はてなキーワード: 窃盗罪とは
表現の自由、そしてコミケ、アニメ、漫画などを守るために戦っていて、オタク層などに人気の参議院議員の著作です。
プロローグは表現規制が強化された近未来の世界を描いたディストピアSFです。
黒地に白文字のこのプロローグは一見しておどろおどろしい感じがして嫌だな、と感じたので初読時は飛ばしました。
本文を読んで山田太郎議員の活動や考え方を理解してからプロローグを読んだ方が、おどろおどろしさに煽られずに冷静に本文を読めますし、作者の考え方、議論の仕方もよく分かるでしょう。
なお、作者は本文中では「コミケ/漫画/アニメに危機が迫っていた」「作者がこう頑張って危機を回避した」というパターンの記述を繰り返していますが、オープニングと本文も類似の関係になっていることは、再読時にオープニングを読んで確認できました。
国会議員全員が法制度全般に詳しい必要はありません。しかし、自分で専門と宣伝している分野については詳しくあって欲しいものですし、本を出すのであれば、専門家の校正を受けて欲しいものです。
特に、本書は「コミケ/漫画/アニメに危機が迫っていた」「作者が頑張って危機を回避した」というパターンを繰り返しますので、法的論点の説明に疑問があると、「危機は本当にあったのか」「作者のおかげで危機を回避できたのは本当か」といった疑念が生じてしまいますから、法律部分の校正はもっと丁寧にやって欲しかったと思います。
日本では、「違法捜査が行われると有罪にできなくなる」というルールはありません。違法に収集された証拠について、その違法が重大であれば、刑事裁判の証拠として使用できなくなる、というルール(違法収集証拠排除法則)がありますが、排除されるのは基本的に、重大な違法があったその証拠に限られます。
本書で取り上げられた事件の例で言えば、仮にフィギュアの押収に重大な違法があったと裁判所が認定しても、フィギュアが証拠に提出できなくなるだけで、肝心の児童ポルノは証拠として提出できますから、有罪認定には何の問題も生じないのです。また、情状に関する証拠の押収はある程度認められますから、フィギュアの押収が違法かも微妙です。裁判所が合法と判断する可能性も十分あります。
作者の「違法捜査と認められれば、容疑者を有罪にできなくなる。今後は警察もこうした軽率な行動は控えるでしょう」という記述は的はずれですし、「警察に対して、相当強いプレッシャーを与えたはずです」というのは、説得力がありません。
著作権侵害の非親告罪化について、「著作権保持者以外が告発しても、それだけで検察が起訴できるように変えようとするもの」(90p)と述べていますが、これは不正確で、誤解を招く記述です。
そもそも、親告罪とは、「告訴がなければ公訴を提起することができない」一部の犯罪のことです。著作権侵害以外には、器物破損罪や強姦罪なども親告罪です。(なお、告訴がないとできないのは公訴の提起であり、告訴がなくても、捜査を行うことはできます。告訴の見込みがない事件で強制捜査を行うことはまず無いでしょうが)
親告罪でなくなれば、他の犯罪(窃盗罪とか、傷害罪とか)と同じように、「告訴がなくても公訴が提起できる」ようになるのであり、「著作権保持者以外の告発」は不要です。
作者は別の箇所で「刺し合い」の問題を提起(93p)していますので、そこに議論をつなげることを意識してあえて「著作権保持者以外の告発」という説明を入れたのかもしれません。しかし、読者の大半は親告罪の正確な意味を知らないでしょうから、最初の説明で「著作権保持者以外の告発」という親告罪であるか否かとは関係のない事項を持ち出すのは不適切です。
作者は非親告罪化と法定賠償金制度が組み合わさると、「二次創作の描き手が、非親告罪化により、著作権者でない人物から告発され、法定損害賠償制度によって、懲罰的な意味合いを含む多額の賠償を命じられるようになる……」と述べます(92p)。
この書き方だと、著作権者でない人物から告発されると法定損害賠償制度によって多額の賠償を命じられるように読めます。
しかし、仮に非親告罪化により、権利者の告訴なしで検察が公訴を提起したとしても、それはあくまで刑事事件であり、罰金を命じられることはあっても、損害賠償が命じられることはありません。権利者が民事事件を自分から提起してはじめて、法定損害賠償制度に基づく賠償が命じられる可能性がでてくるのです。
「非親告罪化により、著作権者でない人物から告発され」と「法定損害賠償制度によって、懲罰的な意味合いを含む多額の賠償を命じられるようになる」のそれぞれで別個の問題を指摘しているのかもしれませんが、この書き方では誤解を招きます。
大臣の言葉にそんな力はありません。作者は比喩として言っているのでしょうが、どのような趣旨の比喩なのか書いていないため、大臣の発言にどのような力があると言おうとしているのか、理解が困難です。
これは作者の独自説です。国際法の視点からみても、国内法の視点からみても勧告には強制力はありませんし、日本政府もそう解釈してます。
実際、日本は各種の人権委員会からたびたび勧告を受けてきていますが、そのほとんどに木で鼻をくくったような回答をして、事実上黙殺してきています。
作者は、国連の特別報告者が「成人のポルノは表現の自由により全て許される」と述べたことに対し、「日本人が一般に考えるわいせつ概念とは異なる」と反発しています。どうやら、作者は刑法によるわいせつ物規制には反対してないようです。
さて、最高裁の判例によれば、わいせつとは「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」を指します。よく誤解されていますが、性器が見えることは最高裁判例上は要件ではありません。
そして、刑法によるわいせつ規制は常に恣意的で、しばしば不合理なものです。例えば、女性アーティストの女性器の3Dスキャンデータという、常識的にはたいして「性欲を興奮又は刺激せしめ」るとも思えないものが摘発される一方、まさに「性欲を興奮又は刺激せしめ」ることに特化して作られたアダルトビデオがコンビニで成人用雑誌の付録として大量に販売されています。
このような恣意的な規制は表現の自由に関する萎縮効果が甚だしいのではないかと私は思うのですが、作者はわいせつ物規制の問題には興味がないようです。作者がこれから作られるかもしれない規定が乱用されることかもしれないことについては敏感なのは、表現の自由が萎縮しやすい権利であることから理解できます。しかし、すでにある規制が恣意的に運用されている問題には興味がなさそうなことには違和感がありました。
参議院議員の中には、表現の自由について見識があったり、作者の問題提起に応えてくれる人が他にもきっといるのではないかと思うのですが、他の議員の話はほとんど出ません。まるで、参議院議員の中で表現の自由を守ろうと頑張っているのは作者だけで、作者が一人きりでときに政府や与党と対決し、ときには協調して表現の自由の危機に対処しているかのようです。
表現の自由を守る議員を選びたい人にとっては、選挙区の投票先を選ぶためにも国会議員の中で表現の自由を守ろうと頑張っている人の情報が欲しいと思うのではないかと思うのですが、この本はその役には立ちません。出版時には作者はどの政党で出馬するかが決まっていなかったようなので、残念ながらそれは難しかったのかもしれません。
成人の児童ポルノ
星海講談社
今回の件で頭がおかしくなったので要約だけ書く。
休みの日の地元の小さなスーパーへ自転車で食料品を買いに行った。
食料品や日用品をかご入れてレジに向かったが、レジはいつの間にかセルフ形式なっていた。
セルフレジは使ったことがなかったので、戸惑いながら画面の指示に従ってバーコードを読み込ませた。
会計画面で5975円と出たので丁度の額の紙幣と小銭を入れた。
だが、投入金額は0円のままで1分ぐらい待っても何も起こらない。
仕方ないので店員を探したが回りにいなかい、呼んでみたが誰も来ない。
さらに3分ほど待ったが誰も来ず、画面にも変化がなく、レシートも出てこない。
どうしようもないので、かごの中身を持ってきた袋に詰めて店を出て駐輪場に向かった。
店の横ある駐輪場について自転車に乗って帰ろうとしたとき、店の裏手から警備員らしき人が走って出てきて腕を掴まれた。
万引きしただろうと言われた。
そんなことはしていない、お金を投入したがレシートが出てこなかったと説明しようとした。
だが、まったく聞いて信用してもらえず、警察が来るまで店の中に来いと、半ば無理やり店に引き戻された。
警察が来るまでの間、お金入れたのでレジがおかしいを言ったがまったくレジを調べようとしない。
10分ぐらいして3人の警察官が来た。事情を説明したがレシートがないから窃盗罪になる言われた。
お金は投入したといってもまったくのスルーでレジを調べようともしない。
監視カメラでは精算を完了せずに店外に商品を持ち出しているというのである。
このあと、警察署に連れて行かれて、いろいろ聞かれ、写真や指紋を取られ、よくわからない書面に署名させられた。
結局、万引きの疑いは晴れず、窃盗罪で書類送検されることになり、お店には商品の代金を更に支払うことになった。
この辺りから、頭がおかしくなりよく思えていない。しばらく会社を休んだ。
一週間ほどして会社から電話がかかってきて来て欲しいというので出社した。
そして、スーパーで万引きした件について聞かれた。スーパーから連絡があったらしい。
それから、更に一週間ほどして社長に呼び出されて、従業員規定により解雇するという。
頭が真っ白になり、何も言えなかった。
もしかして自分は本当に万引きをしたのか?とさえ思うようになった。
もう二度とセルフレジは使わないと決めた。
僕が先週買ったCDは、「俺はたまにガンジャを吸ってる ていうかそこらへんの山に生えてる」(本文まま)と歌っていたり、昔の反省をする歌でも「ガンジャと女でマジでいかれてたぜあの頃は」(うるおぼえ)みたいなことを歌っていて、僕は、「おまわりさん、この人です」と、聴くたびにいつも思う。
しかし、今日昼休みに、世界最高峰のディスカッションコミュニティであるところのはてなブックマークを眺めていると、全然別の話題であるが、その話題に、盗んだバイクがうんたらかんたら、とコメントがついており、それを見て、気づくことができたのです。
「盗んだバイクで走り出す」と歌った尾崎豊は、しかし窃盗罪で逮捕されることはなかった。それどころか、その曲は今でもTV番組のSEとかで頻繁に流れるし、名曲とされている。ここから、音楽の歌詞ではなにを言ってもフィクションであることが担保されていることが分かる。
極端なことを言えば「オレはいつか北朝鮮製の超ドープなスーパーデューパーミサイルを首相官邸のケツの穴にクールにブチ込んでやるぜ」と歌詞に書いても、逮捕されることがないのだ。すごくないかそれ、音楽の力はすごいなーー。
まあこれは俺の論文だけどな
事案の概要
本件は、父親である甲が、その息子であるAのパソコンやLANケーブルを息子の部屋から勝手に持ち出し、自己の車内に隠したとして、窃盗罪に問われ、刑は免除されたものの、逮捕されたため、甲がその勤めている会社Bに解雇されたことについて、Aが、Bの甲に対する解雇は解雇権の濫用として無効であると訴え出た事案である。
判決要旨
民間会社は、その雇う社員が不良な行為を犯すなど、会社との雇用契約を維持するに堪えない正当な理由があるときは、その社員を解雇する自由を有するものである。しかしながら、社会通念に基づき、その解雇によって社会的にとうてい受容できない結果が生じるなどする場合には、その解雇は、解雇権の濫用として無効となると解すべきである。
これを本件についてみると、甲は、その息子の生活の楽しみを邪魔するため、息子が不在である間に、息子の部屋に勝手に立ち入り、パソコンやインターネット接続に必要なLANケーブルを窃盗し、それを自己の車内に隠して息子がそれを取り戻せないようにしたことで窃盗罪に問われたものの、刑法244条1項によって刑は免除された。しかし、B会社は、科刑は免れたものの甲が犯罪をしたことは、甲との雇用契約を維持するに堪えない事由であると判断し、甲を解雇している。しかしながら、本件のように、家庭内において、父親である甲が息子の私物を窃盗し、それを息子が通報し、甲が正当な手続きで逮捕され、それがため甲が会社を解雇されて、息子を含む甲一家が生計を維持できなくなると、結局、Aは甲に窃盗を受けたにもかかわらず、それを通報すると甲がBから解雇され自己の生計が維持できなくなることは容易に想到され、Aは甲の犯罪について泣き寝入りをするしかないこととなる。このように、息子が父親から犯罪を受けた場合に事実上息子が父親の行為について通報できなくなる結果は、とうてい社会的に受容できるものではないから、本件のような事案において、甲が息子に対する窃盗を犯したことでB会社が甲を解雇することは、解雇権の濫用に該当すると解すべきであり、よって、本件においてB会社が甲に対してした解雇は無効であり、甲はB会社の社員としての地位を回復し、また、解雇以外の社内における一切の不遇な待遇(地位の下降など)も一切無効とされると解すべきである。このような事案において、B会社は、甲が犯罪をしたにもかかわらず一切の不遇な処遇ができないこととなるが、息子が父親からあらゆる犯罪を受けても通報できないという最悪な結果を避けるためにはやむを得ないものであり、B会社の社員に対する処遇権、解雇権等は、本件具体的事情の下においては、犠牲とならざるを得ないのである。