2014-09-17

父親が息子に対してした犯罪逮捕された場合における、父親の会社が父親を解雇にしたり地位を下降させるなど不遇な処遇をすることは一切無効

まあこれは俺の論文だけどな

事案の概要

本件は、父親である甲が、その息子であるAのパソコンLANケーブルを息子の部屋から勝手に持ち出し、自己の車内に隠したとして、窃盗罪に問われ、刑は免除されたものの、逮捕されたため、甲がその勤めている会社Bに解雇されたことについて、Aが、Bの甲に対する解雇解雇権の濫用として無効であると訴え出た事案である

判決要旨

民間会社は、その雇う社員が不良な行為を犯すなど、会社との雇用契約を維持するに堪えない正当な理由があるときは、その社員解雇する自由を有するものであるしかしながら、社会通念に基づき、その解雇によって社会的にとうてい受容できない結果が生じるなどする場合には、その解雇は、解雇権の濫用として無効となると解すべきである

 これを本件についてみると、甲は、その息子の生活の楽しみを邪魔するため、息子が不在である間に、息子の部屋に勝手に立ち入り、パソコンインターネット接続必要LANケーブル窃盗し、それを自己の車内に隠して息子がそれを取り戻せないようにしたことで窃盗罪に問われたものの、刑法244条1項によって刑は免除された。しかし、B会社は、科刑は免れたものの甲が犯罪をしたことは、甲との雇用契約を維持するに堪えない事由である判断し、甲を解雇している。しかしながら、本件のように、家庭内において、父親である甲が息子の私物窃盗し、それを息子が通報し、甲が正当な手続き逮捕され、それがため甲が会社解雇されて、息子を含む甲一家が生計を維持できなくなると、結局、Aは甲に窃盗を受けたにもかかわらず、それを通報すると甲がBから解雇され自己の生計が維持できなくなることは容易に想到され、Aは甲の犯罪について泣き寝入りをするしかないこととなる。このように、息子が父親から犯罪を受けた場合事実上息子が父親の行為について通報できなくなる結果は、とうてい社会的に受容できるものではないから、本件のような事案において、甲が息子に対する窃盗を犯したことでB会社が甲を解雇することは、解雇権の濫用に該当すると解すべきであり、よって、本件においてB会社が甲に対してした解雇無効であり、甲はB会社社員としての地位回復し、また、解雇以外の社内における一切の不遇な待遇地位の下降など)も一切無効とされると解すべきである。このような事案において、B会社は、甲が犯罪をしたにもかかわらず一切の不遇な処遇ができないこととなるが、息子が父親からあらゆる犯罪を受けても通報できないという最悪な結果を避けるためにはやむを得ないものであり、B会社社員に対する処遇権、解雇権等は、本件具体的事情の下においては、犠牲とならざるを得ないのである

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