はてなキーワード: ハリガネとは
長いけど勘弁な。
なぜか生き残らされてしまった話。
当然、そんな時間帯だし走るのは二車線の直線。
見晴らしのいい街道だから制限速度ちょい超えるくらいのスピードで走ってたんだ。
まあみんなやってる程度の速度超過。
レンタルショップやスーパーで買い物等々、寄り道なんかしてね。
そんな日常を繰り返してた。
で、ある日疲れがたまってたのか寝坊した。
もちろんソッコー着替えていつもより飛ばしたよ。ただ気が急いてたから正確なスピードは分からん。後々ブレーキ痕で判明するんだけど。
しばらくして大きめの交差点、横断歩道のシマシマ模様が見えてくる。
視界を少し上に向けて信号は青。少し左に振って歩行者信号の点滅もなし。アクセルは緩めない。
と、なぜか右から左へおっさんぽい人影が動いてくる。対向車線のど真ん中。赤信号のはずなのに。
え?信号無視?
直進の信号が変わった?
正面に視界を戻した時には
「え?小走りになってね?」
「ホーン!!ブレーキ!!」
ってのが0.5秒ぐらいの間に一気に頭を駆けまわり必死に操作する。
けどもう間に合わない。
ホーンにも気づかず正面きちゃったようわぶつかるまじかよ全然気付かねーよどーなんだよドン!!
全身を強く床に打ち付けられるとしばらく動けなくなる経験ってないか?
ガキの頃少し高めの場所から飛び降りようとして失敗したとかさ。
アレの強烈版だった。
呼吸が出来ず、うー。うー。って唸りながら身動きがとれない。
けど何とか、ゆっくりだけど腕は動く。
真っ暗だった視界がゆっくりと明るくなってきて真っ黒な血だまりが目に飛び込んできた。
おまけにどうやら俺の顔のどこかからまだポタポタと血がたれ落ちてる。
そーゆー時って不思議なもんでまず口元に手を当てるのな。
ドラマで何かに気付いて「ハッ!!」ってやるみたく。
俺はジェットヘルを被ってた。
で、どうやら下顎から思い切りアスファルトダイブをしたっぽい。
そっから出血してるのか?コレまた不思議なもんで無造作に口元に指先を当てた。
手触りでいつもの形と違うのが分かる。
もう滅茶苦茶な造作になってて血でヌルヌルして唇が避けてるな。
前歯もぜんぶねーっぽいぞ?それにしても出血ひどくね?
上顎が痛い。
変な感じがする。
手を突っ込んでみると折れた下の前歯が上顎に突き刺さってるのがわかった。つまみ出す。
でも身体は動かず、唸りながらも「おっさんどーなった?」と身体を何とかよじらせて見回したけど視界に入らない。
そーこーしてる間に「おい!ひでーぞこれ!大丈夫か!?」なんて声が聞こえてくる。
どうやら通りがかったドライバーが駆け寄ってきてくれたらしい。
なにか話しかけてくれてたけどその時俺は顔、滅茶苦茶になっちゃったのか?ってのと、人身かよまじかよつー二種類の恐怖を味わってた。
時折口の中に手を突っ込んで様子を探ったりしながら「ダメっぽい。そーれより相手の人はどーなってますか?」って話してるつもりなんだけど唇がめちゃくちゃになってるから上手く話せない。
気付けば救急隊員が目の前にいて質問してるけどうまく答えられない。
そのまま意識飛んだのか今度は病院のストレッチャーに載せられてる。
看護士や医者の「よいしょ!」って掛け声とともに処置用のベッドに移し替えられ、速攻で唇を縫われてる感覚はあるんだけど、だんだん周りの声が聞こえなくなってくる。
視界が狭まってやがて真っ暗になる。漆黒の闇ってやつだ。
あれ?死ぬか?
よく耳にするけどホントあの時は「恐怖感」ってのが全然なかった。
あー、このまんま消えるのか俺。ぐらいの軽い感じ。
過去を振り返るとかそんな余裕もなく意識、つーか思考が徐々に小さくなっていく。
気が戻ると入院棟の、あのフカフカベッドに横たわってた。点滴つけられて。
あ、まだ生きてんだ俺って思ったな。
後になってケータイ見て驚いたけど、その時自画撮りしてんだよね。
せっかくだからとか生還記念に、とかバカなこと無意識ながら思い付いてやってたのかもね。
パンッパンに顔を晴らした朝青龍みたいな俺が写ってた。
ここから少し端折る。あと自分に起こってることとはいえ記憶とんでるのと医者からの後聞きなので「らしい」とか「っぽい」みたいなボンヤリした書き方になるけどスマン。
聞いた話だと病院に運び込まれた時、本当に俺は死にかけだったらしく、くも膜下出血と顔面多発骨折の状態で、頭部(脳?)にあまり刺激を与えたくないから唇は最小限の処置だけされてた。
当然即入院。
でもって外科の前にまず生き死にだろってことで脳外科の病棟へ。
運良く運び込まれたのが某大学病院だったから各科との横断的な治療を受けることができた。
そんで顔面からのダイブだったってことで不幸中の幸い、頭部以外は外傷ほぼなし。
気になる顔面の壊れ具合はつーと下顎と鼻の下の骨がパックリ縦に割れてた。
下唇は顎の途中までバックリ断裂。
事故後、初めて鏡見た瞬間「ああ、もう前の顔には絶対戻らないんだな」ってガックリきたよ。
イケメンでもなんでもないけどコレまで付き合ってきた自分の顔は一生見れないんだから。
毎晩寝るとき「このまま二度と目を覚まさないんじゃないか?」って死の恐怖に襲われてた。
1週間ほどで脳内の影も消え、異常なしって診断貰って今度は顔面の修理。
ハリガネみたいので歯を縛り固められ、ユルユルだった骨折部分が多少落ち着いたら今度は手術。
臨死体験をした身としては、またあーなんのかな?とか思う間もなく深呼吸数回でサクッと落ちた。
手術は無事終了。
チンコに差し込まれたションベン管も「あ、あああ、あああああ~~~~……」ってな感じで引き抜いてもらった。
術後しばらくしてからレントゲン見せてもらったけど顔のあちこち、少なくとも10ヶ所以上はボルトが埋め込まれててサイボーグになった気分。
見舞いに来てる家族にもどうなったのか尋ねたけど「全身打撲で入院してるみたい。まずはアンタの代わりに謝罪してきた」てな返事。
助かったと聞いて胸をなで下ろす。
とにかく当事者の俺が謝罪しなくちゃなんない。けど手術もある。
向こうも落ち着くまでしばらくかかるかもしれないし、間を置いて謝罪した方がいいのかも。
あーそうか人身だよな免許取り消しだろうなー。とか思ってたな。
そーこーしてる間に移動はまだ車椅子だったけどだいぶ落ち着いてきた。
退院の日もほぼ確定。まずは第一段階終了かー。
みたいに一息ついて母と話してる時「相手の方、実は即死だったの」と言われた。
そう。俺は殺人者になってた。
母が言うには「手術前に精神的ショックを与えないように警察からアドバイスされてた」とのこと。
けど俺が生き残っておっさん死ぬってどーゆーことだよ天秤が吊り合わない。
落ち込みまくること数日。交通刑務所行こう。償おう。そう考えるに至った。
口の周りは神経が切れてるから動くけど痺れは10年単位で回復していくと言われ、無くなった前歯はブリッジと入れ歯がはめられた。
ホッとする間もなく警察から連絡があり取り調べたいという。実況見分も。
日程が決まり取調室でここに書いたような話をし、事故現場に足を運んだ。
それ以前に正面衝突の衝撃で血がこびりついたスピードメーターは65キロをさしたまま潰れてた。
おっさんも俺も40メートル近く吹っ飛んだそうだ。ホットロードどころの話じゃない。
事故現場に立てられた目撃者求む、の立て看板からは数件の目撃情報があったという。
街道の交差点だっつーことで設置されてた監視カメラにも事故の映像が残っていたらしい。
事故を担当してくれてた交通課の担当者、検察局の検事は同じことを言った。
「目撃情報もカメラの映像も、どう見ても飛び込みなんだよねー。そしてあなたはホーンも鳴らしてるしブレーキもかけている。避けられない事故ってのがあるんだよ。どうしても」
相手の方が亡くなっている以上、警察にも、もちろん俺にも飛び込んだ理由を問うても答えは出てこない。
運転ミスじゃなかったのか?
飛ばし過ぎじゃなかったのか?
1年間免許取得出来ません。つー欠格期間が付けられた。
そして保険。
個人情報の関係で詳細は知らされちゃないけど、相手の方は生活保護を受給している65歳の男性だった。
役所でその男性の担当をしている職員と警察の間で情報の交換をしたけど、どうも故郷の家族とは30年近く連絡をとっていないっつー状態。
なんとか調べて見つけた家族に事故で亡くなったことを伝えても「家を捨てた人の死には関わりたくない」てなスタンスだとか。
なんでそーなるんだよ。
もちろん前述のように個人情報の都合で俺から先方のご遺族へ謝罪する、どころか訪ねていくことさえ一切できない。
どうやってこの罪の意識を背負い込み続けていけばいいんだっつって軽く絶望した。
事故の夢を時々見てはうなされる。いっそのこと交通刑務所にぶち込んで欲しかった。
事故現場に献花して冥福を祈るくらいじゃ全然気持ちが収まらない。
ひどい話かもしれないけど、罪を償って少しでも気持ちを楽にしたかったってのが正直なところ。
半年ほど合間を見ては警察に連絡したり足を運んだり。ご遺族の状況を尋ね続けた。
保険金を受け取ってくれないかと、何とか伝えることはできないものか。
最終的には保険会社が間に入ってご遺族を説得したのか、ご遺族内でなんらかの気持ちの変化があったのか、保険会社と何度か書類のやりとりを済ませ、無事ご遺族に保険金が支払われた。
で、保険金が支払われたからといって俺の精神状態は全然落ち着かなかった。
顔面に埋め込まれたボルトを抜き取る再手術入院のとき、主治医に相談してメンタルヘルスを紹介してもらうことになった。
結果、鬱傾向にあると診断された。
正直落ち込みは激しい。っつか波がかなりある。
事故から2年ほど経つけど免許証はまだ取得する気にはなれない。
メンタルヘルスにゃいまも通院してる。
事故のことを知らない久しぶりに会う知人に「おや?」って感じで顔を凝視されるのはつらい。
ビートたけしはどうやって気持ちを持ち直したんだろうか。なんて考える。
もし仮に、あのおっさんが世をはかなんで飛び込み自殺したんだとしたら。
自殺は増え続けてるってゆーよな。
けど死にたい奴はひとりで富士の樹海にでも行ってひっそり死んでくれ。
誰に何が起こるかなんて誰にもわかりゃしないけど、死の方向に他人を引っ張り込むような真似だけはやめてくれ。
エラソーかもしんないが、この話が教訓になればいいけど。
保健医の先生が言った。先生の長い黒髪がさらり、と肩に落ち、羽織った白衣に黒い曲線を描いた。白衣の下に紫のセーターが覗いている。先生は続けた。
「それを好んで買い集めるものもいれば、嫌うものもいる。それを嫌う彼らにとっては、ライトノベルは生理的に受け付けないのかも知れないな」
ストーブに乗ったヤカンがシューシューと音を立てている。保健室の窓から覗く外は、もう暗かった。
「面白いと思わないか?ライトノベルを嫌う彼らは『自分はライトノベルが嫌いだ』と言って回るんだ。ネットにそう書き込んだりしてね」
先生の声は女性にしては、少し低い。でもそれは、先生の口調とよく合っているように思えた。
「でもね、本当にライトノベルに興味が無いのだったら、ただ無視すればいい。私にとっては駅前の『富士そば』が視界に入らないのと同じだよ。だが彼らは違う。ライトノベルは気持ち悪い、低俗なゴミクズだ、と声高に叫ぶんだ。いや、『叫ばずにはいられない』んだ」 先生の丸眼鏡から覗く瞳が、ぎらり、と光った。目の錯覚か、片方の瞳が赤色に輝いたように感じられた。
ザアッ、と強い風が吹き、窓から見える木が大きく揺れた。黄色味を帯びた年代物の蛍光灯がチチチ、と点滅し、そして消えた。保健室は真っ暗になった。
「やれやれ、これだから田舎は」蛍光灯の紐を二度、ガチャ、ガチャ、と引っ張る音が聞こえた。
たっぷり5秒の間を置いて、蛍光灯が、ききき、きーん、と小さな音を立てた。蛍光灯が部屋を照らした。
『何か』だった。
人のような形をしたその『何か』は、細い、黒いハリガネのようなものの塊だった。うねうねと蠢くハリガネに目を凝らすと、各々が形を持っているのがわかった。『保険医』 『黒髪』 『白衣』 ---- ハリガネの一つ一つが、文字を形作っている。文字記号の塊が集まって、人の形をして動いているのだった。馬鹿げたことに、文字記号はどれも明朝体のフォントで書かれていた。
『ハスキーボイス』 『男口調』 『紫の縦縞セーター』 …塊から覗く、どこかで見たことのある記号たち。記号が集まり人形となって、人のフリをして動いていることが急におぞましく感じられた。全身の毛がぞわり、と総毛立った。
「おい、どうかしたのか?」 塊が言った。動くたびに、がちゃ、がちゃ、と音が鳴った。塊がぐるり、とこちらを向いた。頭らしき場所にある『丸眼鏡』と『灼眼』の二つの文字がぶつかり、ギギギィ、と耳障りな音を立てた。
「顔が青いぞ。大丈夫か?」 塊の右腕らしきものがこちらに伸びてくる。腕には『実は主人公の事が好き』の文字が見えた。限界だった。もうやめてくれ、と叫ばずにはいられなかった。腕を振り払い、塊を突き飛ばした。塊は尻餅をついた。その拍子にぶつかったヤカンから、熱湯が飛び散った。
「やれやれ」
塊が言った。
「君はきっと『大丈夫』だと思ったんだが」 さほど驚いた様子もなく、塊は続けた。
「『視えて』しまうんだろう。私の姿が。残念なことだ」 塊は立ち上がり、ぱん、ぱん、と掛かった熱湯を払う。
ストレートじゃないことに極端にコンプレックスがあった人なのかなと思う。
そう周りに思われてもよしとしている人なんだなあとも。穿ち過ぎかもしれないけど。
10年くらい前に高校生だったとき、女子はだいたいストレートパーマかける感じで、流行ってるのかなーやっぱり年頃だから気になるのかなーとか思ってたけど、正直もったいないなーって最後に思ってた。
ストレートパーマでまっすぐになった髪はハリガネみたいに見えてしまうし、髪の本来のいきいきとした感じが死んでるように見えるから。デフォルトで髪が死んでるっていうか、毛先が死んでるんだよね。
天然ストレートの人はパーマに憧れたりするけど、どっちもどっちなのかな。
いや、その場合は元がストレートって一見してわからない分、ストレートパーマよりも恵まれてるのかも。
そんな自分は天パ。
ストレートの人間から、パーマかけなくていいって羨ましいわ~って言われて、なら天パになってみっか?なめんなよカスがイライラムカムカとしてたタイプです。
もう諦めて受け入れました。