はてなキーワード: 火星とは
高校三年の夏、僕のバットは空気を切り裂いて、放られたボールはキャッチャーミットに吸い込まれた。
ストライクのちぎれるようなアンパイアの声とともに蝉の音が滲んだ。僕への代打は見送られた結果だ。
イーロン・マスクという男がいる。
彼は何度となくテスト飛行を繰り返して、スペースXプロジェクトにて火星への夢を見上げる訓練をしていた。
そんな言い方は君たちを混乱させるだけかもしれないね。
見えない草の匂い、球場の太鼓の音、きっと小さい粒になって眼差しを向ける彼女だった人。
イーロンのロケットが墜落した。
2020年12月のことだ。ロケットはバットに当たるわけじゃない。空振りもない。
だけどもロケットは大きな成層圏に拒否されておずおずと地球に舞い戻って消えてしまった。
イーロンはそれを大きな一歩と称賛した。
僕が土を持って帰った夏が今乗るロケットの窓に重なる。
甲子園、土はどこまでも黒く、絶望の彼岸へと続いているように見えた。
僕の首は重たく、空を見あげることができなかった。
フォークと判断した指先からの白い楕円は、吸い込まれるように拾われて運ばれてしまった。
その後気落ちした僕は彼女の声も耳に入らず、疎遠になり別れてしまった。
全てが灰色になってゆく中でごく普通に就職した。コンビニで惣菜を買うようにだ。
痛みも和らぎ始めた頃、何かを始めようと笑顔で前を向く男を見た。
時代はインターネット全盛期だった。僕らの味わった暗闇もスマートフォンで見ることができる。
くたびれた僕の中で若芽が透き通る空に伸びてゆくように感じた。
JAXAに勢いで電話し、メールも打った。僕の人生がここから変わってゆくような気がした。
周囲の人間はお前の歳で宇宙を目指すのは自殺行為だとか、何も達成したことがないのだろうとか、成功するやつは若くして成功してる、イーロンだってそうだろう、とたしなめてきた。
全てが耳に入らなかった。僕はあのときの打球を思い描いていた。
こんなに努力できたんだと思い、自信がついてくる。
気づけばイーロンに肩を抱きしめられていた。ロケットの前でだ!
この窓の外に見える小さな蜘蛛の渦や大きなアフリカ大陸や、僕の青春が詰まった島国や、全てが蒼いんだ。
ロケットの噴砂音が聞こえなくなった。管制塔の通信が耳元に響いてくる。
管制塔から拍手と歓声が聞こえる。そして緊張した声で彼らの仕事が再開される。
僕の夢は宇宙間を飛んだんだ。
宇宙間を、飛んだんだ。
了
https://news.yahoo.co.jp/articles/6a3ecc5d86ac23bc40fe3438fb41c10a4604fdf6
「もしドラえもんのひみつ道具を買えるとしたらいくらまで出せる?」
って話なんだが、
「とうめいマント」約1億4900万円
「どこでもドア」約1200万円
「タイムマシン」約3500万円
「もしもボックス」約9000万円
「アンキパン」約8万円
だそうだ。
お前ら秘密道具ナメてんのか。
アンキパンは、まあ妥当な所かも知れんが、他はお話にならんだろ。
どこでもドアが約1200万円? ランボルギーニ・アヴェンタドールの4分の1?
ちなみに地球から最も離れた人工物は、ボイジャー1号で既に太陽系内にいないが、それでも1光日に達してない。
火星どころか、別の恒星系であるケンタウロス座アルファ星であろうと5秒で到達できるんだぞどこでもドアなら。
1200万で買えると思ってんのか?
ソノウソホントも「宝くじで100億円当たる」と一言で100億円手に入るんだが、出せる金が7億3900万円だと?
どんだけケチなんだよお前。
書くと長いので省略するが、色々しんどいこともある。
日頃の鬱々とした気分を晴らすために、週に1〜2度、主に週末の夜、子供を寝かしつけた後に家を抜け出していた。向かうのは近所の高台にある公園だ。
昼間は散歩するご老人や犬の散歩する人々もいるが、夜は誰もいない。田舎の山沿いの住宅地なので、住民以外に通り掛かる人もいない。
その誰もいない高台の公園で水筒のお茶を飲みながら(贅沢したい日は缶コーヒーを買って飲みながら)夜景を眺めるのだ。
田舎の住宅地の夜景なので、住宅の明かりと、その向こうの田んぼの暗闇と、更にその向こうの国道沿いの靴屋の明かりくらいしか見えないがそれでも十分だった。ただ一人でぼーっと見ていられたらそれで良かった。
2ヶ月ほど前、その日も私は高台の公園に向かっていた。いつものように公園に向かう階段を登り始めた途端、階段脇の植え込みで突然ガサガサッ!と大きな音がした。続いて、「ブフォーッ」何か大きな獣の鼻息が。
多分イノシシだ。メイビー イノシシ。プロバブリー、の方がいいか。とにかくイノシシだろう。私はじりじりと後退りし、そのまま家に逃げ帰った。
そういえば役場からイノシシ出没のお知らせはあった。でも出没地点は町の反対側で離れていたので油断していた。甘かった。
憩いの場をイノシシに奪われ、週末に出かけることもなくなった。その結果、まず
・4キロ痩せた
驚きのダイエット効果。イノシシダイエットと名付ける。ご存知でしたか?
・食事作るのが遅くなる
前なら弁当作るのに一時間あれば出来ていたのが1時間半〜2時間かかるようになってしまった。一度に複数の作業やるのがしんどい。かぼちゃが煮込まれるのをぼーっと待っていたりする。夕食も同じく。こうして文章に書いてみると何が悪いのかわかりやすいので、事細かに作業内容を書き出して作業スケジュールを組んでみることにする。
夜、外に出られないのでベランダから星を見てみた。大きな赤い星が見えた。火星かな?でもあの方向には見えないのでは…と思ってよく見たら飛行機だった。
こうやって文章に書くとと少し気が楽になった気がする。増田は夜の町の灯りのようだ。
イノシシを倒したらまた書き込もうと思う。
それまで灯りが絶えませんように。
黒柳徹子は考えた。
すでに人間がいないので、チンパンジーを椅子に座らせると徹子の部屋を開いた。
さすがの黒柳徹子も徹子の部屋を常に開いていない場合、命が尽きてしまう。
チンパン「ウホホ」
徹子「あらそう、そんなことが(笑)」
徹子はとりあえず嬉しかった。
事実森が消えてチンパンたちが死ぬと、地球から徹子の部屋を開ける場所が急速になくなっていった。
食料も水も酸素もいらない。しかし徹子の部屋は開かなければ死んでしまう。
黒柳は長い時間を掛けてケープカナベラルに残った無人のシャトルを横領し、火星へと飛んだ。
そこから数十万年、黒柳の子孫である玉ねぎ一族は玉ねぎ頭を揺らしながら火星を蹂躙することになる。
徹子たちはなにかに飢えていた。
ボランティアに身を投じたい。
火星で、それも徹子しかないこの場所でボランティアなど夢また夢だ。
この飢餓的な意識は火星の岩石に向けられ、死に近くなった徹子種は岩石を守るように死んでいった。