はてなキーワード: プレプリントとは
http://dlit.hatenablog.com/entry/2018/10/10/080521
https://anond.hatelabo.jp/20181010122823
私もこの流れに賛同したので続きます。私は博士課程の学生なので、多少間違いがあるかもしれませんが、大筋は合ってると期待します。身バレしない程度にざっくりとした纏めにとどめますが、誤りがあった場合の修正については諸氏にお願いしたい。他の研究者の諸事情を聞くのは面白いですね。
というようなモノになると思います。各分野を横断する様な複合的な研究も多いのですが、大雑把にというところでお許しください。最も著名な研究者は現在はドワンゴリサーチを主幹しておられる西田先生でしょう。
国内ですと画像電子学会、VCシンポジウムといった会議や雑誌に投稿しますが、国内への投稿はあまり重要視されていないという現状があります。では、どこへ投稿するのか?といいますと、Siggraph (Asia) 、 Eurograph、Pacific Graphics などの主要な総合会議になります。主要会議については、インパクトを重視する面もあるのですが、各ジャンルで、例えばレンダリングではEGSRなど、主要な国際会議と同等レベルの難易度とみなされる会議があり、これらの専門ジャンルの分派会議は総合会議よりは多分に理論的な研究が発表される傾向があります。最も評価が高いのは主要三会議ですが、それらでの採択が無理なら、再実験や修正したのちに、ランクを落として投稿し、より注目度の高い会議での採択を目指します。
CGの論文は、ACMのデジタルライブラリーに公開されるほかは、殆どの場合は著者の一人がプレプリントを公開する慣習があります。ACMのみですと会員登録をしていない実業界の人の目に触れにくいという事情が影響しているのかなと。SiggraphとEurograph及び主要な分会を除いては、基本的には国際会議で発表された論文は、Proceedingになります。基本的にはというのは、その中の優れたもの何報かはジャーナルに採択されることもあるからです。またジャーナルに直接応募する事も出来ますが、ジャーナルへの投稿は会議への投稿よりも時間を要する事情もあって国際会議へ投稿する人が多い様です。当然ですが、これらは全て査読されます。何度もリジェクトされます・・・。
https://www.eg.org/wp/eurographics-publications/cgf/
https://www.siggraph.org/tags/tog
一般的な論文のページ数は1ページ両面印刷 2段構成で10P程度です。とても短いですが、短い分だけ綺麗に纏める能力が問われる事になりますし、一言一句と言えども無駄にできない厳しい調整を繰り返して執筆します。
主要会議は下記のリンクに纏められています。リンクから論文も見れますので、ご興味があればどうぞ。
http://kesen.realtimerendering.com/
CG業界における最高峰の雑誌は、ACM Transactions on Graphics で、IFは 4,218となっています。
次いで重要なのが、
IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics でIFは 3.078。
Computer Graphics Forum でIFは 2.046。
ieee computer graphics and applications で、IFは 1.64と続きます。
残念な事ではありますが、CGではIFが1.0を超えるジャーナルは少ないので、研究者の多さに比較して掲載枠は少なく競争は非常に激しくなっています。これもジャーナルよりは、それと同等に評価されるトップカンファレンスの proceedingにする理由かもしれません。
学位の取得難易度は、理工学系では高くない方だと思います。博士を取る過程で要求されるのは、雑誌ないし高レベルの会議のproceeding 2報というのが観測範囲での相場です。国内会議への投稿や、査読なし投稿、講演資料などを含めると5本程度はある感じになるのではないかと思います。博士を獲得するまでにかかる時間は3年となっています。それより長くかかる人も、短く終える人もいます。アカデミックなポストは常に足りない状況にあり、非常に優秀な研究者も結構苦労してるように見受けられますが、産業界に就職する場合は非常に簡単です。
CGをやる上で必要になる数学と物理は、基礎科学分野では学部生時代にやる様な初歩的な数学や物理です。最適化問題を解くことが多くなる関係で最適化数学についてはよくやっておいた方が良いようです。この辺りはジャンルに関係なく一通り勉強しておく必要があります。数学や物理の勉強量は、基礎科学分野よりも多くはない分、情報系のアルゴリズムに関する基本的な理論やプログラミングによる実装能力が問題になります。研究の為には比較対象となる研究を数本程度自分で実装したりする必要がある上に、バグを出せば致命傷になるという点が実装力の高さを要求する理由です。優秀な学生は、そこらの社会人よりも優秀という事は珍しくなく。プロコンでレッドコーダー(日本で20人程度らしい)を持っているという様な人もいます。
一本の研究を終えるのに読みこむ論文は、20~50、自分で実装する研究が 1~3、という量になると思います。斜め読みするものまで入れると、その倍くらいでしょうか。物理学と比べると明らかに楽ですね。
CGでは、どのジャンルを選ぶかで博士の取り易さに差はないように思えますが、レンダリング分野は先鋭化しすぎていて、既存の研究をキャッチアップして実装し、自分の研究を行うまでの間に膨大な努力を必要とする上に、光学的にみて正しいのか?(追記: 実際に物体に光を当てた場合に得られる画像ないしデータは、計算によって得られた結果と等しい物になっているのか? )という様な厳しい評価を受ける傾向があり、(CG系の)他分野に比べて業績を出すのが大変だと思います。研究者の中には10年以上に渡って育てて来たレンダリングエンジンをベースに研究を行う為に新参との差が大きいのです。そういう意味で優れた研究者に師事する事が非常に重要と言われています(師匠がエンジンを持ってますので)。最近は深層学習との組み合わせも増えてきているので、勉強量は非常に多いジャンルだと思います。その分、ゲームや映像分野で花形であり就職の際には引く手あまたになります。
近年、流体シミュレーションや弾性体シミュレーションは、新規性を出すことが難しいジャンルの一つと言われていて、トップカンファレンスでは採択本数が多くはありません。テーマ選びが難しい分野だと思います。リアルタイムなシミュレーションが難しい分野なので、ゲームなどでの応用を狙ったリアルタイム化の研究などが学生には人気がある様です。リアルタイム化すると理論的には正しくない、という様な齟齬が生まれる事が難しく、その折り合いの付け方に肝があるようです。レンダリング同様に就職に強い技術でしょう。流体力学や有限要素法などの知識を特に必要としますが、定型化されている部分があるのでキャッチアップはレンダリングよりは容易と思います。
モーションとはどんなものか?というと、ゲームや映画などで使われるキャラクタの動作=アニメーションの事です。行われる研究はすぐにでも実用化できそうな研究が多く、実際に企業(ディズニーなど)での研究成果が発表されることも珍しくはありません。髪の動作の研究なども、モーション研究のテーマの一つです。これも就職するなら強い分野です。特定の数学や物理に依存せず、基本的な数学の知識全般を必要とします。例えば衝突を考慮するならば力学を使うというような感じです。
かつてはCADなどで流行りのジャンルだったのですが、CADの研究が下火になったこともあり、現在は傍流の研究です。ただ形状解析の研究は、テクスチャ展開などCGに必要な技術を支えるものではあるので、現在も一部の研究者によって行われています。ゲームや映画で使うLODを作成する技術も、この分野の成果の一つです。他にはMRで赤外線センサーから取得した点群を形状に変換するといった場面で研究が役に立ちます。就職という観点から見ると、企業からの需要は少ないかもしれません。微分幾何と一部は位相幾何が特に必要となる知識です。
画像処理は画像認識系の会議へ行く事も多いのですが、近年、注目を浴びているのは、深層学習と組み合わせることで、ラフな線画をプロが書いた様な鮮明な線画に自動的に置き換えたり、また無彩色の画像に彩色する様な研究です。特に必要とするものはなく広く知識を必要とします。部分的には、色空間を多様体と考える様な研究もあったりするので、位相幾何学をしっていないとというような事もあります。伝統のある研究ジャンルだけに、問われる知識も広範です。画像認識系の研究にも精通している必要がある為、論文を読む量は多いでしょう。
基礎科学系では疑問視されることはないと思いますが、学科としての歴史が浅くかつ実業に寄った分野なので、論文の評価はどうなってんの?という疑問があるかと思い追記します。
査読の際に問われるのは、手法の妥当性です。先行研究との比べて何が改善されているか?理論的にそれは正しい計算なのか?といった事を主に問われます。情報工学のCG分野も科学ですので、先行研究との比較もデータを集め、解析的に、何がどの程度良くなっているか?を記述します。また、各研究が基本的な知識として使っている基礎科学系の知識にそって、理論的に研究手法が正しいものであるかも厳しく見られます。査読によって疑問を示された場合、一定の反論期間を与えられます。
研究者は査読を通過するために、動画やプログラムコードなど、再現性を示す資料を合わせて提出することで、査読者を納得させる工夫を行います。時には論文そのものよりも追加提出資料のボリュームが大きくなるという事もあります。というか、それが常でしょうか。
自身の研究も含めて既存の研究は、後発の研究者によって実装され検証されます。上手くいかなければ質問を受けるし、疑問を提示され、後発の論文で批判を受けることもあります。そうならぬように、実装したものを公開している研究者もいます。親切な研究者であれば、比較に使うと言えばコードや実験に用いたデータをくれることもあります。
以上のような仕組みによってCG系の論文は研究としての質を保っています。地道で厳しい基礎研究ではなく、実業に近い応用的な研究なので、すぐに企業で使われる事も多く、それも研究の妥当性を証明する一つの手段となっています。
sisopt 結構誤りあると思う。SIGGRAPH(Asia)論文はTOGに自動的に載るし、TOGに載った論文はSIGGRAPH(Asia)での発表権が与えられるからそれらは同等
これはその通りです。誤った情報を書いてしまい、失礼しました。業績要件については私の知ってる方を含めての狭い観測範囲ですが、なるべく高いレベルで 2報という方が多いようです。全大学ではないことはご了承ください。ご指摘いただきありがとうございました。
最初の2行だけ読んで、まあそりゃそうだと思ったらあとがひどいね。
体感的に、自分自身で研究をやれてる教授の割合なんて真面目に研究やってる学生より少ない。
教授がやってるのは、予算取り、会議、授業。マネジメント(学生の予定管理)までこなす先生は一部の優秀な人だけ。
一番真面目に研究してるのは博士課程の(アジア)留学生。彼らは実績を積めば母国のしっかりしたポストに付ける可能性が高いから。
悪いけど、そりゃあなたの研究室がダメだからだよ。特に、他のトラバで言うようにあなたが本当に東大ならなおさらそう。
東大は教官の負担という意味では相当恵まれてるはずだし、そういう雑事に忙殺されながらも学生を指導したり、あるいは助教やポスドクを使って指導させたり、それぐらいはしているのが普通。学生だって留学生に限らずそれなりに真面目に研究して下の面倒も見てるはず。
少なくとも旧帝大ならそのくらいの環境が標準だと思うよ。あなたのところがなんでそうでないかは知らないが。
分野による。自分の研究室の中のことしか知らないと発想が狭くなるから、「いやいや」でも他研究室の話を聞くことが有意義ということもある。私自身そのことを実感したのは修論書いてからだが。
逆に、京大の数学系なんかは授業が学部と共通になってて、院生は実質何もしなくても単位取れる(学部時代に身につけてるはずだから)なんて仕組みもあったと聞いている。全部かどうかは知らないが少なくとも私がモグリ聴講していた講義に関してはそうだった。
これに関しては分野による。あなたが計算機をガンガン使って研究する分野ならそれくらいは出来なきゃダメ。実験器具のメンテに等しいから。
そうでないのなら、単に人を雇う予算が日本の大学に足りないだけ。
企業から推薦が無くなると困るから推薦を蹴らない様に、というのに、推薦出した学生が落ちてもそれは学生の責任というは如何なものか。
これは確かにおかしい。最近は企業の側で推薦を舐めてる例が多いし、逆にそれに対して大学側が企業に抗議したりしている。私自身、企業でリクルーターをやっているが人事部の横暴に周囲のリクルーター陣は軒並み憤慨している。
学生側の自己防衛としては、推薦した学生を落とすような企業は受けないことだ。そういう企業に関しては、学生部がきちんと仕事してるなら調べられるはず。
webで動画でもソースでも図面でもすべてのデータを公開できる時代に、ググっても出てこなかったりる出てきても金を払わないと読めないカタチの「研究成果」に疑問を持とうよ。
東大なら入手に不自由しないでしょうに何を言っているのか、とか、プレプリントがあるじゃないか、とか、そういうのはおいといて。
問題はそういうことじゃなくて「査読」にあるんだよ。はてブなんて言っちゃ悪いがカス情報に「これはすごい」タグが濫発されてたり、そうじゃなきゃ重要情報がブクマ1だったり、全然使えないじゃないか。
そうならないために、一定以上の目利きが「最低限の質」を担保するために査読ってのが存在して、その辺の管理のコストの関係で学術誌は有料になってるわけ。
あなた自身がそういう査読論文に多数触れることなしに「最低限の質」を担保できる目利きになれるならともかく、そうでないのなら机上の空論。
それから、学会というのは研究をした本人から「生の情報」を得られることに意味がある。論文とか本とかだとどうしても「綺麗に整理された結果」しか見えてこないわけだが、実際は論文を書くためにはそれ以外にいろんな試行錯誤があるわけで、知りたいことはそういう「試行錯誤」の中にあったりする。そういうことを本人に聞けることは有益だし、逆に研究をする側としても、人からぶつけられた疑問点から新たな視野が拡がることも多い。
そういうことを理解できてないってことはあなたはこの業界の仕組みをろくに理解できてないってことだね。だったら批判するのは十年早い。理解できてもいない癖に批判をするのはただのトンデモだ。批判するなら現状のメリットとデメリットを客観的に拾い出した上で、現状を上回れるものを根拠付きで提示できなきゃ。あなたは「常識」レベルすら押さえられていないんだからお話にならない。
論文にしないと業績にならなくて、ポストが貰えない? ポスト、つまり職の為に研究やってるなら、企業の研究所にいくなりした方がいい。職を得る手段としてはコストパフォーマンスが悪すぎる。
あのね、企業の研究所だって論文書くよ(特許も書く)。一部は社外に発表して技術力をアピールするネタにするし、それ以外は社内に蓄積して技術力を蓄積する。その仮定で当然論文の内容はチェックされるし、チェックする観点は査読と変わらない。つまり、学術論文を書く能力は「企業の研究所」に行くにしても必要。そんなこともできない奴は問答無用で落とす。
クラウドソーシングなり、それこそ学生のバイトなり、時間と労働力はどんどん安く買えるようになってる。
足りないなら買え。そのための予算を作れ。
これはその通り。
買いたい、読みたいという本がなくなってしまった。
八重洲ブックセンターにいたら昔はいくらでも時間が潰せたのだが。
学生時代から本を買いすぎていたのだが、親が死んだり会社を辞めてフリーランス→請負→派遣と
貧乏になってきたので自分にぎりぎり理解できるレベルの本だけを買うように心がけていたら
・うちにあるから買わないでいいよ、な本(大体同じことが書いてある本を含む)
・自分には無縁な本(レベルが高すぎる、専門家しか必要としない細かい情報を含むなど)
・実用的に意味のある本(だがもうほとんどない)
・ポルノを含む純然たる娯楽
の5種類に分類されるようになり、ちょうどその頃見合いした相手と1年半後に結婚した。
不思議なのはかつて山ほど買っては職場を去るときに寄贈したりもした
「実用書」という分類に属する本がこの数年で極端に縮小したことだ。
たぶん仕事(IT系、非プログラマ)で新しい知識を求められることがなくなったせい。
そして背伸びをやめたので無縁な本が増えた。
最近は最後の分類に属するものを見ては、うーん、ブックオフでなんとかしようか、
でも衝動的に欲しいなあ、とか逡巡するようになった。
性欲が亢進するときは、お守りがわりにお気に入りのエロ小説を持ち歩いている。
どうせ中身は同じだから、と買いたがる自分を止めるためだ。
亡母や弟と違って小説好きでないのが幸いした。最後に買ったのは
川端の『掌の小説』か、買いなおしとわかっていた『ジャッカルの日』か。
家内にしてみれば私はまだ本を買いすぎると思うけど。
最近は趣味で学術論文を読んでいる(学問のトレーニングを受けていないので
あくまで趣味の範囲)。IT 系なので IEEE Computer Society に
まずは入ってすぐ辞めて、ACM Professional Membership で
Knuth の昔の投書とか、入手して読んだ。そのうち Google Scholar で
ネットサーフィンをしては、arXiv や著者本人の公開している
プレプリントをこっそり会社でプリントアウトしては読むという悪癖に染まった。
英語力はないので論文は眺めても洋書はきつい。とりあえず 200 ページ以上ある
本は買わない、ということにしたら、以後増えなくなった。基本的には Dover。
ACM の会員資格は最近あんまり使ってないけどお布施的に更新している。
MSDN とか OTN とか RHN に個人でお金を払うことを考えたらぜんぜんお得だと
思うことにしているが、あまり役に立ってない。来年はやめるかも。
それでも読めないものがあるので、ScienceDirect とか JSTOR にアクセスするために
国立国会図書館新館地下まで足を運ぶ稀な機会を心待ちにするようになった。
そんな日々に NK-EXA の安藤さんのこの記事をみてちょっと心穏やかでない。
http://www.atmarkit.co.jp/fjava/column/andoh/andoh47.html
同じことをする人が増えるとなにか自分が不利益を受けそうな気がするのだ。
何がいいたいのか自分でもよくわからない。たぶん、くだらない本を思い切り
買えないことが少し寂しいのだと思う。