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2020-10-07

アップデート出来なかったら人間の末路

4年前、2028年のことだがちょうど仕事で二ヶ月丸ペルーパキスタン出張していて、例の大型アップデートを逃してしまった。

手違いで会社側が不在届を提出しておらず、予備週間にも取りこぼされた。

そこから人生の転落の始まりだった。

まあ4年も前のこと、ver2.33の皆さんには思い出さないかもしれないが、4年前のアップデートマルチタスク能力が格段に強化されたのは知識として知ってる人も多いと思う。

まさに地獄だった。出張から帰ってきたら仕事量は冗談抜きで4倍になっていた。会議を聞きながら書類作成書類作成しつつも会議意見を述べたり質問をしたり。って、あたりまえか。まあ今のみんなにはできて当然だし、4倍のさらに倍の仕事もこなせるのが普通ことなのかもしれない。が、アップデートを逃した俺には出来なかった。それまで俺はいわゆるエリートだった。販路開拓のために海外を飛び回る一流サラリーマンネイティブと変わらず話せる英語自分の誇りだった。それが突然「無能」と呼ばれるようになってしまった。当時プライドが高かった俺は苦しんだ。転職を繰り返したが上手くいかず、ついには清掃や警備など昔の俺なら底辺と見下していたような仕事にまでついた。が、そこでもマルチタスクが求められた。同僚は当然のように12枚の監視カメラ映像さらいながらカップラーメンを食べ、ソシャゲ(ソシャゲといっても昔の人間が考える猿のおもちゃのようなものとは違う)に興じていた。

アプデでクリエティティが強化された、正確には大脳皮質がどうたららしいが俺には理解できなかった。ともかく、その強化で周りの趣味がガラリと変わった。俺がそれまで好んでいたバラエティお笑いアニメ漫画低俗幼稚園児でも見ないくだらないものとなった。代わりに流行り始めたのが、昔なら博士課程でやっていたような学問研究抽象芸術作曲演奏活動仕事で打ちひしがれて帰ってきて、テレビをつければ流れるのはわけのわからない数学証明、それが理解できて当たり前で、むしろからない俺が馬鹿音楽も難解になった。音の数が圧倒的に増えて、俺には理解不能な多量の音の羅列になった。でも、俺以外の人間には音楽なのだと言われた。

流れ着いて入った工場の寮では、毎晩仕事仲間が集まって超複雑なルールボードゲームをやっていた。自分の駒が24種類あって、山札が5種類、伝言ゲーム形式11単語を回し、それからサイコロも使うわけのわからないゲームだ。でもみんなそれが出来て当たり前だった。昔で言う将棋みたいに、ちょっと聞けばルールがわかるものという扱いだった。俺はそれを黙って見ていた。プレイできないことがわかると知障扱いされるからだ。

耐えがたかったのは、感覚過敏だ。俺は感覚過敏ではなかった。大型アップデート前は。それが、みんながアップデートしたことによって俺だけが感覚が異常に過敏だということになった。32年では、防疫的観点から全身をラップのようなもので包むのが当たり前だが俺かはこれがめちゃくちゃ辛かった。みんな当たり前だという顔をしていたが。それに、食べ物も味もアプデ後におかしくなった。すっぱいのに辛くてさくらんぼに似たフルーティ香りがついた茄子のような野菜、とか。そんなものばかりが出てきた。俺は焼肉と白米以外食べられなくなった。それでも白米はタバコの煙のような味がしたし、焼肉メロン香料で味をつけるのが一般的だったが。食べられないことより、何より辛かったのは皆が俺を偏食扱いすることだった。俺は普通の味覚をしていたのに、突然病気のように扱われるようになった。

恋愛なども不可能になった。アプデ前は彼女がいたが、アプデ後に流行った高度な言葉遊びのやり取りに馴染めなかった。俺も昔はハイスペで、彼女もまた才女だったから、彼女は俺がウイットに飛んだ素晴らしい返しをすることを期待していたのに。例えばこうだ。彼女が「縦に並んだ魚のほうが左にあるけれど、地位ある鳥は歌わないものだわ」とか意味不明なことを突然言い出して、それに対して「あるいは薔薇も散る前は」とか言わなくちゃならない。外せば露骨にガッカリされる。適切な答えを出せたら彼女がどう反応するかはわからない。一回も正解したことがないからだ。ともかくこういう暗黙のやり取り?が出来ないせいで俺は生涯独身決定になった。あと性行為中に数字当てゲームをするのも人気らしいができる気がしない。ともかく異性と愛し合うこともできなくなった。

俺がこの増田を書き留めるのは、2.33だか、3.14だか知らない最新の人間自分の現状を知ってもらいたいからではない。俺のような人間がこの時代いたことを証明するために書いている。

もう一人落ちこぼれているという辛さも感じなくなった。もう前みたいに働いてないのも大きい。今は国の施設保育園児みたいな扱いを受けてるよ。3桁掛け3桁の掛け算の暗算練習をしてる。保育園児でもこれぐらい楽勝なのに、ここの施設の住人は全然出来ないんだよな。ただ毎日虚しくて虚しくてならない。

次のアプデでは有機的肉体の限界突破することがテーマになるらしいから、見た目まで変わるんだろうな。

ただでさえ言葉が通じない知的障害者扱いされているのに、身体障害者扱いまで加わるんだろうな。各地でエレベータのない高層ビルが立ってるあたり、ジャンプ力が上がるのか?それとも空でも食べるようになるのか?肉体さえ失うのか?ニュースは見てるんだが難しくてわからいか想像しかできない。

ともかく言えることはひとつちゃんアップデートしないと俺みたいになるぞ。つって、もう俺みたいな取りこぼしは技術的に出てこなくなってるらしいけどな。

2014-08-13

馬鹿げた会見

株式会社ジャパーン。

安倍社長の抜本的業績改善策が功を奏し、水面下に沈んでいた会社の業績に光が見えてきた。

ここ数年見向きもされなくなった海外企業からも熱い視線が寄せられ、ライバル企業からもやっかまれる。

海外の一流雑誌にも安倍社長似顔絵が表紙を飾った。社員給与は極々一部しか増えていないようだが、

先行きは決して暗くないと一部のひねくれ社員以外は考えているようだ。

そんな時、事件が起こる。

麻生副社長経理部門トップでもある)がZ銀行からの警告に従い、歴代の馬鹿社長達の失敗によって累積した

会社赤字をできるだけ早急に返済するため、販売している商品の一斉値上げを予定通り行うよう要望したのだ。

「やっと競争力がついて値段を少しずつ引き上げられるようになった現状で一斉値上げをしたらまた売上が減ってしまう」

経営コンサルタントの一部からは反対があがった。

会議を開いて形ばかりの検討もしたが、結局一斉値上げは予定通り今年4月から実行されることに。

安倍社長記者会見前に一斉値上げを断行するとのメディア報道が流れてしまうという珍事もあった。

余談ながら、一斉値上げは野田社長現在は社外相談役)の積年の願いでもあったらしい。

そして4月が訪れた。

ジャパーンの業績はどうか。出先調査をしてみると確かに売上は落ちているようだ。しか業界新聞報道

株式会社ジャパーンの売上低下は想定内だ」との声多数。

2014年1-3月期は空前の好決算

麻生副社長含め「よし!なんとかいける!」と気合が入る。Z銀行も満足顔だ。

なんとかいけるのではないか・・

との空気が社内にも広がる。アナリスト業績予想も売上落ち込みは軽微との評価

「今回は想定外の影響もなさそうだから、本当になんとかなるのではないか・・・・」

上層部がそう思った矢先、売上の実態が徐々に判明しはじめる。5月6月悪化を示すデータが報告されたが、業界新聞報道は「想定内

一言。それを鵜呑みにしたのか分からないが、本社の判断も想定内で据え置かれる。だが見通しは甘かった。出荷が減り、在庫が膨らむ中で

生産を減らしたにも関わらず、7月データでは在庫が膨らみ続けていることが報告されたのだ。

そして8月に入り4-6月期の業績が発表された。

結果は震災時に匹敵する売り上げの大幅低下。年あたりに直すと6.8%の減少というのは痛い。

そういえば同じような事があった。17年前の橋本社長の事だ。あの時も今ほどではなかったが、o銀行(z銀行の前身)から勧告に従って一斉値上げを行った

結果は売上の大幅低下。その後ジャパーンは品物の値段を17年間そうじて引き下げ続ける羽目となった。

17年前の4-6月期の業績データを確認すると、年あたりに直して3.5%の減少。17年前と比べると値上げ幅は今回の方が大きいので影響は深刻ともいえたのだが、やはり

そうした見通しを裏付けた格好だ。

アナリスト業績予想は当初4.8%減といったものだったが、7月時点の情報から彼らは素早く予想を引き下げており「想定内だった」と涼しい顔。

中には気をまわしたのか9%を超える売上減を予想したところもあったようだが、それはそれとして。ともあれ知らぬうちに何事もなかったかのように進んでいく

世間とは冷たいものだ。

さて6.8%の売上低下という厳しい結果に注目が集まる。

メディアフラッシュを浴びながら甘利常務はこう述べる。

「わが社の1-3月期の決算をみると大幅黒字だった。4-6月期の決算は大幅赤字となったが、だがこれらは特殊要因によるものだ。1-3月期と4-6月

決算を平均してみれば、実は昨年10-12月期よりも良い結果だ」

四半期決算の話のはずが、なぜに半期で比較するのかというツッコミが出てこない所がメディアらしいが、4-6月期の決算が悪かったのは既に過去の話で

あるともいえる。

「今後の先行きはどうなのか?」との記者の問いに対する甘利常務への発言に注目が集まる。

本当に対策はあるのだろうか?

甘利常務は少し間をおいて答えた。

「4-6月期の決算は悪かった。だがアナリストの予想によれば、7-9月期の業績予想は4-6月期の決算悪化を反映して

当初予想以上に改善すると見込まれています。一斉値上げ断行をみこして今年1月販路開拓策も講じています

多分大丈夫でありましょう。」

・・・

・・・

今年1月販路開拓策が4-6月期に間に合わなかったことの責任をどう考えるのかという疑問はあるが、株式会社ジャパーンの先行きはどうなるのだろうか?

社長室の菅室長安倍社長体制をあと3年くらいは続けたいようだ。経済音痴の石破専務社長にでもなったらジャパーンの経営は再び右肩下がりとなるだろうと

いうのが大方のアナリストの見通しの模様。

銀行幹部がこっそり教えてくれた。

「Z銀行としては、ぶっちゃけ社長なんて安倍でも石破でも甘利でも誰でも構わないんです。ただ一斉値上げをしてくれればね。」

来年10月にふたたび一斉値上げを行うとの報道もあるようだが、株式会社ジャパーンの行く末は?

本社前を物憂げに歩いていた野田社長現在社外取締役)に聞いた。現状をどうみているのか。

「私は安倍君が心底うらやましい。なぜって? 一斉値上げをした社長歴史に残る。竹下さんしかり、橋本さんしかりだ。安倍君は一斉値上げを二度もやることを

予定しているのだからすごい話だよ。・・でもね、それは私がZ銀行さんの協力をいただきながら計画した話。もっとそこんところを強調してもらわないと、私の事を

皆が忘れてしまうじゃないか。」

安倍社長は新たな経営計画の策定を指示しているようだ。形だけのような気もするが、再び経営コンサルタントを集めて会議を開くらしい。

はたしてZ銀行から圧力をはねつけることができるのだろうか?

もしくは社長在任中に二度も一斉値上げを行う最初社長になるのだろうか?

 
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