「理想郷」を含む日記

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2022-11-05

■BL 規制 問題まとめ

大前提（どの陣営にも争いがないであろう事実）

東京都など多くの都道府県には「青少年健全育成条例」に類したものがあり、過激な性描写は一般向け書籍とは明確に区別して陳列することになっている（ゾーニング）
なお、ゾーニングとは、陳列棚を区別するものであるため、たとえば過去にコンビニに置かれていたエロ本コーナーも「ゾーニング」の範疇に入る
それらの目的は「未成熟な子供の目に卑猥なものを触れさせない」ことである
仮に過激な性描写を含む作品が一般向けとして流通されていた場合、「不健全図書」としての指定を受け、amazon から商品が消えるなどの実害が出る
男性向けで過激な性描写のあるものは、それらの条例に従い、30年前から「R18」というマークがつけられ、一般向け書籍とは隔離されている
一方、BL 業界は長らく過激な性描写があるものであってもゾーニングせず、一般向けの販路に乗せてきた
そのことが最近東京都に気づかれ、不健全図書指定の大半はBL本が占めるという事態になっている
今年に入って、不健全図書に指定されて実害を被ったBL 作家さん（以下H氏）が、不健全図書制度はおかしい、と声を上げた
H氏はそれ以降、立憲民主党から出馬した表現の自由派候補の選挙運動を手伝うなど、「表現の自由」のために活動してきた

なぜ今回揉めているのか（以下、派閥の名称は増田が勝手に命名）

表現の自由を訴えるオタク層にも、「そもそもゾーニングは表現規制なのでけしからん」と言う原則派と、「いや、過激なエロにはR18が必要っしょ……」という穏健派がいる
原則派はさらに、「健全育成条例は悪法！　ゆえに守る価値なし！」というガンジー派と、「いや、改正運動はするとして、条例があるあいだは条例に従うべきだろ……」というソクラテス派に分かれる
この2派は、たとえば巨乳イラストを使ったポスターとか、スカートに皺が寄っているポスターとか、異様に胸の大きいキャラが表紙のラノベとかの話題では「ゾーニング反対」で共闘していた。なぜならそれはR18に該当するような「過激なエロ」ではないので
一方、不健全図書に指定されたH氏の作品は、男性向け基準ではどう考えてもR18に該当する
したがって、穏健派とソクラテス派は、H氏が書いていたような過激なBLに対しては「いやBLも過激なエロがあるやつはR18指定してゾーニングしろよ。男性向けはもうやってるんだから、それが男女平等だろ」と主張する
これに対し、ガンジー派は「それ表現規制が広がるってことじゃん！」と反発し、BL愛好家も「これまで男性向けの表現の自由を主張してきた男オタクがBLだと表現規制を主張するなんて……」と裏切られた気持ちになり分断が深まる
一方で、当のH氏はゾーニング賛成派であると当初から表明し、現在でもゾーニングに明確に反対する姿勢を表明しているようには見えない。さらに、H氏擁護派が次々と「ゾーニングには賛成」と言い出す
ガンジー派、「とにかく大同団結を重視して仲良くしましょうよ派」と「お前らも表現規制に賛成してるじゃねえか、裏切り者！　とH氏らに激怒する派」に分裂
穏健派＋ソクラテス派、「結局お前らも俺たちと言ってること同じじゃん。なのに何で俺たちを表現規制派だと叩いたんだ？」と頑なになる
一般のBL愛好家、細かい経緯や相互の主張を把握していないので「これまで男性向けの表現の自由を主張してきた男オタクがBLだと表現規制を主張するなんて……」と不信感を抱き続ける

増田の感想

増田は遵法精神が低いので、「いや別に悪法なら無視すりゃいいでしょ。表現は物理的に誰かを加害することはないんだから、倫理的には無視しても差し支えない法律でしょ」と思うので、「条例があるうちは条例に従え」と主張するソクラテス派は支持できない
でも、世の中の多数派は「気に食わない法でも守るべきだ」って考えでしょ？　とも思う。だって、マスク非着用者はあんなに叩かれてるじゃん。増田は遵法精神が低いので施設のマスク着用要請とかもあんまり従ってこなかったけど（たとえば普通にアニメイトでノーマスクで買い物したこともある）、どう考えてもこれは少数派の感性だよね？
さらに、ゾーニングの完全撤廃のコンセンサスが社会で得られるとも思わない。実際、オタクの間でもゾーニングの完全撤廃へのコンセンサスなんて存在しない。ゾーニングの完全撤廃というのは、『コミック LO』を小学生でも手に取れるような場所に陳列してもよい、という意味になるけど、それを支持するオタクは少数派だろう
なので、「現時点では、過激なエロがあるBLはゾーニングすべきだ」と主張する穏健派＋ソクラテス派に比べて、ガンジー派が劣勢になってしまうのは仕方ない
更に言うと、ガンジー派は「男性向けエロ本はゾーニングされているのに、過激なエロがあるBLはゾーニングされていない」という現状を維持しようとしているので、「それ男女不平等じゃん」と言われたら反論が難しい。男女平等はみんな支持していて、それは表現の自由と同じくらい尊い価値だと認識されているので
もちろんゾーニングの線引きで争うのはアリだけど、どんな線引きをしても、H氏の作品は暖簾の向こう側に行かざるを得ないんじゃないかなぁ……だってあれガッツリ sexしてるし露骨に男性器を描写してるでしょ。あれがセーフになるようなゾーニングの線引きってもう「R-18Gとそれ以外」以外になくない？
上のような状況がある中で、「BLの次は男性向けですよ？」「まあ過激なエロのゾーニングには賛成ですけど」という不必要な煽りを行ってただでさえ少数のガンジー派を分裂させたH氏は、まあなんというか、無能な味方って怖いっすねという感じ
今後、過激なBLのゾーニングに反対する人は、「エロ本をコンビニに戻すことを支持します」は前提で（なぜならそれはゾーニングしていたのに撤去されたから）、「男性向けゾーニングも撤廃しましょう。『主任のエロさ、コンプラ違反です』や『がいがぁかうんたぁ』を普通の本棚に置ける社会を！」って言うのが最低ラインなんじゃない？　だって、「男女平等」と「過激なBLのゾーニング反対」を両立させようとしたら、こういう結論に絶対なるはずでしょ。別にロビイングしろとか署名集めろとかじゃなくて、口で言うだけでもいいからさ
もちろん増田はそう主張する。BLのゾーニング反対！　エロ本をコンビニに戻せ！　男性向けエロ本を暖簾の向こうから解放しよう！　男性向けにも女性向けにもゾーニングのない理想郷を！