している。

 
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