2人で夜の静かな校舎を抜けて、
駅までの住宅街の道をゆっくり歩いた。
沈黙は嫌いなんだよ、と君が笑っていたのはいつだったか。
一言も発さないまま黙々と駅へと歩いた。
お互いが、あの日の事を無かったことにしようと思い過ぎるあまり、また傷口を開いてしまった。
人通りのない、街灯もまばらな道で
君の背中が時折光の中に入ったり、また暗闇に消えていったりするのを目で追っていた。
10分ほどの時間が何倍にも感じられた。
真上では夏の大三角形が悲しいくらい綺麗に輝いていた。
分かれ道に差し掛かった時、ようやく口を開いた。
また君は嘘をついた。
「そっか。」とだけ言って手を振って別れた。
それから、たくさんの光が煌々と輝く大通りの道を、
なんども涙を拭いながら歩いた。
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