はてなキーワード: ARPUとは
最近、サービス終了したソシャゲと、そのユーザーの反応を見ていて思う所があったので書いてみる。
一言で言うと「会社として続けていくことが難しくなったから」ということになる。
で、9割方はお金の問題になる。売上がでなければ当然サービスを維持できないので終了する。
開発チームの人員が確保出来なくなったとか細かい事情は色々考えられるけど、結局どれも根本はお金の問題だったりする。(お金があれば人は離れないし、確保もできる)
逆に言えば、例えばApp Storeのセールスランキングトップ10に居るようなアプリはハッキリ言って突然サービス終了するなんてことはあり得ない。
ソシャゲの売上はざっくり言うとDAU(アクティブユーザー数) × ARPU(ユーザー一人あたりの平均課金額)で求められるので、どちらかを上げれば売上も上がると言える。
DAUを増やして売上を上げようという算段のモデル。要は薄利多売。
有名所で言えばモンスト、FGOなどが挙げられる(FGOは一人あたりの課金額もすごそうだけど…)
ARPUを増やして売上を上げようという算段のモデル。言い方は悪いけど、一部の廃課金者にごっそり貢がせようという形。
有名(と言えるのかよくわからないけど売り上げランキング上位の)例としては戦国炎舞 -KIZNA-など。
ここ数年はアプリの数も増えてソシャゲ市場は完全にレッドオーシャンの状態なので、特にユーザー数の獲得が難しいオリジナルの新規タイトルはこのモデルに寄りがち。
売れなかったアプリはこのどちらのモデルにも寄せられなかったということになる。
高DAUモデルの場合はちゃんと万人受けするものを作れていなかったとか、広告宣伝が足りてなかったとか、そもそもターゲティングを読み間違えていたか。
高ARPUモデルの場合は、しっかりとコアユーザーに課金をさせるためのゲームデザインができていなかったということになる。
Twitterなんて近しい人間をフォローするのでその中で盛り上がっているように見えるのは当たり前。
とりあえず試しに人気アプリ(FGOとか)と自分のやってるアプリでTwitter検索して、ツイートの流速とか比較してみるといいと思う。
極めつけに言うと、ソシャゲの売上はストアランキング見れば大体分かってしまうので、ランキング推移を人気アプリと比較してみるといい。(「アプリ ストアランキング」とかで検索すると推移を見れるサイトが出る)
会社の規模とかにもよると思うけど、ざっくりとした感覚で言うと、ストアランキングの「"総合"セールスランキング」で、月に一回(ガチャ更新の日など)くらい「100位以内」(ゆとりを持って見ても200位以内)に上がらないアプリは結構厳しい。
圏外の場合はハッキリ言って論外なので、いつ終了してもおかしくない。
色んな推論が飛び交ったりするけど、ランキングさえ見れば9割方は判断が付くので、変な憶測を飛ばしたりする前に、まずはランキングを見て欲しい。
これは結構見るけど、売れないから打ち切るのは至極当然の判断。
結局金かよ!とか冷たい判断、とか思うのかもしれないけど、そんな感情論ではなく世の中はお金で動いている。
当然アプリを開発するのにもお金がかかっている訳で、開発チームの人件費だったり、サーバー等の運用費だったり、広告費だったりと、恐らく皆が思っている以上のお金がかかっている。(特にネイティブアプリに移行してからは開発費用も期間も大幅に増えている)
そのお金を賄うのは会社(経営陣)な訳で、その回収が見込めなければ終了せざるを得ないのは当然。
「開発チームはまだまだ続けたかったはずだ!」なんてのも見るけど、その開発チームの給料を払うのも会社な訳で、極論を言えば売上が出なければ開発チームの人間に給料を払うこともできなくなる。
結局売上が無ければ開発チームも満足に開発できる環境は得られないし、最終的には誰も幸せにならない未来しか残らない。
あと、これは個人的な意見だけど、ゲームが好きとは言え、売上の上がらないゲームの開発をし続けるのは正直モチベーション的にも厳しい所があるし、
それを何も知らない外部から勝手な憶測で「まだやりたかったはずだ」とか言われたり、誰かを悪者にされたりしてもあまり気持ちの良いものではない。
サービス終了を悲しむのはいいけど、変な妄想で周りを攻撃したり、自分の勝手なエゴを押し付けるのは辞めておいたほうが良い。
そんな事をしてもサービスは復活しないし、作り手も嬉しくはない。
サービス終了の判断まで行くという事は既に結構厳しい状況という事なので、現実的には難しい。
例えば仮に有志100人が集まって毎月皆でン十万円課金してくれるとかなら続けられるかもしれないけど、そんな事をしても運営もユーザーも疲弊していくだけ。
現状で売上が上がっていないということは、無理をして解決しようとしたって絶対に破綻する。
売上を上げられなかった開発チーム(具体的に言えばターゲティングとそれに合わせた課金モデルをうまく作れなかったプロデューサー、ディレクター、プランナーなどの責任が重い)と、
適切な判断ができずにGOサインを出してしまった経営陣が悪い。
身も蓋もないことを言ってしまえば、サービス終了しそうなゲームをプレイしないこと。(ランキング圏外のゲームをプレイしないこと)
とは言え、そうやってニッチなゲームに誰も課金しなくなって、人気ゲームだけに一極集中してしまうのは少し寂しいものがある。
大人な心をもって、無理のない課金でゲームを楽しんでくれれば作り手としては嬉しい。
ソシャゲ業界に居た人間。いくつかのソシャゲのサービス終了を看取ってきた。
ソシャゲに関わるのに疲れて、今はWeb系の会社でまったり仕事している。
なんか結構反響があったので、改めてこの記事で言いたかったことの整理と、いくつか多く見られたコメントへの返信も書いておく。
特に言いたかったのは3つ目で、別にソシャゲの話でなくてもこういう事は多いけど、ちょっとむしゃくしゃしたので書いた。
当たり前の話じゃん
全くもって本当にその通り。こんなことをわざわざ書いた理由としては前述の通りで、まあ単に個人的なストレス発散が目的。
増田なんか読んでるような人間は当たり前に思うかもしれないけど、実際当たり前な事を理解してない人間は多い。
そのパターンは自分も直面したことは無いので知らない。自分もソシャゲ業界全てを知ってる訳じゃないので免責も込めて9割と言ったけど、まあ99%くらいはお金の問題に帰結すると思う。
拡散性ミリオンアーサーも乖離性に移行する以前の問題として「運営の体力が厳しかったから」って事らしいし。
https://app.famitsu.com/20141226_479007/
FGOは割と特殊な例なので今回の例としては相応しくなかったなと思うけど、DAUが多いのは確か。(と言ってもモンストとかツムツムレベルでは無いが)
実態としてはDAUが結構多くてARPUも高めって感じだと思うので線引が微妙な所。
個人的にもFateは一部の古参ファンが金をめちゃくちゃ注ぎ込むコンテンツという認識だったので、ここまでユーザーが増えたのには驚いてる。
ちなみに今回はシンプルで分かりやすいようにDAUとARPUを挙げたが、売上の指標としては他にPUR(課金ユーザー割合)、ARPPU(課金ユーザー一人辺りの平均課金額)とかもある。
この辺の話は割とよく出てくるので、興味があったら調べてみると良い。
終了後にコンテンツを残してほしい
この声も結構多くて、実際最近では終了後にも楽しめるようにコンテンツを残してくれるソシャゲも増えてきている。(ポプストとかあんガルとか)
その取り組み自体は素晴らしい事だと思うけど、実際これをやろうと思うと思った以上に手間が掛かる。それはつまりお金(人件費)が掛かる。
結構皆簡単にやって欲しいとか言うけど、アプリを簡単にオフライン化できることなんてまず無くて、結構根本から作り直さないと難しかったりする。
それにオフライン化してリリースしたからと言ってそれで終わりにもできなくて、リリースする以上ある程度はサポートやバグ修正などもしなければいけないので、それに対応する運用体制が必要になってくる。
設定資料集みたいな物を作るとしてもデータをまとめたり編集作業したりでそれなりに工数が掛かるし、印刷費なども掛かる。
データのアーカイブの公開も、主に外注の権利関係の問題などがあったりして、簡単にすぐ出せるようなものでもない。
だから、あまり期待を膨らませられても困るし、サービス終了を検討するような状況の所に身銭を切らせてやらせるのは酷だという事は理解して欲しい。
これも数年前から言われ続けてるけど、自分は潰れること無く続いていくんじゃないかなと思ってる。
最近は任天堂まで参入してきたし、去年はアズールレーンみたいなオリジナルでのメガヒットタイトルが久々に出てきた。
あと、Appleがガチャ確率表記を義務付けた話も、裏を返せばAppleはガチャモデルを容認したとも取れる。
今更大規模な法規制が起きる事も考えにくい(誰も得しない)し、仮にソシャゲを規制してもコンシューマに金が流れるとは思わない。
ただ、「日本の」ソシャゲ業界は厳しい状況になってきてるだろうなと思う。
アズールレーンの台頭から既に騒がれつつはあるけど、中国の持つ資金力に加えて、日本でも売れるコンテンツ力が付くと、正直勝ち目は無いんじゃないだろうか。
もうソシャゲ業界でも「金がなくてもワンチャン成り上がれる」みたいな夢のある話は無くなってて、体力(資金力、開発力)のある企業がしっかり丁寧に作らないと勝負にならない。
それができる企業というのはもう本当に少ない。悔しいけど、多分Cygamesくらいしかないかも。
正確に言うなら、ソシャゲビジネス自体は無くなることは無いけど、日本のソシャゲ業界は衰退していくのかもしれない。(あるいは既に衰退し始めている)
仕事柄、UXとかデータ分析とか、その辺が少し強いと思われているらしい。
職場の人からその辺の勉強の仕方を聞かれたので答えようとしたら、意外と長くなりそうだったのでメモがわりに書く。
そもそも、UXという言葉が流行りだしたのは最近の話だと理解していて、バズワードに近いと思っている。概念自体は遥か昔からあるものだし、何を今更世の中がUXというワードを使いたがっているのかが良くわからない。(が、ここでは面倒くさいので、定義が曖昧なUXという言葉で色々お茶を濁す)
また、UXを勉強するという言葉も、正直なところ違和感がある。
というのも、具体的なケースと紐づいて考えない限りは意味がない気がするからだ。文章の批評ばかりしていても小説家になれないのと一緒で、UXについて本や講義だけで勉強していても、UXに強くなることはないと思っている。つまり、自分たちが作っている(関わっている)サービスの中でUXを考えつくすこと自体が、一番の勉強なんじゃないかと思っているので、UXを本や何かで勉強するというのは効果は薄いんじゃないかと思っている。
とはいえ、体系化出来るメタスキル的なものがあるのは事実だし、その部分の話を書いてみる。
「UXを良くしたい」という話をよく相談されるのだが、そもそもとして、UXが良くなった後の世界をちゃんと考えられていないことが多い。
「そのサービスを使ってユーザは幸せになるの?」という問いにきちんと答えられない場合、黄色信号という印象。
UXUXってバカみたいに唱えている人はたくさんいるけど、自分たちのサービスのUXが良くなることでこんな世界が実現できるよっていう話を、具体的に、鮮明に、誰が聞いても腹落ちする形で話せる人ってどれだけいるのかな。UXを良くしたいと言っているのに、良くした後の先の世界がイメージできていなくて、どうやって良くしていくのか甚だ疑問なんだよね。
なので、UXを考えるにあたっては、「自分たちがどうしても叶えたい世界」があって、それが叶うことによって「世の中の誰かがすごく幸せになる」という確信が必要条件だと思ってる。なので、そこがない時点でUX改善どころかサービスを作ること自体をやめた方がいい。
もし、そんな感じの祈りにも似た思いが少しでもある場合は、自分たちが作りたい世界についてしっかりと考えて、そしてそれらを検証して確信に変え、具体的な言葉に落とし込むというプロセスを徹底的に行うことを、UX改善の前に行なった方が良い。そうやって生み出された言葉が、UXを考えるにあたっての拠り所になる部分になっていくから。
自分たちが作りたい世界を言語化できた後は、ユーザの観察と妄想に尽きる。
課題解決系のサービスなら、ユーザに当たる人が本当に困っているのか、何に困っているのかを見極めるために観察すべきだし、何らかのバリューを付加するサービスなら、「このサービスを使ってもらうことで幸せになるのかという妄想」をいかに具体的にできるかが鍵になる。
これらの観察および、具体的な妄想をしていくこと自体がUXを考えることである。
炊飯器が目に入ったので炊飯器のUXを考えるとした時の例で話す。
多分、こんな妄想をする。
炊飯器とか既に他の製品が存在するものは、ユーザの行動もだいたい想像できるし、何より自分が使うものだから妄想しやすい。
逆に、全く新しいものを作ろうとする時なんかは、妄想も中々大変だと思う。バイアウトして話題のCASHとかは、その辺りの参考になるものが中々なく、妄想もやり辛かったと思うので、それを形にできたUXデザイナーの人はすごいなと思う。会ってみたい。
これはかなり適当に書いたが、自分たちが行なった観察に基づく妄想に対して、それらが意味のあるものかどうかを見極めていく必要がある。これがいわゆる価値仮説の検証と呼ばれるもので、妄想が本当に必要とされるものなのかを見極めるフェーズである。必要とされないものなんて作っても意味がないから、この段階できちんと仮説の検証をしておく。検証については対象によって全く異なるため、都度考える必要があるので割愛。
例はかなり適当に書いたが、ユーザをしっかり観察して、その上でどうやったら幸せになるかを妄想して、それらを検証していくというフェーズを、手抜きせず行うことが大事だ。これが業務系のサービスだと、業務フローを作ったりするのだろうし、C向けサービスだとカスタマージャーニーなんかを作ったりすることになる。その辺りの手法は色々あるが、ユーザを見て、考えて、検証してという基本はどれも変わらない。
ユーザをひたすら観察したあとに、初めて解決策を考えるフェーズに移る。
解決策ありきのプロダクトだと(昔の技術先行型の日本の家電だけど)、あまりいい感じにはならない。
あくまでも、ユーザの観察が先にあって、それに対する「解」としてプロダクトを作っていく。
この、課題に対して適切な解を出していくこと自体が、UXの磨き込みに当たるという理解をしている。
そして、それらが部分最適にならないよう、全体最適も意識しながら解決策を考え、プロダクトに落とし込んでいく。
「ご飯は1分で炊けるけど、風呂釜より大きい炊飯器」とか、誰も必要としないよね。だけど、部分最適だけを考えるとそんなことになりがちである。そのためにも、部分を考えたら、全体を見るということを繰り返し行なっていくことが大切だと感じている。その意味では、捨てるべき部分と、活かすべき部分のバランスをどう取るかが大切になる。ここも結局ユーザが教えてくれるので、事前にしっかり観察できていれば、勝手に答えが出る。
長々と書いたが、自分たちが作るサービスを使ってくれる人たちが、「どうやったら素敵な感じになるかを考え尽くすこと」が最高の勉強方法だと思っている。なので頑張って考えると良いと思う。
とはいえ、何を考えればいいかわからないということもありそうなので、その時は
・誰のためのデザイン
・複雑さと共に暮らす
・融けるデザイン
あたりを読んでみるのは良いかもしれない。少なくとも、何かを考えるにあたっての視野は広がるような気がする。
また、解決策を生み出していくにあたっては、ロジカルシンキングが出来るに越したことはないので、
あたりを読んで見るのも良いかもしれない。後者は分類的にはロジカルシンキングの本ではないのだが、ロジカルに考えた時の解決策って一つだけじゃないよねということを身を以て知るためには良い本だと思う。
また、散々書いたが、UX云々の前に、自分たちが作っているサービス(だったり、炊飯器だったり椅子だったり)で「何を届けたいか」という部分が一番大事だと思う。それ抜きにはUXがどうとか議論するのは無駄というか、意味がないので、しっかり考え抜いてほしい。
データ分析というと、Pythonでごにょごにょやるのがそれだと思われがちだが、一部のデータサイエンティストを除いては、基本的にスプレッドシートで十分なんじゃないかと思っている。むしろ、電卓レベルでも足りるんじゃないかという気がしている。(ここで話しているのは一般的なインターネットサービスを運営していくときの話で、気象予報とか経済予測とかそんな感じの難しいデータ分析の話ではない)
というのも、多くの場合において、四則演算以上のことをしなくてもなんとかなるからだ。
どちらかといえば
といったことの方が大事だし、そもそも「何のために分析するか」が抜け落ちていることが多い。
whyの部分が明確でない分析はそもそも意味がないので、まずはなぜ分析するのかを考えるところから始める方が良い。
データ分析ときいて「統計学」や「Python」を勉強すること自体は悪くないのだが、それよりもまず先に、「なぜ分析するのか」「どんなデータが自分たちのサービスのキモになるのか」といった分析の前提になる部分をまずはしっかり見極めることの方が、統計学の勉強よりも優先されるべきだ。それらがハッキリすれば、手法はいくらでもあるし、だいたいはスプレッドシートの関数でなんとかなるので、難しい計算は特に必要ない。
実務でよく使うデータなんて、売上、利益、利益率、ARPU、CPA、CTR、CV、CVRとかくらいだし、これら全て四則演算のみで出せる。分析といっても、平均だったりそれらをユーザの属性で割り振ったりするだけだし、中学生でも問題なく出来ると思う。ただ、重ね重ねになるが、whyの部分がない場合はいくら分析しても何も生まないので、まずはそこを見極めることに重点をおいた方が良い。
長くなったので無理やりまとめる。
勉強<<<<<実務であることは間違いないので、まずは自分が関わっているサービスについて真剣に考えたり、真剣に考える上で必要な数字が何かを自分の頭で考えることが、最高の勉強だと思う。教材とか、具体的なHowを期待していた人、ごめんなさい。でも、Howの意味で見ても、実践に勝るものはないと思っている。
日本でソーシャルゲームがヒットして、およそ10年経とうとしている。プラットフォームはフィーチャーフォンからスマホへと移行したものの、相変わらず膨大な売り上げを生み出し続けている。この間、数多のタイトルが作成され、そして消えていった。これはソシャゲ開発のお話である。
ソーシャルゲームの開発は、他の業種同様企画から始まる。他社IPものであれば大手IPを扱う会社と連携をとり会社主導で企画は進み、自社オリジナルタイトルであれば社内で抜擢されたプロデューサーとなる人物が中心となって企画を書き上げる。会社の規模にもよるが、小規模企業で月商1億、大手なら月商10億を目指すことが目標だ。
その後、適任のデザイナー、プログラマー、企画を含め5,6人があつまりプロトタイプ制作が始まる。ゲームのシステムが組み込まれ、キービジュアルやゲームの雰囲気を決めていく。最終的には会社からゴーサインをもらうことが目的となる。
プロトが通れば、次に、アルファ(一部動かないものの、一通り遊べる)・ベータ(ほぼ全機能が実装)という順にマイルストーンが敷かれ、順に進めていく。多くのスタッフがこのアプリは月10億以上を売り上げ、ランキングで、モンストやFGOといったアプリと並ぶことを意識して仕事をする。
最初の問題はここで発生する。ソシャゲ企業はWebが前身なのだ。つまり、判断する人間が判断できないことが多い。唐突に素人意見を繰り出したり、かのスティーブジョブスを真似てちゃぶ台返しを何度も行う。本人は真剣に、これが経営者のあるべき姿だと信じている。
このような妨害をかわしつつ、のらりくらりとベータへ進んでいくが、その辺りで作業者は厳しい現実と向き合うことになる。これは、微妙なんじゃないかと気づくのだ。その頃、手が空いてきたプロデューサーとマーケターは呑気に広告計画を立てている。そして、いよいよローンチだ。多くの広告費が投入され、特設サイトや事前予約、プロモーションビデオが公開され、華々しい登場を飾る。多くのアプリはこのタイミングが一番ユーザ数が多く、売り上げも高い。逆にいえば、ここで数字が残せなかったアプリは早々に注意信号が点灯し、マーケターは顔を青くし、プロデューサはポーカーフェイスとなる。ここでのユーザ数と売り上げは新しいタイトルに対する期待感と広告費によって得られたもので、今後は開発したアプリの出来が問われていくことになる。使い勝手が悪い、バグが多い、サーバが止まる、ゲームがつまらない、思っていたものと違うなどといった理由で新しいユーザは次々と離脱していく。
そこで、いわゆる継続率という指標、インストールした日から1日後、2日後、そして7日後、30日後に何パーセントのユーザが残っているのかというデータを改善するため、マーケットや行動を調査し、どこにボトルネックがあるのかを調べ改善をするという動きが始まる。また、ユーザを飽きさせず定期的に課金してもらうため、運用が始まる。大抵新しく書き起こされた魅力的なキャラクターが、ローンチ時よりも魅力的な効果を纏って登場する。もちろんそれは、ガチャという形式で提供され、最上位のキャラクターは数万程度の課金が必要になるような確率で封入される。
さて、ローンチから3ヶ月が過ぎた。ここ最近のゲームは3ヶ月分程度の運用分を初期予算に組み込んでいるため、ここから実際に運用を続けるべきかどうかが真剣に判断されることとなる。ところで、この業界での売り上げの方程式は、「DAU(日間アクティブユーザー数)xARPU(ユーザあたりの平均売り上げ額)」だ。問題のARPUだが、ゲームの人気度やガチャの確率によるものの、大抵のゲームは月を平均すれば10円〜50円程度となる。もちろん好調でガチャのキャンペーンが当たっている場合、瞬間的に100円以上にもなる。これは、ユーザ数が少なくなれば作業に対する売り上げのうまみが減ることを示唆している。
ここで、運用の経費を概算してみよう。小さなゲームでも、10人〜20人程度は運用に携わっている。(大型タイトルだともっとだ)平均年棒500万円の給与として、月額41万円。ここで人件費の概算は+16%程度なので、一人47.5万円とする。20人で、約1000万円。さらにサーバ代。ちょっとしたユーザ数でも数十台、数百台規模のAppサーバ、バックエンドのDBサーバ、リアルタイム通信サーバ、アセット用のデータストアや転送料金など、100万〜1000万程度を見ておこう。このサーバ代はなかなか癖があり、Appサーバは比較的増減がしやすいものの、お金のかかるDBサーバは負荷を見越してシャーディングをがっつりかましたのにユーザが少ないと、簡単にスケールダウンできず、泣く泣く無駄に費用を払うことになる。もちろん、甘く見ていてメンテ祭りというのもよくあるが、基本的には事前に過剰な負荷分散が行われているパターンが多い。なにせ、月に10億も稼ぐんだから。 忘れてはいけないのは外注費。イラスト代、3Dモデル代、などなど。5人月 400万円としよう。
さて、サーバ台を500万として1900万が最低の運営費用だ。盛り下がってきたゲームのARPUは10円程度になるとして、元を取るためのユーザ数は約63,000人である。もちろんキャンペーンなどで一時的に売り上げが増えるので、もう少し少なくても良いかもしれない。いずれにせよ、今人気のあるタイトルもそうでないタイトルも、徐々にユーザが減ることで売り上げは減り、投入した資金から得られるリターンが減り、人件費とサーバ代だけが重くのしかかる。
この時、開発の現場はというと、案外淡々と仕事が進められている。慌てふためくのは上位陣のみで、末端作業者は細かな作業改善をしたり、次の異動先に思いを馳せたり、技術向上に努めたりする。また、会社に愛想をつかして退職するのも大抵このタイミングだろう。
その後徐々に、開発の人員が減らされていき、改善のサイクルが長くなり、キャンペーンの頻度も下がる。作業者のやる気はこの辺りで地に落ち、惰性での仕事が続く。当然ユーザからのメッセージには平謝りの状況が続く。何度か、大きめのリリースや広告を放つこともあるが、一度沈み始めた船はなかなか浮上することはない。そして、ある程度の利益を食い潰した(もしくは赤字に耐えられなくなる)ところで、いよいよ赤信号が現示される。
「サービスを終了せよ」
この時、開発チームに余力など残っていない。決められた期日までにきちんとたたみ終わることが目標である。開発者はこのプロジェクトを終わらせることができホッとすると同時に、できればなんらかの形で残したいと思うかもしれない。しかし、それは叶わないことが目に見えているのだ。昨今のアプリはローカル側、つまりスマホにあるゲーム部分は結果を受け取る・ゲームをプレイする、素材を指定するといった入出力の機能しかなく、主なシステムロジック、つまり実際にガチャを引いたり、素材を手に入れたり、結果を処理したりするのはサーバ側に実装されている。このため、ローカル側に全てを実装するのはサーバ側の機能をフルスクラッチをするのと変わらず、とてもこんなことをする暇はない。また、昨今クラウドの様々なプロダクトを組み合わせて実装しているものも多く、素直にソースコードを書き直せば実装できるといった類いのものでもない。
そうして、ユーザ、開発者それぞれが複雑な気持ちを抱いたままソーシャルゲームは消失する。
稀にあまりあるほどの利益を稼ぎ出したアプリであれば、ストーリーやイラストのアーカイブが配信される幸運な例もある。これは開発者や経営側のプライドと感謝と人件費の消化であり、非常にラッキーなケースだ。
開発者でさえゲームを起動することはおよそ叶わない。なぜなら、複雑なサーバ構成を再現せねばならないからだ。せいぜいデバッグ機能でバトルやUIをちょこっと動かすぐらいしか出来ない。
これがソシャゲのあらましである。いま流行りのあのゲームもこのゲームも、いずれは幕が降りるのである。ソーシャルゲームは時代とともに人の心の中へと消えていくのだ。
キャリアの末端の人間の立場からも、オプションが要らないユーザーはオンラインで買うか店を変えてもらえればと思う。
確かに、携帯ショップでオプションをてんこ盛りにしている理由はキャリアのインセンティブ制度にある。3キャリア全ての実情を知ってるわけではないが、販売台数のうちのオプション付け率にノルマがあって、それの達成有無でインセの額が一気に変わるのは確かにその通り。説明もなしにオプション加入させたりとか、加入しないと売らないとか、制度もアレだが本当に歪な運用だ。顧客に迷惑をかけていると思う。
ただ、「ほぼ100%つけないと店舗運営もままならない」っていうのはキャリアによるかなと思っていて、ある程度店頭の対応力に期待をしているドコモなんかは特に、もともと店舗を運営するだけなら十分な支援費を出しているはずだ。auも含めて、赤字になってしまっている店舗なんて全国でもあまり無いと思う。(ソフトバンクは知らない。キャリアの方針として、弱い店から順番に淘汰しているなんて噂がよく流れるくらいだし)これはキャリアショップに限った話で、その辺にあるちっちゃいケータイ屋とかは全然別の世界だが。
自分の目から見ると、代理店はキャリア本体以上に利益に追い立てられていて「こいつが落としたから今月この分のお金落とした」「おまえの店、なんでこんなに落としたの?」はそれこそ日常の風景だ。オプションの加入者数やそこからのARPUを伸ばしたいキャリアの都合で「たくさん加入者をとれば利益が上がる」仕組みを作っていて、ヤクザな方面から来ることの多い代理店の幹部が、その中で最大限あがりを増やそうとして現場を叩きに叩いている。で、無理やり加入させちまえ、っていう話になる。
煽りを食らう現場では、スタッフのお姉さんは泣くわ、店長は病んで飛ぶわスタッフと不倫して行方不明になるわ、説明不足の責任が誰にあるかをキャリアのコールセンターや営業と綱引きするのが日常業務になったりしていて、まあそれはそれで大変だ。こっちは一応、安いが残業代だけはある程度保証されているので、営業先の代理店で軟禁されてノルマを下げるように言われたりしてもぼちぼち我慢して働いている。新卒で入ったときはこんな業務だとは思わなかったが。ストレスで自殺しちゃったり廃人になる人はキャリアの社員でも山ほどいることはいる。だからって客に詐欺まがいの売り方をする言い訳には100%ならないけど。
もう、アコギな商売ができるような制度をつくっているキャリア、それをフルスロットルでしている代理店、どっちにも多大な問題がある。重ね重ね申し訳ない。
で、はじめの話に戻る。恥知らずを承知で言うと、購入時に変な条件とかを付けられてしまいそうな時はぜひ別の店に行ってもらえないかと思う。
キャリアの方も、現場レベルではこんな売り方悪いに決まっていると思っているので(たぶんドコモとauは一緒のはずで、ソフトバンクは本当に営業がやれって言っちゃてる時もあるっぽいが)加入しないと売らない、なんて店があればきっちり話をつけているし、短期解約に応じてインセンティブも没収したりしている。全ての客にサービスを薦めるのは商売だからお客様の側も割りきって、というか許してほしいのだが、押し売りしかしないような店舗は潰れるべきだと自分たちも考えている。堂々と断って、自然淘汰にご協力をいただけないだろうか。ご家族ご友人にもお声がけいただきたい。
「リテラシーのない客から利益をふんだくるな」というのは仰るとおりで、そこはもう地道に無くしていこうとしているところだ。利益構造としてそういう売り方では金にならないようにしていくので、こっち側からはきっとマシにできると思っている。客のリテラシーを上げるのもキャリアショップの仕事みたいになっている所もあるので、よく分からないくせにiPhoneを買いたがるお客さんも贔屓にしてくれるような店、代理店、キャリアをつくろうとみんな概ね考えているのだ。
「そんな事言ってないで黙って土管やってろよ」っていう方は知らん。こっちも商売だから、プラスアルファの利益のためにやっているのでお好みで入るか入らないか選んでいただければと思う。キャリアなんてメーカーと顧客の間の中抜きでしかないと言われればそれまでだが、通信だけできればいい人のために、格安SIMもいっぱい出てきているわけだし。
「GREE、DeNAの衰退はスマホネイティブゲームへのシフトでは無いと思う件」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakatahiroaki/20130819-00027378/
よくわからないこんな記事を読んだよ。
自分なりに憶測で衰退原因を書いていくよ。
【原因】
みんな疲れた。
■ゲームで上位とるのは大変
ソシャゲで上位のチームにいたことあるけど、イベント前とか準備が大変だし
イベント中はかなり大変なわけ。時間あわせてログインしたりはもちろん他のチームに
勝つために作戦たてたり、ゲームとか関係ない場所で他のチーム動向を探ったりするの。
もちろん勝つためには課金をする。
課金をしないのならトレードとかでアイテムとか血眼になって集めないといけないんだけど
最近はRMT対策でトレードとかできなくなったから無課金は結構つらいの。
自分が欲しいアイテム手に入れようとするとすげー時間を使うわけ。
そのうち疲れちゃうよ。
■よくケンカする
上位に入りたい人は我が強いからさそういう人同士ぶつかったりするわけ。
それだけじゃなくて、チーム内でゲームの成績悪い人はつめられたりするわけよ。
で、他のチーム(ギルド)を移籍してもさ、また同じようなことやるわけ。
■他のゲームはやらない
勝つために課金してしかも人間関係ぐちゃぐちゃになって次に新しいゲームを
やろうとは思えなくなるのさ。
◆上位ユーザーがいなければ売り上げが成り立たない
ゲームの売り上げはパレートの法則(8:2の法則)に当てはまります。
◆ユーザー同士を争わせて売り上げを上げる
モバゲーのゲーム作成の際のガイドラインにもあるようにユーザー間での競争が
【まとめ】
憶測だけど売り上げの主軸である2割のユーザーがゲーム疲れによりモバゲー、GREEのプラットフォームから
離れていっている。
モバゲー、GREE全体での上位2割ユーザーのARPUや課金率をちょっとみればわかるはず。
【おまけ】
ttp://www.socialapplication.jp/2010/03/facebook/869/
Social Times でPlaydom社のCEOの言葉を借りる形で、ビジネス面での具体的な数字があがっています。
The Economics Of Facebook Games
要点としては、
・一つのアプリを開発する費用は$100,000〜$300,300(1000万円から3000万円)
・これにはプロモーション費用は含まれない。開発費の半分くらいかけるイメージ
・一人のユーザーに1アプリをインストールしてもらうコストは$0.5程度、ただし、$3程度までは払うケースもある
・ARPPUが$20程度、一人あたり3ヶ月〜6ヶ月の間払うゲームが「成功したゲーム」。
・そこから計算すると、FarmVilleのARPUは月間$12,000,000(12億円)程度と予想される