はてなキーワード: テンカラとは
企業の新卒採用担当をしています。もう5年目くらい。楽しくやってます。
ただ毎年今くらいの時期に思うことがある。
寒くない?
就活、一応3月解禁と言われてはいるものの、もっと早い時点で動いている子が多い。
1月とか2月とか。一番早い子で2年の秋って子がいた。もう3年の10月からには驚かない。
そんな時期に就活してて、ほとんどの女子学生がベージュのトレンチコートを着ている。
もっかい言う。寒くない?春先よ、まだ最高気温10度とかの日もあるような時期よ、下手したらもっと早くからだからほんと真冬よ、いくらスーツのジャケットも着ているといえ、スプリングコート・薄手のコート代表のトレンチ。寒くない?寒いでしょ。
普段は関東圏で働いてるけど、北海道にも就活イベントでいったことがある。まだ雪が普通に降って普通に積もってる北の大地でも、みんなトレンチコートだった。下手したらぺらっぺらの。いや寒くない??カイロめっちゃ貼ってんのかな、ヒートテック2枚重ねとかしてんのかな。
メンズに至ってはコートなしが多いもんな、寒くない?合説会場なんか、カーペット敷きのホテルの会場とかならまだいいけど、ビッグサイトとかドーム系大体コンクリうちっぱの底冷えするとこだからね。寒いでしょ?中には顔真っ赤にして鼻すすってる子もいる。寒いじゃん絶対。
我々採用担当はさ、黒タイツ履いてもジャケットの中にセーター着ても何にも言われんからさ、寒さ対策ばっちりよ。極暖ヒートテックに薄手のあったかセーター着て、発熱タイツよ。
でも学生。とやかくいわれるじゃん。黒タイツは失礼とか。ジャケットの下は襟付きブラウスとか。そんで防御できる上着はトレンチよ。寒いでしょ、風邪ひいちゃうよ。
今年は合説軒並みないから、寒そうに震えるトレンチの集団見てないけど、面談だの面接だのくる学生さんやっぱベージュのトレンチかコートなしよ。寒いだろ!無理しないでよ。
もし私がスーツ業界にいたらな、就活生向けのあったかいコート開発するんだ。ウールのコート。
ていうか正直GUだのなんだの、ファストファッションとかのあったかめコート着てきてもいいよ、さすがにもっこもこのボリュームダウンとかだと「TPO!?」ってなるけどさ、ウールのチェスターとかステンカラーとかPコートとかさ、そういうの着ておいでよ。寒いじゃん。
ていうか正直リクルートスーツの「マナー」いる?どうせ入社しちゃったらそんなカッチカチのスーツの着方するのそんなにないよ。大体今カジュアルのとこばっかだからノータイなりノージャケなり着崩してんじゃん。そういうの就活の頃から身をもって覚えていく方がよくない?カッチカチの着方するとこならカッチカチでこさせればいいけどさ。合説とか自社説明会レベルならもはや私服でもいいくらいでしょ。
いやわかるよ、コードがあった方が判断しやすいって。合否決めてる側だからね、わかるよ。
でもな、体調第一であってほしいよ、忙しいし寒暖差もあるしでただでさえ体調崩しやすい季節なんだからさ。あったかくしてほしいよ。夏になったら熱中症怖いからジャケット脱いじゃっていいよ。
コロナで大変な時なのに来てくれてありがとうね。今日はあったかいからトレンチがちょうどいいよねえ。でもまた寒くなるみたいだからさ、あったかいコートきてあったかくしてね。夜もよく寝るんだよ。
その日の俺は、少々苛立っていた。いつもより早めに出社するために乗った電車が大幅に遅れているのだ。もちろん俺は大人なのでその苛立ちを態度に出すこともなく、ウォークマンでNoGoDを聴きながら心の平静を保つ努力をしていた。
朝のこの時間帯の上り電車は、いつも混雑し発車が遅れるので電車がつまり運行がノロノロ運転になる。このためいつもならあっという間に通過するはずのその駅を、今日はゆっくり通過しようとしていた。俺は窓ガラスに押し付けられながらひたすら電車の加速を待っていた。
ふと窓の外を見ると、駅ビルに入っている保育園の子供たちだろうか、10人程度が朝のお散歩の途中らしくビルのバルコニーにお揃いの帽子をかぶり、並んで電車を眺めていた。その中の一人が、あろうことか電車に手を振って挑発してきた。くそっ!これから仕事に行こうという、言わば日本の経済を支える大人たちを挑発するとは何というガキだ。もちろん大人である俺も侮辱してるのだこいつは。
先ほどから俺の隣にステンカラーズの女が立っており、彼女もあのガキの挑発に気づいたようでにっこり笑顔を向けて応戦していたが、いかんせん標的が遠い。接近戦専門のスタイルが持ち味ゆえの弱点を露呈していた。そういえば彼女のコートの色はグレーだ。おそらくステンカラーズの中で階級はそう高くなさそうだ。仕方ない、プロの出番だ。
立ち位置は完璧。満員電車の中俺は窓の方を向いて押し付けられており、俺の狙撃動作を見るものと言えば、隣に立っているこのステンカラーズ・グレーの小娘くらいだ。俺は必殺の一瞥で以って照準を定めた。、線路沿いの駅ビルのバルコニー。その柵の前に並んだガキども。その中でもこっちに手を振った小僧に向けて、肘から先だけを4回だけ振った。距離にして数十メートル。車両にして二両分と言ったところか。
次の瞬間子供たち全員が一斉に両手でちぎれんばかりに手を振り返して来た。全員である。さすが俺。よほど恐ろしかったのだろう奴らパニックに陥っていやがる。最初に手を振ってた小僧にいたっては「ぼくがさいしょにふったんだ!」とでも言いたげに興奮してピョンピョン飛び跳ねている。ざまあみろ。大人をナメるからこういう報復をされるのだ。なぜか先生も振ってきた。あんたは大人だろ。
見たかステンカラーズよ、この長距離狙撃を。これができるのはお前らの中でも士官クラスくらいだろう。これが乳幼児スナイパーと言うものだ。俺はそんな気持ちで彼女をチラ見すると、両手で口を覆って声を出さずに軽く震えていた。そうか恐ろしかったか。無理もないな。
久々にトリッキーな狙撃を成功させた俺は、今日も世を忍ぶ仮の姿である底辺リーマンとして生きるべく気持ちを仕事モードに切り替え、朝の会議に間に合うかの心配をすることにした。会議でプレゼンする用のパワポは出社してから作ろうと思っていたので手つかずである。たすけて
本来なら横のつながりのない乳幼児スナイパーの業界で、唯一ひそかに徒党を組んでいると思われる同業者たちがいる。この季節になるとなぜかステンカラーのコートを好んで着たがる女性だけで構成されたその部隊を俺は「ステンカラーズ」と呼び警戒している。
コートの色がそれぞれ違うのは、きっと彼女たちの中で仲間を識別するためと思われ、特にベージュのそれを身にまとう者は士官クラスであると俺は踏んでいる。
ステンカラーズの恐ろしい所は、俺のように鬼気迫る一瞥や、標的を恐怖のどん底に突き落とす表情や、特殊攻撃モジュールも必要とせずに、「にっこり」と笑顔だけで乳幼児の動きを封じてしまうスキルにある。おそらくは精神波による強制暗示の使い手だろう。射程距離は多少短めだが、その分至近距離から確実に乳幼児を仕留める恐ろしい奴らだ。この業界における、目的のためには恫喝も白兵戦も厭わない彼女たちの専横ぶりを同業者たちの警戒を促すべくここに記す。
さて平日の朝の、ここはとある私鉄の某駅に停車中の車内である。乗り換えの急行から降りてきた家族連れが満員の車内に乗りこんできた。ベビーカーをたたみリュックを前に抱えたパパがいる。つまりそれはその背後にママに抱っこされた赤ん坊がいる事を意味している。あのスーパーのワゴンみたいなんじゃなくてたためるベビーカーと言うことは首が座ってるくらいの赤ん坊だろう。長年の電車通勤をしている大人の俺はそれを肌でわかっている。
果たして俺の狙撃の標的となるやもしれなかった赤ん坊はママに抱っこされてだらしなく口を開けて惰眠を貪っていやがった。何かおいしいものを食べてる夢でも見てるのかときおり口をもぐもぐさせている。いい気なもんだ。とりあえず勘弁してやろう。大人だからな。
状況が動いたのは表参道の駅で乗客が大勢入れ替わる乗り降りの瞬間だった。目を覚ました赤ん坊は周囲をキョロキョロして「あぁ」とか「たぁ」とかわけのわからない言葉を発し始めた。本当に語彙が貧困で活舌も悪いガキだ。もちろん俺は一瞥を開始している。しかし赤ん坊はなかなかこちらを見ない。にぶいガキだなあ。ところが「つぎはぁ霞ヶ関ぃ」とスピーカーから聞こえてきた瞬間泣き始めた。霞ヶ関に何かトラウマでもあったようだが、遂にプロの出番だ。しかし今日は立ち位置に問題がある。俺の隣にリュックとベビーカーを抱えて直立不動の父親がいるのだ。
「えへっえへっえへぇぇっ・・・・」と赤ん坊が肺の中の空気を残らず吐き出した。これはシン・ゴジラよろしく次の瞬間一気に「すうっ」と深呼吸して「っびゃああああ!」と大泣きするサインだ。プロの俺は知っている。乳幼児スナイパーが警戒すべきなのは親に気づかれることなのだが、周囲の目にも気を遣わなくてはいけない。目撃者の存在は自分を危険に追いやり、ときに社会的地位を脅かされるリスクもあるのだ。大人には大なり小なり社会的地位があるからな。たとえ底辺リーマンであってもだ。
しかしこれはA+級の泣き声を上げるサイン。ここは多少の傷を負うことは覚悟して俺はバッグの中にしのばせた、昨日酔っぱらってゲーセンのクレーンゲームで両替機に足を運んでまで入手した特殊攻撃モジュールの在り処を確認した。頭にゴム紐のついたライチュウ(ハロウィン仕様)のぬいぐるみだ。
間髪を入れず彼女は至近距離から「にっこり」攻撃で赤ん坊の精神を支配下に置いた。初弾でこの威力!まさにステンカラーズ。赤ん坊は恐怖のあまり泣き声をピタリと止めて凍り付いた表情で彼女を見つめている。
くそ!俺の獲物を貴様!頼むからそっち向いてつむつむでもやっててくれよ!そんな俺の殺気など意に介さず彼女は「ひとがたくさんでびっくりしちゃったねぇ」。なんと恫喝まで加えるコンビネーション。おそらくはステンカラーズの中でも相当の上級者と見た。
ステンカラーズの女の攻撃はなんと母親にまで及び「うちの甥っ子もこれくらいなんです」と恫喝し、母親のガードも破壊した。なお父親は空気である。俺も空気である。
多少ぐずりつつも少し落ち着いた赤ちゃんに、彼女は人差し指をそっと突き出した。おいやめろ、まさか白兵戦に引きずり込む気か。目の前に突き出された人差し指を赤ん坊は反射的にぎゅっと掴んだ。これは・・・指握手!ステンカラーズ士官のあざやかな手口に母親は「すみませぇん」父親は「ありがとうございます」と完全に彼女の支配下におかれた。俺は空気だった。俺のバッグの中のライチュウ(ハロウィン仕様)ももはや出番はなかった。
家族連れは日比谷で降り、なんと別れ際には赤ん坊の降伏を意味するバイバイまでせしめ、ステンカラーズの女は何事もなかったかのように二重橋前で颯爽と降りて行った。その後ろ姿はまさしく大人の女性の貫禄。
後から突然現れたステンカラーズに戦況をがらりと一変させられ、何もできず一方的な敗北を喫し車内に取り残された俺はぼんやりと、目に留まった週刊文春の中吊り広告に今週の原色美女図鑑をチェックしていた。ヤンジャンのグラビアのチェックじゃないぞ俺は大人だからな。
運動音痴もあって、バレーのレシーブなんてしたら腕折れるんじゃね?wwwとか言われたし、生まれたての子鹿とも言われたっけ。
加齢により体重が10キロ増量、というか激増した今でも、依然痩せ形。
しかも痩せているうえに、男らしい体つきのポイントである、筋肉も骨も細くできていて、どう頑張っても細マッチョにしかならない。
胸板の厚みなんてないどころか、横から見たらペナッペナの板切れみたいだ。
しかも男顔というより男の子顔。要するにいくら年取っても子供っぽい。
それが嫌で、見た目だけでも何とかしようと、シックな格好やワイルドな格好を試してみるも、鏡と相談した時点でしっくりこない。
本格的な造りのテーラードジャケット、パリッとしたドレスシャツ、きちっとしたウールパンツ、革ジャン、ネルシャツ、カーゴパンツ…どれもイマイチだった。
うーん、何故だ。
という疑問を専門家にぶつけてみたところ、ハードな服は似合わないとバッサリ。
着られてる感じになるからやめろと。
代わりに提案されたのが、とにかくソフトな質感の、できれば伸びるor透ける生地で作られた、タイトでナローでショートな、なおかつ装飾的なデザインの服。
具体的には
…っておい、これ皆Web広告からワンクリックで飛べる通販サイトで、イケメン優男モデルが着てるアレやコレじゃねーか!
どれもこれもすげーナヨナヨしているというか、繊細さと優しさを武器にするアイテムばっかり。
でも実際試着すると、腹が立つくらい似合うんだわこれが。
まあアドバイスされるまでもなく、今まで買ってきた服はほぼ全て細身の服だったり。
元来ほとんど着膨れしない上に、少しでもダブついてると途端にバランスが崩れるのは、俺も自覚はしていたってことだな。