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2022-10-22

中国共産党20党大会(二十大)後の新人

中国共産党20党大会(二十大)後の新人

※習派以外はほとんど引退という人事になった。習近平独裁地位確立されたと見て良いのか?

 ソース記述は、wikipediaといくつかのニュースサイト、及び個人的観測に基づく。

1 総書記最高指導者

習近平最高指導者中共総書記国家主席中共中国中軍委(中央軍事委員会主席習近平

2 中央政治局常務委員(留任) ※記載序列

王滬寧(中共中央書記常務書記中共中央精神文明建設指導委員会主任。党内の理論担当で元々は江沢民に抜擢された)習近平

趙楽際中共中央規律検査委員会書記党大会代表資格審査委員会主席

この他に4名又は6名補充される?

3 前・中央政治局常務委員引退) ※記載は退任前の序列

栗戦書(全人大常務委員会委員長習近平

李克強国務院総理)反対派?

汪洋(政協主席)反対派?

韓正(国務院常務副総理)反対派?

※通常、元老として扱われる。元老としての序列不明だが、おそらく栗戦書と李克強温家宝の次、汪洋と韓正は末席に列するのではないかと思われる。


4 中央政治局委員以上(留任) ※記載姓氏簡体字画数の順

丁薛祥(中共中央書記処書紀、中共中央弁公庁主任総書記弁公室主任国家主席弁公室主任中央国家機関工作委員会主席習近平

李希(広東省党委書記習近平

李強(上海市党委書記習近平

李鴻忠(天津市党委書記習近平派?

張又俠(軍人人民解放軍上将)、中共中国中軍委副主席習近平

陳敏爾(重慶市党委書記習近平

胡春華国務院副総理団派胡錦濤派)。反対派?

黄坤明(中共中央書記処書紀、中共中央宣伝部部長)習近平

蔡奇(北京市党委書紀)習近平

5 中央政治局常務委員参加者(二十大以前の状況。この対偶が続くかは不明王岐山元老として扱われる資格がある)

王岐山(元常務委員国家副主席)反対派?(元は習近平派)党大会開会式欠席

6 前・中央政治局委員 ※記載姓氏簡体字画数の順

王晨(全人大常務委員会副委員長序列1位)、元中中央宣伝副部長、元「人民日報」総編集習近平派→引退

劉鶴(中共中央財経委員会弁公室主任国務院副総理習近平

許其亮(中共中国中軍委副主席習近平

孫春蘭(女)(国務院副総理団派胡錦濤派)?

楊潔篪中央外事工領導弁公室主任外交トップ習近平派?

楊暁渡(中共中央書記処書紀、中共中央規律検査委員会書記国家監察委員会主任習近平

陳希(中共中央書記書記中共中央組織部部長、中共中央党校校長国家行政学院院長。習近平とは大学で同室の親友習近平派、党大会代表資格審査委員会副主席

陳全国(元新疆ウイグル自治区委員会書記、元新疆生産建設兵団党委書紀)団派胡錦濤派)?習近平派?

郭声琨(中共中央書記処書紀、中共中央政法委書紀。司法トップ江沢民派。反対派?

7 正国級元老(元最高指導者、元常務委員)※記載序列

江沢民(元最高指導者江沢民派。反対派?党大会開会式欠席

胡錦濤(元最高指導者団派胡錦濤派)。反対派?党大会閉会式直前に追い出される

朱鎔基(元国務院総理)反対派?党大会開会式欠席

李瑞環(元国務院総理)反対派?党大会開会式で全く拍手せず

呉邦国(元全人大常務委員会委員長)反対派?党大会開会式欠席

温家宝(元国務院総理団派胡錦濤派)。反対派?

賈慶林(元常務委員江沢民

張徳江(元常務委員

兪正声(元常務委員

宋平(元常務委員1917年まれ建国以前から共産党員周恩来秘書胡錦濤温家宝を抜擢。胡錦濤江沢民後継者に推薦)保守派。反対派?

李嵐清(元常務委員

曽慶紅(元常務委員江沢民派。反対派?

呉官正(元常務委員

李長春(元常務委員

羅幹(元常務委員)反対派?党大会開会式欠席

賀国強(元常務委員

張高麗(元常務委員江沢民派。2021年に性スキャンダル発覚

8 その他

王毅中央委員。留任)

2022-10-19

日米は台湾中国の一部であることを承認しているか

日米は中国共産党による台湾統治を認めているというブコメがあった。

よく誤解されているところなので整理しておこうと思う

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.afpbb.com/articles/-/3429477

台湾中国の一部で、その中国とは共産党のことで、ってところまでは日米ともに一応承認してしまってるはずなんだけど、台湾侵攻始まった時どう言う根拠で参戦するのだろうか。政治判断難しそう。

1日本立場

日中共同声明を見てみよう。

中華人民共和国政府は、台湾中華人民共和国領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。

日本政府は、この中華人民共和国政府立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。

これをもって「日本中華人民共和国台湾が一体であることを認めている」とする人もいるが、それは誤りであり、その理由は以下の通りである

日本は「中華人民共和国が主張しているという事実」を理解尊重しているに過ぎず、その主張を認めたものではないこと

何を勝手な、と言われそうだが、少なくとも日米(そして当時の中華人民共和国)はこの解釈で間違いない。

当時、日本中国に「中華人民共和国政府立場を十分理解し、尊重」という文言を持っていって、中国拒否されている。これは、「立場理解尊重」と言う文言では、中華人民共和国による台湾統治を認めたことにはならない、と当の中華人民共和国が考えていた証拠である

そこで、これに困った日本が「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持」と付け加えて周恩来了解を取り付けているが、それについては後述する。

また、当時のアメリカのでも、「中国がそう主張していると認識(acknowledge)している」(ニクソン訪中)ととらえられており、日本はそこを踏み越えていないのは日米中の共通認識だ。

ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持」とは何か

それでは、付け加えられたこ文言にはどういう意味があるのだろうか。引用しよう。

ポツダム宣言

第8項 カイロ宣言条項は履行せらるべく、また、日本国の主権は、本州北海道九州及び四国並びに吾等が決定する諸小島局限せらるべし。

カイロ宣言

満州台湾及び澎湖島のような日本国が清国人から盗取したすべての地域中華民国返還する

さて、ここで二通りの解釈が出てくる。というよりも二通りの解釈が出きる余地を残した。

日本台湾中華民国返還した。中華人民共和国中華民国継承した国家なのだから、当然日本中華人民共和国による台湾領有を認めている」

日本台湾中華民国返還した。後の事は日本の預かり知るところではない」

そして、これはあえて決着をつけずに残しておいた。(外交交渉とは往々としてそういうものだ)

2どういう根拠で参戦するのか

日本見解はこれである

中華人民共和国台湾との間の対立は、基本的には中国国内問題であると考えます我が国としてはこの問題当事者間で平和的に解決されることを希望するものであり、かつこの問題武力紛争に発展する可能性はないと考えております

なお安保条約適用につきましては、我が国としては、今後の日中両国間の友好関係をも念頭に置いて慎重に配慮する所存でございます

(S47.11.8衆予算大平外務大臣答弁)

基本的には

当事者間の平和的話し合いが行われている限り」という趣旨

(当時の実務担当者である栗山駐米大使証言

安保条約適用…慎重に配慮

その前にある「この問題武力紛争に発展する可能性はないと考えており」が前提であるため、この答弁時点では「それを前提として検討はしていない」ということだ。

加えて、「仮に武力紛争に至った場合には、そもそもの前提がひっくり返ってるのでこの限りではない(=安保条約適用になるかもしんないけど、そのときになんないと分かんないし留保するね)」とのべている。

ざっくりといって、少なくとも武力紛争に至った場合には安保条約の定容範囲外とは捉えていない、という認識である

3アメリカ立場

台湾関係法のとおり(台湾防衛アメリカ義務ではないが、大統領にはその権限がある)

長くなったので暇になったら詳しく書く

2022-07-02

中国文化大革命期における文化財保護をめぐる一考察

1966 年 8 月 24 日,杭州第四中学校などの中高生紅衛兵,二千人余りが,霊隠寺を取り壊そうとした際,浙江大学大学生たちは全市で提案のビラを配り,市民文物保護しよう,霊隠寺を保護しようと呼びかけた。

8 月 27 日,周恩来浙江省委員会の指令をうけ入れた紅衛兵らが霊隠寺を去ると,霊隠寺は破壊を免れた 。

8 月 26 日,洛陽龍門石窟洛陽第八中学校紅衛兵による破壊に直面した時,洛陽農機学院大学生らは龍門石窟に行くと,辛抱強く中高生紅衛兵を説得し,一週間,そこに留まって守った。その結果,最終的に龍門石窟保護された 。

あの時代狂気に呑まれて凶行に走った者もいれば、逆に守り抜いた者もいる。

2022-01-12

遠藤さんの文章はいつみてもわかりやすく内容が豊富だなあ

習近平三期目は異例ではない――鄧小平神話から脱却せよ

遠藤誉

中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授理学博士

1/12(水) 13:09

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習近平中共中央総書記写真:ロイター/アフロ

 今年秋に開催される第20党大会習近平の三期目が決まるが、建国以来の中国の動きから見れば異例ではなく、むしろ鄧小平個人指名による江沢民政権胡錦涛政権けが異例だった。鄧小平神話中国真相を見抜く目を曇らせている。

歴代指導者の君臨期間に関して

 1949年中国中華人民共和国)を誕生させた毛沢東は、事実上1976年9月逝去するまで実権を握っていた。途中で国家主席の座から降ろされてしまった時期があったが、それでも中共中央委員会主席現在中共中央総書記)と中央軍事委員会主席ポジションだけは維持し続けたので、27年間にわたって実権は毛沢東の手の中にあった。

 鄧小平は最終的には1977年7月に開催された第10党大会三中全会から復権し、職位としては中共中央副主席国務院常務委員会副総理中央軍事委員会副主席と、「副」でしかなかったが、1981年中共中央軍事員会主席、83年から国家中央軍事員会主席になるなどして「軍」だけはトップの職位を要求している。

 職位が何であろうと、実権を握っていたのは鄧小平で、鄧小平一言は「神の声」として恐れられていた。

 1994年健康を害して政治舞台から退いたが、それまでの17年間は、実際上の実権を握った最高指導者として君臨していた。

 恐るべきは、鄧小平の一存で天安門事件後の中国を統率する指導者江沢民とすると決めてしまい、その期限を10年と定めて、江沢民の次の代の指導者胡錦涛として決めてしまたことだ。

 こうして江沢民政権を基本10年間、胡錦涛政権を基本10年間と、鄧小平の「神の声」が決めてしまったのである

 もっとも、江沢民場合は、1989年6月4日天安門事件があったために指名しているので、1992年10月に開催された党大会まで3年間余分に中共中央総書記をしており、国家主席になったのは1993年である

 したがって江沢民中共中央総書記ポストに「13年間」就いており、国家主席だけ1993年から2003年まで「10年間」就いている。

 その意味で、中共中央総書記および国家主席就任期間「10年間」を正確に守ったのは、中国建国以来、「胡錦涛一人だけ」だったということが言える。

 中央軍事委員会に関しても1982年末の憲法改正により国家中央軍事委員会設立され83年からは「中共中央軍事員会と国家軍事委員会」が一つになり「中央軍事委員会」となったが、江沢民はこの中央軍事委員会主席1989年全人代では1990年から2004年(全人代では2005年)まで「15年間」も務めている。

 というのも、中共中央総書記にも中央軍事委員会主席にも任期期間に関する制限がないことを利用して、2002年に胡錦涛中共中央総書記になったというのに、江沢民中央軍事委員会主席の座を胡錦涛に譲らず、「駄々をこねて」降りようとしなかったからだ。

 しかし反対者が多く、中共中央委員会では2004年に、全人代では2005年にようやく中央軍事委員会主席の座を胡錦涛に明け渡したのである

 その意味で、中央軍事委員会主席に関しては、誰一人「10年間」という期限を守っていない。胡錦涛江沢民任期内に食い込んできたために、二期で合計「8年間」しか主席でいることができなかった。

習近平は、鄧小平によって指名された最高指導者ではない。

 その意味では、鄧小平によって指名されるという異様な事態を、「元に戻した」だけであるとも言えよう。

中国建国以来、鄧小平以上に独裁的だった者はいない

 では歴代指導者の中で、独裁度に関しては、どうだったのか?

 毛沢東の「鶴の一声」が法律となるというほど人治国家であったことは、今さら言うまでもないだろう。

 しかし、毛沢東はたった一人の国家主席劉少奇)を、その座から引きずり下ろすために、わざわざ文化大革命1966年1976年)を引き起こすということまでして、引きずり下ろす正当性を求めようとした点は注目すべきだ。

 それに比べて鄧小平はどうだろうか?

 いったい何名の国家主席あるいは総書記(当時は中共中央委員会主席)を、鄧小平の一存で引きずり降ろしたか、それをしっかり認識している人は少ない。

 拙著習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』に書いたように、建国後、鄧小平が、毛沢東生存中は陰謀により、毛沢東死後は一存により、失脚に追い込んだ国家指導層あるいはその予定者は数知れない。その名前と時期を以下に列挙してみよう。

1954年毛沢東後継者に考えていた高崗を、事実捏造により自殺に追い込んだ。 

 1962年毛沢東周恩来後継者として大事にしていた習仲勲を、冤罪により失脚させた(16年間、軟禁・投獄・監視)。

1980年華国鋒国務院総理辞任へと追い込んだ。

1981年華国鋒中共中央主席軍事委員会主席辞任)を失脚へ追い込んだ。

1981年華国鋒の代わりに自分の思い通りに動く胡耀邦中共中央主席就任させる(但し、1982年9月中央主席制度廃止中共中央総書記制度に)。

1986年胡耀邦中共中央総書記)を「気に入らない」として失脚させ、趙紫陽を後任に就ける。

1989年天安門事件とき言動が気に入らないとして、趙紫陽中共中央総書記)を失脚に追い込んだ。

1989年趙紫陽の代わりに、江沢民鄧小平の一存で中共中央総書記中央軍事委員会主席指名した。

1992年胡錦涛を隔代指導者に、鄧小平の一存で決定した。

 これだけの独裁ぶりを発揮した指導者がいただろうか。

 いずれも中共中央委員会常務委員会多数決議決制度がある中での出来事だ。この制度毛沢東時代からあった。そのような中での鄧小平独裁ぶりは群を抜いている。

 だというのに、鄧小平の老獪(ろうかい)な言動に騙されて鄧小平神格化した日本政府は、「中国孤立させてはならない」として天安門事件後の対中経済封鎖を積極的に解除させ、鄧小平応援して今日中国経済繁栄大国化を招いている。

鄧小平神格化が招いた中国経済繁栄

 何度も同じ図を持ち出して申し訳ないが、中国中央行政省庁の一つである商務部が『中国外資統計公報 2021』というのを出していて、その中に「対中投資企業数と外資実行額の変遷(1982-2020)」という図がある。

 それを日本語に訳して文字調整などをしたのが以下の図表1である

   図表1:対中投資企業数と外資実行額の変遷(1982年-2020年)

中国商務部データを作者が日本語訳し編成

 日本1989年天安門事件発生後の対中経済封鎖解除に動き、1992年には天皇訪中迄実現させた成果が、赤線で示した中国投資に参入した新規企業者数で如実に表れている(2018年の赤線ピークは香港関連)。

 恐るべきは、2017年にはトランプ政権中国制裁を加え始め、バイデン政権になってからも、あれだけ対中制裁叫びながら、何のことはない、投資額は年々増えているではないかコロナにもめげず増えている。

 いや、アメリカ日本はそんなことはしてないはずだと言う人のために、念のために2020年における国・地域別の対中投資企業と金額を見てみよう。

 上記公報にある当該図表を新規企業数の多い順に並び変え、日本語に訳したのが以下の図表2だ。

  図表2:対中投資新規企業数と実行額の国・地域トップ15(2020年)

中国商務部データから作者が日本語訳して編成

 ご覧の通り、アメリカ日本も、キチンと対中新規投資をし続けているのである。ここでは引用しないが、2019年も同じだ。

 これは鄧小平神格化し、その姿勢で習慣づいてしまった対中投資が、どんなにアメリカ制裁叫び日本が「アメリカと一体である」かのごときポーズを取ってみたところで、減少することはないのを如実に示したデータである

 ちなみに、香港マカオは「中華人民共和国特別行政区」なので新規企業数が多いのは仕方ないとしても、あれだけ日米に寄り添おうとしている台湾が、香港に次いで多いことも注目される(台湾に関しては別の機会に論じる)。

◆「習近平三期目は異例」より注目すべきは「鄧小平神話」の罪悪

 習近平は三期目以降を目指すため憲法改正まで行っているので、中国流ではあるものの、一応、憲法を重視しているということは言える。逆に憲法改正するところまで持って行っているので、三期目以降は既定路線と考えていいだろう。

 若者をはじめ中国庶民は、「中華民族の偉大なる復興」を政権スローガンとして経済的にアメリカに追いつこうとしている中国共産党政権を、悪くは思っていない。むしろ「強い中国経済」に自尊心を刺激され愛国主義が行き過ぎて、ネットナショナリズムに向けて燃えている若者習近平は手を焼いているくらいだ。

 しか日本は「習近平、異例の三期目」、「習近平独裁強化」、「習近平権力闘争路線対立」あるいは「中国経済は今度こそ崩壊する」といった類のセンセーショナル報道に飛びついて「安堵する」傾向にある。

 気持ちは分からないではないが、現実とかけ離れた情報に喜び虚実空間に酔いしれている間に、世界投資先は間断なく中国に向けて注がれており、中国共産党の一党支配体制強靭にすることに貢献しているのである

 現実マクロ視点で見るように、注意を喚起したい。

遠藤誉

中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授理学博士

1941年中国まれ中国革命戦を経験1953年日本帰国中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授理学博士中国社会科学院社会学研究所客員研究員教授などを歴任。著書に『裏切り陰謀中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権デジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジア地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

2021-06-05

anond:20210605083719

鄧小平氏のかわりに周恩来氏・趙紫陽氏・胡耀邦氏らで集団リーダー制を敷いていたら、

いまごろ中国台湾のように誰もが尊敬する国になってたろうね

現代中国が体の大きな園児のようなのは、まあほ鄧小平毛沢東この2名の誤謬だね

その背景には徹底的な「(他者への)不信・恐怖と暴力」がある

とはいえつねにほかの鄧・毛が発生しうるのがあの国なのだけどさ

かわいそうな国だね

2019-07-20

新左翼科学哲学好きな人に『三体』を全力でオススメする

おい、そこのお前!あさま山荘事件が大好きすぎてカップヌードル食う度に機動隊気持ちになっているお前!なおかつ伊勢×戸田戸田×伊勢かで議論したい相手がいないお前!お前だ!お前に向かって俺は今書いてる!

『三体』だ!『三体』を買って読め!せめてKindle無料サンプルは落とせ!BGMRHYMESTERのThe X-Day無限リピートだ!

よし、Kindle無料サンプルは読んだか?読んでないよな。面倒くさいもんな。あんくらいWeb上で読めるようにしといてほしいよな。まあいい、せめてSpotifyRHYMESTERのThe X-Dayリピート状態にして以下の文章を読め!

『三体』は最高だ!一般的なあらすじは「文革物理学者の父を失った娘が云々」などとぬかしているが、無料サンプルで読めるその描写が最高であることはまったく紹介されていない。引用するぞ。

 シュプレヒコールがおさまるのを待って壇上に立つ男の紅衛兵の片方が批判対象をふりかえって言った。

「葉哲泰、おまえは力学専門家だ。自分がどれほど大きな合力に抵抗しているか、わかっているだろう。そうやって頑なな態度をとり続ければ、命を落とすだけだぞ! きょうは、前回の大会のつづきだ。くだらない話はもういい。次の質問に真面目に答えろ。六二年度から六五年度の基礎科目に、おまえは独断相対性理論を入れたな?」

相対性理論物理学古典理論だ。基礎科目でとりあげないわけにはいかないだろう」と葉哲泰。

「嘘をつけ!」そばにいた女の紅衛兵のひとりが荒々しい声で叫んだ。「アインシュタイン反動的学術権威だ。欲が深く、倫理に欠ける。アメリカ帝国主義のために原子爆弾をつくった男だ! 革命を起こす科学を築くためには、相対性理論代表される資産階級理論の黒旗(反動象徴)を打倒しなければならない!」

(中略)

「葉哲泰、これは言い逃れできないはずよ! あなたは何度も学生反動的コペンハーゲン解釈を撒き散らした!」

「それが実験結果もっとも符合する解釈であることは厳然たる事実だ」これだけ厳しい攻撃さらされても、葉哲泰の口調は落ち着き払っていた。紹琳はそれに驚き、畏れを抱いた。

「この解釈は、外部の観察者によって波動関数の収縮が引き起こされるというもの。これもまた、反動的唯心論の表れであって、その中でも、じっさいもっと厚顔無恥表現よ!」

思想実験を導くべきか、それとも実験思想を導くべきか?」葉哲泰がたずねた。突然の反撃に、批判者たちは一瞬、言葉をなくした。

「正しいマルクス主義思想科学実験を導くのが当然だ!」男の紅衛兵のひとりが言った。

「それは、正しい思想が天から降ってきたと言うに等しい。真理は実験によって見出されるという原理否定し、マルクス主義思想がどのようにして自然界を理解するかという原則に反している」

 紹琳とふたり大学生紅衛兵は、無言で同意するほかなかった。中学生労働者出身紅衛兵とは違って、彼らは論理否定することができなかった。しかし、附属中学の若き闘士たち四人は、反動分子を確実に攻め落とすための革命手段を実行した。

最高かよ!!! 時はあさま山荘事件の数年前だが、アカの本場中国でも似たようなどうしようもないことが起こっていたのだ!引用最後の部分で作者がたくみカメラワークを用いて批判者側の「論理の欠如」を指摘しているのがまた光り輝いている。そうなのだ。この手の議論には論理というものがまったく存在しない。あるのは連想ゲームだけなのだ(「物理学者のお前は自分がどれほど大きな合力に~」「アインシュタイン核兵器帝国主義=敵」)。あさま山荘事件でもそうであった。無色のリップクリームを塗ったことと、彼女が死ななければならないということの間にまったく論理的な関係存在しない(そもそも何かと誰かが死ぬということの間に論理関係が成り立ちうるのかという問題は置いておくとして)。そこにあるのは、「革命」や「自己批判」といったマジックワードを挟んだアクロバティックな地滑り連想ゲームだけである

しかし、しかである。われわれはそうした連想ゲームに時として身を委ねてしまう。どころかしばしば喜んでその中に身を投じさえする。あさま山荘の彼らが目指した「革命戦士」という存在にどうしてもワクワクしてしまうのは、そこからこれまでわれわれが目にした「革命」や「戦士」についての輝かしい言説やビジュアルがまさしく連想ゲーム的に引きずり出される快感にわれわれが抗えないかである

ベネディクト・アンダーソン国民国家を『想像の共同体』と呼んだ」と言われるとき、たいていアンダーソンが主張したかたことは無視されている。アンダーソンはこうも書いている。「国民国家は『想像の共同体であるからこそ強いのだ」と。どういうことか。例えばご近所たちは想像の共同体ではない。そこに想像力が働く余地はないからだ。近くてよく見えるがゆえに嫌いなところがよく見えてしまう。しか国民国家想像の共同体であるから、そうしたデメリット回避することができる。逆の意味で、人類もまた想像の共同体ではない。そこにもまた想像力は働かない。あまりに大きな対象であるがゆえに、想像することができないかである(それを想像できるように「地球市民」とかいろいろなレトリックが開発されては頓挫した歴史があるわけだ)。つまり国民国家想像するのに小さすぎも大きすぎもしないがゆえに、人間の持つ最も偉大な能力想像力創造力を刺激する存在であるがゆえに、これほど大きな存在になり得たのだ。世界大戦を二度経験して、戦後エコやらなんちゃらがあってメイクアメリカグレートアゲインな今、人類人類想像力対象にすべきであると誰も[誰?]がわかっているはずであるが、そうした方法は未だ見つかっていない。めっちゃナウい想像力を持ってそうなイスラム国ですら国を名乗る時代である

そうした状況にある人類に対して、「地球市民」としての自覚想像力を持たせるために一番手っ取り早い方法は、宇宙人に攻めてきてもらうことである映画インディペンデンス・デイ』があれだけ面白いのは、その「俺たち感」を徹底して純粋ものとして描けているからだ(もちろん「俺たち」と書いたようにそこから女性排除されているのだが、それもまた「俺たち」の盛り上がりを純化させるように働いている)。しかし、この方法には大きな問題がある。それはわれわれの知る限り宇宙人が当分の間攻めてきそうにないという点である。したがって二番目の方法が取られることになる。それが科学教育である。ひとりの神様とか王様の下で人類みんなが仲良くするのは無理だとわかったので、次は科学様の下で人類全員集合しましょう、というわけだ。まあ、承知のようにこの方法にもいろいろ問題はあるのだが、他に良さそうな方法もないので多くの人々からのんべんだらりと支持されているといってよい。

科学の持つ大きな問題として真っ先に挙げられるのが、それが神様よりも信頼可能か?というものだ。科学教の信者はそうだとなんの疑問も持たずに答え、異教徒たちはおらが村の神様の方が偉いと主張する。そこを調停するのが科学哲学者の役割ひとつであったが、どっちつかずとして双方の陣営から攻撃されるため調停役に名乗りを上げる科学哲学者はほぼ絶滅している。

(注:ネタバレ防止のため人名固有名アルファベットに置換している)

「Aくん、きみは仕事範囲を逸脱しかけている」Bが首を振りながら言った。「研究理論的なものだけに絞るべきだ。こんなに手間をかける必要が本当にあるのか?」

「Bさん、この実験は、大きな発見につながる可能性があるんです」とAは懇願した。「実験絶対必要です、とにかく、一回だけやらせてください。おねがいします」

「B、一度だけやらせてみたらどうかな?」Cが言った。「オペレーションはそれほど大きな手間でもなさそうだし。送信後、エコーが帰ってくるのに要する時間は――」

「十分、十五分だろう」Bが言った。

「だったらXシステム送信モードから受信モードに切り替える時間もちょうどある」

 Bがまた首を振った。「技術的にもオペレーション的にも造作ないことはわかっている。しかし、C、きみはどうも……、この手のことには鈍感みたいだな。赤い太陽に向かって超強力な電波送信するんだぞ。こういう実験政治的にどう解釈されるか、考えてみたことは?」

AとCは、どちらも茫然としたが、Bの反対理由荒唐無稽だとは思わなかった。逆に、自分たちがその可能性を考えもしなかったことにぞっとしたのである

 この時代、すべてのもの政治的意味を見出す風潮は、不合理なレベルまで達していた。紅衛兵は、隊列を組んで歩く際は左折のみ許され、右折は禁止された。信号機は、赤が進めで、青が止まれでなければならないと提案されたこともある(周恩来首相却下されたが)。

(中略)

そういう風潮に鑑み、これまでAが研究報告を提出する際は、Bが必ず綿密な査読を行っていた。とくに、太陽に関する記述は、専門用語であっても、くりかえし吟味し、政治的危険がないように修正した。たとえば、“太陽黒点”という言葉使用が禁じられた。太陽に向かって強力な電波送信するという実験については、もちろん、千通りのポジティブ解釈可能だが、たったひとつネガティブ解釈がなされるだけで、関係者全員が政治的な災難に見舞われるにじゅうぶんだった。Bが実験要請を拒絶する理由は、たしか反駁のしようがなかった。

イアン・ハッキングがイヤンと言いそうなくらいむき出しの「科学社会的構成である!ここでも論理連想ゲームに膝を屈している。このことを中国特殊ものだと考えるのは科学教の信者である。似たようなことはどこの国でも多かれ少なかれ起こっている(また国家がくくりとして出てきてしまった!)。STAP細胞論理を飛び越えればどんなものまでが「発見」されてしまうるか、という好例であろう。それでも科学教の信者は言うだろう。「STAP細胞は誤りであることがわかった!これこそが科学勝利ではないか!」と。残念ながら科学はそんな単純なものではない。たとえばケプラー理論はそれ以前の理論よりシンプルでもなければ正確でもなかった。そのあたりのことはスティーブン・ワインバーグ『科学の発見』に詳しく書いてある。「それでもわれわれは今はケプラー理論が正しいということを知っている!これが科学進歩だ!」という主張は残念ながらワインバーグとは仲良くなれるが歴史学者から異端扱いされるだろう。このワインバーグの本は、「ノーベル賞物理学者科学歴史について論じたら歴史学者から攻撃を食らった」というそれじたいSFガジェットとして出てきそうなシロモノなのだが、けしてトンデモ本でなくワインバーグ確信犯的にその地雷を踏んでいる。非常に面白い本なので『三体』を読んだあとにはぜひこの本を読んでほしい。『三体』に出てくる宇宙物理学理解の助けにもなるし。

話がそれた。『三体』である。まあ、歴史学者から異端扱いされようが科学者は科学者でやっているのである。……本当に?「科学をする」とはどういうことか説明できるひとは今のところ地球上に存在しない。どころか説明できるひとが今後現れる可能性もまた科学哲学者によってほとんど否定されていると言ってよい。では科学者は何をやっているのか?われわれのような皮肉屋に言わせれば「教義精緻化とその確認作業」とでも言い捨てられるだろうが、『三体』はそこに真摯に向き合っている。どころか、その先までをも作品の中に織り込んでいる。ネタバレになるので詳しくは話せないが、科学を「打倒する」ことを本気で考えてみた人はいるだろうか?いないだろう。『三体』はそれを本気で考えている。誰がなんのためにそんなことをし、さらにそれに抗うには何をするべきかを描いている。そしてその描き方がまた最高なのである。作中、ある「組織」が出てくるのだが、それがまたなんとも、「アカい」のである。もちろんそれは最初引用で出てきたような無知蒙昧なアカさではない。連想ゲームではなく論理によって貫かれた「アカさ」というものがあるとしたら、こういうものだろうという迫力がある。

作中にこういうセリフがある。「中国では、どんなにすばらしい超越的な思想もぽとりと地に落ちてしまう。現実という重力場が強すぎるんだ」と。これはおそらく作者の嘆きでもあろう。その重力場から逃れるために、作者はこれを書いたのだと思う。中国現実の重みは、隣にいるわれわれも知るところだろう。この作品は、その中国現実の重みを、実に力強く脱出していると思う。それがこの文章で伝わったかどうかは甚だ心もとないが、一人でも多くの、未だ北田暁大先生Twitterの件に心の整理がつけられていない人々が、『三体』を手にとってくれるよう望む。

2016-08-04

http://anond.hatelabo.jp/20160804190850

ぶっちゃけ旧日本軍大将の子孫が、現在政治・経済要職結構いるからね。

まあ個人的に思うに、日露戦争までは正しかろう。

日本人旧日本軍被害者だった、だからこれ以上もめてもしゃあないよ、っことでちゃんちゃんにしようとしたのは、田中角栄さん日中国交正常化交渉における、かの周恩来さんの知恵みたいだよ。で、江沢民がこれをぜんぶひっくり返したようなもの

2011-11-16

TPP最終的には参加するわけがない

周恩来に大恩がある日本中国抜きに参加する訳がない。

みんな無知を装っているのか、無恥なのか。

2009-07-25

中国情勢 - 上海市中国で初。「一人っ子政策」の撤廃へ

人口老齢化、労働階層の激減は上海の衰退をもたらす懼れ

一人っ子政策が緩和方向にあることは近年の中国社会の急速な老齢化が表面化したからである。

労働人口の減少は外国人労働者の急増となり、上海の場合「外国人労働者」とは、すなわち浙江省江蘇省の近県ばかりか、安徽省福建省湖北省などの「よそ者労働者の激増となり、差別、文化摩擦、対立がおきるのは必定。上海のおける暴動要素の第一は、これである。

すでに十年以上前から上海では、漢族でも「夫婦共に一人っ子の場合、子供は二人まで」OKだった。

この傾向は全土に広がり、2年前に全人代でも正式の議題となった。

だが実際に二人の子供をもうけた夫婦はまれ、理由は急激な所得上昇で妻も職を得るケースが増えたためである。

しかし中国最先端都市上海市はさらに「一人っ子政策」そのものの撤廃を検討し始めた、とフィナンシャルタイムズが伝えた(7月24日)。

実現すれば中国初。

それだけ人口の老齢化が顕著であるとともに、上海労働者不足が常に他府県からの流入労働人口を必要とするため。人口動態が激しいのも、国際都市宿命である。

現在上海市の書記は愈正声。三年前のスキャンダルで、政治局員でもあった陳良宇が失脚し、代理を韓正(現市長)がつとめたあと浙江省書記だった習近平が就任し、習はそのまま中央の政治常務委員に三段跳び出世という名門コース。

かつて江沢民上海市長だった。

愈正声は将来を嘱望されたエンジニア出身で、じつはミサイル工学専門家

紹興の出身だから魯迅周恩来、秋勤など、革命烈士が輩出した土地勲章にもなるわけだ。ミサイル設計数学がわかれば将来の人口動態をシミュレーションできたわけ?(笑中国情勢 - 

愈は山東省煙台市書記、青島市書記のあと湖北省書記を経て、上海に引っ張り上げられた。背後は上海派だろうと推定される。

現市長の韓正は団派。ふつう「書記」と「市長(省長)」との党内序列ならびに実力は天地の差があるが、上海の場合、韓正は政治力もあり、上海市民の人気も高く、実力派として評価する向きが多い。

2009-06-27

あの亡命中国人パイロット医師らはいま

パラオ諸島はウィグル人兵士の身の安全を保障できるのか?

中国からの刺客に無防備、米国はなぜ安全方面を考慮しなかったか

▲あの亡命中国人パイロット医師らはいま

政治は風向きが変わると、その渦中にいた人間は、その運命右から左へ、上から下へと突如翻弄されることになる。

 

台湾国民党独裁の時代、中国大陸から逃げてきた亡命者を「投奔自由」と比喩し、国民党系のメディアは英雄扱いした。

私は中国からの亡命者のなかでもミグ・パイロット京劇俳優作家医者(周恩来主治医もいた)、物理学者(中国の核物理学者もいた)、通訳など八十数人にインタビューし、『中国の悲劇』という本にまとめたことがある。

ただし国民党宣伝となってはいけないので米国へ逃げた人々も追いかけ、拙著の最後の場面は、台湾人作家北京へ逆に亡命し、はては米国へ再亡命した奇異の存在、陳若儀をサンフランシスコに訪ねて「それでも中国希望ありき」という談話で掉尾を飾った。

80年代前半まで、台湾には「同胞救済協会」のような支援組織もあり、亡命者台湾にあらわれる度に、大きな記者会見を開催し、ミグ・パイロットには黄金数キロという懸賞もつけて賛美した。

80年代後半から台湾は、この政策を止めた。

第一に中国からの亡命者台湾ではなく、欧米を目指し始めたこと。

第二に台湾は自由化を驀進しはじめ、とくに亡命者を賛美する風潮が掻き消えたこと。

第三に台湾社会亡命者を疎んじ、邪魔者視しだした。

どこかの国の状況と似ている。ベトナム戦争の英雄は、米国に帰ると邪魔者扱いされたように。

タリバン兵士らもまた政治に翻弄されている

既報のようにグアンタナモ基地に八年間、「タリバン」の容疑者として拘束されていたウィグル人兵士13名は、パラオ諸島に移送される。

最初は17名と言われたが、すでにそのうち四名はバミューダで暮らし始めたことが分かった。

ウォールストリートジャーナル(09年6月23日)は、「はたしてこれらのウィグル人らはパラオ諸島で身の安全が保障されているのか」とする疑問を報道した。

まともな軍隊警察もないパラオ人口わずか二万。二百数十の島嶼国家台湾外交関係があるため社会インフラ建設と整備には台湾がおおきく貢献してきた。

その台湾中国と接近している政治境遇の大変化も手伝い、中国の代理人や刺客の侵入はわけもないこととなる。

「しかし」と米国医者コメントしている。

「南洋ののんびりした島で休養がとれることは彼らのメンタル回復に役に立つはず。なにがしか働き、貯金し、かれらの人生の夢は最後にメッカ巡礼なのだから」と。

パラオ諸島が、かれらタリバン兵士被疑者を受け入れたのは、米軍の二億ドルの援助であり、人道的理由は二の次だろう。

もしヒューマニズムが最大の動機というのなら三年前の米国の打診開始の時点で受け入れる筈だから。

▲両天秤外交も挫折の時代へ

さて中央アジアイスラム国家キルギス政府は「米軍継続駐留を認める」と百八十度逆転の決定を『平然と』行った。

明日(6月25日)、キルギス議会は正式に決議する。

驚き桃の木山椒の木。

簡単に経過を振り返ると、アフガニスタン空爆の拠点としてキルギスマナ空港米軍の集荷流通センターのごとき兵站拠点としてきた。

昨年からキルギスでは「米軍は出て行け」という運動が(ロシアに支援されて)組織化され、ことし二月、キルギス議会米軍の撤退を正式に決議した。

米軍2010年8月をメドに撤兵する予定となった。背後にはプーチン政権の援助(水力発電プロジェクトなど20億ドル)があった。

この直後、或る米軍高官に聞いたことがある。すると、かれはにやりと嗤って「いずれ逆転がある」と意味深長に言った。『米軍の出費拡大がキィですよ』と。

両天秤外交は嘗てマレーシアなど新興アジア諸国でも顕著だった。当時は米国ソ連に援助合戦を競わせた。

 

政治とは不条理で成り立つ

キルギスは米ロに援助を競わせ、まんまと両国から援助拡大の約束を取り付け、米軍には空港使用料の値上げを認めさせた。

そこには倫理が介在する余地がない。私は嘗て高坂正堯氏が言ったことを鮮明に思いだした。

宮崎くん、そうはいうてもやな。外交道徳をいれたらややこしくなるで」。昭和四十三年春、セミナーが終わって大阪中之島から北新地二次会場へ向かう電車のなかだった。私は外交道徳について質問したのだった。

冒頭パラオのことに戻る。

太平洋存在する島嶼国家十二のうち、六カ国が中国寝返り、六カ国が台湾との外交関係を続けている。

いずれも激しく両天秤外交で成果を味わい、とくにキルバスなどは、二転三転。援助の多寡で自由自在に外交関係を切ったり繋いだり。同様のことは中南米諸国とアフリカで顕著である。

変化の予兆は中台の「雪解け」「一中市場」「国共合作」からである。

政治的潮流の大変化とともに、中国台湾も、援助合戦無意味さを認識し始めた。

もとより札束により外交関係を維持するという外交戦術を選んだのは台湾国民党時代であり、その台湾国民党政権復活により、みずから始めた援助外交を終息させる。

不条理! 

いや、政治とは不条理そのものではないか。 

2009-02-13

お笑い・おとぼけ・ずっこけ毛沢東 『毛沢東重返人間』(葉永烈 風雲時代出版 2002年

 張霞は毛沢東遺体が収められている毛主席紀念堂に勤務する女医

夫は香港生まれの台湾育ちで香港証券公司北京事務所首席代表。たまたま2人は留学先のハーバード大学で知り合って結ばれた。

現在住まい北京超高層マンション子供はいない。彼女の父親の張豪は、北京を中心に超高級大型マンション開発を次々と手がけるやり手不動産デベロッパー

祖父の張軍は毛沢東から強い信頼を寄せられていた身辺警護責任者共産党長老であればこそ、様々な恩典を享受している。

いわば歴代共産党政権の“いいとこ取り”を享受する典型的な老壮青三世代一家。毛主席万々歳で改革・開放もバンザイだ。

 ある冬の日の午後、アメリカ人の友人に誘われ北京郊外ゴルフを楽しんだ疲れからだろう、毛主席紀念堂2階の執務室で英文で書かれた『この目でみたソ連解体』を読みながら、彼女は寝入ってしまう。

どれほどの時間が過ぎたのか。ふと彼女の耳に、コツコツと怪しげな音が。夢か現か。目覚めた彼女階段を降りて音のする方へ向かうと、ケースに納められた毛沢東がカッと目を見開き、ジッと彼女に見入る。

20数年の眠りから目覚めたのだ。彼女は祖父に連絡し、誰にも知られることなく祖父の家に毛沢東を案内する。

 毛沢東を長患いがやっと癒えた書家の文潤之に変装させ、張霞と張軍が連れ出す。

先ず北京の街をドライブだ。因みに文は毛沢東の母方の生家の姓で、潤之は毛沢東の号である。

 張豪が自家用車を2台持っていることを知るや、毛沢東は「断固として改めねばならない資本主義的傾向だ」と、いきり立つ。

毛沢東の目の前に車庫から引き出された「桑塔納(サンタナ)」のハンドルを握っていたのは張霞。

「若い娘が車の運転か」と怪訝な顔つきの毛沢東に、彼女は「英語コンピューター、車は今時の中国若者にとって当たり前よ」と追い討ちをかける。

「20年ほど眠っていたが、まるで1世紀も後れを取ってしまったようだ」と嘆く毛沢東サンタナドイツメーカーと合弁で上海生産され、目下の中国では一般的な大衆車だとの彼女の説明に、「自力更生。独立自主という我が国工業政策の大方針に真っ向から違反している」と、トンチンカンにも心の底から不満をぶちまける。

 北京の街並みは一変し、文革当時の面影は皆無。「M(マック)」や「KFCケンタ)」の看板に驚き、若い男女の派手な服装に眉を顰める。繁華街を歩く彼の手に若い娘がパンフレットを手渡す。

文革宣伝ビラ。それとも中央トップの講話かな」と喜んだのも束の間。高級マンション宣伝ビラだった。

落胆頻り。自分と共に、周恩来、劉少奇、朱徳の横顔が並んで印刷された100元紙幣を手にし、「劉は党内外の一切の職務を解任され永遠に党籍を剥奪されたのに、なぜいま、多くの人民が使う紙幣印刷されているんだ。

これは文革をひっくり返そうという陰謀だーッ」と激怒。当たり前の話だが、まさにKYの極致。

 

以後、故郷の韶山を訪ねては資本主義的変貌に驚き、蒋介石江青からフルシチョフまで因縁浅からぬ人々と再会し論争し往時を語る。

ついには彼のソックリさんに見間違えられ公安まで出動する羽目に・・・。

「張先生、ぐっすりお休みでしたね」。

暫しの眠りから目覚めた彼女は慌てて一階へ。やはり毛沢東は、目を閉じてケースの中に横たわっていた。

幻想政治小説」と著者がいう『毛沢東、重(ふたた)び人間(じんかん)に返る』は激変する中国社会矛盾を抉りだし茶化す。

狂言回し毛沢東が可笑しくも悲しい。

 
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