はてなキーワード: 摺り足とは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%90_(%E6%AD%A9%E8%A1%8C%E6%B3%95)
まあ、ぶっちゃけこれだけ読めばいいんだが。
http://b.hatena.ne.jp/entry/s/japanbujut.exblog.jp/21221813/
ナンバの厄介なところはそもそもナンバの定義がされていないことだ。
「いやナンバは手を振らない歩き方で…」
「重心の移動が…」
「地面を蹴らない歩き方だ…」
「いや真の○○はそういうものではなくて…」とヌルヌルと形を変えて逃げてしまう。
ここではこの論文を参考にしよう。
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20181119154744.pdf?id=ART0009639792
武智とは演劇評論家の武智鉄二のことで、「ナンバ論」の元祖のような位置づけであることが分かる。
この時点で「歴史学とか民俗学とかの研究者ですらねえの?」って感じだけど。
ナンバというのは、農耕生産のための全身労働においてとられる姿勢で、右手が前に出るときは右足が前に、左手が前に出るときは左足が前にという形になる。
ナンバとは右足と右腕をそろえて前に出したいわゆる半身の構えのことで、簡単に言えば、農夫が鍬を手にして畑を耕す姿勢である。
これって「踏ん張りの効く姿勢を取るときは利き足を前に出す」ってだけの話じゃん?
西洋人だって鍬を振ったり剣で斬ったりするときは「半身の構え」だよ。
ナンバの姿勢を説明するときに、よく、右足が出るとき右手も前にだす、というように説明される。しかし、これは正確ではない。
日本民族のような農耕民族(牧畜を兼ねていない)の労働は、つねに単え身でなされるから、したがって歩行の時にもその基本姿勢(生産の身ぶり)を崩さず、右足が前へ出るときは、右肩が前へ出、極端に言えば右半身全部が前へ出るのである。
しかし、このような歩行は、全身が左右交互にむだにゆれて、むだなエネルギーを浪費することになるので、生産労働の建て前上好ましくない。
そこで腰を入れて、腰から下だけが前進するようにし、上体はただ腰の上に乗っかって、いわば運搬されるような形になる。
(中略)
まあ「江戸時代は草鞋や下駄だからそれに合わせた歩き方だった」というなら分かるけど、
「ナンバは疲れない、現代人の歩き方はダメ」みたいな話にはならないよね。
飛脚って利き手で荷物を持ってるから、常にそちらの手を前に出す形になっているわけで、
ぶぶぶぶぶぶ
室内から巨大な羽虫が飛び回っているような音がする。
古代の巨大昆虫メガネウラが乱舞していれば、こんな感じかもしれない。
扉の前に立ち尽くしたセミロングのお嬢様はつぶやいた。
「とっても嫌な予感がします。でも……」
室内にはレシプロソー(電動ノコギリ)を両手にたずさえたポニーテールのお嬢様が無言で立っていた。
彼女の得物は短いノコギリの分数千回におよぶ高速前後振動によって、
小さな力でも硬く大きなものが楽々解体できるかなり禍々しい代物だ。
対するセミロングお嬢様の武器はお召し物の中から取りだしたるSGP鋼管25A(B1)-500L、2本!
二刀流であることは同じだが、文明度では大きく水を開けられている。
「甘く見ないで!」
これはこれで怖い。ザ鈍器といった風情だ。
「……」
このシチュエーションで彼女が一番おそれるのは鋼管の投擲攻撃だった。
鳶道具もとい飛道具は使わなかった。
「ふっ!」
鋼管の先端には螺旋の溝が切ってある。すなわち長ニップルになっていた。
そのため、六角形やトゲ突きの棍棒と同じく対象へのダメージを広げる効果が期待できた。
ちぃぎゅぃんっ!
耳を聾する音を響かせて、長ニップルが弾かれる。ポニーテールのお嬢様がはじめて口を開いた。
チャンバラがはじまった。
お互いの得物にダメージが蓄積していくが、その程度が視認できるのは
鉄パイプの側のみ。絶えず震動するノコギリはなかなか把握しづらい。
(それに……)
ポニーテールのお嬢様は替え刃を持っていると鉄パイプウーマンは確信していた。
「……!」
ぢゅいぃいいいんっ!
高々と宙を舞ったのは鉄製ちくわの方だった。
もう片方の鉄パイプを挟み込むように切って上下のつながりを完全に断ったのだ。
「鉄パイプに魂はありませんでしたわ……」
わずか2コマの出来事にがっくりとうなだれるセミロングお嬢様の胴体を震動しつづける刃が強襲する!
彼女は吹き飛ばされ地に転がった。
「!?」
それなのに高速度鋼製ノコギリが破断するのは異様である。
彼女はあわてて替え刃をベルトにつけたホルスターから引き出した。
そして――」
鉄パイプ使いは、短ニップル付きのねじ込みチーズを取り出すと、新しい鋼管のねじにシールテープを巻き、ねじ込みフランジにねじ込んだ。
二本の長ニップルをユニオンやソケットでつなげば長い棒になり、
同時にレシプロソーの刃を付け替えたポニテお嬢様は首をかしげる。
「日頃の心がけが大切ですの!!」
トンファーの軌道は大きく弧を描き、先ほどのように挟み込んで斬るのは難しい。
その上、セミ様はただの棒ならウェアラブル武器庫の中からすぐさま取り出せた。
「ここまでよ!」
ところが今度はセミロングお嬢様が驚いた。
「この髪は使いたくなかった……痛むから」
ポニーテールがまるでサソリの尾のごとく立ち上がり、鉄パイプを受け止めたのだ。
思いもしない三本目の腕の存在にあわてて配管工は距離をとる。その前にレシプロソーが袖をさくが、かえって袖下のニップルに刃を損ねる。
「しかたありません……」
マリオ兄弟の同業者は瞑目すると、トンファーを手前に放り白銀に輝く鋼管を取りだした。
「聞いて驚きなさい。この鉄パイプはSUS310S製なのよ!」
ご家庭から化学工場まで幅広く使われているステンレスの基本種。
対してSUS310Sは見た目なんかはSUS304とほとんど変わりませんけど
使いこなせませんとS35Cより弱いお高い鉄滓みたいなものですのに
どうして武器に?」
「説明ごくろうさま。同材の”やくもの”が市場にない点が残念ですの」
セミロングお嬢様は急に多弁になったポニテ星人にほほえみ返すと、
話の合間にSCS14A製ねじ込みフランジの護拳とSUS316Lニップルの柄を鋼管に取り付けた。
組み上げたオーステナイト系ステンレスのレイピアをセミロングお嬢様は構え、一礼する。
「参ります!」
その一撃は速く、そして、硬い。
通常のステンレスは炭素鋼より強靱で、旋盤加工にも特別な設定が必要とされる。
無意識にさきほどまでの加減で刃をふるったポニテお嬢様は数合で鋸歯を消耗させてしまう。
だが、まだ動くポニーテールがある。いったん時間を稼いで刃の付け替えとスピコン設定を――
セミロングお嬢様はさりげなく狙った場所においておいたトンファーを安全靴が蹴り飛ばしたのだ。
「うくっ?」
これをポニテでなんとか弾いたお嬢様だが、次の一歩ですってんころりん転倒する。
「足下がお留守でしてよ?」
摺り足によってセミロングお嬢様は敵の足下に、パイプや継ぎ手をまき散らしていた。
音で薄々把握はしていても、ここまで攻撃を畳みかけられると回避しきれない。
ポニーテールのせいもあって意識が上に偏っていたお嬢様は、まんまと敵の罠に掛かってしまったのだった。
セミロングお嬢様は勝ち誇らない。
条件次第では1000℃にも耐えるステンレス鋼にレシプロソーが吹き飛ばされ、
最後の抵抗を試みるポニーテールに向けて、棍棒が打ち下ろされる。
「っ!!?」
倒れたお嬢様は思わず目をつぶった。彼女の自慢の髪は衝撃をうけ、しおしおのパーになった。
「いったい、なんだったんですの?この髪は……あら、手触り素敵」
たぶん何か原因があるでしょう。だがその他一切のことはわかりません!
残り4人。
前回
http://anond.hatelabo.jp/20160411184413
次回
http://anond.hatelabo.jp/20160414193717
幕間
何もなさそうに見える人でも、きっとこれを読んでいるあなたにも、喜怒哀楽にまつわる何かを抱えている。
そんな中で、朝起き、飯を食い、排泄し、移動し、労働し、消費し、翌日に備えて寝る、のサイクルを日々こなす。
それは綱渡りに似て、ちょっとした一押しで転落する可能性を秘めた、バランスをとる作業。
右に体重がかかりすぎれば、左に寄り、左に重心を置き過ぎたなら、右に寄り。
コツをつかんだ者はバランスに強く、スピードのある者も意外と転落しにくい。
バランスをとるために人には言えない工夫をするが、そんな自分が虚しくなる夜もある。
だから少し思いを吐き出してみた。
反応は思ったより多かった。
「お前が選んだ道」「自分に酔っている」「お前に欠陥はないの?」
うるせえ、と口に出して、今日も朝起き、飯を食い、排泄し、移動し、労働し、消費し、翌日に備える。
野次は全部同じに見えた。穿った意見も全部同じに見えた。まるで幽霊のエキストラのようだ。
でもその中で、たった一人味方してくれる人がいた。
重心が戻った。
そして今夜も、一人分多くの夕食を作る。
中村あきの星海社FICTIONS新人賞を受賞したデビュー作『ロジック・ロック・フェスティバル』が、古野まほろのメフィスト賞を受賞したデビュー作『天帝のはしたなき果実』と類似していると指摘され話題になっている。『ロジック・ロック・フェスティバル』は星海社のウェブサイトで無期限全文公開されている(http://sai-zen-sen.jp/works/awards/logic-lock-festival/01/01.html)ので読んでみた。その結果『天帝のはしたなき果実』だけでなく、米澤穂信の諸作品との類似点が見られたので検証したい。ちなみに現時点で私は『天帝のはしたなき果実』を未読であるが、これから読んでみる予定である。
読書メーターに12月4日に投稿されたjinさんのレビュー(http://book.akahoshitakuya.com/cmt/33836748)。
読んだ印象としては、米澤穂信が西尾維新になったつもりで古典部シリーズを書いたらこうなるんだろうなと思った文学部員が書いた同人誌と言った感じ。
読書メーターに12月11日に投稿された×(旧らっきーからー。)さんのレビュー(http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34001390)。
米澤穂信とかを目指した結果、残念ながらそこに至らず。そんな印象。
まず『ロジック・ロック・フェスティバル』の物語の流れを説明する。以下が『ロジック・ロック・フェスティバル』の章タイトルだ。
全部で23章で構成されている。『ロジック・ロック・フェスティバル』のメインとなる事件は文化祭開催期間中に起きた密室殺人事件だが、文化祭が始まるのは「9.そして、時は来たれり」からだ。ではそれ以前はというと小さな謎解きが2,3あるという構成になっている。具体的には「4. モバイル・コード」で携帯メールの暗号の謎解き、「6. 大脱出」で閉じ込められた蔵からの脱出、「7. 女バス班室写真消失事件 前編」「8. 女バス班室写真消失事件 前編」で写真盗難事件の謎解きが行われる。
次に米澤穂信のデビュー作『氷菓』の物語の流れを説明する。以下が『氷菓』の章タイトルだ。
この章タイトルだけではどんな物語かわからない。『氷菓』のメインの物語はヒロインである千反田えるの叔父、関谷純が関わったと思われる33年前の事件を解明することである。しかし、その謎がはっきりするのは「4. 事情ある古典部の末裔」からであり、「2. 伝統ある古典部の再生」では千反田えるが地学講義室に閉じ込められた謎解き、「3. 名誉ある古典部の活動」では、ある本が毎週借りられている「愛なき愛読者」の謎解きが行われる。
はじめに小さな謎解きがいくつかあり、中盤からメインの大きな謎解きになるという物語構成は特定の作家の専売特許ではない。であるが『ロジック・ロック・フェスティバル』と『氷菓』の物語構成が類似していると指摘するのは間違いではないだろう。
『ロジック・ロック・フェスティバル』の「6. 大脱出」では、主人公(中村あき)がヒロイン(鋸りり子)の家をはじめて訪れるシーンが描かれる。これを『氷菓』の「6. 栄光ある古典部の昔日」で、主人公(折木奉太郎)がヒロイン(千反田える)の家をはじめて訪れるシーンと比較したい。
目に飛び込んできたのは圧巻の庭園だった。手入れの行き届いた生け垣。刈り込まれた木々。配置を整えられた岩。雨粒を受けてなお静謐を湛える池。その中を悠然と泳ぐ色とりどりの錦鯉。そしてそれらを統べるかのように鎮座する絵に描いたような日本家屋。その向こうには立派な蔵も見えた。
道なりに設置された飛び石を歩きながら息を呑む。家柄でここまで住む世界が違うものなのか。自身の境遇と比較すると、少しばかり悲しい気持ちになってしまう。
(中略)
唖然としているうちに僕は言われるがまま三和土で靴を脱ぎ、板張りの廊下を彼女に説明された通りに進んでいた。
広大な田圃の中に建つ千反田家は、なるほどお屋敷と呼ぶに相応しかった。日本家屋らしい平屋建てが、生垣に囲まれている。水音がするところを見ると庭には池があるらしいが、外からは綺麗に刈り込まれた松しか見えない。大きく開かれた門の前には、水打ちがしてあった。
(中略)
(中略)
石造りの三和土で靴を脱ぎ、千反田に先導されて板張りの廊下を進む。
太字で示したのが二つの作品で完全に一致した箇所である。いくつか単語が一致しているが、文節単位での剽窃は行われていない。単語の一致も同じ「日本家屋を初めて訪れたシーン」を描いたのだからあって当然だ。むしろ、庭園に入ってから周りを描写している『ロジック・ロック・フェスティバル』、生け垣の外から庭をうかがっている『氷菓』という点が大きく異なる。
そもそも、高校一年生のヒロインが日本家屋の豪邸に住んでいるという設定がめずらしいが、かといってこの設定が特定の作家の専売特許というわけでもない。
『氷菓』において、千反田えるが日本家屋の豪邸に住んでいるのは、千反田家が桁上がりの四名家といわれる名家だからだ。『ロジック・ロック・フェスティバル』において、鋸りり子が日本家屋の豪邸に住んでいる理由は説明されない。家柄は明らかにされていないし、両親も学者だ。一般的な学者であれば豪邸を建てるほど高給とも思えない。シリーズ化されこれからの作品で明らかにされるのかもしれないが、現時点では主人公たちが閉じ込められる蔵を登場させるためぐらいしか物語的必然性がない。背景が説明されないので、どうしても取ってつけたような印象を受けてしまう。
『ロジック・ロック・フェスティバル』の「6. 大脱出」で描かれる主人公とヒロインが閉じ込められるシーンは、〈古典部〉シリーズの4作目『遠回りする雛』に収録されている短編「あきましておめでとう」と類似点が多い。例えば、どちらも冒頭に閉じ込められている主人公の述懐を置き、時間を巻き戻す形でなぜ閉じ込められることになったのかを記述する形式をとっている。
あらすじはひとことでまとめると以下のようになる。
具体的に『ロジック・ロック・フェスティバル』では、
具体的に「あきましておめでとう」では、
となっている。
以下、『ロジック・ロック・フェスティバル』において主人公(中村あき)とヒロイン(鋸りり子)が小屋(蔵)に閉じ込められるシーンと、「あきましておめでとう」において主人公(折木奉太郎)とヒロイン(千反田える)が小屋(納屋)に閉じ込められるシーンを比較したい。
目が慣れてくると、そこは本当に本の山だった。本しかないといってもいいくらい。備え付けの本棚に、そこらに積まれたボール箱に、ぎっしりと詰められた本、本、本――今すぐ古本屋が何件だって始められそうだ。
りり子に案内され、その後ろに付いていく形で奥の方に歩いていく。中はそれほどの広さでもないようだったが、薄暗さと障害物のように設置された本棚のせいで、なんだか迷路に迷い込んだような眩暈感があった。
一応分類されているのだろうか。背表紙を見流す限りでは全く統一感がないような気がするぞ。
と、その時。
ぎぎぎ、と何か引きずるような音がして、室内の明度が明らかに落ちた。
なんだろう?
りり子も一度こっちに振り返り、異変があったことを確かめ合う。
そして二人同時に思い当たった。
扉が閉まったのだ。そんな当たり前の結論に到達するのにいやに時間がかかった。
慌てて扉の方に引き返す僕ら。見るとやはり扉はぴっちりと閉められていた。風やなんかであの重い扉が閉まるだろうか。疑問に思いながらも、とりあえず僕は扉に近づいて手を掛けてみる。
「……あれ?」
開かない。まさか。
がちゃがちゃがちゃがちゃ。
いやいや、冗談でしょ?
「鍵が……閉められてる……?」
強く揺さぶってみると扉はほんの薄くだけ開いた。その間からは無慈悲にも完全に閉じられた錠が覗けて。
闇の中に手を突き出し、摺り足で進んでいく。目が慣れればもう少しマシになるのだろうが、いまはこうしないと危ない。そろそろと奥に進み、手に酒粕が当たらないかと気をつけてみるが、どうも手ごたえがない。
「簡単なお使いかと思ったら、なんだか面倒なことになってきたな」
「あの、折木さん」
いつの間に近づいてていたのか、千反田が俺のすぐ後ろで名前を呼んだ。背後でアルミドアが風に吹かれて閉まってしまい、納屋の中はいっそう光が入らなくなった。
『遠回りする雛』角川文庫版、218~219頁
「おう、開いてるぞ」
そして、なにやら不吉な、がこんという音。
「え? いまのは……」
とピンと来ていない千反田。俺はすぐさまドアに、暗くてよくわからないので正確にはドアがあったと思しき場所に飛びついた。アルミのノブの、冷たい感触はすぐに探り当てられた。
しかし。
がたがたと揺れるだけのドア。オレは千反田を振り返る。千反田の輪郭もはっきりしないけれど、なぜか、心配そうに小首をかしげるやつの顔が見えたように思う。
「どうしました?」
どうせ見えないだろうけれど、肩をすくめてみせる。
「閉じ込められた」
『遠回りする雛』角川文庫版、221頁
まず、このドアが閉められている構造をもう一度考える。このドア自体には鍵はない。だから、強く押せば、ほんの少しだけ開く。それ以上開かないのは閂のためだ。
『遠回りする雛』角川文庫版、228頁
今度は先程と違い完全に一致する箇所ではなく、同じ事象を別の表現にしている箇所を太字にした(そもそも完全に一致する単語はほとんどない)。非常に似通ったシーンを描いているので、一致している箇所がいくつかあるが、文節単位での剽窃はおこなわれていない。
違和感があるとすれば『ロジック・ロック・フェスティバル』において、「扉はほんの薄くだけ開いた」という点だろう。「あきましておめでとう」では脱出が困難なことを示すために閂がどのようにかけられているか仔細に描写されており、「強く押せば、ほんの少しだけ開く」というのも話の流れから違和感がない。一方の『ロジック・ロック・フェスティバル』においては、どのような扉なのか、どのように錠がかけられているかは具体的に示されておらず、一般的な扉と錠であれば扉が薄く開き外の錠が覗けるというのはおかしい。
「あきましておめでとう」では、折木奉太郎が脱出するために様々な方法を試す。そこにはどうやって脱出するのかというハウダニットの愉しみがあるが、『ロジック・ロック・フェスティバル』では、早い段階で窓から脱出できることがわかっている。謎解きの興味はほとんどなく、むしろそれまで葉桜仮名先輩一筋だった主人公(中村あき)がヒロイン(鋸りり子)を女性として意識するシーンとして描かれている。
『ロジック・ロック・フェスティバル』と〈古典部〉シリーズ両方を読んでいる私としては、影響は受けていると感じた。しかし、文章の剽窃など著作権法違反に問われるような箇所はないと判断していいだろう。他にも中学時代に探偵していたが、とあることをきっかけに探偵することをやめたという鋸りり子の設定が、〈小市民〉シリーズの小鳩常悟朗の設定と類似するなど気になるところがあるが、それはまたの機会に検証したい。