はてなキーワード: サモアとは
9月9日の開幕戦から、20チームの激闘を見守り続けてきたウェブ・エリスカップ。
50日間の戦いの末に、今日、その所有者が決まる。
4年に1度のラグビーの祭典ワールドカップ、2023年フランス大会も、ついに決勝を迎えた。
47試合の末、ファイナルに駒を進めたのは、南半球、いや世界のラグビーの象徴・ニュージーランドと、ディフェンディングチャンピオン・南アフリカ。
開催国フランスの好調や、ランキング1位で乗り込んだアイルランド、フィジー・サモアなどのアイランダーチームやアルゼンチンの成長などで、勢力図の変化が噂される中で開幕した今大会だが、蓋を開けてみると、決勝はおなじみの最強同士の対戦となった。
ニュージーランドは開幕戦でフランス相手に1試合を落として以降は、圧倒的な得点力で対戦相手を沈黙させてプールステージを突破した上、準々決勝ではアイルランド相手に守備の硬さも見せつけて準決勝に進出。チーム初の優勝を狙うアルゼンチンに完勝して決勝まで勝ち上がってきた。
大会前までは仕上がりを不安視されていた黒衣の軍団だが、オールブラックスに関しては「史上最強」「完全な優勝候補」とみなされていたような大会の方が勝てないことが多く、今回のように「ぱっとしない」と言われる時の方が優勝を攫ったりする。
チームをみると、LOサム・ホワイトロックやSHアーロン・スミスなど、レジェンダリーなベテラン選手が活躍する一方、PRイーサン・デクラーク、ティレル・ロマックス、CTBリーコ・イオアネ、WTBマーク・テレア、ウィル・ジョーダンなど20代のプレーヤーも多く、ベテラン、中堅の経験値と、若手のエネルギーがバランス良くミックスされたチームになっている。
前大会で最強と呼ばれた世代の多くが引退した後、世代交代の最中で完成形が見えづらいままW杯に臨んだが、まさにこのW杯で成長したのかもしれない。
7週間にも及ぶ戦いの中で調子を上げ、持ち前の得点力だけではない守備の硬さ、意外とも言えるスクラムの強さも見せつけてきた。
HCのイアン・フォスターは大会後の勇退が決定しており、スーパーラグビーの常勝軍団クルセイダーズHCのスコット・ロバートソンにその場を引き継ぐことが決定している。
つなぎの世代と言わせず、このチームこそが最強のオールブラックスであることを証明できるだろうか。
対する南アフリカはというと、フィジカルバトルを得意とするチームが集まったプールBをアイルランド戦の1敗以外に圧倒的な強さを見せつけて決勝トーナメントに進出。
フランス戦、イングランド戦の2試合を連続の1点差で制して決勝に進出した。
優勝した前大会の時点で主力メンバーが若かったため、本大会でも優勝メンバーが残り、FWの安定感がチームを支えてきた南ア代表だが、なぜかこのチームに起こりがちな「完全な1本目のSOがいない」という問題に今回も悩まされ、重要な得点源のキックの精度などはイマイチとみなされていた。
そこに、負傷で代表メンバーから外れていたハンドレ・ポラードが、大会中に負傷したメンバーと交代して第4戦目から復帰。
ポラードはあまり華麗なパスを見せる司令塔ではなく、南アらしいキックとFW戦のタクトを振るのを得意としているが、この試合に望むリザーブのメンバーを見ても、南アがどういう試合にしたいのかが垣間見える。というかクッキリ見える。
SOはおろか、SHの替えすらなく、デクラークが負傷した際にはWTBチェスリン・コルビが務めるとアナウンスされるほど。
80分間、FWを惜しみなく使って身体を当て、キックで得点する気満々で、スプリングボクスらしい戦いでオールブラックスを迎え撃つ構えだ。
オールブラックスとスプリングボクスが戦えば、激しいフィジカルバトルに耐えてちょっとの差を掴み取るゲームになるしかない。
決勝のスタット・ド・フランスは雨。
身体をぶつけあうには絶好のコンディションだ。
どちらが「ちょっと」をモノにしてウェブエリスカップを掲げることができるのだろうか。
両国の国歌斉唱につづいて、オールブラックスが今大会最後のハカ、カパ・オ・パンゴを披露し、オールブラックス、ボーデン・バレットのキックオフで試合が始まった。
開始早々、大会を通して南アのスクラムを引っ張ってきたンボナンビが脚を痛めてグラウンドに倒れて負傷後退。
その直後の交錯でオールブラックスのシャノン・フリゼルがイエローカード。
自ボールをキープしてパスとランからゲインをねらうオールブラックスに対して、ディフェンスからキックを蹴らせ、受けたボールを蹴り上げて、キックで前進する南ア。
もとからお互いやりたいことをするとこうなるわけだが、南アがジリジリ前進できている。
フリゼルの反則で獲得したものにつづいて、オールブラックスを押し込んで序盤に2つ連続でペナルティを獲得した南ア。
ロースコアゲームで蹴り勝ちたい南アにしたら上首尾なゲームの入りだ。
オールブラックスがボールを回しながら前進してPGを返すが、南アはFW戦で圧力をかけてペナルティを狙い、PGを重ねて差を詰めさせない。
スコアで突き放されながらも、ゲームが進行するにつれボールをまわす攻撃で徐々に先進し始めたオールブラックスだが、雨の影響でボールが手元で滑り、掴みかけた攻撃のチャンスでボールを失っている。
そしてゲームの流れを大きく変える瞬間が訪れた。
28分にFLサム・ケインがハイ・タックルでレッドカードの退場。
前評判の低かったチームを獅子奮迅の活躍で牽引してきたキャプテンがまさかの決勝の舞台で一足先に試合を去ることになった。
荒れ模様前半はその後、双方がPGを重ね、南ア 12 - 6 NZ でゲームを折り返した。
試合としては前半の25分過ぎからオールブラックスがボールを保持した攻めで南アディフェンスを切り裂き始めており、圧倒されているわけではない。
しかし、ラインアウトの不首尾や、滑る手元、高く入ってしまうタックルなどで得点のチャンスを失うオールブラックスに対して、南アが手に入った機会に過大な結果を狙わず即座のPGで得点を重ねて6点差。
攻めがつながっているので、後半での逆転もあり得る点差だが、相手がそもそもロースコアを狙ってきている南アだなると話が違う。
それに、フィジカルバトルを狙ったオーダーを組んできた南ア相手に人数の不利を被ったのは大打撃だ。
南アにしてみれば、相手のミスに救われているところもあるが、それは要所でうまくプレッシャーをかけて、危機を切り抜け続けているという事になる。
この決勝でも当然のように発揮される南アの勝負強さは驚くべきものだ。
オールブラックスは不利を跳ね返して逆転のトライを決められるのか、それとも南アが得点以外でも前半につけた差を活かして突き放すのか。
得点の匂いがする猛攻だったが、この攻撃のなかで、今度はシア・コリシの頭が当たってイエローカードで退出し、人数のアドバンテージを失う。
後半頭で試合を決めるチャンスを逃した南アに対して、オールブラックスは人数の不利がないうちに攻め込んでいく。
ボール展開すればゴールライン間際まで迫ることができるが、オールブラックスとしては歯がゆいことにスコアまでに至らず、トライラインまで到達したプレーも、ノックオンでチャンスを失ってしまう。
全てがうまくハマる日もあれば、そのピースをはめる時に手がパズルの傍にあるグラスに当たったり、膝がテーブルの下を叩いたりする日もある。
それが起きているのが、4年間の努力の末のW杯の決勝の場で、相手が最後まで勝負を投げない南アだというのが最悪だ。
ズルズルと時間と勝機を失ういかけていたオールブラックスだが、58分、ついにゴールラインを破るトライを獲得。
ここで7点を取れば、ロースコアの試合で果てしなく大きい1点のアドバンテージを得ることができたところだが、決定力の高いモウンガのCVは外れて、リードを奪うまでに至らない。
W杯も残りは20分となり、ゲームの内容としてはボールを敵陣に運べているオールブラックスに傾きかけているのだが、勢いにのってひっくり返したいところで、雨の影響もあってかボールが手に付かない。
ゲームが動かないまま10分がすぎ、1本のPGが勝利に直結する時間になってきた。
オールブラックスはPG1本でも欲しい、南アは逆にこれをとって試合を決めたい。
試合を分ける攻防の中で、南ア・コルビの故意と見做されるノックオンでオールブラックスのPKとなり、またも試合をひっくり返すチャンスが訪れるが、ジョーディ・バレットの重要な1本が外れて1点差のまま。
1プレーで逆転できる1点差が果てしなく遠い。
のこりは5分を切り、最後の攻めのチャンスが巡ってきたオールブラックスだが、ここでも敵陣深くまで迫りながらノックオンでボールを失う。
残り10秒のスクラムに最後の希望をかけるも、必死で守る南アにボールをラインに押し出されて、試合終了を告げるホイッスル。
最終スコア
降りしきる雨、試合開始直後の負傷退場やイエローカード、両キャプテンの反則退出、度重なるハンドリングエラーなど、双方にとってゲームは思惑通りに進まなかった。
しかし、オールブラックスが何度も訪れた逆転のチャンスを悉く掴み損ねたのに対して、ひっくり返されそうになった南アは、諦めずに自分達のするべきことに徹して耐え抜き、ゲームを決める「ちょっと」をものにした。
大会前はアイルランド、フランスなどが見事な戦績を積み上げ、南アもNZも今回は圧倒的な存在ではないと見做されていたが、両チームは大会の中で成長しながら決勝まで辿り着いた。
そして、歯を食いしばりながら薄氷の勝利を積み上げた南アは、なんとこのW杯の決勝トーナメントの試合全てを1点差の勝利で勝ち抜いて、ついに連覇のウェブエリスカップを掲げる最後の勝者になった。
この大会は前回大会から8年間、時代の主役だったプレヤーたちの多くが代表を去る。
ウェールスのダン・ビガー、アイルランドのジョニー・セクストン、ニュージーランドのアーロン・スミス。
日本代表でも年齢的に堀江などは次の大会で見られないかもしれない。
選手が入れ替わるだけでなく、大会のレギュレーションも見直され、次のオーストラリア大会からは出場チームが24に拡大される。
時代の終わりに少しの寂しさがある。
でも、次の時代の準備はもう始まっている。
自分の話をさせてもらうと、今回は大会が始まる前までレビューを書くか迷っていた。
前大会は日本開催で多くの人が試合を見ることが予想されていたのに対して、今回はフランス開催で試合もリアルタイムでは観戦しづらく、日本代表の苦戦も大会前から予測されていた。
また、自分自身この夏から本業が急に忙しくなったので、1ヶ月半以上毎週レビューを書くだけの気力が続くかという心配もあった。
ただ、やはり4年に一度しかないからと、初戦のチリ戦からレビューを書き始めると、まだ待っていてくれていた人からの応援のコメントや、他の試合をみたトラバなどが寄せられて、ともにラグビーの祭典を楽しみたいという人がいたことにとても支えられた。
(あと、本業の厳しい局面でも「リーチ・マイケルや堀江もあんなに頑張ったしな」なんて思って自分を奮い立たせたりもした)
「ラグビーを見る人の楽しみに少しの助けになりたい」と始めたことが、皆の支えでやり切れて、自分自身がこの4年の集大成を、そして時代の変わり目をしっかり目に焼きつけられたのは感謝の気持ちでいっぱいだ。
ラグビーは身体のぶつかり合いが特徴のスポーツで、試合の感想を語ろうとすると「フィジカルに圧倒された」という話になりがちで、それ以外だと「反則が多かった」「あの選手のあのプレーが」という結果の一部だけを取り上げた議論になってしまう。
このレビューを書く上で意識していたのは、結果の現象だけでなく、双方のチームがどういう強みとプランをもって試合に臨んだのか、キックオフなどのゲームの状況が基本的にどちらに優位に働くのかなどに注目して、「なんとなく身体能力で負けた」「多分ミスで自滅した」「全力を尽くして感動した」よりもう少し理解度をあげて、とはいえ1つのサインプレーなどの細かい話に入りすぎて全体像が見えづらくならないようにと思って書いていた。
自分はいちファンにすぎないので、長年のオールドファンを唸らせるようなレビューは書けないと思っていたけど、日本代表の試合だから見てみようと思った人に、今回少しでも役に立てたなら嬉しい。
もう一度、みなさんありがとう。
最後まで書き切れたのはみんなのおかげです。
またどこかで、会いましょう。
おっしゃることはその通りですね。
大学ラグビーについてもそうですね。
個人的には、トップ選手は高卒でどんどん海外へ行ってほしいし、
その下のレベルはリーグワンに(大学に籍を置きながらでもいいかと)、
(もちろんどこかの段階で急成長して18歳時の序列を覆す選手はどんどん出てくるでしょう)
ただ、後退は後退でしょう。
ベスト8に行けなかったわけだから。結果は結果であり、そこから目を背けてはいけない。
世界は結局結果しか見ません。いつまでも17-145が言われたように、今でもブライトンの奇跡が通用するように。
今回など、サモアがイングランドに勝っていたら(実際1点差)、プール4位で予選回りもあり得たわけで。
「選手は頑張った」「ベストは尽くした」系のおためごかしが我が国の「ラグビージャーナリズム」の中心であり続けてきましたが、
(https://anond.hatelabo.jp/20231009025044)の元増田ではないが(https://anond.hatelabo.jp/20231009094539)で「時間があれば戦評を書きたい」と書いたフィジーvsポルトガルの感想を。
日本vsアルゼンチンが今大会ベストゲームと思っていたら更にその上を行く好勝負となった。
今大会どころかラグビー史に残る試合と言っても良いかもしれない。
予選プールCはウェールズの1位抜けが決まっており、この試合で2位が決定する。条件は以下のとおり。
〇フィジーが勝ち点1以上を取れば2位通過。すなわち、引き分けや負けても7点差又は4トライを取ることができればフィジーが決勝進出。勝ち点無しでオーストラリアが2位通過となる。
〇すなわちフィジーが勝ち点1以上を取ればオーストラリアが史上初の予選落ちとなる。
〇しかし後述のようにフィジー圧倒的優勢と考えられており、フィジーの決勝進出、オーストラリアの予選落ちは事実上決まったものと考えられていた。
フィジーについては前に書いたので省略し(https://anond.hatelabo.jp/20231002195021)、ポルトガルについて書く。とは言ってもラグビーの強豪とは言い難く、ほとんど情報を持っていない。
〇ラグビーの国際的な区分ではフィジーやサモア(や少し前までの日本)と同様にティア2とされていたが、これらの国とはかなりの戦力差があるとみられていた。
〇今大会も得失点差でアメリカを辛うじて上回り、最後の席に滑り込んできた。
〇ワールドカップへの出場は2007年に引き続き2回目、戦績は2007年が0勝4敗、2023年が1分2敗で、2015年のワールドカップ開始時の日本(それまで全大会で出場、1勝2分21敗)よりもさらに評価は低く、おそらく今大会の目標も「一勝でもできれば」だっただろう。
〇JSportsによると、ポルトガルのラグビー協会はギャラを負担できず、ヘッドコーチのパトリス・ラジスケ氏へのオファーを見合わせたそうだが、氏は「それでもやりたい」と引き受けたそうだ。かなり熱い想いを持っているようでどのようなチーム作りをしているか非常に興味がある。
〇同じくJSportsによると選手はフランス等海外リーグの二部でプレイする選手が多いとのこと、やはり選手のレベルでは二回りほど劣勢だろう。
〇本大会ではティア2のトップグループと思われるジョージアと引き分けた。ここで「(ジョージアは)プール最弱と目されていたポルトガルに引き分けるなどやや評価を落としている。」と書いたが、完全に見誤っていた。ポルトガルの実力が上がっていたのだ。
正直ポルトガルの情報が全くなく、「まずフィジーが勝つんだろうな」としか考えていなかったので賭け率を見てみよう
〇各種ブックメーカーのオッズを見てみると、フィジー1.03~1.06倍、ポルトガル29倍~51倍となっている。フィジーの勝率は95-98%程度と評価されていたのだろう。
〇参考に2015年の日本vs南アフリカはとあるブックメーカーで日本34倍、南アフリカ1倍(元本返し)とされていた。フィジーvsポルトガルはこれとほぼ同等の事前評価とみていいだろう。
ちなみに2019の日本vsアイルランドは日本7倍、アイルランド1.08倍程度、日本vs南アフリカは日本5.5倍、南アフリカ1.2倍程度となっていたので日本への評価の変遷が分かる。
〇まずは初めて見るポルトガルの特徴。とにかくパスを回して走る、オフロードパスも多用する、フォワード勝負はほとんど行わないというスタイルだった。JSportsの解説者が「ミニフィジー」と評していたが、本当にそのとおり。
〇お互いにその特徴であるパスとランを駆使してグラウンドを縦横無尽に走り回る、目まぐるしく展開が変わるラグビーとなった。
〇既に決勝の可能性が無くなっているポルトガルだが、そんなのお構いなし。タックルもパスもランも他者のフォローも集中力が素晴らしい。キックパスも多用し、まさにフィジーのお株を奪うラグビーを見せてくれた。
〇一方ほぼ決勝は確定と見られていたフィジーは若干受け身となってしまった感がある。
〇前半はお互い攻め込むもラストの決め手に欠け、ペナルティゴールをまずフィジーが、次いでポルトガルが決めて3-3で折り返した。
〇後半早々、ハイパントのキャッチからキックでボールを転がし、サイドラインギリギリでボールを搔っ攫ってポルトガルのトライ。難しいコンバージョンキックも決めてフィジー3-10ポルトガル
観客もフィジーの勝利を期待し始めたようで大盛り上がり。また、8点以上の差をつけてポルトガルが勝てば予選落ちとなるフィジーのお尻に火が付いた。
〇直後、またもキックオフのハイボールをキャッチしたポルトガルが数十メートル走り前進し会場は大盛り上がりするもオフロードパスがこぼれたところ、フィジーが走りならお家芸とばかりに同じくらいの距離を走る。
何とかポルトガルが捕まえたものの、フィジーがフォワードで押し込んでトライ。コンバージョンも決めてフィジー10-10ポルトガル
〇さらに直後、フィジーのタックルがポルトガルの頭に入ってしまいイエローカード。フィジーは10分間14人となった。
〇集中力の切れないポルトガル、ラインアウトからモールで押し込み、最後はラックからフォワードで押し込みトライ。コンバージョンも決めてフィジー10-17ポルトガル
このあたりからポルトガルの8点差以上を付けての勝利が現実味を帯びてきただろうか。オーストラリアの首脳陣の気持ちはいかほどだろう。
〇しばらく我慢の時間が続く。フィジーは十分ペナルティゴールを狙える位置からでもトライを取りに行くが不発に終わる。
〇65分が過ぎた、体力面でもきつくなってくる時間帯だ。ゴール前のラインアウトからフィジーがモール、ラックとフォワード勝負で押し込みトライ。コンバージョンも決めてフィジー17-ポルトガル17
ポルトガルはフォワードを当てられると一歩二歩下がるシーンが目立つ。弱点なのかもしれない。
〇72分頃、ポルトガル陣内でポルトガルのペナルティ。ここで3点を取っておけば8点差以上離されることはまずないと見たフィジーがペナルティーゴールを決める。75分にも決め、フィジー23-17ポルトガル
この時点でフィジーが8点差以上つけて負けることはほぼなくなったと言って良いだろう。オーストラリアの予選落ち、フィジーの決勝進出がほぼ確定した。
〇77分頃、まだまだポルトガルワールドカップ初勝利の可能性が残る中でやはりポルトガルはパスとランで仕掛け、観客も大歓声で後押しする。そう、ラグビーの観客は弱者がチャレンジするシーンが大好きなんだ。
残り時間的に相手にボールを渡すことはできず、自陣から走る。最後はラックからブラインドサイドを抜けて行ってトライ、コンバージョンも決めフィジー23-24ポルトガル。ラストはポルトガルがボールをキープし、ノーサイド。
ワールドカップ初勝利を、今大会非常に評価が高く、オーストラリアに勝利していることからもティア1と互角に戦えるであろうフィジーから奪い取った。
〇ほとんど経過しか書いていないが後半は双方取って取られての大勝負、会場も盛り上がりに盛り上がった。
〇フィジーは決勝に向けて弾みを付けたかったところで躓いてしまった。決勝進出したものの、誰一人笑顔は見られない。当然だ。気持ちの切り替えが必要だろう。
〇本来消化試合になりがちなプール五番手のチームがここまで強いおかげでプールCが大混戦となった。今大会に向けて素晴らしいチームを作り上げてきたポルトガルを素直に称賛したい。
〇結果として、ワールドカップとしては2015の日本以来の大番狂わせを見せた。今後のポルトガルの活躍に期待する。
〇次回から参加チームを4か国増やす計画があるようだ。一方的な試合が増える懸念もあるが、ポルトガルクラスの国が増えると非常に見てて面白くなる。
〇この試合展開が贔屓のチームの重要な試合だったら見ている方も息が詰まってしんどい試合だっただろうし、リアルタイムで見てて勝ってしまうと観戦がやめられなくなる(2015の日本vs南アフリカをリアルタイムで見てました)。
ラグビーワールドカップ、日本vsアルゼンチン戦、良い試合だった。
贔屓目なしに、見ることが出来た中では今大会ここまででベストゲーム。
試合経過について細かい感想言い始めたらキリがないので増田に譲る、今大会も楽しませてくれてありがとう。
こちらは雑感のみ、といってもほとんどこれまで書いたものと被る。
ここまで全ての試合で見られたが、守備の綻びが残念。5トライ取られたら勝てるものも勝てない。今大会を通して以下の点が気になった。
○組織として相手のスペースを潰すことは出来ている。完全に崩されたことはほとんどなかった。
○個として勝負されたときの弱さ(相手の強さ)、一人目が抜かれたときの脆さで失点を重ねてしまった。特にタックルが全体的に高かったのは何故だろうか。
○一歩目の出足が遅い。そのせいでスピードに乗った相手に対応せざるを得なくなっていた。
非常によかった。試合を重ねるごとに噛み合ってきていたのでは。
○個人技で、サインプレーで十分にアルゼンチンを翻弄できている。アルゼンチンにここまで通用するのであれば他の上位国にも通用すると期待できた。
○組織だった相手に正攻法ではほとんど進めないことも理解できた。これをするためには強いフィジカルとタックルの芯を外す技術をもって、タックルを受けつつもニ歩三歩前進出来なければ難しい(サモアやアルゼンチンは出来ていた)。
○今大会を通して捕まった味方へのフォローが遅い。そりゃターンオーバーされるよみたいなシーンが繰り返された。
○スクラムは素晴らしい。アルゼンチンやイングランドとここまで組めるのであればどことやっても見劣りしない、このチームでアイルランドや南アフリカとスクラムを組んでみてほしいとさえ思えた。
○ラインアウトは大会を通して課題だった。ここが安定していると得点チャンスはぐっと増える。
○日本の弱点だったハイボール処理、かなり改善されてはいるがまだ強いとは言えなさそうだ。
○キッカーの松田は本当に素晴らしかった。大会前の不調はなんだったのか。アルゼンチンの規律があとホンの少し乱れてくれたら結果は変わっていただろう。
○前半終了時、ハーフウェイ付近で試合を切らせた(前半一点差で十分と思わせた)のは日本からのプレッシャーと思う。観客も分かってるからブーイングをした。
○予選プール最後まで本当に楽しめた。これが日本戦でなければ純粋に楽しめたのに、とさえ思えたくらいに疲れた。
○試合開始前のとあるブックメーカーのオッズは日本5.2倍、アルゼンチン1.2倍。日本の勝率は概ね2割程度と見られていたのだろう。ただ、この倍率であれば賭けたいと思えた。
○大会を通して、ティア1の国とも試合を成り立たせることが出来ると証明したと言える。次は奇跡に頼らずとも勝ったり負けたり出来ることを証明してほしい。
○ヘッドコーチが誰になるかは分からないが、どのようなラグビーを志向するのだろうか。中心選手にベテランが多く世代交代が不安視されている日本、その不安の払拭を期待する。
○今大会ベストゲームと書いたが、今朝見たフィジーvsポルトガルがさらにその上だった。時間があれば戦評を書きたい。
○ポルトガルと引き分けたジョージアを「プール最弱と目されていたポルトガルに引き分けるなどやや評価を落としている。」と評した(https://anond.hatelabo.jp/20231002195021)が、これは誤りだった。ポルトガルは素晴らしいチームだった。
秋も深い10月の第1週に、日本は予選突破をかけて南米の強豪アルゼンチンと対戦する。
予選リーグラウンドは今週が最終週だが、これまでにほとんどのプール突破の2チームが決定しているような状況で、まだ2位が確定していないプールCでも、勝ち点計算としては順位の変動がありうるが、実力差を勘案すればほとんど逆転はないという状況になっている。
そんな中、今日行われる日本 vs アルゼンチンは勝敗の帰趨が予測しづらい一戦で、最終週の試合としてはもっとも注目度と緊張感の高い試合と言える。
アルゼンチンといえば、国際リーグ、スーパーラグビーに代表のクローンチームを送り込む手法で強化を図ったチームの草分け的存在であり、参戦チームのハグアレスは参加当初こそ南半球最強リーグで苦戦していたが、2020シーズンにはファイナルに進出するほどに成長。
自分が見るアルゼンチンはボールを持った時の選択肢がサモアより豊富だ。
ランもあるしエリアを取るキックもあるしアタッキングキックもある。
日本としては、ボールを持たれたら裏へのキックのリスク承知で早いディフェンスでアタックを潰して切り返すより攻めに転じる機会が無いように思う。
前進から始められるので原則として有利な自ボールのキックオフ時でも一筋縄では行かなそうだ。
キックオフからボールの保持をやりとりして、相手陣まで入っての自ボールセットプレーまで落ち着けられたらしめたものだけど、そこにたどり着くまでに手前に蹴っても奥に蹴ってもアルゼンチンはコンテストキックやカウンターのランを仕掛けてきそうだ。
「この攻め方がハマれば相手を封じられる」というような戦略が立てづらく、常にリスクをとってチャンスを掴みに行かないといけない。
日本代表は今大会、キックを主体とした戦術で試合を組み立てている。
日本が蹴るキックはオールドファンに批判が多いが、現代ラグビーではディフェンスが整備されていて、突破のきっかけを見出せないままボールをもってフェイズを重ねすぎても、相手からのプレッシャーを受けてボールを失うリスクが高くなる。
とはいえ、アルゼンチンとしては日本のキックからのカウンターを狙っていることだろう。
日本代表はPL稲垣が侍の生死をかける抜刀にこの一戦を例えたが、まさに緊張感を表したような発言だと思う。
ところで全くの余談だが、アルゼンチンのHCを務めるマイケル・チェイカ氏がファッションビジネスで大成功を収めたビジネスマンであることは国際ラグビーファンの間では有名な話で、このことについて、チェイカ氏は「お金のことを考えずに意欲だけで仕事ができるのが自分の強みだ」とコメントしている。
なんとなく余裕を感じないでもない発言だが、南米の強豪の代表監督ともなれば、成果が振るわなかった時の批判は想像を絶するものであろうことを思うと、お金の心配どころではないもっとヤバめの心配が別にあるのかもしれない。
とはいえ生活資金で追い詰められる心配をすることなく、名誉と使命感と情熱だけで勝敗が全てを決する世界に臨めるのは、職業人として羨ましい限りである。
選手たちもまた、激しい衝突を恐れることなく、その腕の中に使命をしっかりと握りしめて戦う。
国歌斉唱では姫野は涙を流し、アルゼンチンの選手は周囲の気温が上がるような闘志を発している。
情熱的な空気の中、アルゼンチンのキックオフで試合は始まった。
アルゼンチンは自ボールのキックオフから松田の返しのキックを蹴らせて、日本陣内のラインアウト獲得でリスタート。
この冒頭にとった非常に有利な展開で、日本は一度攻めをストップさせたものの、モールを組まれて崩された後に、抜けだしたサンティアゴ・チョコバレスに2分で先制トライを許してしまった。
日本のキックオフでのリスタート、蹴らせたキックでラインアウトを獲得したのはアルゼンチンと同じ展開だったが、ここでのラインアウトを日本FWは確保できず、アルゼンチンのボールとなってしまった。
攻撃のチャンスはそう簡単にこないので最大限に活かしたいが、ラインアウトは日本代表がW杯に入っても修正が間に合わなかったポイントで、貴重な機会が安定していないのが痛い。
この展開で日本は22m付近まで侵入を許した位置でスクラムになったが、こちらは素晴らしいスクラムとなり、組み勝った日本がPKで陣地を挽回した。
スクラムは結果によってラインアウトにつながる可能性がある重要なセットプレーなので、優位性が見えるのは大きい。
再び攻め込んでくるアルゼンチンに対し、日本は粘り強くディフェンスをする。
何度かお互いに小さな反則を獲得しながら、日本が齊藤のスペシャルプレー、背面に向いてのハイパントから敵陣深く侵入し、トライ目前まで迫るがノックオンでトライならず。
引き続き、ボールを回して攻める。
14分にアルゼンチンボールのスクラムから日本が切り返し、リーチがラインブレイク、このボールを繋いだロックのファカタバがまさかのチップキックとキャッチからの快走をみせトライ!
アルゼンチンとしてはすぐさまキックオフからやり返したいが、せっかくの有利なシチュエーションでノックオン。
また、エリアをとりにきたキックもミスになり、日本に攻撃を継続させてしまう。
前半20分というのはここでどちらが取るかで、中盤までの試合の流れが大きく動く時間帯だ。
22分、日本はディフェンスでピーター”ラピース”ラブスカフニの頭が当たってしまい、イエローカードとなる。
日本に攻められ続けて乗り切れなかったので、まずスコアを狙うのは良い判断のように思えたが、これをボフェリが外してしまう。
アルゼンチンは歯車がずれたような感じで、リズムを掴み切れなくなってきた。
相手が調子を出せない間に畳み掛けたい日本だが、攻撃の中で蹴ったキックがクレメルのチャージにあい、ボールを取り返したアルゼンチンに一気にゴールラインを越えられた。
アルゼンチンはボフェリのキックが当たっていないので、コンバージョンで突き放し切れない。
日本が1人少ないのは絶好の得点チャンスなのに、5点しか取れないというのはアルゼンチンとしては納得できない結果だが、ラピースが帰ってくる直前にやっとボフェリのPGがきまり、苦労しながら1トライ差以上に突き放す8点差とした
それでも均衡は簡単に崩れない。
日本はライリー、フィフィタと繋いだボールを齊藤が受け、これこそが彼のアビリティといえるフォローランで前半も残り少ない37分にトライ!
日本 14-15 アルゼンチン とし、決定的な優位を見せられないアルゼンチンに日本が食らいつく形で前半が終了した
前半のスタッツ は
日本はこの一戦でもキックを使っているもの今までの3戦と比較するとやや少なく、ランで前進できている。
逆に数字が似通っているアルゼンチンはボールを持っての攻めがディフェンスに捕まったり、ミスで停滞している印象を受け、結果日本の攻撃時間が長くなっている。
ハイボ、ラインアウトで機会が取れない日本と、単調な攻撃やミスで決定機を掴めないアルゼンチン。
どちらがより上手に修正して後半を自分達の形にできるのだろうか。
ほとんど点差がない中でなんとか後半最初の得点で相手にプレッシャーをかけたい。
長い攻防でお互いスコアできない時間帯が続くが、アルゼンチンは試合冒頭で優位性を見せたものの、使っていなかったモールで日本を押し込み、45分にトライ。
自分達の強みに立ち戻ろうとするようなプレーで、単なる7点以上に大きな影響を感じさせるものだった。
離されたくない日本は49分にアルゼンチンのキックミスで深く侵入しての松田のショットで追い縋り、日本 17-22 アルゼンチン。
国際映像2度目の登場となるラグビー芸人しんやのガッツポーズがフランスからシーソーゲームの熱気を伝える。
後半に入ってからも、アルゼンチンはボールを持ってのランでなかなか前進できない。
日本のディフェンスがいいのか、アルゼンチンがまだ自分達の強みを発見しきれてないのか、どうも両方のように見える。
アルゼンチンが未だ調子を掴み切れない中、56分にはレメキが意表をつくドロップゴールを決め、日本 20-22 アルゼンチン。勝敗の帰趨がまだ全く見えてこない。
しかし、ここでアルゼンチンのキックオフは、キャッチ時に正面の日光が目に入った姫野がノックオン。
22mセンター、絶好の位置で獲得したスクラムから、59分にアルゼンチンがチャンスを生かしてトライ。
60分は非常に重要な時間帯だ、ここでどちらが加点できるかで試合が終わるか、終盤までもつれるか決まる。
少しでも点差を詰めたい状況で日本がペナルティキックを獲得する。
3点でもあとワントライで逆転までの点差内にとらえるが、トライを狙いに行く日本。
このリスクをとった選択があたり、65分にタップキックからの攻撃で交代出場のナイカブラがゴール右隅に飛び込んでトライ!
松田が脅威の正確性で難しい角度のコンバージョンキックも決めて、日本 27-29アルゼンチン。
残り時間は15分、こんな時間になってまでまだ勝敗が朧げにも見えてこないのは全く驚きだ。
ここでアルゼンチンがキックオフから今まで結果としてつながっていなかったランでの崩しがついに成功し、トライ。
70分をすぎても終盤まで続くペース争い、80分がすぎてもボールがつながっている間はプレーが続くラグビーにあって、9点差は未だ逆転の可能性がある点数だ。
しかし残り時間が刻々とすぎていく中で、点差の意味が徐々に変わっていく。
しかし勝利を確実にしたいアルゼンチンが75分についにPGを獲得、1トライ1ゴール1PGでも追いつけない12点差をつけることに成功した。
78分、2分で2トライというほとんど不可能にも見える可能性をまだ捨てず、相手陣深く侵入する日本。
ここでトライできるかどうかは勝利への最後のチャンスと言っていいが、無情にもアルゼンチンがこのボールを取り返す。
張り詰めた80分の末、勝利は青と白のジャージの選手たちが掴んだ。
試合後、SNSのタイムラインには「やはりアルゼンチンは強かった、差があった」という感想が踊った。
確かにアルゼンチンの圧力は強く、点差も1トライ以上離されたが、では内容までアルゼンチンが圧倒していたかというと、実態は全然違う。
日本代表の戦いぶりは素晴らしく、アルゼンチンは終盤までペースを掴めていなかった。
最後の瞬間まで日本が勝利の可能性を追い、アルゼンチンが突き放すために死力を尽くすという、見る側にまで強度を要求するようなゲームだった。
試合の細かい点をふりかえると、アルゼンチンは試合冒頭ではモールの優位性を見せた割に、前半をランの単調な攻めに固執してペースを掴み損ねていたものの、後半になってから思い出したようにモール、パントを織り交ぜた攻めを見せてきて、そこから日本は失点した。
不調時にあって見事な修正力が効いた形になったように思う。
日本としてはラインアウトが悪かったのは、試合を支配できなかった大きな要因だと思う。
数字上では8/9で1本しか失っていないが、プレッシャーにさらされクリーンに攻めにつなげられた機会は少なかった。
この点はW杯前に完成度の粗が指摘されていた面でもあり、予選の最終盤でそれが結果として跳ね返ってきてしまった。
同じく心配されていたスクラムが完璧に近い形で修正に成功していただけに悔まれるポイントだった。
8年前、日本代表は世界最強のチームの一つである南アフリカを破って、日本中、ラグビーファン以外にまで広がるインパクトを届けた。
4年前には自国開催のW杯で欧州の強豪を次々と破って史上初となる予選リーグ突破を成し遂げた。
一時のピークなのではないか、自国開催が実力以上のパフォーマンスを出させたのではないか。
今大会は強化への道のりも平坦ではなく、遠いフランスへの遠征で地の利もない。
3敗、4敗があったとしても不思議ではないとさえ感じていた。
しかし、初出場の勇敢なチリを降し、前評判の高かったサモアをプランが見えるような試合で封じ込めた。
負けた対イングランド、アルゼンチン戦でも、流れに入っていけず一蹴されたような試合ではなく、むしろ少し違っていれば勝てるかもしれないというような見事な内容だった。
礎を作ったエディー・ジョーンズと今回で勇退するジェイミー・ジョセフは、日本を真に強いチームに押し上げた。
そして、日本代表の選手たちは強豪国の選手というのにふさわしい戦いぶりを見せてくれた。
すばらしい1ヶ月、そして10年以上にも及ぶ戦いだった。
これで日本代表の2023年W杯は終わり、大会を去ることになる。
日本中を巻き込むようなインパクトの再来がならずとなったのは残念だ。
でも、今大会で日本が見せてくれたたしかな軌跡は、4年後にも確実につながっていくことになるだろうと思う。
4年前、南アフリカに敗れて流は泣き、今日、アルゼンチンに敗れて松田が泣いた。
また4年後涙が流れるかもしれない、でもその涙が、次の日本代表の戦士の喜びの涙となると、僕は信じている。
元増田ではないがラグビーワールドカップ予選プールC、フィジーvsジョージアを見た。
どこにぶら下げるか迷ったがここで。
試合の感想ももちろんだけど、この試合はプールCの状況を知っておけばより楽しめる。
事前の評価の高かった順から、オーストラリア、ウェールズ、フィジー、ジョージア、ポルトガルだ。
ちなみにとあるブックメーカーの、プールCの一位通過予想オッズはオーストラリア(1.4倍)、ウェールズ(3.75倍)、フィジー(8.5倍)、ジョージア(67倍)、ポルトガル(501倍)となっていた。
だがフタを開けてみると、ウェールズが3連勝で決勝当確。オーストラリアがウェールズ、フィジーに連敗で予選敗退の危機と混沌とした情勢だ。
フィジーが勝てば2位通過濃厚でジョージアは予選落ち確定。ジョージアが勝てばオーストラリアが息を吹き替えし、この3ヵ国で最後の椅子を争うことになる。
元々世代交代に失敗した(と見なされて)火中の栗を拾いにいく形となった、元日本代表ヘッドコーチであるエディ(現オーストラリアヘッドコーチ)の心境はいかほどであろうか。
もともと日本と同格と目されていた両チームだが試合前は圧倒的にフィジー優勢と見られていたようだ。とあるブックメーカーのオッズはフィジー(1.06倍)、ジョージア(14.85)倍となっていた。ジョージアの勝率は1割に満たない、と評価されていたのだろう。
トンガ・サモアと並ぶアイランダー(南太平洋の島国)の一角だが、チームカラーは全く違う。
トンガ・サモアが圧倒的なフィジカルを前面に押し出したラグビーをするのに対し、フィジーの特徴は自由奔放な走りにある。
前に横に時には後ろにも走り、相手をかわし、倒れても柔らかいオフロードパスをどんどん繋いでいく。
スペースを自在に走り回るラグビーで7人制では世界に君臨しており、予測不能で単純に見ていて楽しいラグビーをするので大好きなチームだ。
弱点は規律・統率。海外でプレイする選手が多く、ワールドカップの時くらいしかベストメンバーが組めない都合上どうしても連携が疎かになっていた。ただ、近年はフィジー代表のクローンチーム「フィジアン・ドゥルア」をスーパーラグビーに送り込み、効果もでているようだ。
今大会でもウェールズと接戦を繰り広げ、オーストラリアには圧勝し、評価を上げ続けている。
しばらく前まではグルジアと呼ばれていた旧ソ連圏の国。レスリング、重量上げ、柔道なども盛んで日本に力士を送り込む(栃ノ心など)など力勝負なら負けない国だ。
ラグビーでもそのスタイルはパワーで押す、とにかく押す。スクラムで押し、モールで押し、個人でも押す。ボールを動かし走られて負けるのは仕方ないにしてもパワーだけでは負けないラグビーをするチームだった。
しかし、2019ワールドカップのときの増田の解説にもあるように、そこから脚も使う、パスも使うチームへの脱皮を図っているのがジョージアだ。
昨年ウェールズを破るなど一定の評価を得ていたが、大会では、オーストラリア敗れたのはさておき、プール最弱と目されていたポルトガルに引き分けるなどやや評価を落としている。
さて本題の試合内容に入る。
NHKの解説者も驚いていたが、ジョージアがパワー勝負を控えめに、パスを繋ぎ、走ってフィジーの穴を突いていく。
解説や我々ファンも驚いたがそれ以上に驚いたのがおそらくフィジーの選手たち。
事前にそういった想定をしていなかったのであろう、重量級の前進を止めるために構えていたフィジーは細かくパスを回すジョージアに全く対応できていなかった。
守備の隙間をつかれて前進される、フィジーの選手は当然背走しなければならない、だがジョージアの弾出しが早くそれを遅らせようとしてオフサイドポジションからプレーをしてしまう、と悪循環に陥ってしまっていた(ジョージアにすれば計画通り)。
結果、ジョージアはトライを取ることは出来なかった(※)ものの、ペナルティを犯したフィジーに対して着実にペナルティーゴールを決めて加点する。
ジョージアは守備も素晴らしかった。ウェールズを苦しめオーストラリアを引き裂いたフィジーのランやパスを完全に封じ込めた。
特に、リスクを取って高めにタックルし、腕とボールを抑え込むことでフィジー得意とするオフロードパスを出すことさえ許さなかったのは圧巻で、ジョージア選手たちの集中力と一歩目の出足の速さを物語っていた。
動揺のせいかフィジーはラインアウトも冴えない。まぁ圧勝したオーストラリア戦でも四苦八苦していたので単純に苦手なのかもしれない。
(※)前半、ジョージアがトライを決めたかに思われたがスローフォワード(パスを前に投げる反則)との判定であった。
NHKの解説者はスローフォワードではないと考えたようで「この判定は波紋を呼びそうです」とまで言った。
真横からの映像でなかったので私にはこれがスローフォワードだったのかどうかはわからないが、トライに直結するシーンなのでTMO(ビデオ判定)くらいはした方がよかったと思う。
ちなみにこの後、解説者は「ラグビーは前に走っているので、真横に投げても走って慣性で前に流れる分はスローフォワードではない(だから今回はスローフォワードではない)」と解説していたが、これは誤りではないだろうか。
私の感覚だと次のような感じだ。
・確かに多少前に流れる程度では流れを重視して細かく反則をとらないことが多い
・特にスピードと得点を重視するスーパーラグビーではトライシーンを含めて反則を取っていない
・ただし、原則としては反則で、特にワールドカップのトライシーンではかなり厳格に運用されている
まぁ経験者ではなく、テレビで見、たまにスタジアムにいく程度のファンの目線でしかないので有識者の解説を求む。
ジョージアの戦術ははっきりした。だが後半もこれを続けるのか、それとも往年のジョージアに戻るのか。そもそも前半から全力と思われるが体力は続くのか。
予想外の展開に動揺したと思われるフィジーはこれまでであればクールダウンは難しい。果たして落ち着けるのか。後半がスタートした。
ジョージアの戦術は変わらない。もちろんFWも使う、スクラムでも押すがしっかりパスも回し走りもする。この辺で気づいたがジョージアは極めてオーソドックスなラグビーを高レベルで実現しているようだ。
フィジーも戦術は変えない。だがハーフタイムを挟み落ち着けたのか一つ一つのプレーの精度が上がってきた。
ジョージアが走ってくることを前提に守備をするのでなかなかジョージアは前進ができない。
フィジー攻撃の際は、タックルを受けるときに芯を外し腕を自由にすることでオフロードパスが決まり始める。
こうなると自力で上回るチームに追われるチームは怖い。
後半ずっと攻められ続け結局2トライ2ゴール1ペナルティゴールを許し
このまま押し切られるかと思ったがまだまだ試合は終わらない。
ジョージアの体力が落ちる前にフィジーの出足が若干鈍くなってきた。
負ければ予選敗退がするジョージア、まだまだワールドカップは終わらないと気合の入り方が尋常ではない。
ペナルティゴールで3点を返し、5点差としてラストプレイとなった。
こうなると観客も逆転を期待する。元々前評判が低い方に味方することが多いラグビーの観客たち、ここぞとばかりに大声援でジョージアの後押しをする。
やはりパワー勝負ではなく走るジョージア。この直前にイエローカードで14人となったフィジーディフェンスの穴を突き前にでる。かなり前進したところでフィジーに捕まりそうになる。普通なら一度倒れて仕切り直しにするところ、ジョージアはなんと前方へキックでボールを転がした。フィジーの後方には誰もおらず、フィジー、ジョージア双方の競争で勝った方が勝利となる。
あと一歩、二歩程度の差でフィジーが追い付きボールを蹴り出してノーサイド、結果は
終わったあと、双方の選手たちがグラウンドに座り込んでしまった。激闘を物語るシーンだ。
素晴らしい試合を見たので吐き出したくて長文を書いてしまった。
結果はフィジーが予選通過をほぼ確定させ、ジョージアとその余波でオーストラリアが予選落ちする結果となった。
この試合はジョージアの可能性も、フィジーの成長も十分に感じることができた。伝統国以外の活躍は今後のラグビーの未来の光明ともなる。今後の両国に期待したい。
アルゼンチンはサモアに比べて、キック受けた後のカウンターの選択肢が豊富なんですよね。
蹴ってよし、走って身体を当ててよし。
身体の当て方も、ただ正面からドーンとくるんでなく、直前に2・3人を振り回して守備側が受けづらいところで身体をゴリっと入れてくる。
日本はチリ戦でもサモア戦でも、こういう形ができてない状態で矢継ぎ早に身体を当てられると下がるシーンが見られたので、簡単じゃないと思います。
キックもね、こういう表の札があるんで、蹴られると効くんですよ。
アルゼンチン、ポンポン蹴るチームじゃないけど、アタッキングキックを蹴ったらやっぱり上手いし。
ちょい内弁慶で遠征に弱いところがあるのと、乗れないとズルズルいって反則しちゃうところが弱点といえばそうなんで、しっかり守りながらペース乱せればいいかなって思います。
後、斎藤のボックスキックがイマイチ有効になってない感じが心配なんですよね。
今大会は日本は戦術としてかなり蹴ってるんだけど、後半頭くらいから斎藤が蹴るハイパンが相手に入ってペースを渡すケースが散見される。
タックルに積極的なのと、自分でトライが取れる鋭さがあるんで、斎藤推しのファンが多いんですけど、僕は蹴るなら流の方が上手いと思う。
流、前回はコンディション不良で出れなかったけど、アルゼンチンには間に合ってほしい。
Unbrave call
後半最後の日本のスコアになったPG選択だ。4トライでのBPは取れず、おそらくチリに大勝するであろうアルゼンチンとの最終決戦に、引き分けという選択肢はなくなった。
もちろん勝つべきで勝利だけを目指して試合に臨むべきだが、戦略的に重要なオプションを失ったのは事実だ。
その前にサモア陣ゴール前のモールアンプレアブルでトライチャンスを逃したのが大きいが、その後にショットを狙うのであれば、あのラインアウト選択は「一貫性」という意味では疑問だ。もちろんモメンタムがあったのでああ判断した、というのはわかるが、個人的には14人のチームを相手にするならあの場面は人数差を優位にしやすいスクラム選択だったと思う。7人で組んでくれば押せる、という状況でもあったし、サモアはその方が嫌だっただろう。
時間の使い方としても、最後のPG選択は誤っていると思う。結果的にサモアにもう一度攻撃するための十分な時間を与えてしまった。
2015の南ア戦、後半遅くに南アがPGを狙った時、堀江は「相手が退いたな」と精神的優位を感じたという。それが歴史的な逆転勝利に繋がったわけだが、メンタルという面では、あのPG選択はサモアに息を吹き返させてしまった。
PGを狙わずにあそこで4トライ目がとれていたかはわからない。
ただ、ジャパンのあの選択は「弱さ」をサモアに、ひいてはアルゼンチンに見せてしまうものだった。
あの選択は、失敗。私はそう考える。
良い試合だった。
けどやはりチリ戦からの課題であるディフェンスはサモア相手には分かりやすく出てくる。
一人減ったサモアが、開き直って数的劣位のない近場で攻めてくると止められない。組織的にサモアのスペースを潰すことは出来ているが、個として突っ込んで来られると前進を許す。
心配なのがタックルがそれぞれ高く見えたこと。ボールへのタックルは有効だけどそれは一人目が低く入って確実に相手の足を止めることが前提。また、高めに入るタックルはカードの危険性も高い。最終戦になるかもしれない次戦までに修正してほしい。
あとはボールへのサポートが遅いこと、60分くらいから足が止まったように見えたことが不安。体力のある交代要員の投入が遅いことも含めて、戦前から不安視されていた世代交代が上手く進んでいないことの現れだろうか。
批判めいたことを書いたが最終戦まで望みを繋いでくれたことは素直に称賛する。
アルゼンチンは日本から見て二枚ほど格上で、本来であれば決勝に向けて体力も作戦も温存したいところ、本戦が始まっての不調ぶりを考えると、出し惜しみすることなくすべて日本戦にぶつけてくるだろう。
厳しい戦いになるだろうが熱戦を期待したい。
ところで、プールA最終戦でイタリアがフランスに勝った場合、ニュージーランドとウルグアイの結果も関連して決勝進出の条件がめちゃくちゃ複雑になりそうで面白い。
もちろん可能性は(極めて)低いだろうが、イタリアはシックスネイションズの一員で高レベルの試合をこなしてきている。シックスネイションズの連敗記録を持つ国ではあるが10年に一度くらいはフランスに勝つ国でもある。要注目
5チームの総当たりを行うラグビーワールドカップのグループリーグは長い。
すでに9月末、日本の空にはすっかり秋の涼しい空気が流れてきた。
季節を跨いで行われるラグビーW杯、みんな楽しんでいるだろうか。
プールDの第3戦、遠いフランス・トゥルーズで日本代表はサモア代表と戦う。
サモアとは前大会でも予選リーグで相対し、その時はキックで効率的に攻めた日本が勝利したが、今大会のサモアは今までとは違う。
自国に国際レベルのリーグがないために、W杯ごとに欧州やスーパーラグビー選手で急に代表が結成される彼らは、チームとしてのまとまりに欠き、規律の乱れで反則をしがちという長年の弱点があったのだが、前大会後に国際プロリーグ、スーパーラグビーに自国メンバーで構成されるモアナ・パシフィカを送り込んで、一つのチームとして組織的にプレーできる選手たちを育ててきた。
また、祖父母までがその国の出身で、かつ他国の代表で過去3年間試合に出場していなければ、1度だけ代表の所属国を変更できるという規定の変更により、元オーストラリア代表のクリスチャン・リアリーファノ、元ニュージーランド代表のチャーリー・ファウアウイナなどの経験豊富なメンバーがサモア代表に加わった。
リアリーファノは白血病を克服したあと、ジャパンラグビー・トップリーグでもプレーしており、日本でも知られた存在だ。
W杯入ってからのスタッツを見ると、サモアはランでキャリーする距離よりキックで前進した距離の方が長い。
同じアイランダーのチームでも自陣からも持って走るフィジーとは随分違う。
キックで前進してセットプレーからのパワフルなランと衝突で押し切るという攻撃の形が見えてくる。
タッチキックで大きく前進するシーンがたくさん見られるなら、それはサモアの形になっている。
遂行面で、大会に入ってからのサモアは、リアリーファノのゲームメイクとキックで、きちんとラックを作った落ち着いた攻撃をしている印象で、試合を左右するような重大な反則も過去に比べてとても少ない。
反面、カウンターや攻撃のオプションとしてはイングランドやアルゼンチンより少ない。
キチンとしたゲームの入りにまだ慣れていないのか、ノリどころを見逃しがちで、スイッチが入るのに時間がかかる印象もある。
守備面でも規律が改善されてよく守ってるが、タックルの成功率自体は高くなく、自陣深くまでの侵入を度々許している。
日本は反則に気をつけてセットプレーを渡さず、相手陣にボールを運び続ければ封じる目もありそうだ。
スクラムやラインアウトが重要になるのだが、大会前の不安視されたパフォーマンスとは打って変わって、W杯に入ってからの日本のセットプレーは目を覚ましたように安定していて、封じ込めは現実的にも見える。
ただ、万一シンビンなどで人数を欠くと、強力なフィジカルの圧力をモロに受けてしまう。
分析が封じるのか、経験でアップグレードされたパワーが押し切るのか。
トゥールーズの観客の大歓声を背に、ウォークライ、シバタウを披露したサモアのキックオフでゲームは始まった
キックオフ直後の1分、日本はキックで攻め入りたいサモアに反則をしてしまい、機会を与えてしまう。
ショットで先制点をとりにきたサモアは外したものの、蹴り返した日本のキックで結局セットプレーに。
しかしこれを耐え切り、今度は今度は日本がサモアの反則からキックで敵陣に入り込む。
相手の形になりかけたのに凌いだのは幸先が良い。
ラインアウトはスティールされたが、その後も相手の後方にキックを蹴る。
日本はキックで相手を常に後方に下げて、消耗を避けつつ侵入を防ぐ戦術だ。
ハイパントがどちらに入るかはその後のセットプレーの結果に直結する。
ここもサモアの狙い所で、圧力に負けるとサモアの前進を許してしまうが、反則をせず止めた。
日本代表はゲームを左右するポイントが締まっていて幸先がよい。
すると12分にレメキのビッグゲインから、ピーター“ラピース”ラブスカフニが先制のトライ!
キックオフから反撃したいサモアはランでボールを持ち込んでPKを獲得。
深い位置から、立て続けのラインアウト、スクラムで攻め立てる。
サモアは自分達の形でトライを取りたいし、日本は相手の長い攻めを徒労に終わらせたい。
結果はサモアのショットで3点を許したが、日本は相手が意図したプレーで結果をださせなかったことで流れを押しとどめた。
リスタートからのPGで日本はすぐさま3点を返すと、ライリー、レメキの鋭いランからでリーチが追加のトライ!
3点を取るのに15分を要したサモアに対し、日本が10点を取るのに要した時間は3分。
この効率の差はなにか。
サモアの攻撃オプションの少なさが時間の無駄遣いにつながっているように見える。
前半の残り時間でなんとしてもトライが欲しいサモアと、リードを守りたい日本。
サモアはこのW杯でよく攻めをコントローしてきたタウマテイネを、日本はスクラムの要の堀江を互いにイエローで欠く形となる。
フィジカルに勝るサモア相手に人数を欠くのは避けたかった試合のポイントだ。
サモアにとっては嬉しく、日本にとっては避けたかったトライだった。
数字だけだと、サモアが圧倒したようにも見えるが、ピッチ上の実際の出来事を突き合わせてみると、攻め手がないまま長時間ボールを持ったサモアと短時間でスコアする日本という形となった。
ちなみに前半の残り時間がほとんどない中、退出した堀江に変わってリーチがラインアウトを投げ入れるという珍しいシーンがあり、この件についてラグビープレーヤーの同僚に解説を求めたところ「ああいった場面で対処がわからずチームに迷いが広がるのを嫌ったのかもしれない」ということだった。
本物は自分がすべきことがわかっている時、いちいち人の指示を待ったりしたい。
目の前に為すべきことがあれば、リーチは余計なことは言わず、ただそれを為す。
ブライトンではリスクを恐れずスクラムを選んで勝利を呼び込んだ。
ニュージーランドの自宅では最高のコンディションを維持するためリビングにサウナを作った。
そして、トゥルーズで黙ってラインアウトを投げ入れたリーチは、ハーフタイムにジェイミーに怒られた。
怒られることを恐れて為すべきことを引っ込めたりしたい。
リーチはそんな漢だ。
日本とサモア、互いに14人で始まった後半にどう言った修正をしてくるか注目だが、日本は前半に引き続いてサモアのラインの後方にキックを蹴る。
前半に長時間の攻めで体力を使いすぎたサモアに対してさらに無駄なランを強いる作戦のようだ。
ここで今大会をよく我慢しているサモアは、ついにゲームを大きく動かす反則をしてしまう。
ラブスカフニに対するベン・ラムの肩から入ったタックルが頭に当たってしまい、レッドカードの可能性もある一時退出。
そしてシンビン開けの堀江が戻った日本が、1人分のアドバンテージを活かしてモールでトライ!
国際映像に写りこんだラグビー芸人しんやのガッツポーズがトライに華を添える。
ベン・ラムが審査でレッドカードになったことによって、サモアは残り30分、14人で2トライ2ゴールを追うこととなった。
ラグビーを見る時に、前後半をさらに半分に分けて、20分、40分、60分、80分に四分割すると、20分と60分で試合の様相が変わることがよくある。
60分からの日本は今まで蹴ってきたキックを蹴らずにボールを持って走る戦術に切り替えた。
対するサモアにもうできることは少ないが、少ない選択肢が迷いを消して流れが変わることがある。
サモアはラックの近場を縦にこじ開けて、オフロードをつなぐ、往時の戦術に勝利をかけた。
これが実って65分にリアフィーファノが飛び込んでトライ!
残り10分を残して、日本もサモアも、互いに最後の切り札を出す展開となる。
素早い展開とランで侵入してキックで3点を持ち帰る日本に、フィジカルで縦に押し込みトライで追い縋るサモア。
最終盤スタジアムが両観客からの大歓声に包まれる中、日本がボールをピッチから蹴出してノーサイド。
最後に押し込まれたものの、後半は日本がテリトリーも支配率も返した形で、これはベン・ラムの退場もあるけど、60分からキックではなくランで攻める日本のプランがこういう結果になったのだろう。
ゲーム全体をみると、サモアはやはり攻撃のオプションが少なかった。
フィジカルの強さは最大の強みだが、正面からドーン、ドーンとくる感じ。
圧力はあったものの「予想外の何が出るかという怖さ」がなく、日本が全力を出せるかどうかというゲームだったように思う。
「やるべきことができなかった。そのおかげで日本が陣地を広げることができたと思う。もっとボールに向かっていけばもっとスコアを取れるポジションに行けたと思う。過去3試合でもそういう傾向だった。だから、この展開は自分もチームも責任を取るべきだ。しかし、努力をしてきたことには誇りに思う」
とマプスワHC。
試合前に感じていた「きちんとしたゲームメイクだが、以前より大人しくなりすぎ」という印象はある程度サモア自身も感じているようだった。
フィジカルの強さに、もしハイパンの優位性や、スラロームのようなランなどの攻撃オプションがあったのなら対処が難しいチームだった。
「まだ1試合残っている。やるべきことがある。次に進めないかもしれないけど、2027年の豪州大会に向けても頑張っていきたい。とにかくイングランド戦に全力を尽くし、明るい気持ちで終えられるようにしたいが、まだ試合は終わっていないんだ」
明暗は別れ、これで予選突破が厳しくなったサモアに対して、日本はあと1勝で予選突破が決まる状況になった。
ベスト4を目標に掲げる日本、しかし決勝トーナメントの前に立ちはだかるのが、先週、日本に先立ってサモアを退けたアルゼンチンだ。
南米最強のチーム相手に突破をかける大一番は、3連休の中日、10月8日の20:00にキックオフだ。
サモア戦でも松島は途中まで抜けたけどウィング一人につぶされたからねえ
キックゲームってスクラムとかは少なくなることがあるけど、基本ペナルティ取りに連続攻撃するんよ。特に中央付近で。
4年前、8年前は松島福岡ら華麗なバックスが目立ってた印象があるけど、今回はバックスにいまいち渡らないのはなんでだろう?
今も松島は健在なのにね
ディフェンスの組織化が随分進んだって話は聞くし、バックスだけで抜ける時代ではないってことなのかな
キックゲームはぶつかり合いのような試合よりフォワードの消耗は多少ましだろうし、相手反則からのペナルティキック狙いならとにかく相手陣地でプレイするのが大事なのもわかるんだけど、キックがいまいち機能していない気もするのは難しいわ
サモアくらい蹴りこめば反則してくれるなら有効だけど、強いチームはきっちりやってくるだろうし、そうなるとポゼッション放棄してずっと守ってるほうがきつくなるよね
アルゼンチンはパワーごり押し、スピード勝負、それが通じなかったらキックゲームっていう選択肢がとれちゃうからなあ
松島、レメキ、山中などは決して弱くはないし、十分強いんだが、アルゼンチンのバックスを一人二人で抜けるかっていうとそこまで飛びぬけてない
グループ突破だけ考えるならもうボーナスは不要だし、無理にトライを狙う必要はない。25点時点でのショット判断と80分すぎたターンオーバーでトライを取らずに勝ちのみを
取りに行った姿勢はボーナスポイントの優位性切り捨てて、純粋な点数勝負にするって意思表示だよね
今回、ウィング、フルバックはオプションで、FW中心とした連続攻撃からのペナルティ狙い、あわよくばサイド抜けて得点って感じが主な戦術かな
守備面、攻撃面では単独でサモアに勝ててないし、アルゼンチンにも勝てない公算が高い
速いパス回しからのゲイン確保からの(繰り返しになるが)ペナルティ待ちがやっぱり本命だね
スクラムはサモア相手には機能してたが、後半は厳しそうだったから前半どうするか、後半どうするかって交代の使い方も重要になってきそうではある
ラグビーは出身国じゃなくて連続5年の居住などで代表資格ありとか、自国リーグベストメンバー的な位置づけだからほかの競技とはまた違った視点が必要
さらに、近年、前回代表歴から3年以上代表歴がなければ、他の国の代表になれるって基準もできた
ほとんど互角だったよね
フィジカル勝負のぶつかり合いはサモアのほうが優勢、スクラムも押し勝った場面はあったけどモールもほとんどサモアが優勢だった
タックルで止めても強引に前にゲインされていたし、ぶつかり合いではかなりサモアにいいようにやられていた
サモアは中央に人が集まって肉弾戦をやる、それができていれば強い
でも早く外に回されると外にカバーに行かないから走力勝負に持ち込まれると全然だった
あとキッカーは日本の方がよかった
結果は日本が勝ったけど、そんな走力に難のあるチームが後半すぐ1人少なくなって、それなのに後半だけ見ればサモアが勝っているわけ
これなかなか厳しいよね
イングランドのチーム力が100だとすると、
アルゼンチン75
日本70
サモア68
みたいな感じと思う
なんか秘策なりメタるプランがないと、普通にやれば負けそうだわ
なんかあるといいけどね
なさそうだよなあ