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2016-06-18

[]18:増田の野望

 増田家(八)の領土は史上最大となり、そして史上最大の危機にあった。

増田家(士)との戦争本貫地を荒らされ、一度は決戦に敗れ、極限までの動員を強いられた。

金食い虫である艦隊増田島の南北両岸に整備してもいる。

増田(七)領に避難してきた「宮」への手当も必要だった。

 なにより深刻なのは、かつての本拠地継続している一揆存在だ。

増田家(士)の横暴をうけて決起した彼らは独力で侵略者を追い払ったのだと過信し、

独立や自治の大幅な拡大を求めていた。

増田家は外敵から彼らを守る義務を一時放棄したわけで、しかたのない面はある。

 だが、巨大な領主に戦功以上のものを認めるつもりは、さらさらなく、官僚たちにねばり強い交渉を継続させていた。

 内憂に対して外患である増田家(四)も増河決戦後の無理が祟って活力を大幅に減じている。

それでも、増田島に一対一の存在になった事実は重く、早期の統一による平和を求める世間圧力もあって、

戦機の果実は無理矢理エチレンを塗りたくられた状態にあった。

 最悪の場合増田領(八)の内部で増田島の群雄割拠再現されるだけなのだが、

相手意識なき増田島の統合意思ではそれを指摘しても説得しようがない。

 両者は神経と国力をすり減らしながら共に戦備を整える状況だった。

 そんな中、キャスティングボートを握ることになったのが、西の祖国を取り戻した増田家(十)当主である

彼は「主君から再三の出兵を求められながら、言を左右にして逃げていた。

 実際に旧増田領(士)の平定に手を焼いていることや、船団が嵐に遭い兵力の六割を失った事情があって、

兵の抽出は困難だった。

 しかし、それだけではない。彼には増田家同士が消耗した状態中央に打って出れば、

漁夫の利によって天下を得られるのでは?という野心が確かにある。

 お家を再興できただけでも恵まれているのに天下を望んでしまう。

人の欲望には限りがない。あるいは傭兵となって天下を見てきたからこそ、

それを手に入れる夢を見てしまうのかもしれなかった。

 少なくとも出兵の見返りに増田(九)領くらいは手に入れたいものだ。

甘い考えに溺れていた当主鼻歌交じりに寝室に入ったところで、その鼻をひくつかせた。

(わ、私のじゃない脱糞臭いがする!?……こ、こわ~っ)

「タレカアル!?

 不審を通り越して恐怖を覚えた当主ふすまを開けて人を呼んだ。

「ここに」とやってきた一人の男に安堵するも、よく見るとまったく知らない顔だ。

プライベート空間の深部で、それはありえない。

「お主は誰じゃ!?

 そいつは鍋が煮立つように笑う。

「拙者は増田。誰でもあり、誰でもない。時にはお主自身でもある……こぉんな風に!」

 男の顔は当主の顔と、うり二つに豹変した。それでいて、まがまがしい瞳の奥は底が見えない。

当主の写し身は大口を開いて笑う。

「ぬぉおおおおっ!」じょばばばばば

 当主は失禁しながら刀を振り上げた。――その動きが布団をはねのけて、彼は目覚めた。

「……夢か」

 しんと静まりかえった寝室を見回す。そして気付く。

(私のじゃない脱糞臭いがする!?

 増田家(十)当主大脳が壊れるよりも出兵を選んだ。

増田家(士)と同じように、忍びいくさでは「主家」に敵わないと判断したのだ。

もっとも忍びの働きも本人の解釈にすぎず、彼が来て見て嗅いだモノの正体は後世に至るも謎のままである

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